子ども・若者育成支援推進点検・評価会議(第14回)議事要旨

議事次第

  1. 日時:平成27年9月18日(金) 13:00~15:00
  2. 場所:中央合同庁舎4号館共用1202会議室
  3. 出席者:
    (構成員(五十音順、敬称略))
    相原佳子、奥山眞紀子、川邉譲、古賀正義、嶋﨑政男、高塚雄介、原田謙介、福田里香、松原康雄、宮本みちこ
    (内閣府)
    武川光夫政策統括官(共生社会政策担当)、安田貴彦大臣官房審議官(共生社会政策担当)、石田徹参事官(青少年企画担当/青少年支援担当)、小山浩紀調査官、小泉智明参事官補佐
  4. 概要:
    (1)今後の検討の進め方等について
    事務局より、前回の議論を踏まえて、今後の検討の進め方等について改めて説明を行った。
    まず、資料1及び2に基づき、本会議で議論いただく内容について以下の事項を確認した。
  • 昨年の総点検の議論の際に、現大綱に盛り込まれている個別の施策については、各省庁より説明を聴取しており、各論についてはその際にかなりご議論いただいたものと認識。
  • 今後の会議では、新しい大綱の策定に向けて、大綱の理念や重点課題、その前提となる状況認識を中心にご議論いただき、各論については、総点検以降の新しい論点についてご提示及びご議論いただきたい。
  • 事務局としては、昨年取りまとめていただいた総点検の報告書と、今後ご議論いただく内容の双方を踏まえて、新しい大綱の策定をしてまいりたい。
  • 新しい大綱の理念・重点課題に関する議論を円滑に進めるため、事前に構成員の方に検討資料の作成をお願いしているところ(資料2)。回答いただいた結果を事務局で整理し、座長とも相談した上で、次回以降の会議において配付し、議論で活用していただけるようにしたい。
今後の検討の進め方について、構成員より、新しい大綱の策定に際しては、現在の大綱をベースに考えるのか、ゼロベースで考えるのか、確認があり、それに対する事務局の回答は以下のとおり。
  • 「子ども・若者育成支援推進法」第8条に、大綱についての規定がある。現行法が変わっておらず、また、行政の継続性という意味でも、現在の大綱をゼロベースで見直すということにはならないが、時代の変化を踏まえる必要もあり、また、現在の大綱が比較的、困難を有する若者(特にニート、フリーターなど)への支援に重点を置いていることから、それらに加えて、できれば新たに子供や若者の自立や活躍を促していく、その活躍を応援していくような内容を、もう少し含められればと考えている。
  • その意味で、単に現大綱の字句の微修正をするというものではなく、理念の段階からの議論をお願いしたい。
続いて、資料3について、事務局より説明。事務局からの説明の主なポイントは以下のとおり。
  • 資料3「新大綱の策定に向けた検討に当たって考えられる論点の例」は、昨年の総点検の報告書や最近の政府の動きなどを踏まえて事務局にて作成。
  • 前回も同様の資料を配付しているが、今回は、前回のご議論の中で構成員の方から出されたご意見を赤字で追記している。
  • 今後のご発表やご議論を深めていただく際に考えを整理する材料として作成している。
  • 今後の議論を踏まえて、本資料を随時更新していく。
また、前回の議論の中で構成員から尋ねられた以下の点について、参考資料により紹介した。
  • 子ども・若者支援地域協議会について(参考資料1)
  • 言語活動の充実について(参考資料2)
  • 民法の成年年齢の引下げについての意見(参考資料3)
  • 若年者に向けた消費者教育について(参考資料4)
  • 学習指導要領における消費者関係教育に関する主な内容(参考資料5)
(2)構成員からのご発表
各構成員、ご発表15分、質疑応答5分程度でご発表いただいた。

【福田構成員ご発表】資料4

  • 福田構成員
     内容につきましては「すべての子ども・若者の健やかな成長を支援する」という分野におきまして、主に「自己形成や職業的自立において、企業として関わり実施していること」ということで御報告をさせていただきます。
     企業がどんなことを考えて、どんな取組を行っているかということを中心に御説明をさせていただきたいと思います。
    (スライド1)
     まずは、会社としてどのような理念のもとに活動を行っているのかということを御説明させていただきます。パナソニックには、経営理念というものがありまして、私ども創業者の松下幸之助が打ち立てました経営理念を進化させながら事業活動を続けているということでございますが、その根幹が、「事業を通じて社会の発展に貢献する」ということになります。基本の考え方としましては大きく三つございまして、企業は社会の公器であるということ。お客様第一に考えようということ。そして、衆知を集めて経営をしていくということ。この大きな三つの考え方で経営を行っています。
     その中で、古めかしいのですが、左側の写真のほうに綱領というものがあり、「産業人タルノ本分ニ徹シ 社會生活ノ改善ト向上ヲ圖リ 世界文化ノ進展ニ寄與センコトヲ期ス」というようにうたわれております。実は私ども毎日朝会をやっているのですけれども、みんなで綱領を唱和するということをいまだやっておりまして、これが血となり肉となるような行動、取組を行っていこうということで事業を進めているところでございます。
    (スライド2)
     そのような中で、企業の社会的責任とパナソニックの人づくりに対する考え方ということでございますが、企業の社会的責任というものはかなり古い時代から明確にうたわれております。それについては、先ほど申し上げました、企業は社会の公器だ、というのが中心の考え方になっているのですけれども、ページの4行目ぐらいにありますとおり、「本来の事業を通じて生活の向上に貢献する」というのが基本になっております。ここから私が思いますのは、本来の事業を通じて社会に貢献するのですが、一方で、本来の事業で拾い切れないものがあります。社会からいろいろお借りをしたりしながら事業を行っていますので、そのお返しというか、感謝の気持ちも込めまして、本業で拾い切れないところを企業市民活動ということで行わせていただいていると理解しておるところでございます。
     あと、人づくりということに対する考え方でございますが、こちらのほうも創業者の言葉があるのですけれども、2行目から「松下電器は人をつくるところでございます、あわせて商品もつくっております、電気器具もつくっております、こういうことを申せ」と言ったことがあるという発言がございまして、私どもの中では、「物をつくる前に人をつくる」という考え方をもつ会社であると考えて活動を行っているところでございます。
    (スライド3)
     こういったことをもとに、私たちはCSR、そして企業市民活動を行っているのですけれども、いろいろな活動を行っております。具体的には、環境活動ですとか、グローバルでいきますと新興国、途上国の支援ですとか、あるいは日本のところでいきますと日本工芸会さんへの御支援や、歌舞伎やオーケストラといった文化芸術活動への支援など、いろいろなものがある中で大きな支援の柱としていますのが、次の世代を担う次世代育成支援ということでございます。
     どうして、一企業のパナソニックが教育支援に取り組むのかということなのですが、一つは、基本的なことですが、次の世代の健全な育成なくしては、将来の世界も日本の発展もないということです。そのことについては、先ほどからいろいろなところで出てきていますが、次世代の育成というのは、社会総がかりで取り組むべき課題なのではないか。そして、企業でなければできない強みを活かした何か貢献ができないのかということを念頭に活動をしているところでございます。
     生きる力ということが言われているかと思いますけれども、生きる力を備えた人材の育成ということをしていくときに、教育界では、確かな学力、豊かな人間性、そして健康・体力ということを言われておられるかと思いますけれども、そういったことを伸ばしていくことに、学校、家庭、地域、行政、NPO、そして、企業というものが連携して総がかりで取り組むべきではないかと。そのために企業の強みを生かした支援ができないかということで、社員が学校に出向きまして、環境などいろいろなテーマを持ちまして、例えば冷蔵庫の断熱材を持っていって、それにさわってもらいながら環境の事業をするといったような「出前授業」ですとか、そういったことに関する教材をつくり、提供して先生方に使っていただくとか、あるいはいろいろな御支援、教育にまつわるところの御関係先への助成といったようなことをやっていっているところでございます。
    (スライド4)
     具体的な取組としまして、今は主に小中学生を対象とした環境教育というものを柱に据えておりまして、昨年度は、全世界で大体45万人ぐらいの子供たちがいろいろなプログラムに参加してくれました。
     左上からいきますと、ハイブリッドカー工作教室というものがございまして、これはことしの夏休みも霞が関子ども見学デーに合わせてやらせていただいたのですが、太陽電池と乾電池の両方を持った車を紙でつくるのですが、これを工作教室でつくって、競争してもらうことを通して、子供たちに環境について学んでもらうとか、あるいはグローバルのほうが中心ですけれども、エコ絵日記コンテストといって、環境に関する絵日記をつくってもらいまして、これを応募していただいてコンテストしていくとか、あるいは先ほど申し上げましたけれども、学校に対して社員が出向いていって出前授業をする、教材を提供する。あるいはキッドウィットネスニュースとあるのですが、これは映像を作成していただくということで、ビデオなどを貸し出ししまして、どういうようにして撮影をするのかということを教えながら、子供たちに主体的にあるストーリーに基づいた映像作品をつくってもらう。そして、それを全世界でやって、これはまたコンテストのようなこともやっているのですけれども、そういった中でチームワークですとか、ほかの人と協力をしてストーリーをつくっていくとか、取材の仕方とか、そういったことを学んでいただくというようなプログラムも行っております。
    (スライド5)
     その中で、今度は取り巻く環境というものが少しずつ変わってきているわけで、その変化に伴って、やはり求められる人材像というのは少しずつ変わってきているなということでございます。
     いろいろなところで出ている求められる人材像というものを拾ってみましたが、例えば第2期の教育振興基本計画の中に、未来への飛躍を実現する人材の養成が重要なのだというようなことが挙がっていたかと思います。その中で、社会全体の変化や新たな価値を主導・創造する人材が必要なのだということや、これからは社会の各分野を牽引するリーダー、グローバル社会にあってさまざまな人々と協働できる人材、とりわけ、国際交渉など国際舞台で先導的に活躍できる人材が必要なのだということが挙がっていたかと思います。また一方で、企業が求める人材像ということで下に挙げておりますけれども、例えば、パナソニックが求める人材ということでは、大きく三つの要点を挙げさせていただいておりまして、一つは大きな夢と高い志を持ちチャレンジし続ける人。二つ目に世界と闘えるとがった強みを持った人。三つ目に、新たな価値を創造し、変革を起こせる人というようなことを挙げております。これというのは、先ほどの未来の飛躍を実現する人材の中に言われていたことと同じことを言っているのだなと感じております。
     この求められる人材を養成していくために必要となる能力というものがあり、これについて、例えば21世紀型能力ということが言われているかと思います。21世紀型能力としては、思考力をベースとして、それを支える基礎力と実践力というようなことが言われているようです。今度、2020年には学習指導要領が新しくなっていくというようなこともお聞きしておりますが、求められる人材の養成について、私どものプログラムをどのように組んでいこうかということを検討し、改善している最中でございます。
    (スライド6)
     そういった変わっていく人材を育成するためにどんなカリキュラムをしていったらいいのかということについて示しています。カリキュラムの内容としましては、これまでは、環境教育を重点に展開しておりましたが、これは国としても環境というものをものすごく大きく掲げていたということもございまして、そういったところと歩みを同じくして、ターゲットとしましては小中学生中心ということで行っておりました。でも、先ほどの変化を踏まえまして、今後は生きる力、あるいはみずからの人生をデザインできる能力、こういったものに重点を置いたカリキュラムがよいのではないか。そして、ターゲットとしましては、小中学生もいいのですけれども、高校生、さらには大学生に拡大していくほうがいいのではないか。キャリア教育ということを考えたときには、そういったところまでつなげていくのがよいのではないかと考えております。
    (スライド7)
     具体的な取組についてですが、一つは、まさに私どもの自主プログラムとして現在検討している最中のものですけれども、東京オリンピック・パラリンピックが2020年にあるということを念頭に置きまして、子供たちに身近な題材であるオリンピック・パラリンピックが、さまざまな教育的価値を持つのではないかという側面を検討してみました。例えばオリンピック・パラリンピックと言いましても、単にスポーツということだけではなく、大会自体を支えるいろいろな役割があります。あるいは大会運営や会場の設置については、環境に配慮しなければいけないというようなこと。そして、いろいろな国から選手が来ますので、多様性を受け入れる、あるいは国際理解をしながらおもてなしをしていくような心が大事だということ。
     また、パラリンピックの観点では、バリアフリー社会の実現、テクノロジーという観点では、監視カメラから映像、いろいろな記録をとる、というようないろいろな側面が考えられるかと思います。こういったことを題材にしながら、たまたま当社の場合には、1988年からオリンピックのワールドワイドのスポンサーをさせていただいておりますので、そういったことを活かしながら子供たちに興味を持ってもらい教育ができるのではないかと考えておるところでございます。
    (スライド8)
     そういったことを踏まえながら、今、具体的なプログラムを考えている最中ですが、まず「多様性と国際理解」「社会における役割の認識」ということをテーマにしまして、一つプログラムを検証しております。
     教育現場の先生と一緒に授業内容を設計させていただき、実際、今年の3月、オリンピック教育推進校となっている中学校においてトライアル授業をさせていただきました。
    (スライド9)
     次のページにアンケート結果を載せています。生徒さん、そして先生方にもアンケートに答えていただいておりまして、生徒さんからは、例えば「多様な文化や特徴をもつ人たちを受け入れるために何が大切か考えることができた」という問いには、98%が「そう思う」と答え、あるいは「多様な文化や特徴をもつ人たちを受け入れるために、自分ができる具体的な行動案を考えることができた」という問いでも9割を超える生徒さんたちが「そう思う」と答えています。また、先生方の声としましても、職業体験の学習とリンクしたりして、将来の職業を考えるきっかけとなったとか、ワーク型のプログラムだったので、自分事として捉えることができたというような評価をいただいております。
     こうしたアンケート結果も踏まえまして、今後、オリンピック・パラリンピックを題材にした教育プログラムをいくつか考えていきたいと思っています。
    (スライド10)
     手前みそで申しわけないのですけれども、先生方にも広く知っていただきたくご案内するのですが、10月5日に有明のパナソニックセンター東京において、オリンピック・パラリンピック教育フォーラムというものを開催する予定です。お手元にチラシもお配りさせていただきましたが、文部科学省様、そして東京都の教育庁様からも御後援をいただきながら、パネルディスカッションなども含めまして、なぜ今オリ・パラ教育なのか、ということを題材に開催したいと考えております。
    (スライド11)
     次は、NPOさんと協働しているプログラムについてです。これは現在も行っている、大学生を対象としたキャリア教育になります。こちらの取組はどんどん拡大していまして、いろいろな機関や企業がそれぞれクラスを持って大学生たちとワークショップ等を行いながらキャリア教育に貢献するというプログラムでございます。  概要にもございますように、外務省、経済産業省、財務省、文部科学省、警察庁も参加されていて、パナソニックも参加しているわけですが、大学1年生、2年生を対象、一つのクラスを大体1日ぐらいかけて行うということで、マーケティング等、商品企画の概要を知っていただいた上で、実際にワークショップ形式で、新しい商品を考えていただくというようなクラスを持っております。
    (スライド12)
     次は、公的機関と連携させていただいているプログラムでございます。こちらのほうは小中学生を対象としたキャリア教育ということになります。京都市の教育委員会の取組なのですが、廃校となりました学校を「京都まなびの街 生き方探求館」とし、スチューデントシティ・ファイナンスパークというものを設けています。そこで何をしているかというと、中でいろいろなお店を出して、職場体験や生活体験学習を行います。当社からは電気屋さんを出していますし、例えば、他にもお漬物屋さんですとかいろいろなお店が出ていますが、小学5年生には、そこのお店で働くという体験をしてもらったり、あるいは中学生につきましてはファイナンスパークということで、保険の計算をしたり家計の計算をしてもらう。1カ月これぐらいのお金の収入があるのだけれども、やりくりをして、保険を掛けたり、電気製品を買ったりというようなことで、自分でマネジメントをするというようなことを体験してもらいます。当社もそこに支援しているということでございます。
    (スライド13)
     あとNPOさんの支援ということもさせていただいております。「子ども」分野でいろいろな社会課題を取り扱われているNPOさんに対する支援ということで、素晴らしい活動をされているNPOさんが継続して活動していけるように、組織基盤の強化というところに対して支援をさせていただいています。こういったものも含めまして、いろいろなプログラムを用いて企業としての活動をさせていただいております。
     最後に、以上を踏まえまして、では、どういったことを考えるべきなのか、少し考えてみました。冒頭に、どうして教育支援に取り組むのかということに言及させていただいたと思います。生きる力を備えた未来への飛躍を実現する人材の養成というものが必要です。そのための一つの方策として、さまざまなプログラムに取り組んでいるのですけれども、やはりさまざまな人々と向き合う機会というものをつくり出す。例えば学校の外の人、家族以外の人と向き合っていろいろなコミュニケーションをする中で成長していくのではないかということを考えたときに、そういった人というのは誰か、と思いますと、社会で働いている人などなのだろうと。
     そういったことを考えたときに、私たち大人も含めてですけれども、大人がまずきちんとしないといけないと思うのですが、子供が大人になるわけですから、そこに対してまず子供たちの成長を支援するということが必要だと思うのです。そのために、私どもだけではなくて、いろいろな企業さんがいろいろな活動をしていると思うのですが、そういったものを最大限に利用していただくというのがいいのかなと考えます。例えば、こういうことをしなさいと言われると非常に困ってしまうこともあるのですが、いろいろなことを御意見いただきながら、こういった取組がいいのではないかということもいただきながら既に行っている活動がせっかくあるのでしたら、これを学校側あるいは行政側の方々にも知っていただき、利用して一緒に活動していくということが良いのではないでしょうか。
     そして、もし必要であれば、そういった取組に対する御支援をいただく。さまざまな形でということだと思いますけれども、例えば広く周知をするとか、協働するなど、そういった形で御支援をいただくということが考えられるのではないかということでまとめさせていただいております。

(質疑応答)

  • 相原構成員
     私自身が非常にドメスティックな人間で、ましてや非常に困難を抱えた子供とか学校の先生とか、日々そういう方の対応をしているものですから、こういうグローバルなとか、どちらかといえばキャリアとして活躍していただける子供の育成とかということの観点が非常に疎いので、本当に素朴な質問で恐縮です。
     やはり世界と戦える人材、と御説明がありましたが、とがったといいますか、かなり強みを持った人間とか、チャレンジし続ける、高い志を持った人を教育するということが、現在、大きくベクトルとして必要なこととして大綱に提示するのか、その辺り企業がどう考えてらっしゃるのか。
  • 福田構成員
     かなりとがった強みをというのはチャレンジングな表現をしているところもございまして、これが実際にみんなできているかというと、できていないからこういうことを求めているというところもあるのです。ただ、会社に入っていただくときに既にそういう人材ができ上がっているということは別に必要ないわけで、仕事をしていきながらいろいろなことを学び、いろいろな困難というか、難しいこと、しんどいこと、そういうことに当たりながら成長していくという面がございますので、入る前にでき上がっているということは必要ないと思っているのです。
     ただ、入ってから、どちらかというと、そういったいろいろな困難なことに当たったときにやり抜く力とか、あるいは古いかもしれませんけれども、胆力ですとか、健康もそうですが、そういった基本的なところを備えている人に入っていただくほうがいいのではないかと私は個人的な意見も含めまして思っています。
     というのは、仕事に必要な知識とか技術面だとか、そういうものは必要なのですけれども、例えば本当に国際的な舞台でというようなことでいきますと、語学力というのは要りますが、それは会社に入ってからでも何とかなることはなると思うのです。ですので、もっと基礎的なというか、例えば、多様な人とコミュニケーションをとれるとか、挨拶ができるとか、そういったところがきちんとできるほうが望ましいかなとは思っています。
  • 相原構成員
     どうしても同じような価値観で、同じような人たちでずっと育ってきてしまうところが、結局、最終的に本当にグローバルというときには弱いのかなと思います。あうんの呼吸でわかってもらえるみたいな社会でずっと生きてきたときにはグローバルな中では厳しいのかなと想像として思うわけですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
  • 福田構成員
     そうですね。もしかしたら、職場にいろいろ外国人がたくさんおられて、というイメージを持たれているかもしれませんが、私どもは、外国人の方もおりますけれども、やはり日本発の企業ですので、日本の拠点では日本人が多いです。ただ、私どもは拠点がグローバルにありますので、当然ながら例えばシンガポールであればシンガポールの現地の方がほとんどおられて、日本人の出向者が少しいるという形になっておりますし、会社全体で見ましたら、従業員の数も日本人が全世界の中では半分以下になっているような状況でございますので、そういうところに合わせていかねばならないと思いつつ活動しているということでございます。
  • 古賀構成員
     本当に企業が今、社会貢献をすごくよくやっておられるというのを改めて見せていただいて、勉強にもなりますし、重要だなと理解するのですが、1点お伺いしたいのは、今のお話の中で、例えば経済同友会とか経団連のような企業を束ねていく組織がこういったことに対しての啓発努力というものを全体としてやるような力というものは持っているのか。その辺りを教えていただけないかと思うのです。
  • 福田構成員
     経済団体さんのほうでも、そういった活動をされておられますし、そちらのほうから逆に御要請をいただくということで、それに対する協力といったらいいのか、参画をさせていただいているということもございますので、例えば今、言われました経団連さんあるいは同友会さんというようなところもやられておりますけれども、主導的にというよりは、緩やかな束ね方であるのかなと思うところと、経済団体さん自体がいろいろな企画をされる面もあると思います。
  • 古賀構成員
     ということは、つまり、企業相互がやっているプログラムをお互いが見合っていくというか、いい意味でそれぞれの持ち味を理解し合うとかという作業というのは、なかなか企業単体でやるというものではないような気もするのですけれども、それは今のような団体はやってくださっていると考えてよろしいでしょうか。
  • 福田構成員
     どちらかというと、企業同士でやり始めています。例えば私たちのプログラム、先ほどキッドウィットネスニュースというものを御紹介させていただきましたけれども、ある企業さんと一緒に、彼らがやっている活動と掛け合わせて一緒にやりませんかといって東北に行ってやったりと、そういったことを企業同士の関係者で一緒にやっていっているケースはあります。
  • 宮本座長
     企業のこういう取組は非常に結構なことだと思うのですけれども、その取組のターゲットになる人たち、ここで言うと小中学生とか高校生とか大学生という全体で設定されておりますが、例えば家庭の事情等々でなかなかこういう環境に恵まれない子に、特にその子たちが頑張ればやれるのだという形でターゲットを意識して設定すると、また違う効果というのはあると思いますけれども、そういう観点は、例えばパナソニックとしては持ってらっしゃいますか。
  • 福田構成員
     そこは最後に御紹介させていただきました、NPOさんの支援で行っています。パナソニックサポートファンドで、組織基盤の強化という形ではございますけれども、NPOの支援をさせていただいていまして、その中の、分野を三つ持っています。子ども分野、環境分野、そしてアフリカ分野があるのですが、その中の、子ども分野で応募されてこられるNPOさんは結構様々な困難を有する方々を対象とされているNPOさんも多いのです。そういったNPOさんに対する支援ということで、間接支援ということになるかもしれませんけれども、そういった形では行っております。

【原田構成員ご発表】資料5

  • 原田構成員
     NPO法人YouthCreateの原田です。私は、若者と政治をつなぐ、わかりやすい言い方で言えば、若者の政治参画といったところにずっと取り組んでいます。皆さんも御存じのとおり、前回の会議でも議論になりました、来年からは選挙権年齢が18歳に下がるというところに絡めて、去年、私が内閣府のプログラムを通じてドイツの若者政策を見に行ったことからの学びを少しと、あとは自分自身の活動から思う18歳選挙権時代を来年迎えるに当たって意識をしなければならないことや、YouthCreateの今の実践内容にも少し触れながら紹介をさせていただきます。
     皆さんのお手元に1枚のレジュメを配らせていただいております。パワーポイントは皆さんのお手元にはお配りしていないので、少し遠いかもしれませんが、前を向きながら聞いていただければと思っています。
     去年、内閣府の青年社会活動コアリーダー育成プログラムというプログラムに参加させていただきまして、ドイツに若者政策、青少年政策全般を見に行きました。そのプログラムの内容を簡単に紹介させていただきますと、高齢者分野、障害者分野、そして自分がかかわっている青少年分野の三つの分野について、それぞれ渡航先は違うのですが、渡航期間が一緒であったり、あるいは渡航の前後でともに学びを一緒にやることによって、この各分野がそれぞれ関連をしながらいろいろ学びを深められないかなということが主な狙いです。このあたりは少し簡単な説明で行きます。
     実際に若者分野といっても、若者の政治参画あるいは政治教育という私が扱っているところだけのメンバーではなくて、若者分野にかかわる多様なメンバーが集まっていました。高校の現場の方もいらっしゃいますし、あるいはボランティアで若者のアクティビティにかかわっている方、例えば特別支援学級の職員の方というようないろいろな若者にかかわっている分野の方たちがプログラムに参加していました。
     渡航に際しては、団としても一つテーマ、そして個人としても一つのテーマを決めていくことを求められているプログラムなので、その二つを紹介させていただきますと、団としてのテーマは、ユースワーカーの人材育成と中間支援のあり方を学ぶことによって、日本の青少年分野の非営利組織をいかに発展させることができるのかということでした。
     私個人としては、政治社会に関して、青少年支援の必要性をどう周知できるのか。青少年支援が必要だということの先に、事前に日本でも学んだところで、やはりドイツは青少年施策に対する手厚い予算であったり、手厚いいろいろな仕組みがあるということは、裏を返せば、社会全体手が手厚くやるべきだということを認知しているので、そうできているのだと思っています。
     日本はまだまだそこが足りない部分かなと思っていますので、どうすればドイツで学んだことを、具体的な例だけではなくて、そのような社会の雰囲気にできるのかなということを学ぼうと思ってドイツに行ってみました。
     今回、この団のテーマというところはきょうの議論とは関係ないので、自分の個人テーマの部分で学んだこと四つを最初に紹介させていただきます。
     一つ、一番驚いたのが実はここなのですが、青少年政策の明確な法律があって、青少年分野にかかわっている人であれば、皆さんヒアリングの最初に絶対にこの法律のことを話してから自分たちの具体的などういうことをやっているかというところに話を進めていくというところに一番びっくりしました。社会法典の第8編という、御存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、児童・青少年援助法ということで読ませていただきますと、「すべての若者は、成長のための支援を受け、責任感と社会性のある人格に育てられる権利を有する」。これは1条の1項なので、その後にいろいろな親の責務であるとかいろいろなものが続くのですが、その中身ももちろんですけれども、全ての団体あるいは教育現場の方、それぞれの方がこういう社会法典の第8編があって、そこで全ての若者が成長のための支援を受けなければならないということが決まっている。あるいは逆に言えば、社会としてはそういうための支援をやらなければいけないことが明確に決まっているので、それに基づいて我々も活動しているし、あるいはそれにプラスして、それに基づいて例えば行政あるいは企業とかとの連携を進めていっているということを毎回説明されたのが一番印象に残りました。
     日本でも、もちろん、法律ができてきたりはするのですが、そこは自分自身の自戒も込めてですが、こういう法律があって、例えば子ども・若者ビジョンがあってとかという話をふだんの活動の中で特にはしていなかったので、この法律にかかわる自分たちとしては、こういう法律ができて、それが日々見直しをされていってということはもっともっと社会に発信する必要はあるのかなというのが一つ驚き、学んだ点でした。
     二つ目は、行政と民間の連携ということを書かせていただきました。例えばドイツは皆さん御存じのとおり、連邦国家で、一つは連邦レベル、国レベルでの青少年に関する行政の単位であれば、右側、ドイツ連邦共和国家族・高齢者・女性・青少年省という省庁があって、その中の一つ、青少年にかかわるものが、青少年だけの省というわけではないのですが、一つの省に大きくまとめられています。
     それに対応して左側、ドイツ連邦青少年協議会というものがありますので、これは一応民間側の組織ですが、この二つ、行政と民間がちゃんと連携しています。さらに言えば、例えばコプレンツ市という一つの市を見に行ったのですが、その市の中にも青少年局という青少年を扱う部署が一つありますが、それに対してコプレンツ市の中で現地のNPOとか赤十字とか、そういう方たちのグループですが、その青少年の協議会みたいなものがあって、ここも行政と民間との連携をしっかりしているという部分がかなり印象に残りました。
     一つだけ違和感があって、これはどうなのかなと思った部分がありまして、それはドイツ連邦青少年協議会は予算がほぼ国から出ている、行政からの予算によって民間団体のエンパワーメントあるいは民間の団体同士のつながる、あるいは民間の団体として行政に提言をするというようなことをやっている部分があったことです。彼らに聞いてみれば、それはもちろん財源が安定しているからいろいろやられるという部分もあるということを言っていますが、逆に日本でNPO活動にかかわっている自分からすると、財源が安定している、あるいは財源が行政から全て来るということであれば、自分たちで財源をもっとふやしにいく努力であるとか、活動をちゃんと周知して、その周知のもとに寄附を民間の方から集めるとか、そういうところを少し怠るのではないのですかと聞きにくい質問をしたのですが、当然ですが、そういうことはないということで、財源があって、社会法典の第8編があるので、いろいろな活動がきちんと継続的にできる強みがあるというようなことはおっしゃっていました。
     もう一つ、あとは仕組みづくりということで、子供・若者自身を社会の担い手として活躍させる仕組みづくりにもさまざまなものがありました。仕組みづくりなので、教育の一つ先だと思っていただければいいのですが、子供・若者に対するいろいろな教育、教育の部分は余り詳しく今回は聞けなかったのですが、いろいろな学びについて最終的には実践をする場をいろいろつくっていました。例えば左側のテンペルホーフというベルリンの一つの地域ですが、そこはいわゆる青少年議会といって、小学生から日本で言う高校生の1年生ぐらいまでの若者、青少年が集まって、いろいろな地区の改善案を出すような青少年議会ですが、ここで何か議論をして、例えば市とか行政とかに提言するというだけではなくて、実際に提案内容に対して、例えば学校の正門前に今まで信号機がなくてすごく迂回をしなければいけなかったところに、実際に信号機を設立したり、あるいは公的機関のトイレがなかなか古いままで汚いという部分があったので、それが彼らの声によって新しいものになったりとか、実際に自分たちが町のことにかかわって、さらに言えば、かかわった提言が実践される、自分たちの声が実際に届くということをやっていったりしました。
     あと右のコプレンツ市の赤十字青年ボランティアというところでは、赤十字なのでいろいろなファーストエイドのやり方とかを日々学んでいるわけなのですが、それの実践の場として、学校内での簡単なすり傷であるとかそういうことに対しては、いわゆる養護の先生が日本みたいに常にいるわけではないそうで、彼らが簡単なものは請け負うということを言っていましたし、例えばプラスして市の何か大きな祭りとかというところの養護に対しても彼らもかかわるということで、ファーストエイドとかの学びをするだけではなくて、実際に活躍できる場所を持っているというのも一つ特徴かなと思いました。
     日本ではどちらかというと、何か議論をして提言をする、あるいはいろいろなことを教えるという部分もあるのですけれども、実際に若い人たちの声が行政に生かされるということがまだまだ少ないのかなと思うので、議論した先の出口として何か変わるということも日本でも検討する必要があるのかなと思いました。
     ドイツでの学びの最後になるのですが、いろいろな仕組みづくりですね。子供・若者自身がもっと青少年活動をしたいなと思えるような仕組みづくりもいろいろ取り組まれていました。左側がボランティアリーダー資格制度ということで、ドイツ全体のいろいろな青少年団体が共通の資格制度、例えばあなたは青少年団体の研修を何時間以上受けた、あるいは実践を何時間以上受けたということの認定のもとに、ユライカというボランティアリーダー資格のカードをつくっています。これを取ることを社会に積極的にかかわっている若者だということの一つの共通資格にしています。
     この資格は、中学校とか高校生ぐらいでも取れるので、何かというと、彼ら中学生、高校生は、日本でもそうだと思うのですが、いわゆる公的な資格はなかなか持てないわけです。恐らく日本だと免許証が取れるぐらいから公的な資格の認証があるわけですが、このユライカカードも、いわゆる免許証であるとか、そういうものと同じような公的なカードなので、若者としては、単純に、公的に自分たちの活動が認められるということがうれしいのだそうです。さらに言えば、学生証の拡大版かなと思うのですが、こういう公的なカードを持っていることによって、ユライカカードを持っている人にはいろいろなサービスを受けられたりするということもやっているので、共通資格としては広まっているのだと言っていました。逆に、一定年齢に達すると、18歳とかほかの公的な資格が取れるようになると更新をしなくなるというような悩みも持っているそうです。更新のためにはまた研修を受けなければいけないのですが、この資格ではなくてほかの資格があるので、更新する人が少ないのだということでした。
     右側です。渡航時、これはまだ試行錯誤を始めた段階だというように聞いていたのですが、若い人が日々触れている、なじんでいるインターネットを使って若い人の声を行政に伝えるという取組です。最初に言いました青少年協議会というところがインターネットで新たな若い人の声を集めて、それを行政に届けて、最終的に行政からまたフィードバックが来るような仕組みを開発して広めているというような、若者になじみやすい新たなやり方をつくっているということでした。それがドイツでの学びになります。  ラストの5分間ぐらいで、では、そういうドイツの学び、さらに自分の経験、活動を踏まえて、来年の18歳選挙権に対してどういう試みを、あるいはどういう心構えを私たちがしなければいけないかということを紹介させていただこうと思います。
     少し抽象的な話からで申しわけないのですが、来年、選挙権年齢が18歳に下がるというのは間違いないことですし、例えば5年後、10年後に、来年、2016年という年を見返したときも選挙権年齢が18歳に下がったねということは間違いなく言われ続けると思うのですが、そこは選挙権が下がったというだけではなくて、下がったことに関して、若い人の社会参画、政治参画が日本で進み出した年だよねという年にしなければならないかなと私は思っています。
     もう7年ぐらい、若者と政治に関する活動をやっていますけれども、やはりこの18歳選挙権が実現というのは非常に大きな影響を持つ可能性を感じていますので、このタイミングでいろいろなことを進めていかなければ、ある意味、その後、いろいろなことを進めるのはもしかすると難しいのではないかというような気持ちまで持っています。
     当然、若者が参画をするきっかけにはならないといけませんが、その若者が参画を進めるというときに、間違えてはいけないのは若者のためなのだとか、あるいは若者がこのままだと将来損をするから、若者がもっと選挙に、あるいは政治に参画をするべき、というだけではなくて、そもそも民主主義というのが多様な存在がいて、その多様な意見が議論の場に出る、あるいは議論の場に出て最終的に何か決定にかかわるということが民主主義という制度の仕組みの強みだとすると、若い人、それが18歳、19歳を含み、あるいは20代も含め、若い人の意見が出るということが民主主義の活性化につながるということをもっともっと意識しなければならないと思いますし、あるいは若い人自身が意見を出すだけではなくて、今後、国を担っていく力になるということも意識しなければならないかなと思っています。
     さらに言えば、選挙権年齢が18歳に下がるということで、来年の参議院選挙でどうなるかということが議論の主流にはあるのですが、やはり投票だけが政治参加でもありませんし、選挙という仕組みだけが民主主義のあり方ではないので、投票以外でも政治に参加をする方法をさらに拡充するであるとか、あるいは若者向けに投票だけではなく、常に政治を意識する、あるいは政治に参画をするのだということは伝えなければならないといけないと思っています。
     実際にYouthCreateもそういう活動を今も進めていて、これはつい1、2週間ぐらい前に目黒区のとある高校で出前授業をやってきたときの様子なのですが、今、出前授業、高校に何か政治教育とかをやるとすると、ややもすると模擬選挙をやろうと、架空の市長選なりを想定した模擬選挙をやる体験というものが今は主流だと思うのですが、選挙以外のところも体験してもらおうと思って、私たちがやったのは、架空の町に高校生の皆さんが住んでいるとして、そこに公園をつくりますというようなワークショップをやってみました。行政計画として公園をつくるという計画が出ます。当然なのですが、行政が計画としてこういう公園をつくるということを出しますが、それに対して住民の意見を求めるタイミングというのももちろんありますし、その中で住民の意見が通るということももちろんありますので、そういう公園をつくるというようなことで選挙以外での参画ということを意識していただいた。あるいは5~6人のグループの中になって議論してもらうのですが、グループの中で全員が高校生そのままという役目ではなくて、中学生役をやったり、あるいは高齢者の役をやってもらったり、いろいろな役としてどういう公園をつくるかを考えてもらえば、それぞれ違う意見が出てきます。
     ただ、違う意見が出てくるのですが、その中で議論していけば、当然彼らの中でいろいろな合意がつくられたり、あるいは公園の利用するルールがつくられたりするということで、単純に多数決だけで何かをきめるのではなくて、合意形成であるとか話し合いで決めるということも体験してもらったり、そういうプログラムをやっています。
     急ぎ足であと二つですが、三つの対応が必要かなと思っていて、今、言いましたように、学校現場でいろいろなことをやらなければいけないというのはすごく議論されています。きょう、文部科学省に出していただいた資料の中にもいろいろなことが載っていたと思います。ここは割愛をさせていただきます。
     二つ目、私は家庭での対応というのもすごく大事かなと思っています。昔は恐らくお父さん、お母さん、あるいは一緒に住んでいるおじいちゃん、おばあちゃんと政治の話をする、あるいは選挙に行くのについていくということで、子供世代に選挙、政治の話が波及するということはよくあったと思うのですが、昨年の衆議院議員選挙で言えば40代前半までが投票率が50%を切っている状況なので、中学生、高校生の親世代も投票に行っていない人がかなりの割合でいるとなると、親から子供へというのではなくて、子供が学校で教育を受けたことを何か家庭に持ち帰って、家庭の中で選挙、政治について話すきっかけをつくるぐらいの必要があるのかなというのが一つ。
     あと学校では、これはかなり中立的な教え方をせざるを得ない状況にはあるとは思うのですが、議論は何も中立的な議論ばかりではなくて、○○に私は賛成だけれども、あなたはどう思うか。あるいは私は反対だけれども、どう思うかという何か意見を持った議論というものもあると思いますので、そういうことが家庭でできるかなと思います。
     あと、先ほど発表の中でいろいろなほかの世代とかほかの人と話すということも必要だという話も出ましたが、地域の中でいろいろな世代の人と話す、いろいろな職業の人と話す。あるいは政治というとややもすると国の政治ばかりを意識しがちなのですが、自分の身近な地域の政治ということを気にする必要があるかなと思っています。
     最後です。最後は、そういうことをいろいろと思った上で、自分、あるいは社会、大人、政治側がどういうことをやらなければいけないかということですが、若者に伝えなければいけないのは、18歳、19歳、あるいは若者に対して、選挙権という新しい権利を与えたのだから投票に行きなさいという伝え方では私はだめだと思っています。もちろん、そういう面もあるのでしょうが、そうではなくて、私たち社会、大人、政治が伝えるべきこととしては、選挙権年齢を18歳、19歳に下げたように、若い人の力を本当に欲しています、あるいは若い人に力として育ってほしいと思っていますということをいかに伝えて、私は下から目線でと書かせていただいたのですが、そういう力を欲しているということを伝えて、若者自身が、それだけ大人社会が若者のことを必要としてくれているなら、あるいは思ってくれているならしようがないと、投票に行くか、政治に興味を持つかというような流れでこの18歳選挙権という時代が迎えられればいいかなと思っています。

(質疑応答)

  • 相原構成員
     先ほどのカードですが、あれはカードを取得したり、ポイントがふえていくのですか。何かメリットとかがあるのでしょうか。
  • 原田構成員
     ポイントがふえるというものではなくて、資格カードなので、一旦取れば何年かごとに研修をして更新をしなければいけないのですけれども、メリットとしては、例えばそのカードをお店で提示すると、いわゆる日本で言えば学生証で学割価格になるようなもので、公共機関が安くなったりとか、いろいろなサービスがあるという特典がついているようです。
  • 奥山構成員
     選挙に行くことに関して三つの場でというお話があったのですけれども、若者ということを考えると、SNSで、友達同士のネット上のやりとりもすごく影響するのではないかなと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
  • 原田構成員
     やはりSNS、Facebook、Twitterでつながっている友達が投票に行ったよ、あるいは投票に行こうと呼びかけていることによって投票政治ということを意識するのもあるのですが、今の日本の状況を見ると、どちらかというとネットで完結してしまっているのです。今、高校生とか大学生、中学生でも政治に興味関心を持って集まってくるようなイベントはふえているのですが、その政治に興味関心を持って政治のイベントに集まってくる高校生とかに聞いたときに、学校の友達とはこの政治の話はできない。学校の現場で、クラスの中で私だけこの話をすると私が少し浮いてしまうのだということになるので、やるべきはインターネットでの拡散ももちろん必要ですが、学校の現場で当たり前のようにあした投票に行こうぜと言えるような空気感を私たちがどうつくっていくかも同様に必要なのかなと思っています。
  • 宮本座長
     これは原田さんというよりも、それを踏まえて内閣府に伺いたいのですけれども、ドイツの社会法典、これは先ほど原田さんから説明があったのですが、私も2年前からドイツに行って、青少年の現場に行くと、その社会法典というのが非常に重要な憲法みたいなもので、それを根拠にして動いているというのはわかったのですけれども、日本はそれに当たるものがあるのかないのか。全くないとは言えないと思いますが、そのあたりの関係性が、今、おわかりにならなければ、次回あたりまでにお話しいただけるといいかと思うのです。子ども・若者育成支援推進法がドイツの社会法典ほどの力が持てるのかどうなのかという、そういう話になると思うのです。何か今、おわかりになりますか。
  • 安田大臣官房審議官
     まことに不勉強ながら、社会法典の第8編に規定があることは知っておりますが、それが日本と比較法的に見てどうなのかということは今すぐにお答えしかねますので、次回以降の宿題とさせていただければと思います。
  • 宮本座長
     第8編に、前回私がお配りさせていただいた若者政策提言書の16ページのコラムで、ドイツの若者政策というので簡単なところが出ているのですが、例えば社会的に不利の克服や個人的障壁の除去のためにより多くの支援が必要な若者に対して、何が必要という定めがあるのですが、これをもって具体的に不利な若者に対してはこういう形でとして、いわゆる日本で言うところのハローワークと福祉事務所と、ここが連動して、法律を根拠として動いているわけなのです。日本はこれがないので、結局、経済給付もないですし、必ずそれを受けなければならない強制力もないですし、行政としてはやらねばならないという義務も明確ではないという問題を持っていると思うのです。このあたり、結構ややこしいので、もしおわかりになればというように思います。

【奥山構成員ご発表】資料6

  • 奥山構成員
     私は、今回はビジョンの改訂ということでしたので、ビジョンをじっくり見ながら、どこをどう変えてほしいという私の立場からの意見という形でまとめました。実際、前回の点検・評価会議のときに、かなり私の意見は言わせていただいたので、きょうは具体的にどういうように文言として入れ込んだらいいかなという形でお話をさせていただきたいと思います。
     理念についてですが、今の大綱も理念はかなりできているなと思いました。ベストイントレスト(子供の最善の利益)が一番先に来ているという形、つまり、子供の権利というところに根差した考え方は今回もぜひ貫いていただきたいと思います。
     今、私たちが見ていると、家庭の養育機能の低下というのは非常に大きな問題で、単純に言うと共働きの養育時間の減少も影響しています。つまり、悪くなっているという意味ではないのです。そうではなくて、社会がかなり家庭の機能を担わなければならない部分がふえてきているということを認識しておく必要があるのではないかと思います。家庭にお任せしきってしまう時代ではないのです。養育そのものを社会が担っていくのだということを考えていかなければなりません。若者支援というのは、言葉を変えれば、恐らく自立支援ということになるのでしょうけれども、自立という言葉はただ放っておけば1人でいれるということが自立ということではないと思います。自立というのは、他者に適切に依存できるという能力があるということだろうと思うので、そこもぜひ考えていきたいと思いますし、ライフサイクルを考えた切れ目のない支援体制というのが前回かなり話題になったので、ここは押さえておきたいと思いました。
    (スライド3)
     資料3を読みながら、子供の権利は生きる権利、守られる権利、育つ権利、参加する権利というように四つの権利だとユニセフが提示しています。先ほど相原先生ともお話をしていたのですが、前回、いろいろな省庁の方がこれをやっています、あれをやっています、とご説明いただき、はいそうですかとお聞きしていたのですが、実際現場にいると、本当にできているのかというのはいつも気になるところです。そういう意味では、イギリスの子供コミッショナー制度は参考になると思います。ノルウェーだとオンブッドとかという形であるのですけれども、例えばイギリスの子供コミッショナーというのは議会から委託されていて、そのコミッショナーの方は、家庭以外はドアをノックすれば必ず入れなければならない。だから、刑務所であろうと、病院であろうと、入れて、そこで子供の権利が守られているかどうかというのをきちんと現場で見ていくということができる体制がある。それは実はコミッショナーの方に聞いたときに、イギリスがユニセフの評価で子供の権利を守っている国として下から何番目かになってしまったというのがあって、そこで慌ててつくられた対策だそうなのですけれども、そういうことを日本でも考えていかないと、省庁の方々がおっしゃることだけで終わっているのはまずいかなという気がしています。
     次に、私自身は、ベースをつくっておくということがその先の能力を伸ばしていくことにつながっていくと思いますので、そこで守られることによって他人を信頼する能力、そして自己肯定感が育っていくというベースだけは必ず基本的に押さえておきたいというように思っています。
    (スライド6)
     まず、1番目の「すべての子ども・若者の健やかな成長を支援する」で自己形成というところがありますけれども、子供の自律に向けた適切な養育環境の提供というのがそういう意味で今の理念というところとマッチして必要なのではないか。先ほど言ったように、家庭に全部お任せという時代ではなくなっている。養育というのも小さいときからかなり高年齢になるまで養育が必要となってきていますので、その養育環境の適切な提供と、あと自分の心身の状態を感じ、認識し、対処する能力というのがとても重要なことになってくるのではないかと思っています。
    (スライド9)
     自分の体とか心、私が今うれしいのか、悲しいのかもわからないという子供が結構多いので、その辺のところを教育してベースをつくっておくこと。そして、その上でストレス下の心身の状況がわかれば、自分でそれをどう対処したらいいかということを学んでおくということが小学校から中学校ぐらいでは必要なのではないかと思います。
     その上で、今度、自分のことがわかれば他人の心身の状態も推測がつく。そして、自分や他者が制御できなくなったときにどうやってそれを相談すればいいのだという方法を身につけるということが必要ではないかと思います。これはその内容ですので先へ行きます。
    (スライド11)
     子供・若者の社会参加ですけれども、権利教育ということをしっかり行うということが社会参加では重要だと考えます。自己の権利を認識して権利侵害を受けたときにノーと言える。それから他者に相談するというようなエンパワーメントができる権利教育は欠かせないものだろうと思います。
    (スライド14)
     次に「子ども・若者の健康と安心の確保」のところですけれども、安心・安全を追求する心理教育が教育の中でできればあったほうがいいだろうと思います。また、基本的に、一番子供にとっての権利侵害は何かと言ったら防げるはずの死だろうと思うので、防げる死から子供を守る社会、システムの構築ということは重要ではないかと思います。
    (スライド15)
     安心という感情を認識して、ここにいれば自分は安心できるのだということ、つまり安心をどうやって追求するかということを自分でできるような能力を身につけることは重要です。
    (スライド16)
     前回もお話ししましたけれども、子供の死亡で最も多いのは、幼児期は不慮の事故ですし、思春期は自殺です。事故、自殺、虐待は防げる死、つまり、プリベンタブル・デスと考えられていますし、プリベンタブル・デスから子供を守るということを真剣に考えていくべきだろうと思います。
     具体的に言うと、Child Death Reviewのシステムであるとか、子供の事故データベース、事故レビューとか、思春期の自殺予防などです。大綱の後ろのほうに、自殺のことがいじめと一緒になっているのですけれども、自殺といじめは一体のものではないので、いじめはいじめ、自殺は自殺で考える必要があるのではないかと思います。思春期の自殺ということは、必ずしも全部がいじめではないので、自殺予防というのは全体として真剣に考えていく必要があると思います。何しろ死亡の第1位で、どんどん割合は上がってきています。
    (スライド18)
     前回、お見せしたと思うのですけれども、健康教育推進のところは、できれば内容を単なる知識の提供ではなくて、自分で自分の健康を追求する力をつけるというところに重点を置いた健康教育ということができるように、こんな内容も盛り込んでいただけるといいかなと思いました。
    (スライド20,21)
     若者の職業的自立、就労等の支援の項目に関してですけれども、「若者の職業的自立、就労等の支援」だけではなくて、ここは「若者の自立支援」というように大きくくくっておいた方が良いと思います。私が気になっているのは、若者が新しい自分の家族をつくるとか、親になるとかの準備に対しての支援をもう少し提供していくべきではないかと思います。
    (スライド22)
     例えば女性に対するプレコンセプションケアであるとか、男性が妊娠するわけではないのですけれども、パートナーが妊娠して親になるということに対して、知識とか意識の教育というのも必要になってくると思いますので、この辺のケアも重視していくべきではないかと考えます。だから、就労だけではなくて、家族をつくり、親になるというところの支援というところも必要ではないかと思いました。
    (スライド24)
     困難を有する子供・若者に関してですけれども、中項目でどちらかというと先ほど言いましたライフサイクルを考慮した切れ目のない支援が必要です。もう一つ、自立の最初はつまずきやすいですね。つまずいたときに、それで、はい、さようならになってしまうということだけは避けたい。初期につまずいた方たちに支援をして、もう一度やってみようよというような支援のあり方というのが必要なのではないかと思います。
    (スライド25)
     ライフサイクルを考慮した切れ目のない支援ですけれども、前回も何回もお話をさせていただいたように18歳の壁があって、児福法が18歳、医療でも小児科は15歳までだったのが最近は20歳まで面倒を見ますぐらいのことは言っていますけれども、必ずそこで切れるということがあります。ですから、例えば要保護児童対策地域協議会と子ども・若者支援協議会の連携であるとか、あるいは何らかの形でそこがうまくつながるという仕組みが必要であろうと思います。
     もっと言うと、恐らく市町村とか、そういう小さな単位では、社会の弱者としての子供、高齢者、障害者などを対象とした包括支援ということが少しずつ考えられるようになってきていますので、そこも1つ進めていく手だてということを考えていくほうがいいだろうと思います。
    (スライド26)
     自立初期のつまずきということに関しては、駆け込み寺みたいなところも必要かもしれませんし、自立初期のつまずきに対して、つまずくのが当たり前なのだよというような形での支援ができる場所が必要です。失業したといった場合には失業保険をもらったり、ハローワークに行ったりいろいろなことがあるでしょうから、そこでもつまずいて当たり前なのだよというところを支援していける、そして、もう一回次の自立に向けるということを考えていかないと、そのまま落ち込んで結局社会に依存して生きる形になっていってしまう方たちのことが非常に気になる点だろうと思いました。
    (スライド28)
     困難な状況ごとの取組という中では、慢性疾患を抱えた子供・若者の支援という項目を入れてほしいと思います。あとは子供虐待・ネグレクトを受けた子供・若者。もう一つ、日本は災害大国で、東日本大震災の後、子供・若者たちが4年たってもまだ傷を負っているのです。自殺企図が多かったりというような調査結果も出ていますので、災害とか性被害とか犯罪被害とか事故とかで心が傷ついた子供たちへの支援ということも入れてほしいと思いました。
    (スライド29)
     慢性疾患に関しては、大体アメリカの調査でも12~17歳では17%近い子供たち、6人に1人ぐらいは何らかの疾患を抱えて大人になっていくのです。アトピー性皮膚炎だとか喘息とかADHDとか鬱とか、そういう疾患が多いわけですけれども、慢性疾患を抱えて大人になること、自立することへの支援というのもぜひ考えていただきたいと思いますし、小児科の中でも移行期ケアという形で、自立に向けたケアということがかなり考えられるようになってきていますが、そのようなケアを進めてほしいと思います。
    (スライド30)
     虐待という複雑性トラウマ、アタッチメントの問題に至った子供・若者の問題が多い、いろいろな精神疾患が多いですから、そういうところにできれば至らないようにするのはもちろんですけれども、残念ながら虐待を受けてしまった、ネグレクト環境で育ってしまったお子さんたちにどういう治療をし、どういうケアを受けるかということに関してもきちんとした手だてをつくってほしいと思います。
    (スライド31)
     そして、災害、犯罪被害、事故、心が傷ついた子供たちへの支援ということも、その支援のあり方、支援の場所、もっと言うと、一番先に言いました全体への施策の中でこういうストレス下の自分たちの状況ということを把握できる教育をしておいて、何か自分が変だと思ったときに相談できる場所。そういうような一連のものとして考えていただけるといいのかなと思います。
    (スライド33)
     被害の防止・保護ということに関しては、子供虐待・ネグレクトにより、今、虐待を受けたお子さんたちの90%以上が施設に行くのではなくて在宅でケアされています。そういう地域で支援されてきた子供たちの自立支援というところがまだあまりちゃんとできていないのです。小さいときは保育園に行きましょう、命が助かっていればそれでいいぐらいな感じですけれども、そのお子さんたちが大きくなってくるというところでいろいろな問題を起こしてきているので、そういうお子さんたちが自立に向かうのをどうするか。養護施設とかそういうところでは自立支援という言葉が叫ばれていますけれども、在宅の中ではなかなかそこの支援ができていないのが現状ではないかと思います。
     もう一つは、被害、加害の連鎖。これは非常に大きなものがあります。この間の川崎の例も、もともと被害を受けていた子供が加害に至るという被害、加害の連鎖というのは非常に大きいですから、そこの連鎖を防ぐための支援というのをもう少し系統的に考える必要があるのではないかと思います。
    (スライド34,35)
     在宅のことは今お話ししましたけれども、虐待の世代間連鎖もそうですし、いじめの連鎖もそうだと思います。そういう被害を受けた子供のケアもそうですし、小さいときからの加害児ケアも必要でしょうし、特に私は加害をしてしまう人たち、子供たち、あるいは若者たちをどうケアしていくかというのは非常に大きな課題ではないかと思います。
    (スライド36)
     先ほど言いましたが、いじめと自殺は分けたほうがいいのではないかと思うのです。内容的には社会的養護に関しては、自立後のアフターケアの充実ということは非常に今、重要になってきていると思うので、そこをできれば入れてほしいと思うことと、いじめの防止に関しては、ネット関係ですね。Cyber bullying、ネットによるいじめに関しての問題をもう少し取り扱ってほしいと思います。
    (スライド39)
     最後、環境整備については、新たなコミュニケーション環境への対応です。現在、大綱の中を読むと、インターネット環境ということですが、今、大きくなっているのはSNSの問題だろうと思います。ただ、SNSの問題が大きいのは今で、多分5年たつとまた違うものが出てくるのかもしれないので、その辺をどう考えていくかということはあるかもしれません。
     あと地域の子供・子育ての優しさ、自分の住んでいる地域はどのぐらい子供や若者に優しい地域なのだろうというのを評価できるような、チェックできる項目があると良いと思います。そういうのをチェックしてみると、例えば地域での見守りができているとか、相談場所があるとか、子育てを楽しめる環境があるとか、子供や若者の居場所があるとか、そういったことを自分たちでもチェックできると、意識も上がるので良いのではないかと考えました。
     子供・若者の駆け込み寺も必要です。今、いわゆる子供のシェルターというのが民間で少しずつできてきてはいますけれども、子供だけではなくて、もう少し上の段階も含めて、相談窓口から、少なくとも数日間は実際に泊まれる、1週間、2週間は保護されるような場所というのも必要になってくるのではないかと思います。例えば何か加害を受けたとか、あるいは暴力団のどうのというのもあるかもしれません。そこから守られることも必要になってくるだろうと思います。
     そして、最後ですけれども、最初にお話があったNPOへの支援とか、そういう民間団体の後押しの構造をどうつくっていくのかということも一つ社会の中では大きいのかなと思います。

(質疑応答)

  • 松原構成員
     本当に全体をカバーしていただいて非常に参考になったのですが、川崎の事件の外部評価に私もかかわっていまして、今回のこれもそうですが、絵柄はできてはいるのです。ただ、なかなかそれが機能しないということで、一つは、なかなか払拭できない縦割りというものがあると思うので、それを実際に解消していくような仕組みをもしお考えであればということが1点。
     もう一つは、現場レベルでの担い手というのは非常に絵柄に沿ったような活動がなかなかできない。量も力量もなかなかそこまで追いついてきていないということがあって、私自身としては、人材育成というのが子供・若者の支援についても必要だと思うのですけれども、その点についての御意見があれば伺いたいですが、いかがでしょうか。
  • 奥山構成員
     1点目、縦割りをなくす、という点について、本当にこれがいいのかどうかとわからないのですけれども、そういった支援というものを県レベルや国レベルでやるのではなくて、当然町とか、身近な地域でなされるものだと思うのです。身近な地域でなされるとなると、子供は子供の専門家を、老人は老人の専門家というわけになかなかいかないのだろうなと思っているのです。そうすると、家族ということを考えつつ、家庭の中の弱者に目を向けた形での包括支援ができるようなシステムというのが必要で、少し今できつつあるのだろうと思うのです。いわゆる今まで老人を対象とした包括支援に子供も入れようという動きがあるので、そういったことも含めて、これが成功するかどうかわからないのですけれども、そういったものも一つの方向性ではないかなと思っています。あれが本当にうまくいくのかどうかというのは見ていきたいと思うのです。
     ただし、おっしゃるとおり、重要なのは人材だと思うのです。どうしても全体を見ようとすると、強いほうに流されてしまいます。ですから、親子の問題があれば当然親の言うことに流されてしまって、弱い立場である子供であるとか、弱い立場である老人とかを見る目を失っていってしまうので、そこを身につける方をつくっていくというのは非常に重要なのではないかと思います。それをどうやるかということになると、弱者をサポートする専門家という形で、子供の専門家だ、老人の専門家だという意味ではなくて、全体を見てソーシャルワークのできる方たちにそういうところに入っていただくというのが必要なのではないかと思います。
  • 宮本座長
     今、ソーシャルワークとおっしゃいましたけれども、子供とか高齢者とかと言うのではなくて、縦割りの行政の弊害を突破するような、そういった観点とその力を持った人が必要だと思います。これはもういろいろなところで言われているのですけれどもね。そういうものを今回意識する必要はあるかと思います。
  • 相原構成員
     今おっしゃったところとも関連して、質問ではなく意見になるのですが、包括支援ということで、学校と親とがバッティングして、学校からするとモンスターペアレントに見える。家庭からすると学校が無理解である、もしくは学校の先生が強権的に見えるみたいな話をすごくよく聞くのです。そういうことで前にも申し上げたのですけれども、包括支援ということで、子供のことを中心に考えて何とか対応できるというのが今、非常に必要なのではないかと思っております。先ほど、親に対する支援であり、教育ということも今回御発表されているのですけれども、その視点も非常に大賛成といいますか、対応していただきたいなと思いました。
  • 宮本座長
     今回、困難を抱える子供・若者支援という観点だけではなくて、より積極的なエンパワーメントという部分をもっと強調する必要があるのではないかと考えたときに、つまり、支援をするだけでは一向に解決しない様相がありますね。それを解決する一つが、子供・若者自身をエンパワーメントすることで、自らが置かれた非常に多くの問題含みの環境を変えていく力というか、そういう側面を持つ必要があるということで、先ほども奥山構成員のおっしゃっていた、例えば自分の体の状態、健康の状態に対する感覚とか、あるいは困ったときにはどうやってその解決のために社会資源を自分のために使うかとか、困っているときに助けてと言える力とか、こういうものというのは訓練しないとだめなのです。多くの問題を抱えている子たちもそうだし、若者もそうですけれども、そういう自覚が全くない、意識がない、あるいは自分などはだめだと思い込んでいるとか、そういう状況があって、その人をどんなに支援してもなかなかいいところに行かないということなので、エンパワーメントというものをもう少し意識して、どういう形でやればエンパワーメントになるのかというようなことを盛り込むべきではないかという感じがします。
     この点、欧米などでは、結構子供のころから、ひどくなれば親を訴える力を与えるとか、そういうものも大分前から言われておりますけれども、若い人などは施設をいろいろつくってもそこへ来ない。情報がないというのもあるけれども、情報を集めて自分で動こうという自覚がないとか、そういう訓練を受けたことがないとか、そういうような問題というのが指摘されているのですけれども、そのあたりも盛り込むとよろしいのではないかと思います。
  • 奥山構成員
     それに対して、一つはアサーションというか権利教育の中でもできることなのだと思うのですけれども、実際に子供たちは意外に力があって、最近、学校でこういうことがあったら電話していいのだよという電話相談をいろいろな区でつくり始めていて、子供電話相談みたいな形で対応していますが、結構虐待を受けている子供がかけてきたりするのです。だから、能力を育てるとともに、逆に、そういう小さい声でも、発したら捉える力みたいなものがないと、いくら能力をつけても意味がないですね。その少しの力をいかに捉えるかというような仕組みも必要なのかなとは思います。
  • 宮本座長
     両方ですね。年齢によっても違うわけで、だから、20代、30代になっても一向に自分で社会資源を使おうという自覚がない、力がないという問題もあって、小さい子と成人に達している人とで違いはあるのですけれども、それを一貫した年齢とともにどのような力と支援と環境を整えればいいのかというようなあたりの整理が必要かなと思います。

【嶋﨑構成員ご発表】資料7

  • 嶋﨑構成員
     3点整理して申し上げたいと思います。
     この問題の捉え方についてと考え方についてと取組み方についてということで、資料は多色刷りではないのですけれども、つくっていただいた資料7というものがありまして、最初に出させていただいた不登校の千人比の推移ですけれども、恐らくこういうグラフはあまりごらんになっていないのではないかと思うのです。
     というのは、最近、不登校のことが新聞等に出ましても、最近の10年間ぐらいですから、中学で言えば25人もいるわけですね。それがずっと続いているわけです。こういう高原期のこの部分しか出てこないというわけです。
     1点目に申し上げたいこういった問題を考えるときの捉え方ですけれども、もっと巨視的に大局的に見ていくようにしなければいけないのではないかというのが1点目の提案です。
     一例を申し上げますけれども、そのグラフで中学校の直近の3年間のところを見ますと、少し伸びていますけれども、この部分を捉えて文部科学省が学習状況調査を始めて競争力をあおっているからではないかという論文を最近読みました。そういったことよりももっと左側をずっと見ていただきたいのですけれども、非常に急増期があって、今、まさに高原期なわけで、全く不登校の問題に対して危機感が薄れているのではないかと大変危惧しております。不登校の問題が実はこの10年間ぐらい上がったね、下がったねという、そんな見方しかしていないのだとすれば大変心配なことです。
     同じようなことで、3ページ目です。これはお読みいただく必要はありません。線の引いたところだけ私が読ませていただきます。
     ある雑誌に毎月書評を書かせていただいておりますが、直近の書評です。『子どものまま中年化する若者たち』という本の書評を書かせていただきました。線を引いたところだけを強調させていただきますけれども、不登校等の問題を個別に分析するだけでなく、その背景を大局的観点から検討する必要を感じるためにこの本を取り上げましたということをまず述べています。
     後半に行きまして「思い付き・遊び感覚の犯罪」や「葛藤なき不登校」の増加は、社会の変化に目を向ける必要がありますということで、やはり社会の変化ですとか、最近の若者の大きな特徴として、大きな流れは何かあるのかなというような大局的な視点も必要なのではないかというように思いました。
     これは1点目に申し上げたいこととは違うのですけれども、今、見ていただいていますので、三つ目に線を引いたところです。先ほどから、出ておりますけれども、私どものように教育関係の者が家庭の問題を提起いたしますと、もう総攻撃といいますか、教育放棄でないかということをよく言われるのですけれども、私は常に申し上げていたのは、家庭がいけないのだよと追求するのが目的ではないのです。校内暴力期の1980年代から全く同じことをずっと言い続けているのですけれども、このことなのです。家庭の問題を抱える子供を支援する体制の確立を何とかしようではないかということで申し上げているのですけれども、なかなか理解されない。きょうの会議ではいくつかそういった視点からのお話がありまして、本当にそうだよなと私自身、今ほっとしているところなのです。
     順番が前後しましたが、もとに戻らせていただいて2ページ目です。いわゆる大局的に見るということですが、例えば不登校につきましても、見方はいろいろあるわけですが、私はそこにあるように五つの力を想定していつも不登校の子供たちをどんなように支援すればいいのかなということで先生方と一緒に考えてきたのです。常に批判の矢面に立たされるのが3の力のところでして、学校が子供を来させなくしているのではないか、抑圧しているのではないかというような、そういう面ももちろん否定いたしませんけれども、こういった見方だけで解決できてきているのかということです。先ほどのグラフを頭の中で思い返していただければいいのですけれども、非常にそのような一方的といいますか、狭い見方ではだめなのではないですかというのをここで申し上げたかったのと、その下に書いてあるのは、やはり物事、いろいろな自殺の問題もそうですけれども、さまざまな要因とか、そういったものが絡み合っているわけですが、この部分をきちっと分析することなく、ある特定のところに特化した議論が非常に多いのです。ですから、子供・若者支援のこの問題についても、大局的な見方をする必要があるのではないかということ、これが第1点目に申し上げたかったことです。
     2点目に申し上げたかったことは資料にないのですけれども、こういった問題への考え方です。本日いただきました資料3の中の基本理念の最初のところに、対症療法的な支援を繰り返すのではなく、予防的な段階に力を入れるべきという文言があります。このことが2点目に申し上げたかったことです。要するに、予防的、さらには開発的という言葉を私が今所属している学会などでは使っておりますけれども、場合によっては2次的支援などという学会もございます。どういうことかといいますと、実際に問題を持ってしまった、困難を有してしまったというお子さんたちへの対応は、いわゆる問題解決的に対して、予防的というのは特定な子供でちょっと心配だなと、何とかよくあの子を観察しなければいけないねというような特定の子供に対してそういった問題に至らないように予防していこうというのが予防的な意味合いですね。さらに言えば、つい先ほどの議論にも出ておりましたように、より開発的な、いくつか事例が出ていましたね。自分からきちっとお話ができるとか、そんなことも含めてですけれども、開発的というのは、全ての子供たち、全ての若者たちを対象にという意味合いに使っておりますが、この部分のところをきちっと位置づける必要があるのではないかと考えております。
     例えばですけれども、先ほど奥山先生のお話の中に心理教育という言葉が出てまいりました。私どもの学会では心の健康教育などと呼んでいますが、学習面と社会面とキャリア面と健康面。私は健康安全というように二つつなげているのですけれども、この四つの面について全ての子供たちをどう育んでいくのか、支援していくのかという開発の部分、この部分が大事であろう。場合によっては、ガイダンスという言葉を使う場合もありますけれども、言葉はともかくとして、そういった考え方がどうしても必要になるだろうというのが2点目にお話ししたかったことです。
     3点目に申し上げたかったことは、取組み方ですが、これも本日はもう二番煎じになってしまうのですけれども、包括的継続的な支援が必要だということを申し上げたいと思います。先ほど縦割りという言葉も出ましたけれども、どうしても縦割り的にやっていきますと継続性もまずない。いろいろなことを抱えているのです。それを示したのが最後の2枚ですけれども、非常にわかりにくい資料で、きょうは細かなところは見ていただく必要は全くありません。何か黒い印があるなというのを見ていただくだけで結構でございます。少年殺人だけではないですが、200事例ほど検討してみた結果のものです。一番上のところに、その当事者の方、若者が多いのですけれども、その子供たちに不利益を与えたのではないかと思われる、もちろんそうではないという部分もあるのですが、例えば「い」などと書いてあるところはいじめの体験です。「不」と書いてあるのは不登校体験です。そういったことで、こんな表をつくったりする中でしみじみと感じたのは、やはり支援、こういう子供、先ほど加害者視点という話が出ておりましたけれども、私も全く同意見でして、いじめの問題がなかなか解決しない最大の問題というのはそこにあると私は考えております。
     要するに加害者指導が非常に下手くそでした。私の反省ですけれども、非常に加害者指導に対してきちっとした手法を編み出せないままに、いまだにいじめの問題が続いてしまっていると感じておりますけれども、もっと広く一人一人の持つ困難さを捉えて、そして、幅広い包括的な支援をしていく必要があるだろうということで、その直接的な資料とはなってはいませんけれども、確かに黒く塗ってあるのは多いよねというところだけを見ていただければそれで十分でございます。
     最後に、包括的のところでさらに申し上げたかったことは、例えば安全指導といった場合に、学校教育で言う場合は交通安全、防犯安全、防災安全、情報安全と四つあるわけですけれども、こういったものを包括的に捉えて、例えば自分の身を守るとか、先ほど出ておりましたけれども、傷ついてしまった子へのケアをどうするかといったものは包括的に捉えてやっていく必要があるのだろうと考えております。
     最後に1点。先ほど2点目に申し上げた開発的な部分です。全ての子供たちを対象に、全ての子供たちを支援していくという、その視点のことで1点申し上げて終わりにしたいと思います。
     どういうことかといいますと、子供たちの様子を見ていまして、自然体験とか社会体験をしてきた子供たち、非常にいろいろな意味での力をつけているなと思います。今、私、特別活動論というのをやらせていただいておりますが、子供たちに特別活動の中の学級、ホームルーム活動でどんなことをしてきましたかということを必ず聞くのですが、非常にこういった体験をしないで来ております。よく子供たちが書いてくれるのは、その特別活動の授業では、受験勉強をやっていました、テスト前の勉強をやっていましたなどというのが非常に多いのです。こういった部分から改めていかなければいけないだろうと強く感じております。
     再度申し上げますけれども、この問題の捉え方と考え方と取組み方について、もう既に出切った話ばかりで大変恐縮ですが、私からの意見とさせていただきます。

以上