-
青少年育成 サイトマップ
-

子ども・若者育成支援総合的推進青少年育成施策大綱目次 > 6.支援のための環境整備施策の基本的方向

-

青少年育成施策大綱

6 支援のための環境整備施策の基本的方向

 年齢期ごとの施策や特定の状況にある青少年に関する施策を効果的に実施する環境を整備するため、以下のような施策を行う。

(1)利用しやすいサービス体制づくり

1) 専門職の養成・確保
 (医療・保健関係専門職)

 小児科医師及び産科医師の確保・育成に関する調査研究を進めるとともに、すべての研修医が、小児科を必修科目として、小児の疾患に関する基本的な診療能力について研修を行う新たな臨床研修制度の運営を行う。
 保健師、助産師を含む看護職員について、離職の防止、再就業の支援、養成力の確保、資質の向上等の人材確保対策を総合的に行う。
 コミュニケーション能力に優れ、患者中心の医療を実践できる医療人を育成するため、各大学におけるカリキュラムの充実に向けた取組を促進する。

 (児童福祉に関する専門職)

 保育士などの児童福祉施設職員や児童相談所の職員について、必要な職員体制の確保に努めるとともに、研修を充実させ、専門性の向上を図る。

 (教員)

 教育職員免許制度を基本としつつ、養成、採用、研修の各段階を通じた体系的な施策を充実させ、使命感、得意分野、個性をもち、現場の課題に適切に対応できる力量のある教員等を確保する。特に、平成15年度から義務付けられた10年経験者研修により、個々の教員の能力等に応じた研修の実施を促進する。

 (児童思春期の心理関係専門職)

 医師、保健師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理技術者等を対象に、児童思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修等を行う。
 矯正施設の心理関係専門職に対する各種研修、一般外来者を対象とする実務経験を充実させ、専門性の向上を図る。

 (少年補導や非行少年の処遇に関する専門職)

 少年補導職員について、職員数の確保に努めるとともに、研修を充実させ、資質向上を図る。また、少年相談等の専門家を養成する。
 法務教官に対する研修用教材を作成するなど各種研修を充実させ、指導力の向上を図る。

 (キャリア・コンサルタント(職業選択や将来の職業生活設計等に関する相談を行う人材))

 若者に対し専門的なキャリア・コンサルティング(職業選択、将来の職業生活設計等に関する専門的な相談)を行う人材の能力要件を明確化し、養成を推進する。


2) 若年・壮年世代も含めた民間協力者の確保と研修
 (民間協力者の確保と研修)

 保護司、人権擁護委員(特に、子どもの人権専門委員)、児童委員に関する広報、地方公共団体等の関係機関への働きかけを積極的に行い、幅広い世代・分野からの人材の確保を図るとともに、研修を充実させる。
 また、地方公共団体が委嘱している、母子保健推進員、少年補導(委)員等の民間協力者について、その役割の広報や幅広い世代からの人材の確保を推進するとともに、研修の充実を推進する。
 里親制度に関する広報等により人材確保を推進するとともに、里親への研修や支援体制を充実させる。

 (同世代又は年齢の近い世代による相談・支援)

 青少年に対しては、同世代又は年齢の近い世代による相談・支援活動が効果的であることから、専門機関・相談機関が若い世代の民間協力者等を確保し、このような活動を実施できるよう支援する。


3) 専門機関・相談機関等の充実とネットワークづくり
 (専門機関・相談機関の充実)

 医療、保健、福祉、教育、労働、非行問題等の各分野の専門機関・相談機関が地域の人々等からの信頼を得るとともに、必要に応じた良いサービスを提供できるよう、情報提供、機関の特性に応じた評価、体制の充実等を推進する。

 (事案に応じた専門機関・相談機関の連携)

 子育て支援、ボランティア活動促進、就労支援、犯罪被害防止、非行対策、児童虐待対策等の各種事案に応じ、対象や設置主体が異なる多種多様な専門機関・相談機関が、必要により民間協力者や地域の人々なども含め、迅速かつ適切に連携できるよう、ネットワーク形成の促進、緊急時の対応の仕組みづくりの支援、連絡会議等の開催などの取組を行う。

 (包括的な一次相談・支援窓口の整備・充実)

 各種の問題・悩みについて青少年やその家族の相談に応じ、多種多様な専門機関・相談機関の中の適切な機関による支援につなげるため、地方公共団体、民間団体の協力を得て、包括的な一次相談・支援窓口の整備・充実を図る。

 (相互支援活動の促進)

 子育て中の親、障害のある青少年やその家族、社会的不適応の状況にある青少年やその家族などの、同じ悩みや苦しみを抱える者同士が、地域活動やNPO活動等において、経験談の紹介、情報交換、共同学習などにより相互に支援し合う取組を促進する。


(2)魅力的な学校づくり

 (開かれた学校づくり)

 学校が、青少年や保護者、地域の人々からの信頼を得るとともに、教育活動その他の学校運営の改善を図っていくため、学校運営の状況に関する自己評価の実施や、評価結果を含めた情報の積極的な提供を促進することに加え、外部評価の公開を視野に入れた学校評価を促進する。また、学校運営に保護者や地域の人々の意見を反映させるため、学校評議員の設置及び活用を促進する。

 (多様な教育活動と選択制の推進)

 特色ある学校づくりを目指し、学校における多様な教育活動の実施を推進するとともに、選択を可能とする教育の実現を図る。
 学校外の人材や企業等の協力を求め、授業や進路指導などへの支援・補助を得て、学校教育の活性化を図る。
 年間の授業時数が各学校の裁量で弾力的に運用できることを周知するなど、学校の創意工夫を生かした教育課程編成を推進するとともに、中央教育審議会での審議を踏まえ、必要な施策を推進する。
 小・中学校間の教育環境の変化を緩和し、一貫性のある継続的な指導を行えるよう、小学校高学年における教科担任制の拡大等の、小中連携の取組を促進する。また、中学校と高等学校に相当する6年間について、一貫した教育課程や学習環境の下で学習する機会を提供できるよう、中高一貫教育校の設置を促進する。
 地域が運営に参加する新しいタイプの公立学校(コミュニティ・スクール)について、その可能性や課題等を明らかにするための実践研究を実施し、制度整備に関する検討を行う。
 地域の実情や保護者の意向等を踏まえた通学区域の弾力的運用を促進し、青少年や保護者の選択を可能とすることなどにより、学校の個性化を図る。
 公立学校の民間への包括的な管理・運営委託について、中央教育審議会で検討する。特に、高校中退者等の教育、実務・教育連結型人材育成などの特別なニーズにこたえる等の観点から、通信制、定時制等の高等学校の公設民営方式について平成15年度中に結論を得る。

 (体制・機能の充実)

 教員の能力や実績を適切に評価し、これを配置や処遇へ反映させることを促進するため、平成18年度までに、全都道府県・政令指定都市の教育委員会において、新しい教員評価システムが構築されるよう取組を促進する。また、個に応じた指導の充実を図る。
 学校における相談機能の充実を図るため、教員の資質向上を図るとともに、スクールカウンセラーの配置の促進を図る。

 (安全管理の徹底)

 家庭や地域の人々、関係機関等と密接に連携した学校の安全管理のための取組を継続的に推進する。学校施設の開放に当たっても、学校における児童・生徒の安全確保が図られるよう周知徹底を行う。


(3)地域社会を支えるまちづくり・むらづくり

 (地域社会意識の維持・再生・創出)

 青少年を含む地域の人々相互間の関心、連帯感をはぐくむため、住民の主体的な参加による、都市計画市町村マスタープランの策定や小学校区ごとのまちづくり、住民の生涯学習をまちづくりに生かす活動など、地域社会意識をはぐくむような活動を推進する。特に、それらの活動に大人とともに青少年も参加する機会づくりに努める。

 (子育てを支援する良質な住宅・居住環境の整備)

 子育て世帯がゆとりある住宅に住めるよう、融資制度の活用や良質な世帯向け住宅の供給を促進するとともに、公営住宅等において多子世帯の優先入居制度の活用を図る。
 また、都心居住の推進や、住宅・商業・福祉・教育等の多様な用途が集積したコンパクトな都市の実現などにより職住近接を推進するとともに、住宅と保育所等の子育て支援施設の一体的整備を推進する。

 (安心して外出等できる環境の整備)

 妊婦、乳幼児連れの者等すべての人が安心して快適に外出できるよう、道路、公園、官庁施設等の公共施設や公共交通機関、建築物、信号機等のバリアフリー化を推進する。特に、道路交通に関しては、死傷事故発生割合が高い地区として指定した「あんしん歩行エリア」において、面的かつ総合的な事故抑止対策を実施する。
 また、公共施設等において乳幼児と一緒に安心して利用できるトイレの整備を推進するほか、子育て世帯へのバリアフリー情報の提供等を推進する。

 (青少年が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり)

 道路、公園等の公共施設や共同住宅における防犯設備の整備や構造・設備の改善を推進するとともに、窓・ドア・シャッターなどの建物部品の防犯性能向上など、安全・安心な居住環境づくりを推進する。
 また、通学路やその周辺の民家、商店等の協力による青少年の緊急避難場所の確保など、地域住民が主体となって行う地域安全活動に対する支援を行う。

 (青少年や家族の活動の場の整備)

 青少年が、青少年同士や家族と共に、自然とのふれあい、集団での遊び、スポーツ・レクリエーション活動等を行える場所として、都市公園、社会体育施設、総合型地域スポーツクラブ、大規模自転車道、一定地域の広域観光案内板等の整備、学校施設の開放等を推進する。
 河川や用水路などの水辺空間、森林を、青少年の遊びの場や環境学習・自然体験の場として利用できるよう保全・整備するとともに、地域ぐるみの活動を推進する。


(4)情報・消費環境の変化への対応

1) 情報・消費環境の変化に対応した知識・能力の習得支援
 (メディアを活用する能力の向上)

 青少年が情報の有用性や役割、情報化のもたらす影響などを認識しつつ、コンピュータやインターネット等の情報手段の活用を通じて主体的に情報を取捨選択、発信できる能力(メディア・リテラシー)を身に付け、向上させるための取組の推進を図る。学校においては、各種の教育活動を通じて、コンピュータ等の活用方法とともに、情報モラルを身に付けさせる。

 (消費者教育)

 青少年が消費者トラブルに巻き込まれることを防止するため、青少年向け消費者教育教材、悪質商法を紹介したビデオ、パンフレットを開発・作成し、全国の高等学校、消費生活センター等に配布を行うとともに、インターネットを活用して教員等に向けた教材等の情報提供を行うためのシステム開発等を行い、青少年に対する消費者教育の充実を図る。

2) 青少年を取り巻く有害環境への対応
 (各種メディア等を通じた有害情報対策)

 各種メディア等を通じた有害情報に対する関係業界団体や事業者の自主規制の徹底を促進するため、各種メディアの特性を踏まえ、青少年の健全な育成に配慮した自主的な取組を講ずるよう要請を行う。また、各企業が各種メディアを活用して広告や協賛を行うに当たっては、青少年の健全な育成に配慮をするよう、経済団体等を通じて要請を行う。
 民間団体が実施する調査等の取組を支援するとともに、保護者等に対し、関係業界が行っている自主的な取組や関係業界が設けている自主規制団体に関する情報提供を行う。
 このほか、関係法令による取締りを行うとともに、参考資料の提供等により地方公共団体の取組を促進する。

 (インターネット上の違法・有害情報への対応)

 青少年が安全な情報内容をインターネット上で容易に選択することができるよう、インターネットの安全な利用・提供環境の整備を推進するとともに保護者等に対する啓発活動を推進する。
 インターネット上の暴力情報、性的情報等の違法・有害情報に対処するため、フィルタリングサービス(インターネットを活用する際に、一定の有害サイト等の閲覧を制限できる仕組み)の意義や活用方法について、ホームページ等を通じた積極的な周知を図るなどにより、その普及を促進する。また、「出会い系サイト」や「自殺」「差別」等に関連したサイトを対象とするサービスの普及について検討を行い、技術開発を支援する。さらに、携帯電話等のモバイル端末におけるフィルタリング機能の実現に向けた検討を行う。
 「出会い系サイト」の利用に起因する犯罪から児童を保護するため、新たに制定された「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」に基づき、インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手となるよう誘引する行為等の積極的な取締りを推進するとともに、国民への広報啓発や事業者への働きかけなど児童によるインターネット異性紹介事業の利用を防止するための施策を推進する。
 インターネットを通じた児童ポルノデータやわいせつなデータの送信行為に適切に対処するための刑事実体法の整備等について検討を行う。

 (風俗営業、性風俗関連特殊営業の適正化)

 風俗営業に対し、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」に基づき必要な指導を行うとともに、18歳未満の青少年の健全な育成に障害を及ぼす行為に対する厳正な取締りに努める。また、性風俗関連特殊営業に関し、関連法令に違反する行為に対する積極的な取締りを行う。

 (酒類・たばこの未成年者に対する販売等の防止)

 未成年者が酒類やたばこを容易に入手できるような環境をなくすため、関係業界への働きかけを強化する。また、未成年者の飲用に供することを知って酒類・たばこを販売する行為などについては、所要の捜査を行うとともに、適正な処分を行う。


(5)調査研究、青少年にもわかりやすい情報提供、広報啓発活動の推進

 (調査研究)

 青少年育成施策の企画・立案、実施に際して、客観的で幅広い情報を十分に活用できるように、また、的確な事実認識を広く国民の間で共有できるようにするため、心身の状況、学力、生育環境、非行、社会的自立の状況等に関する青少年の実態と意識等について、調査研究を推進する。
 特に、経年比較などに活用される全国的な基礎調査、青少年の成長に対する各種要因の影響分析に不可欠な中長期の縦断調査の充実を図る。また、青少年の健全な育成が幅広い分野にかかわることを踏まえ、学際的な調査研究の充実を図る。
 また、実施された調査研究の結果が積極的に活用されるよう多様な方法で情報提供を行うとともに、調査データの必要な再集計、再分析が迅速かつ円滑に行えるように環境整備を図る。

 (青少年にもわかりやすい情報提供)

 各種の情報が、青少年に届きやすく、かつ、分かりやすいものとなるよう、ホームページやパンフレット等により青少年向けの情報提供を行う。

 (広報啓発活動)

 子育て支援、体力の向上、青少年の人権尊重、非行防止や更生、防犯など、青少年の健全な育成に関する国民の理解・協力を促進するため、強調月間などの手法により、広報啓発活動を行う。また、「児童の権利に関する条約」に関する広報啓発活動を行い、正しい知識の普及を図る。 広報啓発活動の実施に当たっては、「3 重点課題」における「能動性を重視した青少年観への転換」や「率直に語り合える社会風土の醸成」の推進の観点が盛り込まれるよう配慮する。また、対象者に適切に情報提供できるようなメディアを活用するとともに、青少年、一般市民、青少年育成関係者、民間団体、地方公共団体など幅広い各層の参加による効果的な啓発活動を目指す。


目次  |   前ページ  |   次ページ

▲ このページの上へ

-

子ども・若者育成支援総合的推進青少年育成施策大綱目次 > 6.支援のための環境整備施策の基本的方向