子ども・若者育成支援推進点検・評価会議(第8回)議事要旨

議事次第

  1. 日時:平成26年3月28日(金) 10:00~11:30
  2. 場所:中央合同庁舎第4号館4階 共用第4特別会議室
  3. 出席者:
    (構成員(敬称略))
    相原佳子、明石伸子、今村久美、植山起佐子、奥山眞紀子、川邉譲、古賀正義、定本ゆきこ、嶋崎政男、谷口仁史、花井圭子、原田謙介、福田里香、松原康雄、宮本みち子
    (ヒアリング対応府省)
    1. 児童虐待防止対策
      田村寿浩 警察庁生活安全局少年課少年保護対策室長
      堂薗幹一郎 法務省民事局参事官
      大山邦士 法務省人権擁護局参事官
      川鍋慎一 厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課児童虐待防止対策室長
      西久美子 文部科学省スポーツ・青少年局青少年課長補佐
    2. 社会的養護の充実
      尾高雅行 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長補佐
    (事務局)
    安田貴彦大臣官房審議官、加藤弘樹参事官(青少年企画担当/青少年支援担当)、山岸一生参事官(青少年環境整備担当)、小山浩紀調査官
  4. 概要:

(1) 児童虐待防止対策

大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料1-1)した後、以下のとおり議論を行った。

<1> 関係府省からの説明(資料1-2)

  • 厚生労働省
    一番最初に書いてありますが、児童虐待対策の切り口というのは、これまで「発生予防」「早期発見・早期対応」「子どもの適切な保護・支援、保護者支援」というこの3つの大きな切り口で進めてきました。特に「発生予防」については、市町村が中心に立った支援です。それから「早期発見」以降については、児童相談所、児童養護施設や乳児院といった施設、あとは里親さんの委託といった支援でやってきております。
    今回ポイントになるのは「発生予防」という部分です。それから、もう一つのポイントが、児童虐待による死亡事例です。それと、もう一つが子育て支援事業。
    パワーポイントの資料で「児童虐待防止対策について」という補足の資料の9ページを見ていただくと、これまでの対策の経緯というのがあります。
    児童虐待防止対策については、法律ができてからこれまで4回の改正をしています。最初が平成16年の改正で、このときに児童虐待の定義を変更し、同居人による虐待を放置することも対象とするとか、DVを子どもの前でやった場合にも虐待に当たることとした。それから、通告義務について、虐待を受けているのかもしれないという疑いといいますか、子どもの安全が心配な場合も対象になることにした。それと、市町村を通告先に追加して、児童相談所と市町村の役割分担を図る。それから、要保護児童対策地域協議会というものを法定化して、守秘義務をかけてその中でケースを検討し、管理していく、進歩していく。この平成16年改正で今の制度の基本的な枠組みができています。
    平成19年については、京都の長岡京市で3歳の男の子の餓死事件というのがございまして、実は児相に通告が4回あったのですけれども安全確認をしていなくて、結果的に亡くなってしまったという事件がありました。それがかなり制度改正に生きていて、安全確認と立入調査といった児童相談所の権限強化がこのときに図られた。これがこれまでの改正の中での大きな改正。
    平成20年は、先ほど申しましたが、子育て支援事業という切り口が出てくるのですが、平成27年度から消費税財源を充当して「子ども・子育て支援新制度」の施行が予定されていますが、まだお金をかけなくても法律上明確にできるものはやっていこうということで事業をつくりました。結果的に、ここに書いてある乳児全戸訪問事業や養育支援訪問事業と、協議会の機能強化については、新制度の中で市町村の子育て支援事業という位置づけに法的になっていて、これについては消費税が充当されていく。
    平成23年というのが、親権のあり方でした。親権をどうするかというのは最後まで宿題事項で残っていて、それを23年のときに、民法と児童福祉法の改正をして、一時停止ができるようになった。
    今後の方向性も含めて申し上げると、先ほど申し上げたように市町村の役割というのも出てきたわけで、児童相談所と市町村の相談対応件数は、資料にございますけれども、ずっと右肩上がりです。特に児童相談所の対応件数の経路を見ると、今までずっと近隣知人が多く、これは虐待の疑いも含めてということがかなり周知されてきた結果だろうと思うのですが、平成24年について言うと、通告先として警察が一番多くなりました。警察の協力が非常に進んでいるということになります。児童相談所に警察署から現役の警察官の方が配置されているというケースもありますし、それから特にDV対策というのが進んできて、警察でかなり重点的に取り組んでいるということもあって、それに伴う通告が増えている。
    逆に市町村の通告で一番多いのが、児童相談所です。これは役割分担との関係だと思います。2番目に多いのが学校です。学校も、先生は非常に虐待対応に悩んでいまして、保護者との関係に非常に悩んでいます。一番多いのはネグレクト、養育放棄です。
    もう一つは、実は子育て支援事業という今度新制度の中で位置づけられるので、このよさを生かして、いろいろな母子保健を中心としたサービスの中で支援の糸口がつかめるものですから、これをきちっとやっていこうとしています。「健やか親子21」という国民運動計画がありますけれども、これも27年度から10年間が次の計画の対象では、今日、最終的な取りまとめに向けた議論をしています。その中で、市町村の母子保健事業を主体とした訪問活動とか、あるいはネットワークについて指標として掲げて、妊娠期からの児童虐待防止対策というものを重点課題として位置づけようと考えています。こういった形で進めようと思っています。
    それからもう一つ、これは非常に悩ましい話ですけれども、児童虐待の死亡事例というものは後を絶っておりません。これは私どもも非常に大きな問題だと思っています。厚労省では、検証委員会というのをつくってずっと議論をしてきています。ただ、この検証は、不幸にして痛ましい事件が起きてしまったけれどもこれが二度と起きないために対応策を考えましょう、次の対応をしましょうというのが目的なのですが、なかなか自治体では生かし切れていないという状態にあって、これまで9回報告を出しましたけれども、なかなか結果的に同じような提言をせざるを得ないようなケースが出てきています。
    特にここ数年を見ていくと、転々と転居を繰り返していって、子どもの居場所がなかなかわからないという家庭があって、その中で結果的に虐待死ということを招いたことでその家庭の存在がわかるという、非常にショッキングな事件が続いているものですから、近々、ある基準日を設けてそれ以降の対応についてフローで調査をしようと思っています。これについては、これまでも検証委員会の提言の中にも入っていましたので、これは初めて全国調査をしますけれども、調査をして、次の取組について何か考えるべきものがあるのがあれば、それに取り組んでいきたいと思っています。
  • 文部科学省
    児童虐待防止対策に関連しまして、文部科学省としては大きく、学校における相談体制の充実、もう一つは、親の育ちを応援するということで、地域における家庭教育支援の充実、この2つの観点から施策を講じております。
    1つ目の、学校における相談体制の充実でございますけれども、児童虐待などについて子どもが相談を行えるように、専門的人材の配置を進めているところでございます。1つ目の○でございますが、児童生徒の臨床心理に関して、専門知識・経験を有するスクールカウンセラー。それから、社会福祉の知識も有して、児童相談所など関係機関とのネットワークを築いて子どもの支援をするスクールソーシャルワーカー。こうした専門的人材の配置を進めております。2つ目の○でございますけれども、各学校におきましては、子どもが抱える問題の未然防止、早期発見・早期対応のために、養護教諭と関係教職員が連携した健康相談や保健指導などを行っております。また、教育委員会等に対しましては、児童相談所への速やかな通告を一層推進するよう依頼をしております。
    2つ目の保護者等への情報、それから、学習機会の提供でございますけれども、家庭教育を支援するという自治体の取り組みを推進しております。1つは、親の育ちを応援するということで、地域における就学児健診の機会などを利用した子育て講座の実施など、家庭教育に関する学習機会の提供。それから、支援ネットワークを広げるということで、地域人材や専門的人材等が連携した「家庭教育支援チーム」による相談対応や学習講座などの実施。こうした取組を行っている自治体に対する支援を行っております。
    (2)の進捗に係る自己評価でございますけれども、スクールカウンセラーの予算配置校数は、平成25年度で、公立中学校では1万校、公立小学校では1万3,800校となっております。スクールソーシャルワーカーの配置人数は、都道府県・政令指定都市、中核市を中心として1,355人となっております。家庭教育支援チームなどを行っている市町村数は、平成22年度の108市町村から、25年度では399市町村と増加をしてきております。
    現在認識している課題と今後の方向性でございますが、スクールカウンセラー等による教育相談体制を一層充実・整備していくということと、学校から児童相談所への通告を徹底するということ。そして、家庭教育支援に関しましては、どういった家庭教育が効果的なのかといったノウハウの標準化や体系化が必要だと認識しておりまして、全国自治体の好事例の収集ですとか発信に力を入れていきたいと考えております。
    参考として、関連する事業の資料を4枚つけさせていただいております。1つ目は「スクールカウンセラー等活用事業」ということで、平成25年度で約39億円の予算の事業でございます。続きまして「スクールソーシャルワーカー活用事業」。こちらは25年度で3億5,000万円規模のものでございます。続きまして「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」という資料をつけておりますけれども、家庭教育の支援に関しましては、この大きなくくりの予算、約49億円規模でございますけれども、この中の1つのメニューにございまして、全国の自治体でこの内数を活用して施策を行っております。最後につけましたのが「家庭教育支援の取組」という資料で、先ほどの49億円の予算の中で、家庭教育支援のメニューを選んだ自治体はこのような取り組みを行っているという資料でございます。
  • 警察庁
    おはようございます。警察庁少年課の田村と申します。構成員の先生方におかれましては、日ごろから警察活動に対する御協力と御理解をいただきましてありがとうございます。
    本日は、資料が17ページに1枚紙と、その裏側の18ページに少し図を加えた資料を用意させていただきましたので、そちらを御覧いただければと思います。
    まず、17ページのほうを御覧いただければと思いますけれども、大綱策定から現在までの取組としまして、警察で各種活動を通じて児童虐待の早期発見に努めるとともに、児童相談所、学校、医療機関等の関係機関との緊密な連携を保ちながら、児童の生命、身体の保護のための措置を積極的に講じているところでございます。
    児童虐待の疑いのある事案については、速やかに児童相談所に通告するほか、厳正な捜査や被害児童の支援、警察としてできる限りの措置を講じて、児童の安全の確認及び安全の確保を最も優先とした対応の徹底を図っているところでございます。
    この点につきまして、2年前の4月、ちょっと時間はたっておりますけれども、「児童虐待への対応における取組の強化について」という各都道府県警察向けの通達を発出しまして「児童相談所との連携強化」及び「警察組織としての的確な対応の徹底」の2つの柱を中心に、具体的な取組についてさらに強化していくように指示をしております。
    裏側の資料の下半分のところに、その通達の柱について書かせていただいております。平成18年にその前の通達があったわけですけれども、これに対する取り組みを強化するという目的で、平成24年4月に出した通達の柱が右側にございます。特に、児童の安全を直接確認するための最大限の対応を徹底、それから、児童相談所との連携を一層強化すること。それから、これは警察内部の話でございますけれども、少年警察部門に情報を集約し、危険度・緊急度を的確に判断して迅速に対応する。事態の深刻化を防ぐために、迅速的確に事件化の判断をする。そして、虐待の早期発見等に資するため、部内教養の徹底と関係部門等における情報共有に努めるということになっております。
    ただ、その後も、児童の死亡という最悪の結果が起きてしまう事件が時々発生しまして、報道でも大きく取り上げられることがございます。そのたびに、我々としても日ごろの取組に不十分なところがなかったかという検証を繰り返しながら、取組を一層強化していくべく努めているところでございます。
    17ページに戻っていただきまして、進捗に係る自己評価のところを御覧いただければと思います。
    児童相談所との間では、平素から情報交換に努めております。また、時々これもニュースとかで報道されることがございますけれども、児童相談所の担当の方、あるいは地方自治体で児童福祉や児童虐待防止対策に携わっている方々と合同で、ロールプレイング方式による研修等を実施するなど、具体的な連携の強化を図っております。
    また、先ほど厚生労働省の方からもお話がありましたけれども、人事交流という形で、児童相談所への現職警察官あるいはOBの出向・派遣ということも積極的に行うようにしております。御参考までに、平成25年につきましては現職が17名、これは警部・警部補級が中心ですけれども、それから、OBが134名、合計151名が人事交流によって児童相談所で勤務をしております。
    平成25年中に警察から児童相談所へ通告した児童数ですけれども、2万1,603人と、こちらも過去最多を記録しております。裏側の資料の上半分の左側に、通告児童数のグラフがありますけれども、今般の児童虐待に対する関心の高さも反映しているかと思いますが、警察からの児童通告数も右肩上がりで増加の一途をたどっております。
    それから、右側に児童虐待事件の検挙状況の資料もつけてございますけれども、こちらを見ていただきますと、検挙件数に占める割合は身体的虐待が多いのですが、左側の通告児童数は、内訳はちょっと入れてございませんが、こちらに関しては心理的虐待が最近は非常に多い傾向にございます。これも、厚生労働省の方からお話がありましたけれども、両親のけんか、面前DVという言葉を使っておりますけれども、そうしたものも子どもにとっては非常に耐えがたい虐待ということになりますので、事件化には至りませんけれども子どもに対する「心理的虐待」という位置づけをするようにしておりまして、そうした児童も一刻も早く適切な対応をとるべく通告をするようにということで努めております。
    検挙件数は467件、検挙人員482人ということで、こちらも24年に比べますと若干減少はしておりますけれども、高止りの状態にあります。
    ただ、一番下の死亡児童数ですけれども、30人ぐらいで推移しておったのですが、平成25年は25名ということになりまして、調査を始めてからは過去最小ということになりました。これにつきましては、最悪の事態に至るケースが少しは減ってきたのかなということで、引き続き的確な対応に努めていきたいと考えております。
    17ページの方に戻っていただきまして、現在認識している課題ですけれども、「児童相談所を始めとする関係機関との一層緊密かつ適切な連携の強化」、これも既にお話している点でございますけれども、一層強化をしていく。それから「児童虐待の早期発見と被害児童の救出・保護に向けた取組の推進」「きめ細やかな被害児童の支援」などがございます。
    真ん中の「早期発見の救出・保護に向けた取組の推進」に関しましては、児童虐待防止法の第10条に、警察署長に対する援助要請という規定がございます。これにつきましては、児童相談所が通告等児童の安全確認や一時保護を行おうとする場合で、家族の方の物理的な抵抗などが予想される場合に、警察署長に対して援助要請が行えるという規定でございます。これについてもかなり定着してきておりまして、児童相談所の担当の方々との連携もスムーズにいくようになっておりますけれども、必要な場合については積極的に迅速な対応をして、保護が必要な子ども、児童を早期に的確に救出できるように努めるようにしてまいります。
    今後の方向性ですけれども、これも繰り返しになって恐縮ですが、引き続き児童相談所を始めとする関係機関との連携を強化するとともに、児童虐待の早期発見と被害児童の早期救出・保護に向けた取組をさらに積極的に推進してまいる所存でございます。
  • 法務省
    人権擁護局、それから、民事局の順に御説明いたします。
    まずは、人権擁護局です。各欄の<1>が人権擁護局に関する記述でございます。
    法務省の人権擁護機関では、全国の小中学校の児童・生徒に対して「子どもの人権SOSミニレター」を配布しております。また、全国50か所の法務局・地方法務局にフリーダイヤルの専用相談電話「子どもの人権110番」を設置し、子どもの人権問題に関する相談に応じております。
    次に、進捗状況につきましては、これは児童虐待のみの件数ではございませんけれども、「子どもの人権SOSミニレター」の件数は、平成23年から平成25年にかけて2万件前後で推移しています。また「子どもの人権110」番の件数ですが、平成25年が約2万8,000件台と、前年・前々年に比べ増加しているところです。このような人権相談等を実施することは、児童虐待を含む子どもの事件問題について早期発見と早期対応を行うために、必要かつ有効なものであると考えております。
    現在認識している課題としましては、子どもの人権が尊重される社会の実現に寄与するため、今後も人権相談体制等の整備を図る必要があると考えております。
    今後の方向性としましては、引き続き人権相談等を実施してまいりたいと考えております。
    引き続きまして、民事局から、親権停止制度の利用状況等について御説明をいたします。
    平成23年に児童虐待に対する対策の一環といたしまして、親権停止制度創設などを内容とする民法の一部改正を行ったところでございます。
    従前は、子に対して虐待等を行っている親の親権を制限する制度としては、親権を完全に喪失される親権喪失の制度というものがございました。これは、その効果も非常に重大なものでございますので、要件も厳格なものとされております。そのため、その要件を満たすまでには至らない事案について親権を制限することができず、児童の適切な保護が図れないといった指摘などがされていたことを踏まえ、2年以内の期間に限って親権を停止するということができる制度を創設いたしました。
    この改正法は、平成24年4月1日に施行されました。最高裁判所が公表している司法統計によりますと、平成24年4月1日から12月31日までの利用状況は、以下のとおりでございます。
    まず、申立件数ですが、120件となっております。そのうち、24年中に終局した事件は71件でございまして、認容されたものが15件、却下が7件、取り下げが45件でございました。既済となっている71件の申立人でございますが、子の親族が53件、児童相談所長が10件、子どもが8件となっております。このうち児童相談所長が申し立てたものについては、全件認容ということになってございます。また、審理期間についても2か月以内に約40%の事件が、3か月以内に約60%の事件が終局しておりますので、事案の性質に応じて迅速な処理がされていると考えております。
    従前からありました親権喪失制度の申立件数は、おおむね例年どおりということになっておりますので、その意味では、従来は申し立てを控えていた事案についても、制度の新設に伴って申し立てがされるようになったということが言えるかと思いますので、そういった意味でも改正の効果があらわれていると考えているところでございます。
    改正法が施行されてからこの4月で2年が経過いたしますが、今後もこの制度の利用状況に注視してまいりたいと考えているところでございます。

<2> 奥山構成員・定本構成員・嶋崎構成員からのプレゼンテーション

  • 奥山構成員(資料1-3)
    25年ぐらい前から子ども虐待に取り組んできた私といたしましては、本当にいろいろな施策が進んできたと思います。ただ、苦しんでいる子どもたちがまだまだいっぱいいるので、この先一体何が必要なのかということを、細かいところではいっぱい言いたいことはあるのですけれども、大きなところで少しお話をさせていただければと思います。
    私自身ずっと言っているのは、子ども虐待の対応の目的というのをぶれないで考えていかなければならないということです。対応の目的は、子どもを危険から守るのだということです。どんな危険かというと、身体的な危険。つまり、亡くなってしまう危険、あるいは身体障害を残す危険などいろいろあります。それから、精神障害に至る危険。それだけではなくて、被害を繰り返してしまう危険。それから、加害者になる危険。この4つから子どもを守るということが重要なのだということを常に考え続けてきております。それをベースに、これから何が必要かということを、少しお話をさせていただきたいと思います。
    まず1つは、きちっとした統計、情報に基づいた分析から施策をつくり出していくということが非常に重要なのではないかということがあります。
    例えば死亡事例検証の説明が先ほどありましたけれども、死亡事例検証から施策につながっていっているのは、やはりデータベースをきちっとつくったということ、そして、それと質的分析とを組み合わせていろいろな提言がなされてきたということが大きいのではないかと思うのです。そういう意味では、この前も話しましたように、他の防げる死との関連もありますので、やはりチャイルドデスレビューに繋げていく必要があると考えています。
    データベースをつくったことがどんなふうに生かされたかというのを幾つか例だけお示ししたいと思うのですけれども、前にもお話ししたように、無理心中ではない事例と無理心中の事例が、データベースをつくってみたら、分けることができました。分けてみるとかなり違うということがわかってきて、ただ、逆に言うと、無理心中事例の場合には、虐待防止対策だけでは防げないということが、わかってきたということになります。
    もう一つ、直近は8次報告だと思うのですけれども、0歳0カ月で亡くなった事例を見てみますと、そのときのお母さんの年齢は若くなくても、若年出産の経験がある例が多いのです。熊本のこうのとりのゆりかごでも同じことを実はやっていて、やはりそのときの母親年齢は若くなくても、実は若年出産経験者が多いのだということがわかりました。こういうことをわかっていくことで、何をしたらいいかというのが次に出てくるのではないかなと思います。
    分析結果からかなり施策につながったものはいいのですけれども、無理心中が施策につながっていないというのを考えなければいけないなと思っています。
    ただ、現在の虐待統計ですけれども、6万6,000人、7万3,000人と児童相談所の相談件数、市町村での相談件数が出ていますけれども、この定義がかなり曖昧です。相談というのは一体何なのか。虐待だったのかどうかというはわかりませんし、さっきフローでとおっしゃいましたけれども、その方たちがどうなっていくのかというのが全然わからないのですね。やはりそういうことをきちっとわかっていくようなことをしていかないと、次の施策に繋がらないと思います。モデル地域だけでもよいので、まずデータベースを構築するということをやってみる必要があるのではないか。ただし、広域になると個人情報という問題がありますから、個人情報を外して分析できるというような仕組みをつくっていくということが必要なのではないかと思います。
    もう一つ、私が強くお話をしたいと思っているのは、虐待の連鎖を止める支援の輪です。最初は私たちは、小児期の親と子の虐待予防介入支援というところでスタートしました。それで、死亡事例検証をやってみると、妊娠期がすごく問題だったということがわかって、妊娠期まで施策が広がっていますし、自立の方向へも施策は広がっています。ただ、欠落しているのは成人期なのです。成人期がほとんど施策になっていっていない。そのために支援の輪が途切れていて、虐待の連鎖を止めるということがうまくできていないということです。
    先般ここで議論させていただいている子ども・若者の施策というのは、ここを埋めるということに、私はすごく期待をしております。例えば、前から出ています子ども・若者支援地域協議会と要保護児童対策地域協議会が、やはりもっと連動していくということが必要なのではないかと思いますし、世代間連鎖を断つためには、妊娠出産期から親になるまでのこの流れを全部支援していく必要があるということが重要なポイントになるのではないかと思います。
    それで、私なりにライフサイクル支援ということを考えて、こんなことが必要なのではないかと思うことを表にしました。紫色のところが弱いなと思っているところです。それ以外が強いわけではないのですけれども、この辺をもっとというところを少し紫にさせていただきました。成人期は全部紫だと私は思っています。
    例えばですが、これは私の友達からのアイデアなのですけれども、若者支援対策の提案例としては、勤労青少年福祉法の中に勤労青少年ホームというのがあります。クラブ活動などいろいろなことをやっておられるみたいなのですけれども、これを弱者のための例えば相談機能、シェルター機能、生活支援機能などをつけたような、そして就活支援までできるようなセンターみたいなものにして、少なくとも県に1カ所そのような機能を付加するということも考えていっていいのではないか。これはアイデアです。
    どうしても虐待のことを言われると社会的養護ということが絡んでくるのですけれども、狭義の社会的養護というとレスパイトケアから施設になるわけですが、家庭的育児支援も含めてやはり社会的にどう養護していくかという全体像を考えなければいけないと思います。
    虐待を受けた子どもの社会的養護ですけれども、虐待を受けた子どもは育てがたさ、育てにくさということがあります。後でお話が出ると思うのですけれども、現在、家庭的養護へのシフトということを厚生労働省は大きく考えていて、それも私はとても大切なことだと思うのですけれども、その支援ということが非常に大きな課題になっていると思います。
    一方で、虐待を受けたお子さんの行動の問題の激しさということを考えると、里親だけでは難しいということが出てきますので、次に書いてありますように、治療型施設と児童相談所と里親会が中心になり、医療機関も含めて、保健、司法全部含めた形で、グループホーム、地域小規模児童養護施設、里親を支援できるような体制が必要だと思っています。
    それで、それぞれのノウハウをためていかなければならない。私も、病院の中で里親支援プログラムというのを医療機関でどのようにできるかというのを研究させていただいていますけれども、そういう形でいろいろな機関がサポートしていく体制をつくっていかなければならないと思います。
    最後に、やはり分離された子どもにかかる社会的コストというのは非常に高いものがあります。これはお金の問題だけではないのですけれども、お金だけとっても、乳児院に入っているお子さんは多分1人月40万ぐらいかかっていると思いますし、児童養護施設では25万ぐらいは最低かかっていると思うのですね。ただ、子どもに本当に治療的なことができているかということが非常に議論になるところだと思うのです。分離後の再統合で危険になることも結構あるということを考えると、やはり家庭へのケアがまだ欠落しているのではないかと思います。親ケアではなくて、やはり家庭全体へのケアということを考えていかなければならないのだろうと思います。
    アメリカの例などを見ても、「家族維持」と書きましたけれども「ファミリー・プリザベーション」という言葉があります。家族が大切だと言って家族維持の方向にいってしまうと死亡事例が増えたりということが、アメリカで繰り返されているのです。やはりこのバランスをきちっととっていく、両方が補完し合いながらやっていく体制をつくっていくことが必要なのではないかと思います。そういう意味では、家族への積極的介入の中で、例えば監視であるとか支援をうまく組み合わせるとかというところで、法的な整備がこれからまだまだ必要な面もあるかと思います。
  • 定本構成員(資料1-4)
    私は、少年鑑別所という非行臨床の現場におりまして、そこで感じていることをお伝えしたいと思います。
    本当にこのところ虐待ということは社会で随分認識されて、早期発見・早期対応、子育て支援、地域ネットワーク、先ほどからずっと御説明あるように、福祉の現場も地域でも多くの方が随分やっていらっしゃるのだけれども、虐待が減らないというか増えている。非行臨床にいますとやはり増えているのですね。非行臨床は虐待とは切っても切れないところにあります。
    ちょっと前に、少年院にいる子の6割余りがはっきりした虐待を受けているという法務省の調査が出たかと思いますけれども、印象ではもっと多いですし、むしろ虐待経験がない子は、よほどの統合失調症とかよほどの発達障害で認知が偏っているということでしかなくて、時々、虐待を受けていない子がいるという感じです。
    非行少年というのは、本当に、なるべくしてなっているというか、幼児期・学童期にいろいろなことがあって、いろいろな理由がありますけれども、思春期・青年期になるべくしてなっている。いろいろな多様な要素が絡んでおります。生物学的な問題とか発達障害がこのごろやはり増えていますし、それから、社会環境。虐待、ネグレクト、そして貧困という、多様な要素が絡んでのことです。
    非行を改善するためには、例えば薬だけとか、発達特性の支援だけとかではなくて、やはり経済的、環境的、心理的なこと、そして、生物学的なことが必要であればそういうことも含めた総合的な視点をもって、それぞれが関係し合っていますので連携しないと効果が見えないと思います。問題点は相互に関連しますし、関連しながら次の問題につながっていくという特徴があると思います。
    軽いタイプの発達障害、幼児期から発達障害が誰から見てもあるという子ではなくて、ちょっとした生きにくさとちょっとした衝動的なところや抑えられないとか、ちょっと場面が読めない、空気が読めない、対人関係がうまくできないというような、ちょっと抑制がきかずに多動であるような子は、少し見逃されやすいタイプの軽いタイプで、特に親側の子育てのしにくさや不安を助長しますから、虐待を招きやすく、こういうグループの子が非行によく行きます。そして、その後の人生も、学力が不足してしまいやすいとか、対人関係をうまく持ちにくいとかいうことがあるので、やはり虐待を受けた影響を引きずりやすいですし、思春期・青年期にトラウマの後遺症を残しやすいということもあると思います。それで、思春期に情緒や行動面の問題を来しやすい。そして、思春期になりますと依存的になりますし、反発心も出ます。だから、そういう極端な表現から、非行などの思春期特有の問題を表面化していく。同時に、適切な社会化に失敗して、不就労とか不適切な人間関係を持つようになって、また次の問題に行きやすいという、非常にリスクの高いグループなのだと思います。
    私は必ずしも虐待は連鎖しないと思っています。特に、問題が単一である、例えば貧困だけとか、発達障害だけとか、そういう単一の問題であったらそんなに連鎖しません。しかし、非行臨床現場で出会うような、多様なことがかかわり合っているケースでは、やはり世代間連鎖をしてしまうリスクは高いと思います。そういうケースの共通しやすい因子としては、やはり貧困、特に生活保護ですね、それから、ネグレクトなどでは学習習慣ができないですから、低学歴、不就労。そして、養育者が複数回交代しているとか、鬱病など健康面の問題があって仕事をしていない、近隣や親族から孤立している、先ほど厚労省のお話がありましたように転居を繰り返して居場所が本当にわからないとか、そういう感じが重なって、虐待が連鎖しやすいのだと思います。
    ここで非行少年と貧困多子家庭の問題をお伝えしたいと思うのですけれども、私は最初勤め始めて、非行少年たちは本当に兄弟数が多いというのによくびっくりしたのです。このごろ少子化ですから、2、3人とか、多くて4人とかでもすごく多いなという感じがしますけれども、非行ケースを見てみますと4人とか5人とかも普通で、7人、8人というのも結構います。随分昔の統計で、平成13年ぐらいに少年院の友人がとったものだと、平均が4.5人ぐらいだったのですね。多くは母が無職、父は交代していて、多くは未入籍。生活保護を受給していてという感じが少なくないのです。昔は珍しかったのですけれども、今は、少なくない。
    子どもを産むということになったら、お金をどうしようか、学費も高いし、仕事をしていますと保育園もないし、どうしようかということで、やはりちゅうちょするのが今の日本だと思うのです。ちゅうちょをなかなかしないように子育て支援をしましょうということで頑張っていますけれども、でも、簡単に産むことができる。出産費用は助成があるし、産んだ後は福祉が全力で育ててくれる。保健所とか福祉とかが一生懸命育てて大変で、児童相談所もいろいろやっている中で、また妊娠しましたという話をよく聞くのです。
    でも、福祉が全力で育ててくれるのだけれども、肝心の親は少なくともネグレクト、さらには身体的虐待も加わる場合もある。それで、結局多くの子どもは、支援職がいろいろサポートしてくれたにしても、親からネグレクトなどを受けますと、トラウマを抱えたり、愛着障害を抱えて育つことが多い。もちろん、健康に育つことも多いと思うのですけれども、健康に育つことがかなり難しかったり、将来納税者として税金を払う大人にやはり成長してもらいたいわけですけれども、なかなか難しい。こういうタイプの子が本当に少年院に多いですし、それから、児童自立支援施設にも多いと思います。虐待とネグレクト、そして、非行の温床になっていると私は感じています。
    ここでちょっと目を転じまして、若者の性行動についてというお話なのですけれども、これも鑑別所にいますと本当にいろいろ思うことが多くて、初交年齢というのが、初めてのセックスはいつですかと一応書いてもらうのですが、やはり低いのです。非行少年は大体14、15歳ですね。時々12、13歳とかあります。
    一方で、性に関する知識が本当に乏しいというか、無知です。しっかりした知識に基づくスキルも全然獲得できていないままに初交年齢が低い。自分の体についても本当に知らないですし、妊娠についても知らないですから、不順だから妊娠しないとか、性交の後に逆立ちしたら妊娠しないなど、おかしなことを言ったりしています。それと、性というは身体だけのことではなくて、前提に人間関係があっての性なわけですけれども、それについても本当に知らない。スキルがない。
    未学習、性について正しい情報を教えてもらっていないのですね。それから、誤学習。間違った性の情報がすごく氾濫しています。インターネットで子どもたちは、性の情報が入っていますから、間違った、過激な表現などが情報氾濫している中にさらされながら、子どもたちは生活をしているということを知らなければいけないと思います。
    10代の非行少年があちらこちらで子どもをつくっているのです。この子が親かという頼りない少年が、あちらで子どもをつくり、またこちらでつくりと、私は聞きながらも大丈夫かなと思うのです。でも、責任はとりませんし、相手も期待していないということで、またどこかで子どもをつくるという少年がいたりする。よく小さな子どもを連れて面会に来ていますから、この子は仕事をしていないのだけれども親かということもよくあります。
    それから、女の子ですね。10代の非行少女が、やはり妊娠・出産をします。こちらのほうは、守ってくれる大人がないケースが妊娠・出産をします。要するに、女子で非行に来る子というのは大体家庭に問題があって、思春期になって依存を求めて、家庭に依存を受けとめる機能がないときに、依存を誰かに求めて不良交友や薬物に行く子もいますし、異性にも行きます。本当は母親を求めているのですけれども、母親はそういう対象ではなくなっていますから、今度は家族をつくりたいということで子どもをつくることがあります。でも、本人がまだまだ思春期の依存的な子どもですから、子どもを育てるというのは難しいのです。そういうときは、やはりそのお母さんになった女性の親やサポートしてくれる大人が横にいてこそ、ちょっとずつ子育てができていくのですけれども、そういうサポートをしてくれる存在がないので、結局、少年院で産まれた子どもが乳児院に行くということが後を絶ちません。
    少子化の日本のはずなのに、非行臨床にいると正反対の現象がありまして、結局のところ二極分化が起きている。一般の社会の中で、きちんと学歴をつけて勉強をして就活、就職してという女性は、結婚年齢30歳ぐらいで、少子化です。一方で、非常に若年で、学校に行けなくて、いろいろな家庭の問題があってというケースは、どんどん子どもを産んでいる。
    どの時代にも、先のことに余り責任が感じられないという男の子や、家に居場所がなくて寂しい女の子はいたのだと思うのですけれども、増えていると思うのです。そして、性行動が低年齢化している。正しい知識が不足しているということから、早い妊娠に直結しているという気がします。
    だから、やはり性教育が必要だということを常々考えています。産むなということは絶対口が裂けても言えないのですけれども、もうちょっと知識やスキルを持とうよということです。自分の体、相手の体についての知識。それから、だんだん思春期になっていくわけですけれども、いろいろなレベルでのかかわりを持つこと。養護教諭の先生などに聞くと、男の子と女の子がつき合うと、いろいろな会話をするとか、お互いを会話によって知り合うという段階を踏まずに、即、性交なのですよというお話もありました。妊娠、出産、子育て、性的かかわりの前提となる人間関係や社会について、正しい情報を提供しなくてはいけないと思うのです。それから、人間の尊厳や関係性ということを中心に置いた教育を、私はやはり小学校の間に一般的に教えるべきではないかと思っています。
  • 嶋崎構成員(資料1-5)
    わたしのほうは、A4版1枚の資料で、教育現場におりました体験の中から、2点申し上げたいと思います。
    ただ、その2点も既に両先生のほうからお話ございまして、まず言葉から言ってしまいますと、1点目は、子どもたちの愛着形成の問題が虐待には大きな影を落としているだろうということで、奥山先生から家族ケアというお話ございましたし、定本先生からも愛着障害という言葉がここに出ておりましたけれども、この点を1点申し上げたい。2点目は、これも両先生のお話にありましたけれども、データベースの重要性。この2点でございます。重複してしまって大変恐縮なのですが、簡単に申し上げたいと思います。
    1点目ですけれども、私の大好きな言葉で、教育改革の国民会議の17の提案の中の言葉ですけれども「家庭はしつけの場であり、『心の庭』である」という言葉があります。家庭の役割を縦軸・横軸にとりますと、いわゆるネグレクトは左下の部分に当たると思うのですけれども、私が学校におりまして、非行をはじめ2次的な問題としてやはり大きいと思うのは右下の「過支配型」です。子どもを過剰に支配したり干渉したりすることにより子どもたちが起こす問題が非常に増えているといいますか、大きな問題となっているということがございます。これなども、結局、放任型、ネグレクトと一緒で、やはり愛着は身についていないわけです。それが1点目に申し上げたかったことです。
    2点目に申し上げたかったのは、先ほど申し上げたいわゆるデータベースの関係なのですが、事例をやはりきちっと分析するということです。検証して、それを公表して、それを共有する。そして問題の改善に結びつけるというこの一連のプロセス、いわゆるナレッジマネジメントを通して最終的に再発防止策をそこで生み出し、それを共有していくことが、この問題に関してやや足りないのかなと思っております。いじめについては、対策推進法の中に、検証して公表しましょうということが位置づけられておりますけれども、こういったことが今後、虐待の問題についても重要になるのであろうと考えております。

<3> 意見交換

  • 谷口構成員
    この問題に関しては、施策の充実は現場からも感じるところではありますけれども、やはり質的量的な問題は常に意識しなければいけないと思っています。
    まず、一時保護所については、自治体によっては満杯という事態が実際起こっています。それで現場の児童福祉司が受け入れをちゅうちょしてしまうという話も聞いておりますので、早急に収容能力の確保という点で対策を講じるべきだろうと思います。
    次に、質を確保するための人材という視点でいくと、福祉事務所や児童相談所というのは、最も異動したくない職場の一つといった行政職員の方々の声を耳にします。その理由は、負担が大きい職場で、職員が負うリスクが非常に高いということに尽きるかと思います。まずは職員の方の安全確保、負担軽減という方向で人員増もしっかり検討しなければいけない。次に大事なのは、徹底的に人材の質を上げていく、専門性を向上させていくというところが重要になってくるかと思います。
    例えば、家庭教育の充実という話がありましたが、そもそも家庭教育のための訪問支援を簡単に受け入れる保護者であれば楽なのです。虐待家庭への対応には、これを拒絶するような方々にしっかりとアプローチできる専門性が必要になります。そういった意味では、アウトリーチの専門性というのは非常に重視されなければいけないと思うところなのですが、やはり効果的である一方、リスクも高い。最も難しいと言われている支援手法ですから、相応に従来の枠組みを超えた人材育成の仕組みとして整えなければいけない。そういった意味では、内閣府青少年支援担当で実施いただいているアウトリーチ研修は、従来型の取組とは異なるもので、中央で1週間座学をして、先進的にアウトリーチを行う全国各地の実地訓練先で2週間アウトリーチの実習をして、そのまとめも中央でやる、かなり充実した内容となっている。これは最先端のノウハウを全国に移転していくという意味でも非常に効果的な施策だろうと思います。
    これは一つ提案なのですが、現在、児童福祉分野や学校教育分野もそうですが、医療、ひきこもり支援の分野でも、アウトリーチが行われている。それぞれに活発になってきているのだけれども、そのノウハウというのが集約されていない、検証されていない、体系化されていないという問題が起こっています。是非、内閣府が主導して、これを分野横断的にとりまとめ検証する作業を進めていただければと思います。
    最後に1点だけ。先ほどの奥山構成員の御発表には、共感するところが多かったのですけれども、その中で、相談機能、シェルター機能、生活支援機能、就労支援機能を併せ持つようなものを勤労青少年ホームの活用によって、という話が出てきました。これは札幌市や京都市のように充実した機能が保たれ専門的な人材が配置されている施設以外は、やはりゼロベースでつくっていくというのは、この御時世、難しいと思います。すでに、地域若者サポートステーションで若年無業者の職業的な自立支援も行われていますし、子ども・若者育成支援推進法に基づく子ども・若者総合相談センターも各地で立ち上がっています。さらに平成27年度からは、生活困窮者自立支援法に基づく窓口も出てくるわけですから、そういった施策が持つ専門性をうまく活用して、それを組み合わせていくことによって、受け皿にしていく方向で検討する必要があるのではと思います。
  • 川邉座長代理
    予防や早期発見というのが一番大事だろうと思います。事が起きて対応するのは本当に大変なので、その手前で対応するのが重要なことなのだろうと思いますが、相談の窓口をつくったり相談体制を充実させても、問題を持つ家庭がそこになかなか来てくれないというのが実際の話だろうと思うのです。いくらよい相談体制をつくっても、来ない人は来ないわけで、そうした相談窓口にアクセスしてこない家庭こそが一番リスクが高いということであります。
    先ほどから奥山構成員や定本構成員がおっしゃったように、経済的貧困が第1のリスクファクターだと思うのです。それから若年ですね。親になり切れていない人が親になってしまう。このことを考えれば、産婦人科の病院や生活保護などの窓口と、虐待の相談窓口なといった高リスクの家庭を発見しやすい機関や彼らがアクセスしやすい機関と連携させるような工夫がこれから必要なのではないかなと思います。つまり、どこかに別の要件で相談なりに来るときに虐待に関する相談も視野に入れ、情報も共有していくというような工夫がこれから必要なのではないかなと思いました。
  • 相原構成員
    先ほどから経済的貧困や少年院のケースなどを伺って、児童虐待の問題が大きなウェートであるだろうなというのはよくわかります。そこの点をかなり分量をとって各先生方、各構成員が御発言されたので、逆の場合を1つだけ。
    私の個人的な現場の経験なのですけれども、高学歴、それなりのキャリアの方の中でも、児童虐待の例はあるかと思っております。先ほどの嶋崎構成員が書かれた過支配といいますか、高学歴のお母さんが何時間も勉強させるなどして、死亡事故とまではいかないのですけれども、精神的にかなりダメージを与えてしまうようなケースも結構見ております。
    先ほどスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーのお話も出ましたけれども、そういうところの質を上げていただいて、できるだけ子どもたちがSOSを出せるような状況をつくっていただきたいと思いました。
  • 奥山構成員
    産婦人科の病院は、虐待死亡事例検証の中でかなり妊娠期の問題が出てきているので、意識は少しずつ高まってきていると思います。それから、母子手帳を渡すとき、妊娠の届け出のときに保健師さんがかなり対応をするということで、少しずつ進んできてはいるのかなと思うのですけれども、それをさらに進めていく必要はあると思います。
    それから、アウトリーチのことが出てきたのですけれども、アウトリーチのノウハウというのはとても大切で、昔から保健師さんなどはすごくそれがうまい人がいるのですが、ただ、やはり虐待の問題なると、本当にどうにも入れない家庭もある。そこは立入調査などでクリアはしているのですけれども、家庭の支援ということになると、法律などで支援を義務づけさせるというようなこともある程度やっていかないと、アウトリーチも最終的には限界があるかなと考えています。

(2) 社会的養護の充実

大綱の記載や関係データを事務局から説明(資料2-1)した後、以下のとおり議論を行った。

<1> 関係府省からの説明(資料2-1)

  • 厚生労働省
    厚生労働省の尾高と申します。家庭福祉課で社会的養護の担当の補佐をしております。どうぞよろしくお願いいたします。
    資料2-2をお手元にお願いいたします。「『社会的養護の充実』に係る厚生労働省提出資料」ということであります。
    平成22年7月の大綱策定から現在までの取り組みについて御報告いたします。
    まず、平成23年7月に社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会が取りまとめた「社会的養護の課題と将来像」に沿って、家庭的養護の推進、里親委託・里親支援の推進、施設運営の質の向上、親子関係再構築の支援、自立支援の充実、子どもの権利擁護の推進などを進めております。この社会的養護の課題と将来像というものをベースにしまして、施策の展開を図っておるということで御理解いただきたいと思います。
    これまで行ってきた主な取組としましては、この「課題と将来像」をベースにしながら、次の<1>~<7>までの動きをしております。
    <1> 家庭支援専門相談員、個別対応職員、心理療法担当職員の加算職員の配置の義務化とあります。これが平成23年6月です。それまでは、配置基準に規定されておらなかったのですが、予算的な措置はされておりました。それを配置基準の義務化を明確化することにより、各施設に配置するようにしたものです。
    <2> としまして、職員の質の向上という観点から施設長研修の2年に1回以上の受講を義務化しています。
    <3> としまして、第三者評価の3年に1回以上の受審、公表の義務化です。第三者評価につきましては、平成16年度から福祉施設の中で行われてきたところでありますが、社会的養護関係施設については、児童が施設を選ぶことのできない措置施設であることから、受審と公表の義務化を図ったものでございます。
    <4> としまして、施設種別ごとに、また、里親及びファミリホームについて、運営(養育)指針を策定をいたしました。「課題と将来像」の理念、それから、各施設における養育、支援の具体的な指針を定めたものです。
    <5> としまして、児童養護施設等の人員配置基準の引上げということで、例えば児童指導員・保育士を、児童養護施設であれば、職員6:1から、5.5:1と、三十数年ぶりに引き上げております。それから、里親支援専門相談員というものを創設しまして、児童養護施設と乳児院に、里親支援専門相談員を配置をしまして、里親さんとのパイプなどを行う職員を配置しております。
    <6> としまして、ケア形態の小規模化を計画的に進めるため、児童養護施設・乳児院には各施設ごとに「家庭的養護推進計画」を、各都道府県には「都道府県推進計画」の策定を要請しております。
    <7> としまして、そういう小規模化を進めていく上で、あるいは親子関係を再構築する上でということで、事例集を作成しているところであります。
    私どもとしましては「社会的養護の課題と将来像」に沿って着実に推進しているものと思っております。
    現在認識している課題としましては、虐待を受けた子どもや障害のある子どもなど、特別なケアが必要な子どもが増加しているということと、施設の小規模化・地域分散化を進めることにより、職員1人当たりに求められる役割(負担)が大きくなっておりますから、職員体制の更なる充実が必要と考えております。
    今後の方向性としましては、そういう課題に対応するために、「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律」に従って、消費税財源を含めた安定的な財源を確保した上で、更なる人員配置の基準の引上げなどの充実に向けて取り組んでいきたいということであります。
    次のページでございますが、社会的養護の現状について若干触れさせていただければと思います。
    保護者のない児童であるとか、被虐待児などの家庭環境上養護を必要とする児童などに対し、公的な責任として社会的に養護を行う。対象児童は4万6,000人ということで、去年は4万7,000人でしたので、大体同じぐらいということでございます。里親と施設、それぞれの箇所数なり、定員なり、現員なりがありますのでごらんください。
    「虐待を受けた児童の増加」として、そういう子どもたちが施設に多く入所しているということで、それに対する施策の充実が必要でありますよということが書いてあります。例えば児童養護施設であれば、右側の帯グラフで53.4%が虐待経験があるとか、あるいは、情緒障害児短期治療施設であれば71.6%という数値がありますが、実際には施設に入所した後に虐待があったのではないかとわかるケースもあることから、このパーセンテージ以上に虐待を受けた子供さんたちが入所している割合は多いのではないかと関係者からは言われております。
    続きまして、「障害等のある児童の増加」ということで、こちらにつきましては、右側の「平成20」と書いてあるところの帯グラフです。23.4%ということを御承知おきいただければと思います。
    5ページは「施設の小規模化と家庭的養護の推進」ということで、社会的養護が必要な児童を可能な限り家庭的な環境において、安定した人間関係のもとで育てることができるように、施設のケアの単位の小規模化、里親やファミリホームなどを推進しています。矢印が「より家庭的な養育環境」ということで左から右にありますが、より家庭的な環境の中で子どもが養育できるような施策を打っていくということで、施設については小規模化を行い、施設の中を家庭的な環境、ユニット型と呼んでいる形にしていくということであります。また、里親さんの委託の推進を図っていくということでおります。
    6ページでございますが「施設の人員配置の課題と将来像」として、先ほど人員配置基準を6:1から5.5:1に引き上げたと御報告しました。この表の真ん中の平成25年度予算の児童養護施設のところを御覧ください。児童養護施設の24年度予算で、上から、0・1歳が1.6:1とありまして、下の4つ目のところに、小学生以上が5.5:1とあります。その5.5:1の左側の従来のところで見ると6:1とありまして、もう一度繰り返しますが、子どもが6人に対して職員が1人ということであります。この6:1を5.5:1にして、今後の目標水準としまして、その隣の4:1に引き上げようというのが「課題と将来像」に書かれております。それを我々実施していくために、先ほども御報告しましたが、消費税財源の中で手当てしたいと考えておりまして、今日行われる子ども・子育て会議の中で、今までもそうですが議論をされておりますので、引き続き必要性を訴えていきたいと思っております。
    7ページ以降が、今、申し上げた消費税関係の規定です。消費税財源を使うのはこういうものも入っていますよということが明確化されているということであります。
    8ページ、こちらは、平成26年度で「社会保障の充実」を図ったというところで、この中では受け入れの児童数の確保であるとか、あるいは施設の中を小規模化するための職員配置の加配などの予算が含まれております。
    9ページの「『子ども・子育て支援の充実』の概要」というところの一番下のところです。「III.社会的養護の充実」とありまして、所要額(公費)80億円(国費40億円)ということで、児童養護施設等の受入児童数の拡大、児童養護施設等での家庭的な養育環境の推進というところで、26年度予算を確保させていただいております。

<2> 相原構成員・松原構成員からのプレゼンテーション

  • 相原構成員(資料2-3)
    十数年、ある児童養護施設やその関連の施設の相談ないしいろいろな問題事案等に継続してかなり密度濃くかかわってきた経験からのことを申し上げたいと思っております。
    お話ししたい内容としては、主に2つ。ただ、子どもの代理人に関しましてはちょっと児童虐待絡みかなというところがありますので、社会的養護としましては幾つかの点をお話しします。
    先ほどから厚生労働省から詳細な御説明がありましたので、それを踏まえた上ですが、幾つか感じている問題点をお話しします。
    まず1つ目。施設を退寮した少年に対する自立支援という点に関して、ここ数年、何とかもう少サポートしてあげられないのかなということを非常に思っております。この件に関しましては、松原構成員がかなり詳細に書かれているようなので詳細は申し上げませんが、私が弁護士として非行少年の事案を担当したときに、児童養護施設の出身者で18歳、しかも、場合によってはちょっと飛び出してなかなかそこに引き受けてもらえないというようなケースで、引き受け先を探すのに大変だったというケースもありました。
    年末年始に施設によく行くのですけれども、大体高校生はアルバイトをしているのです。アルバイトをして、自分がこれから巣立っていった先の生活のための蓄えをしている。それなりの経済的な支援が全くないというわけではないのですが、ただ、親から支援を受けられない子が、高校生になると一生懸命アルバイトをしている。高校まで行って、その後、働く先としてはファーストフードが多い。そういうところで働く経験を得るということ自体は決して悪くはないと思うのですが、安住の場からの旅立ちの場としては、就労希望者についてもう少し就労支援をしていただけないだろうかと感じました。
    それから、これは児童虐待との関連になりますが、虐待をした親とされた子との再統合が図られていると聞きます。私が関わっている施設では、先ほど厚生労働省の御説明もありましたけれども、結構きめ細やかに、臨床心理士や精神科医の方も入られて、セラピー、カウンセラー、それから、いろいろな処遇をされています。私もそれを見させていただきましたけれども、すごく頑張っているなというところがあります。
    ただ一方で、虐待をした親に対するサポートが極めて不十分だと思います。そうすると、再統合して、またそこでダメージを受けて帰ってくる子が、1年間に何人かいるということも聞いております。
    次に、里親につきましても、先ほどの奥山構成員のお話にもそのままあったかなと思いますが、私もちょっと問題の相談を受けたことがあります。非常に不安定な、かなり虐待を受けた子は親を試す。だから普通の養護の状況とは違うレベルの養育をしなければいけないにもかかわらず、社会的な無理解という意味では里親に対する理解がよくない。話題となったテレビドラマもありましたけれども、里親に対する精神的な、社会的なプレッシャーというのもあると思います。その中で、何人か非常にレアなケースではありますが、ちょっと問題を起こしたというのも聞きました。どうしてもそのプレッシャーの中で、密室の中で、ある種の虐待的な問題が起こってしまう。志のある里親をサポートするという体制がやはり不十分なのではないかなと思いました。
    全くの私見なのですが、ある区の保母さんのOBたちと結構仲よしになりまして、これが60歳から70歳で、結構パワフルで専門性が高い。その人たちに子どもを預けると、本当にうまいのですね。小学校に行くまでのお子さんたちの見方といいますか。そうした方は、里親や虐待をした親に対するサポートを十分できるだろうし、また、再統合のときにずっと立ち会ってもらうこともできるのではないか。あまり高い報酬とかではなくて、半分ボランタリー、プロボノ的にやっていただけないか。それから、児童養護施設の職員も、私が見ていてやはりバーンアウトする人、結構長くいられない人がいる。それに対するサポートにもなるのではないかなと思っております。
    また、少し違う視点で、先ほどから施設の小規模化のお話がありました。それ自体は歓迎すべきところだと思います。これも先ほどから出ていると思います。それで、私は何件かちょっと見せていただいたのですが、結構死角がないような部屋にしようというたてつけになっているのではないかと思います。正確なところを知らないので、不正確だったら申しわけありませんが、少なくとも見た印象がそうであった。1人の職員が継続して複数人を養護するのは大変だというお話がありましたが、そうすると、目の届かないところをなくしたいという意識がどうしても出てしまう。でも一方では、ある程度の年齢になると、1人になるという精神的に安定したい場所も必要になろうかと思います。閉鎖空間で子ども同士のいじめとか性的問題もあったりします。相当悩ましいというのもよくわかっておりますが、うまいバランスのとれた施設のつくり方をしていただきたいと思います。
    最後に、子どもの代理人なのですが、これはちょっと次元が違う話なのですが、児童福祉法28条で措置をとることができるのですけれども、措置をとるという申し立てをするときに、証拠調べの申立権等については家事事件手続法では当事者主義にちょっとシフトしてしまっているところがあります。ここにつきましては、若干手前みそになるかもしれませんが、弁護士等それなりの専門家にちゃんと立証させるというような法律的な手当てを、これはちょっと法務省のほうに言わなければいけない話でここで言うのはちょっと適切かどうかわかりませんけれども、毎日感じているところであります。児童相談所で相談に応じている同僚の弁護士などがいるのですけれども、かなり手弁当で児相からすぐに措置をとりたいとかいうようなところではやらざるを得なくて、ちょっとそこら辺はもう少し手当てしていただいたほうがいいのではないかなと思っております。
  • 松原構成員(資料2-4)
    子どもの虐待については、あらゆる年齢で非常に深刻な影響を及ぼしておりますが、今日はこの会の性格に照らして、年長児童の虐待対応、社会的養護について、少しお話をさせていただきたいと思います。
    これは、厚生労働省のほうの自立支援事業として認定を受けています、子どものシェルターの配置図です。色の変わっているところは今年度入ったところ、あるいは来年度参画予定のところで、全国で12カ所あります。
    私は、横浜の「子どもシェルターてんぽ」の活動にかかわっており、それに基づいて発言をさせていただきます。
    3つの活動をしております。やはりなかなか年長児童に対応ができないということで、まずシェルターから始める。そして、相談事業を始める。出口がないということで自立援助ホームをつくるという活動の流れになっています。
    なぜこういうものの設立が必要だったかというと、18歳以上20歳未満の子どもをカバーできる社会資源が乏しいということ。それから、少年事件などの少年の帰住先の課題があるということ。それから、児童相談所の一時保護所はなかなか年長児童には対応できないという課題がございます。
    年齢を見ていただくとおわかりになると思うのですが、17、18、19あたりの子どもの数が多い。それから、圧倒的に女の子が多い。こういう子どもたちを支援の枠組みに入れないと、場合によると、今日のプレゼンテーションにもありましたけれども、性的な被害にさらされる危険性もあるということになります。
    これが、入ってきた子どもの理由の一覧になります。一番上を見ていただくとおわかりのように、やはり親からの虐待・暴力等が一番多いという結果になっております。
    事例のところは時間がございませんので省略いたしますが、後でお読みください。やはり虐待ということが表に出ておりますし、それから、実はさまざまな社会資源がかかわれない中でじわじわ問題が深刻化してきて、この年代になって爆発しているというような事例もあります。
    こういう中で、シェルターは子どもたちにいろいろな支援を提供しておりますが、<3>子ども担当弁護士がつき、法律的にサポートとします。相原構成員がおっしゃっていたように、ここの部分はほとんど手弁当で弁護士の方がされております。
    また、心身の回復、親との交渉が非常に大きな課題になります。それから、日常生活での支援。お話が出ておりますとおり、生活スキルなどが身についておりませんので、このスキル習得ということも支援しております。
    それから、シェルターでございますので、長くいることはできません。退所先をどのようにしていくか。そして、そのための準備をしていって、退所後の支援をしていくというのも柱になっております。
    どこに退所をしていくかというと、その他の福祉施設が多いのは、先ほど申しましたように女性が多いものですから、女性の保護施設に移っていく子どもたちが多いということです。また、親との統合ができなくてアパートに住む子、そして、自立援助ホームに入る子が多くなっております。
    これは大切にしていることです。子ども自身の選択を尊重し、関係機関と連携をして、退所後も必要に応じて相談継続をしていくということです。
    そういう形で活動しているのですが、幾つか課題がございます。
    児童自立生活支援事業に位置づけていただきましたので、運営については安定的に展開できるようになりました。ただ、まだまだ各シェルターは運営には苦労をしておりますし、そういう意味では先ほど厚生労働省のお話の中にあった、今後の社会的養護の充実の中で、このシェルターについても措置費の底上げが必要だと考えております。それがあって初めて職員増も可能でしょうし、資質向上も可能になってくるのかなと思っております。
    それから、先ほど申し上げましたように、退所先がなかなかございません。自立援助ホームもまだまだ数が足りないということですので、退所先をきちっと確保していくということが課題になると思います。
    それから、非常にニーズに応じて開所はしておるのですが、実は全国的に見るとまだ利用が進んでいないというシェルターもあります。関係機関がまだ理解を深めていない、児童相談所との連携がまだうまくいっていないということで、ここも課題になると思います。社会、そして当事者である子どもへの周知も今後の課題になってくるかと思っております。

<3> 意見交換

  • 植山構成員
    先ほどからずっと家族のサポートの問題が出ていて、私はこれが重大な問題なのだなと常々考えています。例えば欧米の事例ですと、虐待した親の場合には治療的な教育を受けなければ再統合されないということもありますし、社会的養護を受けている子どもの保護者の方たちにも、親としての機能を果たせていないわけですから、手を法的に入れる必要があるだろうなと思っているのです。
    ただ、そうするためには、人や場所の確保がとても必要なので、急には難しいのかもしれませんが、ぜひそこは入れ込んでいただかないと、再生産がとまらないなというような印象を持っております。
  • 宮本座長
    先ほどの奥山構成員のおっしゃられたアウトリーチも、ある限度を超えたら、強制力を持たなければいけないということですね。そのあたりというのは今、どのあたりまで議論が進んでいるのでしょうか。
  • 奥山構成員
    私も全部詳しく知っているというわけではないのですけれども、虐待防止法では、裁判所が親の治療を命令するという方向は入れ込めませんでした。ただ、28条に関しては、2年ごとの更新になった時点で、親にケアをしないと帰してもらえないということが出てくるので、少し先へは進んだのかもしれないのですけれども、先ほどおっしゃったような治療命令みたいなものを法的に出せる状況には今のところはないと思います。
  • 松原構成員
    一応児童相談所の指導に従うようにという裁判所の勧告が出せるようになったかと思います。
  • 奥山構成員
    児童虐待防止法では、裁判所は、親ではなくて、児童相談所に命令するのです。裁判所からの命令を受けたからあなたのところに行かなければいけませんというふうに言って児童相談所が親のところに行くという形になっているとたしか思います。
  • 古賀構成員
    今、お聞きしていて、いわゆる「親教育」というような問題が大変大きくなっているのだなということを深刻に感じました。
    ニュージーランドやカナダではそういったプログラムがたくさんつくられたりして、今、日本でも紹介されてきているのですが、どちらかと言いますと親のレベル分けがなくて、共通の課題の問題で今のところは動いています。今、お話あったような深刻事例についての特化したプログラムという形にはまだなっていないのかなと思います。
    そういう意味では、いわゆる「親教育」と言われるような、家庭全体に対して教育的な支援を打つという部分と、それから、問題を抱えている子ども当事者への支援と、さらに、社会環境や地域コミュニティーとの関係にかかわる支援と、3つレベルがあると思うのです。深刻な事例だったらどこに力点を置いて、より強く支援をオーソライズしていくのかというようなプログラムとしてのレベル分けを1回ちゃんとしないと、断片的な支援になってしまいそうな気がするのです。先ほどお話があったような問題にかかわるデータによるエビデンスを整理した上で、今のような親教育の手の打ち方を真剣に議論していくということが必要なのではないかとお聞きしていて思いました。
  • 谷口構成員
    親支援の難しさは、日々我々も感じているところでございます。佐賀県子ども・若者総合相談センターでは、16.2%が虐待経験、あるいは虐待の疑いがあり、地域若者サポートステーション、佐賀の場合は4.7%がこれに該当します。我々は、こういったケースには、子ども・若者本人への支援のみならず、アウトリーチをかけて家族支援を並行して行うことによって、彼らを自立まで継続的に見守っているところなのですが、その経験からいくと、実際に親を変えるためには、単なる助言、指導のみの単発の関わりではなく、日常、生活場面を共にしながら家族問題の解決など直接的な支援を行う必要があります。そのためには、複数名のチームで継続的に関わっていく、それを支える仕組みが必要なのだと思います。
    そういう意味でいくと、今、自立支援の現場では、子ども・若者育成支援推進法などの関連法や、地域若者サポートステーション事業、生活困窮者自立支援法に係るモデル事業などをうまく組み合わせて何とかつないで結果を残しているという状況ではありますが、これを分野横断的にバックアップできるような、子ども・若者の自立支援を強力に、かつ継続的に推進できるような、そういった包括的な法律がそろそろ必要な時期ではないかと思っています。

以上