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子ども・若者育成支援青少年行政の総合的推進過去の懇談会等 - 内閣府青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談 > 議事概要(第11回)

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青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談

議事概要


1 日時;平成20年4月21日(月)10:00〜12:00
2 場所;中央合同庁舎第4号館共用第1特別会議室
3 出席者;
(有識者:2名)
藤原 和博前東京都杉並区立和田中学校校長
門川 大作京都市長
(政府関係者:7名)
上川 陽子内閣府特命担当大臣(青少年育成)
東 良信内閣府審議官
柴田 雅人内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
殿川 一郎内閣府大臣官房審議官(共生社会政策担当)
大塚 幸寛内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第1担当参事官
平林 正吉文部科学省生涯学習政策局社会教育課長
望月  禎文部科学省初等中等教育局企画官
4 議題等
「学校教育をめぐる現状と課題について(子どもの育ちを支援する上での学校の役割や家庭、地域との関係)」
5 概要
(1)上川陽子内閣府特命担当大臣からあいさつがあった。
(2)議題に基づいて、藤原和博氏、門川大作氏から説明があった。(概要は次のとおり。ただし、◎印は説明の内容、○印は意見・提言を示す。)。
I 藤原和博氏
◎ 資料1に基づき、学校と家庭、地域との効果的な連携方策の在り方等について説明があった。
○ 教員が非常に多忙になっている一番大きな問題は、生活指導。その解決に力を入れたため病気になる教師もいるほどであり、すべてを教師に頼ることはできない。
○ かつて、学校をサポートしてきた町会長等の方々は高齢化しており、防災・防犯などには力を発揮してもらえるが、学校の中での学習サポートや生活指導のサポートは厳しい。
○ PTAのOG、OBや団塊の世代など地域の比較的若い方々、あるいは教育を目指す大学生などを学校の中に入れて地域本部というのを組成して、部屋も準備した。この方々が、子どもたちの学習のサポートやマネージメントとコミュニケーションの相手として、教師をサポートしている。
○ 今年から学校支援のための地域本部について、文部科学省が予算措置
○ 幼少期に虐待を受け、小学校の段階での学習も非常に難しい子どもや発達障害の子も増加。日本の教育システムの中で非常に問題があるのは、小学校の時にこういう子について早期発見して、個別に特別支援の教育をすることができていないこと。
○ アメリカなどでは、幼児の時期に保健婦が、この子は特別に教育しなければいけないという形で区分けし、親も権利として特別な支援を主張することが行われるが、日本の場合には、なるべく隠して、小学校だと一緒に遊べればいいと考えられ、ほとんどが見過ごされている。
○ 和田中では、明らかに障害がある子については、校長自ら保護者を呼び出して、はっきりと障害がある可能性があるので、特別に支援をする必要があることを告げるようにした。
○ 障害がある子は、特別支援学級に週に1回でも通うと、非常に自己肯定感が保証されて行動がよくなる。通常の学級での行動も非常によくなるが、そういうことが起こりにくい雰囲気がある。これを崩すには、校長がリスクを覚悟で、支援の必要性とその子のために本当に何がいいのかを話し合うことが必要。
○ 精神的にバランスを崩している子の場合、保護者にも同様の傾向が見受けられる。保護者に対して精神科に行くようにとはなかなか言えず、その子の行動が極端になって、事件になるのを待っているようなところがある。
○ 日本の法制下では、児童相談所や警察が、問題を抱えている家庭にいる親子を強制的に分離するということが非常に困難。
○ 教員が一番困っているところを校長が引き受けると、他の改革に対して教師から反対は出なくなる。
○ 平和な学校でも3割方の家庭で学習のフォローが効きにくい状態になっている。
○ フィンランドの教育システムのすべてを日本で真似できるわけではないが、各学校にソーシャルワーカーを配置してその配下にカウンセラーを付け、ソーシャルワーカーが自宅訪問など生活指導を行い、現場の教員はほとんど生活指導に絡まない形は日本でも真似した方がよい。
○ 教育と福祉と医療の全体のサポートが必要なケースでは、全体をコーディネートできるような人でなければ子どもを救えない。
○ 現場の教師の意識は、今、3割の重い子どもの対処に向かいすぎて、成績4とか5の子がエアポケットになって見過ごされ、伸びる可能性のある子が、公立の学校では全然伸び切ってない。
○ 地域や社会総がかりというが、あいまいな言い方にとどめず、例えば教育を目指す大学生など、誰のことを言うのかまでブレークダウンする必要がある。
○ 教師になりたいという強い思いを抱いている大学生などは、インターンとして平日の授業にも参加してもらっている。研修扱いなので、学校の負担もない。
○ 大学生は中学生と年齢が近いので、話し相手として非常によい。今の子は、放課後に家に帰っても、兄弟姉妹もおらず7割方は家に人がいない。宿題をやろうとしても、わからなくなったらそこで聞く人がいないため学習意欲がなくなる。和田中では、地域本部が大学生や地域のおじさん、おばさんを学校に入れて、そういうことに対処できるよう、親子や教師と生徒といった縦の関係ではない、斜めの関係をつくっている。
○ 図書室をもっと子どもたちが来やすい場所にするため、図書室の改造を行ったが、司書の資格などない本好きの女性に改造を手伝ってもらい、運営も任せている。ここでも、斜めの関係が生まれて、図書室が第2の保健室になった。
○ 地域本部の活動の一つとして、土曜日に寺子屋(土寺)という学習サポートを行っていたが、英語のコマを設けて実施したところ、英検準2級の取得者が非常に増えた。さらに、英検を取った子どもが、ミニ先生として、普段の教室で中位、下位の子に教え始めるようになり、全体の底上げにつながった。それが、「夜スペ」にもつながっている。
○ 日本の教育全体の悪い癖は、下の方にばかり意識が向いてしまい、上の方の4、5を取る子に6まで取らせるという引っ張り上げが、ほとんどの学校で行われていないこと。これを地域本部の仕事とした。
○ 「夜スペ」では、それなりにお金を取っているが、そのお金を下の方の子を支えるためのボランティアに払う交通費程度の経費の捻出に当てている。
○ 青少年の健全育成には、人間関係に少し振れがあっても崩れないようにするための、斜めの関係が大事であり、地域社会がほとんどの地域で崩壊してしまっている現在、それを学校の中につくり、学校を核にして地域社会をつくることを和田中では進めている。
○ 子どもたちは家で1日に平均3時間テレビを見ており、年間では1,000時間テレビを見ている。道徳の授業は、年間30時間程度であり、テレビに負けてしまう。
○ 自殺、少年事件の審判、ホームレス、赤ちゃんポスト、クローン、結婚と離婚との関係といった正解のない問題について、これをタブーにしないで議論させることが、中学生や高校生に絶対に必要である。その際に、地域の大人が一緒に議論する「よのなか科」という授業を実施している。
○ 中学生は、本当は社会問題を議論したいのに、タブーにしているから荒れる。日本の教育が、特に道徳、あるいは総合的学習などでは、正解主義というものを抜け出して、むしろ議論していって、試行錯誤で考えを深めていこうという時間になることが必要。
II 門川大作氏
◎ 資料2に基づき、家庭、地域の教育力向上や潜在力の引き出し方策等について説明があった。
○ 家庭、親の責任が満たされなくなり、更に地域社会が今崩壊しようとしている。私は、38年間教育行政に関わってきたが、日本社会は以前とは全く違う現状。何とかしなければ日本がだめになると危機感を覚えている。伝統的な地域力、家庭の力を高め、更に経済界等も学校と連携する、新たな仕組みをつくる必要がある。
大都市周辺部の公営住宅が集中した地域の学校では、今、一人親家庭が5〜6割、就学援助の子どもが5〜6割のところもある。こうした厳しい条件の学校の先生は夜の12時まで仕事をし頑張っている。
現在、地域社会や親が大変な状態にある。格差が広がっている。その中で、教職員の負担が大きく頑張っている先生が正当に評価、処遇されるための手段がない。
○ 課題のある子どもの背景にまで迫ることが重要。親や地域が変わらなければ子どもは変わらない。同時に子どもを変えねば、親、地域の信頼を得られない。そのために様々な仕組みづくりが重要。市民、保護者、地域、それから学校の中にあらゆる外部の専門家、あるいは素人の実践的な協力が必要。
現場主義、学校現場と教育委員会との一体感、同時に適切な緊張感が必要である。同時に、現場の知恵、現場の熱意、教職員の潜在能力を引き出すこと、親・地域の力を引き出すことが大事。
戦後の日本の教育は、「押し付け」と「現場に任せ」の対立でよくならなかった。現場の知恵を生かし、ボトムアップとトップダウンの融合が大事。
○ 子どもたちの学び、育ちの最大の課題は、学校での学びと家庭生活、社会生活の乖離。
子どもの安心・安全の問題は非常に大事。しかし、学校を守るのか、子どもを守るのかをはっきりさせるべき。学校の施設内だけではなく、子どものすべての生活を守っていく発想に立つ必要がある。責任範囲を限定したら子どもは守れない。
ゆとり教育の見直しと言われているが、日本の教育が目指してきたのは、画一と受身から、自律と創造の教育である。それがまた画一に、受身に詰め込まれた知識の量を問うようなことにならないかを危惧する。ぶれてはならない。
過去のすばらしい伝統や歴史・文化を大切にし、先祖を敬う等、日本人に当たり前にあったことが、家庭からも、学校教育の世界からも、地域社会からも疎かにされてきたのが今の日本の状況。
父親が家庭での役割を果たし家庭をしっかりとしていくこと、地域のコミュニケーションを再構築していくこと、そこに学校がきっちりとした役割を果たすことが重要。
○ 学校・家庭・地域、更に経済界から大学までが連携すること、それぞれが当事者意識を持つことが重要。学校は説明責任を果たし、学校の閉鎖的な体質を変えていかなければならない。学校が本当の意味で開かれた学校づくりをすることが重要。
地域の人に子どものために何ができるかを大胆に提言していくべき。京都では、今、学生ボランティア2千人、学校支援ボランティアは1万5千人、安心・安全のボランティアが1万9千人で学校を支援してもらう関係ができている。
地域ぐるみの学校運営のため、学校運営協議会をつくる学校を増やしている。過去に色々な経験や活動をした方々が積極的に参画し、地域ぐるみで子どもを育てることが地域の活性化にも役立つ。
学校運営協議会は、法的には学校長の教育方針への承認や、学校運営についての意見、教職員人事への意見等を行うことが強調されているが、学校運営以外の地域全体の子どもの学び・育ちに責任を持つものに高めていく必要がある。
○ 教員の養成が深刻。京都では、2年前に教育委員会に教員養成支援室を設置した。
この10年間で、現役で国公立大学に1年に6人しか入らなかった学校が今年京大に48人、東大に5人入ったが、新たにまた市立高校改革に取組み、教員養成学科を高校からつくっている。
本年から始まった教職についての専門職大学院制度において、京都の教育大学と私学7大学で連合教職大学院を発足させた。キャンパスの中心は市立の小中学校。更に、教師塾を創設し、600人を超える教員志望の学生あるいは社会人が現場で学んでいる。また、ボランティア、インターンシップを募り、61の大学と教育委員会と公立学校で協力しながら、実践的な取組も進めている。
教員の養成から採用、研修、全部一貫したものとし、大学も経済界も含めて連携して進めている。例えば、教員採用試験には民間人に面接していただいたり、優れた京都の市立学校で実践されたカリキュラムを大学生にも開放する等を行っている。
若手からベテランまで毎年500〜600人の先生に対し、教育実践功績表彰を行っている。日本の学校は、頑張る先生もそうでない先生も給料は皆一緒。いずれ、評価を待遇に反映させる特賞制度がきちんと機能するだろう。それまでこうした表彰制度が、評価の訓練にもなる。選考はPTAや市民代表も参画。
今、団塊世代の退職にあたり教師の質が低下している。民間企業の採用がよい中で、京都市の教員採用の志願倍率は政令指定都市の中でもトップクラス。優秀な教師を迎えるためには、社会全体で教師バッシングをやめ、教師を支援することが重要。特に処遇の改善は絶対に必要。
○ 外部評価を含めた学校評価システムは重要である。しかし、学校や教師を親や地域が一方的に評価するのでなく、自らも振り返り、共に高め合う評価でなければならない。京都市では平成15年からすべての学校で外部評価をしてホームページで公開している。大事なのは学校、家庭、地域が、育てたい子ども像を明確にし、評価も共有し、高め合うこと。子どもに、先生の授業評価もさせている。その際には、
・「あなたは予習をしていますか」
・「先生の話をしっかり聞いていますか」
・「わからないことは質問していますか」と自ら振り返り、その上で
・「先生の説明はわかりやすいですか」 等と問う。
親にも
・「学校と家庭との連携が大事ですけれども、あなたは参観日に来られていますか」
・「学校通信を見ていますか」
・「早寝・早起き・朝ごはんをちゃんと意識して実践していただいていますか」
・「子どもは喜んで学校に行っていますか」 等
学校評価システムは、子どもの学び、育ち全体の評価システムにする必要がある。家庭で、地域で、学校で、子どもがどうあるべきか、そのために親が、地域が、教師が、学校が、きちんと役割を果たせているかを相互に評価し合い、ともに高め合う評価にする必要がある。
マスコミ等では親の責任を問わない傾向がある。子どもの自殺等があった場合、教師や学校の責任ばかりにされるが、そんなことでは絶対に子どもはよくならない。親や地域が、どれだけの役割を果たしているかを自覚することこそ必要。
○ 京都では、小学校1年〜中学校3年まで、戦後一貫して学力テストをやってきた。京都市スタンダードという独自の指導計画をつくり、また、「自学自習支援のための学習確認プログラム」というものをやってきた。中学校1年で1回、2年で2回、3年で4回、5教科を実施。小学校でも実施する。京都市の1学年は1万人だが、その中での位置を子どもに示す。学校と教育委員会、そして優れた教師の研究会組織、民間の知恵も借りてやっている。
3,000人の生徒からアンケートを取ったところ、90%を超える子どもが自分の学力の位置がわかってよかったとのこと。また、子どもに自学自習の習慣が身に付いたと親も喜んでいる。
(3)関係省より説明
○ 資料3に基づき、文部科学省から学校支援地域本部事業及び学校運営協議会制度等について説明があった。
(4)有識者、関係省の説明の後、意見交換を行った(概要は次のとおり)。
〔上川大臣〕
○ 藤原先生、門川市長のお話をお聞きして、リーダーが、明確な方針を持って自ら先頭に立って取り組まれている姿を見て、先生が動き、地域が動き、そして、子どもたちがその中で、これは本気だということを感じているのではないかと感じる。そういう意味では、先進的な事例が他の地域や他の学校に必ずしも当てはまらないと感じるところもある。視察等に来られた方々が、現場に帰って実践なさるときにはこういうところを注意した方がいいということを、プロ同士の会話の中でどんなことをアドバイスされていらっしゃるのかうかがいたい。
○ トップの明確なリーダーシップによって、一番、直接的に子どもと関わる先生が変化しているのではないか。それを冷ややかに見ている先生も、冷ややかに見ていられない状況をつくり出したのではないか。そこに大きなかぎがあるのではないかと感じる。先生方の変化のプロセスのようなものもお聞かせいただきたい。
○ 家庭と、日常的な社会生活と、学校の現場が離れている。過去10回の懇談の中で関係者の取組をお聞きしてきたが、大きな柱である家庭の中の環境は大変厳しいものに変質していると感じる。それが大きな質的な変化につながるぎりぎりのところまで来ているのではないか。先生方の実践活動の中で、親がどのように気づき、子どもとの関係を見直し、そして、その中で家庭の中の変化が起きてきたのか、こないのか。その辺の率直な見え方を教えていただきたい。
○ 私たち大人が子どもにとっての居場所というふうに一面的に考えている以上に、子どもたちは居場所を求めてさまよっていると感じる。確かな居場所があるところで子どもたちは安心して育つことができるのではないか。本来ならば、家庭が一番中核になる居場所であるはずなのに、そこに居場所がない状態。そういう意味で、子どもの居場所というものをどのように考えたらいいのか。人生のステージの中で子どもたちの居場所をどのように見出して、そして、自信を持った形で親が育つ環境をつくっていくことができるのかを教えていただきたい。
○ 14〜15歳の中学2〜3年生ぐらいが大きく変わる時期で、ここにしっかりと社会の矛盾も含めてぶつけていくという、社会全体がある意味では自信を持ってぶつけていく。子どもが受け止める力があるんだと信頼する。そういうことを鍛える時期とおっしゃったと思いますが、成長のステージとの絡みの中で、どのようなところに、どういうポイントを置いたらいいのか。子どもたちの成長のステージが違うということの中で、大切にしていかなければいけないことがどこにあるのかを御指導いただきたい。
○ 学校を卒業した後のつながりというのが、今、実は子どもたちは大変不安定な状態にあるように感じる。子どもたちの成長の過程を逆にたどると、乳幼児のところにさかのぼってしまう。本当に時間を戻すことができない分だけ、密度の濃く、また信頼のある大人がしっかりと子どもと伴走しながら行くことも必要ではないかと痛切に感じる。育てた後の子どもたちとの関わり、あるいはその中でどういうことを注意してほしいと、学校教育の中の現場の皆様が考えていらっしゃるのかについて、是非、お聞かせいただきたい。
〔門川氏〕
○ 今の世の中は、権威を否定しながらスーパーマンを求めているが、人間は、100点満点はいない。京都でできたことはどこでもできる。京都では普遍性のないこと、一点豪華主義はやめておこうということを言ってきた。70点の教師だけれども、この教師に地域の人が足りない30点を批判するのではなくて、足してくださる。だから、結果として100点の仕事ができる。そういった地域の支援の作用で200点の効果が出る。だから、自分の学校のあら探しはしないでほしい。お互いが子どものため、できることから始めましょうという視点が大事。
リーダーシップは確かに必要だが、そんなに大したことではない。一人の力は知れているから、みんなで相談して、まず一歩から始める。特別視しないことが一番大事。
○ 親の問題は深刻。夏休み前に子どもだけでなく家族に宿題を出そうではないかというのがPTAのフリーな話し合いの場で出て、子どもに家事をさせようとか、5項目、だれでもできることをみんなでやろうではないかと。そこから、その次に家庭学習の手引をPTAや、おやじの会などみんなで一緒につくった。こういう形で少しずつ高め合っていった。
一番深刻なのは、ネットの中に居場所を求めている子どもが非常に多いこと。1日にメールを5回以下しか発信しない高校生はほとんど性交経験がない。41回以上になると圧倒的に性交経験者が多いのが現実であり、そんな子どもが現に増えている。学力とも比例している。有害情報の規制は必要。同時に、是非とも親の責任ということも入れてほしい。
学校問題解決支援チームと自立促進支援チームというものを警察のOBとか、弁護士とか、医師、臨床心理士に入ってもらって京都市でつくったが、強制力が行使できない。善意だけでもっている学校社会であり、地域社会である。しかし、それだけでは、限界がある。虐待問題では子どもを保護する体制はできたが、親を学び直させる体制はなく、ひどい場合は、逮捕されるだけである。親が責任を放棄している場合は、親を立ち直らせる「親の学び直しのカリキュラム」と、強制力のあるシステムが絶対必要。
文部科学省も、福祉も、警察も、経済産業省も含めたような体制をつくらないと、ニートの問題も、虐待の問題も再生産してしまう。
〔藤原氏〕
○ 他の学校等が真似できるのかということについては、2つのことをやれば学校は変わる。それはつなげることと言葉を抽象化させないということ。
○ 地域にあるものすべてがリソースであり、だれがだれに対して何をやってほしいということをブレークダウンしていけば、協力してくれる対象がたくさんある。
○ 言葉を抽象化させないで全部具体的にやることが不得意な校長が7割ぐらいいる。一番基本のところで、町会長や商店会長とのつきあいが地域対策と勘違いしている。
○ 目の前にいる子どもたちの学びを豊かにするためには、リソースを全部使うんだというネットワーク感覚がある人が必要。
○ 学校の先生の感覚には、何か新しいことを起こすときには、4年目から本格スタートといった時間感覚があるが、子どもの未来は待ってはくれないので、ボトムアップも物すごく大事ではあるけれど、トップダウンで指示して、ボトムアップとのうまいつながりがあればうまくいく。
○ 子どもの終わりであり、かつ大人の始まりの一番微妙な14〜15歳のところに本気の大人を当てないといけない。そのためには、定年間際でチャレンジしない校長ではだめであり、中学校の半分くらいは民間校長を入れるべきである。また、兼業も可というふうにやれば、相当な人材がここに結集するのではないかと考えられる。
○ 今、教育界に求められているのは人事である。現場の校長として外の人が入ってきて、面倒くさいことも増えたが、実は授業と部活を中心とした生活指導に集中できるようになったではないかという感覚を、大体半年経ったころから教員が持つようになる。
○ 教師は、当初反対していても最終的には子どもたちが喜ぶと変わる。子どもたちが喜ぶことは反対しない。教師が変わったのは、インターンが来て楽ではないかとか、「どてら」でフォローしてくれて宿題の提出率が上がったとかといった事実を積み上げていったからである。
○ 和田中の地域本部は、核になっている実行委員が20人。事務局長は元PTA会長で、そこに100人近いボランティアが結集しており、そのうち、30〜40人が大学生、若い人材。これを動かすのに私費会計で1,000万円、公費で200万円ぐらいの1,200万円ぐらいであるが、教員1人増に伴う人件費と同じくらいなので、冷静に判断すれば地域本部の学習サポートの方が得である。
○ 今、実効倍率が2倍を切っている状況で教員を増やそうとしても、圧倒的に質は下がってしまう。景気のある程度いいときに教員を増やそうとするのは間違い。徹底的に地域のリソースを探していって、投資をする方がよい。リスク分散を考えると、たった一人の教員を雇っても、その教員が病気になってしまったり、通用しなくなったら終わりだが、100人いると代わりが続々と現れるので、そちらの方が安全保障上も正しい。
○ 居場所について、学校の中にあえて学校モードではない時間と空間をつくって、土曜日に来れば私服でいいし、部活の服装で午前中学習に来て、午後から部活でもいい。現在、和田中の380人の生徒で、150人ぐらいが学校に来ている。
○ 中学校での地域本部は、学習サポートに向かっていかないと、先生たちが助かることにならない。学校を地域社会にしてしまって、そこに囲い込むことが非常に大事。
○ 徹底的に学校を居場所として開発するべきであり、夕方、夜、そして、土曜日、日曜日も含め、学校モードでない時間をどうやって増やし、そこを先生以外のだれがサポートするのかということを徹底的に考えていけばいい。
○ 学校モードでない時間での触れ合いは、擬似地域社会として斜めの関係をつくっていくので、利害関係のある第三者として、親や先生とは違った怒り方、諭し方、道徳のにじみ出し方で子どもと接することができる。そのような学校モードではない時間と空間を学校の中にどう増やしていくかを考えていった方がいい。
○ つながりについて、和田中出身のニートだった女の子が、土曜日の学習ボランティアをどんどんやるうちに才能が開発されて小学校の教員になった例がある。ニートには、いきなり働くというところから始めてしまうとハードルが高過ぎる。出身の中学校に、ちょっとしたボランティアで、ハードルを低くして参加できる場として、全中学校1万校に土曜日寺子屋のようなものがあればと思う。
○ 地域の中に昔はいっぱいあったハードルの低い仕事がなくなってしまっているので、学校の中でもう一度つくることは意義がある。
○ 14〜15歳、子どもの終わりから大人の始まりになる変化のときに魂が揺れる。この年代の子に本気で大人が当たること、世の中の裏で起こっている本当のことをタブーにしないで議論させることが絶対に必要。やれればいいなではなく、絶対にやらなければ、むしろ障害を残したまま、こういうことを考えられない子をそのまま高校に送ってしまうことになる。中学で絶対に取り組むべきである。
〔門川氏〕
○ 地域本部とコミュニティ・スクールに違いがある。学校運営協議会の主な役割は、法制度上は、校長の作成する学校運営の基本方針の承認と、教職員の任用に対して教育委員会に意見を言うことされているが、今は、地域主権時代をつくっていかなければならない。行政に、学校に何をやるか注文するという関係ではなく、地域の人が本当に地域で子どもを育て、お年寄りを介護し、環境問題を考える。地域がみんなで責任を持つようにしていく必要がある。
地域のつながりと、地域と行政、学校とのつながりの具体的な仕組みをつくる、あるいはきっかけをつくる。そういう作用が地域本部であり、学校運営協議会である。京都では、学校の「良き御意見番」であると同時に「良き応援団」であることを強調。この制度を生かし、親が責任を持ち、親が参画し、親が協力する。そのために、学校は閉鎖的な体質を改めるという関係をつくっていくことが重要。
すべての学校でホームページをつくり、回覧板をつくり、親にきちっと説明をする。授業参観を全校で月曜日から、金曜日の終わりの時間まで実施する自由参観週間など、学校の教師の大変さを理解してもらうことも、協力関係づくりに役立つ。参観から参画に関係を変えていく。同時に、学校の中に「ふれあいサロン」という、地域の方が集まってもらえる場所をつくり、そこを親子の触れ合い給食やボランティアの受け入れの場としている。
1週間の宿泊体験学習をやるという話があるが、先生だけでは大変なので学校運営協議会で宿泊体験学習をやってみる。そういう具体的なことを実践することによって教師も、親も変わる。親の見方が変わる。教師の見方が変わる。そういう関係をつくっていくことが大事。
○ 時間は子どもの成長を待ってくれない。「子どもの視点か、大人の都合か」の観点から考え、常に子どもの視点に立って、大人社会の都合を優先せず、子どもにいいことは可及的速やかにやるべきである。
○ 学校がもっと役割を果たして、子どもを、親を、地域社会をひき付け、地域を再生する核とならなければならない。子どもは、地域のかすがいであり、子どものためだったらとみんなが協力してくださる。コンビニとセキュリティーと宅配便があれば生きていけると思っている人がいっぱいいるが、そうではないことに気づいてもらうこともできる。
子どもの安心・安全のために地域の人が一生懸命努力していらっしゃる。そこからより一歩学校に入ってきてもらって、学校で授業の支援をするとか、発達障害のある子どもの支援や具体的なボランティアを要請していく取組につなげていく。これが地域社会にも跳ね返っていくといったことが必要。
○ 教育ほど専門性の高い仕事はない。民間校長は京都市では一切やっていない。私が教育長になったとき、「5年間は民間校長を入れない。5年間で京都の教育が変わらなかったら民間校長をどんどん導入する」と宣言した。校長は随分変わってきた。今も京都市は民間の校長は導入していない。民間校長が悪いと言っているわけではなく、校長がそういう学校運営についてもっと勉強して限界にまで挑戦すべきだということ。教育委員会で指導主事としてすべての学校の運営に関わり、また学校現場へ戻っていく方法なども有効である。教育を良くするためには、教師が尊ばれる社会をつくることが不可欠。
(5)閉会

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