青少年を取り巻く環境の整備に関する指針
−情報化社会の進展に対応して−

平成13年10月19日
青少年育成推進会議申合せ


 最近、青少年を取り巻く環境は、情報化社会の進展に伴い、大きく変容している。こうした中、青少年が日常生活において接する各種メディア等が提供する情報等には有用なものも多く、青少年に良好な影響を与えていることは言うまでもないが、他方、性描写や暴力・残虐表現を含む情報等が青少年の人格形成に悪影響を及ぼしたり、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮を助長したりするおそれがあるため、社会において十分な配慮がなされることが必要である。今後、インターネットの急速な普及などに伴いより一層青少年がこのような情報等に触れる機会が増大する可能性が考えられ、適切な対応が求められている。
 このため、青少年を取り巻く環境の整備という課題に、国、地方公共団体、関係業界団体等及び国民が一体となって取り組んでいくため、国が取り組む事項、国から地方公共団体へ要請する事項及び国から関係業界団体等へ要請する事項についての指針を取りまとめる。
 なお、言論、出版その他一切の表現の自由を尊重することは、この指針を取りまとめるに当たっての前提である。



一 基本的方針

1 国の取組
 各強調月間等を効果的に実施し、これらを通じて有害環境浄化の地域活動が一層強化されるよう、国民の意識啓発を行う。
 また、青少年を取り巻く環境の整備に関する調査研究を実施し、性描写や暴力・残虐表現を含む情報等が青少年の感情・行動に与える影響等についての研究結果の収集及び活用を図るとともに、各関係業界における自主規制の実効性を担保するため、第三者による調査等を支援する。
 さらに、メディア・リテラシー向上のための教育の推進、法令に基づく取締りの促進及び関係業界団体等との意見交換の実施に努める。

2 地方公共団体への要請
 青少年の保護育成に関する条例の効果的な運用、各法令に基づいた取締りの徹底及び住民等による各種環境浄化活動の推進を図るよう要請する。

3 関係業界団体等への要請
 青少年が身近に接する情報等に関しては、各関係業界がそれぞれ社会に大きな影響を与えることを自覚し、青少年にとって有害な情報等について実効性ある自主規制を確実に行うことが必要であることを踏まえ、以下について要請する。
(1)情報等の発信・提供又は受信・享受の段階で読者・視聴者の属性による特定の情報等の制限が困難な分野については、青少年への影響に配慮した発信・提供に努めること。また、情報に格付けして発信・提供する方法又は受け取るべきでない情報を読者側・視聴者側で遮断する方法について検討すること。
(2)情報等の発信・提供又は受信・享受の段階で読者・視聴者の属性による特定の情報等の制限が比較的容易な分野については、情報等の発信者・提供者(販売者・貸与者を含む。)における自主規制による格付けに基づいた厳格な発信・提供・販売・貸与の徹底及び透明性を確保した苦情処理に努めること。
(3)青少年のメディア・リテラシー向上のための取組を推進すること。
 また、各関係業界のみならず、その他の各企業の協力も重要であるとの観点から、各経済団体にも協力を要請する。


二 具体的な取組及び要請事項

1 国の取組
(1)国民の意識啓発の推進
 7月の「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」及び「“社会を明るくする運動”強調月間」や11月の「全国青少年健全育成強調月間」を効果的に実施し、これらの機会を捉えて地域住民やボランティアによる書店、ビデオ販売店等の点検活動、有害図書等自動販売機・捨て看板撤去運動、電話ボックスのピンクビラ回収等の諸活動が一層強化されるよう、積極的に国民の意識啓発を行う。

(2)調査研究の実施等
 「第4回情報化社会と青少年に関する調査」、「青少年有害環境対策に関する調査」(以上内閣府)、「インターネット上の少年に有害なコンテンツ対策研究会」、「青少年問題調査研究会」(以上警察庁)、「青少年と放送に関する調査」(総務省)及び「青少年を取り巻く有害環境対策に関する調査研究」(文部科学省)を実施し(別添1参照)、それらの調査研究等の結果の活用を図るとともに、各種メディア等における性描写や暴力・残虐表現を含む情報等が青少年の感情・行動に与える影響等についての研究結果の収集及び活用を図っていくこととする。
 また、日本PTA全国協議会等の第三者の民間団体によるメディアのモニタリング調査等を支援し、その結果を踏まえた関係業界等との意見交換を促進する。

(3)メディア・リテラシー向上のための教育の推進
 青少年が主体的に情報の取捨選択ができるようメディア・リテラシー教育を推進するため、学校において新しく導入される「総合的な学習の時間」等を活用するとともに、メディア・リテラシー教材の開発を支援する。
 また、青少年を適切に指導できる人材を育成するため、大学の教員養成課程等において映像メディア等に関する指導方法を体系的に学習させる機会を設ける。

(4)法令に基づく取締りの促進
 都道府県警察による、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)及び46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例に基づく取締りを促進する。

(5)関係業界団体等との意見交換の実施
 各分野における取組状況を把握するなどのため、関係業界団体等との意見交換を随時実施することとする。

2 地方公共団体への要請
 地方公共団体においては、46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例により、青少年に有害なものとして知事等が指定した図書等を青少年が観覧することやそれらを青少年へ販売、貸出、頒布すること等を禁止している。また、各都道府県警察は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律及び46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例に基づき法令違反の取締りを行うとともに、少年を取り巻く社会環境を浄化する必要のある297地区を「少年を守る環境浄化重点地区」に指定し、地域住民やボランティアと連携した各種環境浄化活動を推進している。
 以上のような取組の現状を踏まえ、以下の事項について要請することとする。
(1)有害図書等の指定を受けていない作品について、住民からの意見を受け付けて、指定の参考にすること。
(2)販売店・レンタル店において、各地域の条例に基づき他のソフトとの区分陳列、店員が容易に監視できる位置への配置、青少年へ販売・貸付けしないことの徹底等を行うことを各店舗に要請するなど、その効果的な運用を図ること。
(3)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律及び46都道府県等において定められている青少年の保護育成に関する条例に基づく法令違反の取締りについても引き続き徹底すること。
(4)住民等による各種環境浄化活動をより一層推進すること。

3 関係業界団体等への要請
(1)各種メディア等への要請
 以下の1)〜7)の各種メディア等において、関係業界団体がそれぞれの取組の現状(別添2参照)も踏まえて必要な取組を行うよう要請することとする。
 なお、以下の各種メディア等以外のメディア等において、同様の要請をすべき状況が認められる場合、関係業界団体に対して必要な取組を行うよう要請することとする。

1) テレビジョン放送
 テレビジョン放送(有料放送を除く。)については、引き続き教養、教育、報道、娯楽等各般の青少年の健全育成に資する情報を幅広くかつ効果的に提供しつつ、青少年にとって最も接しやすいメディアの一つであるという特性に十分配慮して、各放送事業者において以下の取組を推進すること。
 1)暴力・性に関する内容について、放送時間帯に一層配慮すること。
 2)青少年への配慮が必要な暴力・性などの表現に関する情報提供に一層努めること。
 また、視聴者と放送事業者を結ぶ第三者機関として活動している「放送と青少年に関する委員会」等の機関のより一層の取組を期待する。

2) インターネット
 各種のメディア機器の急速な普及に伴い青少年が接しやすいメディアとなりつつあることに十分配慮して、「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会報告」(郵政省、平成12年12月)等に沿って、有害情報に関するラベリングやフィルタリングの普及促進等をより一層図っていくこと。

3) 家庭用ゲーム機ソフト
 「B」区分(ユーザーに対する注意喚起が必要なもの)の指定を受けた作品名について、ソフト販売店に掲示する等の方法により積極的に幅広く公開し、消費者が当該作品を購入する際、事前に十分な注意喚起認識が得られるよう注意喚起表示を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。

4) ビデオソフト
 ビデオソフト販売店・レンタル店において、成人指定(18歳未満への映示、販売、貸出禁止)若しくはR指定(15歳未満への映示、販売、貸出禁止)又は一般向制限付指定(中学生以下への映示、販売、貸出不可)の作品の販売又は貸出を行う際には、身分証明書、会員証等により購入又は借入しようとする者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。

5) パーソナルコンピュータソフト
 パーソナルコンピュータソフト販売店において、18歳未満者への販売禁止ソフト作品(18禁)又は一般ソフト作品制限付(R指定、販売対象者満15歳以上)の販売を行う際には、身分証明書等により購入しようとする者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。

6) 出版物
 書店等において、成人向け雑誌・コミック誌・コミック本の販売を行う際には身分証明書等により購入しようとする者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。

7) 映画
 映画館において、R−18(18歳未満入場禁止)、R−15(15歳未満入場禁止)又はPG−12(12歳未満は親又は保護者の同伴が望ましい)に指定された作品を上映する際には、身分証明書等により入場者の年齢の確認を行うよう指導を徹底すること。また、青少年への影響に関する国民からの苦情について事業者が透明性の確保に配慮しつつ処理すること。

(2)メディア・リテラシー向上のための取組の要請
 青少年と各種メディア等との健全な関係を築くためには、青少年のメディア・リテラシー向上が重要であるため、各関係業界団体において、以下のような青少年のメディア・リテラシー向上のための取組を推進するよう要請することとする。
1) メディア・リテラシー研究者や教育関係者、読者・視聴者の意見を反映させ、読者・視聴者のメディア・リテラシー向上に資する情報等の提供に取り組むこと。
2) 各関係業界においては、制作者と青少年やその保護者との意見交換の場を設ける等、交流機会の拡大を図り相互理解に努めること。その際にはインターネット等を活用し、できる限り多くの者が参加できる体制を整備すること。

(3)各経済団体への要請
 各経済団体において、以下のような取組を推進するよう要請することとする。
○ 各企業が広告や協賛を行うに当たっては青少年の健全育成に関し特段の配慮をするよう呼びかけるとともに、関係業界団体の自主規制の状況のチェック等に取り組む民間団体との意見交換の促進を図ること。