子ども・若者育成支援推進点検・評価会議(第5回)議事要旨

議事次第

  1. 日時:平成25年12月25日(水) 13:00~15:40
  2. 場所:中央合同庁舎第4号館4階 共用第4特別会議室
  3. 出席者:
    (構成員(敬称略))
    相原佳子、明石伸子、植山起佐子、奥山眞紀子、川邉譲、古賀正義、嶋崎政男、高塚雄介、谷口仁史、原田謙介、福田里香、松原康雄、宮本みち子
    (ヒアリング対応府省)
    1. 自己形成支援
      • <1> 日常生活能力の習得
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
        美濃亮 文部科学省初等中等教育局教育課程課学校教育官
      • <2> 多様な活動機会の提供
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      • <3> 学力の向上
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      • <4> 大学教育等の充実
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      • <5> 経済的支援の充実
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
    2. 健康と安心の確保
      川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長(ほか1名)
      桑島昭文 厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長
      阿萬哲也 厚生労働省障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室長
    (事務局)
    杵淵智行大臣官房審議官、加藤弘樹参事官(青少年企画担当/青少年支援担当)、山岸一生参事官(青少年環境整備担当)、小山浩紀調査官
  4. 概要:

(1) 自己形成支援

「日常生活能力の習得」、「多様な活動機会の提供」、「学力の向上」、「大学教育等の充実」、「経済的支援の充実」について、大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料1-1)した後、以下のとおり議論を行った。

ア 日常生活能力の習得、多様な活動機会の提供

<1> 文部科学省からの説明(資料1-2、資料1-3)

  • 文部科学省
    1ページ目、「自己形成支援」のうち「<1>日常生活能力の習得」でございます。まず、学校教育における取組といたしまして、新学習指導要領に基づきまして、道徳、特別活動等をはじめ、学校教育の全体を通じまして、基本的な生活習慣の形成、規範意識・倫理観の育成を図るための指導を行っております。特に、このうち道徳教育に関しましては、「心のノート」を活用しておりますけれども、現在、有識者会議におきまして、道徳の新たな枠組みによる教科化、あるいは「心のノート」の改訂などについて検討しているところでございます。
    食育の推進につきましては、子どもが食生活に関する基本的な知識や習慣を身につけられるように、栄養教諭の配置などを行い、指導をしております。また、社会教育における取組として、子どもの基本的な生活習慣づくりということで、平成18年度から「早寝早起き朝ごはん」という運動を展開しております。
    自然体験などの宿泊体験ということにつきましては、青少年教育施設などを活用してその機会の提供を行っております。
    体力の向上につきましては、学校における体育・運動部活動の振興、学校・家庭・スポーツ団体等の地域社会全体における取組を行っております。
    進捗状況でございますけれども、食育に関する学校給食における地場産物の使用割合は25%です。生活習慣に関しまして、朝食を毎朝食べている児童の割合が増加しています。これは先ほどの内閣府の資料にもございました。子どもの体力は、これも先ほど資料にございましたけれども、昭和60年ごろに比べますと依然低い状況でございますけれども、低下傾向には歯どめがかかっているということで、参考までに50メートル走のデータを示しております。
    課題といたしましては、食育については都市部における学校給食の地場産物の使用割合の向上が課題です。生活については、特に中高生につきまして、生活圏の拡大や行動の多様化、あるいは最近スマートフォンなど情報機器等の使用もありまして、生活リズムが乱れやすいという環境にございます。
    今後の方向性として、道徳教育につきましては、「心のノート」を初めとする道徳の教材の充実等を図ります。食育に関しましては、さらに学校給食における地場産物の活用などに取り組んでいきます。昨日、来年度の予算案が決定いたしましたけれども、スーパー食育スクールなどの取組も予定しております。また、生活習慣に関しましては、中高生以上の世代への普及啓発が課題でありますし、体力については、学校・家庭・スポーツ団体等の地域社会の連携を一層進めていく必要があると考えております。
    以下、参考資料ですけれども、2ページ目は道徳教育の推進に関する資料です。3ページ目は、食育について文部科学省において予算として取り組んでいる事業でございます。このほか、農水省や厚労省、ほかにもいろいろ取組はあると思います。4ページ目は、平成18年度から取り組んでおります「早寝早起き朝ごはん」国民運動についての概要とデータです。5ページ目は、運動部活動地域連携再構築事業、体力の向上に関する資料でございます。6ページ目は、中学校・高等学校におけるスポーツ活動の振興事業です。7ページ目は、家庭と地域が一体になって行う体力向上の事業についての関係資料でございます。
    引き続き、資料1-3、前半の論点の2つ目ですけれども、「多様な活動機会の提供」に係る資料でございます。
    地域での多様な体験活動につきまして、今年の1月、中央教育審議会から「今後の青少年の体験活動の推進について」という答申が出されました。これらを踏まえて、学校内外において体験活動を推進していくということでございます。
    青少年教育推進機構を中心に「体験の風をおこそう」運動、小学校における農山漁村での長期宿泊体験活動の支援、あるいは青少年教育推進機構の中に「子どもゆめ基金」という助成基金がございますけれども、民間団体の活動への支援、あるいは環境教育の推進、それから文化活動ということでは文化芸術に触れる機会の提供の拡大などを行っております。
    読書活動の推進については、平成13年に「子どもの読書活動の推進に関する法律」ができております。この法律に基づきまして、今年の5月に「第三次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」を決定いたしました。この計画に基づきまして、学校、図書館、ボランティア団体等による読書コミュニティーの構築、図書館の機能強化、学校図書館の充実などを行っております。
    生涯学習への対応につきましては、社会人の高等教育機関での学習機会の充実、学び直し等々の機会の確保に努めております。
    進捗の状況でございます。先ほどもありましたけれども、自然体験に関する行事に参加する子どもの割合がやや減少傾向にあるということが懸念されるところでございます。読書に関しましては、不読率、これは1カ月に1冊も本を読まないと回答した子どもの割合ですけれども、小学生、中学生については、「朝読」といっていますけれども、学校における朝の読書活動などが普及している成果もありまして、かなり低下しております。高校生につきましては、依然として5割近くが本を読まないことが課題になっております。生涯学習の観点ですけれども、学生以外を対象とした教育課程を設けている大学が29%ということでございます。
    課題として、体験活動につきましては、学校だけでなくて、家庭、地域、NPO、民間企業等、社会総ぐるみでやっていく必要があるということ、読書につきましては、特に高校生の不読率の改善が課題であると認識いたしております。
    今後の方向性ですけれども、体験活動については引き続き地域を含めた取組を行うということ、読書については今後10年間で不読率を半減しようという目標を計画の中で掲げております。また、生涯学習の充実ということでございます。
    以下、資料になりますが、2ページ目、3ページ目は、冒頭に申し上げました中央教育審議会からの「今後の青少年の体験活動の推進について」という、今年1月に出された答申の概要でございます。特に課題として体験格差ということを提言されておりまして、子どもの中にも体験の格差が生じてしまっている点などが指摘されているところでございます。4ページ目は、体験活動の状況です。内閣府の資料の中にも一部ありましたけれども、自然体験を行ったことがあるかないかということで、棒グラフは「ほとんどしたことがない」と答えた者の割合でございます。平成10年が左側の緑色、平成21年が右側の青い棒グラフになっておりますけれども、このわずか10年の間に、川や海で貝をとったり魚を釣ったりしたことがない子ども、チョウやトンボ、バッタなど昆虫を捕まえたことがない、海や川で泳いだことがない子どもが大幅に増加しているのが見てとれるかと思います。5ページ目は、いじめの未然防止ということも含めて、体験活動を学校の中で支援していくという取組の紹介でございます。6ページ目は、環境教育・環境学習関連の施策をまとめたものです。7ページ目は、子どもの文化芸術体験に関する支援についての資料でございます。8ページ目、9ページ目は、第三次「子ども読書活動推進基本計画」に関するものでございまして、9ページ目の右側の欄にありますように、不読率を10年間で半減させるという目標を掲げているところでございます。

<2> 明石構成員・福田構成員からのプレゼンテーション

  • 明石構成員(資料1-4)
    日本マナー・プロトコール協会の明石伸子でございます。
    文部科学省から「心のノート」を活用した道徳の教科化という報告がありましたので、そういう面では少し改善の方向性が見出せるのではないかと期待しますが、この会議に参加して一番感じたことは、社会からドロップアウトしてしまうような子どもたちをこれからいかに増やさないようにするかという対策が重要だということです。そのためには、健全な家庭教育のあり方こそ、今後、強化しなくてはいけない課題になってくるのではないかというところから、今日のプレゼンをさせていただきたいと思います。
    まず、当協会の活動概要については、お手元に配付させていただきました赤いリーフレットをご覧ください。「マナー」という言葉の解釈は人によって随分違うのではないかと思います。お手元の資料の「マナーとは何か」というところですが、マナーや礼儀というのは、人づき合いに必要な心得や配慮のことであって、いわば気持ちの問題です。エチケットや作法というのは、人間関係を円滑にするための社会通念上のルールや、おじぎの仕方などを含めた所作、しぐさ、こういうことも含まれます。これが両方きちっと整ってこそ初めて、人間関係が円滑にできる、人としての資質を身につけられるのではないかと考えております。
    また、オリンピックの招致が決まったり、あるいは観光立国を目指している我が国にとって、もう少し外国の習慣やしきたりに関する理解も深めていくことが必要であり、「プロトコール」も普及の対象としています。もちろん、本来の「プロトコール」は外交儀礼ということですが、外国人とよりよい関係を築くために必要な基本的な知識と捉えて、プロトコールやマナーの普及をしております。
    お手元の資料の2ページ目が本日のプレゼンの主旨です。第1回目の会議から参加して感じたことは、"モグラたたき"というような表現もありましたが、対処療法ばかりではなく、モグラを発生させないために"健全な土壌"をつくっていくことが抜本的な対策であると考えると、トラブルを抱えていたり問題があるような子ではない、一般の青少年がより健全化するための施策をとることで現状の抑止となることが期待できるのではないかと思います。
    私が直接接しているのは、中学生、高校生、大学生などですが、気になる点は以下のようなものがございます。まず、挨拶ができない。企業の人事の方も就職で採用するときに、挨拶ができない新入社員がふえているということをおっしゃっています。それから、姿勢が悪い子が非常に多いように思います。言葉遣いですが、日本では男言葉と女言葉という昔ながらの言葉の違いがございますけれども、本当に言葉遣いが乱れていて、きちっとした敬語が使えない人が多いです。外国人で日本語を習った方のほうが敬語遣いがきちっとしていらっしゃって、日本人のほうの敬語が乱れているのが昨今の現状ではないかと思うほどです。それから、声が小さくて覇気がない。返事ができない。我慢ができない。内外で態度が異なるというのは、ちょっと表現が適切ではなかったかもしれませんが、人見知りな子が多い。結局、人になれていない子が多いというような印象を受けます。他人に無関心というのもその一環のように思います。
    コミュニケーション能力が低い、協調性がない、自律心に乏しいというようなことが一般的に言われておりますけれども、こうした原因がどういうところから来ているのかを次の3ページ目に挙げました。核家族化、少子化、近隣との関係の希薄化、ITの浸透によって子どもたち同士で遊んでいてもテレビゲームを介しているなど、人との接点が非常に少なくなっています。この傾向は、今後、より一層進んでいくものと思われます。少子化で一人っ子、兄弟がいない。母親も仕事に出ていたりすると人と接する機会が少なく、その結果人づき合いが苦手な子どもがふえることでコミュニケーション能力が欠如してきたり、多くの人と接していないためにある意味では偏った価値観に陥ってしまうのではないかと思われます。また、教育制度の変化、親子関係の変化などによって、子どもに甘い社会となっていて、自律心の欠如というのはこういうところから来ているのではないでしょうか。よいとか悪いとかではなくて、この流れに逆行することは難しいとすれば、より一層その中で対策を立てていくことが必要ではないかと思います。
    道徳ということだけではなくて、そういう部分ではマナーやしつけというのも一つのテーマとして、今後ぜひ御検討いただきたいと思って、お話をしております。
    子どものうちに徹底して教えるべきことは、やはり規則正しい生活習慣を身につけることでしょう。「早寝早起き朝ごはん」は大変すばらしい施策だと思いますが、それに加えて、規範意識を徹底させる。これは道徳の教科化などで少し改善が見られるのではないかと期待したいところですが、家庭の中で今までされていたしつけが実際にされなくなっているのが現状です。しつけというのは身に美しいというふうに今は書きますが、もともとは着物の「仕付け」から来ていて、幼いときからきちっとした型をつくっておけば、成長してもきちっとした型、いわゆる心の姿勢も含めたところで健全な子どもが育成されていくということです。
    学力ではなくて、マナーや礼儀をわきまえていることが人間としての評価につながりやすいというのは、社会の一員として、人として必要なものがこうした基本的な要素であるからだと思います。
    規則正しい生活習慣は、資料にこのように書きましたが、当たり前のことだと思います。それから、規範意識もこういうようなことが必要ではないかと書いてございますので、ご覧ください。こうしたよい習慣は、健全な心身を育むとともに、規範意識の向上は健全で安全な社会の基本になるものと思いますので、そういうところでは道徳プラス「マナー」というのも一つのテーマとしてぜひ御検討いただきたいと思います。
    人は一人では生きていけないことを学ぶために、家庭のしつけについては保護者の啓発と教育というのがやはり必要でしょう。核家族化で、違う世代の方たちと接することが少なくなってしまった若いお母様たちにとっては、子どものしつけそのものも非常に悩みの種であったりします。
    それから、保護者の方が家庭でしつけられないから教育機関でマナーあるいはしつけをしてほしいという要望があると聞いております。マナーは社会性のバロメーターと言われております。また、マナーがよいというのは日本のよさの一つでもあると思います。ですから、ぜひこういうところにも今後力をいれていただきたいです。
    また、「グローバル人材育成」というのも一つの課題と認識しておりますが、その中で私がお話し申し上げたいのは、語学ももちろん大切だとは思いますが、自国のことをしっかり語れる子どもたちをつくっていくこと、日本人としてのアイデンティティーをしっかり確立させるために必要であって、伝統文化の理解あるいは体験というのも文部科学省の施策の中に入っておりましたけれども、こうした日本の過去から継承しているしきたりというものについても高校や大学など社会に出る一歩手前の青少年にはぜひ知っていただきたいと思いますので、教育のプログラムの中に入れていただければと思います。
  • 福田構成員(資料1-5)
    「すべての子ども・若者の健やかな成長を支援する」ということで民間企業としての「教育、次世代育成支援の取組」を御紹介させていただきたいと思います。
    まず、パナソニックの次世代育成支援についての考え方でございます。当社におきましては、大きく2つ目的を持っております。1つは、将来の社会を担う人材を育成するということで、主に基礎学力や環境の課題について学んでいただきたいということです。2つ目は「こころの問題」ということで、生きる力や社会力にあふれた豊かな人間性を育成するということです。
    この大きな2つの目的のもとに活動を行っておりますが、そのためには、学校、家庭、地域、行政、NPO、そして企業の連携が必要なのではないかと思っております。私どもは民間企業ですので、本業を通じての持続可能な支援を基本として考えております。例えば学校については出前授業、教材の提供、教育助成制度といった取組を行っております。
    具体的な取組内容ですけれども、パナソニックキッズスクールというものをグローバルで展開する次世代育成支援活動の総称として行っておりまして、世界中で行われるさまざまなイベントや活動を通じて子どもたちの夢や可能性を応援しています。60カ国で年間約80万人が参加いただいております。。
    国内に移りますけれども、国内における教育支援の概要では、2013年度は社員による出前授業や教材の提供を通じまして、環境教育やキャリア教育を実施しております。2013年度の実績の見込みとしましては、主な3項目を合わせますと約570校、4万人の子どもたちに参加いただいております。推進体制としましては、社内から社員を70名ぐらい派遣して出前授業などを実施しております。
    具体的な内容をそれぞれ御紹介させていただきます。ひとつめは「エコ・モノ語(がたり)」というのがございます。これは、小学校5年生を対象に、出前授業や教材提供も行いまして、家電製品をテーマに、工業生産を支える人の努力や工夫を学んでもらう社会科、環境教育プログラムです。
    次は特化した内容として、「あかりのエコ教室」です。こちらは小学校4~6年生を対象に出前授業で行っております。当社はいろいろなライティングの事業を持っておりますので、白熱灯、蛍光灯、LEDの違いや特性など実験を通じて体験し、生活での省エネにつなげていただくということを行っております。
    次に、電池教室です。こちらも特化した内容になりますけれども、小学校3~6年生を対象に出前授業を行っております。専用の乾電池の製作キットを使用しまして、マンガン乾電池の単一形の組み立てを行っていただいております。また、特に夏休みには、工場に来ていただいておりまして、別途工場見学なども実施しております。
    次の「エネマネ博士になろう」は、これからのエネルギーを考えるというプログラムです。こちらは教材を提供して、小学校4年生から中学生ぐらいを対象に教材を用いて勉強していただいています。
    今度は「こころの問題」になるかと思いますが、「私の行き方発見プログラム」は、教材を提供しまして、中学生に職業について考えてもらいます。多種多様な役割を持って働くことや自分らしい「行き方」を考えるきっかけにしていただくキャリア教育プログラムです。
    それから、「きっとわらえる2021」というものを、復興支援活動の位置づけで行っています。映像を制作していただくことによってつらい体験を吐き出していただいたり、自分へのメッセージを10年後に集まって見てもらうといったもので、これまでに13校、約5,000人の方々が参加していただいております。
    続いて、施設関連の例を出させていただきますが、理数教育に関する体験型施設を東京とベトナムに持っております。こちらは「リスーピア」という施設で、子どもたちの五感に訴えかけるような体験型の展示をしております。特に理科のおもしろさや驚き、数学の素数などの美しさといったことを伝えて好奇心を育んでいただくというものです。
    加えまして、NPOの支援なども行っています。「Panasonic NPOサポートファンド」では、組織の基盤強化を目的に、企業からNPOに対して助成を行っています。具体的には、コンサルを使って基盤の強化を図るところで支援を行っています。2001年に設立いたしまして、以来、合計170件、2億円ほど助成を行っております。

<3> 意見交換

  • 宮本座長
    それでは、意見交換を20分程度行いたいと思います。大まかに分けて前半の10分程度を「日常生活能力の習得」に使いまして、後半の10分程度で「多様な活動機会の提供」としたいと思います。御意見のある方は御発言いただきたいと思います。
    なお、前回と同様に、できれば各省庁への一問一答の質問というよりは構成員同士の意見交換を中心にしながら、必要に応じて省庁への御質問は入れていただくということで進めたいと思います。
  • 奥山構成員
    明石構成員が御発表いただいたしつけということに関して、私も非常に同感なのです。しつけは、身を美しくと書くにしても、着物のしつけにしても、型を伝承する、そのとおりだと思いますが、型の伝承ということは大人がその型をできなければならない。そのあたりは、先ほどの文部科学省からの御発表でも非常に一生懸命やられていて、少しずつ改善してきているのだというのはよくわかったのですけれども、例えば、スポーツでは機会の提供というのはいいのですが、やはり最近の問題としても体罰の問題が出てきています。殴るという形のしつけ方みたいなところで大きな問題が出てきているのではないかなと思います。殴るというのは醜いしつけであって、美しい型を伝承するしつけができる人をいかに育てるのかというあたりが全体として大きな問題なのではないかと非常に強く感じました。
  • 明石構成員
    先ほど、高校や大学、専門学校などで指導していると申し上げましたが、高校の先生から伺った話では、実際にマナーを教育しようと思っても、先生の言うことは生徒はほとんど聞かない。学校の中では部活の先輩には敬語を使っても先生には使わないというのが今の高校の実情のようです。マナーは家庭科の範疇に入るのですが、そこのモデル校になっているような学校であってもそのような状況と聞いております。先生が、心のあり方あるいはマナーについて指導をするのは大変難しいのかもしれません。
    当協会では、マナーを普及できるような指導者の育成にも力を入れておりますが、文部科学省の「地域に根ざした道徳教育の推進」とは具体的にどのような展開を考えていらっしゃるのか、御説明いただければと思います。
  • 文部科学省
    御承知かもしれませんが、道徳の授業では、国がつくりました「心のノート」のほかに、各地域の独自の教材というものをつくっておられる自治体が多数あります。地域の偉人のことを扱ったものですとか、その地域に伝統的に伝わっている事柄を扱った教材、こういうものを使いながら道徳教育を進めていっているところがいっぱいございます。そういうところに関して国から経費の補助を行って、これまでやっていなかったところもそういう先行事例を参考にしながら、どんどん地域での取組を活性化していってもらうというものでございます。
  • 高塚構成員
    道徳教育であるとか、マナー教育、しつけをやるというのは非常に大事なことだということはそのとおりなのですけれども、加えて、私は、精神的なものをどうやって子どもたちに考えさせるか、身につけさせるかということを少し今の教育は怠っているのではないかと思います。
    平たく言えば、人間が生きるとはとか、死ぬとか、哲学的なものといいますか。私は今、自殺の問題に取り組んでおり、高校生や大学生とディスカッションすることがあります。最近、自殺は自己決定権の一つではないか、今、自己決定はすごく大事だというふうに言われているのだから、その権利の一つとして自殺は認めていいはずであって、何でそんなに自殺を予防しなければいけないのか、そういうことを言う若い人が現実に出てきています。
    これは、生きる死ぬという根源的な問題はそっちへ置いておいて、いわゆる自己決定ということの意味というか、そこだけに焦点を当てた発想である。生きる、死ぬという哲学の問題をきちんと学校教育の中で育んでいない一つのあらわれだろうと私は思います。
    確かに高校では倫理という時間があって、倫理の時間というのはまさに哲学の周辺領域をやるはずなのだけれども、実際のところ、もちろん真面目に取り組んでいるところもありますが、ほとんどないがしろにされているというか、ほかの授業の穴埋めに使われたり、やったとしても本当に上っ面のことしかやられていないというのが正直言って実情です。
    もっと言うと、哲学とか、生きるとか死ぬとかいうことに対して教員自身が果たしてどこまでちゃんと子どもたちに対して育むだけの何かを持っているかどうかということは、甚だ疑問に思うことがしばしばあります。それをやはり学校教育の中できちんと焦点化することもこれからは必要ではないかなという気がします。
  • 嶋崎構成員
    ただいまの意見に賛成なので、続けて申し上げようと思ったのですが、その前に、先ほどの文部科学省の説明に関してお話しさせてください。
    地区の道徳のお話が先ほど出ましたけれども、各学校において道徳地区公開講座ということで地域の方と一緒に道徳について学ぶ機会をたくさん設けておりまして、大変充実しているということを御報告しておきます。また、文部科学省の様々な取組ですけれども、本当にすばらしい取組が多いと実感しております。青少年施設を幾つかめぐらせていただきましたけれども、スタッフの方が意欲も能力も高くて大変すばらしい取組をされています。部活動の充実のところでは、指導者養成も一生懸命やっていただいていますので、大変ありがたいことです。これも今後ともどうぞよろしくお願いします。
    先ほどの高塚先生のお話について、中国やイギリスでは、心の健康教育というものを教育課程の中に入れているという話を聞きました。道徳はもちろん大事ですけれども、規範意識、マナー、そういったものを含めた、教科化は別といたしましても、そういった総合的なものが必要ではないかと感じております。
  • 松原構成員
    コミュニケーションはすごく大切だと思うのです。昨日、授業していまして、クリスマスイブだから学生が出てこないかなと思ったら結構出てきて質問したら、ある学生が「普通にわからないですね」という答えをするのです。まあ、通じているわけです。
    コミュニケーションというのは変容していくものなので、大人がこういうものだと押しつけて、もしそれに仮に従ってしまう子がいたら結構仲間内から浮いてしまうのだろうと思います。そこの、いわゆる日常というのをどういうふうに私たちが評価するかというのはすごく大切です。
    もう一つ、私の反省でもあるのですけれども、学生たちは私たちが大学で持っている実習センターによく出入りをします。そこにはスタッフが3人いて、学生のいろいろな相談や愚痴を聞くわけです。私たちは週に1~2回しか学生と会いません。学生は、日々、自分の時間で行って会えるスタッフのほうに親しみを感じています。もちろんいろいろな行事も大切なのですけれども、日常、大人がどういうふうに子どもとコミュニケーションを持てる時間を保っているか、その中で大人がどういう語りかけをするかが必要なのではないかと思いました。
  • 川邉構成員
    松原先生のおっしゃったことと関連すると思うのですが、「日常生活能力の習得」というテーマでのプレゼンテーションにおいて、明石先生も家庭教育についてご指摘されましたし、福田先生も家庭との連携の重要性をご指摘されました。「日常生活」の「日常」ということに関しては、やはり家庭生活が一番大きなウエートを占めると思うのです。ところが、既にやられていることだからということで項目に入っていないのかもわからないのですが、文部科学省の政策の中では家庭教育については触れられておりません。家庭教育の重要性を考えれば、やはり家庭教育について項目として立てるべきだろうと思います。
    それはしつけというところにもつながってくるわけですが、例えば、小さい子どものお手伝いです。お手伝いをさせて、役割を与える。お手伝いをしたらそれを褒める。そうすることによって子どもの自己効力感が上がるし、家族や学校などでの存在感というか、自分が価値のある存在だというようなことを実感できる。そういったところが日常生活能力習得の基礎になっていくだろうと思うのです。
    知識や概念を教えるのではなくて実際の行動を推奨し、その行動を褒めることを通じてその子たちを育成するという姿勢こそが重要だと思います。また、そのことを通じて、大人と子ども、あるいは子ども同士のコミュニケーションが促進されることになると思います。そういうような政策を展開してほしいと思います。そのためには、繰り返しになりますけれども、家庭教育なり、お手伝いなりというような項目立てをするということが重要なのではないかと思います。
  • 宮本座長
    たくさんおありになるようですが、時間が少し押しているものですから、その次の「多様な活動機会の提供」について御発言いただければと思います。
  • 谷口構成員
    今、構成員の皆さんから御発言があった内容も含めてなのですが、コミュニケーションの問題、規範の問題、体験活動など、取組は進んできていると思っているのです。学校の現場の先生たちも独自に研究会を開いたり、研修会を開いたりして、質を高める活動に日々取り組んでいらっしゃるので、コンテンツの内容はかなり上がってきている。これは間違いないと思っています。
    しかしながら、問題は、学校にいる間にそれを享受できている層とそうでない層が二極化してきているということです。全く届いていない人たちがいるということなのです。大人顔負けの発言をする子どもたちがいる一方で、従来では考えられないような非道な行為をしてしまう、逸脱行動をとってしまう、そういった若者たちもいるということをしっかりと見つめていかなければいけないと思っています。
    効果が薄い層にどのように対策を打つのか、これはどの施策を打つにしても考えていく必要がある。特に今回の議題でいえば、やはり家庭の存在というのは非常に大きくなりますから、学校に所属がある間にいかに家族支援も含めて家庭に積極的にアウトリーチ、アプローチをかけていけるのかという視点がまず1つ必要なのかなと思います。
    また、もう一つの視点としては、学校教育からドロップアウトあるいは離れてしまった後にどのように補って機会を提供していくのかというところを考えていく必要があると思います。地域若者サポートステーション事業というものは、若年無業者などの職業的な自立という切り口ではありますが、学校で補えなかった体験の機会などを提供する活動を組み合わせて支援している。コミュニケーションに関しても、個々の価値観であるとか、文化であるとか、コミュニケーションパターンなど、きめ細かな見立てのもとに日常的な訓練の場を提供しているサポートステーションもあります。そういったところをしっかりと活用していく必要があるのかなと思っているところです。
    文部科学省は、厚生労働省の施策である地域若者サポートステーションとの連携についてどのようにお考えになられているのか、一言聞ければありがたいかと思います。
  • 文部科学省
    学校現場、それから地域との連携というのは重要だと思っていますので、地域若者サポートステーションを含めて、我々としてもいろいろな社会資源、地域の資源など活用しながら進めていきたいと思います。
  • 奥山構成員
    「多様な活動機会の提供」という文部科学省の資料の中に「東日本大震災を踏まえた青少年の体験活動」というのが入っております。地域での活動ということなのですけれども、大震災からの復興の遅れということが子どもたちにかなり影響しており、遊び場も少ないですし、静かに勉強する環境も少ないです。東日本大震災の被災地域の子どもたちに対してどのようなことをしていったらいいのか、この時期、特出しで考える必要があるのではないかと思っているのが1つと、もし文部科学省の取組で特別なことがあったら教えていただければと思います。
  • 文部科学省
    確かに、特に福島県を中心に子どもたちが外で思い切り遊べる機会が少ない。あるいは健康のデータを見ても肥満の子どもがかなり多くなっているデータがございます。
    復興特別会計の中で、遊び場の整備、屋内運動場の整備への交付金でありますとか、教育の分野では復興教育支援事業といったモデル的なものを開発するような予算でありますとか、あるいは来年度予算の中で、特に福島の子どもが自然体験あるいはほかの地域の子どもたちと交流できる予算など、予算面でも力を入れて取り組んでいるところでございます。
  • 奥山構成員
    ありがとうございます。非常にいいのですけれども、実は、宮城、岩手も校庭が仮設になっていて、ほとんど遊び場がないというところが結構ありますので、そちらのほうにも目を向けていただければと思います。
  • 高塚構成員
    資料の中で自然体験活動への参加が10年前と比べて非常に減少しているというデータがあります。
    かつては、いわゆる青少年教育、学校外教育という分野でかなり充足が図られていたと思うのです。しかし、今日の文部科学省のプレゼンテーションの中でも、学校外教育や青少年教育という文言が一切出てこない。これは何か政策的な理由があるのかどうか、お聞きします。
  • 文部科学省
    体験活動の中でも青少年教育施設の話に触れていると思いますけれども、先ほど御紹介しました資料1-3の2ページ目、3ページ目で、体験活動の推進について、学校教育のみならず、社会教育あるいは青少年教育の中での施策の充実ということもうたっております。決して青少年教育を後退させているということではないと考えております。
  • 高塚構成員
    例えば、国立青少年教育振興機構などを中心に全国の青少年教育施設などでいろいろやっていることは私も承知しています。しかし、そこで青少年団体などが今までいろいろとやっていた行動を全部肩がわりするというのは無理だと思います。
    もう一度、学校外教育の意味とか、青少年教育の意味というものを考え直して、それもきちんと施策の中に、かつてのやり方がまずかったのであればそれを修正した上で、新たに展開すべきだというのが私の意見です。

イ 学力の向上、大学教育等の充実、経済的支援の充実

<1> 文部科学省からの説明(資料1-6、資料1-7、資料1-8)

  • 文部科学省
    資料1-6をお願いいたします。「学力の向上」についてでございます。
    「確かな学力の確立」といたしまして、新たな学習指導要領に基づきまして、基礎的・基本的な知識・技能と、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力・主体的に学習に取り組む態度等の確かな学力の育成に向けて取り組んでいるところでございます。特に新しい学習指導要領では、言語活動、理数教育、伝統や文化に関する教育、道徳教育、体験活動、外国語教育等の充実をうたっているところでございます。
    また、新学習指導要領の円滑かつ着実な実施に向けまして、悉皆調査である全国学力・学習状況調査、教職員定数の改善、新たに必要となる補助教材の作成・配布などを行っているところでございます。
    学校教育の情報化という点につきまして、学校教育におきますICT活用に関する実証研究の実施、あるいは児童生徒の情報活用能力に関する調査の開発・実施などを行っております。
    進捗でございますけれども、全国学力・学習状況調査によりまして、授業の理解度「よくわかる」「だいたいわかる」と回答した子どもの率が上昇傾向にございます。先般公表されましたPISA(OECD生徒の学習到達度調査)2012、3年ごとに行っている調査でございますが、この結果におきまして、数学リテラシー、読解力、科学リテラシー、いずれにおいても比較可能な調査回以降最も高い点数でありました。OECD加盟国中におきましても、数学リテラシーが2位、読解力1位、科学リテラシー1位といった形で国際的に高いという結果が出ております。
    情報化につきましては、先ほどの実証研究を行っておりますし、児童生徒の情報活用能力に関する調査を小・中各100校程度におきまして今年度実施しているところでございます。
    課題と今後の方向性でございますけれども、一層こうした取組を進めていく、あるいは今年6月に決定いたしました教育振興基本計画などの内容に沿って進めていくということでございます。
    2ページ目は、小・中学校の新しい学習指導要領の改訂のポイントでございます。先ほど述べましたように、言語活動あるいは理数教育などの項目がございます。3ページ目は、高等学校におきます新しい学習指導要領の改訂のポイントです。4ページ目は、全国学力・学習状況調査の実施についての資料でございます。5ページ目は、教職員定数の改善ということでございます。メリハリをつけながらということで、昨日の来年度予算案におきましても、小学校の英語、いじめの対応、道徳教育の充実などにメリハリをつけた対応を行っているところでございます。7ページ目は、ICT活用の実証研究で、総務省と連携して行っております。8ページ目は、情報教育の推進に関する調査研究の概要でございまして、昨年度から3カ年の計画で実施しております。今年度、実際に小・中学校100校程度で調査を実施しております。9ページ目は、先ほどのOECD生徒の学習到達度調査(PISA)の概要でございます。下に経年グラフがございます。10ページ目は、国際比較の表でございます。
    引き続きまして、資料1-7「大学教育等の充実」に係る部分でございます。
    大学設置基準の改正によりまして、各大学が教育課程の内外を通じて社会的・職業的自立に関する指導などに取り組む体制の整備を行っております。また、大学の認証評価制度によりまして、大学の教育研究の質を維持・向上させるという取組を行っております。専修学校教育の振興につきましては、専修学校における学校評価ガイドラインの策定、成長分野等における中核的専門人材養成の推進、産官学共同で成長分野におきます中核的人材に力を入れるということでございます。
    進捗状況ですけれども、キャリア教育に取り組む大学やボランティア活動を取り入れた授業科目を開設する大学が増加しているところでございます。また、認証制度につきましては、学生募集停止を決定した大学を除きまして、全ての大学が評価を受審しているところでございます。
    課題としては、平成24年8月の「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」という中央教育審議会の答申がございますが、これを踏まえまして、これからの時代を生き抜く力を育むために学生の主体的な学習を重視した大学教育への転換の推進などに取り組んでいるところでございます。
    今後の方向としては、先進的な大学教育改革の取組の支援、教育振興基本計画を踏まえた取組、大学の質保証システム全体のあり方についての審議などを行っているところでございます。
    以下、参考資料ですが、2ページ目は、大学設置基準等の中で社会的・職業的自立に向けた指導という観点を織り込んだ点についての資料です。3ページ目は、大学の認証評価制度についての資料です。4ページ目は、専修学校におきます学校評価ガイドラインについての資料です。5ページ目は、成長分野におきます中核的専門人材養成の戦略的推進に関する資料です。6ページ目は、平成24年8月に出ました「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて」という中教審の答申に関する資料です。
    続きまして、3点目の「経済的支援の充実」につきまして、資料1-8をお願いいたします。
    1ページ目の「<5>経済的支援の充実」でございます。教育振興基本計画などにおきましても、我が国におきます今後の教育投資のあり方について家計の教育費負担の軽減ということが課題として掲げられております。
    幼稚園におきましては、入園料や保育料を軽減する取組を行っております。
    小・中学校におきましては、経済的理由により就学が困難と認められる小・中学生に対する学用品の援助などを実施しております。
    高等学校におきましては、平成22年度より、いわゆる高校の無償化ということで、授業料支援として公立学校については授業料の無償化、私立学校には就学支援金の支給をしてまいりました。先般、臨時国会で法律が改正されまして、所得制限が来年度から施行されます。そのかわりに低所得者に対する加算の充実、給付型の奨学金の創設などを行っております。
    大学におきましては、学生支援機構が実施します奨学金の充実などを行っているところでございます。
    進捗状況でございます。幼稚園について第2子以降の保護者負担などにつきまして、保育所と差があるということを記載しておりますけれども、これは昨日、来年度予算が決定しましたけれども、来年度予算案において幼稚園の就園奨励費補助は保育所と同等にするとなっているところでございます。高等学校につきましては、経済的理由によって高校を中退した数は減少が見られているところでございます。大学につきましては、奨学金の充実ということでございます。
    課題と方向性でございますけれども、幼稚園につきましては、来年度予算で一定の前進が見られたということでございます。高校につきましても、今回、制度改正を行いました。代わりに私立高校の就学支援金の加算の拡充、奨学のための給付型の制度の創設を予定しているところでございます。大学につきましては、特に無利子の奨学金を中心に拡充を図っているところでございます。
    2ページ目は、幼稚園の就園奨励費補助の概要となっております。多子世帯の部分は、現状になっておりますけれども、来年度予算案の中で改善を予定しております。3ページ目は、義務教育におきます就学援助の概要です。4ページ目は、高校の無償化に関する資料です。5ページ目は、法改正によります制度改正の概要です。6ページ目は、法律改正による制度改正を説明した資料になっております。7ページ目は、都道府県が行っております高校生修学支援基金によります助成の概要です。8ページ目は、日本学生支援機構によります大学等の奨学金の事業の概要となっております。

<2> 古賀構成員からのプレゼンテーション(資料1-9)

  • 古賀構成員
    言いたいことを2点ほどにまとめてみます。1点目から簡単にお話しします。
    高校の教育について私はずっと研究しておりまして、今回、東京都の中途退学者調査をやらせていただいたのですが、内閣府も細かくやられておりますし、その部分の繰り返しを言う必要もないと思うのですが、私、ずっとこの調査を通して感じているのは、「最後の砦」として高校があるということです。今までですと私教育といいますか、家庭的な教育を基盤にして高校が委託された形で教育のある部分を担うという状態だったのが、反転し始めている。高校の側が一生懸命支えないと家庭が揺らいでしまっていて、なかなか支え切れない人たちがいるという現実がございます。
    いわゆる福祉的な要素、経済支援的な要素、あるいは労働の入り口としての要素、いろいろなものを学校が「最後の砦」として持っている。文部科学省の皆さんも御存じのように、現状においては、例えば東京都ですと、大学に行く方が7割弱もいて、高等教育が非常に拡大していることは事実なのですが、その手前での高校の教育のところをどう設計するかというのを考えないと今の問題にアクセスできないのではないか。大学まで行く人たちもいるけれども、その前提として市民教養を獲得できる場として高校を設計していかなければいけないのではないかと感じます。
    現場の人たちの言い方で言えば、よりよい納税者になれる人をつくる、こういう言い方があります。今後の社会形成の中軸的な、中堅的な人材をいかにつくるかが高校の大きな課題になっているし、そのためには、先ほどから出ていますような、基礎学力、生活能力、あるいはイギリスの健康教育などに見られるような、生きる力やダイバーシティーを大事にする教育をしなければならなくなっているのではないかということがあります。
    中途退学者調査の結果を見ますと、実は退学している人たちの中心的な問題は「生活リズムの混乱」にあるということがわかってきました。学校へ行くというような日常生活の規則正しい暮らしが難しい。例えばお母さんやお父さんが起こしてくれて学校へ行かせてくれるような高校生もいるが、一方でそういうことが一切ない人たちもいる。現実に、東京都の場合ですが、今回の退学者の約4割はシングルな状態の家庭であるし、非常に厳しい環境を持っていて、通学すること自体が非常に難しくなっている。要するに、学校へ行く手前でいろいろな問題が起きて、止まってしまっている状態があるということがわかってきました。
    そのことと学力の問題、成績の問題が非常につながってしまっている人が多いし、また友人関係の歪みもそれとつながってしまっている人が多い。つまり、通学するための基礎的な生活習慣や能力をまず育むことが必要だし、そのフォローアップが要るという結果になっております。細かいことはお渡しした資料を読んでいただければと思います。
    もう1点重要なことですが、中途退学者調査をして今回ぜひ見つけたいと思っていたことは、退学した後どうなるかということです。つまり、セーフティーネットから外れた人は何をするのかということです。調査しました時点と退学しました時点で大体2年強ぐらいのラグが生じる場合が多いのですが、その2年間ぐらいの間で平均約5カ月の期間を学習も就労も何もしないで過ごす人が多い。また、調査の時点に比べて退学の時点では学習をやっていた人が多いが、2年の間で約10%「学習試行」の人が減少してしまうということです。つまり、学習離れが起きてしまうということです。学習を促進する資源や環境が乏しいということではないかと思われます。この部分のフォローアップをどうやってするかということは、学校に行っている人たちのあり方を考える上でも重要ではないか。いろいろな意味で学習志向が全くないわけではない。特に進学校を中心にいろいろな退学を経験する人たちの中には、メンタルな課題を抱えている人も多くて、そういう人たちにとっては学習の進め方が依然として重要な課題です。これに対してのフォローの入り口がないことが問題になっているということをお話ししておきます。
    もちろん、就労も重要なのですが、学習への志向もやはり10代では重要です。ポスト青年期が長く延びている中で、我々が例えば30歳ぐらいまでの人生をどう設計するかというときに、こういう問題に応える術を持っていないのではないかと思うわけです。ですから、この辺は一工夫が要るのではないか。学校という網の目から外れてしまったとき、どんな入り口を考えていくことができるかを検討していく必要があると思っております。
    学習志向のある人たちの中の10%以上の人が退学した高校へ再び戻って情報を得ているという現実があります。これをどう考えるか。本当は嫌だったはずの学校に再び戻っていろいろな情報を得ているということは、学校という場所はやはり制度的にも組織的にもしっかりしているし、文部科学省の皆さんも御存じのように、依然として学校でできることもかなりあるのかなと思います。
    その辺のところの工夫も考える必要があるし、同時に、ある種の学習志向の人たちが病院や精神保健福祉センターに行っているケースが多かったり、あるいは就労の人たちはハローワークに行っているケースが多くあったりして、求められる支援の質が大分違っていっています。つまり、インテークをしてきちっと問題を見極めて対処していかないといい支援にたどり着かないという実態がわかります。このことをぜひ考えてみる必要があるのではないかと思っています。
    その点でいろいろな資料をお配りしたのですが、幾つかの都立高校などでは外部資源を導入して、NPOや、先ほどお話しされました企業の方々が、いろいろな市民教養の教育を実践してくださっています。こういったことが、いわゆるサービスラーニングとして今後、高校の教育にとっても非常に必要ではないかと思っておりますので、ぜひ促進していただきたいと思っております。

<3> 意見交換

  • 宮本座長
    ありがとうございました。それでは、今、3つのセクションに分かれた御報告をいただいているのですけれども、時間の関係もありますので、区切らずに3つのテーマを一緒に御意見をいただければと思います。
  • 原田構成員
    学力の向上と経済的支援の両方かかわってくるかなと思うのですが、今、大学に行こうとしている多くの人たちが、高校だけではなくて予備校に通ったり、家庭教師を入れたり、公ではない外部の資源によって進んでいる傾向がかなりあるのかなと思っています。それは多分、都会に行けば行くほど多いですし、地方でも今までなかったような衛星予備校みたいな形で多くの予備校が出てきています。
    結果的に、家庭が経済的に困難であったら、学校で勉強するだけで結局大学に行けない子どもたちが増えてきます。そのあたりについてもうちょっと国の施策であるとか、言ってしまえば公ではない、小・中・高ではない予備校に通うのに対してでも何か支援するとか、もしくは予備校にかわるような、もっと進学に特化したものを小・中・高の中で入れていくとか、そのようなことについて何か手を打たなければいけないのではないかと何となく今、考えています。
    塾、家庭教師、予備校のことについてどういうお考えなのか、教えていただければ幸いです。
  • 文部科学省
    今のところ、公の制度としては、予備校、家庭教師への支援というのはありません。入った後の高校ないし大学の奨学金という形で進学を支援するというところが公的な支援としては現状ではないかと思っております。
  • 植山構成員
    学校が最後の砦になっているというお話は私の臨床実感とも大変フィットするものなので、興味深く伺わせていただきました。
    先ほど地域若者サポートステーションと文科省関係の施設との連携はどうかというような御質問がありました。特に学習への希求度といいますか、学習を求めるパーセンテージが10%ということもありますので、就労だけでなく学習の問題や福祉的な要素も加えて、本当の意味でのワンストップの機関に、地域若者サポートステーションがならないかなというのは前々から思っております。それこそ、健康に対する不安や食に対する不安、毎日の食事もちゃんとできないような御家庭の高校生もいますし、高校生年齢は小・中と違って持ちこたえてきている子どもたちなので、気づかれないで高校までやってきていて、初めてネグレクトがわかるということが出てきています。ぜひ省庁を超えた形で包括的な支援ができないかと考えておりますので、御検討いただきたいと思います。
  • 相原構成員
    今、御報告いただきました高校が最後の砦というところについて、私も植山構成員と同じように感銘を受けています。
    最近、海外の教育制度を勉強しているのですが、高校の段階で学力だけではなくてほかの面のフォローもちゃんとやっているというのは日本の非常にいいところで、それ以上のサポートをしているというのは非常に評価されるべきところではないかと拝見しました。ドイツも、私の知識が違っていたら御指摘いただきたいのですけれども、そういう面が顕著である。そこは本当に先生たちが頑張っているところがあると思っております。
    私の個人的な経験でも、事件を起こした少年が学校に繋がっているときというのはかなり希望が持てて、家裁などの審判においても先生方のフォローというものに期待が大きい。17歳ぐらいのところをボーダーにして、親、大人に幻滅している人が多いのに対して、そこで何らかのモデルを示していくというのは、いわゆる学力プラスというか、それ以上の部分もかなりあるのではないかなと感じておりますので、そこら辺をうまく表現していただきたいというふうに意見として申し上げます。
  • 明石構成員
    小学校から外国語が導入されるということに関しては、私は個人的にも非常に関心がございます。日本語もおぼつかないといったらおかしいですけれども、先ほどのお話でもお伝え申し上げましたが、日本語、敬語が身についていない人が増えている現状で低学年から外国語を導入する。導入することはグローバル人材の育成というところで必要なことと判断されてのことと思うのですけれども、それと併せて日本語教育についてはどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。具体的な計画を伺いたいと思います。
  • 文部科学省
    今回の新学習指導要領では外国語活動は小学校5・6年生から導入いたしました。一方で、こちらの資料にも書かせていただいておりますが、言語活動の充実として、国語を中心に各教科横断的にそれぞれ記録をしたり、他者への説明をしたり、教室で討論したり、ある作品を批評したりする能力をしっかり身につけさせたいと考えております。外国語活動も大事ですけれども、こういった言語活動の充実を通じて日本語での説明ですとか、そういった能力もしっかり身につけていただければと思っております。
  • 明石構成員
    1つだけお願いしたいのは、やはり言葉は生きているものなので、間違った言葉遣いも使われ続けるとそれが正しい言葉遣いのように変わってきたりします。今、御説明いただいたのは、話したり説明したりするアカウンタビリティー能力であり、これはコミュニケーション力というところでは非常に重要な要素だと思うのですけれども、正しい日本語という言語を後世にきちっと伝えていくという視点もぜひ持っていただいて、そういう指導強化をしていただきたいと思います。
  • 古賀構成員
    学力には非常に幅の広い内容が入ってきたと思うのです。いろいろな活動をしたときに、それをちゃんと評価してあげなくてはいけないと思うのです。今、評価がないので、活動だけやりっ放しで終わっているケースが多い。活動をちゃんと評価してあげて、欧米の履歴書のように、アクティビティー、つまり自分のやった活動がその人の学習履歴として残って就職につながる、そういう方法論も御検討願えないかと思います。
    そうすることによって多様な活動が生きてくると思うのですが、今そこが、一生懸命やられている先生方はいっぱいいらっしゃるのですけれども、見えにくいので、もうちょっと見えやすくならないかなと感じているところです。
  • 高塚構成員
    古賀構成員と少し意見が異なるかもしれないのですけれども、先ほど文部科学省の説明でもあったように、コミュニケーション能力、対人関係能力、そういうものを重視する、そのこと自体は決して悪いことではないし、間違ってはいないと思います。
    ただ、ひきこもり化していく若者たちというのはそういうものが最も苦手だし、苦痛に感じている若者が多いのです。結局、今の学校の教育内容に対して乗れない。しかし、それを先生たちから、ある意味では一定の基準に照らして評価されてしまう。そこからどんどん後退していくような傾向が、ひきこもり化する若者たちには随分見られるわけです。
    コミュニケーション能力に関する教育を充実しようという方向性はいいのだけれども、それに乗れないタイプの子どもたちをどうしていくかということをやはりきちんと視野に入れてやっていかないと、ますますひきこもり化する若者をふやす結果になりかねない、そういう危惧を抱いています。そこを少しお考えいただきたいという気がします。
  • 古賀構成員
    「評価」という表現は分かりにくかったかとも思いますが、「反省的に考える」ということが必要だと言いたかったのです。点数をつけるという意味ではないです。そこはもし誤解があれば訂正させてください。
  • 植山構成員
    高塚先生の御発言を伺って一言言っておきたくなったのは、大学への進学を希望している生徒もいると思うのですけれども、大学になぜ行きたいかということですね。高度な教育を受けたいとなぜ思うかというと、そうしないと生きていけないからと思っている生徒のほうが多くて、例えば私がずっと勤務している指導困難校と言われているような学校では、本来だったら上の学校に行きたいわけではないのだけれども、生活できないから行こうみたいな発想の生徒もいるわけです。ひきこもりになりやすいタイプや発達障害の子どもたちは、そうではない生き方のほうがその子らしい生き方ができるにもかかわらず、ほかの選択肢が現時点ではないから、行くという生徒もたくさんおります。
    経済的な問題も含めて、私は、北欧のスタイルがもしとれればいいなと思っています。幼・小児期から対話をベースにした自分の生き方を自己選択していくという学習を続けています。アメリカのようなコミュニケーションスキルの教材といったものは北欧にはないのですが、対話して自分で自分のことを決めていくというプロセスを経ていくことによって、その生き方を決めることができる。なおかつ、オルタナティブな学校というのが認められているわけで、デンマークのフォルケホイスコーレというのは、いわゆる農民学校と言われているところがルーツですけれども、自分に合ったフリースクールを選んで、公教育の課程として認められるという部分もあるわけです。
    生涯学習の一環として、先ほどのテーマで保護者の教育も必要ではないかというお話が出たのですけれども、学び直すチャンスとしていつでも学びに行けるという場が保証されていることは大きいと考えております。無償で大学まで北欧のように行けるのは難しいかもしれませんけれども、何かそのようなオルタナティブなものも考えていただけたらいいなと思っております。

(2)健康と安心の確保

「健康の確保・増進」と「相談体制の充実」について、大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料2-1)した後、以下のとおり議論を行った。

<1> 関係府省からの説明

1) 健康の確保・増進(資料2-2)

  • 文部科学省
    「思春期特有の課題への対応、健康教育の推進」については、学習指導要領に基づきまして、喫煙、飲酒、薬物乱用、感染症などについて総合的に解説した教材などを活用しまして指導を行っております。また、養護教諭と関係教職員が連携した組織的な保健指導などを行っております。薬物乱用防止教育の充実を図るため、厚労省あるいは警察庁と連携いたしまして、小・中・高校におきまして薬物乱用防止教室を開催しております。性に関する指導につきましても、体育科、保健体育科、特別活動、学校教育全体を通じて指導を行っております。
    進捗の状況ですけれども、薬物乱用防止教室につきましては、開催しているところが多くなってきております。また、小・中・高等学校におきます学校保健委員会の設置率は91.6%です。学校保健委員会というのは、小さい字で書いておりますけれども、学校の中でさまざまな関係者、学校医なども含めまして、健康に関する課題を研究協議する組織でございます。
    課題としては、薬物乱用教室などの実施率に差が見られ、特に私立学校における実施率が低い。学校保健委員会につきましては、開催率が全体では91%ですけれども、かなり都道府県によって設置の差がございます。そのあたりが課題と認識いたしております。
    2ページ目、3ページ目は、「学校すこやかプラン」ということで、今年度の予算でございますけれども、学校、健康に関します予算の概要でございます。参考にしていただければと思います。4ページ目は、中学校におきます保健教育の新しい学習指導要領を踏まえた指導参考資料の作成をしているという資料でございます。
  • 厚生労働省
    資料で申しますと5ページ目でございます。
    (1)の大綱から現在までの取組は<1>から<6>までございます。<1>から<3>については医療関係、<4>から<6>については保健の分野でございます。
    <1>は「地域で安心して産み育てることのできる医療の確保」ということで、総合周産期母子医療センターが県に1つあるわけでございます。さらに、それを二次医療圏ごとに支えます地域周産期母子医療センターがありますが、それぞれの新生児集中治療管理室(NICU)の運営費の補助を実施しております。
    <2>は小児の分野でございますが、小児救急センター等の施設の完備、それから小児救急電話相談事業、「♯8000」として周知されておりますが、そうした事業を実施しております。平成24年度における診療報酬上の評価においても周産期あるいは小児の分野の評価を充実させております。
    <3>は妊婦健診の公費負担実施ですが、全体で14回実施しておりますけれども、平成25年度から地方財政措置がなされております。
    <4>は「健康日本21」におきまして、たばこ対策、アルコール対策を推進しております。
    <5>は性感染症に関する正しい知識の普及啓発ということで、それぞれの対応をしております。
    <6>は「健やか親子21」でいろいろと指標を定めておるわけでございますけれども、人工妊娠中絶の実施率や思春期やせ症の発生頻度の減少を図る取組を推進してまいりました。
    (2)は進捗の自己評価でございます。<1>はNICUの病床数でございますけれども、2,310床から2,765床まで増加しております。<2>は電話相談の対応でございますけれども、平成22年7月から全都道府県で実施しております。<3>は妊婦健康診査の公費負担でございますけれども、必要な回数以上、これは先ほど申し上げましたが、14回以上公費負担がなされておりまして、全ての市町村で実施されております。<4>につきましては、資料を飛んでいただきますが、12ページ、13ページで数字をごらんいただけますので、おめくりいただきたいと思います。「健康日本21」で飲酒あるいは喫煙の数値の目標あるいは現状値をお示ししております。例示で申し上げますが、12ページの真ん中ほどを御覧いただきますと「未成年者の飲酒をなくす」ということで、中学3年生、高校3年生の男女でそれぞれのパーセンテージが出てきております。たばこにつきましても、13ページの未成年の喫煙をなくすための指標でございますが、高校3年生、中学1年生の数字が出ております。これはあくまで現状値でございます。5ページでございますが、<5>の性器ヘルペス、尖圭コンジローマ等の感染症の罹患率につきましては、減少傾向にございます。<6>の人工妊娠中絶の実施率等につきましては、15ページをごらんいただきますが、「健やか親子21」で最終評価を行っているシートをお持ちしました。10代の人工妊娠中絶実施率でございます。平成12年が12.1、最終の評価が平成23年で7.1ということで、数字としてはかなり減少していると思います。
    自己評価でございますけれども、現在の課題として(3)で整理をしております。<1>の周産期の分野につきましては、NICUの数が全体として伸びているわけでございますけれども、一部の県、19県ほどでございますけれども、出生1万人当たり25床に満たないような状況でございます。<2>の電話相談につきましては、もちろん全県でやっていただいているわけでございますけれども、対応できていない時間帯がある。24時間対応ではないということでございます。<3>の妊婦健診でございますけれども、先ほど14回と申し上げましたが、検査項目によっては全県で多少ばらつきがございます。残りの指標につきましても、目標値に対して現状値に格差があるということでございます。
    方向性としてはその目標に向けて取り組ませていただくということでございます。

2) 相談体制の充実(資料2-3)

  • 文部科学省
    1ページ目の「学校における相談体制の充実」でございます。子どもが抱える課題の未然防止あるいは早期発見・早期対応のため、養護教諭と関係教職員が連携した健康相談、保健指導を行っております。具体的には、児童の臨床心理に関して専門知識・経験を有するスクールカウンセラーの配置、あるいは社会福祉の知識も有し、児童相談所等の関係機関とのネットワークにより子どもを支援するスクールソーシャルワーカーの配置、あるいは教育委員会におきます24時間体制の電話相談などを実施しております。
    進捗状況でございますが、先ほども御紹介しましたが、学校保健委員会の設置率は9割、スクールカウンセラーの配置につきましては、公立中学校におきましては全校配置でございますが、公立小学校におきましてはまだ65%、スクールソーシャルワーカーにつきましては、予算上の人員でございますが、1,355人、来年度は1,466人の予定でございます。
    課題といたしまして、学校保健委員会につきましては、先ほどと同様、都道府県によって設置率の差があること、スクールカウンセラーにつきましては、公立中学校においては全校配置の予算は措置しておりますけれども、小学校においての配置拡充を図る必要があること、またスクールソーシャルワーカーについての一層の配置の拡充、スクールカウンセラーにつきましては、量だけではなくて資質の維持向上が課題であると認識いたしております。
    今後の方向といたしましては、引き続き、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカー等を配置、あるいは資質の向上を図りながら、相談体制の充実に努めていきたいと考えております。
    資料でございますが、2ページ目はスクールカウンセラーの活用に関する資料、3ページ目はスクールソーシャルワーカーに関する資料でございます。
  • 厚生労働省
    資料の4ページをお開き願います。まず、保健分野について説明します。
    (1)の現在までの取組でございますが、<1>は、地域の親子の交流促進や育児相談を実施するための地域子育て支援拠点の整備を図ってきております。<3>は、子どもの心の問題に対応するために各都道府県に拠点病院を設けていただくということで、子どもの心の診療ネットワーク事業を実施しております。
    進捗状況は、<1>の支援拠点につきましては、全国で7,860カ所、<3>の診療ネットワークにつきましては、10カ所程度と記載しておりますが、全国で現在、15カ所、15都府県に実施していただいております。
    課題でございます。<1>の拠点につきましては、子ども・子育てビジョンの目標が1万カ所でございますので、まだその間に隔たりがございます。
    <3>は、23年度実施していただいているところは15カ所あるわけでございますけれども、引き続き増加を図っていただくということで努力してまいります。
    方向性につきましては、それぞれの事業の拡充ということで考えさせていただいております。
    引き続きまして、福祉分野につきまして、4ページの<2>と<4>の御説明をさせていただきます。
    まず、大綱策定から現在までの取組ですが、平成24年4月に児童福祉法が改正されておりまして、児童発達支援センターで就学前の障害児の方々に行う支援などがございますが、そのような通所での支援を行う場合に、具体的な支援のあり方などにつきましてマネジメントを行う障害児相談支援を行っております。その計画を市町村に提出する形になっているところでございます。
    また、それとあわせまして、思春期のお子様方に関する相談対応ということで、精神保健福祉センターや各自治体の保健所におきまして、相談対応なども実施しております。
    進捗に係る自己評価のところにつきましては、障害児相談支援の体制、先ほど申しました障害児の通所支援を利用することにつきましての計画の作成は、直近で言うと8月時点のデータでございますが、月に7,000~8,000件ぐらい行われている状況でございます。
    また、思春期に関する相談対応ということで、精神保健福祉センターにおきましては約1万7,000件弱、これは平成24年度でございます。保健所におきましては約8,400件強、これは23年度でございますが、そのような形の相談対応を行っているところでございます。
    認識している課題といたしまして、障害児の支援の計画、<2>の関係でございますが、これにつきましては、件数自体は今後伸ばしていかなければいけないものと考えておりますので、そのための体制整備を自治体に行っていただく上での支援なども国のほうで進めていきたいと考えております。<4>につきましても、今後、相談内容の多様化が進んでいる中での対応が必要と考えております。
    今後の方向性といたしましては、引き続き、現在の体制の整備に努めていきたいと思っております。

<2> 奥山構成員からのプレゼンテーション(資料2-4)

  • 奥山構成員
    子どもが健康に生きる権利を守るということを考えまして、4つのことを話させていただければと思います。「防げる死」から子どもと若者を守ること、予防・早期発見早期介入の推進、医療へのアクセスの問題、最後が健康教育の問題で自らが健康を追求する力を育むということです。
    まず、「防げる死」、プリベンタブル・デスと呼ばれますが、医療というのはどちらかというと亡くなる方を何とか助けてきたのですけれども、本来防げるところを防ごうということは重要だろうと思います。
    死因で見てみましても、小児の死亡の原因で15歳未満は、やはり不慮の事故が非常に多い。思春期後期から若者の死亡原因の1位は自殺でございます。両方ともプリベンタブル・デスということになると思います。
    不慮の事故の0歳から24歳までの死亡総数に対する割合を書いてございますけれども、少しずつ減ってきてはいますが、それでも15%を占めています。2011年は東日本大震災で増えたのだと思います。自殺は20%を占めているということで、やはり死亡の中で多いパーセントです。0歳が入っておりますが、0歳は自殺はない年代ですから、それも入れてのパーセントなので、かなり多いと考えていただいていいと思います。
    次は、厚生労働省が把握した虐待死の数です。年間修正値という形になっていますけれども、おおむね100例ぐらいが毎年虐待で亡くなっています。これもプリベンタブル・デスということになります。
    死亡個票は限界があります。正しい診断かどうか、最後の診断が心不全か何かになっていることが結構多くて、やはりそこの問題があることや、医学的には死因が頭蓋内出血でも虐待による死亡という場合もあります。そして、死に至る詳細は不明であるということ、そのような中で「防げる死」をどのように防ぐかということで、チャイルド・デス・レビューというのがほかの国で行われるようになってきております。もともとは1978年にカリフォルニアで虐待死を見つけることを考えて始められたのですけれども、プリベンタブル・デス全体に広がってきています。
    子どもの死の検証では、多職種(医療、福祉、警察、司法、行政、教育など)が集まってどうやったら防げたのかということを考えます。Healthy People2000、これは「健康日本21」のアメリカ版と考えていただいていいと思いますけれども、そこに組み込まれてアメリカ各州で行われるようになり、イギリス、オーストラリア、その他アジアの国々にかなり広まってきております。
    施策の策定に役立っていて、日本では研究が少し始められたのですが、やはり法律の壁が厚いということがわかって、なかなか先へ進まない現状があります。アメリカのいろいろな州で施策に役だった例です。やはりこういうことをやっていかないと子どもの死を防ぐということがなかなか難しいのではないかと思います。
    次に、予防、早期発見・介入ですけれども、これは先ほどちょっと出てきました予防接種の問題です。少しずつ御努力いただきまして、日本でも予防接種が増えてきたわけですけれども、ほかの国に比べて予防接種が少ないということがありますので、引き続き努力をお願いしたいと思います。
    病気のスクリーニングから、もう少し機能の問題あるいは親子関係の問題ということが健診などでは重要になってきているのではないかと思います。これらの問題は多分野の協働が必要ですので、やはり連携が非常に重要になってきていると思います。
    特に事故(外傷)ですけれども、国を挙げた事故防止ということで、事故のデータベースの構築、事故の検証、先ほどのチャイルド・デス・レビュー、こういうものを組み合わせていかないと事故の予防につながっていかないのではないかと思います。特に必要なのが事故のレビューだと思うのですけれども、例えば厚生労働省だけで何とかなるというわけではないので、厚生労働省や消費者庁など含めていろいろなところが連携して当たっていただきたいと思っています。
    傷害予防に求められる包括的アプローチの図表です。非常によくできていると思いますが、ただ、こうして子どもを事故から守ってください、24時間見ていてくださいといっても、親は24時間見ていられるわけがないので、行動をどう変容させるかという右側のループ、新しい製品が子どもに危なかったりしますので製品改善という左側のループ、両方を一緒にして事故予防ということに努めていかなければならないのではないかと思います。そういう意味では経産省なども関係してくる問題ではないかと思っています。
    もう一つ、妊娠期の対応の問題です。周産期の医療が充実してきたということは非常にうれしいのですけれども、制度があっても利用しない、健診に来ない方々がおられます。現在の日本の平均では1,000人に対して4.2の死亡率が、健診に来ない方々では1,000人に対して19.5の死亡率ですごく高いのです。妊婦健診未受診の方へのケアや、私たちが臨床をやっておりますと妊娠中に胎児の異常が発見されることがすごくふえてきておりまして、そういう妊婦さんへのケアというのがまだまだ充実していないことを考えて、妊娠期の相談体制の強化というのは非常に必要ではないかと思っています。
    アクセスですけれども、どこへ行っても同じように医療を受けられるという意味では、専門医制度やガイドラインとか非常に努力してきていますので、徐々に充実してきていると思いますが、小児科医の不足ということがあります。一般医療へのアクセスというのも医療体制の整備が必要になってきて、小児科学会としてはいろいろな提言をしてきておりますので、一緒に考えていっていただければと思います。
    もう一つ、特別なケアを必要とする子どもたちのアクセスというのは大きな問題です。これは時間がないので省きますけれども、先進国では、急性疾患から慢性疾患、あるいは障害率が高くなってきています。私が医者になったころは白血病というのは死ぬ病気でしたが、今は7割、8割、助かる病気です。そういう方々が大人になっていくところを支援しなければならないということになります。もう一つは、行動、情緒の問題の増加です。
    アメリカではChildren with Special Health Care Needsといって何らかの保健医療ケアを必要とする子どもたちがどのぐらいいるのかきちんと調査されておりまして、これは増えてきております。この前の調査では13%ちょっとだったのですが、今は19.8%、5人に1人が何らかの保健医療的なケアを必要としているというのがアメリカの状態で、日本も恐らく似ている環境にあると考えられます。
    こういう子どもたちがどう医療にアクセスされているかというのも調査されていますし、成人期への移行というのも重要な問題とされています。つまり、慢性疾患や障害を持ったお子さんたちのライフサイクルにおけるケアが考えられていかなければいけない時代になってきていると言えると思います。
    そういう意味では、先ほど言いました多機関が連携するような空間的なケアの連続性、時間的なケアの連続性、ライフサイクルということを考えていかなければいけないと思います。ライフサイクルの心身ケアパスというものが必要になってくるのではないか、それを支える医療システムが必要になってくるのではないか、それを含めたプロジェクトが必要ではないかと考えています。
    最後に、健康教育ですが、自ら健康を追求する力をどうやって子どもたちの中に育むか。私がお子さんたちを見ていて一番気になるのは、自分の体を認知できていない、自分の感情や心の状態が認知できていないお子さんが結構おられます。
    健康の認知教育というのが必要なのではないか。自分の体や心の声を聞くプログラム、それを表現するプログラムが必要になってくるでしょうし、相談の体制を整備していただいておりますが、相談する力がないと相談に結びつかないので、相談する力をつける。つまり、SOSを出すのは恥ずかしくない、力のあることなのだと教育していくことが必要だろうと思います。そういうサービスへどうやってアクセスを考えていったらいいのかという教育も必要だと思います。
    そして、もう一つ私が提唱したいのは、母子手帳はあるのですけれども、あれは母親がつけていて、ある意味、母親のものなのです。子どもが自分で育っていく中で、自分の健康手帳というのをつくっておいたほうがいいのではないかと思います。私もアメリカの大学に入学するときに、いつ予防接種をしたのかと言われて、えっと思って探すのが大変でした。やはり自分の健康に関しては振り返ってきちっと見られるような手帳というのも必要ではないかと思っております。

<3> 意見交換

  • 宮本座長
    ありがとうございました。
    それでは、20分ほど意見交換したいと思いますが、前半10分程度で「健康の確保・増進」について御意見をいただき、後半の10分程度で「相談体制の充実」ということで進めたいと思います。
    それでは、「健康の確保・増進」について御意見をいただきます。
  • 相原構成員
    奥山構成員からの最後の健康教育についての御提言、自己の健康認知教育のところは非常にすばらしい御意見で、私も非常に賛同いたします。
    子どもの年齢にもよるとは思いますが、当事者の子どもにきちっと説明するといいますか、重病の子、メンタルな面、いろんな考慮は必要かと思いますが、その子どもの状況について本人にもきちっと理解してもらうことが欠けているような気がしております。
    医療同意というのを完全に本人に任すのは、年齢的にも違いますし、そういうことを求めるわけではないのですが、少なくともいろいろな問題がある場合に、その子の年齢や状況に応じて、いつどこで何をどうしているかということ自体をきちっと丁寧に説明していく、ちゃんと精神的にもフォローしていく、そういうものがどうしても欠けているような気がします。あくまで対象としてしか扱っていなくて、主体的な人としての観点が薄いのではないか。決してこれはわがままを聞くとか、マイナスのほうを全部引き受けるとかいうのではなくて、姿勢として考えなければいけないのではないかと個人的に思っております。意見です。
  • 嶋崎構成員
    たばこ、お酒、薬物、いわゆるリスク行動症候群の中に入ると思いますが、私が懸念しておりますのは、厚生労働省の研究班から発表があったネット依存の問題です。この問題はかなり大きな問題ではないかと思いますので、ぜひ取り上げていただければありがたいと思います。
  • 原田構成員
    私は27歳で周りが結婚ブームに入ってきて、かつ同時に子どもも産まれています。友達や先輩後輩で子どもを産んでいるお母さんから話を聞くと、産まれるまで、もしくは産んだ後の子どもに対するケアというのは結構あるけれども、子どもを産んだ後の自分に対するケアが余りない。私の知り合いにも、子育てと仕事がうまくいかずに鬱病みたいになっていたり、そういう人もいたりする。お母さんとはいえ、まだ若者なので、お母さんへのケア、そういうことをどう考えられているのか、厚生労働省の方にお聞きできればと思います。
  • 厚生労働省
    妊婦さんには14回の健診がございます。御指摘のとおり、産まれた後のケアというのは意外と今までのメニューの中で充実していませんでした。そういう意味で、今、産後ケアということが非常に大きく取り上げられています。
    産まれた後、特に初めて出産されたお母さんにとっては子どもをどう育てていくかということは非常に大きな課題でございますし、ましてや核家族になっている場合、それを教えてくれる方々がなかなかいないということです。平成26年度の予算として、産後ケアのためのレスパイトの施設を設けて、産後2週間から子どもさんと一緒にそこでお母さん方の不安を解消していこうという事業を要求しているところでございます。お母さん方の心の不安を解消するための相談事業なども実際にやっていますので、全体的に母親への支援を充実していこうと思っております。
    それから、虐待の問題にもつながるわけでございますけれども、全市町村で現在「こんにちは赤ちゃん事業」というものも実施しております。全てのお母さんに訪問事業を実施して、その際、悩み事がないか、子育て上の心配がないか、市町村でこんな事業をやっていますと御紹介申し上げたり、そうしたサポートも行っているところでございます。
  • 奥山構成員
    原田構成員の御質問はすごく重要な点なのかなと思っています。実は相談体制の中、それから私たちの臨床の中でもそうなのですけれども、お母さんたちがお母さんという役割でしか呼ばれないという問題が結構あって、子どもを産むために私が存在しているのかという形になります。あなたはお母さんになるのだから、お母さんになったのだから子育てをこうしましょうではなくて、お母さん自身のケアをするような体制、親御さんへのケアができるような体制というのが先ほどおっしゃった御質問の中に多分含まれているのだと思います。
    それに関して言うと、いかに一人の人間として認めた上で子育てを支援していくのかというところの研修が相談対応をする者に対して必要なのだろうと思います。
  • 相原構成員
    産後のお母さんのフォロー、支援という意味と、この議論の最初のほうに出てきた、家庭教育の問題はつながっているのではないかと思います。
    お母さんが孤立化して非常に不安になっている。自分の存在意義を考えるという問題があるのですが、一方では、子どもは自分のものみたいな感覚で抱え込んでしまう、もしくは父親との関係でどっちのものというような方向で養育していく。そういう状況が1~3歳のときにあると、子どもが大きくなったときにどうしても影響をあるのではないかという感じがします。
    したがいまして、産後のフォローという意味と、父親になる、母親になるということはどういうことなのかというサポート、何らかのメッセージみたいなものをあわせて考えていただきたい。非常にここが重要なのだろうと思います。
  • 高塚構成員
    心の健康の問題を教育していくというのは非常に大事だと思うのですけれども、私は学校メンタルヘルス学会というのに所属していまして、いろいろなところを調べていますが、これがなかなかどこの学校でもうまく効果を上げていない。
    思春期の子どもたちが心の健康を害するきっかけとなっていくのは孤独感と不安感です。孤独感や不安感が生じたときにどういうふうにそれと向き合っていくのか。先ほど申し上げた哲学が不足しているという問題とも絡んでくると思いますが、そういうことにちゃんと認識を持って心の問題に向き合っていくという教育の内容を考えていかなければいけないだろうと思います。
    単に病気のことを知る知らないが心の健康の課題となっていくと、思春期特有の心のひずみをもたらしかねない。心理学的なところをきちんと押さえないと本当は心の健康という問題にはかかわっていけないだろうと私は思っています。
  • 宮本座長
    それでは、後半の「相談体制の充実」のほうにも御意見をいただきたいと思います。
  • 松原構成
    2点発言したいと思います。
    1つはスクールソーシャルワーカーのことです。配置が進んできているので、非常にいいことだと思いますし、小学校の先生に聞いてみても非常に評価してくれています。ただ、どのくらいの頻度で連携したいかというと週に一度がせいぜいと聞きます。学校の先生は忙し過ぎて、スクールソーシャルワーカーは評価はするのだけれどももう1つ時間を食うものが入ってきたぞと、そういう感覚を先生方は持っていらっしゃる。
    一方で、スクールソーシャルワーカーの方にインタビューしてみると、学校との連携は非常に大切だが、担任の先生が授業を終わって、ほかの仕事を終えられる時間を待っていると自分の勤務時間を過ぎてしまう。非常勤契約なので残業もできず、そこにいることができなくて、かえって学校の先生と協議をしにくいということがあります。
    スクールソーシャルワーカーの配置を進めていく中で、まだ自治体によって雇用形態や労働条件が随分違う。フルタイムというのはほとんどないですね。そういう中で雇用環境そのもの自体の改善も図っていく必要があります。そうでないと退職者対応になってしまって、子どもに関心を持っている、あるいは社会福祉、心理の素養がある人がなかなかなれないという現実があると思います。これが1点です。
    それから、少し話題が変わるのですが、障害を持った子ども・若者が地域で暮らすということで市町村ベースに支援をつくっていったことも評価します。残念ながら、市町村が持っている社会資源が余りにも違い過ぎて、いわゆる市町村格差というのがなかなか解消できない中で、どこに住んでいるかということで享受できる支援が随分違うというのが現実だと思うので、これも質的な担保をきちっと今後していくべきかなと考えております。
  • 谷口構成員
    松原構成員から御発言がありましたように、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーは、相談体制を考える上で、間違いなく充実させていかなければいけない。
    ただし、課題もあって、いじめ問題を考えてみても、SOSが適切に学校内で受けとめられているかどうかということを考えると非常に厳しい答えが返ってくると思います。セクハラやパワハラの問題と共通するところなのですが、ある意味、当事者だけで解決していく、つまり学校の中だけで解決していくということを考えると、これらの性質の問題というのは非常に厳しい現実が見えてくるのかなと思います。
    地域若者サポートステーションは、佐賀の場合は年間1万件ほど相談が来ますけれども、そのうち、保健福祉機関に次いで相談が多いのは、学校の先生方が紹介元です。先生方も自分たちでは抱え切れないということで生徒さんを御紹介いただく、こういう流れになってきているということを踏まえて考えるならば、いじめは特にそうだと思いますが、いかに外部の相談窓口との連携を強化していくのかが重要です。
    文部科学省が、外部の支援機関を強化していく、そこに一定の支援機能をしっかり付加していく、こういった考え方も一つ持っておくべきところなのかと思います。また、連携というのは、ある意味、丸投げ的なものになってしまうと非常に対応が難しくなってくるという点もありますので、応分負担というところも考えていく必要があるのかなと思います。
    もう一つの視点ですが、松原構成員の視点とまた共通するところですが、今、急速にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置が進んで拡充されてきている中で、質の問題が出てきてしまっています。人によって力量の差が非常に大きくなってしまって、これは一朝一夕に身につくものではありませんから、大学の養成課程、そういったところからしっかりと研修体制を充実させていく必要があるのだろうと思います。
    また、個別の契約の問題ですが、私がセンター長を務めております佐賀県子ども・若者総合相談センターの調査でいくと、子どもが個別に抱える問題、本人の問題プラス虐待や家庭内の問題、貧困等の問題も含めて、多重に困難を抱えている子ども・若者が86.8%いるということを考えると、一分野の支援、専門知識だけでは対応できなくなってしまっているわけです。こういったことを考えると、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも個別に契約していくという考え方ではなくて、チームに対して委託を出していく、そういった考え方も今後検討していく必要があるのかと思います。総合的な機能を持ったところに人を置いていかないと、相談を受けてもその後の解決能力に限界が見えてくるのだろうと思います。
  • 嶋崎構成員
    スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの皆さんの御活躍は学校にとって大変大きいのです。うまくいっている学校はほとんどが教師の中に上手なコーディネーター役がいるわけです。
    教師の研修ということを文部科学省の資料に書いていただいてはいますが、教職員に対する教育相談関係の研修会が今どういう状況になっているかといいますと、平成初頭と比べてもはるかにやっていない状況です。このあたりを課題として受けとめていただいて、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーとともにやっていけるような教員を育てていただきたいと切に願っております。
  • 松原構成員
    連携は時間がかかります。その分の時間が担保できるように、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーの仕事も含め、学校全体がもう少し楽にならないと、連携している時間がない。抱え込まざるを得ない。
    学校に外部の人間が入ってこれる土壌をつくっておかないと、谷口構成員がおっしゃったように、日常的な交流や日常的なチームで仕事をしていないとフェース・ツー・フェースの関係にならないので、なかなか難しいと思っています。
  • 宮本座長
    子ども・若者育成支援推進法をつくった当時のことを思い起こしたのですが、生まれてから大人になるまでの終始一貫した、先ほどから何度か出ていますが、ライフサイクル、ライフコース、そういう長い時間の軸の中できちんと連携体制がつくられているかどうか、これがあの法律をつくったときに非常に議論されたことだったと思います。その観点で評価するということは大変重要だと思います。
    前回も今回も報告の一番比重の多いところが文部科学省であり学校教育であるという印象があります。限られた時間の中での御報告でありますので、まだまだたくさんの事業がほかに行われていることだと思います。子ども・若者なので、当然、学校教育は重要でありますが、今日も出ていますとおり、学校教育の中でやれないことが非常に多くなっています。学校教育の限界が見えていることでありますので、その意味で、学校と学校外、家族も含めてですが、このあたりの役割分担と連携のところを見る必要があるだろうという感じがいたします。
    教育行政に関しても、学校教育と学校外教育、あるいは生涯学習、社会教育、このあたりのバランスの問題というのが検討されるべき重要な課題ではないかという感じもいたします。
    そういう意味でいうと、各省庁のたくさんの事業が子ども・若者にかかわって実際に行われているわけですけれども、それぞれの事業の相互の関係性のあたりのところも、各省庁から伺いつつ、私たちのほうで相互の関係がどうなっているかということももう少し議論することが重要ではないかという感じがいたします。
    学校も学校外も家庭もその他もすべて、地域の中で起こっていることです。地域全体として子ども・若者に関してどういう体制にあるのか、どういう主体がいて、重層的機能をどのように地域として果たしているのかいないのかというようなことも議論する必要があるのではないかという感じがいたしました。
  • 奥山構成員
    確かに連携というのは、先ほど松原先生がおっしゃったように、非常に時間もとるし、難しいことだとは思いますが、縦割りをやめて省庁間にということで内閣府がこういう会議を設けたりもしていただいている中で、先ほど座長がおっしゃったように、皆さんから聞いて私たちがつないでいくのではだめだと思います。やはり縦割りをいかに排除したかというところを見せていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  • 宮本座長
    このあたり、次回1月は3時間連続になりますので、各省庁からの御報告の中では、連携をどのように意識されて事業を展開したかということを踏まえてお話しいただけるといいかなと思います。
    子ども・若者育成支援推進法をつくったとき、年齢幅をどこにするかという議論がありました。子ども・若者は、周産期医療から始まるのでゼロ歳から、思春期・若者期も前半と後半があるわけです。子ども・若者育成支援推進法をつくったときには、とても全部をつなげては難しいということで、若者期が新しいテーマだったので若者期後半をかなり意識しました。
    法の施行から時間が経ってみると、生まれてから若者期まで繋げるという点で非常に多くの課題があるかと思います。

以上