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青少年トップ青少年行政の総合的推進青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談 > 議事概要(第2回)

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青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談

議事概要


1 日時;平成19年12月18日(火)14:05〜16:05
2 場所;中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室
3 出席者;
(有識者:3名)
宮本 みち子放送大学教養学部教授
工藤 啓特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長
谷口 仁史特定非営利活動法人「NPO法人スチューデント・サポート・フェイス」代表理事
(政府関係者:8名)
上川 陽子内閣府特命担当大臣(青少年育成)
中川 義雄内閣府副大臣
東 良信内閣府審議官
柴田 雅人内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
荒木 二郎内閣府大臣官房審議官(共生社会政策担当)
大塚 幸寛内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第1担当参事官
田中 敏章厚生労働省職業能力開発局キャリア形成支援室長
大隈 俊弥厚生労働省職業安定局若年者雇用対策室長
4 議題等
「ニート、フリーター等若者の自立支援をめぐる現状と課題」
5 概要
(1)上川陽子内閣府特命担当大臣からあいさつがあった。
(2)ニート、フリーター等若者の自立支援をめぐる現状と課題について、宮本みち子氏、工藤啓氏及び谷口仁史氏から説明があった(概要は次のとおり。ただし、◎印は説明の内容、○印は意見・提言を示す。)。
I 宮本みち子氏
◎ 資料1に基づき、我が国における若者自立支援全般の現状と課題について説明があった。
○ 20代から30代の、いわゆる仕事にうまく就けていない若者たち、ニートとか不安定な就労状態にある若者たちの中に不登校・高校中退の経験者が非常に多い。
○ 雇用問題とひきこもりの急増はほぼ同じ時期に発生しており、20代から30代の若者の問題を扱う上で重要な視点である。
○ 若年者雇用対策で一番難しいのは困難度の高い若者であるが、現在の断片的で相互の連携のない状態の中では効果が上がっていない。
○ フリーター、ニートの中核は低学歴で低所得出身者の方が多いのが事実であり、特段の対策が必要である。
○ 近年の雇用対策は相談・情報提供を中心としたサービス提供であり、経済的困窮者に対する支援がない。
○ 国レベルで全国規模の統計データはあるが、仕事に就けない若者が抱えている困難とか、家庭の持っているもともとの問題などの実態を把握できるものがほとんどない。イギリスでは、1990年代当初から、一人の子どもを長期継続的に調べる全国規模の縦断調査を実施し、蓄積してきたことにより、子どものころのリスクが、30歳のときにどれだけの困難を与えているかを数値として出している。
○ 今無業の者だけでなく、不安定な就労状態を繰り返している若者と将来その可能性の高い、学校段階にいる青少年を「ニート」という用語を使って議論するべきである。
○ 厚生労働省の「ニートの状態にある若年者の実態および支援策に関する調査研究報告書(平成19年6月)によるとニートの3割超が学校中退を経験。在学中に1か月以上の欠席経験者が各学校段階で2割前後。4割弱が長期不登校経験。8割は就業歴を持っているものの極めて不安定な職種であることがわかった。
○ ニートの中には「人と話す」、「計算する」、「字を書く」等の基礎的スキルに苦手意識を持っている人が非常に多く、この種のハンディが各段階で人間関係上のつまずきの原因となり学校、職場での障害になっている。
○ 家族と企業福祉の伝統を持つ日本では、ニートの発見が難しく、支援に時間がかかるため、どのように早期介入するかが大きな課題。イギリスでは学卒後の若者に対する各種公的給付制度があり、それによって若者をキャッチし、問題があれば情報を把握し、各種機関でデータシェアをしている。
○ 特にリスクがあると思われる生徒を学校段階でまず把握し、そのデータファイルを学校卒業後、地域の専門機関にリファーする形でのデータシェアの義務化が今いろいろな国で行われつつある。
○ 最も困難を抱えている若者に関しては、子どもの段階からスタートし、雇用にいたるまでの包括的な支援体制が重要である。
II 工藤啓氏
◎ 資料2に基づき、民間における若者の自立支援の現状と課題について説明があった。
○ ニートやフリーター約100人から中学校、高校で学びたかったことをヒアリングしたところ、生活費や税金問題、労働契約上の留意点など、自分を守るための知識が欲しかったという答えが多かった。
○ フリーターに関しては、20代後半に多く、仕事ができなくて退職したのではなく、多くは休憩時間やアフターファイブの人間関係がうまくいかなかったことが原因。
○ 民間支援機関の目標、構成は多様であり、行政の施策と連携していく際に、「ニート」という視点にのみ着目してしまうと、それぞれの理念が合うときと合わないときがある。
○ ニートやひきこもりといわれる若者の8割とは保護者を通じて出会う。若者本人だけでなく,保護者への情報提供も大事である。
○ 「働くための支援」ではなく、「働き続けるようになれるための支援」が重要。「人間関係」「コミュニケーション」「変化に対応する力」をキーワードとした支援には時間がかかり、3か月から1年くらいは持続的に見られる体制が必要である。
○ 「若い人を支援する人への支援」も重要。支援者は減少の一途をたどっている。結婚や出産を機に転職や就職する人が多く、ノウハウや経験の蓄積がなされない。
○ 専門家集団でネットワークをつくるより、広く一般に若者の知識を横の連携としてつくることが重要。たとえネットワークが形成されても,他の機関を紹介した後に情報が紹介元,紹介先の双方に残るような状況でないと、無責任な紹介ばかりが目立つことになる。
○ 行政との連携で良かったと思うことは、「お金のない子が無料で活用できる」「信頼度が上がる」「ネットワーク形成がうまくいく」「広範な情報伝達ができる」の4点である。
○ 行政との連携するうえでの課題は、民間としての目標に基づく評価軸と行政の評価軸が違うため、施策目標が定まらないこと。財政問題と民間支援機関の疲弊。施策が終了した後のフォロー。行政側の担当者が頻繁に入れ替わる。といったことである。国の若年系の施策委員に何%かは当事者世代を入れていただきたい。
III 谷口仁史氏
◎ 資料3に基づき、地域若者サポートステーションの取組及び地域における若者の自立支援の現状と課題について説明があった。
○ ここ10年のニートやひきこもりといった「不適応」を抱える子どもたちに対する公的施策は、主に来訪型支援であり、これによって現実が改善されたとはいいがたい。来訪型支援には限界が来ている。そのためアウトリーチが必要である。
○ 学校、医療機関等の間違った診断、見立てによって支援が行われているという事実が次々に明らかになっている。
○ アウトリーチの現場からの認識で言えば、背景にある要因への直接的なアプローチなくして、困難を抱える若者の自立はなし得ない。そういった意味では、社会的な支援の不備も指摘できようかと思う。
○ 社会的孤立状態に陥りやすい複合的な問題を抱えた若者と、個々の問題への専門性は上がったが、役割分担しすぎることによる「たらい回し」状態も見受けられる。
○ 現場で共有した認識を行政がつくり、そのうえで公的な支援ネットワークに上げて、そこで新しいものを生み出していく、そういった流れのほうが適当。
○ カウンセラーでも、学校側の人間でもない、お兄さん、お姉さん的な存在の若者が学校に入り、そこで心の声をキャッチするという取組みが、非常に効果が上がっている。
○ いじめや自殺等の緊急対策が必要な分野に関して、まずお互いの情報を共有し合い、運用の方針を固めようというところから話し合いが進み、来年度ガイドラインを作ることとしている。
○ いい人材がどんどん中央に出ていき、財政的にも地方は厳しくなっており、担当者としてのマンパワーが不足してきている。その状態で国から下りてきた事業というものを理想的なレベルで実行できるかどうか疑問である。
○ 相談支援分野、不適応分野のスキルレベルは低い。支援者が経済的な原因で辞めていく中で、行政の施策は単年度事業ばかりである。この分野の実践的能力は1年間教科書で勉強し、ケーススタディして身につくようなものではない。
○ 施策対象者に近い年代の者が関わり、一人の不適応を抱えた子どもの自立までの過程を一緒に歩んでいくことによってかなりの効果が得られる。そうした経験を積み、実践的能力を培った人間が学校現場や支援分野に輩出されるような戦略的な人材育成の流れをつくりたい。
(3)関係省よりの説明
○ 資料4に基づき、厚生労働省から「厚生労働省における若者の自立支援」について説明があった。
(5)有識者、関係省の説明の後、意見交換を行った(概要は次のとおり)。
I 若者の自立につなげるための親に対する支援について具体的に伺いたい。
II 早期介入によって複合的な問題にならないよう対応していくことと、複合的な問題を抱えてしまっている子どもを自立へ導くことでは大きくテーマが分かれると思うが、もう一段視座のあるお話をいただきたい。
III 30代から40代への移行部分の取組について伺いたい。
Iについて
○ 現在支援機関に来ている人のデータはあるが、「親は来ない。本人も来ない人たち」の規模はわからない。日本の場合、家族にも、親にも守られない人たちがかなりいると予想される。親支援策だけに特化するとかなり危険がある。
○ 親支援策は、年齢に応じて多様であり、できるだけ多くのメニューを整えることが重要である。
○ ニートの家庭、保護者は基本的には社会的に孤立していることが多い。保護者の方に理解をいただくための施策は、本人と接触できる機会ができるだけでなく、働き続けるための親からの影響という視点から考えると大切である。
○ 行政が施策を講じて親に教育力を提供したり、講座を開催しているがそこに来られない親のほうが来られる親よりも多い。
学校段階から、問題を抱えた時期にしっかりとアプローチし、親になるための教育というものを学び、育んでいく。その視点がないと、対処療法では絶対的に無理がある。
IIについて
○ 子ども、若者主体で政策体系を組み直せば、ニーズがシンプルな段階で極力早期に手当をしてしまうことだが、複雑なニーズを持っている人に対しては、極力縦割り行政ではなく、横断的であり、マルチエージェンシーあるいはチームでしかも誰かが一人に対して終始責任を持つような手法が必要である。国レベルまで含めて、ニーズに対応した一貫したサービス体系の組み直しが必要である。
IIIについて
○ 今、保護者、両親がいなくなっていても、経済的に最低ライン自分が支えられるだけの金額を稼ぐということを目標にしており、会社と家庭以外のもう一つの場を卒業者向けに作る、ウィークタイププログラムを進めている。
○ 30代、40代にはまずあきらめることからスタートしてもらわないといけない。労働市場の中で仕事経験のない38歳を本当に雇ってくれるところがどこにあるかということで、限られた中から選ぶ。もう一つは地域に落としていき、家族として職員を受け入れてくれるような昔ながらの個人事業主にお願いするしかない。
 また、IT業界は人手不足ということもあり、企業側も「やる気」の部分を評価して受け入れてくれる。そこをうまく連携させることで30代、40代という一般就労がかなり難しくなってきている段階に対しては、そういう形で支援することで、ある一定割合は吸収できる。
○ 30代、40代の中年期で親にほとんど頼れないような人の場合は、経済的な支援と福祉のドッキングが必要になってくる。労働市場で不利な人たちに対して企業の雇用による吸収には限界がある。そこで、社会的企業とか、社会的な経済セクターをつくり、そこに吸収していくというような取組が必要になってくる。
○ 就労のための育英基金というのがいつかできたら良い。
IV 欧州の学卒後の若者に対する各種の公的給付制度とはどういったものか。 
V 人間関係が苦手になる原因や背景について研究したものがあれば御教示いただきたい。
VI 我が国で情報共有というと個人情報保護などで障害が出てくるが、どんな工夫をしているのか。
IVについて
○ 公的給付には例えば訓練手当がある。金額は昼食と交通費程度のもの。欧州では基本的に20歳を過ぎたら、親の責任によって無業状態を食いつなぐようなことはあり得ないので、本人の持っている条件に応じて様々なサービスや経済給付を提供する。その過程で、必ず役所へ行くのでキャッチできる。
○ 学齢期を過ぎてから安定した職に就くまでの一定期間、教育訓練バウチャーや低利の貸付制度、低家賃住宅、あるいは若者基礎年金というような構想も今議論に上がりつつある。総じて人生の後半期に扱った社会保障制度を、もっと人生前半期へとシフトさせることが重要ではないか。
Vについて
○ 「EUの総合的な若者政策イメージ」には「雇用政策」「人間発達」「若者を社会の意思決定に参画させる」といった3本柱があるが、今日こういう時代では、この3つをそろえて若者政策を進めないと、雇用対策だけで問題は解決しない。
○ 人間関係についてはやはりメディアの影響が圧倒的に大きい。
○ 地域支援にすべて落とし過ぎたのが1つの要因である。地域支援も隣町レベルでいいので自分の場所が一個ずらせるようなことができると人間関係的に良い場所でやっていくことができる。
VIについて
○ 欧州では「子どもの福祉をどうすれば保障できるか」という原点に立ち返ったことで、法律化が実現した。
○ 佐賀では、若者が立ち直れた結果があって保護者との信頼関係が築かれ、情報共有が可能となった。支援ネットワークといった組織内、地縁ネットワークの中でガイドラインをつくって、そこでの情報共有ということであれば、ある程度の言い訳はきく。
○ LLP(有限責任事業組合)等をつくったり、何らかの共同体を作ることによって、その中で情報共有するというような取組が幾つかの場所で始まっている。
(6)閉会
閉会に当たり、上川大臣から、有識者に対する御礼、激励、今後取りまとめに向けての協力等の言葉があった。

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