子ども・若者育成支援推進点検・評価会議(第16回)議事要旨

議事次第

  1. 日時:平成27年10月16日(金)13:00~15:00
  2. 場所:中央合同庁舎4号館共用1202会議室
  3. 出席者:
    (構成員(五十音順、敬称略))
    相原佳子、明石伸子、今村久美、植山起佐子、奥山眞紀子、川邉譲、古賀正義、定本ゆきこ、嶋﨑政男、高塚雄介、谷口仁史、花井圭子、原田謙介、宮本みち子
    (内閣府)
    石原一彦内閣府審議官、安田貴彦大臣官房審議官(共生社会政策担当)、村田達哉参事官(青少年環境整備担当)、小山浩紀調査官、小泉智明参事官補佐
  4. 概要:
    (1)新たな大綱の理念等について
     まず、事務局より、資料1について、前回の議論で出された意見等を赤字で追記している旨説明。
     資料2については、新たな大綱の理念や重点課題について、各構成員より提出のあった意見をまとめたものであり、前回からの続きとして、(2)重点課題以降について議論した。
    資料2に係る議論の内容は以下のとおり。
 【(2)重点課題「1.子ども・若者が生き生きと、幸せに生きていく力を身につけるための取組」についての議論】
  • 古賀構成員
     今、特に高校段階で、困難を有する子供たちの場合は、家庭の形態が非常に多様になっていて、以前のように、いわゆる核家族の標準というものによるという人たちは、むしろ少なく、課題の欄にも書きましたけれども、ひとり親、離別、貧困、外国人、さまざまな要素が入っているのです。保護者を集めて、1回、高校教育についての説明をしないと、ちゃんといろんなことに参加してくれないということで、多くの高校が、今、1年生の段階から保護者会というのを再びやっています。例えば、キャリア教育とは何だかわからない、という親御さんがいると、せっかく土曜日にいろんな場所へ出かけていって、職場体験する機会を設けても、援助してくださらないといったことが起きる。ということで、親御さんに対する支援情報の提供を、子供たちの場合と並立してやったほうがいいというケースが結構見られるようになっているということですね。
     類似した事例ですけれども、少年院でも、今は「育ちの支援」という形で、親御さんと一緒に受けるいろんなプログラムを組んでいるところが多くなってきていて、もちろん、オールマイティーに親御さんに対する支援ができるわけではありませんけれども、いろんな情報提供や、こういうネットワークや相談の窓口について、親御さんにも説明していくという作業はあったほうがいいのではないかと思い、書かせていただきました。
  • 宮本座長
     このあたりのところは、結構、意見が分かれるというか、むしろ、いろいろ問題が起こると、家庭教育の強化という声が上がってきますね。家庭教育の強化という問題と、ここで指摘されている家族支援というのは、かなり違うわけですが、ここはかなり重要なポイントになります。このあたりについて、ほかの方から御意見をいただければと思います。
  • 谷口構成員
     今、御指摘いただいた点というのは、まさに現場でも起こっている問題で、凄惨な事件というのが次々と起こっていますが、これは、いつ起こっているかというと、やはり、夜なのですね。親御さんがひとり親で、それこそ、夜、経済的に苦しくて、子供たちや家庭を支えるためには、時給が高い夜にしか働けないといったケースでは、夜、子供が一人放置されます。それで、子供が寂しさゆえに外に出て、いろんな危険にさらされてしまう。実は、こういう状態というのは、かなり多く起こっている事案なのですね。また、親御さんが両方いらっしゃる場合でも、非行等の状況にあって、外で徘徊するしかないといった状況も現に、これまで繰り返し起こってきていたことですから、そのことを前提として取組を進めなければいけません。いくら家庭に頑張れ、頑張れと言っても、それには限界があって、親御さんが一生懸命にかかわったとしても、子供が振り向くことすらできない状況にあるということであれば、やはり、そこは公的な支援として、責任を持って対応する必要があります。ここで書かせていただいたのは、子供・若者が、いつでも、どこでも適切に見守られ、支えられる体制をつくっていく必要があるのではないかといったところで、これを仮に学校に責任を負わせていいのかというと、これには限界がありますから、第三者機関が担わなければいけない。第三者機関といっても、警察の今までのような補導に頼っていいということではなく、いわゆる養育、育て直し的なアプローチも必要になってくるというところも考えあわせるならば、新たにそういった取組を、例えば、地域若者サポートステーションであるとか、生活困窮者自立支援法に係る窓口であるとか、そういったところにプラスアルファーの機能を付加することによって、24時間、いつでも支えられるような体制というのを整えていく必要があるのだろうと思います。
     また、虐待等の被害に遭って、家出をしてしまう、そういった子供たちの子供シェルターといったものも、かなり各地で頑張っている方々がいらっしゃるのですが、相当に苦戦をしていまして、かなり自主的な活動として動かざるを得ないような状況にありますから、そういった問題に対しても、しっかりと目を向けて、早期に解決にあたることによって、より社会的な負担というものも減らしていく、さらには、当事者の最善の利益というところを確保していく、こういった取組というのは必要なのだろうと思います。
  • 植山構成員
     追加で発言させていただきたいのですけれども、今、谷口構成員がおっしゃったように、夜と休日の問題がとても大きいと感じます。学校が抱えられる時間帯というのは決まっていまして、それを超えてしまうと、完全なオーバーワークになってしまいますし、責任が持てなくなってしまうと思うのです。でも、実際に、児童相談所の一時保護などにしても、きちんと夜間や休日保護していただけるかというと、キャパシティーの問題等もあって、必ずしもそうできない場合があったりするのですね。
     例えば、東京などですと、ずっと少女の支援をしていらしているBONDプロジェクトの橘さんとか、仁藤夢乃さんという、高校生のための逃げ場所というか、避難場所をつくったような方がいらっしゃいますが、そのように、気軽に子供たちが駆け込める場所というのが絶対に必要だと思うのです。
     ところが、地方に行きますと、範囲がすごく広くなってしまって、どこに設置をするかとか、どこが担うかという問題も出てきて難しくなってくると思います。そこは検討しなければいけない課題だと思うのですが、ぜひ、学校だけではなくて、地域社会がどう担えるのかということを検討していただきたいと思います。
  • 今村構成員
     学校だけに、子供たちの全ての支援を任せるのは難しいというのは、100%アグリーなのですけれども、ただ、とても小さな行政だとか、小規模な自治体などで、子供たちを支える機関を、新たにつくるということには、それを全ての自治体に配置するとなると限界があるだろうと思いますので、学校、特に高校がどうしたら、今よりももう少し、そういった保護機能を持てるのかというところに関して申し上げさせていただきます。
     学校の先生方と話していると、結構やる気もあるし、もっと子供たちにかかわりたいと思っていらっしゃる先生もたくさんいるなということを感じるのですが、彼ら、私も四つの自治体しかかかわっていませんけれども、皆さんが、共通しておっしゃっているのは、家庭の情報について、学校の教員が得る手段を持っていないということなのですね。
     保護課みたいなところが基礎自治体に設置されていて、そこが生活保護の情報だとか、これまでの情報を持っているけれども、県が管轄しているケースが多い高校の教員の先生方が、県に配置されて順に異動などする際、特に支援はなく、家庭の情報が分からない状態で担任にならなければいけません。例えば、ある生徒がどうして就職活動をしないのか、本当の理由がわからないままに進路指導をしていって、最後の最後に、生活保護を抜けたくない保護者の方に足どめされていたということが判明するとか、そういった先生方に、少し情報を渡すような仕組みも、同時に検討することによって、全て学校で、というのは無理だとしても、今よりも、もう少し先生方が、役割を果たせるかもしれない。想像力を持てるかもしれないというところで、先生の支援という観点から、基礎自治体と高校がもっと連携していくということも検討していく必要があると思っています。
  • 宮本座長
     今、高校の件でしたけれども、小中学校も同じですね。ですから、情報を学校側が持つということは重要なのですけれども、学校側も情報を持ったからにはやるということがあって、初めて成り立つ、相互の関係があります。
  • 今村構成員
     全部が全部、みんなが100%役割を果たし合うというのは無理だけれども、今よりも少しみんなが役割を果たせていけるようになったらいいなという思いでお伝えしました。
  • 宮本座長
     今、家族支援の件で議論いただいてまして、主に喫緊の課題としては、保護が必要な状況に陥っている家族及びその子供についての家族支援なのですけれども、もう一つは、もう少し一般的に、よく言われる家庭教育支援みたいな部分でして、家庭教育学級というのは、もう数十年前からありまして、やはり、一番来ていただきたい親御さんは来ないという問題は、ずっと抱えていましたけれども、今みたいな時世になればなるほど、より一層その問題は大きくなっています。ですから、保護を中心とした家族支援の前の段階ですね。このあたりをどういうふうにすれば、よりよく機能するかということも、ここでのテーマになるかと思います。
 【「2.困難を有する子ども・若者やその家族を支援する取組」について】
  • 定本構成員
     困難を有する子供・若者になりやすいリスクのあるケースに関しては、情報の共有が必要だと思うのです。全てのデータがあったらいいかというと、そういうわけでもなくて、ちゃんとした、包容力のある家庭もありますし、それから、力のある子供もありますし、そういう家庭や子供はいいと思うのですけれども、やはり、問題は、支援をしなければいけない困難な子供と若者と家庭だと思うのですね。
     支援を要する子供として、発達障害とか、そういう精神保健上のリスクを持ったケースに関しては、困難がいろいろ予想されますし、いろんな非行、ひきこもり、不就労とか、いろいろなことが重なりやすいので、その子に関しては、保健福祉局とか、教育委員会とか、児童相談所とか、そういうところが連携して共有する必要があると、私は思っています。
     よく教育委員会で思うのは、学校で発達障害事例を見ても、せっかく、保健所で乳幼児健診をしているのに、そのデータが全くないとか、それが、中学校まで一生懸命支援したのに、高校に上がると、全然データがいっていないとか、みすみす予防できるいろんな問題を取り逃しているのですね。だから、ハイリスクのケースに関しては情報共有が重要ということを、発達障害に関して、いつも思っております。
  • 植山構成員
     発達障害等の困難を有している子供さんたちについて考えたときに、やはり治療的な教育とか、療育的なものとか、継続的な専門的支援が必要なケースがあるのですけれども、それが、受けられるところと、受けられないところの格差がかなり大きいと思います。東京にいてすら、適切な機会になかなかつなぎにくかったのに、地方にいきますと、通所に何時間もかかってしまうために、通所ができないというような事例もありますので、その辺の格差がないような支援をどうするかという課題が挙げられます。もちろん、予防的な未然防止というのはするべきなのですが、既に起こってしまっているケースをどうやって回復させるかということの手をもう少し均一にできればいいなというふうな希望を持っております。
     具体的には、できれば、中核になっているセンター的な病院から、それこそアウトリーチで回ってきてほしいなと思います。
     というのは、岩手県が震災の後、トラウマケアに関して、子供のセンターがアウトリーチで対応していますね。週1くらいだけれども、沿岸各地に出向いてくれている。あれで大分効果があると伺ったので、ぜひ、それをほかの地域でも、被災地でなくてもやっていただけたらありがたいなというふうに思っております。何か手がないかと思っております。
  • 古賀構成員
     今のお話とつながることだと思うのですけれども、やはり、正確に問題を把握するという作業が、今、システムとしてないような気がするのです。支援のチャンスに恵まれる人とそうでない人の差が非常に大きいということが、今のお話でもあると思うのです。
     ですから、やはり、いわゆるインテーク作業と言われるものを丁寧にやれるような仕組みづくりをしてあげるということが必要なのではないかと思っていまして、それは今までの「問題の原因」を一次元的に探すということではなくて、まず、いろんな立場の人が、子供たちと接して、どんな課題や困難を抱えているかを考えていくというような作業になると思うのです。それをきちんと仕組みとして持たないと、困難を有する子供たちほど、その網からこぼれるという事態が起きているように思いますので、ぜひ、インテークと同時に、心理学的なものだけではない、また、別に監視するという意味ではない「アセスメント」をやっていただけないかなと思っているわけです。お願いします。
  • 高塚構成員
     アセスメントが大事だというのは、本当にそのとおりだと思います。さきほどの古賀先生の話にもつながりますが、今、大学でもPTAがあるのですね。つまり、親を呼んで、親からいろんなことを聞いたり、いろんなことを教えるという、もう我々は、大学の教員というよりは中学校の教員のようなことをやっているわけです。親たちが質問するのは、まず、単位がちゃんと取れているかどうかということ。それから、就職について、うまくいくかどうか、こういったことに対して不安を持っている親は非常に多いですね。
     そういうインフォメーションの提供というのは、誰がどこで対応するのか、教員が全部やらなければいけないことなのかというのは、私は、常に疑問を持っているところがあります。
     もう一つ、アセスメントで言うと、発達障害者支援法ができたことによって、発達障害の子供たちは、手厚いサポートを受けられる。ところが、学校にいくと、これは学校によると思いますが、何でもかんでも、トラブルを起こす子について、みんな発達障害のせいにしたがるような先生や学校がふえてきている。実情から言うとです。要するに、自分たちでは背負わない、あえて特別支援教育のほうへ回してしまえばいいのだと、そういう安易な考え方をする人も、残念ながら少なくないということです。私が、実際にみたケースでは、発達障害だと言われた子が、実は、いわゆる被虐待症候群というべき虐待を受けていた、といったことがあったのですね。発達障害に対する対策と、被虐待児に対する対策では全く違うものを求められます。けれども、現場では、そうやって、何でもかんでも発達障害のせいにしてしまって、それで事足りるという傾向も生まれてきてしまっている。それは、先生だけではなくて、親にも言えることなのですね。うちの子は発達障害だと言われたということで、これは、自分たちのせいではない、子育てが悪いからではないのだと、親が安心してしまっている。これは、やはり少し問題だと思います。そういうことをしっかり見分けられる力というものを誰が身につけていくかということも必要になってきますね。
     特に、最近は、虐待の中で、いわゆるマルトリートメントと言うように、養育拒否ではないですけれども、適切な養育をしないとか、あるいは言葉によって、心の傷をつくる、そういう虐待がふえていることは事実です。そうした子供たちの行動というのは一見すると発達障害であるかのようにみえてしまう。ですから、そういった虐待を受けている子たちの問題を発達障害とは分けて考えなければいけません。もちろん重なる子もいます。
     大学生の中にも、俗に発達障害と呼ばれている人は随分ふえています。ある学生が、私のところに来て、自分は中学のときに発達障害という診断をされたのだと、そのために、随分つらい思いをしてきたと語ってくれた学生がいました。
     ですから、そういうことも含めて、もう少し見立てを、誰がどこでちゃんと対応するのかということを考えていく必要がある。
  • 奥山構成員
     その見立てということとも関係するのかもしれないのですけれども、どうしても、ある年齢になったら自立しろ、みたいな形になっているのですが、それぞれの持っている困難さによって、自立の仕方というのは、かなり違うと思うのです。
     そういう意味で、テーラーメイドの支援といいますか、それぞれの子供に合った自立のサポートというのが必要なのではないかなと思っています。
  • 明石構成員
     私も高塚先生、それから、奥山先生のお考え、すごく賛同するのですけれども、私の持っている授業の生徒で、先週でしたけれども、先生、私は発達障害の可能性があるかもしれないと言われたのですと言って、相談に来た学生がいました。自分はそのように見えたでしょうか、と聞かれたのです。
     確かに少し目立ったりとか、場の雰囲気を読まずに発言をしたりするようなところがあったのですが、私は、その学生に、私は、それがあなたの個性だと思って受けとめていたと話をしたのです。
     網の目のように、いろいろなことが制度化されて、そして、いろんなことが顕在化してくるということも、とても大事なことだと思うのですけれども、もう一つ、いろいろなものを受け入れる社会の許容性というのを高めていくという観点の全体の方向性がなくて、制度ばかりが充実していってしまうと、先生たちがおっしゃっていたような状況、逆にそれを受けることによって、その子の将来というのは、非常に大きく変わってきてしまったりとか、あるいは、そういうことをきっかけに、家庭全体の、本来、健全化しなければいけないというところを、甘やかしてしまうような状況をつくってしまったりということもあるのかなと思うのです。
     ですので、制度として充実させるとともに、私は、社会のムーブメントがすごく今の時代に大事になってきたのではないかと思っていまして、そうした許容性をきちんと受け入れる社会をつくろうという、そちらにもあわせて力を入れていかなければいけないのではないかなという気がいたします。
 【「3.地域における多様な担い手の育成」について】
  • 宮本座長
     これまでの議論でも出てきておりますように、家庭だけでもだめ、学校だけでもだめ、もっと多様な担い手をどうやってつくっていくのかと、こういう流れがあります。このあたりについては、多様な担い手をどうやって育成していくかという部分になりますが、例えば、谷口構成員が、若年層を中心としたボランティアの顕著な減少、急速に進む高齢化の進展によって、担い手の確保が重要だという指摘をされていますけれども、これは、一般的に少子化が進んでいてということ以上にボランティアとしての担い手が少なくなっているという意味でよろしいですか。
  • 谷口構成員
     恐らく、こういうボランティア的なものというのは、あちこちの分野で求められていると思いますが、少なくなっている若年層をさらに奪い合っていくような状態になってしまっているといった側面があるのです。例えば、就職の採用試験等でも、ボランティア活動を評価するといったことがありますが、いわゆる元気な子供たちに対するキャンプなどのボランティアとか、そういったところは楽しくて、やりがいがあるということで学生たちは参加するのですが、やはり、本当に困難を抱えた子供、若者、そういったところへの支援には、なかなか目が向かないといったところが出てきています。また、ボランティアに対して、過度に社会が期待していくことによって、負担感が非常に強くなってきてしまい、一旦かかわっても、それから離脱していくといったところが、実際、傾向として見えてきているのです。ある自治体で調査をしたところ、ボランティアを積極的に取り入れて、それまで活用していたのだけれども、それが、今度はどんどん減少に転じてしまったと、それは、やはり積極的にかかわれば、かかわるほど負担が大きくなってしまうことによって敬遠し始めているということでした。こういった傾向も出てきているので、そこは慎重に対応したほうがいいと思います。
     あと、高齢者に関しては、子供たちとの価値観のギャップというのが、非常に大きくなってきてしまって、いわゆる一定の専門的な知識とかを付与した状態でやっていただければ、それが埋められるのですが、善意だけに頼ってしまうと、その価値観のギャップであるとかで衝突が起こってしまい、そのことによって、世代間の隔絶と、いわゆる拒絶感といったところにつながってしまって、むしろかかわりが減少してしまうといったところも見えてきています。
     なので、今後のことを考えると、担い手の育成、これは、平成22年から進められているように、さまざまな活躍をする人たちが出てきていますから、その人たちがしっかりと活躍できるフィールドであるとか、仕組みをちゃんと担保するというところを次の大綱では押し出していくべきなのだろうと。つまり、安全・安心に活動できるような、そういった体制というところが、今後の課題になってくるのだろうと思います。
     もう一つ、先ほどの困難というところにも通ずるのですが、やはり、グレーゾーンに対する対策というのは、しっかり打ち出さなければいけないと思います。やはり、制度が充実すれば、どうしても重複排除という観点から対象者を絞り込んで、それに当てはまる人を中心に積極的に支援するということになりますが、手帳をとるか、取らないか、それでも違ってきますし、若年層の、生活困窮者の自立支援法にかかわる取組をみても、家庭が苦しくて、若者がサポートステーションの支援を受けたいということであっても、基本的に優先されるのは、家庭の支援ということになってしまって、なかなかサポートステーションでの支援が受けられないといったことがあります。本来であれば、国が出しているガイドラインは、そういう狭間をつくらないように、積極的に運用しろという話になっているのですが、やはり、自治体にとってみると、そういった弾力運用というのは、なかなかしづらい部分があって、結局、形式的、縦割り的な対応となり、そこに支援を受けられない、子供、若者がふえてしまうということなので、それぞれの施策で対応できない、いわゆるその基準に当てはまらない人は、どこで、どういうふうに対応するのか、さらに、それを受け入れた側の評価というのは、どういうふうに見るのか、といったところまで踏み込んで、次の施策を打っていかないと、また、どんどん狭間がふえていくというふうに思うところであります。
  • 奥山構成員
     少し観点が違うのですけれども、この中に、オンブズマン制度のことが書かれています。権利が侵害されていないかどうかを見張る役というのは、もちろん、NPO的にいろんなものができてくるのもいいのですが、本来、国の責務だと思うのです。
     そこが、きちんとできていないところが、結構、問題なのではないかなと思っています。例えば、イギリスだとコミッショナーですかね、それから、北欧だとオンブットとか、そういう制度があって、あれは、たしか議会から委託されていると聞いているのですが、国として、地方公共団体とか、その他がきちんと子供の権利を守っているかどうかを見るという役目が、本来あるはずです。第三者機関という言い方でもいいのですけれども、その機関に国としてサポートして、権限を与えなければいけないのです。
     例えば、イギリスのコミッショナーについては、前回お話ししたように、彼らが突然やってきた場合でも、家庭以外では彼らを入れなければいけないということになっており、それだけの権限を持っているわけです。だから、彼らが刑務所にいきなり入っていって、今、権利侵害が起きていますと、こう言えるわけです。
     そういった制度というのが、今まであまり考えられてきていないので、少なくとも検討は開始してほしいなと思っています。
  • 高塚構成員
     日本で弱いのは、ちゃんとしたユースワーカーが育っていないということ。例えば、谷口さんのような方がいる地域はいいですね。だけれども、全国を見れば、そういう人ばかりいるわけではない。ちゃんとしたユースワーカーというものを育てることをしなければいけないと思うのです。
     今、内閣府でも厚労省でも、一応、それを目指して講習みたいなものは始めています。だけれども、あの程度ではだめですね。私は、イギリスのユースセンター、それから、コネクションサービスセンター、ドイツのユースセンターについて、どうやって取り組んでいるのかということで、全部で12回ほど現地に行ってきました。
     そして、ユースワーカーを養成している大学にも行ってまいりました。すると、向こうでは、最低1年間、大学ないし大学院へ行って、ユースワーカーとしての資質を養う教育と訓練を受けているのです。その人たちを、各地域に配属して、言ってみれば、コーディネーターの役割を果たしているわけです。日本には、確かに、それに類するものとして、社会教育主事という制度はあります。制度はあるけれども、残念ながら、あまり姿が見えてこない。何をやっているのかわからなのが現状です。
     そうではなくて、やはり、こういう若者を育てる意味で、学校とは違う役割として、ユースワーカーを育てるような教育システム、それから、そういう資格ではないけれども、位置づけをつくって、ユースワーカーを全国に配置する。それだけで雇用もふえるはずですね。何千とか、何万の単位で、そういう人たちをつくるということも、本当は大事だと思っています。
  • 宮本座長
     今のユースワーカーの件で、子供・若者育成支援推進法が始まったときに、ユースアドバイザーというのを想定したのですけれども、ユースアドバイザーが、今、高塚構成員が言われるような、ユースワーカー的な力を持てなかったのですね。今も研修は続いていますけれども、やはり、位置づけの曖昧さというのがあって、十分に期待するような機能は果たせないまま、現在まできているという点で、一つの重要なポイントかと思っております。
  • 相原構成員
     今のユースワーカーについて、私は、あまり存じ上げないのですが、そういうところに、力を入れて、実働的な活動になるということは必要だと、私も思います。
     対象が違ってしまうのかもしれませんが、地域における多様な担い手の育成という視点からしたときに、昔からいる民生委員さんとか、児童委員さんは、ある種ベテランといいますか、年齢的にも高かったりということがあるかとは思うのですが、この高齢社会で、例えば、60歳を過ぎて元気な人はたくさんいるわけで、そういう方たちに、本当に実力をもって活動していただくというのは重要かなと思います。
     私、高齢者の問題もかなりやっているのですが、今、市民後見人というところに力を入れようという動きがあって、こちらの研修をしようとしたところ、かなりの人に手を挙げていただき、熱意をもって、長時間の研修を受けたりされています。
     また、私はある区の権利擁護委員というのを担当しているのですけれども、そこでも区をやめた保育所の保母さん、前回も少し申し上げたことがあるかもしれませんけれども、ずっと保育所で幼児を見てきていますので、かなり力を持っているのですね。そういう方たちに、うまく悩んでいる家庭に入ってもらうとよいと思います。特に、60過ぎから70ぐらいまでの、高齢者と言ってもまだまだ現在進行形の実力のある人をうまく活用していくということがいいのではないかと思うのです。
     田舎であれば、おばあちゃんとかが見てくれるというような地域の活動がありますけれども、どうしても都市部では、差ができています。子供の見守りをするなり手がないというようなところに関しては、市民後見人に手を挙げてくれる先ほど述べた年齢層の迫力を見たときに、これを子供に活用しない手はないのではないかと思ったりしていたので、申し上げさせていただきました。
  • 定本構成員
     私もユースワーカーのことについては、よく知らないのですけれども、そういうふうに学校外の活動として充実させていただきたいと思う一方で、このことこそ、私、学校だと思うのですよ。時間外、5時以降に、学校の先生にいろいろお願いすることは無理なのですけれども、やはり、学校の先生に一番お願いしたいのは、授業の充実なのです。
     12歳から15歳までは中学校、また、15歳から18歳までは高校で主に過ごすでしょう。そこでどういう授業を受けるかということで、若者が、世界に目を向けたり、今、世界でどんなことが起こっているか、日本は、こういう状況の中で、こういうところにいる、といったことや、近代史でいえば、どうして戦争が起こってきたのかとか、そういうことについて学び、考える場というのは、まさに授業です。だから、私は、これこそ文科省が社会科の授業にしっかり力を入れて、充実させていただくことで、どんなに若者が世界に目を向けるだろう、ということを思いますけれども。
  • 宮本座長
     ここのところで、重要なポイントとしては、先ほども出ていますように、例えば、ユースワーカーみたいなものを日本が本気で養成するということを、課題として盛り込むかどうかということ。
     それから、例えば、これまで高齢者を対象として、主要な活動をやってきた民生委員などが、若者の問題に理解を広めるための研修に参加したりして、かかわってくるような動きというのがあるわけですけれども、子供・若者の視点を持った、専門性の高い人材をどういう形でつくっていくのかということ、ここのところは、一度整理してみる必要があると思います。それをユースワーカーと言うのか、あるいは、いろいろな専門職が、それぞれにユースワーカー的な資質を持つというようなことでいいのか、いろいろ検討する必要があると思いますけれども、そこが、一つポイントではないかという感じがいたします。
     社会教育主事という話も出ましたけれども、社会教育主事をてこ入れするということでいいのか、それとも、社会教育主事に期待せずに、新たに、子供・若者のための一つの専門職をつくっていくのかというようなこともあるかと思います。
 【「4.状況認識」についての議論】
  • 谷口構成員
     資料には、書いていないのですが、やはり、前の大綱であるとか、これまで打たれた施策の検証というのは、これまで、この委員会でもやってきたところでございますけれども、そこにしっかりと立脚したビジョンを示さなければいけないと思います。
     こういうことを考えると、例えば、開かれた学校というのが、何を学校現場にもたらしたのか、であるとか、あるいは、いじめ対策推進法が、今、現場にどういう影響を与えているのかとか、こういったところも考えていく必要があると思うのです。理想論としては、確かにわかるしと、非常にいろんな人たちがかかわってくることによって、開かれて、多様化、社会化した部分もあるのだけれども、実際、現場の負担というのは、相当強くなってきてしまって、保護者であるとか、地域の方の中には理解のない方もいらっしゃって、そういう人たちが学校の先生たちを非常に追い込んでしまっている。そういったところをどうするのか、といった課題があります。
     また、いじめが起こったと認識をした途端、委員会を開かなければいけない。そうすることによって、やはり、負担感は非常に強くなります。となると、いじめをいじめではないように認識してしまう、つまり、隠蔽化してしまおうと、逆にそういう心理が働きはしないかとか、こういった現場に与える影響というところを見ていかなければいけない。
     先ほどの人材という部分でもそうですが、高齢者にかかわっていただくことは、これから非常に重要なポイントになってくると思うのですが、執行には、やはり条件があって、先ほどのような価値観のギャップであるとか、現代的な、さまざまな課題の複合化、複合性というところも認識をしてかかわらないと、説教をしてしまって、より家庭の負担を強めてしまったり、被害者をどんどん追い込んでしまう、こういうことも起こってしまうということを前提とするならば、先ほどのユースワーカー、そういった若者問題に関して精通した人が、しっかりと高齢者の人たちと一緒になって行動するということが大事です。
     例えば、一つのモデルで言えば、我々、職親というのをやっておりますが、それは、理解ある事業主さんのネットワークなのですね。その中には、さまざまな職業経験を持った方々がいらっしゃって、そこにただ若者を送るだけでは、これまでのインターンシップと同じで、いろんな失敗、課題、衝突が起こる。でも、そこに我々が随行支援することによって、若者と高齢者の方々の仲介をするわけですね。我々が子供にとって必要な経験や情報というのをうまく伝達する、仲介をする、そうすると、非常に効果が上がってくるし、さらに高齢者側の対応能力というのもだんだんと上がってきて、ついには、単独でお願いをしても大丈夫な状態になると、つまり、そういった実働させるための仕組みというところを考えないと、やはり、絵に描いた餅に終わってしまうということだと思います。
  • 宮本座長
     原田構成員から、選挙権年齢18歳へと引き下げるということに連動したシティズンシップ教育という御指摘があるのですが、この間、来年の18歳、第1回の選挙というようなこともあり、どうやって、その若者たちを育てるのかという議論がかなり出てきていると思いますけれども、この委員会で議論しておく必要があると思うのは、シティズンシップ教育と絡めた形で、例えば、古賀委員が、ここでおっしゃっているような、子供が早期のうちから抵抗への資源を身につけるとか、あるいは、いろいろなところに書かれていましたけれども、子供がみずから、自分を守るための自覚とか、スキルを身につけるとか、あるいは社会へ参画するための力をつけていくとか、そういうような部分ですね。そのあたりというのが、シティズンシップ教育一般論ではなくて、もっとより具体的にここの会議では議論ができる話ではないかと思います。
     ヨーロッパなどだと、例えば、模擬選挙などもユースワーカーが全部関与していますね。ですから、ユースワーカーのやっていることというのは、非常に多岐に及んでいると思うのですけれども、日本は、そういう専門性を身につけている人がいないので、結局、最後は学校の教員みたいな話になってしまうか、そうでなければ、本当の困難な若者の支援ワーカーみたいな話になってしまって、中間がないという感じがいたしますので、そのあたりのところも今回入れ込むということが必要ではないかと思います。
(2)構成員からのご発表
 【植山構成員ご発表】資料3
  • 植山構成員
     今回、お話しさせていただくのは、特に論拠のデータがあるのではなく、経験でお話しさせていただこうと思っていますので、簡略に進めたいと思います。
     本会で熱い議論を戦わせた後、現場に戻りますと、その温度差にすごくがっかりするということが、毎回あるのです。
     社会全体で支えるための環境整備が必要なのですけれども、何でそれがうまくいっていないのかなという視点から、私の現場の周りをよく見渡して考えてみました。 (スライド3~5)
     一つは、この法律自体の認知度が低いのだなということを強く感じました。虐待防止法は、知られるようになっていますので、要対協に関しては、かなり多くの関係者の方が、ぴんとくる感じになっているのですが、子ども・若者育成支援推進法の話をすると、そんな法律あるのですかというふうになってしまう。
     担当している行政の中核にいる人は、どうしたら市町村レベルで、これが実現するのかなと苦しい顔をするというような状況を目の当たりにしておりました。
     この法律をざっと読んだときに、理念は理解できます。でも、現状との結びつきができないというか、何か机上の空論のような印象を与えているのではないかと感じています。
     それから、子供・若者ビジョンの中身について、地域協議会の設置など、現状分析をきちんとする必要がありますが、実はビジョン作成は達成できておらず、それ(作成)ができるだけの情報とか、人材がいないのではないかというのを感じています。
     ですから、この辺のサポートがないと、国や県のビジョンの単なる引き写しになってしまうので難しいという話があるかと思います。
     何よりも現場が、この後(スライド6)、ネットワークの図を載せていますけれども、例えば、こういう地域協議会の関係者にあたるような人たちが、それぞれの根拠法令に基づいた業務で、既にいっぱい、いっぱいなのです。
     ですから、それを超えて横につながるとか、非常に長期的なスパンで考えて、縦と横をつないで、長い目で見る、そういうことで、グローバルなビジョンを立てるというようなところまでゆとりがないなという感じがしています。
     また、民間団体と行政とのタイアップという話になりますと、例えば、中間組織というのですかね、NPO等を束ねているところがあれば、まだ、連携がしやすいのですが、非常に多くの民間団体と個別に対応しなければいけないとなると、あまりにも多様な民間団体があるので、そこまではやれないというような意見が出てきていました。
     ですから、やはり、現場の人たちが、全体の構造、つまり、子・若法と自分が所属している機関の根拠法令になっているものとの関係性とか、そういったものの認識をきちんとして、現状を見直すような取組ができないと、これは、なかなか浸透しないのかなという認識を持っております。
     特に、地方の中核都市レベルですと、中途半端だと言うのです。大きなところは、予算規模もある程度あったりしますけれども、中核都市だと、かゆいところに手が届くことを、しようと思えばできるかもしれない。しかし、それだけの財政的な余裕がないとか、人材がいないということで、とどまってしまうというような現状があると聞いております。
     ですから、例えば、先ほど、ユースワーカーといったような専門性のある人の話がございましたが、同様に、こういった地方の自治体がビジョンをつくったりするときも、きちんと現状分析をして、その自治体に適切なビジョンをつくれるような人材派遣があったり、そういう支援があれば、できるかもしれませんが、今の状態では厳しいと考えられます。
     それから、子供・若者地域協議会の課題ですけれども、小さな自治体は協議会がなくてもできるとおっしゃるのですね。子供の数が何十人という単位なので、どこの誰かも、みんな知っているから要りませんとおっしゃるのです。
     ですけれども、そうではないところは、今度は、先ほどの財政規模とか人材の問題があってうまくいかないとか、誰が実行主体になるのかということがはっきりしないとか、イメージがよくわからないとか、きっかけがつくれないというような意見が出てきます。
     また、自治体が主体となって制度設計しなければいけないため、例えば、国の機関との関係がうまくいかないということがあるようで、具体的に、このインタビューで出てきていたのは、ハローワークさんとの協働がうまくいかないというようなことを、言っていらっしゃるところがありました。
     ですから、やはり、自分たちの業務と、この子・若法との関係性をもう少し見直して、限界をどう超えていくか、隙間をどうつくらないかということは検討する余地があるなと思いました。
    (スライド7)
     4番目としては「担い手不足と協働の難しさ」というのを書かせていただきましたけれども、既存の機関相互の連携がすごく難しいのですね。要対協をみても、すごく感じるのですが、船頭は多いのですけれども、船が山に登ってしまうというか、誰も責任をとらない、責任が分散してしまうというような現状があります。
     先ほどからお話があったように、ユースセンター等の新しい機関をつくるというのは、非常に難しいと思うのです。ですから、それぞれの、先ほどの図にあったネットワークのどの機関でも、ファーストコンタクトをされたところが、きちんとインテークと見立てをして、まずは、そこが適切な支援につなぐところまでは責任を持つと、もしかしたら、つないだ先がコーディネーターとして中核になることが望ましい場合には、そこにシフトしていくというようなことが、どの機関でもできるようになるというのが、最も実際的な話かなと思います。そのためには、かなりきちんとした研修をしないと、厳しいなという印象を受けております。それこそ、OJTでやっていかないと、中央研修に行っても、机上の空論というか、座学ではわかったけれども、目の前にある事例にうまく当たれなかったということもありますので、そういったことは、検討する必要があるなと思います。
    (スライド8)
     もう一つは、努力義務ということで、財政当局との折衝で、いつも負けると言っていました。コストパフォーマンスと言われてしまうと、どうやってコストパフォーマンスを出したらいいかわからないと言うのです。対象となっている人が、どういう人たち、どういうもので、それに対するスタッフがどれくらいいて、どれくらいコストがかかってというのが試算できないとおっしゃるのですね。つまり、その専門家はいないということなのですが、そんなことをおっしゃっていました。
    (スライド9)
     最後につけ加えたところは、これまで発達段階にあったというお話をしてきたと思うのですけれども、特に最近思っていますのは、先ほどからお話があったように、学齢期というのは、もちろんまだ不足の部分があるとは思います。公教育の見直しも必要だと思いますが、それでも、まだ、学校がかなりしっかりサポートしてくれていると思うのです。一方、就学前と義務教育修了後というのが本当に薄いなという気がします。就学前に関しては、大分充実の方向に向かっているのですが、最も厳しいのが、高校生年齢、義務教育を修了して、どこにも所属していない子供たちへのサポートがすごく難しいと考えられています。
     児童福祉法の範疇を超えてしまった瞬間に、どこにも引っかからなくなるのですね。ですから、お願い、17歳までに何とかしてというふうに言っているわけなのですが、このあたりを少し考えなければなと思っています。
    (スライド10)
     もう一点、私どもがずっとディスカッションしてきた中で、主体性ということがあったと思うのですけれども、主体性は、どうやって身につくのかな、育つのかなと考えていましたが、私は、やはり「遊び」から身につくのだと思うのです。つい最近、遊びに関するレクチャーを受ける機会があって、久々に思い出したのですが、遊びは非常に大事ですね。
     子供の権利条約の31条に、遊びとか、休養を子供たちが求める権利というのがあるそうですが、日本は、それが大変できていないというので、勧告を受けたと聞きました。
     なるほどと思いましたが、遊びが幼いころから十分にできていると、自然に身につくものがたくさんあるはずなのです。私は、現在、小学校の学級崩壊に取り組んでおりますが、彼らを見ていて思うのは、この子たち遊び足りていないなということなのです。家庭でも地域社会でも学校でも遊び足りていないなという印象があって、自然に身についていくはずのものを身につけていっていない、異年齢集団とか、そういったところで、学ぶものが身についていないのだなと感じました。
     同時に、それは、周りで見ている大人に遊び心がないということ、つまり、私たちが忘れてしまっているのだなということも思いました。
     ですから、環境整備といったときに、大人自身が、もう一度遊び心を思い出すような、ゆとりあるような時間をつくるとか、そういうことも検討しませんと、まさに机上の空論になるなと考えています。 (スライド12)
     ですから、できれば、理念が浸透するためには、総花的ではない、実現可能なビジョンをきちんとつくれるような支援者支援というのが必要であるということと、中核を担う機関の人材育成ですね。OJTによる、きちんとした研修をする、そして、同時に、私、この度地方に帰りましたので、すごく思うのですけれども、人材交流をしないといけない。地方でずっといると、わからないことが多くなるというか、できない感覚にとらわれてしまって、諦めてしまうということがありますので、その点も考えたいと思っております。
     東京にいるときにやっていたネットワークづくりで、実は最も効果があったのは、先ほどから話題になっていた社会教育主事さんが、その当該自治体には、10年選手でいたのです。この方がキーパーソンになりました。しかし、社会教育主事を異動なく10年選手で置いている自治体はほとんどないのではないでしょうか。その自治体も、彼が退職をする際に、もう後任はいません。とてもいい働きをしてくれている社会教育主事さんがいらしたのに、活躍の機会がないがために、その自治体の中から消えてしまうということもありますので、今後、そういったキーパーソンについて、既存の方をどういうふうに生かすかということと同時に、新しいキーパーソンをどう立てるかということが課題かなと感じました。
【川邉座長代理ご発表】資料4
  • 川邉座長代理
     主に困難を有する子供のうちの非行に至った少年という観点からお話しさせていただこうと思うのですけれども、基本的な部分は子供・若者一般の話とも共通するものだと思います。
     本会議の前半部分の議論の中でありましたが、いろいろなシステムとか、仕組みをつくるということはもちろん重要です。政策ですから、それが主眼となるはずなのですけれども、一方で、やはり、大人の側というか、あるいは社会の側、地域の側の意識を改革する、自分たちが子供を育てるのだという意識を確保するというような、そういう施策も、もう一つ要るのではないかと思うのです。
     例えば、お祭りを活性化するでもいいと思うのです。お祭りを活性化するのに当たって、子供は、今、お祭りに来ませんよ、そこで、お菓子でつると言ったら語弊がありますけれども、お菓子をまいて子供を呼ぶ、呼んで、そこで大人と子供の交流が生まれる。あるいは、少し高いお金を出さなければいけませんけれども、子供みこしなるものを買う、そして、子供が何か喜ぶ、そこで、大人と子供の交流が起きて、大人が子供への関心、子供の育ちへの関心を持つと、そういうような、もう少し基盤整備的な政策も一方では必要ではないかと思いまして、今回の資料も、そういう発想で書いております。
    (スライド3)
     それで、基本理念に関しまして、これは、タルドがこう言っているのだそうで、犯罪者を除く全ての者に罪があると、これはちょっと言い過ぎだなと思うのですけれども、少なくとも、犯罪者や非行少年だけが悪いわけではなくて、彼らをそういうふうにしてしまった社会の側にも責任がある。彼らを上手に健全育成できなかった社会の側にもあると、こういう意識を社会の側は持たなければいけないだろうと思います。これが、言いたいことの全てと言ってもいいぐらいです。
    (スライド4)
     基本理念の中には、予防的段階ということが非常に強調されておりますが、その点は、もちろん、当然です。
     ですが、やはり、最初に申し上げましたように、いろいろな制度をつくっても、結局、制度を生かすのは人であるということを今一度、最初の部分で強調して、人をつくるというだけではなくて、今いる人の意識を変えるという部分についての何かの施策があればいいなと思うわけです。
     例えば、監視カメラというのがそうなのですけれども、寝屋川の事件で、監視カメラは犯人を捜すのには役立ちましたけれども、犯罪の防止には一つも役立たなかったわけですね。結局、あれは、人だったらよかったわけですね。監視カメラが見ているのではなくて、人が見ているのであれば、寝屋川の事件は起きなかったと思います。
     ということで、やはり、一番重要なのは、人がそばにいること、人がちゃんと見守っていることだろうと思います。
     非常に単純な原理かもしれませんけれども、そこにこそ、子供に関心を持つ、子供と接するというところが、健全育成の基盤として、もう一度ちゃんと位置づけられなければいけないというのが、基本理念のところに対する考え方であります。
    (スライド5)
     もう一つ重要なのは、背景要因にもう少し目を向けましょうということです。
     それについては、これまでの議論の中でも、大変多くの意見が出ておりまして、同じようなことを言うことになると思うわけですけれども、やはり、大きな問題は貧困ですね、それは、経済的な貧困だけではなくて、関係性の貧困とか、精神的な貧困とか、そういうものを含める貧困だと思います。そこをどうにかしないといけないと思います。
    (スライド6)
     背景要因への着目の重要性について申し上げます。
     例えば、いじめの問題で、加害者と被害者の2人の関係にだけ着目してしまえば、加害者が悪い、被害者が気の毒ということで終わってしまうわけですけれども、加害者の側にも、きっと気の毒なところがあるわけです。
     ですので、その加害者の側の気の毒な部分や、あるいは加害者が、そうせざるを得なかったような背景の要因のところに、手を入れていかないと、いじめは、結局なくならないわけですね。加害者だけが悪いと言って、それで終わらせてしまったら、同じことが、また繰り返されるということです。
    (スライド7)
     こういった考え方から、本日配られました資料1につきまして、ちょっとだけ注文があるのです。
     これは、9月18日に配られた分につきまして書いてありますので、少し違うのですけれども、今、配られている分ですと、3ページ目の10行目です。「学校、親の抱え込み体質を改善する」とあります。
     これは、学校や親が悪いから、学校や親を直そうというか、指導しようと、そういうふうに聞こえるわけですけれども、そうでなくて、学校や親は、抱え込まざるを得ないような状況に置かれているではないかという視点も一方では必要だろうと思うわけです。
     また、その下に書きましたのは、本日の資料では7ページの3行目に動いておりますけれども、「非行の子供は相手のダメージについて、虐待を受けた子供は人を大事にすることについて学ぶ」とありますが、そうならざるを得なかった彼らの心情に少し沿ってあげなければいけないのではないかと、そこも書いてほしいなと思うわけです。
    (スライド8)
     一方で、子供をどうにか成長させなければいけないということを言っていますけれども、大人も相当悪いですよということも一つ言っておきたいと思いまして、大人が子供を食い物にするとか、利用するとか、そういう環境というのは相当あります。JK何とかというのは、まさしくそうだと思うのですけれども、ああいうのをもう少し取り締まれないかなと思うわけです。例えば、暴力団につきましては、少年に入れ墨を入れたら、それが犯罪になりますけれども、例えば、特殊詐欺だとか、ああいうものに子供を使った場合には、厳罰に処すというぐらいの施策があってもいいのではないかなと思います。
    (スライド11)
     次に、具体的に非行の問題に移るわけですけれども、非行の問題は、皆さん、よく御存じだと思うのですけれども、実は、国民一般には、あまりよく現状を把握されていないというところがあります。
     これは、ちょっと古い統計ですけれども、内閣府でやった調査です。非行はふえていますかという問いに、かなりふえている、ある程度ふえているというのを合わせると4分の3になります。
    (スライド12)
     実際はどうなっているかというと、ものすごく減っているのですね。数としても比率としても、棒グラフが数で、折れ線グラフが比率です。ものすごく減っています。
    (スライド13)
     これは、年齢比ですね。多くなっているのは、高齢者層で、60歳以上が4分の1を占めるという状況があります。若者は、相対的にも減っているのです。
    (スライド14)
     この表がわかりやすいのですけれども、多くの子供は、15、16歳のところで悪いことをするのだけれども、それ以降は、どんどん悪いことをしなくなるということがわかります。
     一番下の赤い線が平成6年生まれの子供が、何歳のときに悪いことをしたかというものなのですけれども、山が小さくなっているということは、総量が減っているという意味ですね。ピークのところは、ちょっと左側にずれてきていまして、今は15歳がピークになっています。重要なことは、一時悪いことをしても、大抵の子供は自然にやめるということです。
    (スライド15、16)
     そういう事情にありますから、今、捕まっている子供について言いますと、このように4分の3ぐらいまで学生でして、非行の中身としては、とても軽い非行ということになります。
    (スライド17)
     まとめますと、実は、少年非行は減っているということです。
    (スライド18、19)
     非行の大部分は、思春期一過型と言われるようなものであって、大部分は、やはり、中高生によるものです。
     凶悪化はしていません。これは、皆さん、御存じだと思います。
    (スライド22)
     少し飛ばしまして、処分もやはり70%以上が不開始・不処分ということとなっており、家庭裁判所で適切な指導を加えた上で、保護者のもとに帰しているというのが現状です。
     少年院には、そこに書きましたように、人口のうちの0.03%しか行きません。
    (スライド23)
     現状を図にしますと、こういう形になります。多くの子供は思春期一過型です。そして、上に少し乗っているのが、また、再度話題になりつつあるA君のような特異な少年です。
     一番問題なのは、生涯持続型と言われたりしている人たちなのですけれども、これが貧困の層です。この人たちは、やはりいつでも一定数います。
     そこで、施策を検討する際には、思春期一過型という人たちと持続型の人たちをちゃんと分けて対応しなければいけないということだろうと思います。
    (スライド24)
     先ほどの非行少年、中学生、高校生で、もう7割を超えるということを申し上げましたけれども、少年院に入っている子供について見ると、こちらのグラフになります。高校中退が3分の1以上、高校在学、中学卒業とあって、この中学在学という人たちも、なかなか高校卒業にはいきつけませんから、高校卒業という人たちは、このぐらいしかいない。だから、少年院に行っている層と、保護者のもとに帰っている層とは全然違う層だということが言えます。
    (スライド25)
     学生は、このように少ないです。
    (スライド26)
     親との関係について、これは、保護観察の場合ですけれども、両親と同居している割合は半分以下になってしまうわけですね。
    (スライド27)
     このように、非行の場合には、この会議でも何度も話題に出ていますけれども、その人の必要性に応じた、あるいは、その人の非行性に応じた施策をとっていかなければいけないと思います。
    (スライド28)
     具体的には、思春期一過型の人には、今、ここで論議しているような、一般的な子供・若者への支援施策で十分だと思います。彼らの居場所をつくるというようなこと、地域にどうやって巻き込んでいくかというようなことが必要であると思います。
    (スライド29、30)
     持続型の人というのは、実は二つありまして、家庭的な問題がすごく大きい人、先ほど言った貧困の問題ですね。経済的な貧困と人間関係の貧困がある人たちというのがありまして、この人たちは、早期に発見し、福祉的な対応をしないとだめな層だと思います。
     これを放置すると、一生税金を使うばかりで、税金を払わない人になることになるだろうと思います。
     もう一つが、これも先ほど来出ております、発達障害の人たちの層です。
     これにつきましては、だんだんと制度の整備あるいは啓蒙が進んでまいりまして、早くに見つけられるようになっていますので、今よりは、少しは状況がよくなっていくのではないかと期待できます。
     しかし、実際に、発達障害等の2次障害として非行を犯した場合には、やはり、相当専門的な対応をしなければいけないので、専門家の養成というのは必要になってくるかと思います。
    (スライド31)
     それから、A君のような特異な人、これは、本当に非常にまれです。そして、これは一般化はとてもできません。ですので、専門家がチームを組んで一生懸命にやるしかないということだろうと思います。
     大事なのは、一番下のところでして、あの特異型の人たちの特徴を一般の少年にもあるというようにして、一般化していくということをやめることだと思います。あれは、親や社会の不安をあおっているだけで、何もいいことはありません。普通の子供にはほとんど参考にならないはずです。
    (スライド32)
     申し上げたいことは、最初に戻るわけですけれども、非行防止というのは、結局、健全育成なのだということです。
     ですが、非行の防止というのと、健全育成というのが、両極にあるように見えないこともないので、どうもばらばらにやられがちです。もう少し両者を連携させて、健全育成というのは、結局は非行防止につながるのだよというように一本化していく、というようなところにもう少し力を入れたいと思うわけであります。
     そして、これもやはり最初に戻りますけれども、直接的に非行少年をどうしようというのではなくて、その前に、少年たちを地域に巻き込む、地域活動の中に入ってくる、そして、顔の見えるような関係に置いておくというような施策をぜひ進めるべきだと思うわけです。川崎の事件などもそうですし、寝屋川の事件もそうですし、ああいう子供たちがいたと、後になってみんなわかるのですけれども、結局、誰もあの子たちにちゃんと手を差し伸べていないわけですね。あの人たちとかかわりを持つ、あの家族とかかわりを持つというような意識を社会や地域が持たなければいけない。そこに少し、刺激を与える、そこにお金を投入するといった施策も必要なのではないかなと思います。
(質疑応答)
  • 嶋﨑構成員
     ただいまの川邉座長代理の御発表について2点だけ。
     1点目は、ごく簡単です。全く同意見で、いじめの問題などは、私は、加害者への対応が今までずっと上手くできていなかったという、自分の反省ですけれども、そういう思いを持っております。これは、大事な視点だなと思います。
     もう一点なのですけれども、一くくりにしていないのかなということを改めて感じました。今、お話しいただいた、非行のところの持続型と一過型ですね、特異型等もありましたけれども、何が言いたいかというと、例えば、非行の問題も、今、おっしゃるとおりだと思うのですが、不登校の問題も、学校の犠牲者であるという視点からの対応がずっとされてきたと思うのですが、もちろん、そういう子もいます。学校での問題で、気の毒に不登校に陥ってしまった子は、たくさんいるのですけれども、それ以外の子供たちへの対応が、どうなっていたかということは、ここでしっかりと振り返らなければいけないと思っています。
     今の御発表の中で、やはり、一くくりにして見てしまっていないか、ほかの問題もそうです。ほかの問題も含めて、そのあたりは、しっかりと見据える必要があるなと思いました。
  • 奥山構成員
     植山先生の御発表の中で、非常に重要だと思ってお聞きしていたのは、基礎自治体の差が大きいという点です。これに関してどういうふうに施策を展開していったらいいのかというのは、非常に大きな課題だと思います。これは、もちろん、子供・若者だけの問題ではないのでしょうけれども、ただ、何かやろうとしたときに、本当に基礎自治体の実力というか、大きさも全然違います。例えば、うちの病院がある世田谷区などは、山梨県より大きい人口を抱えていますので、かなりことができるわけですけれども、今度、小さいところに行ったら、本当に何もできない。そこのところを一体どう考えて、この子供・若者の施策を展開していくのかというのは、非常に大きな課題だろうなと思いました。解決策があるわけではないのですけれども、そこを考えた上で、一くくりに市区町村と下ろしてしまうのではなくて、もう少し市区町村の中で区分けをしてといいますか、一つの自治体だけでできるところ、あるいは連携しなければならないところ、あるいはサポートが必要なところというような形で、少し区分けして施策を考えていかないと難しいのではないかなと思いました。
  • 川邉座長代理
     植山先生もおっしゃっていましたが、健全育成ということには、費用対効果というような考え方は持ち込まないほうがいいと思います。
     もし、費用がかかったとしても、それは、既に自分がやってしまったことの借金返済だと考えるべきです。特に、非行少年の場合は、非行をさせてしまったということで、社会や国が借金を負ったと思ってもらわなければいけないと思うのですね。ですから、借金を払うのですから、多くのお金をつぎ込んだから効率的ではないというのはおかしいと思うのです。
     持続型と言われている、小さいときから、あまり恵まれていない子供たちは、本当に育て直しが必要です。育て直しには、やっぱり、お金と時間と人手がかかります。そこには、もう費用という考え方は、あまり適用できないと思うのです。そこをもう少し、何とか国民で共有できないものかなと思います。
  • 安田大臣官房審議官
     先ほど植山構成員あるいは奥山構成員から、地域協議会の、特に基礎自治体におけるあり方ということで御指摘をいただきましたが、お手元の平成27年版子供・若者白書の、例えば、84ページ以下に、子供・若者支援地域協議会についての記述がございまして、御指摘のとおり、特に基礎自治体のレベルになってきますと、それぞれの環境あるいは財政的・人的資源等の違いが非常に大きいことは、私どもも認識をしているところでございます。
     そういった中で、特に基礎自治体における地域協議会の設置促進を、今年度あたりから力を入れてやっているところでございます。例えば、90ページ以下で、協議会を設置した地方公共団体における取組といたしまして、小さい自治体の事例として、島根県の例を91ページにかけて書いておりますけれども、ブロックで自治体同士が連携し合って取り組んでいる事例がありますし、また、94ページ以下には、政令市における取組や、中核市、一般市レベルで、あるいはもう少し小さいレベルでということで新潟三条市の事例を挙げさせていただいております。まだまだ我々のほうもノウハウを積み上げていって、各自治体にも御紹介をしていく、あるいはお互いに知恵を出し合っていく必要がある課題だろうと思っておりますので、この場あるいは後ほどでも結構ですので、御指摘あるいは御提言をいただければありがたいなと思います。どうぞ、よろしくお願いします。
【定本構成員ご発表】資料5
  • 定本構成員
     きょうは、生きづらさを抱えた若者たちをどう支援していくかということで、発達障害と非行の観点から、ですから、先ほどの川邉座長代理のお話では、主に特殊型のケースを見ております。
    (スライド2)
     少年法を出したのですけれども、私が、どういう姿勢で鑑別所で働いているかといいますと、やはり、少年事件では、成人と全然違って、教育主義、保護主義、あと個別的に原因を調べて、そして関係者と連絡をとり合い、プライバシーを守りながら健全育成を図るという趣旨でやっておりますので、基本は、私、下に記載しておりますとおり、非行行動を一つの症状として捉えて、背景にある問題を正しく理解して支援することによって、健全育成につないでいくと、それが、主な目的だと思いながら、仕事をしております。
    (スライド3)
     非行というのは、悪いことをしたということなのですけれども、その子の健全育成的な視点から見ますと、社会との関係のとり方の一つの失敗した形だと思って、それで、やはり、背景にある環境要因、それから、少年自身の資質を正確に見極めることが大事であって、まず、原因を知って、その上で処遇を考えることになり、行動改善のために、一歩が踏み出せるので、やはり、理解ということが必要だと思うのです。
     そのために、医学も、やはり貢献できるというふうに、理解の一つの視点として、医学も貢献できると思いながら仕事をしております。
    (スライド4)
     非行のリスク因子というのは、アメリカの犯罪学のほうで出されているもので、前の発表で言いましたけれども、虐待、ネグレクトとか、親の犯罪歴とか、そういう家庭的な要因とか、学校での不適用とか、いじめを受けたとか、孤立したとか、そういう学校とか、環境面の問題もありますけれども、低学力や学習困難、それから、平均以下のIQとか、それから、発達障害といったものも、リスク因子になり、障害を抱えていない場合よりも犯罪非行に行きやすいということを確認されているわけです。
    (スライド5)
     これは、非行には本当に多様な要素が絡んでいることを表す図です。単一の要素、原因で非行に向かうわけではなくて、いろいろな問題が絡み合って非行が起こっていくわけですけれども、やはり、こういう発達の問題や、生物学的な問題がありますと、非行に向かいやすいと、さらに、その上に虐待とか、学校の問題が絡むことで、一層非行に向かいやすいというリスクがあるのだと思うのです。
    (スライド6)
     私、鑑別所にずっと勤めて、本当に大ざっぱな印象ですが、非行少年と大分会ってきて、やはり、生きるのに不器用な子供、賢い子もたまにいますけれども、環境的な問題がすごく大きくて、多くの子たちというのは、本当にうまくやれない、ドジな子だったり、少しだけ先のことがちょっとわかれば、こういうことをしないのにと思う想像ができない、あまりにも衝動的で、自分の抑制ができないとか、それから、周りのことが見えていない、自分の置かれている状況がつかめていないとか、結局、社会でうまく世渡りができていったら、こんなことしないのに、そういう生きにくさを抱えている子というのがほとんどなのです。 でも、社会に全く適用できていないわけではない。電車にも乗りますし、学校も行きますし、社会にある程度適用できますから、生涯がはっきりあって、特別な援助や配慮を受けているわけでもないと、そういういろんな支援からこぼれ落ちたグレーゾーンの子が多かったのですね。
    (スライド7)
     それで、私、精神科医なので、そこで診断をしていくわけです。それで、日本では、こういう非行少年の診断についての統計が、本当にないものですから、私が、京都少年鑑別所でとった自分だけの統計なのですけれども、平成25年に入所少年の284名について見たときに、統合失調症が1名、気分障害とか、解離性障害、これも、もとあると思うのですけれども、やはり、下の発達障害のほうに主な診断というのが来るわけで、知的障害が14名、自閉症スペクトラム障害が40名、AD/HDが20名ということで、やはり、発達の問題、発達特性を持っている子たちが多いというのは、間違いないのではないかなと思います。非行犯罪にかかわりのある精神科的な問題というのは、やはり発達の問題だというふうに思うのです。しかも、軽いタイプで未診断という子が多いと思います。
    (スライド8)
     それで、非行少年の中で見られやすい発達特性ですね。知的水準といいますと、非行少年の知的水準の平均IQが85です。だから、平均よりちょっと下なのですね。それで、軽度知的障害というのは、70以下で55以上というIQのレベルになりまして、あと、境界知能というのが、70から80と考えますと、そのIQ60から80というレベルで全体の2、3割が、これに当たります。だから、福祉を受けていないけれども、普通学級の中で、30人、40人の中で授業をしたときに、やはり、落ちこぼれてしまうのですね。家庭の中で、ちゃんと補習をしたり、宿題をちゃんと親が見るという環境ならいいのですけれども、そこでネグレクトとか、そういうことがありますと、やはりこぼれ落ちてしまうというレベルです。
     発達障害に関して、AD/HDというのは、大体衝動的とか、多動とかいう子で、診断がつく、つかないは別として、非行少年の6、7割にその特性がありますし、それから、LDというのは、読み書き障害とか、算数障害がちゃんと鑑別所で診断できるかというと、できていないのですけれども、やはり、能力の偏りがある子が多くて、それから、自閉症スペクトラム障害ということが、非行少年でだんだんふえております。
     これは、おさらいというか、発達障害というのは、こういう量的なおくれと、それ以外の質的ゆがみということであります。これもおさらいなので、少し飛ばします。
    (スライド11)
     発達障害は、先ほどありましたように、過剰診断ということで、現場では非常に混乱しているということを、私も感じますけれども、やはり、生きづらさ、ハンディーを抱えている子というのは、実際にいるのですね。
     そういうことを見ますと、現代の日本における子供・若者の問題、不登校ですとか、ひきこもりですとか、ニートの問題、それから非行の問題、それをしっかり見ていますと、やはり背景に、そういう発達的なものがあって、生きにくさを抱えているという状態にいる事例が、少なからず、あると思うのですね。
    (スライド12)
     これも、先ほどお話がありましたが、支援法が成立しました。自閉症スペクトラム障害に関してお話ししますけれども、25年に40名いたうち、やはり、男子対女子は、37対3と、男子が多いです。
    (スライド13)
     それまでに診断がついている子が15名ということなので、25名は診断がついていなく、非行で明らかになったということです。非行名も、普通は窃盗が多いのですけれども、自閉症の場合、強制わいせつとか、放火とか、単独で行う非行が多くて、非常に母数が少ないので、はっきりしたことは言えませんけれども、印象としてもそうなのです。
     この間も、普通に高校を出て、普通に専門学校を出て料理業界に就職した子が、いろいろコミュニケーションができなくて、本人はまかないをやりたくないのだけれども、順番が来て、困った、困ったということで、前の日に料理店を放火してしまったのです。それから、強制わいせつも性的欲求が出てきた中学生の男の子が、小学生の妹を半年間ずっと強姦していたのです。そういう事例を見ていて、やはり、先ほどおっしゃったA少年というのが平成9年に出てびっくりしたわけですけれども、あそこまで大きな話題ではないにしろ、やはり、そういう子供たちが、私はふえている気がしているのです。
     保護者も、先ほど川邉座長代理がおっしゃったように、実父母がそろっている家庭は少ない状態ですし、保護環境としても貧困というのは、42.5%は自閉症の中でもありましたし、それから学校の不適応があった子が9割足らずほどいます。だから、学校の不適応というところにすごくつながっていると考えますと、不登校になっている子も6割以上の子がありますが、それが、不適応につながっているということですね。
    (スライド15)
     矯正教育なのですけれども、特に発達障害を有している少年にとって少年院というのは、強力な枠組みの中で教育が行われますので、かなりインテンシブに構造化されていますし、それから、非常に刺激が整理されています。携帯もそうですし、テレビも時間を決めた視聴ですし、いろんな聴覚的、視覚的な刺激が非常に整理された中で、生活モデル、学校だけではなく、24時間、生活モデルと学校モデルの両方でコントロールしながら教育できるという環境にあるわけです。
     それで、少年の有する発達特性と課題を明確にして、職員の中で共有して、少年院というのは、基本集団処遇なのですけれども、集団処遇を展開しながら、個別的な視点をして働きかけていくということを絶やさずに1年間教育するということで、相当な効果が上げられるのです。
    (スライド16)
     構造化された環境の中でわかりやすい行動規範、到達できる具体的な課題を設定して取り組ませることで、具体的な生活指導、規則正しい生活リズムや食育ということを徹底して、それで基本的行動訓練、ソーシャルスキルを積む訓練、それで、運動や教科教育、職業補導ということを年齢に応じてすることによって、発達障害の治療は難しいと思っていますけれども、かなり可能性があるなということを保護所にいると感じるのです。でも、出てからが大事です。出てから再非行を行わないで社会にソフトランディングして参加していくということを絶対考えなければ、何もならないわけですけれども、そのために、少年院在院中に保護者に対して診断の告知をして、しっかり説明して助言していく。
    (スライド17)
     その中で、発達障害の子供の子育てというのは、普通の子育てよりもかなり難しかったと思うので、子育てにすごく疲労していたり、それから、保護者自身に、そういう発達特性を持つ問題のあるケースも少なくありません。なので、保護者の支援というのは、ここでもすごく重要です。
     それで、子供が収容されて、家庭と離れている間に効果的な介入を加えて、少年に対する理解を進めてもらう。保護者も大概孤立感とか無力感を感じていますから、継続的支援に、社会に出てもつなげなければいけない。保護者了解の上で、やはり、少年自身にも診断の告知をして、社会内でも支援を求めるモチベーションというのを築いて出していくということが重要です。
    (スライド18)
     そのときに、重要になるのが、やはり出院後です。ハンディーを持っている子たちなので、地域の医療とか、福祉ネットワークにつながって、見守りとか、寄り添いというのを続けていかなければいけないわけなのです。でも、保護観察などというのはすぐ切れますから、そういうときに、精神障害者保健福祉手帳、あるいはIQが低ければ、療育手帳ということを取得していると、福祉や精神保健はつながりやすいのです。ですから、福祉手帳というのは、社会内で必要な支援を受けられるパスポートですから、特にハンディーを有する少年には、積極的に取得の手続を進めてもらいたいと思っています。
    (スライド19)
     それで、出院後の支援ネットワーク、福祉事務所や、児童相談所や、地域精神保健や、就労支援センター、障害者職業センターとか、発達障害者支援センター、就労生活センター、このごろセンターというのがいっぱいありますので、そういう難しい発達障害を持っている、かつ環境面でもいろいろ難しい問題を持っていますから、できるだけ多くの人や機関によるサポートネットワークを準備する必要があります。一カ所に丸投げ、特に、保護者に丸投げというのは、絶対失敗します。だから、手帳取得ということが本当に随分助かっているのです。
     また、困ったときの相談役とか助言者として、医療というのも、私はあったほうがいいと思います。私も凶悪事件で、何人かを精神科医として診ていますけれども、1人でそういう子を抱えるというのは、絶対に気の重い仕事なのです。こういうふうにたくさん診ていると、皆さん、よくやってくれるので、大分いいと思います。だから、手帳取得とネットワークによる支援は非行のみならず、ひきこもりの青年たちの社会参加にも大いに利用されていますし、これからも、そういうふうにしていってもらいたいなと思っています。
【花井構成員ご発表】資料6
  • 花井構成員
     私のほうからは、労働組合として今の社会の中で子供・若者の健全育成と考えたときに、どういうことが起こっていて、何が必要なのだろう。そのために、労働組合として何ができるのだろうという観点からまとめたものです。
     大綱の見直しに当たっての視点としてぜひ取り上げていただければという思いで作成しました。
     まず、1ページですが、貧困率の年次推移で、ここにいらっしゃる構成員の先生たちは、当然御存じかと思います。これが、どんどんふえているということです。
     2ページのところが、貧困と虐待の関係、これが、収入がなしという家庭、それから100万以下であれば、虐待がふえてくるという図です。
     それから、3ページのところです。児童虐待と児童養護施設について、これも相談件数がふえているということと、それから、養護施設の中の約6割が虐待を受けた子供たちで占められているということです。
     4ページですが、これは、今をあらわしているのかなと思いました。文部科学省資料ですが、朝食を食べている子供と、食べていない子供の学力の差というのが出ておりまして、今、子供が朝食を食べられない、あるいは夜も満足に食べられない子供がふえているという、そのことが学校の学力に対して、どういうふうに影響を及ぼすかという数値として、ちょっと取り上げてみました。
     5ページ、これは、私たちが、いろいろと教えていただいております、野上先生という方が策定したものです。国民年金と厚生年金、そして、共済年金に入っている人たちの平均余命、例えば、一番左上であれば65歳の方が、国民年金ですと18.87年生きますけれども、共済年金ですと20.08年生きますという資料です。そういう標準報酬月額で見ると、共済年金が一番高いわけです。国民年金は自営業者等がベースですけれども、ここに今、大変非正規の方が入っているということです。一番右下のところの死亡率を見ていただきますと、国民年金が5.1%、共済年金が3.1%、これは、ずっとそういうことがもしかしてあるのではないかと言われていたのですが、野上先生という方が、この年金の資料をもとに分析した結果、こういうことが出てきたという資料です。
     それから、6ページ。経済的理由による高校の中退者数です。これも既に御承知かと思いますが、高校無償化によって下がりました。今、無償化はなくなりましたけれども、960万円という所得制限が入っておりますが、大分所得がカバーされていますので、授業料を安くすることが、どんなに影響を及ぼすかという図です。
     7ページですが、これは保護者の年収が高いほど、子供の4年制大学への進学率が高いと、これも当たり前といえば、当たり前なのですが、改めて見ると、大きな格差だというのが見てとれるかと思います。
     8ページのところは、教育、これは、卒業別に見た就業者の就業形態別内訳ということで、小学校、中学校ずっとあるわけですけれども、女性の場合が、小学・中学・高校卒業の場合は、52.9%が非正規であるという、そんなふうに見ていただければよろしいかと思います。
     9ページですが、これもいつも使われる、この間の労働力調査で見たときに、非正規が37.4%で、もうすぐ4割に近づいているという図です。
     10ページが、初めての仕事が非正規雇用というのが、女性の場合が57.9%、男性の35.6%が、最初から非正規だという、そういう状況です。
     11ページ、左の円グラフを見ていただきますと、正規から非正規に移った方が40.3%、正規から正規に転職した方が59.7%、そして、右を見ていただきますと、赤丸をつけたところが、非正規から正規に転換した人で24.2%、一方で、非正規から非正規、これも75.8%、ですから、非正規に一旦なると、なかなか正規に転換できないということをあらわしています。
     12ページは、賃金の格差ということで、右下に赤丸で示していますが、女性が50万円から99万円のところに、赤いグラフが固まっています。
     多分、ここは、専業主婦のパートなのかなということと、その上の100万円から149万円、ですから、50万円から149万円のあたりが母子家庭であるとか、そういうことも含んでいるのではないかと推測しています。内訳がまだ詳細にわからないので、推測の範囲ですが、女性のところは、非常に低賃金のところに集中しているということです。
     13ページ、これは中間層が減ってきていますということで、一番上の線が直近の2010年ですが、これがずっと左側にシフトしているということで、だんだん格差が拡大しているのではないかというときに使われるものです。
     14ページ、家計の収入が減少し続ける一方で、大学は授業料が大変上がっているという点。グラフでは97年をピークに賃金が下がっている。それに比べて、私立も公立も非常に高くなっている。
     最近、よく奨学金のことが問題になりますが、大学を出て大分たっているものですから、ぴんと来なかったのですが、本当に、今、大学の授業料が高くて、理系に行った場合など、もちろん昔から高いのですが、美術系であろうと福祉系であろうと、本当に年間100万円をはるかに超えるような授業料になっているというのが、一体どういうことなのかなと、私たちも、疑問に思っているところです。賃金が下がっているのに、こんなに大学の授業料が上がって、どうしてなのだろうか。もし、後で教えていただければと思います。
     そういう状況の中で、15ページなのですが、こちらは1944年に、ILO、国際労働機関が出した宣言です。フィラデルフィア宣言という、大変世界の労働組合の中では有名な宣言になっておりまして、一部の貧困は全体の繁栄にとって危険であるということを打ち上げました。このときの貧困の状況と、今の状況は違うという点は、そのとおりなのですが、ただ、このことはこの当時から貫かれる認識ではないかということで、掲げさせていただきました。
     「(a)労働は、商品ではない」というのが、有名な宣言の中の一文句となっています。
     16ページ、学校教育における労働教育ということなのですが、インターネットで調査をしたところ、下の二つ目の〇をごらんいただきたいのですが、学校で労働教育をちゃんと学んだという人が70.9%いたわけです。
     ところが、働いていて困ったことがあったときに、困った経験がある人が58%いる一方で、何もしなかったという人が3分の1以上いたということで、もう少し学校教育で、労働法とか、広い意味で言うと、税とか社会保障もそうなのですが、そういうことをきちんとブラック企業にあっても、きちんと対応できる、そういう青年・若者を育てていく必要があるのではないだろうかということで、学校教育で労働の教育をやっていただきたいということを、さまざまなところに要請しています。
     17ページ。もう一つは、生活困窮者自立支援法が成立したのですが、私たちが一番注目しておりました就労準備支援と学習支援。これは、子供たちに学習する場をつくるというところが、任意授業になったものですから、自治体の30%しか、今、対応できていないということで、このことも国庫補助率を4分の3なりに引き上げる必要があるのではないかということを要請しています。
     それと同時に、ここには記載していなかったのですが、私たちの組織には、唯一拡大しているところがありまして、それは、退職者の組織がどんどん大きくなっているわけですが、そこの中には、元学校の先生とか、技術者とか、宇宙工学をやった方、さまざまな方がいらっしゃいます。
     そういう方の能力を退職した後も活かすことができないだろうかということで、その退職者の方たちと、そんな話をして、ぜひともとりわけ学習支援とか、絵を描く機会がない宇宙を考える機会のない子供たちに、そういう夢を持たせるようなことができないだろうかというようなことを、相談しています。
     そして、実際に地方によっては学習支援を地域の学生たちと連携しながらやっているところもあるので、何とか、子供たちの居場所というものをつくるように、労働組合としても、そこに応援をしているということを、ぜひ、お伝えしたいと思います。
     18ページのところは、教育格差、これは、先ほど見ていただきましたが、全ての子供たちが、やはり、均等に教育を受ける機会というのは、国として、あるいは大人として保障すべきではないかと考えています。
     ところが、そうはなっていない現状があるということと、さらに、学校の中にもう少しさまざまな職種の方が、きちんといるという状態が必要ではないか、スクールカウンセラー、あるいはソーシャルワーカーもふえてはきておりますが、常勤配置となっていないため、子供たちが相談したいときにいないということがあると聞いています。そんなことも具体的にもう少し進めることができないだろうかと考えています。
     19ページですが、先ほど、勤労観ですとか、働くことの尊さとか意味とか、そういうことを学ぶことによって、自分が社会の一員であるということを学ぶことができるのではないだろうかということで、このことを私たちはとても大切な価値観として持っているということです。
     20ページ、教育格差、これもずっと述べてきました。これが全てではありませんが、やはり貧困を脱出する一つの手段として、教育の機会が均等であるということが求められます。それから、さまざまな情操教育が行われる、それから、今すぐ全部整わないとしても、何か大人たちができることを、今すぐやっていく必要があるだろうと思います。
     それから、子ども・若法育成支援推進法についてですが、例えば、生活困窮者自立支援法の学習支援というところと連携するとか、もっとこの法律を生かせる方法もあるのではないかということを考えています。
     とてもいろんな方が、願いを持ってできた法律なので、それは大切にする必要があるという思いと、やはり先ほど出されていましたように、なかなか知られていないということも事実なので、もう少し横のいろいろな制度と法律と連携していく必要があると思います。
(質疑応答)
  • 嶋﨑構成員
     定本先生に、一つ御質問させていただきます。
     先ほど、高塚先生のほうからも、ちょっと出ていましたけれども、学校の中でも、大変悩んでいるのは、いわゆる発達障害のお子さんかなと、もちろん、診断できませんので、「かな」のレベルですが、それと、高塚先生が、先ほどおっしゃっていた、いわゆる愛着障害の問題なのですが、愛着障害の関係は、この非行の問題とは、どうなっていますでしょうか、御質問したいと思います。
  • 定本構成員
     やはり、虐待とかネグレクトが多いですし、愛着障害というふうに考えられる子供さんは、少なくないです。
     その辺で、環境的に、そういう成育歴的な問題がほとんどなのか、やはりどこかに発達障害もあるのか、どっちか一方ではないことが多いのですね。
     というのは、発達障害がありますと、なかなか母子間の交流が持ちにくい、あるいは発達障害があるお子さんの親御さんも発達障害だったりすると、関係が築きにくいようなことが重なりやすくて、一つだけなのか、あるいは重なっているのかということをしっかり見極める、そうしないと、予後が違うのですね。やはり、発達障害のハンディーを持ちますと、やはり、もっと難しいです。そういう環境面の問題だけだと、その後の手立てをして、回復力が違うのです。だから、それは、見極めが難しいとは思います。
  • 奥山構成員
     先ほどの年金の話は、みんなショックだったと思うのですけれども、実際、私たちの分野でも、複雑性トラウマという言い方をしますけれども、虐待とか、戦争とか、そういう状況になると、必ずしも、子供は心の問題だけではなくて、体にもいろんな問題が出てくることが明らかになっています。
     現在、養護施設にいるお子さんたちの身体疾患もかなり多いのです。ですので、心身のいろんな不調を来すというところが、悪循環になっていって、どんどん悪くなっていっていることもあります。その悪循環をどこでストップするのかというのが、非常に大きな問題なのだろうなと思って伺っています。体のことももう少し頭において、問題を見ていったほうがいいのかなとも思いました。
     もう一つ、最後のほうに、いろんなハンディを持った方々の自立という、難しい問題があるわけですね。それに関して、やはり、今の子供・若者の施策でやっていくのもそうなのですけれども、例えば、イギリスなどですと、いわゆる福祉の施策は、一応入口は18歳となっているのですけれども、一旦かかわった人は、25歳、30歳までは、きちんと自立をケアするということになっているのです。要するに、インケアの人やケアリーバーに関しては、もっと高い年齢を設定しているということもあって、やはり、いろいろ困難を持って、いろんな支援が必要となった方たちの自立までの支援の継続性ということがすごく重要なのではないかと思います。
  • 相原構成員
     全体的なところの感想を述べさせていただきます。
     先ほど、川邉座長代理が、対費用効果というのは考えてはいけないということで、全くそのとおりだと思います。ただ、私の個人的な体験になりますが、ことしの3月まで、法務省の下の法テラスというところで事務局長をしていました際に悩みがありました。弁護士と福祉関係者が連携して何かうまくできないかということで、司法ソーシャルワークという活動が、今、動いているはずなのですが、仕組みを作る際に、後で検証できるようなデータを前提として目標設定をしなさいというような財務からの指示がありました。
     それが財政面として予算を獲得するためには、どういうことができて、それの検証に足り得るのかというような発想を、2年間、ものすごく言われたものですから、どうしても頭の中に、それがあるわけです。
     そのため、現実問題として、先ほどの花井委員の話ではないですけれども、本当に奨学金の問題にしても、人材の育成の問題にしても、1年間、2年間のスパンの問題では絶対ないはずなので、少年院を出た後の子供たちとか、児童養護施設の子供たちに対する教育の機会とか、そういうことに対して、ちょっと変な言い方ですけれども、ちゃんと税金を払ってもらえる人材にするためですと、財務省に言えばいいのかなとか、いろいろ考えたりもします。けれども、この検討の場では、そういう狭い話ではなくて、やはり、今の若い人たちが、本当に自分の満足どうすればいいかということ、最初のスタートラインで、それだけのハンディーがあるのはよくないという意味で、ハンディーのある人に対して予算措置をとるべきであり、長い目で見てほしいということを、先ほどの4名の構成員の先生方のお話を聞いて、非常に強く思いました。

以上