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子ども・若者育成支援青少年行政の総合的推進過去の懇談会等 - 内閣府青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談 > 議事概要(第7回)

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青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談

議事概要


1 日時;平成20年3月5日(水)18:00〜20:00
2 場所;中央合同庁舎第4号館共用第4特別会議室
3 出席者;
(有識者:3名)
岩田  久東京都立萩山実務学校長
三好 洋子「フリースペースえん」スタッフ、自立支援ホーム「憩いの家」元寮母
草間 吉夫 茨城県高萩市長
(政府関係者:6名)
上川 陽子内閣府特命担当大臣(青少年育成)
柴田 雅人内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
荒木 二郎内閣府大臣官房審議官(共生社会政策担当)
大塚 幸寛内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第1担当参事官
小島 隆雄内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第2担当参事官
藤井 康弘厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長
4 議題等
「要保護児童等の自立支援をめぐる現状と課題」
5 概要
(1)上川陽子内閣府特命担当大臣からあいさつがあった。
(2)要保護児童等の自立支援をめぐる現状と課題について、岩田 久氏、三好洋子氏及び草間吉夫氏から説明があった(概要は次のとおり。ただし、◎印は説明の内容、○印は意見・提言を示す。)。
I 岩田 久氏
◎ 資料1に基づき、「東京都立萩山実務学校」の活動を通じた要保護児童等の自立支援に向けた取組について説明があった。
○ 家庭に居場所がない子どもが、家出や非行・犯罪を経て、当施設に入ってくる。最近は発達障害を持った子どもも増えている。
○ 昼夜逆転の生活を送っていたり、学校に相当長期間行っていなかった子どもが多いので、入所後の取組は、規則正しい生活をさせることから始める。また、自信を取り戻させる取組としてクラブ活動を必修にしている。
○ 施設に来る子どもは、家庭で保護者から愛情を持って育てられていなかったり、学校や地域においても、迷惑な存在という形で扱われてきたこともあり、大人への不信感が強い。したがって、心配してくれる大人がいることを理解してもらうため、「ともに暮らす」ことを重視して、一人一人に丁寧に関わっていくようにしている。
○ 中学卒業時にほとんどの子どもが退所し、8割程度は高校に進学するが、その8割は卒業できるところまで進路を継続できていない。
○ 進路を継続できなくなるに至る流れとしては、高校の勉強についていけず、かつての仲間からの誘いで夜遅くまで遊び、生活リズムが崩れ、学校に行けなくなる。その状態を親も是正できないでいるうちに、仲間同士の情報で自分の行動を決めてしまうようなパターン。
○ 家庭環境に問題がある場合、施設に入所しても親子関係は自然には改善されない。入所時の家庭環境に何ら手が打たれないまま、またその家に戻っていかざるを得ない現状がある。
○ 子どもたちの将来を開くためには、施設退所後も、地域において特定の大人がつながりをもち、就職した後に失敗したときや転職するときに、その大人が支えてあげるような仕組みが必要。
○ 入所中に築いた子どもとの信頼関係を退所後にも生かすという意味合いで、退所後のアフターケアを実施。具体的には、東京都では以下の取組を実施。
・通所指導
退所後、月1回程度、施設への来所を呼びかけ、家庭や学校での様子を聞いて、必要があればアドバイスを実施。子どもの学業継続に高い効果。
・児童自立支援施設との提携型グループホーム
養護施設の分園を児童自立支援施設の近くに設置し、1年間高校に通うことができた子どもは分園に移して、卒業までの生活をフォロー。
・自立支援サポート事業
地域の民生委員、児童委員の協力を得て、地域に戻った後の子どもの状況を見守る取組。
○ 退所後も子どもと大人とがつながっていくことを様々な面で考えていくことが大事である。
II 三好洋子氏
◎ 資料2に基づき、自立支援ホーム「憩いの家」での経験を通じて、要保護児童等の自立支援をめぐる現状と課題について説明があった。
○ 「憩いの家」では、中学卒業以上の子どもが一緒に生活。退所後も困ったときに相談に来られるだけの関係を作ることが重要なポイントであり、当方からは子どもとの関わりを切らないことを基本としている。
○ 入所経路は、養護施設、児童自立支援施設、福祉事務所、家庭裁判所、少年院の仮退院、精神科など様々であり、子どもたちが抱えている問題も様々である。
○ 入所した子どもたちには、納得できる体験を積み重ねて、自分のことは自分で考え、困ったときは誰かに相談し、自分で決めて責任をとるということを身につけてもらうことを念頭においている。
○ 子どもたちの変化や成長を支えるものは、食べる、寝るなど安定した暮らしを保障すること。また、大人の仲がよいと、子どもは大人の顔色をうかがわずに生活できるので安心する。
○ 自立援助ホームにくる子どもたちの多くは虐待の経験を持っているため、なかなか大人を信頼できない。だから、よく大人を裏切ることをするけれども、それでも変わらずに信じて待ち続けることが非常に大事。
○ 一緒に暮らすということは、24時間勤務ということではなくて、子どもが必要としているときに大人がそばにいて、それに応じることができるということ。
○ 「憩いの家」に来た子どもは、非常に過酷な時間を生きてきている分、階段を登るように着実にステップアップしていくことは稀。
○ 問題を抱えた子どもが変わっていくためには、問題のあった時間と同じだけの長さの時間が必要であり、10年、20年という単位で見ることが必要。
○ 退所後のケアに時間と手間がとられることが多いのが実情。
○ 様々な問題を重複して抱えている子どもたちが多いので、司法や福祉、医療等の連携が必要。縦割りの中で、その辺りの連携がなかなかうまくいかないことが多い。
○ 大学院に行くことで社会に出ることを猶予されている人たちがいる時代に、非常に厳しい状況の中で育った子どもたちにだけ、早く大人になれというのは大きな矛盾。25歳位までをカバーしてもらえる青少年福祉法のような法律の制定を求めたい。
III 草間吉夫氏
◎ 資料3に基づき、高萩市長として行政に携わっている御経験と御自身の体験を元に、要保護児童等の自立支援をめぐる現状と課題について説明があった。
○ 子どもたちへの支援が不十分。将来、社会費用が発生するおそれがあるので子どもたちにもっと投資をすべきであり、そのための財源を作る必要あり。
○ 要保護児童の共通点は、人間にとって一番大事な自尊心が欠けていること。心の部分に対する支援が不十分なままでは、どんなに投資しても信頼関係や人間関係や自我といったものが形成されていかない。
○ 崩壊家庭で育った子どもたちには、対人関係などのスキルが備わっていない。また、施設の中では、近所づきあいやゴミ出しなどの機会がないので、社会性が身につかない。このため、ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)の支援が必要。
○ 養護施設では進学率が高くなったが、中卒で退所する子もいる。中学入学時点でSSTを行うべきであるが、家庭の雰囲気から遠い箱型の施設形態では、構造的なロスが出てくるため難しい。そのため、グループホームのような小規模形態の施設が必要であり、特に施設経験が長いと見込まれる子への取組が大事。
○ 自尊心の回復は難しいので、退所後も、家庭支援、家族療法をシームレスで行っていくことが大事。
○ 退所後、子どもたちの選択肢は、社会に出て就労自立をするか家庭復帰をするかの二つしかない。その帰るべき家庭が改善されていなければ、自尊心欠如の再生産の基地になってしまう。
○ 子どもが施設にいて親と分離しているときに、ファミリー・ソーシャルワーカーを活用して親に対する支援をいかに行っていくかが課題。
○ 児童養護施設でも大学への進学率が高まっている。奨学金の優先枠や国公立大学の優先枠について提案したい。
○ 施設の子どもたちは孤立感が強いため、退所後も相談できるところがあると非常に救われる。退所後の相談相手をつくっていくことが重要。
○ 自立援助は就労がメインとなるので、雇用のある都市で自立援助ホームをつくると政策効果が高い。
○ 財源の確保方策については、増税、育児保険税、国債の発行の3つが考えられるが、増税については世論の同意の点で、育児保険税についてはモラルハザードの点で困難。国債については、建設国債はインフラ(社会資本)整備という目的での発行が可能であり、子どもたちに投資をするということで、人的資本形成、すなわち人的資本債といった整理で発行できないか。メリットは、財源の調達が安定しており、制度の安定性が担保されること。また、受益者が納税者となったとき、みずから償還できることである。
○ あるいは、子育て基金のようなものをつくって、それに対する企業の寄附は控除を認める。そして、その企業名を公表する。子育てに対して投資をし、それが将来のマーケットの維持、人口の維持につながれば、その企業にとってのマーケットの維持にもつながってくる。だから、企業にとってもメリットが出てくる。
○ 厚生労働省における要保護児童の支援のための取組は、20数年前に比べて格段に進み、弾力運用もされている。残る課題は財源の確保である。
(3)関係省よりの説明
○ 資料4に基づき、厚生労働省から「厚生労働省における要保護児童等の自立に向けた施策等」について説明があった。
(4)有識者、関係省の説明の後、意見交換を行った(概要は次のとおり)。
○ 要保護児童の背後には家族の問題があるが、家族の中に入っていくのはなかなか難しい。家族療法や、セラピストという話があったが、どんな素養や知見を持った方が活躍されているのか御教示いただきたい。
○ 家族療法については、都道府県あるいは政令市に設置されている児童相談所に心理判定員が配置されており、最近では臨床心理士を持っている方が配置されている。民間の場合は、児童養護施設または乳児院等の施設に児童家庭支援センターを設置することができ、その中で臨床心理士を配置しているケースがある。臨床心理士が、家族療法のセラピストの大きな職種の一つといえる。
○ 小さい子どもの場合は、年齢に応じた発達をしているかという発達心理の領域があるため、小学生あたりまでは発達心理士が活躍する。小学校低学年から高校あるいは社会人になるまでは臨床心理士が活躍する。
○ 子どもを支える養育基盤が質的に変化をしたことが大きな要因となって、すべての家庭で虐待が起こるリスクが高まっている。かつては、親の世代、その前の世代と家族が多く、一人の子どもに対する目と手があったし、地域の横のつながりもあった。親子、兄弟を含めた親族、地域のつながりという3軸が今はなく、非常に虐待が起こりやすい状況になっている。
○ 児童虐待への対応は、起こってから介入する事後対応が特色であり、いかに早期介入していくかが課題。早期介入の仕掛けの一つとして、子ども服のリサイクルショップを幼稚園や保育所に設置して、保育士等が対応することにより虐待を把握し、児童家庭支援センターや児童相談所につないでいく方法が考えられる。
○ 児童自立支援施設の場合も家庭の問題は大きいと思うが、家庭に入っていって、それを変えるというのは簡単なことではない。実際のケースで見えてくるのは、子どもが少し成長してくると親も少し変わるということである。子どもの成長を待ちながら、家族関係をもう少しうまく折り合いがつけられるような形に持っていくようなことを考えるしかない。
○ 子どもの親も大変な子ども時代を送って困難を抱えているケースが多いので、親を絶対に責めないように話を聞くようにすることで、子どもに向かうエネルギーを緩和しつつ、子どもが大人になることを待ち、お父さん、お母さんを乗り越えて生きていけるようにしている。
○ 子どもが「憩いの家」から出るときは、親子だから一緒に住めばいいというものではなくて、お互いを傷つけ合うよりも、距離を置くことで、親であること、子であることの思いを育むことの大切さを説明して、アパート住まいを勧めている。
○ 体制は、家族支援は児童相談所、それから児童養護施設等の施設についても、ファミリー・ソーシャルワーカーという形で加配をするような仕組みになっている。
○ 現在、児童家庭支援センターは、施設に付置をして設置するような法律になっているが、今回の改正で施設付置要件を外し、NPOや医療機関などにも置いていただけるようにして、家庭支援の拠点として機能させたい。
○ 親に対して指導を行うのは難しい。家庭内暴力の加害者更生でも、世界で成功したプログラムがないといわれており、正直、ノウハウ的なところは、まだ試行錯誤の段階である。
○ 今までの日本の中で組み立てられてきた概念、例えば少年が罪を犯し、更生をし、社会に帰るときには家族に戻すと簡単に言ってきたと思うが、そういう単純な話ではないということを改めて感じた。
○ 衣食住という基本的なところでの安らぎや緊張感を解きほぐせる雰囲気がある場をどこに求めることができるのか考える必要がある。本来ならば親との関係であるはずだが、それが壊れている。それに代わる、あるいはそれ以上の大人との信頼関係が、一つのところでずっとつながり続けることができるかどうかということが大変大事なことだと痛切に感じた。
○ 何か国に対する要望があれば伺いたい。
○ 子どもたちに関わっていく力のある職員をもっと増やす必要がある。今、中心になっている団塊の世代の人たちが退職するとノウハウが失われてしまうので、今のうちに、次の世代の人へのつなぎについて考えていくことが必要。
○ 自立援助ホームもやはり人材が欲しい状況である。スタッフが一人でいるときと二人でいるときとでは精神的に違ってくるので、スタッフが欲しい。
○ 選挙権のあるところには社会保障が手厚くなる。いわゆる社会福祉の支出割合をみても高齢者は多い。もう少し傾斜配分を是正したほうがいいのではないか。高齢者の場合には消費支出になるが、子どもたちの場合には人的資本形成になる。
○ 子どもたちの場合は、傷ついているので、高齢者とは違って寄り添いの人は誰でもいいわけではない。配置基準や人の手だてを適切にしていく必要がある。
○ 家庭のぬくもりというのは、単位が小さくなればなるほど良い。厚生労働省が進めているファミリーホームや里親の施策を進めていくことが必要。
○ イギリスの例では、施設の中に約4か月間程度、親も一緒に住めるという施策もある。これはわが国でも必要ではないか。
○ 女子の問題とのかかわりの中で特に気をつけていらっしゃることをお聞かせいただきたい。
○ 女の子は、妊娠したときに初めて自分と向き合うことが結構ある。だから、妊娠をしたということもすごく大事なこととして捉えるし、手術をする選択をした場合にも、手術後のことについても、私たちは非常に丁寧にやりとりをする。
○ 母子家庭になる場合が多かったり、両親が揃っていても二人とも不安定だったりするときには、家族全体を見ていくしかないが、そのためには「憩いの家」だけでは限界がある。居住地の役所、民生委員、児童委員も一緒になって支援する。
○ 女子の場合は非行に入った年齢が遅い子が多いので、少ししっかりした状態になれば、わりあい学力もある子が多い。逆に、このまま家に戻らないほうがこの子の将来が開けるのではないかと思う場合があり、もう少し社会的に見てあげることで、その子にとっての将来をきちんと見通せる状態をつくってあげることが大事なことであり、そこがまだまだ十分でない。
○ 現在、ADHDや様々な問題を抱える子どもが2割、虐待のある子が6割ということで、単純に子どもを世話すればいいということではなくなってきており、職員自身が燃え尽きてしまうケースが多い。
○ 職員自身も繊細になってきており、子どもと向き合えない職員が出てきている感じを受ける。しかし、子どもが一番求めているのは大人が向き合ってくれることであり、私の場合には向き合ってもらえたので、自分自身に対する自己受容ができ自立につながった。
○ 子どもの日は5月5日固定なので、政府で子どもの日のキャンペーンを行い、世論を喚起していくことを提案したい。
(5)閉会

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