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子ども・若者育成支援青少年行政の総合的推進過去の懇談会等 - 内閣府青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談 > 議事概要(第8回)

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青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談

議事概要


1 日時;平成20年3月13日(木)18:40〜20:40
2 場所;中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室
3 出席者;
(有識者:3名)
才村  純日本子ども家庭総合研究所ソーシャルワーク研究担当部長
植山起佐子東京都スクールカウンセラー
赤枝 恒雄 赤枝六本木診療所院長
(政府関係者:9名)
上川 陽子内閣府特命担当大臣(青少年育成)
東 良信内閣府審議官
柴田 雅人内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
荒木 二郎内閣府大臣官房審議官(共生社会政策担当)
大塚 幸寛内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第1担当参事官
小島 隆雄内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第2担当参事官
杉上 春彦雇用均等・児童家庭局 総務課虐待防止対策室長
木岡 保雅 文部科学省初等中等教育局 児童生徒課長
作花 文雄 文部科学省 スポーツ・青少年局 学校健康教育課長
4 議題等
「児童虐待、いじめ、性をめぐる問題等の現状と課題」
5 概要
(1)上川陽子内閣府特命担当大臣からあいさつがあった。
(2)要保護児童等の自立支援をめぐる現状と課題について、才村 純氏、植山起佐子氏及び赤枝恒雄氏から説明があった(概要は次のとおり。ただし、◎印は説明の内容、○印は意見・提言を示す。)。
I 才村 純氏
◎ 資料1に基づき児童虐待を研究している立場からみた、児童虐待をめぐる現状と課題について説明があった。
○ 児童虐待の相談、通告件数は厚生労働省が統計を取り始めた平成2年と18年度を比較すると30倍以上に増加している。
○ 要因は2つ考えられる。
1 虐待問題に対する社会の理解・関心が高まった結果、以前であれば見過ごされていたものが、相談・通告されやすくなった。
2 虐待そのもの、また、虐待の一歩手前で非常に不安定な状態で子育てを行っている親が増加している。
○ 大阪と兵庫の研究グループの調査によると、次のようなことが見てとれる。
1 子どもの世話をした経験がなく、相談できる人もいない中で、不安や困難を抱えながら子どもを育てている親の増加
2 少子化により、子どもの数が少くなった分、我が子への期待の一層の高まり
3 わが子への期待が強く、子どもに対する干渉等を強めるが、望むように育ってくれないため子育てに対する自信を喪失
○ 地域での支え合いの仕組みが崩壊していく中で、親が近隣から孤立して、孤独感、閉塞感を抱えながら、すべて自分でこなさなければいけないという負担感が一般化。
○ 子どもと日常的につき合う経験やきっかけがない中で、子どもがどういう存在であるかという観念がないため、思うように動かない子どもに違和感を持つ親が増加。
○ ひとつ間違うと誰もが虐待をしてしまいかねない、虐待の一般化。
○ 児童相談所は、子どもの保護(親からの分離)と家族再統合という相反する役割を負っており、現実問題として無理がある。英米等先進国では、司法機関が親権を停止する等ことと併せ、親が支援を受けることを促す仕組みがあるが日本にはない。
○ 政府も児童相談所職員の児童福祉司を増員してきたが、心身障害相談の約13倍もの業務量がある児童虐待の相談が年々増加。一人あたりの担当するケース数も107件と諸外国の約5倍であり、仕事のストレスが原因で燃え尽きてしまった職員がいる児童相談所が、全体の34.3%を占めているなど、職員数は不足している。
○ 児童相談所の専門職は、児童福祉法で一定の任用資格が規定されているが、実態は、一般行政職が人事異動で就くことが多く、異動サイクルが短いため、組織の中でベテランが育たない。虐待対応に精通するには最低10年はかかると言われており、現在、全体の1/5程度である専門職任用を進めていく必要がある。
○ 児童福祉施設についても、虐待を受けて対応が非常に難しい子どもの入所が急増している一方、職員の最低基準が30年近く改正されておらず、配置実態に自治体間格差が大きく見られる。
○ 制度は完成度が高くなっているがそれを支える人材が不足している。
II 植山起佐子氏
◎ 資料2に基づき、スクールカウンセラーとして学校において児童生徒の相談対応に取り組んでいる立場からみた、いじめ問題を始めとする子どもをめぐる現状と課題について説明があった。
○ かつて心療内科に勤務していた時、引きこもりの若者の保護者から成育歴などを聞いたところ、不登校の経験があるケースが複数あり、その時に専門的相談機関につながることができていたら、現状は回避できたのではないかという思いがある。
○ 子どもはいじめを大人の目に触れないところで行うため、早期把握が困難。また、介入したことで被害者側の子どもを不利な立場に追い込むこともある。適切な介入のタイミングを見極めるのは難しい。
○ 保護者は、「やられたらやり返せ」か「無視しなさい」の二者択一的な対応で子どもに接することが多いが、それでは、いじめは解決しない。
○ いじめを行う背景には、我慢が苦手、自分が大切に思えない、誰かに認めてもらいたいなどの要因がある。感情コントロールや自己表現が苦手な子どもが不満やストレスを抱え込み、自己防衛的に八つ当たりをしたり、更には他者をおとしめることにより自尊感情を維持しようとすることなどがエスカレートしていじめに至る。
○ 不満や不信を強く抱かないような問題解決能力の習得のための支援が必要。
○ 心理社会的に十分成長が達成されないうちに、子どもを持つと、育児不安などから児童虐待に至る確率が高くなる可能性がある。また、虐待を受けた子どもは親世代と同様に若年妊娠出産を経験する確率が高くなり、その結果、育児不安などから再び児童虐待を行う可能性も出てくる。
○ その保護者と面談しようとしても来校してもらうことができず、面談できないことが多々ある。
○ 「保護者としての力」をより高めてもらったり、十分機能を果たせていない保護者には地域が支援していくことも必要。支援の輪を広げなければ、いじめの問題などは学校の中だけでは解決できない。
○ 子どもたち自身が自分をコントロールする力や自己表現する力を獲得できるような支援を行いたい。そのためには、身近に、「ああいう大人になりたい」と思えるような、モデルとなる大人が必要。
○ 子どもは家庭だけでは育たない。あくまでも社会の子どもだという認識を持って、親以外の大人との接触機会をたくさん提供したい。
○ 指導困難校で学生ボランティアによる学習支援等を行ったところ、次のような効果が上がった。
・先生やカウンセラーになりたいという大学生の育成につながった。
・子どもたちも学生に憧れ、高校生になったらボランティアをやりたいと言い出し、実際に小学校でボランティア活動をする子どもも出てきた。 
・こうした取組を見た地域の大人たちの中に、その子たちの居場所や活躍できる場をつくろうという動きが出るようになり、いい循環が生まれてきた。 
○ 海外の取組を参考に、地域レベルで、以下のような機能を持った子育て総合支援システムづくりを考えている。
・学校に戻りたい子どもたちの支援
・学校以外の場で学びたいという子どもたちの支援
・仕事を求めている子どもたちの支援
・情報が不足している健康相談窓口としての機能
・生活の安全を求めている子どもの支援(食事をとっていない子どもへの支援やその背景にある家庭内暴力・虐待などへの法的支援)
・親のための学びの場
・不登校や怠学傾向の生徒への適応指導教室的役割も担える支援
III 赤枝恒雄氏
◎ 資料3に基づき、産婦人科医としてさまざまな女子少年にかかわっている経験からみた、女子少年の性をめぐる現状と課題について説明があった。
○ 近年の性感染症の増加は極めて深刻。
○ まちかど相談を始めた1999年は、携帯電話からiモードにつながるようになった年であり、児童虐待が急増し始めた年でもあった。
○ 有害図書だけではなく、スポーツ新聞や漫画にも有害なものが混在。
○ 子どもたちは携帯電話を通じて、大人に何でも要望をかなえてもらえる現状にある。インターネットの怖さを考えると、将来的には携帯を成人用と子ども用とに分ける必要あり。
○ 非行に走った女子中学生の携帯の利用率は一般の女子中学生より非常に高い。携帯の利用率が高いと非行になる傾向がある。
○ 六本木で実施した無料検診の結果では、81.6%が性感染症に罹患。厚労省の調べでは、平均レベルにある高校でも、男子生徒の6.7%、女子生徒の13.1%が、またお産を間近に控えた真面目な女性の19%がクラミジアに感染。
○ 学校、教師、家庭でコンドームの利用を教えることは嫌われており、性感染症の増加につながっている。
○ エイズは、薬を飲めば発病しないが、そのためには薬を一生飲む必要がある。障害者手帳をもらえば無料同然で薬を入手できるが、親に言わなければいけない。親に言わず、自分でお金を稼いで払おうとすると、毎月25万円かかる。今後医療費が抑制されていけば、この種の病気はコンドームをつけないことによる自己責任の結果とされるおそれがある。
○ セックスのリスクをどこも教えていない。中絶の失敗など、エイズ以外にも一生治らない病気がいっぱいある。こういう情報を知らないから、セックスはただ「おもしろく、気持ちよく、楽しいこと」になってしまう。
○ 性教育の難しいところは、その中で使われる特定の単語だけを親が聞いたときに、「学校はひどいことを教えている」と受け取られてしまうことにある。
○ 赤ちゃんポストは育児放棄をする人だけが利用するもの。赤ちゃんを殺そうとする人は端から利用しない。したがって設置には大反対。 4月1日から港区医師会は、子育てに不安を抱いている人への対応として、24時間365日の「ハロー赤ちゃんダイヤル」を実施して、赤ちゃんポストに行く前の段階での子育て支援を強化。
○ 血のつながりだけでは最早家族とは言えなくなったと認識。子どもたちはネットを通しての接触や交流で仲間をつくり、それが家族と化している。血のつながりだけで親は安心せず、子どもと一所懸命接して理解を深め、ケアしていく必要あり。
○ 町内会を活用した悪書の追放など子どもを守るための取組を提案しているが、未だ進んでいない。
○ 家庭で最も大事なことは、子どもに何か仕事を頼み、やってくれたことに対して褒める行為を繰り返していくこと。こうしたことを通じて子どもは家庭内に居場所を見出し、自尊心を身につけていくことができる。
○ 親子の会話が多いほど性体験は遅くなる。
○ 子どもが帰宅したら携帯を親に預ける。こうすることで犯罪は減少する。
(3)関係省よりの説明
○ 資料4に基づき、厚生労働省から児童虐待防止対策の現状等について説明があった。
○ 資料5に基づき、文部科学省からいじめ問題の現状等について説明があった。
○ 資料6に基づき、文部科学省から学校における性に関する指導について説明があった。
(4)有識者、関係省の説明の後、意見交換を行った(概要は次のとおり)。
○ 性教育は、受け手である子どもの性に対する感受性が一人ひとり異なるので、集団で教えるよりも、5人ぐらいの単位で個別に教えていく必要あり。できるだけ時間を増やしていただいて、個別の指導に重点を置いていただきたい。
○ 国が示している学習指導要領では、学校現場でどう教えるかまで細かく指導してはいないが、御指摘のとおり、個別学習あるいはグループ学習を児童生徒の実態に応じてやるべきことは当然。現在作成中の「性に関する実践事例集」では、創意工夫した学校現場の取組なども紹介する予定。
○ 今日の議題の内容は、各省施策に反映されている部分もあるが、それを上回るスピードで現実は動いている。青少年が、このような厳しい環境の中で育っているということに対して、どのような思いで聞かれたか、文部科学省と厚生労働省に率直にお伺いしたい。
○ これまでの懇談結果を経て注目しているキーワードとして「居場所」がある。家庭では、親子の会話の場、家族を象徴する場である「食卓」が失われている。 子どもにとって家庭以外に信頼できる大人がいて、自分の状況を話し合える「居場所」があるならば、表札があっても、「居場所」や「食卓」がない家は、子どもの健やかな成長の場になっておらず、むしろ、もっと混乱を深める要因にもなっているのではないか。そういう意味で、先生方の中で考え、感じていらっしゃる子どもたちの「居場所」と「食卓」について教えていただきたい。
○ 親権制度の見直しについては、民法改正が必要になるが、児童虐待防止法の改正の際にも十分な議論ができず、附則で親権の在り方については引き続き検討していく流れとなっているので、その動きを見守っていきたい。
○ 児童相談所の職員が不足していることは十分承知しているので、今後、有識者の先生方や総務省にも相談しながら取り組んでいきたい。
○ いじめ対策に対して、国としてできることは、最終的には予算の確保や人員の配置ということになるが、財務省からすると、因果関係の説明が十分でない部分があるということで、予算をつけてもらえない。教育再生といわれて取り組んでいるにもかかわらず、むしろ大幅に削減されている。
○ 我々が直接、学校現場に対して何かができるというわけではなくて、学校の管理運営で、少なくとも子どもたちの健康、安全を守るために、完全に近づけるような促し方をしなければいけない。啓発資料をつくるなど、地道にやっていくことが唯一の方策と思料。
○ 虐待する親の方が悪いにもかかわらず、子どもは虐待の過程で自尊感情が極端に低くなり、自分が悪いと思いこみがち。本来は、親と子どものコミュニケーションの中で、自尊感情が育まれていくはずが、ことごとく拒否され、虐待まで追い詰められると、「居場所」以前の問題でつまずくことになる。子育て時期、まだ虐待までいかない段階での早期発見・支援が今後一層重要。
○ 養育態度を改めようとしない親の下で、子どもは、暖かな家庭的な雰囲気の中で育つ機会が奪われている。これまでは、子どもの権利よりも親権のほうが重視されてきたが、今後は、声を発することができない子どもの権利を時と場合によっては優先すべきであり、親権を制限してでも、別の家族関係を保障する取組が必要。
○ 虐待にしろ、いじめにしろ、悪しき再生産が起こっている現状。親自身が十分に育ちきれていなかったり、傷つけられた体験を持っていることが背景にある。問題のある親を罰するだけではなく、親の傷ついた心を回復し、親として成長できる機会を提供する必要あり。
○ 教育を受けなさいと頭ごなしに親に言っても誰も出てこない。お茶を飲みながら話ができるサロン的な場所があって、そこが親にとっての居場所にも、学びの場所にもなる、というところができるとよい。
○ 当事者同士による育ち合い、支え合いという場が「居場所」として最も効果があるので、自助グループ的な働きを持たせる。
○ まちかど相談で子どもたちの気持ちを聞いてくると、やはり居場所がないから問題行動に走るのだとつくづく思う。
○ 勉強しろという一言は、子どもにとって近くに来るなということであり、子どもたちと親を隔ててしまう。
○ 家庭内で、子どもに頼んでものをやってもらい、「ありがとう」を繰り返し言うことで、子どもは、ここは、自分の家だという感覚、すなわちプライドを持つようになってくる。
○ 心が病んでいる子どもは、それが自傷行為となって現れるもの。親子で一緒に風呂に入れば、身体を傷つけているかどうかも分かるので、是非、実行してほしい。
(5)閉会

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