子ども・若者育成支援推進点検・評価会議(第6回)議事要旨

議事次第

  1. 日時:平成26年1月24日(金) 9:00~12:10
  2. 場所:中央合同庁舎第4号館4階 共用第4特別会議室
  3. 出席者:
    (構成員(敬称略))
    相原佳子、明石伸子、今村久美、植山起佐子、奥山眞紀子、川邉譲、古賀正義、定本ゆきこ、嶋崎政男、高塚雄介、谷口仁史、原田謙介、福田里香、松原康雄、宮本みち子
    (ヒアリング対応府省)
    1. 非行・犯罪に陥った子ども・若者の支援等
      • <1> 総合的取組
        小山浩紀 内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付調査官(青少年環境整備担当)
        高橋靖 警察庁生活安全局少年課理事官
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      • <2> 非行防止、相談活動等
        高橋靖 警察庁生活安全局少年課理事官
        椿百合子 法務省大臣官房参事官
        小林万洋 法務省矯正局少年矯正課企画官
        小山定明 法務省矯正局少年矯正課企画官
        押切久遠 法務省保護局更生保護振興課社会復帰支援室長
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      • <3> 薬物乱用防止
        高橋靖 警察庁生活安全局少年課理事官
        赤川治郎 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長
        川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      • <4> 少年鑑別所等、少年院・児童自立支援施設等、更生保護、自立・立ち直り支援
        椿百合子 法務省大臣官房参事官
        小林万洋 法務省矯正局少年矯正課企画官
        小山定明 法務省矯正局少年矯正課企画官
        押切久遠 法務省保護局更生保護振興課社会復帰支援室長
        小野太一 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長
      • <5> 非行少年に対する就労支援等
        椿百合子 法務省大臣官房参事官
        小林万洋 法務省矯正局少年矯正課企画官
        小山定明 法務省矯正局少年矯正課企画官
        押切久遠 法務省保護局更生保護振興課社会復帰支援室長
    2. 子どもの貧困問題への対応
      川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長
      小野太一 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長
    3. 外国人等特に配慮が必要な子ども・若者の支援
      椿百合子 法務省大臣官房参事官
      小林万洋 法務省矯正局少年矯正課企画官
      小山定明 法務省矯正局少年矯正課企画官
      押切久遠 法務省保護局更生保護振興課社会復帰支援室長
      川又竹男 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長 (ほか1名)
      堀井奈津子 厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部外国人雇用対策課長
    (事務局)
    杵淵智行大臣官房審議官、三上明輝参事官(共生社会総括担当)、小山浩紀調査官
  4. 概要:

(1) 非行・犯罪に陥った子ども・若者の支援等

「総合的取組」、「非行防止、相談活動等」、「薬物乱用防止」、「少年鑑別所等、少年院・児童自立支援施設等、更生保護、自立・立ち直り支援」、「非行少年に対する就労支援等」について、大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料1-1)した後、以下のとおり議論を行った。

ア 「総合的取組」、「非行防止、相談活動等」、「薬物乱用防止」

<1> 関係府省からの説明

1) 総合的取組(資料1-2)

  • 内閣府
    大綱策定から現在における取組といたしましては、子ども・若者白書にも記載されておりますけれども、非行は、家庭や学校、地域、それぞれが抱えている問題が複雑に絡み合っているということですから、国や地方自治体、関係機関が一体となって取り組む必要があろうかと思います。
    内閣府におきましては、子ども・若者育成支援推進本部の下に置かれました、少年非行対策課長会議を開催しておりまして、関係省庁が密接な連絡や情報交換をしながら、非行対策を推進しています。
    また、非行少年を支援する取組がより一層推進されるよう、関係省庁と連携をいたしまして、2ページにございますけれども、昭和54年度から毎年7月を非行防止に関する月間としております。平成22年度からは、児童買春であるとか、児童ポルノといった福祉犯の被害防止も重点課題に加えて、青少年の非行・被害防止全国強調月間と名称を変更して実施しております。平成25年度においては、有害環境対策や再非行の防止などの7点を重点項目としております。関係省庁をはじめとして、各地方公共団体や関係団体の協力を得て実施しております。今後とも青少年の問題を取り巻く変化を踏まえて、国民意識の高揚を図って、一体となった非行防止・被害防止の取組を推進していきたいと考えております。
    進捗に係る自己評価でございますが、地域の情勢や特性に応じ、非行少年に対する適切な支援を行うための取組が促進されるよう、国や地方自治体における連携や情報の共有をさらに充実強化する必要があると考えております。
    現在認識している課題といたしましては、少年非行対策課長会議をはじめといたしまして、薬物乱用対策推進課長会議や青少年インターネット環境整備推進課長会議などの各種会議を効果的に連動させて開催させるなど、今後とも情報共有を図っていく必要があると考えております。また、地方公共団体における先進的な取組であるとか、実効性の高い活動について、地域間の情報格差をなくして、効果的に情報共有が図られるようにするため、情報の共有化・集約化を今後とも推進していきたいと考えております。
    今後の方向性ですが、少年非行対策につきまして、昨年12月に閣議決定されました、世界一安全な日本創造戦略、これは添付資料にございますけれども、非行の繰り返しを食い止める再犯防止対策の推進、対象者の特性に応じた指導及び支援の強化の中で、少年非行対策が盛り込まれております。内閣府といたしましては、犯罪対策閣僚会議で決定された戦略などを踏まえて、再非行防止を重点に置いた少年非行対策が効果的に推進されるように、国や地方公共団体における連携や情報の共有化について、さらに推進してまいりたいと考えております。
  • 警察庁
    警察における取組について、御説明いたします。資料1-2の4ページを御覧ください。
    大綱策定から現在までの取組についてでありますが、まず警察と学校との連携について御説明いたします。警察では、従来から学校との連携を確保するため、教育委員会などと警察本部との間で締結した協定などに基づきまして、非行少年などに関する情報を学校と警察が相互に通知する学校・警察連絡制度を運用しております。
    また、警察署の管轄区域や市区町村の区域を単位に学校警察連絡協議会を設置しており、非行防止教室の開催、児童生徒の安全確保、保護などを議題とした協議を行っております。
    このほか、警察と学校との橋渡し役として、退職した警察官などをスクールサポーターとして警察署などに配置し、担当する学校への訪問活動などにより、校内におけるいじめ問題などへの対応、巡回活動、相談活動、児童生徒の安全確保に関する助言を行っております。特に最近問題となっていますいじめに関しましては、悪質ないじめの早期発見ですとか、適時適切な対応が可能になるものと期待しているところでございます。
    また、個々の少年の問題状況に応じまして、的確に立ち直りを支援するため、学校、警察、児童相談所などの関係機関の実務担当者で決定する少年サポートチームの活用を推進しております。少年サポートチームの効果的な運用を図るため、文部科学省と合同で、都道府県警察や関係機関・団体の実務担当者の参加を得まして、問題行動に対する連携ブロック協議会を行っております。全国を6ブロックに分けまして、毎年度2ブロックずつ実施しておりまして、平成25年度は、昨年11月に愛知県と広島県で開催したところでございます。
    次に進捗に係る自己評価でございますが、学校警察連絡制度につきましては、平成25年4月1日現在、全ての都道府県で運用されております。24年度の連絡実績は4万4,384件となっております。学校警察連絡協議会につきましては、昨年4月1日現在、全ての都道府県で合計2,573の協議会が設けられております。それから、全国の小中高等学校の96.9%がこの協議会に加入しております。スクールサポーターにつきましては、平成25年4月1日現在、43都道府県で695人が配置されているところでございます。
    次に、現在認識している課題でございますが、少年犯罪の再犯者率の増加、低年齢化、児童虐待事案やいじめに起因する事件の増加、インターネットの急速な普及に伴う児童の犯罪被害の深刻化など、少年を取り巻く社会環境は刻々と変化しております。少年の非行・被害防止と立ち直り支援のためには、それぞれの専門分野に応じた役割分担による関係機関などとの連携の強化が重要であると考えております。
    最後に、今後の方向性でございますが、警察といたしましては、引き続き、学校警察連絡制度、学校警察連絡協議会、少年サポートチームなどの効果的な活用により、学校をはじめとする関係機関などと連携した少年の非行・被害防止、立ち直り支援を実施してまいる所存です。また、スクールサポーターにつきましては、学校と警察との緊密な連携を図る上での架け橋としての重要な役割を果たしていることから、さらなる拡充を図ってまいりたいと考えております。
    なお、資料として、5ページに「警察と学校等との連携(連携強化のための取組)」、6ページに「スクールサポーター制度」をつけておりますので、参考にしていただければと思います。
  • 文部科学省
    資料の7ページ目からですが、学校側から、教育の現場からの警察等々への連携ということで、ただいまの警察庁の話と中身はほぼ重なるものでございます。
    関係機関と連携したサポートチーム、あるいは学校警察連絡協議会、学校警察連絡制度、ブック協議など、警察との連携に努めております。
    いじめ問題等々、近年、大きな課題でございまして、そうした意味でも警察との連携は大事なことでありまして、引き続き努めていきたいと考えております。
    前回、相談体制の充実ということで御紹介いたしました、スクールカウンセラーあるいはスクールソーシャルワーカーといった形で、学校、教育現場で、非行・犯罪に陥った子ども・若者支援ということでは、相談体制もあると考えております。

2) 非行防止、相談活動等(資料1-3)

  • 警察庁
    資料1-3の1ページを御覧ください。
    大綱策定から現在までの取組についてございますが、警察ではこれまでも少年サポートセンターを中心に、少年補導職員などにより、総合的な非行防止対策を行ってまいりました。平成22年12月以降、非行少年を生まない社会づくりを全国的に推進しております。
    具体的には、少年非行に走る可能性のある少年、保護者に対しまして、警察から積極的に連絡し、相談を聞いたり、助言を行うとともに、関係機関や団体と連携して、少年の個々の状況に応じた支援活動を行う、少年に手を差し伸べる立ち直り支援活動を推進しております。
    特に少年事件の共犯率は、成人事件と比べて高くなっております。不良交友関係が立ち直りの大きな阻害要因になっていることから、大学生ボランティアをはじめ、少年警察ボランティアや地域住民、関係機関、団体と連携して、各種スポーツ活動ですとか、街頭清掃活動等の社会奉仕体験活動、農作業体験や料理体験などの体験活動への少年の参加促進、少年の就学・就労支援を通じまして、不良交友関係の解消と、これにかわる少年のよりどころとなる居場所づくりの推進に努めております。
    また、少年の規範意識向上のため、学校等と連携した非行防止教室の取組を推進しております。特に近年における少年非行の低年齢化を踏まえまして、小学生以下の少年を対象とした非行防止教室の積極的な実施に努めているところでございます。平成24年度中の非行防止教室の開催校数は、2万8,216校となっております。
    少年相談については、心理学や教育学などの専門知識を有する職員や少年非行の取り扱い経験の豊富な職員である少年補導職員などが、少年や保護者からの悩み困りごとの相談を受け、必要な指導や助言を行っております。また、必要に応じて、継続補導を行っているところでございます。加えまして、ヤングテレホンコーナーなどのフリーダイヤル等での電話相談、電子メールによる相談も受け付け、相談を行いやすい環境の整備に努めているところでございます。
    このほか、警察の活動といたしましては、全ての都道府県警察に設置された少年サポートセンターを中心として、繁華街や公園といった非行が行われやすい場所に重点を置いて補導活動を実施しております。非行少年を発見した場合は、必要な捜査や調査を行い、検察官や家庭裁判所、児童相談所などの関係機関へ送致・通告するほか、その少年の保護者に助言を与えるなど、非行少年に対して適切な指導がなされるように措置しております。
    (2)の進捗に係る自己評価でございますが、関係機関、団体、少年ボランティア、地域住民などと連携して、非行少年を生まない社会づくりに努めた結果、平成24年度中の刑法犯少年の検挙人員は6万5,448人と、前年より1万2,248人減少し、9年連続の減少となったところでございます。特に万引きは、前年に比べまして、24.3%減と大きく減少しております。
    (3)の現在認識している課題でございますが、平成24年中の刑法犯少年全体に占める再犯者率は33.9%と、15年連続で増加しており、少年同士の共犯率も25.1%と、成人同士の共犯率の2.2倍と高くなっております。また、少年非行の低年齢化が認められるところであります。これら少年非行の背景には、家庭や地域社会の教育機能の低下ですとか、少年が自分の居場所を見出せず、孤立化し、疎外感を抱いている現状があることから、こういったものがなくなるように努めていく必要があると認識しているところでございます。
    最後に、今後の方向性でありますが、引き続き、関係機関、団体、ボランティアなどと連携して、非行少年を生まない社会づくりを推進し、少年の規範意識の向上と少年を取り巻く絆の強化を図ってまいりたいと考えております。
    なお、参考資料といたしまして、2ページに「非行少年を生まない社会づくり-『犯罪の起きにくい社会づくり』と「少年の健全育成』-」、3ページに少年サポートセンターの活動内容、4ページから15ページまでは「少年からのシグナル」という小冊子をおつけしております。「少年からのシグナル」は、少年非行と犯罪被害の情勢、非行防止対策などについてわかりやすくまとめたもので、各都道府県警察において、学校関係者に配付したり、ボランティアの各種会合で配付するなどして、活用しているところでございます。
  • 法務省
    まず最初に、検察における対応について御説明したいと思います。検察官は、警察からの事件説明などを受けまして、必要な捜査を行い、犯罪の嫌疑があると認めたときには、事件を家庭裁判所に送致しております。犯罪の嫌疑がない場合でも、虞犯などの事由がある場合には、同様に事件を家庭裁判所に送致しております。その際、少年に刑罰を科すのが相当か、あるいは保護処分に付すのが相当かなど、処遇に関する意見を付しております。検察官が十分な捜査を行い、事案を解明した上で、適切な処理をすることは、少年犯罪に対する最も基本的で重要な対策であり、今後も一層充実させていくこととしております。
    次に、相談活動関係でございますが、少年鑑別所では青少年が抱える問題につきまして、少年や保護者等からの相談に応じていますほか、地域の非行あるいは犯罪防止のために、関係機関との連携強化に努めております。その進捗状況でございますが、一般相談の受付件数について、平成22年から平成24年にかけて増加をしておりまして、非行・犯罪に至った子ども・若者の支援に寄与しているものと認識しております。なお、この関係で、現在認識している課題ですが、今国会に提出予定の少年鑑別所法案におきまして、地域の非行及び犯罪の防止に関する援助業務が新たに規定される予定でございます。同業務の充実に向けまして、一般相談業務の広報あるいは関係機関との連携強化に向けた取組を更に推進する必要がございます。今後の方向性ですが、広報の積極化に加えまして、NPOを含む地域の相談ネットワークへの参画等を推進することとしております。
    続きまして、保護司による活動です。保護司が直接学校へ赴きまして、非行防止教室を開催しております。また、問題を抱えた子どもへの指導方法などにつきまして、保護司が教師との協議などを行っております。その進捗状況でございます。社会を明るくする運動の行事として開催した非行防止教室の参加延べ人数ですが、平成22年の6万人台から、平成25年には9万9,000人台に増加をしているところでございます。現在認識している課題といたしましては、更生保護ボランティアが行っております、児童生徒支援に係る活動につきまして、学校や地方公共団体の理解と協力を得るということを、更に手掛けていく必要がございます。今後の方向性といたしましては、保護司の持つ非行のある少年への指導経験等を生かしました活動により、引き続き、保護司と学校との連携を図ってまいりたいと思います。
    最後に、人権相談でございます。法務省の人権擁護機関では、全国の小中学校の児童生徒に「子どもの人権SOSミニレター」を配布しています。また、全国50か所の法務局・地方法務局にフリーダイヤルの「子ども人権110番」を設置して、相談に応じております。その進捗状況でございますが、「子どもの人権SOSミニレター」の件数は、平成22年から24年にかけて、ほぼ2万件台で推移をしております。「子どもの人権110番」につきましては、平成24年が2万8,000件台と、前年、前々年に比べまして、増加をしているところです。現在認識している課題といたしまして、子どもの人権が尊重される社会の実現に寄与するため、今後も人権相談体制の整備を図ってまいることとします。今後の方向性としても、引き続き、人権相談を有効に実施してまいりたいと考えます。

3) 薬物乱用防止(資料1-4)

  • 厚生労働省
    お手元の資料1-4を御覧いただきたいと思います。厚生労働省関係部分は1ページから5ページでございますけれども、1ページに取りまとめてございますので、ここを中心に御説明いたしまして、2ページから5ページは適宜御参照いただければと思います。
    (1)大綱策定から現在までの取組でございますけれども、薬物乱用防止対策につきましては、薬物乱用対策の内閣府特命担当大臣が議長の薬物乱用防止推進会議において策定された「第四次薬物乱用防止五か年戦略」に基づいて行っております。1つ目の○でございますけれども、青少年が薬物乱用の有害性・危険性について正しい知識を持つために、普及啓発読本を作成・配付しております。これは2ページの<1>にお示ししておりますけれども、小学校6年生の保護者向け、高校3年生向け、有職無職の青年向けに毎年配付しております。次の○でございますけれども、薬物乱用防止普及啓発として「ダメ。ゼッタイ。」普及運動などの3つのイベントがございます。これは2ページの<2>でお示ししておりますけれども、毎年、都道府県などの関係機関と連携し実施してございます。次の○でございますけれども、合法ハーブ等と称して販売される薬物、いわゆる脱法ドラッグでございますが、その対策といたしまして、平成24年度に脱法ドラッグを含む指定薬物の情報を一元的に収集・提供するための「あやしいヤクブツ連絡ネット」を立ち上げまして、現在、積極的に活用してございます。3ページの<3>以降になります。また、脱法ドラッグを含む指定薬物を使用した者による二次的犯罪や健康被害が多発してございます。これは5ページにまとめさせていただいてございますけれども、そのような状況を踏まえまして、薬事法を改正いたしまして、これまでの製造、販売、授与などの禁止に加えまして、所持、使用なども新たに禁止することとしてございます。これは昨年の12月13日に公布しておりまして、半年以内に施行するという運びでございます。最後の○でございますけれども、再乱用防止対策といたしまして、講習会、相談事業を実施しておりまして、相談体制の充実を図っているところでございます。
    (2)の進捗に係る自己評価でございますけれども、麻薬、覚醒剤等の薬物事犯全体の検挙人数は、直近の平成24年で1万3,881人でございます。平成20年は1万4,720人でございましたので、これと比較いたしますと、約1,000人程度減少してございます。また、薬物相談事業における相談受付件数は、平成20年度が1万2,043件ございました。それに対しまして、平成24年度は1万9,082件でございまして、約7,000件増加しております。体制整備の強化が認められると考えております。検挙人数の少年については、数%程度でございますけれども、いずれにしても、減少傾向にあるということでございます。
    (3)現在認識している課題でございますけれども、最近、脱法ドラッグを使用した者が二次的犯罪や健康被害を起こす事例が多発してございまして、依然として、予断を許さない状況にあります。今後の課題としましては、脱法ドラッグなどの新たな乱用薬物への対応が必要であると考えております。
    以上を踏まえまして、(4)今後の方向性でございますけれども、脱法ドラッグの危険性・有害性に関する情報を充実させた、普及啓発読本を初めとした、啓発資材の作成・配付を行いたいと思います。また、脱法ドラッグなどの薬物乱用防止を図るため、引き続き、関係省庁、都道府県などの関係機関との連携強化を図ってまいりたいと思っております。

<2> 相原構成員・嶋崎構成員からのプレゼンテーション

  • 相原構成員(資料1-5)
    私の個人のことを簡単に申し上げさせていただきますと、最初に自己紹介しましたとおり、大学を出てから5年程度法務教官をしておりまして、その後、弁護士になって、ずっと付添人活動をしております。今は家事事件が中心になりつつあるのですが、いわゆる行政教育を担当させていただいたということと、その後、付添人をやったという経験がございますので、司法、つまり裁判にかかった場合の子どもたちに対するケアについて、本日お話をしたいと思います。
    まず、非行に陥った子どもの問題として、少年犯罪の増加・凶悪化というフレーズはよく聞かれるところかと思います。それから、少年法が甘い、厳罰化が必要なんだという声もよく聞かれるところでございます。この点につきましては、後で川邉構成員がかなり詳細にお話されるようですので、省略いたします。
    ただ、1つだけ申し上げたいのは、少なくとも私があちこちの大学生などに講演させていただくと、少年の問題は非常に大きな問題であるし、厳罰化が必要であると思っている。当事者の子どもたちがそう思っているということは、非常にあると思います。しかし、子どもの権利条約などの観点からして、そうした考えは非常に問題であって、子どもに対するフォローという点では、逆行しているのではないかという指摘もすべきではないかと思っています。当の子どもたちですら少年に対して甘いという意識を持っているというのが非常に大きな問題としてあるのではないか。これは子どもの育成というこの会議においては、忘れていただきたくないと思っております。それから、年長少年に対する社会内処遇としての子どもの居場所なども、また資料で提出ができるときにはシェルターのことについても理解していただきたいと思っております。児童養護施設を出た後、20歳までの子ども、特に女の子が行くところがないということは、非常に重要な問題であると思っております。
    先ほど法務省のお話にもありましたけれども、司法手続において、主体的存在として子どもがみずから犯した事実と向き合うということに対するサポートをしていただきたいと思っております。その意味で、司法手続における行政との連携という点を、もう少し現実的に深めていただければと考えております。
    先ほどから付添人という言葉を申し上げておりますが、本日提出しております資料に論文をつけさせていただいております。これは、今、私がかかわっております日本司法支援センター(法テラス)の廣瀬理事の論文でございます。廣瀬理事は、刑事裁判官を30年なさった後、今、立教大学でロースクールを教えておられます。
    この資料の中の13ページの付添人選任の人数を見ていただければと思います。基礎知識としてわかっていただきたいのですが、私が初年度に教官をやっておりました、昭和53年から昭和58年程度のときは、付添人はほとんどいないに等しい。私は現場で弁護士に会ったことはありません。少年事件についても記憶がほとんどない状況です。今は付添人の割合が増えておりまして、かなりのパーセンテージになっており、付添人の更なる拡充が現実的な問題になろうとしております。
    付添人が何をするかというのは、もう時間がありませんので、詳細はこの論文を読んでおいていただければと思いますが、子どもの権利条約などの観点も含めて子どもに寄り添う、また逆に、自らが犯した犯罪を直視させるということが、付添人の重要な役割です。
    付添人は弁護士だけではなくて、法律の専門家以外の人もできます。ところが、この表にもありますように、実際には弁護士以外の割合は減っております。もう少し民間人の適切な活用があっていいのではないかと思っております。それから、執行猶予という究極的な処分ではなくて、トライアルの期間として試験観察というものが審判の途中であるのですが、この件数が大分減っております。また、補導委託という、家庭裁判所の調査官の責任の下で、民間人が少年を審判の途中で引き受けるという制度があるのですが、それも実際に減っております。
    司法の場において、家庭裁判所の調査官は非常によくやっておられるのですが、一般人、民間の人の関わりが、どうしても少なくなっているのが実際であろうと思っています。個人的には、NPO法人などが、司法の途中の場、審判の場でも関われるような体制づくりが必要なのではないかと思っております。
    最後に、検討課題です。今お話しした内容は、少年法や刑事訴訟法とはきちっとはまらない部分があるのかもしれませんし、ましてやプライバシーの問題、少年のプライバシーをどの範囲の人に開示していいのかという問題も出てくるのかもしれません。ただ、横断的にやることに関しては、司法の場所であっても、それは必要であると思っています。そのときに、付添人などに誰が適切かということですが、障害者の問題のピアカウンセリングのように、今、非行からの立ち直りに現実に頑張っている、自分もかなり苦しい場面から頑張って立ち直ったという先輩たちに立ち会ってもらいたい。子どもというのは、モデルが必要です。かけ離れた物すごく立派なところから来ている人たちに言われるよりも、かなり苦しいところを乗り越えてきたというモデルの人がいることが、絶対に必要なのではないかと思います。成績優秀、おうちも大丈夫、お父さん、お母さんからも愛された人に、幾ら一生懸命に支援されても、ひがみといいますか、つらい思いからすると、素直に受け取れない気持ちがあるでしょうから、そこは立ち直った人たちにできるだけ積極的に関わってもらえるような制度づくりがあっていいのではないかと思います。これは司法の場だけではなくて、後のフォロー、少年院や少年刑務所から出てきた後も同じことが言えるのではないかと思います。その場においてもできるような、司法と行政の連携があっていいのではないかと思って、御提示させていただきました。
  • 嶋崎構成員(資料1-6)
    資料にコップ論と書いてありますが、これはどこでも見られるものです。何を申し上げたいかといいますと、いろいろと議論が深まるときに、特定のところに目をつけて、これが最大の原因であるみたいな形でやってしまうのではなくて、いろいろな要因があって、そして、問題が起こることを考えなければいけない。コップの水はいろいろな要因であふれてしまう、問題が起こるのだという解釈をしていきますと、いろいろな力が見えてくるわけです。例えば、私はいじめ自殺という言葉は使いません、いじめを主たる原因とする自殺ということでしたらわかります。そういった意味合いで、議論に当たりましては、それぞれ一番大きな原因だと思うことを主張することは、とても大事なことだと思いますけれども、他の部分を見落としてしまわないようにしたいと思います。
    例として1つ書きましたが、いじめの問題は、昭和52年ごろに盛んになり始めた時、日本特有である、いじめは日本の管理教育が生んでいるのだという議論が盛んになされていました。ところが、スウェーデンやイギリス辺りのいじめが次々と発表されると、その意見はぱたりとなくなりました。
    次にいきます。次のページ、わかりにくい表で申しわけありません。私は「少年殺人」という本を書いたのですけれども、この本を書くに当たりまして、調べられる少年による殺人事件を200ほど調べました。新聞報道、ドキュメンタリーの本であるとか、そういったものから解析しておりますので、科学的根拠と言われてしまうと、やや乏しいのですが、その子にとって不利な条件だったと思われものをどんどん書き出していって、200ほど表にしてみました。これは一部でございます。事件名の後に障害名とか、その隣の辺りに「養」とか「離」とかいろいろ書いてありますけれども、「養」というのは養育態度で、私は4つの類型に分けています。「離」というのは、離婚経験の有無です。
    その中で、障害名のところにいわゆる発達障害が書いてあります。この本の中で、発達障害と少年殺人という章を設けましたが、よくよく考えてみますと、これはむしろ愛着の問題だったのではないかというのがほとんどです。発達障害だからこういうことを行うということは絶対にあり得ないわけですが、発達障害との関係はそれまではタブー視されてきたんですけれども、浅草のレッサーパンダ事件以降きちんと見ていこうという流れが出てきておりました。その中で、私が少年の問題をその角度から分析していましたら、かなりの数が発達障害に関係していたのです。最後にもう一度申し上げます。やはり再度点検し直してみますと、愛着の問題が極めて大きいのではないか。
    したがいまして、これからの論議におきましても、もちろん社会や学校やいろいろな問題も討議しないといけない、私は教育関係の者なので教育関係者としての責任を逃れる気持ちは毛頭ございませんけれども、家庭における愛着の問題を抜きにしては考えられないと思います。

<3> 意見交換

  • 宮本座長
    それでは、これから意見交換を30分程度行いたいと思います。
    大まかに分けて、これまでと同じような話ですが、最初の10分間程度は「総合的取組」について、その後の10分程度は「非行防止、相談活動等」について、最後の10分程度を「薬物乱用防止」としたいと思います。
    前回の会議の最後のところで、私から少し整理させていただいたんですけれども、非常に多岐にわたる項目ですので、10分という形で進めておりますけれども、これは相互にかかわっていることが非常に多く、相互の関係がどうであるのかということは重要なポイントだと思いますので、そういう視点も念頭に置いた上で御発言いただけると、より効果的な議論ができるかと思います。
    それでは、構成員の皆様、どうぞ。
  • 奥山構成員
    いろいろと御説明いただいて、かなり進んできている面がわかって、うれしい部分もあるのですけれども、内閣府が行っている関係機関との密接な連携、情報交換というのは、具体的にどんなことかを教えていただければというのが1つです。
    もう一つ、説明に出てこなかったので不思議に思ったのは、要保護児童対策地域協議会です。この協議会は非行少年も対象にしています。厚労省の取組として、例えば虐待とか、非行とか、何かしら保護が必要なお子さんを対象にしている。先ほどから非行の低年齢化という話が出てきていますが、要保護児童対策地域協議会との連携が必要になってくるのではないかと思っていて、なぜ抜けているのかというところが気になりました。私たちが相談を受けていますと、虐待を受けていたお子さんが、親御さんが病気になられた途端に逆転現象ですごく暴力的になったりというのは、よくあることで、その転換点をどうケアするかというのは、非常に重要なポイントになるのだと思います。
    残念ながら、法律上、児童相談所などは18歳未満が対象です。そこで支援が切れてしまうという問題もあります。結構大きな問題だと思っているのですけれども、そういったところが抜けてしまっているというのが、すごく気になったところです。
    もう一つは、非行ということで括られている中で、1つ特別な形の非行として考えておかなければいけないのは、性非行の問題です。小さいときからどう対応するのか、あるいは性非行になった子どもにどう対応するのかというところも、取り出して考えていく必要がある。薬物の問題もそうですが、性非行もそうだと思います。
    最後に私の小児精神医としての立場からお話を加えてさせていただきますと、非行に至るお子さんの心理状態などに応じたいろいろな種類の予防をつくっていく必要があると思います。非行の全体の数が減ってきた、万引きが減ってきたという説明がありましたが、比較的止められるものは大分止められてきたと思うのですけれども、最後に残ってくる部分をどう止めていくかということを、今後、考えていかなければいけないのではないかと思います。
  • 内閣府
    まず国のレベルということで、少年非行対策課長会議、薬物乱用対策推進会長会議、青少年インターネット環境整備推進課長会議、これら3つを担当しています。今年の1月10日でございますけれども、薬物乱用対策推進課長会議と少年非行対策課長会議を合同開催し、最近問題となっている脱法ドラッグや合法ハーブなどの新たな薬物乱用の状況について、大人だけではなくて、青少年にも蔓延が懸念されるということですので、問題意識の共有を図りました。
    また、昨年の10月には、子ども・若者育成支援推進課長会議、青少年インターネット環境整備推進課長会議、少年非行対策課長会議を合同開催しました。このときは、この点検・評価会議についての運営のほか、青少年のインターネット利用の環境づくりについてのフォーラムに関する情報提供を行っております。こうした連携の仕組みを意図的・意識的に連動させて、活用しているところでございます。
    地方については、私ども内閣府では、講演会などでお邪魔したときにはできるだけ地域の取組を見学させていただいております。例えば、先ほど相原構成員から地域における試験観察などの担い手というお話がございましたけれども、この前、京都にお邪魔する機会がありまして、京都府で家庭支援総合センターという、児童相談所や青少年センターと同一の建物の中に入って運営されているセンターがございまして、非行があった若者に対する支援の取組として、家庭裁判所から委託を受けた試験観察の補導委託を地域のいろいろな事業所にお願いし、就業体験活動やボランティアの活動体験などをやっていただく取組をされているということを勉強させていただきました。内閣府といたしましては、こういった地方へお邪魔させていただいて、先進的な取組を勉強させていただいて、子ども・若者白書などを活用して広報啓発や情報発信を行い、広範に皆さんにお知らせしていきたいと考えております。
  • 定本構成員
    非行に関しては、立ち直りも予防も、1つの機関ではなくて地域のいろいろな機関が連携し合うことが大切だということは、周知のことだと思うのですが、実際の場では、表面的に同じ場所で何かをするというレベルから、深刻なケースに対してはプライバシーにかかわることをしっかり共有し合っていろいろな立場の人が力を出し合って一貫した理解をしてということが必要な場合があると思います。そのときに、やはりプライバシーの保護という問題があって、情報を出せないということと、同時に共有してもらわなければ困るという両方があると思います。
    現場でも、児童相談所のデータを学校が知らないでずっとやっているということがありました。こうした問題をうまく解決しなければいけない。かかわる方は、保護司や民生委員といったボランティアの方々が入る場合もあります。ちゃんとプライバシーの保護もして、共有し合ってという、モデルの整備が必要だと思います。
    もう一点は、薬物乱用防止対策については、私もかかわって仕事をしたこともありますけれども、行政の取組がいま一つ中途半端と感じます。薬物というのは、やった人が悪いのではないか、責任は本人にあるのではないかということで、取り組む側の気持ちにばらつきがある。結局、ダルクなどに丸投げしてしまうという感じが多いのです。若い子どもたちが薬物をやっている姿を見ますと、本当に、子どもたちが悪いとは言い切れないというか、環境的な問題があったりということを思います。この子たちは悪くないという気持ちがおのずと出てきます。研修などにより薬物についてもう少し行政が学ぶ必要があると思います。
  • 宮本座長
    今、お二人手が挙がっていますが、プライバシーの問題をどうするかというのは、かなり共通するテーマだと思います。この件について、どなたかございますか。
  • 奥山構成員
    要保護児童対策地域協議会は、児童福祉法に位置づけられていて、そのメンバーには守秘義務がかかり、外でそれを漏らしたときには罰則があります。要保護児童対策地域協議会で話される内容は、私たち医者であっても、協議会の場であれば守秘義務違反にならない。その代わり、協議会の外で言ったら、罰則があるという構図になっており、プライバシーのことについてもお話ができます。
  • 松原構成員
    4~5年前、法務省の調査研究で、少年院と児童自立支援施設に入っている子どもたちの半数以上が、虐待あるいは家庭内暴力の経験をしているという結果が出ています。非行は、虐待の問題と切り離して考えることはできないと思います。
    非行を起こす子どもは1人ではなく必ず家族がいて、それが抑止力になっているのか、誘因になっているのか、さまざまだと思います。18歳未満であれば児童相談所が家族の対応もしますけれども、18歳を超えてしまいますと、どういう機関が子どもや家族のケアをしていくのかというのがなかなか見えてこない、きちっと整備されていない部分があるという感じがいたします。
    もう一つ言えば、一人っ子でなければ、家族には兄弟もいますので、支援の対象を家族総体として広げていかないと、子どもたちだけをピンポイントに政策を考えていっても、防止にもつながらないし、その後の対応にも十分な施策が及ばないのではないかと思います。
  • 高塚構成員
    先ほどの警察庁の方の説明の中で、子どもたちが自分の居場所を見出せず、孤立化し、疎外感を抱いている現状があることから、こういったものがなくなるように努めていく必要があるとの説明がありました。私も全く同感です。
    私はずっとひきこもりの対応をしていまして、1つの参考にするために、イギリスのニート対策の調査を現地でしました。イギリスのニート対策というのは、実は非行対策です。日本ではニート対策は就労支援対策になってきてしまっているけれども、イギリスではそうではない。義務教育を16歳で終えて、若年者の失業率が高い中で就労もできないまま放置されている子どもたちがいる。その子どもたちを放っておけば必ず非行行動が起こってくる、何とかしないといけないということで始められたのがイギリスのニート対策です。いわゆるコネクションズという機関を各地域に設けて、どんな相談でも対応します、子どもたちが何かやりたいというのであれば居場所を提供します。そういう機能を持っている。確かに教育的機能もあるし、就労支援的な役割もあるが、主眼は非行対策だというお話をあちらで聞いて、非常に大事な発想だと思いました。
    非行なら非行というところに特化して何かをするのではなくて、一次予防、二次予防、三次予防という考え方から言えば、一次予防のところでコネクションズのような機関の役割は大きいわけです。
    例えば警察では少年サポートセンターをつくって非行少年の対応をしており、一方で最近、地域若者サポートステーションという名前がよく似ているものが各地にでき、厚生労働省主導でどちらかというと就労支援をしている。
    もう少し子どもや若者をサポートする組織、施設、相談機関を総合するようなところを、充実させることがあっていいのではないか。そういう中で、一次予防的な非行対策もあって、そこに配属されるスタッフに十分な認識を持ってもらうために必要なことをやらなければいけない。せっかく枠を外して、連携ということが求められている現代社会の上では、例えばイギリスのニート対策の原点を改めて見直して、参考にする必要があるのではないかという気がしました。
  • 谷口構成員
    先ほどの個人情報の件は、現場で連携を取る際に大きな障壁になってしまっているのは現実にあると思います。そこで運用を行いやすくするために、子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者支援地域協議会には公務員と同様に守秘義務がかけられています。また、地域若者サポートステーションでは、学校連携推進事業として、中退者情報を一元化し、学校と連携して中退リスクの高い若者を支援する、中退する前に情報共有をして継続的に支援していくという取組が進められています。これは予防の観点からも方向性としては、ぜひ推進していく必要があると考えます。
    非行については、従来ではあり得ないような潜在化した問題も見つけていく必要があるのだろうと考えております。その最たるものの1つが、インターネットの世界です。非行行動もかなり質が変わってきてしまっていると思います。例えば、SNSなどを通じて見ず知らずの人と知り合って、見ず知らずの地域に行って罪を犯すという子どもたちも実際に出てきてしまっています。また、これまではインターネットの中の誹謗中傷などの書き込みはネット上のパトロールで把握できていたんですが、LINEなどではグループ内でパスワードがかけられており、大人たちが閲覧できない状態になってしまっています。把握することが難しいインターネットの世界では、今までの万引きなどと違って、オンライン上の財産を奪い取ったりする子どもたちや若者も出てきてしまっています。こういった質の変容にもしっかり着眼をした対策を進めていかなければいけないと思います。
  • 植山構成員
    先ほどの高塚構成員のお話に関連したお話をしたいと思います。
    入り口としての機能が包括的だということは、非常に重要だと思います。前回も少し申し上げたかもしれませんが、例えばニートや非行に特化したものを設けてありますと、相談に行きにくい、SOSを出しにくいという面もあると思います。誰でも気軽に利用できるようなセンターが入り口としてあって、専門的な対応が受けられるようなものが望ましいのだろうと考えています。
    例えばそこに放課後のクラブ活動的なものを求めて行ったとしても、適切な支援が得られるとしますと、立ち直りにつながりやすいですし、ドロップアウトしにくいと思いますし、同時にそこにいる専門家以外のボランティア、セミプロ的な人たちがロールモデルになることがあります。年齢の近い方とか、経験者がいらっしゃるとか、魅力あることができるので、望ましいと考えています。
    次に、非行に至るプロセスに関して、スクールカウンセラーとして学校におりますと、学業のつまずきであったりとか、学校の中での生活へ適応できないということがあります。就学前、学齢期といった低年齢においては、発達障害だけではなく、特別支援教育的な対応を子どもとその家族も含めて包括的に行いますと、かなりいい対応ができるのではないかと考えています。
  • 福田構成員
    今回初めて警察庁管轄下にもヤングテレホンコーナーがあるということを知ったのですが、こうしたサポートセンターなどが所管する省庁ごとに別々に設置されているという話がありました。いろいろな省庁に分かれて、それぞれが細やかな動きをされていると思うのですが、例えば電話がどこかに入ったときに、こういった相談はこちらのほうにどうぞという連携した対応ができているのか、できていないのか。できていないのであれば、省庁間で連携を図ることも大事だと思います。
    それから、例えば実態をつかむときにも、各省庁のデータを連結して、全体を総括して見通すような見方も必要ではないかと感じました。
  • 宮本座長
    連携の件で、何人かの構成員から御意見が出ていました。 先ほど高塚構成員からイギリスの例が出され、日本にも総合的な体制が必要だというお話が出ました。これに関しては、子ども・若者育成支援推進法ができたとき、イギリスのコネクションズが1つのモデルになるという議論がなされました。その結果として、地域の中に、総合相談窓口を作り、子ども・若者を支援する地域協議会を作ることを、子ども・若者育成支援推進法で定めたわけです。
    それよりも少し前に、地域若者サポートステーションをつくったとき、イギリスのニートという言葉を輸入し、それに対応した形でつくられました。ただ、イギリスでは、ティーンエージャーの、学校に行っていない、仕事にも就いていない、非行の危険を持っている者としてニートという言葉が出てきたのですけれども、日本にニートという言葉が入ってきたときには、無業の若者として、年齢がぐっと広がって、ティーンエージャーよりも20代、30代の若者が対象になりました。それを受けたのが厚生労働省の労働部局であったために、ニート対策は労働対策になりました。昨年の秋、行政事業レビューで、地域若者サポートステーションは要らないという指摘がなされていますが、その根拠は就労実績が明確でないとされています。
    ところが、今日ここで議論されていることは、困難を抱えている子どもや若者は、就労だけでは語れない、その前の段階もいろいろな問題があり、その一つ一つに対処するような仕組みが必要ということです。
    現在、コネクションズをモデルとして作られた地域若者サポートステーションは就労に偏り、一方で、総合的な対応をするために子ども・若者育成支援推進法で定めた総合相談窓口は、全国では普及が遅れ、予算規模からいってもその内実は非常に弱いという問題があります。
    これは今後の検討の中で、かなり重要な問題になるかと思いますので、お話をさせていただきました。
  • 高塚構成員
    残念ながら、イギリスのコネクションズは、政権交代があって大分弱体化しているらしいです。私は、3月にまたイギリスへ行って、状況を見てくるつもりです。
    例えば非行の問題だからここへ相談しなさい、就業のことだからここへ相談しなさいとか、ひきこもりはここへ相談しなさいと分けられても、当事者の子どもたちから見ると、逆にそういう枠づけをされることによって行きづらい。行って何を話していいかわからない、どう対応していいかわからないのです。そういう意味で、総合窓口が必ず必要になってくると思います。
    例えばひきこもりは、1つ誤ると家庭内暴力につながって親子の事件を起こしたり、あるいは第三者を殺傷するような事件も多発しています。そういうことを考えると、ひきこもりや家庭内暴力の対応をきちんと連結しながら対応策を講じていくことを検討しなければいけないと思います。
  • 奥山構成員
    お願いなのですが、座長がおっしゃったように、各省が行っている、相談窓口にどういうものがあるのか、連携の仕組みにどういうものがあるのかという一覧表のようなものを、内閣府でおつくりいただくわけにはいかないのでしょうか。どういう状況にあるか理解をしたいと思いました。
  • 内閣府
    子ども・若者白書の参考資料で、主な青少年相談機関の概要や、先ほど谷口構成員から御紹介があった子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者支援地域協議会がある自治体の一覧があります。(構成員にコピーを配布) これらについては、私どもの広報不足ということがあってなかなか知っていただいていない部分もあると思います。
    補足いたしますと、先ほどお話が出ていたプライバシーの保護の問題は、子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者支援地域協議会の構成機関には守秘義務が課せられ、罰則規定があります。構成員となった民間団体の方にも公務員と同じ守秘義務が課せられていす。この地域協議会が困難な若者を支援する上でプライバシーの保護を担保するスキームがあります。
    子ども・若者育成支援推進法において、総合相談窓口(子ども・若者総合相談センター)や地域協議会の設置は自治体の努力義務で、全ての自治体に設置していただいているわけではないのですが、子ども・若者の支援をする上で非常に大切なスキームであるということを、自治体に広く情報発信して、また、働きかけて、このスキームを活用していただきたいと思っております。
  • 奥山構成員
    子ども・若者支援地域協議会と要保護児童対策地域協議会の連携はどうなっているのでしょうか。要保護児童対策地域協議会で対象としている子どもの年齢が上がってきたら子ども・若者支援地域協議会につないでいけるのかといった辺りのことは、実態把握などをなさっておられるのでしょうか。
  • 内閣府
    来年度に実態調査を行う予定です。子ども・若者育成支援推進法ができたのは平成22年でございますが、それより前から地域によっては先進的な若者支援のネットワークがございました。例えば東京都は、既にそうした独自のネットワークが設置されていました。こうした自治体独自のネットワークと子ども・若者支援地域協議会の状況や、要保護児童対策地域協議会との関係であるとか、その他のネットワークがどういう取組をなさっているかということを、悉皆的に調べる必要があると問題認識を持っております。
  • 奥山構成員
    実態調査をされる際にお願いしたいのは、今もお話した様々な協議会同士の連携であるとか、様々ある子ども・若者の相談窓口の間の連携などについて子どもの立場に立ってどこに相談したらいいのかということがぱっとわかる状況になっているのかどうかなどに関しても、調査していただきたい。
  • 内閣府
    今ちょうどその企画をやっているところでございますので、御指摘いただいたことも踏まえていきたいと思います。

イ 「少年鑑別所等、少年院・児童自立支援施設等、更生保護、自立・立ち直り支援」、「非行少年に対する就労支援等」

<1> 関係府省からの説明

1) 少年鑑別所等、少年院・児童自立支援施設等、更生保護、自立・立ち直り支援(資料1-7)

  • 法務省
    施設内での取組でございますけれども、刑事施設では、若者を含めまして、薬物の依存のある受刑者に対しまして、薬物依存離脱指導を実施しております。少年院では、平成25年度から、薬物依存のある在院者を対象にしまして、指導重点施設を指定するなどして、矯正教育プログラム(薬物非行)を実施しているところです。また、被害者の心情理解という面では、刑事施設や少年院でも、被害者の視点を取り入れた教育を実施しております。その進捗状況でございますが、薬物依存離脱指導の人員は、刑事施設で増加しておりまして、被害者の視点を入れた教育につきましては、現在のところ、減少した数字になっております。少年院におきましては、被害者のゲストスピーカーをお招きした講演を、全52庁で、平成21年度から実施しているところです。現在認識している課題ですが、薬物依存につきましては、対象者が非常に多くおりますので、その指導を行う人的・物的資源を必要としておりまして、体制整備に課題がございます。また、被害者の視点を取り入れた教育は、集団を編成した指導が効果的な面もございますけれども、どうしても個別指導が中心となる傾向がございます。被害者支援団体との連携を高める必要もありますので、こういった連携強化を図ることも進めていきたいと考えています。
    少年鑑別所におきましては、鑑別精度向上に資するため、再非行の可能性あるいは教育上の必要性を定量的に把握する法務省式ケースアセスメントツールを開発しまして、今年度から運用を開始したところです。現在、認識している課題としましては、運用を定着させることと、精度向上を一層図りたいと考えております。今後の方向性としまして、関連するデータを集積するとともに、必要な分析を行い、ツールの改定等の準備を進めていく予定です。
    更生保護の関係ですが、改正更生保護法の施行が予定されております。この法律は、平成25年6月19日から2年を超えない日までに施行することになっておりまして、内容として、社会貢献活動が保護観察の特別遵守事項の類型の1つに加えられることになります。法の施行を見据えまして、平成23年4月から活動を先行的に実施しているところです。進捗ですが、法施行前の社会貢献活動につきまして、その内容を検証しているところです。現在認識している課題ですが、社会貢献活動を実施するためには、活動場所を確保することが課題でございます。今後も関係機関、団体との連携強化に努めてまいりたいと思います。
    最後に「進捗に係る自己評価」欄にだけ書かせていただいておりますけれども、更生保護サポートセンターでございます。このセンターでは、少年保護観察対象者を保護司が面接するという拠点としておりますけれども、設置数は平成21年度が21か所であったところ、本年度は245か所となっております。なお、平成26年度は、さらに100か所拡大することができる予定でございます。
  • 厚生労働省
    厚生労働省家庭福祉課でございます。児童自立支援施設について説明いたします。
    大綱策定から現在までの取組といたしましては、平成23年7月に社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会が、社会的養護の課題と将来像を取りまとめております。この中で、児童自立支援施設につきましては、お子さんの行動上の問題、特に非行問題を中心に対応する施設といたしまして、通所、家庭環境の調整、地域支援、アフターケアなどの機能の充実を図りつつ、非行ケースへの対応はもとより、ほかの施設では対応が難しくなったケースの受け皿としての役割があるとしております。こうした指摘を受けまして、<1>~<6>のような取組を進めてまいりました。
    <1>家庭支援専門相談員、個別対応職員、心理療法担当職員の加算職員の配置の義務化をいたしました。<2>施設長研修の2年に1回以上の受講の義務化をいたしました。<3>社会福祉関係でございますけれども、第三者評価の3年に1回以上の受審、公表を義務化いたしました。<4>児童自立支援施設運営指針の策定いたしました。<5>児童自立支援専門員・児童生活支援員の職員配置の引上げをいたしました。<6>親子関係の再構築のための支援のあり方に関する事例集を作成しております。
    (2)でございますけれども、社会的養護の課題と将来像に沿いまして、着実に進めているところでございます。
    現在の課題といたしましては、虐待を受けた経験のあるお子さんですとか、発達障害・行為障害を持つお子さんなど特別なケアが必要なケースが増加しております。お子さんの抱える問題の複雑さに対応いたしまして、専門的機能の充実、年長児童への対応、学校教育の実施、相談、通所、アフターケア機能などの自立支援機能を充実することが必要となっていると考えております。
    今後の方向性といたしましては、これらの課題に対応するため、今後、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律、いわゆる社会保障プログラム法案に従いまして、消費税財源も含め、安定した財源を確保した上で、さらなる人員配置基準の引上げの充実に取り組んでまいりたいと思います。

2) 非行少年に対する就労支援等(資料1-8)

  • 法務省
    施設内の処遇ですけれども、刑務所等におきましては、学校教育の内容に準じた教科指導を行っておりますが、中学卒業や高校中退といった学歴の者が多く、社会復帰後の進路、就職に十分な希望がかなわないということもございます。そういったことから、教科指導の充実を行いまして、高等学校卒業程度認定試験の受験の機会を付与しているところです。加えまして、就労に対する意欲、根気、あるいは資格取得なども推奨しているところでして、就職先を確保するためにハローワークなどとの連携も行っております。
    進捗状況でございますけれども、就労支援の対象者数は増加をしております。高等学校卒業程度認定試験の実績につきましても、受験者、合格者ともに大きく増加をしております。ビジネスマナーなどを身につける就労支援指導につきましても、対象人員は増加をしています。
    現在認識している課題といたしましては、施設に在所している間に就労の見込みを立てるのは難しいということです。できるだけ出所前に就職を確保するような実績を積み重ねたいと考え、支援対象者の増加を図る必要がございます。また、実際に就職ができたとしても、そのまま定着が難しい者が多数おります。就労に対する心構え、ビジネスマナーなどを身につけさせる教育、充実させるための体制整備をすることが課題となっております。少年院におきましては、入院早期から積極的に就労支援の働き掛けを行い、更生保護官署とも連携して、出院後も就労の継続に資するような助言・指導が実施できるようにすることが課題でございます。
    今後の方向性ですけれども、就労支援指導をより多くの受刑者などに実施できるような体制整備に加えまして、民間発意の職親プロジェクトというものが平成25年2月から始まっております。雇用するだけではなく、親として見守って、立ち直りを支えようというプロジェクトでございまして、こういった民間団体との連携を継続してまいりたいと思います。
    続きまして、社会内での就労支援ということで御説明したいと思いますが、2ページの資料を御覧ください。
    刑務所出所者等総合的就労支援対策は、法務省と厚生労働省の連携により、平成18年度から始まっております。平成23年度からは、更生保護就労支援モデル事業を開始いたしました。この事業は、施設の入所中から就労後の職場定着まで、継続的にきめ細かな指導を実施するという、いわゆる寄り添い型の就労支援です。
    その成果ですが、平成24年度の実績として、就職率75%、職場定着率75.2%など、再犯防止に効果があると思います。また、前歴を理解して雇用していただける協力雇用主につきましては、右の図にございますように、登録数が増加しておりまして、平成25年4月1日現在で1万1,044社になっております。なお、協力雇用主として雇用していただく上でも、いろいろな御苦労がございますので、その支援を図る必要があり、平成25年度からは、職場定着協力者謝金の支給を始めております。
    進捗状況に係る評価については、先ほど説明しましたほかに、保護観察終了時の無職者率は、平成21年の14.7%から、平成24年は13.0%に増えている状況が見られます。こうした保護観察のもとでの就労支援については、関係機関と協力して進めてまいりたいと考えております。更生保護就労支援モデル事業につきましては、平成26年度からは更生保護就労支援事業として本格実施することとしております。

<2> 川邉構成員・古賀構成員・定本構成員・谷口構成員からのプレゼンテーション

  • 川邉構成員(資料1-9)
    非行対策に関しては、第一に、国が子ども・若者の非行・犯罪に対して、どのようなスタンスを取るのかを明確にし、それを国民に浸透させ、育成的文化若しくは育成的土壌と言えるものを作っていくこと、第二に、非行少年の非行性の進み具合、背景にある問題性に応じた応答性のある支援をすることが重要であると考えます。
    そこで、非行の実情を概観した上で、非行対策の根幹をなす少年法と、支援の応答性を向上させるための施策について、意見を述べたいと思います。 まず、非行の実情です。グラフや表はすべて犯罪白書からの引用です。最初の図は、非行は減少傾向にあり、ここ10年くらいは、減少の程度が大きいことを示しています。2枚目の図は、殺人は最近は一貫して少ないこと、強盗も減少傾向にあることを示しています。ちなみに、最近の殺人は未遂を含めて50件前後ですが、昭和20年代から40年代前半にかけては、200数十件~400数十件で推移していました。3枚目は、非行少年を年齢別にみると、14・5歳の年少少年が一番多いことを示し、4枚目は、非行が14~16歳をピークに、それ以降減少することを示しています。6枚目と7枚目は、非行少年の70%以上が中高校生で、非行の中身の大多数は万引きと乗り物窃盗で占められていることを示しています。
    次に少年法についてですが、最近の大きな改正は、平成12年の、犯行時16歳以上による故意による致死事件を原則逆送としたものと、平成19年の少年院送致年齢を14歳からおおむね12歳に引き下げたもので、相原構成員が先ほどご指摘なさったとおり、いずれも厳罰化の方向の改正です。ここでご確認いただきたいことは、少年非行が長期的に見て減少傾向にある中での改正であったことと、改正により非行数が減少したとは見えないことです。
    少年法は、第一条に明記されているように、少年の健全な育成を期して保護処分を行うことなどを目的としたものです。つまり刑罰よりも保護処分による健全育成を優先するという国の方針を示したものと言えます。少年法改正については、非行減少効果の有無に関する検証とともに、責任の自覚や順法精神の向上などの健全育成面での効果の有無に関しても検証すべきものと考えます。また、厳罰化により、少年法が持つ健全育成の理念が希薄化するという反動が予想されるのですが、それを抑えるための施策が十分であったのかの検証も必要だと指摘しておきたいと思います。これは、先ほど定本構成員が指摘されたことと同趣旨のもので、非行の原因を非行少年の側にのみ押しつけることで、家庭、学校、地域社会などのもつ問題から目をそむけさせる効果がある可能性があるということです。
    第二の観点の、少年非行の多様性についてです。平成24年にあっては、約12万人弱の少年が検挙され、うちの9万人近くが不処分不開始となり、保護観察処分になる少年が約26,000人、少年院に送致される少年が3,421人であることを示しています。10歳から19歳までの少年人口に占める割合は、少年鑑別所収容で0.1%、保護観察処分で0.3%、少年院収容で0.03%となります。当然、少年保護手続のどの段階にいる少年かにより、問題の質と量は大きく異なり、それぞれに応答性のある施策をとる必要があるということになります。
    彼らをその特性ごとに分類すると、次の図のような、「持続型」「思春期一過型」「特異型」の3層構造となります。最も多い思春期一過型の少年には、いわゆる非行の一般化と言われる特徴に見られますが、少年院に収容される少年には、それは当てはまりません。それを示す例が、図に示した、少年院収容少年と家裁送致少年全体の教育程度・保護者などに関する数値の違いです。
    持続型の少年は、家庭的・資質的に大きなハンディキャップを持っていることが多く、早発非行で、非行を繰り返しています。逆に言えば、早くから問題を表面化させているわけですから、早期の対応ができたはずの少年たちとも言えます。これは福祉的な対応や、親や家庭の機能の弱さや偏りを地域や学校が補完する方向での対応が必要な人たちだと言えます。そして、施設収容となった少年に関しては、人としての「育て直し」の濃密な処遇が必要となります。
    思春期一過型は、一過型で終わらせることが重要です。そのためには、初発非行段階でのリスク・アセスメントと、彼らを排除せず地域や学校に再統合するための施策が必要であり、後者に関しては、一般的な健全育成施策が有効となると考えます。前者のリスク・アセスメントに関しては、後ほど改めて述べます。
    特異型の非行については、個別要因が大きいので一般化をしない方が賢明です。これには少年院・保護観察所での個別的・専門的処遇プログラムを充実されることで対応することになると考えます。
    本会議で検討してきた健全育成施策は、非行からの立ち直りの支援というよりは、地域や学校での健全育成的風土醸成を促進し、それを非行防止へとつなげるための施策であると位置づけられると考えます。
    次に、保護処分に付された少年について見てみたいと思います。図表に示したとおり、少年非行数や人口比は減少しており、少年院出院者の5年追跡のデータを見ましても、施設再入所率は下がっています。保護処分の有効性はより高く評価されるべきだと考えます。
    保護処分とその指導内容は、再非行防止のためだけではなく、健全育成の観点からも点検評価すべきであるという観点から述べます。これまでは、保護処分に関する施策の評価は再非行の有無に比重を置き過ぎていて、健全育成の観点が不足していたのではないかと申し上げたいわけです。そうなってしまっていたことの原因の一つに、健全育成を測定する尺度なりツールがないという問題がありました。しかし、動的リスク・アセスメントとニーズ要因のアセスメントにより評価可能となると考えられます。
    このことを考えますと、法務省が本年度から運用を開始した法務省式ケースアセスメントツールの一層の精緻化と充実化に期待がかかります。また、先ほど奥山構成員から、性非行少年には他の非行少年とはかなり違う特性を持っているというご指摘もありましたが、そうした非行種別ごとのツール、特異型少年にも適用できるようなツールの開発も期待しております。また、再非行防止だけでなく健全育成の程度を測定できるような方向での発展にも期待するところです。
    このほか、少年院法改正後の少年院処遇の充実、少年鑑別所法制定後の少年鑑別所における観護処遇の充実にも大いに期待しております。
  • 古賀構成員(資料1-10)
    今の川邉構成員のお話にない部分に特化してお話したいと思います。
    非行の発生自体は減っているけれども、治安が悪くなるとか、問題が大きくなるという感覚、いわゆる体感治安は、膨らんできているという現状を頭に置かれる必要があるのではないかと思います。特に重篤な人たちの中には、いきなり型非行のように、脈絡なく問題を起こす場合があるので、一層不安が醸成されてきているということが、現実にあります。
    そうなると、よく保険技術型管理という言葉が使われますが、危ない人を排除しろ、まとめてどこかに隔離しろという議論が必ず出てきて、強くなってくるわけです。しかし、川邉先生も御指摘のように、重篤な非行を犯した子どもたちに対しては、従来ある種の規律統制という丁寧なコントロールをしてきましたし、そうした子どもたちの改善指導というのはそれなりに成功してきたわけです。世界的に見ても、再犯率なども、全体的に見てうまくいってきたのではないかと言えるところがあります。
    少年院は意外に教育的な場所で、私は2006年ぐらいから、内部観察をさせていただいてきたのですけれども、非常に細かな評価行為をしながら少年院に入っている子どもたちの主体形成を盛んにやってきたし、また、外部の社会に出たときのことを想定して、細かくチェックをかけるという作業をしていました。こうした少年院の教育実践をもう一回正確に把握して、他の教育機関や支援機関でやっているモデルを重ねあわせたほうが、有益なのではないかと思うようになってきました。
    少年院の成績評価は、観点別評価の非常に緻密なものになっていまして、1カ月に1回程度、何度も評価を繰り返して進級させていくことになります。入り口には個々の非行少年のインテーク作業があって、最初の1カ月ぐらいは、個別に丁寧にその子の背景を聞くという作業をしています。
    施設の生活というのは、皆さん方のイメージですと『あしたのジョー』のようになっていて、リンクがあって、ボンシングでもしているのではないかというイメージの方が非常に強いそうですが、そういうことではなくて、きちんとと時間を追いながら、課題を達成できるようにできています。院内生活の全ての中に指導もあるし、評価もあるという形になっています。
    非行の問題性を確認して、改善するために指導するという考え方で、一番恐いのは、限られた院内にそのまま適応し院内で社会化されてしまうということです。つまり院内に合わせることだけを考えて、外の社会が見えなくなるという現象で、これが再入院者に最も多い問題です。それをなくすということが非常に重要視されています。外に出たときの生活設計を念頭に置く、あるいは家族関係の改善を念頭に置くということになっています。
    このように、少年についての評価を何度もすり合わせて、教官相互の評価の違いも考えるようになっているわけです。教官の人たちは、生活設計とか社会適応の意思が不足してその後に社会に出たときのイメージができずに院内生活に適応することを何とかなくそうということを大きな努力目標にしているし、そのために専門的な職業適応の教育も行っている。特別な技術を身につけたから上手く社会で適応できるということ以上に、社会の正確なイメージを持ったりそれに合わせていくパーソナリティーやスキルを持たせるようにしている。これは非常に重要な点だと思います。
    一度外に出てうまくいかなくて、戻ってきてしまった子にインタビューすると、「外の社会には頼れる先生などもいなかったし1人でやらなくてはだめだった」と言います。また「犯罪をしなければ何をしてもいいんだと思ってしまい、社会は単純な規則なんだと思っていました。自分で羽目を外し過ぎてしまった」と。戻ってきた子は、こういうところが残ってしまっています。自分の限られた仲間との社会だけを想定していきますから、社会が見えずに、再び戻ってきてしまう。ここをどうやって改善するかということになります。
    教官の方々は、改善の事実を材料としながら専門職相互の評価会議を繰り返します。
    少年院の実践は、見方によっては、大変アイロニカルで、我々には見えにくいわけですが、徹底した内部の生活訓練を求めつつ、それを外部の人たちとの関係修復のための入り口にしようと、一生懸命やっているところがあります。もう少し別な言い方をすると、今まで少年院という場所が開かれた形になってこなかったところがある。つまり情報が十分に出ていないので、少年院で何をやっているかがわからないので、先ほどのような不安を醸成してきた部分もある。
    ですから、少年院法の改正に伴って、少年院でやっている様々な支援活動の意味を知らせること、それと同時に、外部との連携を充実させることが必要だと思います。
    外部との連携は、有志、篤志の方々の努力に支えられてきました。保護司の方もボランティアですし、職場体験とか就労体験をするための入り口も篤志の方々の善意に支えられております。しかし、善意だけでいいのかという問題があります。就労する先がだんだんサービス・ビジネス系になってきたりしているわけです。今までは技能・職人系が多かったわけですが、現在は介護福祉などに就く人も出てきます。そうしますと、ビジネスマナーや対人能力が要求されてきている。適切な就労体験の場所を得ないと、十分な改善がなされないかもしれないわけです。
    こういったことを少年院という場所が個別にやっていることをよく理解していただいた上で、他の機関との連携をさらに充実させていく必要がありますし、先ほども出てきたダルクや、セカンドチャンスという非行少年を再び改善させた人からなるNPOのお話を聞く機会も必要で、設定されてきています。こういう外部の諸機関との関係性の中で、施設の教育内容が充実してきていますので、これも1つの参考にしていただいて、見ていただきたい。
    少年院は重篤な人が入っている排除された機関だというイメージから、社会の中のいろいろな人と連携して改善の入り口をつくる大きな場所になっているという考え方に変えていく必要があるのではないかと思っております。
  • 定本構成員(資料1-11)
    私は京都少年鑑別所医務課医師でして、20年以上1カ所にいます。その関係で、地元に密着型で、しかも、児童精神科医という職種の人間が少ないということがあって、京都のいろいろなところに頼まれて行くことが多いです。就学前の施設や、学校、医療、成人保健、就労支援など、いろいろなところで仕事をすることがありまして、そういう意味で、いろいろな社会のいろいろなところ非行を見る機会を与えられています。
    先ほど少年法のお話がありましたけれども、本当に良いシステムです。思春期の子どもたちは、体は大きくなっているけれども、アンバランスです。性ホルモンが出てきて、成熟が活発になってきても、心理的にはまだ甘えん坊で、でも、主張はする。そういう非常にアンバランスで難しい時期に、犯罪などいろいろな問題が起きます。それでも大人として責任の全部を任せるわけではなくて、何らかの問題があって起こっていることなので保護しましょう、罰ではなくて保護しましょう、教育をしましょう、という理念です。
    2番目に、同じ犯罪をしていても、個々に性格も能力も違うし、育っている環境も違うということで、個別に見ましょう、なるべく科学的に見ましょう。理由をちゃんと見た上で、その後に合った処遇をしましょうという理念があります。
    3つ目は、先ほどから言われていますように、関係者との連絡、協力です。いろいろな人がかかわって子どもを健全に育成しましょうという理念がしっかり書いてあります。
    4番目に、手続の非公開とあります。プライバシーの保護をしましょうということです。
    少年法を見ると、いつも感動するのです。思春期の子どもたちをしっかり守ろうという法律が整っており、運営されています。
    鑑別所の役割は、一人一人の少年の原因を突き止めて、その子に合った更生への道筋を探ることです。28日以内の間収容して、心身の鑑別を行います。法務技官、心理技官、医師、法務教官が、日常的なお世話やいろいろな指導をしながら、チームによる協同作業をします。
    鑑別所の視点は3つあります。まず、昨日今日に急に非行少年になった子は1人もいませんから、家、学校でどんなことがあったかという生活歴、生育歴をしっかりと読み取る。次に、子どもというのは依存的な存在ですから、生活環境の影響をものすごく受けます。どういう家庭で、どういう学校で、どういう地域、どういう文化の中で育っているかという環境についても、しっかりみなければいけない。それから、資質です。同じ虐待的な環境で育っても、思春期に非行にいく子といかない子があります。行動観察をしたり、心理テストをしたり、精神科で診察をすることで、その子の資質を見ます。
    思春期、青年期にはいろいろなことが起こります。その多くは、先ほどもお話があったように、放っておいても大丈夫なものです。思春期というのは、子どもから大人に移り変わる時期で、自己主張も強くて、攻撃的になる時期ですから、いろいろなことが起こるけれども、それもまたその子の可能性として、大人になったときに、自分らしさを見つけていくのです。大きなリスクがありますけれども、非常にいい時期だという見方をしています。
    非行のリスク因子ですけれども、先ほどから出ていますが、やはり複合的です。単一の原因ではありません。虐待、ネグレクト、親の犯罪歴、貧困も多いです。それから、ひとり親の方や養育者が交代しているなど、いろいろあります。
    大きく書いたのは、3大リスクということで、日本ではこれからまたいろいろ調査を始めるところだと思うんですけれども、アメリカでは大規模な調査がされていまして、リスクがはっきり出ています。
    一番のリスクは、男子です。男の子のほうが、女の子よりも犯罪にいきやすい。世界で見ても10対1ぐらいです。男子は成長のときに、非行にいきやすいということです。
    それから、学校不適応です。自宅以外に過ごす場所があれば非行にはならないのですが、どこにも場所がなくいと、ふらふらして、非行にいく率がとても高くなります。
    低学力ということも非常にあると思います。それが不登校につながると、居場所がないということにもつながっていきます。非行少年のIQの平均は85で、80台後半です。一般が100ですから、知的障害ではないのですけれども、学校教育から落ちこぼれてしまいます。家庭がしっかりしていて、教育をしっかりしたり宿題をしっかりみるということであればまだいいのですが、ネグレクトなどがありますと、低学力になってしまう。実際、鑑別所では学力も調査しますけれども、分数をできない子が多い。1割ぐらいしかできない人ができないというのが、現状です。
    不就労もございます。日中に仕事をしていれば、非行にはならないと思います。
    発達障害に関しては、エビデンスがあるのは多動の子たちです。自閉症の子は、非行にはいかないと言われています。実際に鑑別所で見て、診断がつく多動的な特徴を持った子は、6割ぐらいということになります。グレーゾーンの子どもたちもいます。
    少年非行は、社会の歪みをそのまま映し出す鏡であります。社会の抱える問題を反映しているのです。戦後には物すごく増えたとか、高度経済成長のときには若者がどんどん家を離れて非行が増えたなど、社会の時々の問題が反映されているということも1つあります。今も就労困難などがかかわっていると思います。
    このように、リスクが複数あっての非行ということで、それぞれに対するアセスメントと対応が必要になってきます。アプローチとしては、多面的、複合的なアプローチが必要です。思春期、青年期の発達段階の理解が求められます。
    非行少年の処遇を選択する際には、非行性、非行の進んでいる程度と、要保護性、抱えている問題の深さの程度、年齢を考えます。保護観察、少年院、児童自立支援施設などがあります。
    少年院については、先ほども随分お話がありましたが、そこにいる子どもたちは悪い子という感じではないのです。少年院は悪いことをした悪い子だからそれを直すところ、お仕置きをするという場所ではない。いろいろなハンデを抱えて今の社会の中では生きにくい、うまく適応できない、不器用というようなタイプの子どもたちが圧倒的に多いのです。だから、少年院では、社会参加をしていけるためのスキルを獲得させるというのが中心だと思います。先ほどのお話にもありましたけれども、閉鎖空間においてこそ展開できるという、インセンティブな矯正教育だと思っています。食事しない、挨拶もできないし、起立もできないみたいな感じの人が多いので、規則正しい生活リズムを持てるよう、生活指導、運動、教科教育、職業指導が行われています。
    先ほどありましたように、問題は出院のときなんです。少年院ではびっくりするぐらい、良くなります。本当にあの事件を起こした子かというぐらい、いい子になります。でも、守られた場所でこそ、そういうふうにやっていけるのであって、外では守ってくれるものがないですから、外でやっていくというのは課題です。入所中にいろいろ準備することが大事です。
    外に出ていきますと、一気に枠が外れます。仲間がやってきます。日中にいる場所がない。すぐに就職できないと、暇にしてしまうことはよくない。地域のいろいろなところと、できるだけ多くの人や機関によるサポートネットワークを準備しておくことが大事だと思います。1カ所に丸投げというのは、よくないと思います。自立支援は、再非行防止に直結すると思います。仕事がなくてふらふらしてしまう、良好な人間関係がないと、どうしてもよくない人間関係に囲まれてしまうのです。仕事と良好な人間関係が必要です。その最たるものは結婚だと思いますけれども、健全な形での社会とのつながりを築いていくことが必要だと思います。
    最近、割と目につくのは、非行をすることで鑑別所に入って、初めてその子に、発達障害、知的障害があることがわかるという例です。60台、70台のIQですし、乳幼児健診などで引っかからずにきて、ずっと落ちこぼれていたけれども、非行に至って初めて検査してみると知的障害だという子が少なくないです。そういう人に関しては、鑑別所を出るときに、しかるべき機関に対応してもらいましょうということになりますし、少年院にいた場合は、少年院の入院中にそういう手続をして、出たら即座に専門の機関の支援を受けられるようにしていくということが大切だと思います。最近の取組としては、地域の支援機関と福祉的支援、先ほども言いましたように、療育手帳の取得をしますと、生活・就労支援センターや発達障害者支援センター、障害者職業センターの支援がいきます。そういうことがだんだんとされてきていると思います。
  • 谷口構成員(資料1-12)
    次の議題である子どもの貧困問題のことも含めて、まとめてお話をさせていただきたいと思います。
    お手元の資料を割愛したものをパワーポイントで用意しておりますので、画面を御覧いただきながら、お聞きいただければと思います。
    今、この会議が直視しなければならないことは、子ども・若者が抱える問題が複雑化、深刻化しているという点ではないかと思います。画面に事例を出しておりますが、孤独の中で、極限の状態に追い込まれている子ども・若者が現場の実感として増えているのではないかと思っております。こういった点をかんがみると、これまでの来ることを待つような消極的な施設型支援で、社会的な孤立・排除が防げるのかという視点は、今後の支援の在り方を考える上で持っておく必要があるのではないかと思います。
    佐賀県では、こういった点を重視して、子ども・若者育成支援推進法に基づく取組を実践させていただいております。法で定められている3つの機関のうち、総合相談窓口としてのセンター、アウトリーチとコーディネートを担う指定支援機関の2つを合わせて、我々のNPOが担っております。また、若年無業者などの職業的な自立を支援する、地域若者サポートステーション事業の認定も受けておりますので、結果的に、入り口段階から出口段階までを継続的にフォローできる、ワンストップ型に近い支援を展開させていただいているということになります。
    なぜ関係する公的機関が全て参画する中で、いちNPOが法定協議会でこうした役割を担うことができたのかについて申し上げますと、1つは、家庭教師方式のアウトリーチ、本人支援プラス家庭環境までコーディネートして支援をしていくノウハウがあるというところです。もう1つは、機関誘導型のアウトリーシ、さが若者サポートステーションには、年間1万件ほど相談件数がございますけれども、非行などを含め、社会的に孤立している若者が全体の45%を占めているということで、掘り起し、さらには誘導の機能を法定協議会の中にも取り入れていただいているということでございます。
    こういった活動の中で見えてきた子ども・若者の実態としては、子ども・若者本人の状態が困難ということだけではなくて、背景をしっかり見ていく必要があるということです。虐待、DV、保護者の精神疾患やギャンブル依存、貧困もそうですけれども、生育環境に問題を抱えて、家族支援がなければ、本人が立ち直ることはできないだろうと思われるケースが66.5%を占めています。こういった観点からは環境に直接的にアプローチをする専門的手段が必要ですし、さらにはこれらの問題を複合的に抱える若者が86.8%でありますから、単一機関、単一分野の支援の限界というものも、実態調査の中から明らかになっています。
    そういった点でいくと、相談窓口ということを考えるに当たっては、チーム対応を原則とする必要があるのだろうと思います。我々の組織の中でも、御覧いただいているような、様々な専門資格を持ったメンバーをチームで配置することによって、ワンストップ型の相談支援を展開しています。
    もう一つ、さが若者サポートステーションの実態調査によると、サポートステーションに来る若者全体の48.5%は、既に複数の支援機関の支援を受けて、なお改善できなかった事例であります。そうなると、対人関係への苦手意識に加えて相談支援、いわゆる公的支援に対する不信あるいは抵抗感を持っているわけです。アウトリーチ対象者では61.4%に上ることを前提としなければならないということであります。つまりは、支援の入り口段階で大きな課題を抱えているのが現状の公的支援であるということになります。
    したがって、子ども・若者の状態を見るときには、家族とはどういった関係で、実際にどういった関係者がこれまでかかわって、今の状態になるのか、これを多角的に分析しなければなりませんし、本人の価値観を含めたアセスメントを行った上で、彼らにとってどういった存在ならば受け入れやすいのか、この点についてしっかり斟酌した上で、支援への入り口段階を構成していくことが重要になります。
    そういった点でいくと、矯正保護の世界もそうだと思いますけれども、1人の専門家が全て対応するという話はできないということです。一人を自立させるまでには、地域ボランティアも含めて、様々なレベルでのかかわりが必要になると思っています。実際に我々のところでは、入り口段階で20代、30代のお兄さん、お姉さん的なアプローチが効果的に機能しています。200名ほどのボランティアが協力をして、困難を抱えている若者たちにアウトリーチする取組を進めさせていただいております。ですが、先ほど他の構成員の方の指摘にもありましたように、善意に頼り切るということは、間違ってしまうことになるということです。責任も生じますし、専門性に基づく危機管理ができる組織が重要であると考えています。
    もう一つ加えるならば、1つの組織にできる限界も当然想定しなければならないので、ネットワークが重要になるのですが、やはり公的機関のネットワークだけでは足りない。子どもたちが求めているものは、もっと身近で、パーソナルな部分の支援も大いにあるわけですから、地域のボランティア、あるいはサークル、NPOといったものから、地域の限界もあるということは想定しつつ、全国的なネットワークも含めて、機能別・目的別・重層的にこういったネットワークをつくっていく必要があると思っています。
    1つだけ事例を御紹介させていただきます。この事例は、ひとり親家庭に所属する14歳男子の事例です。医療機関を含めた関係機関の指導などがあったのですが、残念ながら、恐喝、万引き、暴力行為などを繰り返してしまうということで、いよいよ我々のところに学校の先生が相談に来られました。学校側の見立てでは、この時点では、養育力の問題であるとか、本人の性格上の問題、あるいは発達障害の疑いが原因ではないかと見られていたのですが、実はこういったケースの多くの場合、アウトリーチをかけていくことによってわかるものが実際に出てくるわけであります。生活場面の中で得られる情報が非常に重要になってくるということは、この事例でもまさにそうだったと思います。行動の背景には、貧困、虐待、DV、宗教問題、親族間の金銭トラブルなど、複雑かつ深刻な家庭環境が、本人の逸脱行為に影響を与えていたという事例でありました。
    こういった事例に対しどう対応するのか。1つは、本人支援。個別対応から集団活動への移行段階の中で様々なトレーニングを加えていく必要があります。それだけで不十分だというのは、先ほどの実態調査からも明らかですので、家族支援という部分に関しても、母親の精神的な状態の安定であるとか、金銭的なトラブルの解決であるとか、貧困支援に対する支援、こういったものを様々な関係機関と連携をとりながら、組み合わせていなければならないということになります。
    画面のイラストは実際にこの事例に対して我々が訪問して、直接的、間接的にかかわった方々。これだけ多くの方々に御支援いただかなければ、本質的な改善には至らなかった。対人、メンタル、ストレス、思考、環境を多角的にきちんと分析して、状態改善を見込みながらかかわり、最終的には自立にもっていく。ここで重要になってくるのは、誰がそれを伴走していくのかということですし、複数年かけて経過を観察しながら、自立まで責任を持って見守るといった体制をとれば、実際、結果も伴ってくるということです。
    佐賀県の場合、不登校数や若年無業者数は減少していっています。さらに割合も減っていっている。これはこういった多面的アプローチという手法が、県全体で展開できるようになりつつあるからだと思います。
    最後に全体の施策としての課題を御紹介させていただきたいと思います。我々の組織では、相当数の相談が一極集中し始めているということです。改善率が高いので、頼りにされているという側面もあるのですが、負担が集中してしまう。なぜこれが起こるかといえば、それぞれ支援メニューが用意されているけれども、それぞれの連動性であるとか、限界があるからだと認識しております。ならば、それを補う仕組みをつくっていく必要があるのだろうということであります。
    例えば佐賀市教育委員会では、完全不登校やひきこもりといった子どもたちにも教育や自立支援を提供するため、ICTを活用した学習支援、訪問支援を行っています。これは改善率ほぼ100%ということで、有償ボランティア制度から、最終的には22校の常勤の支援員の配置というところまで、展開ができたということであります。
    義務教育修了段階の支援としては、地域若者サポートステーション事業で、高校を中退した人のアウトリーチ事業が展開されたことによって、県の教育委員会のほうで、全公立高校に相談員を派遣して、中退リスクの高い若者のリストアップをする。そこで特に家庭的な支援が必要な若者に関しては、県の予算で家庭教師方式の訪問支援を展開している。そこで自立支援、継続的なフォローをする。こういう仕組みを佐賀ではつくっていただいています。
    このように義務教育段階、高校教育段階、さらには就労段階というふうに、地域若者サポートステーションでできた基盤を基礎として、様々に組み合わせていく。そうすることで、1人の子どもも見捨てない、継続的・総合的な支援体制を整えていけるというのが、現状です。
    国の役割というのは、このように地方の取組をしっかりと促進していくための基盤をつくることが重要でありますし、また、縦割りの打破、連携のために必要なのは、役割分担を行いつつもどこが主導して支援すべきか曖昧になるような複合的要因を抱えるケースへの対応、年代やライフステージの移行など条件の変化によって支援の狭間が生まれるような領域、各支援事業の連結部分に関しては、適切に予算をつけて各事業が重なり合うことも検討しなければ支援体制全体として合理性が失われる側面もあります。
    また、ネットワークを構成しても成果指標が状態変化を無視した就職者数といった単純な結果では、最も支援が必要な層、自立困難事例は結果につながりにくいということでどんどんたらい回しが起こってしまう現実があります。佐賀では行政機関からの依頼件数の増加に示唆されるように地域若者サポートステーション事業がそういった困難事例の受け皿となっていますが、一極集中を適切に防ぐためには、結果や負担に応じた予算、リソース配分を行える仕組みを整えることも重要です。そのためには支援の有効性を多角的に評価できるようにしていくことが必要です。現行の事業評価に用いられている評価というのは、単純化されておりわかりやすいのですが、子ども・若者が抱えている問題の深刻化、複雑化の流れをかんがみると、一面的な結果を求めるのは本末転倒な事態を生み出すリスクもあります。先ほど例示した地域若者サポートステーション事業を基盤に創設された様々な自治体事業のように、その波及効果も含めて複数年度で事業評価をしていく。しっかりと検証する仕組みを整えなければ、朝令暮改、社会的な結果を伴わない政策になってしまう危険性があるように思います。

<3> 意見交換

  • 相原構成員
    最初に私も申し上げたのですけれども、少年法に関しては、多くの方がおっしゃっているように、理念とか、これまでにやってきたこと自体は、それほど大きく知られてはなかったのですけれども、相当頑張っていたし、中身としても評価できるものであったこと自体は、きちっと押さえておいてほしいと、今の皆さんのお話を伺って思いました。
    もう一点は、施設の風通しをよくする、もう少し第三者に入ってもらうとか、アフターケアをする。また、施設内で成績が優秀でも、外に出て行ったときに弱いといいますか壊れることがないような形でのアフターケアが必要だろうというところは、皆さんの御意見に全く同感でございます。
    最後は非常に詳細なアウトリーチのお話をいただきました。私もアウトリーチは絶対に必要だと思いますし、うまい連携が必要だろうと思います。
    先ほどの事例の中で出てきたんですけれども、家族の詳細な状況を把握するということは、個人的にやっていて、すごく悩ましいところです。つまり教えてもらえない。お母さんとかお父さんが家の中でかなり問題を抱えているようでも、学校の先生に聞いても、それは個人情報であって職業が何であるかは言えない、どういう病気であるかは言えない。子どもも黙っている。そうすると、個別の家庭に入っていこうとしていても、みなが触れないような状況になるのです。個人情報との関係でどうケアしていくのか、先ほどの谷口構成員のお話の中ですごくやっておられるので、感銘を受けました。どうやってやられているのかを知りたいと思いました。
  • 松原構成員
    少年院のことが出てきて非常に勉強になりました。一方で、児童自立支援施設のことが余り出てきませんので、発言をしたいと思います。
    社会的養護の枠組みの中で、力を尽くしているんですが、全体の中でいうと、児童自立支援施設がどうしても地域社会の中で孤立しがちであるということは、指摘できると思います。特に教育も院内教育でありますので、学校との関連もなかなかない中で、孤立させないために、少年院と同じですが、外側からいろいろなサポートを入れていくことが必要です。内部での専門職配置も大切ですけれども、外側からのサポートをきちんと確保していかないと、施設によっては、施設ごとに孤立し、お互いが何をやっているかわからない。場合によると、施設内虐待が起きてしまうことがあります。児童自立支援施設の孤立化防止も非常に大切だということを、指摘させていただきたいと思います。
  • 奥山構成員
    児童自立支援施設は、今は大分変ってきていますが、もともとはどちらかというと夫婦小舎制が主体で、先ほどどなたかがおっしゃっていた育て直しに近いような、生活主体の施設です。少年院は、どちらかというと、矯正教育、教育という理念に近いと思います。そこに若干違いがあると思うのですけれども、児童自立支援施設と少年院とがお互いにいいところは交流をするということも必要になってくるでしょう。例えば、今、児童自立支援施設や少年院に入っている子どもたちの質が昔と違ってきているということは、いろいろなところで聞くので、そこの共有をもう少し進めていただいてもいいと思います。
    また、本当に少年院と児童自立支援施設の2つだけでいいのか。アフターケアでちょっといられるところとか、ショートステイでいられるところとか、そういったことも必要な形になってくるのではないか。全体像として、もう少し考えて、厚生労働省と法務省が一緒に共同して考えていただくような場があっていいのではないかと思っています。
  • 宮本座長
    ありがとうございます。非常に重要な御指摘をいただいたと思います。
    先ほど個人情報の扱いに関する御質問があったのですが、これについては、別の機会にお願いできればと思います。
    非行少年に対する就労支援について、御意見ございますか。
  • 古賀構成員
    先ほどもお話をしたのですけれども、就労というときに、今までですと、技術・技能を身につけてということで、技術系の職能のようなものを供給してきました。しかし、雇用構造が大きく変わっていて、サービス業といった雇用先が多くなってきています。
    そうすると、対人スキルのようなものを重視した形での養成をしなければならないのですけれども、もともとそういう対人スキルなどに問題を抱えた人が入ってきているわけで、そこを改善して、かつ就労まで結び付けるというのは非常に大変です。全体的な産業労働構造の変化と支援の質の変化、その対応を真剣に考えないといけない。
    今までは、問題の改善なら改善だけを考える、就労なら就労だけを考えるということで、その間のつなぎを考えていくという思想が乏しかったと思うので、現状に合った就労のありように合わせた教育支援を検討してほしいと思います。
  • 宮本座長
    今の御指摘も非常に重要なことで、ニートに対する支援の中では、どのように今の高度化する労働市場に対応した支援をすればいいのかということで、現場も試行錯誤の中でだんだん編み出されていると思いますけれども、まだ普遍化していない段階です。このまま放置しておくと、就職困難者が非常に多くなってしまうという状況にあります。

(2)子どもの貧困問題への対応

大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料2-1)した後、以下のとおり議論を行った。

<1> 関係府省からの説明

  • 厚生労働省
    大綱策定から現在までの取組でございますけれども、平成22年に児童扶養手当法の一部改正する法律を制定いたしまして、父子家庭の父に対しても、児童扶養手当を支給するようになっております。予算事業でございますけれども、ひとり親家庭に大学生などのボランティアを派遣し、子どもの学習支援、進学相談などに応じる、学習支援ボランティア事業を新設しております。また、母子家庭の母及び父子家庭の父の就業の支援に関する特別措置法が平成24年に成立しておりまして、就業支援に関する施策の充実ですとか、民間事業者に対する協力要請を行っているところでございます。
    生活困窮者関係でございますけれども、生活保護の手前の段階にある生活保護受給者の自立支援を強化するため、前回の185回国会に生活困窮者自立支援法案を提出いたしまして、昨年12月に成立したところでございます。
    進捗状況でございますけれども、以上のような取組を着実に実施しているところでございます。生活困窮者自立支援法は、相談支援体制の整備ですとか、就労支援の強化、家計に関する相談支援、子どもの学習支援、生活困窮者支援の体系化を図るものでございますし、さらにそれに対して、国の恒久的な財政負担を規定する法律でございます。生活困窮者支援の体制が強化されていくものと思ってございます。
    課題でございます。ひとり親家庭についてでございますけれども、各自治体間における相談体制の整備と書いてございますが、自治体ごとの取組に濃淡がございます。支援メニューについて、母子家庭、父子家庭のお父さん、お母さんたちに余り知られていないという現状もございます。更なる周知が必要だと思ってございます。また、児童扶養手当の場合であれば、併給制限の見直し、母子寡婦福祉資金貸付金の父子家庭への拡大が課題となっております。
    今後の方向性のところでございますけれども、ひとり親関係でございますと、平成26年度予算案におきまして新たに、総合的な支援のための相談窓口を設置するという予算をつけております。また、就業支援関係関連事業や先ほどの学習ボランティア事業などに関する予算を増強して計上してございます。さらに、法律改正を予定しておりまして、母子寡婦福祉貸付金の父子家庭への拡大、児童扶養手当の併給制限の見直しといった部分を考えているところでございます。
    この資料にはございませんけれども、先ほどの御議論中にもでましたが、法改正の中で、委託先業者に関する守秘義務という規定を設けるということにしております。守秘義務を設けることによりまして、若干プライバシーにかかるような情報というのが、行政との関係でも共有しやすくなり、支援がやりやすくなるのではないかといったことを考えておりまして、そういった規定も盛り込むことを現在検討しております。
    生活困窮者自立支援法の平成27年度からの施行に向けまして、来年度におきましては、各種支援を試行的に実施するということで、モデル事業の実施箇所数の拡充や人材の養成を進めているところでございます。

<2> 意見交換

  • 宮本座長
    ありがとうございました。
    時間の問題で、12時終了となっていますが、あと9分しかありません。その後、もう一つ議事がありますので、若干延ばさせていただいてよろしいでしょうか。12時15分ぐらいには終了させていただきたいと思っております。御協力をお願いいたします。
    それでは、御意見があれば、できるだけ手短に御発言いただければと思います。よろしいでしょうか。御協力いただきたいと申したので、御発言を控えていただいているかと思います。
    それでは、先に進ませていただき、いつものとおりでございますけれども、発言いただけなかった部分については、事務局にお知らせいただきたいと思います。

(3)外国人等特に配慮が必要な子ども・若者の支援

大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料3-1)した後、以下のとおり議論を行った。

<1> 関係府省からの説明(資料3-2)

  • 文部科学省
    まず教育についてでございます。外国人の子どもの教育の充実として、外国人がその保護する子の公立の義務教育諸学校への就学を希望する場合には、日本人と同一の教育を受ける機会を保障するという考え方のもとに行っております。
    学校内におきましては、外国人の子どもたちに、日本語指導を行う教員を配置するための加配定数を措置。あるいは外国人児童生徒の受入促進・日本語指導の充実・支援体制の整備を支援する事業、日本語能力の測定方法、教員に対する研修マニュアルの開発などを行っております。
    学校外におきましても、不就学外国人児童を対象とした日本語の指導、学習習慣を確保するための教室を設けて、公立学校への円滑な転入を促進するなどの取組をしております。
    性同一性障害に関しましては、各学校におきまして、教職員、養護教諭、スクールカウンセラーに加えて、関係医療機関とも連携した教育相談の徹底の依頼をしております。
    課題としては、全国的な日本語指導体制の整備でありますとか、NPOなどの団体、教育委員会との連携の一層の促進です。性同一性障害に関しましては、学校現場におけます理解の促進などが課題であると認識をしております。
    (4)の今後の方向性でございますが、外国人への教育という点に関しましては、日本語指導が必要な児童生徒を対象としました、「特別の教育課程」の編成・実施について、学校教育法施行規則の一部を改正いたしまして、今年の4月から正規の教育課程に位置づける予定にしているところでございます。
    幾つか参考の資料がついておりますけれども、1ページ目に記載の事項についての詳細でございますので、説明は省略させていただきます。
  • 厚生労働省
    資料の7ページを御覧いただければと思います。
    (1)の大綱策定から現在までの取組でございますが、私ども厚生労働省におきましては、日系人を初めとした定住外国人の若者の方々の就職を促進するために、こちらに書いてございますような、日系人就業支援事業を実施しておるところです。
    具体的に何をしているかというと、1点目、ハローワークの職員が学校に出向いて、我が国の労働についての説明ですとか、職場見学会、こういったものをやるガイダンス。2点目として、職業意識についてのカウンセリングとか、職業能力、職業準備度合いの把握を行う個別職業意識啓発指導の実施。3点目は、ハローワークにおける履歴書の書き方ですとか、面接の心構えなどの相談対応、最後に労働条件ですとか、法令各種整備の相談を受け付ける職業相談も内容としてございます。
    (2)の進捗に係る自己評価の部分についてでございます。資料に書いてございますように、各都道府県に1つ労働局があるのですが、この事業を実施している労働局で、年度計画をつくって計画的に事業を実施することになってございます。実積につきましては、先ほど御覧いただいた(1)に書いてございますとおり、一定程度実績を積んできていると認識しておりまして、計画を達成するなど、事業実施が図られていると考えているところでございます。(2)の下のほうにございますが、より効果的に定住外国人の方の就職を支援するために、就労準備研修という事業を実施しておりますが、こういった事業との連携もより進める必要があるということで、通知などを行ったりしています。
    (3)の課題でございます。現在、私どもが認識している課題としまして、定住外国人の方は、派遣ですとか短期間の雇用という不安定な就労が非常に多いという状況がございます。こういったことに着目しますと、訓練などが非常に重要になってくる。そして、訓練と就労を結び付けることが重要になってございます。そのようなことから、それぞれの取組をやっておられる主体の方々で、協力してやろうということで、先ほどお話しました、労働局ですとか、ハローワーク、自治体、市町村、訓練などを委託している委託先ですとか、地域のNPOが連携をして取組を行うように周知を一層進めて必要があると考えています。
    (4)の今後の方向性ですが、必要な予算措置なども含めて、厚生労働省として対応すべきところはし、また、関係機関からの協力を呼びかけて、実施をしていきたいと思っております。
  • 法務省
    法務省の人権擁護機関では、性同一性障害を理由とする差別をなくそう、性的指向を理由とする差別をなくそう、これを啓発活動の年間強調事項といたしまして、各種啓発活動を実施しております。
    具体的には、啓発冊子の人権の擁護というものを毎年20万部配布したり、講演会等の活動を推進しているところでございまして、性同一性障害や性的指向を理由とする偏見・差別の解消のための取組を行っています。
    今後も引き続き各種啓発活動に積極的に取り組むともとに、人権相談などで、人権侵害の疑いのある事案を認知しました場合には、必要な調査を行い、事案に応じた適切な措置を講じていく必要があると考えております。
    来年度につきましても、この問題を啓発活動の年間強調事項として掲げまして、啓発活動を実施する予定でございます。

<2> 意見交換

  • 相原構成員
    外国人のお子さんに、先ほど御説明いただいた日本語指導を行ったり、日本における適応、円滑に受け入れるという対応は、ぜひ実施していただきたいと思います。
    それと同時に、それを受け入れる側の子どもたちに関しても、単に同一化しろ的な発想ではなくて、外国人の方がどこの国の御出身で、大切にしているアイデンティティーや価値観は何かということを教えてもらうという発想も必要だと思います。同一化とか、日本語を話せということではなくて、そちらの言葉を教えてもらうだとか、どういう国の成り立ちなのか、世界にどういう国があるのか、そういう発想を学べるための指導を文部科学省にお願いしたい。
    性同一性障害もそうですけれども、いろいろな人がいるのだということです。今のグローバルな世の中において、日本に同一化するということだけではなくて、違う価値観を持っている人がいること自体を尊重できる、いい機会にすべきなのでないかと思います。
  • 植山構成員
    今のことの関連にもなるのですけれども、学校現場で外国人のお子さんが問題を抱えたときに、ネイティブな言葉でアセスメントが受けられたり、カウンセリングを受けられないため、日本語の問題なのかそれともそもそもその人が持っている資質などの問題なのかというところは、学校現場では判断しにくいところがあります。そうしたことも検討していただければと考えております。
  • 古賀構成員
    日本では十分に実態が理解されていませんが、現実的に学校などに行くと、外国籍の子どもたちのためにポルトガル語、ベトナム語などが要求されているわけですが、特別な人でないと誰もこの言葉を話せないのです。サポートする人間に言語能力がないという現状もあるわけです。従来に比べますと、日本に来る方々が準備をしてくるという部分もありますが、互いの関係性を含む入り口として、言語能力のある支援の専門家の養成なども考えていく必要性があるのではないかと思います。
  • 高塚構成員
    子どもたちに対する支援は行われているのですが、むしろ受け入れる側の日本の親たち、大人たちが、必ずしも対応できていない場合が多いのではないかという印象を持っています。親たちはどこかで偏見や差別を持っている。それが結局我が子に受け継がれて、学校の中で、何となくいじめのようなことになっている。子どもたちの支援策と同時に、地域社会において、大人たちがそういう人たちを受け入れるような勉強会などをやっていくような施策も必要なのではないかという気がします。

以上