子ども・若者育成支援推進点検・評価会議(第3回)議事要旨

議事次第

  1. 日時:平成25年11月1日(金) 16:00~18:00
  2. 場所:中央合同庁舎第4号館4階 共用第4特別会議室
  3. 出席者:
    (構成員(敬称略))
    明石伸子、植山起佐子、奥山眞紀子、川邉譲、定本ゆきこ、高塚雄介、谷口仁史、花井圭子、原田謙介、福田里香、松原康雄、宮本みち子
    (事務局)
    森まさこ内閣府特命担当大臣(子ども・若者育成支援推進本部副本部長)、阪本和道内閣府審議官、岩渕豊大臣官房少子化・青少年対策審議官(子ども若者・子育て施策総合推進室長)、加藤弘樹参事官(青少年企画担当/青少年支援担当)、小山浩紀調査官
  4. 概要:

(1) 森まさこ内閣府特命担当大臣(子ども・若者育成支援推進本部副本部長)あいさつ

子ども・若者育成支援推進本部副本部長である森まさこ内閣府特命担当大臣が、以下のとおり、あいさつを行った。

  • 森大臣
    子ども・若者担当の森でございます。本日は、御多忙のところ、お集まりをいただきまして、本当にありがとうございます。
    私は、子ども・若者育成推進本部の副本部長を仰せつかっております。会議の開催に当たり、一言、御挨拶を申し上げます。
    日本の将来を担う子ども・若者は国の一番の宝です。子ども・若者が健やかに成長し、将来の結婚や家庭に夢を持ち、そして円滑な社会生活と幸せな家庭生活を営むことができるよう、環境を整備し、支援することは、我が国の将来に大きくかかわることであり、政府の最重要課題の一つであります。
    2020年に東京でオリンピック・パラリンピックが開催をされますので、今の子ども・若者が7年後にグローバルな人材として社会を担っていけるよう、国際理解や国際的視野の醸成、日本人としてのアイデンティティーの確立を図っていくこともあわせて重要であると考えております。
    今般、本部長である安倍総理とも相談をいたしまして、子ども・若者育成支援推進法に基づく大綱の総点検を行うため、新たな有識者の方々の御参画も得て、この会議を開催することになりました。
    皆様におかれましては、施策の進捗や今後の課題、方向性などにつきまして、活発な御議論を賜りますようにお願いを申し上げます。
    また、本日から「いのち輝くみんなの未来」をスローガンに、子ども・若者育成支援強化月間が始まります。皆様におかれましても、御理解、御協力を賜りますようにお願いを申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。

(2) 座長の選出・座長代理の指名

資料1「子ども・若者育成支援推進点検・評価会議の開催について」2(2)に基づき、宮本構成員が座長に互選された。
宮本座長より、同資料2(5)にある座長代理として、川邉構成員が指名された。
宮本座長のあいさつは以下のとおり。

  • 宮本座長
    放送大学の宮本でございます。
    ただいま座長に御推挙いただきまして、誠に光栄に存じます。月1回でかなり密度濃く、これから大綱の改定に向けた重要な準備をするということで、全力で努めさせていただきたいと思います。
    現在の大綱を作る際にもいろいろな形でかかわらせていただきましたが、あっという間に5年が終わるという段階に来て、大変早いことであります。全国でいろいろな形で子ども・若者についての取組が活発に進んでおります。そういうものを総ざらいしながら、5年後の新しいバージョンをつくるということは、大変重要な仕事だと思っております。
    どうぞよろしくお願いいたします。

(3) 構成員の紹介

出席した構成員から順に自己紹介を行い、その後、欠席した構成員の自己紹介を事務局にて代読した。

  • 明石構成員
    日本マナー・プロトコール協会の明石伸子と申します。着席したままで恐縮でございますが、一言御挨拶を申し上げます。
    「マナー」という言葉は御存じない方はいらっしゃらないと思いますけれども、「プロトコール」はなかなか聞きなれない言葉だと思います。本来は外交儀礼といって、外務省など国家のトップ同士の会談などに必要な配慮として、プロトコールというルールがございます。
    先ほど大臣からもお話がございましたけれども、7年後のオリンピックということも鑑みて、あるいは国際化ということも焦点に入れると、日本人ももう少し外国の文化や習慣、しきたりについての理解があってもよいのではないかという思いもございまして、2003年にNPO法人として活動を開始するに当たって、マナーだけではなくて、プロトコールという言葉あるいは内容についても普及させていきたいと思い、協会名にも入れました。
    具体的に何をしているかと申しますと、マナーの普及という観点から、マナー・プロトコール検定というものを実施しております。そうした検定を受験するために必要な教材の開発なども実施しております。
    当初は、社会人を中心に活動を開始いたしましたけれども、昨今は青少年の方が社会に出る前に、少なくとも古来から伝わっている日本のしきたりや人に対する配慮の仕方などを学ばせたほうがよいのではないかということで、高校や専門学校、大学などでも注目をしていただけるようになってまいりました。
    子ども・若者育成支援という観点から申し上げますと、本当に昨今の若い方たちは、核家族化の影響なども大きいのではないかと思いますけれども、私どもが若年だったときに自然に祖父母や親から教えられたことが、今、十分に伝わっていないように思います。
    私も2つの大学で非常勤講師として学生などに接しておりますけれども、そういうところを知らないということがとても残念なことに思います。彼らは決して傍若無人でもなく、人に対する配慮の気持ちなどを持っているにもかかわらず、どのようにそれを発揮していいのか、あるいはしきたりなども知らないがゆえにできないということもあるのではないかと思っています。
    日本人は大変礼儀正しく、「おもてなし」という言葉がはやりましたけれどもそうしたブームだけではなくて、日本古来の伝統的な良さというものを後世に受け継いでいくためにも、ぜひ若年層のうちから、そうしたことに対しても触れていくような環境づくりをしていくことが大切ではないかと思っております。
    この会議に参画させていただくことは大変名誉なこととともに、やりがいを感じております。新任でございますので、何かとわからない点が多々あると思いますので、諸先生方には、ぜひいろいろ御指導いただけたらありがたいと思っております。
    今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 植山構成員
    臨床心理士の植山起佐子と申します。よろしくお願いいたします。
    私は、教育学部の特殊教育学科を卒業して以降、子どもの心理臨床にずっと携わってきております。最初の勤務先は総合病院の小児科でした。その後、公立の教育相談室の教育相談員として勤務をいたしました後、もう一度、総合病院の心療内科で勤務経験がございます。
    その診療内科に勤務しているときに、中年のひきこもりの子どもを持った老年の親の受診が複数例立て続けにございまして、大変無力感を感じたという経験がございます。子どもの経歴を伺っておりますと、小学校から高校に至るまでのどこかのところで不登校経験があり、そのときに的確な相談機関につながることができていないために、そのまま中年期を迎えてもひきこもりになっているという事例に当たりました。
    もともと教育学部の出身でございますので、教育だと思いました。早い時期にもう少しつながることができればと思っていたところに、平成9年に葛飾区が区独自のスクールカウンセラー事業を開始したときにお誘いがございまして、それ以降、区採用のスクールカウンセラーとして、また平成12年からは都採用のスクールカウンセラーとして、中学校と、今年度からは高等学校に勤務しております。
    医療と教育の両方の面から見てきましたのですけれども、十数年スクールカウンセラーとして学校現場におりまして、学校の中でできることの限界を感じております。
    1つには、子どもたちが抱えている問題が非常に複雑で多様になってきていることと、背景にある家庭の問題、つまり、福祉的な側面も勘案しケアもしなければ学校だけではどうにもならないという事例が増えてきております。福祉との連携ということも考えております。
    同時に私は、複数のいわゆる指導困難校あるいは教育課題集中校、平たく言えば荒れた学校に勤務をした経験から、子どもたちがなぜこんなに荒れていくのかというプロセスをつぶさに見ることができました。そのときに、保護者の世代から何世代にもわたった連鎖が起こっているということも痛感したわけです。学校だけでできることの限界があると申しましたのは、やはり地域社会のサポートがないと保護者がその地域の中で適応できていないということがあるのです。
    現在、私がやっていますことは、学校でのスクールカウンセリングです。東京都は、スクールカウンセラーの第一義的な目的として、もちろん個別相談ということをうたっておりますが、何よりも校内での教育相談体制の充実に寄与せよということを盛んに言っております。その仕事をしながら、学校の外とどうつないでいくか、スクールソーシャルワーカーが配置されるようになりましたので少し我々の仕事はそちらに譲れる部分が出てきたのですけれども、地域社会との連携ということを考えて、地域のネットワークづくりを行っております。
    今後、この会議の議論の中に出てくると思うのですが、自治体によって子ども・若者支援の実態は違っております。葛飾区の場合には担当部署をどこにするかということがまだ明確に決定できておらず、なかなか活動がうまくいっていないという実態があります。このため、区民主導でそのビジョンをつくりたいということで、区民のネットワークを今つくっている活動をしております。
    この会議には大変期待をして参加させていただいております。どうぞよろしくお願いします。
  • 奥山構成員
    奥山眞紀子と申します。よろしくお願いいたします。
    私自身は、もともと小児科医でございまして、アメリカで小児精神医学を学び、20年ぐらい前から子どもの心の診療ということで、診療その他をさせていただいております。
    子どもの心の問題一般にかかわることはもちろん多いのですけれども、加えて慢性疾患の子どもの心の問題、子ども虐待の問題、子どものトラウマの問題ということを中心に、これまで診療活動などをさせていただきました。その関係で、現在は被災地のお子さんたちのフォローなどもさせていただいております。
    もちろんお子さんというのは、お子さん自身に権利がある。1994年に子どもの権利条約を日本は批准しております。すぐ亡くなるお子さんにも当然人権はあるわけですけれども、加えまして、多くのお子さんたちは、次世代を担うことも事実でございます。社会の中で一番大切なインフラは人でございますので、次世代を担うお子さんの問題を考えていくという、こういう場を与えられたことは、非常に身が引き締まる思いでございます。
    ここで行われることが、子どもの施策の評価ということであるということを伺いまして、1つ、2つ、私が常日頃気になっていることをお話しさせていただければと思います。
    1つは、日本でいろいろな施策に私もかかわってまいりましたけれども、大きな調査研究が非常に少のうございます。例えば子どもの場合ですと、「健やか親子21」によってどのぐらい状況がよくなっているのだろうか見ようと思っても、数字が非常に少ないということが現実です。子ども虐待の問題にしても、毎年出されているあの数字が本当にきちんとした数字かと言われると、ちょっと疑問符をつけざるを得ないところがあるのです。日本の「健康日本21」のアメリカ版といえる「Healthy People」では「Children with Special Health Care Needs」といいまして、何らかの健康の問題を持っているお子さんたちがどのぐらいいるのかというのについて、これまで3回全国的な調査がされていまして、大体15%のお子さんがそういう問題を持っていると言われております。繰り返し調査をして、どんなことが問題で、何をしたらいいのかということを常に出していっておりますので、そういうことも日本でも必要なのではないかと思っておりますし、
    同じ「Healthy People」の中で、Child Death Reviewも取り上げられています。防げる死から子どもを守ろうということが、やはり国として非常に重要な課題ではないかと思っております。事故の問題、虐待の問題にかかわっておりますと、本当になぜ亡くなったのかわからないままに亡くなっていくお子さんもおられます。厚生労働省が行っている虐待死の検証にかかわらせていただいて、残念ながら亡くなってしまったお子さんからこれほど学ばせていただくことができるのだというのが大変大きな経験でした。これらを次の世代のために生かしていくということも重要なことではないかと思っております。
    最後に、臨床の立場から申し上げさせていただくと、やはり子どもの問題を考えるときには3歳までというのが非常に大きいと思っています。3歳まで何らかの人間の関係性を育てられたお子さんは、その後、いろいろな難しいことがあっても、大きくなってから取り返すことが何とかなるなけれども、そこが崩れているときは非常に難しいと感じております。したがって、資源を投入するときには、一つはやはり妊娠期から特に0歳、それからプラス3歳までというのは大きいのではないかと思っております。
    もう一つは、家族というところに社会資源の投入が必要なのではないかと思います。虐待の問題をやっておりますと、社会的養護ということにかかわるわけですけれども、社会的養護にいるお子さんたち、例えば乳児院にいるお子さん1人に40万かかっていますがそれで子どもに十分なケアがなされているかというとなされていないというのが現状ではないかと思うのです。それを考えますと、家族というものを大切に守っていくことも真剣に考えなくてはいけないのではないかと思っております。
    ありがとうございます。
  • 川邉構成員
    駿河台大学の川邉と申します。
    大学では、臨床心理士を養成する仕事をしております。それと同時に、地域社会でカウンセリングをしています。
    大学に移る前、ちょうど30年間、法務省で少年鑑別所や刑務所での心理職の仕事をしておりました。そこで実際に非行少年や若年の犯罪者とおつき合いしてみて思うことは、彼らは基本的には健康だし、いろいろな長所を持っている。そうした長所がうまく発見されて伸ばしてもらえなかったという人ばかりだということです。せっかくのそういうやる気を変な方向に向けないで、向社会的な方向に向けていけるような社会づくりとか、彼らへの対応の仕方とか受け入れ環境といったものに何がしかの貢献ができればいいと考えているところでございます。
    よろしくお願いいたします。
  • 定本構成員
    京都少年鑑別所からまいりました定本ゆきこと申します。よろしくお願いします。
    私は、精神科医として、法務省矯正局の機関であります京都少年鑑別所というところの法務技官として働いております。
    少年鑑別所というのは、少年法の規定に基づき、家裁の決定によって収容されてきた子どもが、どうしてこの非行を犯したのか、どうしてこのときにこの犯罪行為をしなければならなかったのかという理由・原因をなるべく科学的、客観的に究明する機関です。少年法の理念によって、個別的に、科学的に究明した上で、その子に合った矯正教育を施す、更生を期するということがありますので、心理技官、法務教官、そして医師が配置されています。
    非行少年がどうして非行を犯したのかということを見るときに、少年だけを見ているのではなく、これまでの成育歴や、その子が育ってきた家庭、地域、社会というものを見ざるを得ず、そうして見ましたら、本当に子どもたちをめぐる今の日本の社会のゆがみというものの縮図を見る、凝縮されたところにいる感じがしています。
    非行少年としてあらわれる子たちというのは、家庭の中で虐待を受けたりネグレクトの環境にいた子どもの比率が非常に高いですし、また、貧困率も高いです。ひとり親家庭というのも本当に多いです。そして、学校、特に中学校からの離脱や、低学力といった問題があります。また、昨今、医学的・専門的な鑑別が必要だと言われるところなのですけれども、発達障害の問題があります。特に、それまで福祉的な障害児教育といったような支援教育から外れてしまっている軽いタイプの発達障害の子どもたちが多いということがわかってまいりまして、やはり何らかのハンディを持って今までの成育歴の中でリスクを抱えながら生きにくさを抱えながら来た子どもたちが、非行という思春期の問題行動に至っているということがわかってきております。
    したがって、非行をいかにして防止するかということは、学校教育の中でいかに貧困や虐待の中にある子たちの学力を保証し、普通の生活を保障するかという問題になりますし、また、厚生労働省所管の児童福祉・子育て支援ということにも本当に直結しています。
    少年院は、問題性の深い子どもたちの矯正教育を担当しているところですが、先ほどお話がありましたけれども、実は普通の子たちもたくさんいるのです。適切な環境の中で教育をしますと、非常に伸びる子たちも多いのです。自信を持って、また社会で頑張ろうという子たちもたくさん仮退院していくのですけれども、就労の問題で社会に参加する難しさがあります。いかに健やかに社会適応していくかという点で、ハンディを持った子どもたちの就労支援ということがますます大切になってくると思います。
    ずっと京都で、学校ですとか、福祉、司法、警察の皆様と一緒にいろいろなところで仕事をしてきました。なるべく現場での印象、現場での感覚を伝えさせていただいて、私も勉強させていただきたいと思って参りました。よろしくお願いいたします。
  • 高塚構成員
    高塚でございます。現在、明星大学大学院で臨床心理士の養成にかかわっております。四十数年にわたって臨床の現場をずっと歩いております。
    今から30年ほど前に精神科医の土居健郎先生と一緒に、日本精神衛生学会を立ち上げまして、土居先生の後を受けて、つい最近下りたのですけれども、代表を務めさせていただきました。土居先生のことは御存じかもしれません。「『甘え』の構造」という本を書いて、日本人の心理的特性という、我々にとって非常に参考になる文献を出された方です。
    人間の心のひずみというものはどこから生まれていくかということを考えたときに、一つの課題としては、文化の変容が激しいときというのは、乗り急ぐタイプと乗り遅れるタイプの両方にひずみが集中しがちだということがあります。乗り急ぐタイプというのは、自殺に顕著にあらわれてくるだろうし、乗り遅れるタイプの人たちというのは、いわゆるひきこもり系の若者たちに特徴的に見られるという印象を持っております。
    かつて、御存じかもしれませんけれども、あるひきこもり系の若者が小学生だった女の子を誘拐して自宅に9年間にわたって監禁したという事件がありました。その事件では、犯人の母親が、いろいろな公的・私的相談機関を転々としたけれども、どこもはかばかしい対応をしてもらえなかった。しばらく様子を見ましょうとか、それはうちの管轄ではないとかいうことで、結局そのまま放置されていたということが発覚しました。それを受ける形かもしれませんが、当時の内閣府が全国の全国青少年相談機関の連携に関する調査を行うことになり、座長を引き受けさせていただきました。
    いろいろ調べたところ、組織的、形式的な連携はどこの都道府県・市区町村でもちゃんとできているのです。しかし、ほとんどは行動している実態が見えてこない。年に1回担当者が集まって意見交換をしたり、あるいは誰か著名な先生を呼んで講演会を開いて終わりです。これではどうも連携にならないのではないかということで、提言を取りまとめた記憶があります。
    子ども・若者育成支援推進法という形で、青少年にかかわるいろいろな立場の人が連携をしなければいけないという形がようやく法的な裏付けを得てきたのだろうと感じております。
    その後、最初は東京都から委嘱されて、次に内閣府から委嘱されて、ひきこもりの実態調査を行いました。それまで何となくひきこもりしている者が存在することはわかっていても、その実態がよくわからなかったのですけれども、この実態調査によって日本のひきこもりの若者の実態が判明したと考えております。
    日本にとって、このひきこもりの問題というのは決して放置できない、憂慮すべき大変深刻な問題だと思います。15歳~39歳までの若者のうち、統計的に言えば70万人が全国にひきこもっている。しかも、その周辺に、限りなくひきこもりに近い心理状態というか行動パターンを持っている若者が150万人いる。驚くべき数字ですね。これは日本にとって大変な損失だろうと思います。少子化の中でやっと生まれてきた子どもが育っていっても、社会に何の貢献もできないまま放置されるということは、何とかしなければいけないということを強く感じております。
    子ども・若者育成支援推進法の主眼である青少年にかかわるいろいろな機関の連携について、私も幾つかのいろいろなところにかかわっていますが、必ずしも実態はちゃんと進んでいないという気がします。
    なぜなのだろうということを考えたときに、よく言われるのは、縦割り行政組織の弊害です。確かに福祉とか、教育とか、法律とか、みんなそれぞれ所管が違う。その違うところのお役所同士が連携するというのは、簡単にはいかない。それはわかります。ただ、どうもそれ以上に、いわゆる専門職と呼ばれている人たちの連携が下手だということが大きな弊害になっている気がしています。よく言えば真面目なのでしょうけれども、みんな自己完結的になってしまって、その枠を超えてほかの専門職と連携するということが下手だと思います。医師にしても、福祉にしても、心理にしても、いろいろな専門性を持った方がいるのですが、何かどうもしっくりいかない。
    東京都の児童福祉審議会にかかわっていますが、児童虐待防止においても、地域連携組織が必ずできています。残念ながら子どもが亡くなってしまうという事件が発覚しているのですが、それをつぶさに調べていくと、誰が主として対応するかというところで、まず明確なものができていないし、また、誰かが担当していると、あの人に任せておけばいいやということでみんなすっと手を引いてしまっている。こういうところから改めていかないと、連携というのはなかなかうまくいかないだろうと思います。
    専門職と呼ばれている人の意識改革をやっていかなければいけないだろうと、そういう印象を強く持っております。
    この会議に参加させていただきましたので、できるだけ私の考えを述べさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。
  • 谷口構成員
    皆さん、こんにちは。NPOスチューデント・サポート・フェイスの谷口と申します。
    我々は、いわゆる家庭教師方式のアウトリーチとネットワーク活用型の自立支援を中心に取組を進めております。
    設立をして10年になるわけなのですが、今年度も含めて、これまで12万件を超える相談活動に携わってまいりました。その中で顕在化してきているのは、先ほどの先生方からお話がありましたように、複雑かつ深刻な背景要因を抱えて孤立をする子どもたちや若者の姿でありますし、また、従来型の単一機関、単一分野の支援、いわゆる縦割り的な対応の限界というものであります。
    現在、我々の組織では、厚生労働省の地域若者サポートステーション事業、子ども・若者育成支援推進法に基づく県子ども・若者総合相談センター、また、生活困窮者の自立促進モデル事業による佐賀市生活自立支援センターなど、行政との共同事業というものを複数受託しています。NPOが縦割りを突破するためのいわゆるプラットホーム、ハブ的な機能を持つことによって、地域での社会的な孤立を防ぐような支援体制の構築を目指して、活動を展開しております。
    様々な施策が拡充されてきているといった中で、先ほどの先生方の話にもあったような、現場の本当のニーズに即しているのかどうか、そして、その問題を解決し得るような抜本的な対策になっているのかどうか、こういった視点を持って、施策全般を見ていきたいと考えておるところであります。
    どうぞ御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
  • 花井構成員
    日本労働組合総連合会総合政策局を担当しております花井と申します。よろしくお願いいたします。
    私の場合は、皆様のような専門職ではありません。連合には47都道府県に県の連合がありまして、地域のさまざまなNPOと連携してパーソナル・サポート事業を行い、その中で生活保護の子どもたちを集めて大学生のボランティアが勉強を教えたり、さまざまなことが展開されております。
    子ども・子育て支援というのが大変高らかに言われていながら、毎日の新聞に虐待のニュースが載ることに心を痛めており、どうしてこんなに子どもを大切にできない社会なのだろうということを日々思います。
    若者と話をしていて驚くことは、「最低賃金」のことや、解雇されたときに失業手当があるということを知らないことです。「知らない」ために社会の中で非常に生きにくくなっている、自分で立ち上がれない、そういう状況が広がっているのではないかと心配しています。
    もう一つは、最近これもまたよく新聞報道に載ったりするのですけれども、オレオレ詐欺に若者たちが巻き込まれ始めています。直近では中学生の女の子が背広を着て受け子としてお金を取りに行かされている。ある大学生はネットでの職業紹介を通じて面接に行ったら、携帯電話と学生証を取り上げられて、途中で気がついたときは遅かったという犯罪が、実は深いところで進行しているという話を聞きました。子どもがそういうことの犠牲になっているということも非常にショックなことです。
    やはり学校教育やいろいろなところで、生きる力を養うために社会の仕組みをもう少しきちんと教える必要があるのではないかということを痛感しております。困ったときにどういうところに相談に行けばいいのか、どうしたら自分の権利がきちんと守れるのか、そういうことが全く知らされていません。そのことを私たちの責任としていろいろなところに働きかけたり、パーソナル・サポートを通じて、社会保障のあり方や、税金、労働問題などを伝えていきたいということで、今、取り組んでいるということです。
    本当に皆様は専門家で、私のほうが勉強させていただくことが多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
  • 原田構成員
    NPO法人YouthCreateをやっております原田謙介といいます。
    活動の内容としては、若い人と政治の距離をもっと近づけようということです。選挙があればもちろん投票率を上げよう、選挙がないときでも、あるいは国の政治だけではなく、地方の政治もいろいろ行われているので、そこに若い人の距離を近づけられないかという活動をやっています。
    この会議は、1つ前の期から出席をさせていただいています。最初は学生だったのですが、学生のころに「学生団体ivote」という団体で、若い人の投票率を上げようという活動をやっていて、それを今、引き続きNPO法人でやっているという状況です。
    これから、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。
  • 福田構成員
    パナソニック株式会社におります福田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
    パナソニック株式会社は、まだまだグローバル競争の中で苦しみつつ頑張っていこうと思っている、電機業界の中の一つの製造業だということで御理解いただければと思います。私自身は、会社の中で対外的な窓口部門である渉外本部というところで人事、総務関連の仕事をしています。
    私自身は、子どもたちとなかなか直接に接するということはないのですけれども、会社としては、例えば社員が学校に出向いて環境関連のお話しをさせていただいたり、あるいは照明や電池を作ってもらうような教室を出前授業という形で学校で実施させていただいたりしています。また、常設の施設としまして、有明にパナソニックセンターという施設を持っております。ショールームに併設する施設としてリスーピアというものがございます。こちらは理科、算数・数学といったものをテーマにした体験型のミュージアムです。最近、理科離れということが言われているかと思いますけれども、科学を楽しみ身近に感じていただけるような展示を心がけながら、微力ながら、子どもたちの興味を喚起したり、学びの一助になるような取組をしているということでございます。
    企業として、社会的にどのような貢献ができるのかということを念頭に置きながら、この会議に参加させていただきたいと思います。私も全く専門分野ではないのですけれども、皆様の御指導をいただきながら、参加させていただきたいと思います。
    どうぞよろしくお願いいたします。
  • 松原構成員
    明治学院大学の松原と申します。よろしくお願いいたします。
    大学では児童福祉論を教えております。その立場からこの会議のお手伝いができたらと思っております。
    幾つかの都道府県の児童福祉審議会などを通じてみてきた虐待対応の状況をここでも反映できるかと思っております。また、私自身の現場との関わりということでは、よこはまチャイルドラインという子どもの電話を受けつける相談のスーパーバイズや、同じく横浜で子どものシェルターのスーパーバイザーをしておりますので、子どもたちの声をこの会議に伝えていくような役割が果たせたらいいなと思っております。
    大学人としては、私の大学の学生たちは、阪神・淡路大震災のときも東日本大震災のときも、大学に先駆けて現地にボランティアへ行き、ずっと継続をして活動するというエネルギーを持っておりますので、こういうエネルギーをどうやって維持し支えていくかといったことも考えていけたらと考えております。
    どうぞよろしくお願いいたします。
  • 宮本座長
    私も自己紹介を簡単にさせていただきます。
    最初に内閣府とかかわったのは、2004年に若者の包括的な自立支援方策に関する検討会が立ち上がりまして、その座長を仰せつかったときです。そのきっかけは多分、2002年に私が「若者が『社会的弱者』に転落する」という本を書いたことだったと思います。
    1990年代から、若者のフリーター、その後は非正規雇用といった問題が始まって、それとかかわる形で検討会の座長をさせていただいたのですけれども、そのときには私自身も正直言って、日本の実態とそれに対して具体的にどういう仕組みをつくったらいいのかということが本当の意味でわかっていたわけではありませんでした。ただ感じていたのは、他の先進工業国の経験と非常に似ている、日本は遅れてそういう段階に入ったのだということでした。その検討会では、今までの縦割り行政の中では起こっている事態に対しては対応できない、地域の中に包括的な支援の仕組みづくりというものが必要だという提言を出しました。
    実際にどういう形で全国の自治体の仕組みづくりができるのかということに自信はなかったのですが、それから10年弱が経ち、子ども・若者育成支援推進法ができ、まだまだ不十分でありますが、各地で協議会が立ち上がり総合相談窓口ができています。また、厚生労働省では、就労に困難を抱えている若者たちの支援の仕組みがつくられています。例えば、2004年ごろから、地域若者サポートステーション(サポステ)がニートの支援機関として、20カ所で始まり、今年は160カ所になります。
    これらにかかわってわかったことがいろいろあります。先ほどから構成員の皆さんがおっしゃっているとおり、就労困難な若者たちというのは、生まれてから現在までの困難を複合的に抱えている人たちで、学校で適応できず、その後、社会に出て仕事で適応できない。サポートステーションの実態は地域によって違いますけれども、登録をしている人の約半分の人が就労困難者です。相当の支援をしなければ、就労で自活はできないだろうと思われるような方々です。単なる労働政策の問題ではないということが非常によくわかってきたのです。2004年の時点では私自身も十分にはわかっていませんでしたけれども、取組の中でわかってきたことです。
    それから、先ほどもお話がありましたとおり、全国的なデータをつかみ、それをもとにして物を言うことの重要さというのも感じています。
    子ども・若者育成支援推進法ができてからまだ5年は経っていませんけれども、それに基づく大綱「子ども・若者ビジョン」の改定が視野に入ってくるに当たって、実のある作業をしていきたいと思っています。
  • 相原構成員(事務局代読)
    初回に出席できず、申しわけありません。第一東京弁護士会所属の相原です。
    私は、大学卒業後5年間、四国の丸亀少女の家という女子の少年院の教官をしていた経験がございます。
    今もそうだと思いますが、女子の被収容者は被害者的な立場の子も多く、かなりの割合で虐待を受けた経験を持っていました。人として尊重されることがなく、つまり、大切に扱われて育った経験のない子どもたちは、自暴自棄的な面があり、また、人を大切にしようという感覚を持つことが難しいと感じております。
    弁護士になってからは、少年事件の付添人をライフワークとしてまいりました。現在は、弁護士が増員されたこともあり、若い弁護士に譲るところが多いのですが、家事事件の子どもの問題、例えば虐待事案、離婚による親権者問題などは、現在も受任しております。
    また、ある児童養護施設の理事長から依頼を受け、10年以上、関係者の方、入所している児童の問題にかかわってまいりました。
    子どもの問題については、多面的な角度から検討すべき問題だと思っています。微力ですが、お役に立てればと思っています。
  • 古賀構成員(事務局代読)
    青少年問題を研究している教育社会学の古賀です。中央大学文学部の教授をしております。
    最近研究していることは多岐にわたりますが、著作名でいいますと『現代日本の少年院教育』『質的調査法を学ぶ人のために』『学校のエスノグラフィー』『転換期の労働と〈能力〉』『子ども問題事典』『ひきこもりと家族の社会学』などです。
    高校やNPO、施設の現場において参与観察や質的研究を行い、子どもや若者の問題行動を明らかにするというのが持ち味です。
    過日は、「排除型社会における若者の社会参加と相談活動」と題して内閣府主催の研修会でも講演させていただきました。
    今後とも、皆様、何とぞよろしくお願いします。
  • 嶋崎構成員(事務局代読)
    公立中学校の教師、教頭、校長、教育委員会の指導主事、参事を歴任いたしまして、現在、神田外語大学教授をしています。
    日本学校教育相談学会会長などを初め、いじめなど子どもの問題を中心に取り組んでおります。
    これからもよろしくお願いします。
  • 今村構成員(事務局代読)
    NPOカタリバは「『生き抜く力』を子ども・若者へ」を理念に活動している教育のNPOです。カタリバが取り組む社会的な課題は、子ども・若者の未来を生き抜く意欲や能力が生まれ育った環境によって左右されてしまうことがないようにということです。どんな困難が待ち受けていようとも、思い描いた未来をつくっていける力をどんな家庭で、地域で育った子どもにも届けることを目指しています。
    具体的には、主に高校生の進路意欲を高めさせるためのキャリア教育プログラムであるとか、高校生のときに進路の悩みを先輩に相談したりとか、大学や仕事についての体験談を聞く機会などを、大学生のボランティアなどを通じて行っております。
    そのほか、東日本大震災で罹災した子どものための放課後の学校「コラボスクール」として、宮城県女川町と岩手県大槌町の2地域で、子どもたちに学習の指導と心のケアを行っております。
    どうぞよろしくお願いします。

(4) 今後の審議の進め方

資料3-1「今後の審議の進め方について(案)」と資料3-2「子ども・若者育成支援推進大綱(「子ども・若者ビジョン」)(概要)」に基づき事務局より説明を行い、資料3-1のとおり審議を進めていくことが了承された。
事務局説明のポイントは以下のとおり。

  • 審議事項は、子ども・若者育成支援推進大綱(「子ども・若者ビジョン」)に基づく施策の実施状況の総点検を行うことである。現行法においては、平成27年度に、<1>法の5年後の見直し、<2>大綱の5年後の見直しが予定されている。このため、平成26年度には新たな大綱の検討を開始することが想定されている。現在の大綱の総点検を行うことにより、新しい大綱の検討に資することが目的である。
  • 審議方法については、大綱の3つの柱立てである「すべての子ども・若者の健やかな成長を支援する」、「困難を有する子ども・若者やその家族を支援する」、「子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境を整備する」のそれぞれについて、関係省庁から、大綱策定後の現在に至るまでの取り組み(関係データの推移含む。)、進捗に係る自己評価、課題、今後の方向性などについて資料提出をお願いするとともに、主な省庁からヒアリングを行う。また、構成員から、専門分野における取組などを踏まえて、進捗状況の評価、課題、今後の方向性などについてプレゼンテーションをお願いする。
  • スケジュールとしては、おおむね月1回のペースで審議をお願いし、報告を取りまとめいただきたい。取りまとめの時期は、ゴールデンウィークを過ぎたあたりか夏に入る前ぐらいと見込んでいる。
  • これまで設置していた第1部会と第2部会は廃止する。

(5) 自由討議

以下のとおり、自由討議を行った。

  • 松原構成員
    これから非常に大きなテーマについて、さまざまな分野のことを話し合うと思うのですが、担い手の育成と担い手の方たちの労働条件の向上ということを共通してぜひ考えていきたいと思います。
    いろいろな絵を描いても、実際にそれを運営あるいは実践していく担い手がいないと、絵に描いた餅になります。それと同時に、多くの民間機関では、特に社会的養護が典型例だと思いますが、担い手がバーンアウトをしていく。3年もたない。せっかくいい提案ができて、より良い制度ができ上がっていっても、担い手がいないと動かない、むしろマイナスの方向に動いていってしまうということはよくあることです。
    施策を考えると同時に、どういう担い手がいるのか、それをどう育成していくのか、その担い手をどうやって社会的に支援していくのかも一緒に考えていただきたいと思います。
  • 植山構成員
    今の松原先生に御意見に全面的に賛成したいと思っております。
    例えば、青少年育成の大変すばらしいテキストがありますが、マスターするのに3年はかかりそうなものを夏期の集中講座のような形で研修しておられると伺いました。それではとても難しいだろうなと思っています。
    また、困難な課題に取り組んでいる担い手の方々は、東京では連携するときにもまだ人材がかなりいると思いますが、地方にまいりますと、臨床心理士もそうですけれども、ぐっと数が減ってしまいまして、意識や質という以前に頭数がいないということもあります。そういった地域格差をどのようになくしていくかということもぜひ検討課題の中に入れていただければと考えております。
  • 谷口構成員
    現場の人間にとっては、大変心強い御発言をいただきました。ありがとうございます。
    昨日も高塚先生と御一緒した研究会があったのですが、その議論の中でも、専門性を持って頑張る支援者の待遇という問題も出てきておりました。非常に複雑かつ困難な子ども・若者たちに対応するときには、それだけの専門性、さらには思い、安定性というところも確保しなければ解決できない問題があるということであります。
    植山構成員がお話しになりましたように、地方によっては、非常に人材が薄い地域というものもあります。そういった点で一つ重要なキーになってくるのは、やはり大学、大学院の教育だろうと思っております。
    我々は平成15年から、社会問題の解決の現場に求められる実践的な能力を持った支援員を育成していくべきではないだろうかという観点で取組を進めています。教育、医療、福祉を学ぶ、資格を取得する予定の大学生、大学院生を、現代的な課題の集約になっているような不登校やひきこもりといった社会的な孤立などの分野で有償でボランティア活動させ、スーパーバイズを受けながら、大学の中でじっくりと養成して、各分野の専門家として輩出をしていくような取組も考えていく必要があるのだろうと思います。大学は各都道府県にあるわけですから、しっかりと薄い地域にもそういった人材が配置できるだろうということを考えています。
    もう一つの観点としては、さまざまな分野でさまざまな施策ができていることから、現場でしっかりと運用ができるような運用上の工夫も必要なのだろうと思います。前年度の点検・評価会議の報告書の中でもうたっていただいたかと思いますけれども、複数の事業を組み合わせていくことで、現場で縦割りを突破していくのが今の実情です。例えば、委託の要件といった部分に工夫の余地をこらすことで予算を柔軟にしっかりと支援員の待遇に充てていくということも実際できるわけです。新たな費用をかけずともできることも仕組みを考える上では重要な視点かと考えているところであります。
  • 定本構成員
    非行というのは地域によって違います。家族構成、産業、風土や文化のあり方によって、子どもがあらわす非行の様相というのは本当に違います。それだけ、やはりそれぞれの土地の持っている文化、歴史というものが、人々の生活、そして非行にも現れていると思います。
    それと同じように、支援の仕方や支援者たちの事情なども地域によって全然違ってくると思うのです。
    国がこうやって大きな大綱で推し進めるということをばんと示していただきつつも、やはり私は、地域の独自性とか、そこでずっと歴史を育んできてその中で作られてきたネットワークといった地域の主体性というものを大事にしなければ、生きた支援にならないと思うのです。
    人が少ないというのもまたありますけれども、実は地域の中で少ない人がいろいろ職種を超えて動いて機能しているというものも、逆にあると思うのです。そして、東京と違って小さい地域は、それなりに顔の見える関係が持ちやすいという利点もあります。
    私は、実施においては、地域性を重んじるようなやり方をしていただきたいと思います。
  • 高塚構成員
    先ほど谷口構成員が言われたように、専門性がある支援者を養成するということは大事なことだと思います。
    現在、例えば内閣府や厚生労働省などいろいろなところで短期の講習会程度のものをやっていますが、あれではだめだろうと思っています。
    イギリスには、ニート対策の第一線として、コネクションズ・サービスセンターというものが各地区に設けられていて、そこで単に就業だけではなくて若者がいきいきとした人生を送れるようなアドバイスをしたり、サポートしています。日本の地域若者サポートステーションというのはそれを真似しているとも言われているのですけれども。そこの何が一番大事かというと、そこで働く人たちはきちんとした資格を持った人でないとだめだということなのです。資格を取るために、大学院の修士課程で1年間の特別コースというものを必ずやっていて、そこで1年間勉強させる。それこそカウンセリングの仕方から、福祉の問題、あるいは社会資源の活用の問題などをマスター(修士)コースとして勉強させるという仕組みがイギリスの場合にはあったのです。
    日本でも、例えば、大学院の中でそういうことをやってくれるところに対して国が積極的に資金援助もすれば、大学によっては人集めに苦労している大学もたくさんありますから、むしろ大学院としては喜ぶと思います。
    いろいろな省庁で例えばキャリアカウンセラーなどもできていますけれども、これについても単なる講習で取れる程度ではだめだと思うのです。
    単なる講習程度ではなく大学院レベルできちんと勉強してきて初めて資格が取れるような指導者養成の仕組みを、日本でもそろそろ考えていいのではないかという気がします。
  • 植山構成員
    専門性の高い人を養成するというのは急務だと思いますけれども、私が地域でネットワークをつくる中でモデルとしているニューヨークにある「THE DOOR」というNPOの様子を見ていると、セミプロ的な人たちの数をふやすということも、ひとつ大きな意味があるなと感じています。
    それから、定本先生がおっしゃっていたように、地域の人材をどう活用するか。無償ボランティアという形ではなくて、きちんと学んでいただき専門性を少しでも身につけていただきながら、地域人材の良さを生かした対応ができるような仕組みをつくれないかと思っています。そうしますと、団塊の世代といったさまざまな人材の活用ができ、また、ひきこもりの経験者だからこそできる支援なども出てくる。そこにうまく専門家が絡むことができれば、良いネットワークができるのではないかと思っています。
  • 宮本座長
    2年前に内閣府が行った若者支援の団体と人材の調査(平成23年度「困難を有する子ども・若者の支援者調査」)にかかわりました。全国で子ども・若者の支援をしている団体や支援者の資格や研修などの状況についても調査しています。今回の評価作業の中ではこういった調査も使う必要があると思います。
    また、ユースアドバイザーの研修を子ども・若者育成支援推進法ができる前から全国各地でやっています、それぞれの自治体のやり方もまちまちであり、1年、2年、3年とたつに従って、次第にある一定の枠の中でやるということができにくくなっています。やり方を再考する必要がある時期だという感じがしております。
  • 明石構成員
    お話を伺っていて、いわゆる困難を有している、あるいは既にドロップアウトしてしまった子どもや若者には、やはり家庭環境、地域環境あるいは教育環境という問題が大きく関係しているのではないかというところを痛感いたしました。
    起こってしまった問題への対応ではなく、起こさないために何をどういうふうにしていけば若者や子どもたちが健全に育成される環境づくりができるのかというところにも、一方で少し目を向けていく必要があり、特にこれからはその対策が非常に重要になっていくのではないかと思います。
    先ほど、子どもの3歳までの養育がとても大事というお話がありましたけれども、小さいうちに愛情あるいはコミュニケーションというのを十分に感じて育っていけば、多少の困難があっても乗り越えられる力がつくかもしれない。でも、それがないと、本当に小さなことでつまずくと、どんどん世の中から取り残されていく現状というのがあるように思っております。
    ぜひそうした、コミュニケーション力の低下や、愛情を十分に感じられないような子育ての仕方といったところに、もう少し力を入れていくことによって、子どもが育成される環境が全体的に向上し、改善されていって、困難を抱える状況の子どもたちをつくらないようになっていくことができるのではないかと、今までのお話を伺って思いました。
  • 川邉構成員
    私も先ほどからお話を伺っていて、明石先生と同じことを考えていたのです。現に困ってしまっている子どもには、やはり専門家が対応しなければいけないと思うのですけれども、例えば虐待問題でも非行の問題でも、小さい芽のうちに周りにいる人が気づいて手を出せば、大事にならずに済むはずなのです。
    専門家はもちろん必要なのですけれども、地域の人たちが子育ての主体的な役割を担い、隣の家の子どもでも何か変なことがあったらば声をかけるのだということができるような社会をつくっていくのが、一番永続性があると思うのです。地域が子どもを育てるという文化をどうやって醸成するかという検討もしていかなければいけないだろうと思います。
    例えば非行の問題で言えば、万引きを一生懸命捕まえようと思ってお金をかけるよりも、させないほうがずっとお金がかからなくて、効果があるわけです。御本人も傷つかなくて済む。どうすればよいかといったら、声をかければいいだけなのです。「何をお探しですか」と声をかければいいだけなのです。黙ってみていて、スーパーで見張っていて、盗んでから捕まえる、これではだめなわけです。むしろ、いつも声をかける、地域の子どもをみんなで育てるのだという文化をつくるための方法や方針も打ち出していきたいと思います。
  • 高塚構成員
    ひきこもりをずっと見ている観点からしますと、現代社会というのは物すごくコミュニケーション能力を評価する社会になってきているのです。特に、言語的コミュニケーション能力です。これは教育の現場でもそうだし、企業社会でもそうです。だから、人間関係が苦手だとか、コミュニケーション能力が低い人間に、何とかしてコミュニケーション能力を高めるための教育とか訓練をいろいろなところでやろうとしているのですけれども、残念ながら、それをやればやるほどますますひきこもり化していく若者が増えているというのが実情です。
    つまり、それに耐えられない人たちが現実に存在している。コミュニケーション能力を高めることは大事なことであるのだけれども、それをどういう形で育んでいくのかという方法論は検討しなければいけない。ただ単に言語的なコミュニケーション能力を高めればいいのかというと、必ずしもそうではないだろうと思います。無口ではあるけれども、きちんと相手の言うことを理解するとか、周りの人間がその人間性を共有するような社会を構成していかなければいけない。学校社会の中だと、例えば先生がコミュニケーション能力を高めるための教育をしゃかりきにやればやるほど、その先生を嫌ったり学校に来たくないといって、しかもそういう子を見ている周りの子があいつはうざったいといって、いじめの対象にもなっていく。そういう悪循環が生まれている。
    言語コミュニケーション能力を重視するというのを否定はしないのだけれども、それに乗れないタイプの子どもたちが現実に存在しているときに、どういうサポート体制をつくるかということも考えてあげないと、どんどんそういう子どもたちは社会の片隅に追いやられていく、それが現実ではないかと思うのです。
  • 奥山構成員
    今のお話もずっと伺いながら、ずっと考えていたのですけれども、全体のレベルアップという視点では、私たちが見ていると、それこそ乳児期の同調するところがうまくいくのかいかないのかというところが、やはりコミュニケーションには非常に大きく影響してくるのだろうと思うのです。
    一方で、おっしゃるとおり、コミュニケーションが苦手なお子さんもいます。いろいろな苦手さを持っている子どもの多様性みたいなものをいかにサポートできるのかというのも、考えなければいけない。
    全体のレベルアップということと同時に、やはりセーフティネットをどうするのか、全体の子どもたちのレベルアップとセーフティネットの両側を考えていかないといけない。先ほどもお話が出たように、困難な問題を起こさないように予防するということも含めたレベルアップを考えないと、問題だけ出してきてそれをどうするかだけを考えていると、もぐらたたきで結局後追いになるという危険性があるのではないか。社会がすごい勢いで動いている中で子どもたちが生きているのだということを把握しながら、少し先回りした議論をしないと、後手に回るのではないかという意識が少し私の中にはあります。
    子どもの発達というのをもう一度見返しながら、どの時期にどんなものが必要で、さらにそれがコミュニティとしてどういうふうに担保されていくのか。そして、先ほどもお話が出たように、地域の文化の中でそれがどのようになされていくのか、地域の人材の発掘ということも必要だと思います。ただ、ここでちょっと抜けているのかと思うのは、明石構成員がおられるのに私が言うのも変なのですけれども、しつけというのはあくまでも美しさの継承だと思うのですけれども、その「美しい」ということを感じる能力というのがとても大切なのだと思うのです。「愛」とか「美」というものがいかに子どもたちの中に育っていくのかということを全体として考えつつ、それが難しいときのセーフティネットをどうするかというところを両側で考えていかなければならないのかと思います。
    先ほど言いました attunement、同調するかしないかというのを考えるときに、やはり普通抱っこして軽く揺さぶるというのはとても赤ちゃんや子どもにとって大切なのですけれども、その回数は絶対量が減っています。バギー(ベビーカー)に乗せられているわけですが、子どもが一番熱いところにいて、一番怖いところにいるというのがバギーの世界なわけです。しかし、バギーをやめなさいといっても無理だと思うのです。そのときに、親子が楽しめるチャンスなどをつくり出していかないと、幼児期の同調が担保されないのではないか。これは例ですが、そういうことも考えながら、先回りしながら、全体の子どもにとってのニーズにどう応えていくかというのとセーフティネットの両方が必要なのかと思います。
  • 松原構成員
    私はよく「風土」という言葉を使うのですけれども、子どもや若者を支えていく地域風土というのがすごく大切です。一つ例を出しますと、就学援助というのが低所得世帯に出ますけれども、それを利用するのが恥ずかしいと子どもあるいは親に思わせてしまうような地域の環境があれば、せっかくつくってある制度も利用されないわけです。
    直接子どもや子育てにかかわる場面もあるのですけれども、地域の風土づくりで大きな役割が果たされるのは、民生委員・児童委員の方たちだと考えます。大綱「子ども・若者ビジョン」の概要の「多様な主体」のところに民生委員・児童委員が入っていないようですが、その活動などもきちんと評価をする、あるいはどうしてそれが入っていないのかということも検討してみたほうがいいのかと、今の御議論を聞いていて思いました。
    全体で地域の風土ができていけば、川邉構成員がおっしゃったような声かけもできますし、虐待の問題でも「どうしたの」と一言声をかけられるので、そのことがすごく大切なのかと思っています。
  • 谷口構成員
    国の議論だと現場とは少し違った形でどうしてもきれいな形でまとめようとしてしまうという傾向が若干あるのかと思います。例えば地域社会の再興というのは、もう従来からずっと言われ続けていることなのです。しかしながら、それができずにいる。
    つながりを保つことが難しくなっているのはなぜかということをしっかりと我々は考える必要があるのだろうと思います。民生委員・児童委員もそうですが、なり手がどんどん減っているわけです。なぜなり手が減るか。対応できないケースが増えてきているからだと思うのです。特に今は、声かけするにもコミュニケーションパターンが従来とは大きく変わってきておりますし、価値観も多様化している。子どもたちが所属する環境というのも、非常に複雑かつ深刻な問題を抱えている。そこに素人が思いを持って対応しても、逆に子どもたちから、拒絶であるとか、隔絶を生んでしまう結果につながると思うのです。
    思いを持っている分、何とかしたい。でも、子どもたちはそれを受け入れない。このため、民生委員・児童委員などに対する差別的な偏見を生んでしまったりということも、実際に地方では不幸にも起きてしまっている。思いを大切にしつつ地域で解決できるようにするためには、その専門性をうまい形でバランスよく組み込んでいくという観点が必要になってくるのかと思います。例えば全国を回ってみると、豊中の社会福祉協議会では、校区単位で福祉委員会のようなものをつくって、民生委員や地域の方々、学校の先生たちがいろいろな課題を話し合う。そこで挙がってきた問題で何かしらの専門性が必要なものはコミュニティーソーシャルワーカーが一緒になって解決の手立てというのを示していく。例えばごみ屋敷が出てくれば、そのごみ屋敷を片付けるのを行政だけでやるのではなくて、地域の人たちにも協力を願って、専門家と一緒にそれをやることによって、より地域のつながりを深くしていこうという取組があります
    また、これを支援現場に転じていくとすれば、連携が大事と大きく叫ばれてネットワークもさまざまできているのですが、特定の機関・団体への一極集中やたらい回しが起きています。困難な事例、複雑かつ深刻な問題を抱えている事例というのは簡単に結果が出ないので、他の機関に回してしまうという事態も起こってきています。ネットワークを機能させるためには、例えば他機関にお願いしたときには予算を伴いながらお願いできるようにするとか、あるいはインセンティブメカニズムをつくってその割合に応じて応分負担の費用を傾斜配分するといったことも必要です。施策を動かすといった観点を持って評価していく必要があるのかと思います。
  • 松原構成員
    豊中の主任児童委員は、子どもたちをつれて「子ども110番の家」を訪ねていく活動をされています。子どもたちは「子ども110番の家」の看板を見ても、そこに誰が住んでいるか全然知らないわけですが、訪ねていくことによってお互い知り合うことができる。 民生委員・児童委員は11月30日で任期が切れ、改選になりますが、なり手がなくて、定数を割るところがたくさん出てくると思います。その活動のあり方も含めて、専門家に任せなければいけないことと、地域レベルでやれることを、議論していきたいと思います。
  • 定本構成員
    先取りの施策ということで言えば、日ごろ常々考えていることなのですけれども、教育現場で、性教育、子どもを産み育てることの大切さに関する教育をしっかりしていただきたいと思っています。
    非行の温床といえば、まさに貧困多子家庭なのです。鑑別所に入ってくる10代の子たちには、本当に妊娠が多いのです。この子が親かというような、落ち着きがないし全然仕事もしていないという男の子に、あちらこちらに子どもがいる。当然、養育費も払っていませんし、女の子はおそらく生活保護をもらって生活しているはずです。そこがまた非行の温床になっていきます。
    鑑別所、少年院にいますと、少子化という日本の国でありながら別世界のように感じた人は少なくないと思うのです。家庭に恵まれず、依存的な気持ちから、関係を持って、子どもをつくって、育てられないと非常に困難な子育てになっていくということが本当にたくさんあります。これでいいのかと思うようなことが多いのです。
    今の日本は福祉大国というか、子どもを産んでも、生活保護費やいろいろなことで生活していけます。保健師などいろいろな人たちが支援して、どうしても困難が出れば養護施設がある。しかし、そうしたケースでまた妊娠したということもよく耳にします。
    子どもを産み、育てるということがいかに大切なことで、大きなことで、大事にしなくてはいけないことか。そして、女性が主体的にそれを選んでいかなくてはいけないか。男性は、妊娠、出産で本当に大きな負担を担うのは女性側で、自分はそれをしっかり守らなくてはいけないということなのだということを含めて、命というものを大事にするという視点をもった性教育をぜひしていただきたいということを常々考えております。
  • 高塚構成員
    民生委員・児童委員について先ほど話が出ましたが、地域によって随分差がありますが、一種の篤志家のやることだという認識で一つの名誉職として大臣から任命されるというレベルで存在している方々がいることも事実です。これでは第一線で何かを期待しても無理だと思うのです。
    民生委員・児童委員のあり方というものも、もう一度、厚生労働省あたりに再検討してもらって、単なる名誉職、ボランティアとしての位置づけではなくて、その役割をもう少し明確にしたり、必要ならば一定のお金を出したりしない限り、民生委員・児童委員を本当に活用することにはなっていかないのではないかと思います。
    もちろん私がたまたま調査したところがそうだったといえばそれまでかもしれないですけれども、おそらく全国を調査してみればそういうところはいっぱいあると思うのです。
  • 花井構成員
    今の高塚先生のお話は全く同感で、私もあちこちでそういう話を聞きます。民生委員を出している家が代々決まっているという地域もあり、大きな問題があるのではないかと思います。
    先ほど来、「連携」という言葉が出ているのですが、今回の評価会議のメンバーの皆さんは専門家ですが、行政の方が入っていないということに気がつきました。
    私は今、医療なども担当しておりまして、医療と介護の連携について全国で見たときに、上手くいっているところは、行政が間に入って、両者をつなぎ、そこに多職種の人を集めて、ケア会議を行っているというお話をよく聞きます。 行政の役割、自治体の役割ももう少し重要な課題として取り上げてもいいのではないかと思います。確かに今、生活保護のケースワーカーは本当に大変で、これ以上何かやってほしいととても言える状況ではないのですが、行政の役割というのがもう少しあるのではないかと思います。
  • 小山調査官
    事務局から1点補足をさせていただきます。
    資料3-2の大綱「子ども・若者ビジョン」の概要では、確かに民生委員・児童委員が抜けておるのかなと思われる向きがあると思うのですけれども、大綱本体(参考資料1)の18ページをごらんいただければと思います。「民間協力者の確保」という項目で、保護司、人権擁護委員、児童委員などを取り上げさせていただいております、また、白書の概要版(参考資料2)の77ページの下から2番目のところで「児童委員は、民生委員をもって充てられ、厚生労働大臣から委嘱されている」ということを御紹介させていただいています。
  • 原田構成員
    主に同世代ぐらいの若い人たちなどと全国でいろいろ話をしていて思うのは、政治であったり、行政であったり、セーフティネットの仕組みを知らない人がすごく多いことです。いろいろな現場で活躍されている方がいたり、いろいろな行政の仕組みもあったりするのですが、そこをまず知らないので、何か問題を抱えたりとか、もしくは同じ問題意識を持って同じことを解決しようと思ったとしても、どうかかわっていいかわからないというのが、ひとつあると思います。
    以前からずっと思っているのですが、こういう会議が子ども・若者のためにあって、子ども・若者白書という白書もあって、行政として全体的に子ども・若者についていろいろ見ている、気にしているし、社会の力として期待しているのだということを、普通の人に発信していくような仕組みをもっと考えていったらいいかと思っています。
    あともう一点なのですが、保護司や「子ども110番の家」の話もありましたが、そういういろいろな仕組みは、皆さんも感じていらっしゃると思いますが、残念ながらどんどん薄れていくと思います。さらに言えば、地域のつながりでいえば町内会に入っていない人たちがどんどん増えていくと思います。
    そうしたつながりに入っていく人をもっと増やしていくのか、あるいはもうそれが時代の流れとしてなかなか成り立たなくなっていくのであれば、それを超える新しい仕組みをつくっていくのか。そのどちらを進めていくのか、私の中でどちらがいいというのもないのですが、この会議の中でいろいろな分野においてちょっとでも意識をしていければと思っています。
  • 福田構成員
    先ほど、いろいろな子どもたちがいてその人たちをそのまま受け入れてあげることができるような社会が必要ではないかという御意見がありました。「多様性」という言葉でおっしゃっておられたと思うのですが、やはり企業の中でも「多様性」というところにつきましては、非常に悩みながら進めているところで、風土というお話もありましたけれども、男性中心の社会の中で女性の就業といったものをどのように変えていくことができるのかと、自分の立場として考えていたところです。
  • 奥山構成員
    今のお話の関連だと、女性の就労と子どもとの関係性は大きいと思うのです。例えば育児休暇などは取れるようにはなってきていますけれども、やはりなかなか取りづらい。例えばデンマークのように、子どもができたらば父親か母親かは一定期間休みを取り、その後は、当然のように復帰がなされるような仕組みができているか。そういうことも含めて、やはり女性の問題と切り離せないところというのはどうしても出てくるのかなというのは、ひとつ感じました。
    もう一つは、先ほどの民生委員の話の関連では、古いシステムからばさっと切るのではないが、新しいシステムにどう転換できるのか。子どもや若者、その家族がどこに相談しているかというと、ネットでいろいろなことを調べたり、いろいろなところにつながったりしているわけです。そういうところを本当に活用できているのかという問題も一つあるのではないかと思います。
    最後に、私が一番初めにお話しさせていただいた、もう少しきちんとした、大局的に立った考え方などを含めた調査研究というのが、欠かせないのではないかと思っています。例えば、いじめの問題に関して日本でどんな研究をされているのかといろいろ見てみるのですけれども、なかなかそれでは実態が見えてこないなというのが本音でした。今の日本でどんなことが起きているのか把握し、子どもの発達プロセスも見据えて先を予測できるようになっていくような調査研究に対しての資源投入というのも、将来的に子どものことを考えたときに欠かせないものになっていくのではないかと思いました。
  • 松原構成員
    民生委員・児童委員の発言をしたので私も補足しておきますと、事務局から説明のあったとおり「民間協力者」のところには位置づけられています。しかし、18ページの上のほうにある「多様な主体による取組(別紙)」をみると、例えば児童委員活動の全国の宣言などが出ていません。要するに客体として協力をする人という位置づけしかされていないのかと思って、発言をしました。
    構成員の方々から、民生委員・児童委員についてはやや厳しい御意見もありました。やはり選任の仕方とか活動の中身は点検しなければいけないと思いますし、地域住民ですから、専門的な活動は期待してはいけなくて、私が冒頭に述べましたように、風土づくりの担い手ということで捉える必要があるのかと思います。
  • 宮本座長
    非常に濃密ないろいろな御発言がありました。
    これから、1回1回それぞれテーマを限定した形で進めていきますけれども、たくさんいただいた御意見が全部そこに生きていくだろうと思います。大変重要な御指摘をたくさんいただいて、これから、非常に興味深い議論ができるのではないかと思っております。

以上