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青少年育成に関する内閣府特命担当大臣と有識者との懇談

議事概要


1 日時;平成20年4月2日(水)18:00〜20:00
2 場所;中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
3 出席者;
(有識者:3名)
齊藤万比古国立国際医療センター国府台病院第二病棟部長
山岡  修日本発達障害者ネットワーク代表
池田 敬史 東京都あきる野学園校長
(政府関係者:8名)
上川 陽子内閣府特命担当大臣(青少年育成)
東 良信内閣府審議官
柴田 雅人内閣府政策統括官(共生社会政策担当)
殿川 一郎内閣府大臣官房審議官(共生社会政策担当)
大塚 幸寛内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第1担当参事官
小島 隆雄内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付青少年育成第2担当参事官
永山 祐二文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長
福島 靖正 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長
4 議題等
「障害のある青少年の自立支援をめぐる現状と課題について」
5 概要
(1)上川陽子内閣府特命担当大臣からあいさつがあった。
(2)議題に基づいて、齊藤万比古氏、山岡修氏、池田敬史氏から説明があった。(概要は次のとおり。ただし、◎印は説明の内容、○印は意見・提言を示す。)。
I 齊藤万比古氏
◎ 資料1に基づき、精神障害や発達障害を有する青少年の現状とその青少年の自立に向けた課題について説明があった。
○ 発達障害、児童虐待、非行・犯罪の問題、引きこもりなどの問題は、ばらばらの現象ではなく、極めて深く結びつき、重なり合うことで精神障害が生じてくるもの。
○ 発達障害の子どもは、環境との相互作用の中で生じてくる精神障害(不安や落ち込み)や行動の問題(反抗や非行)等の二次障害に対する脆弱性を持つ。
○ 子どもの被虐待体験は、自己価値を踏みにじり、人間関係の基本的能力を損なわせる精神障害や問題行動の発現要因の重要なファクターである。
○ 被虐待体験を持つ子どもたち、青年たちが、発達障害以上に非行・犯罪に関連が深いファクターだとされている。
○ 非行・犯罪を行う青少年の一部には、障害を持つ者として支援を行った方がよい者たちがおり、支援がうまくいかないと常習的な犯罪につながる懸念がある。
○ 発達障害や被虐経験を持つ子どもには、乱暴さや唐突さ、過剰なマイペースといった共通点が見られる。これらに対する親や周囲の大人の否定的対処は、子どもの症状と大人の否定的対処双方を悪化させ悪循環となってしまうことが多く、二次障害が出現する培地となっている。
○ 過度に反抗的になりやすいADHDの子どものごく一部は、常習的な非行や犯罪につながる可能性があるが、家族や学校、あるいは自立支援施設や少年院の矯正教育で立ち直ることも多く、途中でいかに止めるかが社会と専門機関の務めである。
○ 精神科医としては、発達障害は、深刻な精神医療の対象に即座に結びつくものではないが、無視できない量で、行動面、精神面の二次障害への進行過程を進む子どもたちがいるということを理解し、二次性障害にいかにかかわり得るかを常に忘れてはならないと考えている。
○ 米国の研究論文においても、心の問題と行為の問題は、関連しやすいことが指摘されており、行動の問題に注目して対処する場合にも、不安、抑うつといった情緒の問題に、また引きこもりや不登校のような不安や抑うつの問題に関与しているときにも、行為の問題が出現する可能性に留意することが必要。
○ 発達障害の支援においては、年齢とともに徐々に社会の側が手伝わなければいけないことが多くなる。発達障害については、障害の早期発見とともに、子どもが自分の障害を認知して、社会の中での自分の生き方を模索するときに、就労について社会との橋渡しをする観点の支援が重要。
II 山岡 修氏
◎ 資料2に基づき、発達障害を有する青少年への取組(職業的な自立支援を含む。)の現状と課題について説明があった。
○ 日本発達障害ネットワークは、2004年の発達障害者支援法の成立をきっかけに、障害の種別や程度、学派、職種の壁を越えて発達障害の子どもたちを中心に据えて連携を図るため、当事者団体、学会、職能団体が集まって結成された団体。
○ 特別なニーズを持ちながら支援の外に置かれていた発達障害を持つ子どもたちが通常の学級に存在している状況を受け、2001年頃から、障害のある子どもに対する教育について見直す動きが出てきた。
○ 特別支援教育の基本理念は、発達障害の子どもを支援対象に加えること、障害や困難を持つすべての子どもに対して一人一人のニーズに合わせた支援を行うこと、及び乳幼児期から学校卒業後までの一貫した支援を行うこと。
○ 発達障害者支援法は、障害者基本法の支援対象ではない発達障害の人たちの支援を掲げた理念法であり、国の予算の根拠となるとともに、自治体の責務として発達障害者の支援が位置付けられ、発達障害者に対する行政窓口の対応が向上。
○ 発達障害者支援の目指すものは、発達障害のある方の自立や社会参加。
○ 発達障害者は、幼児期における早期発見や早期支援、学齢期における就学相談や特別支援教育、教育の分野から就労、自立に向けての移行支援、就労に関する支援、生活支援等、要所要所で生涯にわたって様々な支援が必要。
○ LD親の会で実施した発達障害の子ども約250名の保護者に対する調査では、高校への進学は95.7%、そのうち11%が特別支援学校への進学となっており、高校進学者の約9割は障害に対する対応のない普通の学校に進学。
○ 障害者手帳等を持たない発達障害者が一般扱いで就職をする場合、1年以内の離職率が37.5%という結果が出ており、対人関係の問題や仕事上のミスなどのほか、上司や同僚の発達障害に関する理解不足が原因となっている。
○ 特別支援学校の卒業者等で障害者手帳を持って就業した場合、1年未満で離職しているケースは5%しかなく継続率が高いが、助成金の期限切れや、知的障害や発達障害への理解不足が原因となっての職場内のいじめを理由とする離職はある。
○ LDやADHDは障害者手帳の交付対象ではないが、知的障害の療育手帳を取れるケースは結構多い。
○ 発達障害(特に知的障害を伴わない発達障害)がある子どもの場合、通常の高校を卒業するケースが多いが、特別支援学校や障害者のルートに乗っている場合と異なり、通常の高校等を出てしまうと、就職に際しての支援などが受けられない。
○ この調査では、発達障害がある子どもの場合、学歴が高いほど就労に困難を伴っているという結果が出ている。
○ 本人が発達障害を自覚していない場合も多く、支援を受けることへの抵抗感がある場合や、何度か挫折を味わって初めて発達障害があることが判明する場合もある。
○ 制度や仕組みも大事だが、就職の際の本人の自覚という点で以下の課題がある。
・自分にできることできないことについて、自己理解をすること。
・職業観を持つこと。
・素直に支援を受ける決断をすること。
○ 発達障害者支援が基本的に目指すところは、乳児期から学校卒業までにおける様々なニーズに対応した一貫した支援が可能な社会を実現すること。
○ 発達障害のある子どもは、二次障害を起こしてしまうと何十倍もの経費がかかるが、子どもの頃から適切な支援を行えば二次障害を起こさないで済む上、十分働ける能力があるので、税負担が可能な労働力の育成につながるので、早期対応の投資効果は高いといえる。
○ 内閣府には、昨年の障害者基本計画の後半5年の重点施策の中で「発達障害」という言葉を入れていただき感謝している。国としての取組は、まだ途上の段階なので、継続して取り組んでいただきたい。
○ 各地域において、専門家がネットワークを組んで支援できるような体制が必要。国及び自治体、社会全体にも理解と支援を是非いただきたい。
III 池田敬史氏
◎ 資料3及びその他資料に基づき、障害(障害全般)を有する青少年の自立を図る観点から、学校における障害を有する青少年への取組の現状と課題について説明があった。
○ 国の統計調査では、小中学生の約6.3%が軽度発達障害児であるというデータがあり、これを東京都に置き換えた場合、34,000人の軽度発達障害者が東京都の小中学校に存在し、特別支援学校には9,337人、固定制の支援学級には6,500人が通っているため、合計約5万人が東京都の特別支援教育の対象となる。
○ 国や都の方針では、約34,000人の軽度発達障害者について、特別支援学校53校をセンター校として、1校当たり646人の支援が求めているが、これは無理である。
○ 軽度発達障害の支援を特別なものとせず、小・中・高等学校における当たり前の支援にというスローガンを掲げている。
○ 「障害を持つ子どもは普通の子と同じ場にいるのがいい」という統合教育の考え方があるが、どこにいても特別なニーズ教育が受けられる教育(インクルーシブ・エデュケーション)が正しい特別支援教育であり、特に特別支援学校を中心に地域づくりを一生懸命やっていくことがとても大事である。
○ あきる野市は、共生共同教育の一環として、特別支援学校の小中学生が居住地の小中学校に副次的な籍を置く副籍授業を4年前から行っている。単なる交流ではなく、両方の学校に担任がいて席があり、日常的な交流や共同学習を進めている。
○ あきる野学園は、「日本一やさしい学校」、笑顔と優しい言葉をコンセプトに、ねぎらいと励まし、自己肯定感と、自分の思いをきちっと相手に伝えられるような子どもたちを育てていくことを目指している。
○ 自閉症の子どもにわかりやすい環境は、みんなにわかりやすい環境であり、テンションの低い穏やかな優しい環境は、障害の重い重症心身障害児にとって安心快適であり、他の子どもにとっても安心できる環境である。
○ 学校はできるだけテンションが低い方がよい。子どもが元気になるようにと、登校時に大きな声であいさつする指導をする場合があるが、2割の子どもには逆効果。
○ 自閉症の子どもは、朝、頭が比較的冴えているときに自立課題をしてから運動に入るプログラムを立てている。自主課題を自分で学んで教師のサポートがなくてもできる子どもが出てきている。
○ 知的障害の高等部では、企業アドバイザーを入れている。その他、企業へのインターンシップ派遣も行う。企業とのタイアップは、全国の高等部を抱えている特別支援学校では、かなり一般化している。
○ 発達障害児は、言語的刺激や会話が苦手な場合が多いので、画像やカードなどを使ってビジュアル的に育てていく方がよい。
○ クラスの中に配慮する子どもがいたら、その子にとって過ごしやすい豊かな生活の学級づくりをする。ほかの子も、この学級にいてよかったと思える学級づくりをする。これは担任の力である。
○ 一つの考え方として、どの子もえこひいきにする。例外をおおらかに認めていき、大人の側がストライクゾーンを広げるようにすべき。今までのストライクゾーンではなく、これだけ広くすれば、子どもたちを受けとめられるのではないか、と考えてもらいたい。
○ 発達障害で授業に集中できない子どもには、静と動を組み合わせて授業を行うとともに、あらかじめ授業の流れを予告しておくと安心して授業を受けられる。
○ 保護者と地域でつくる教育と生活を心がけるべきであり、地域づくりのために、養育懇談会、支援機関との懇談会、ハローワークを含めた就労支援機関との懇談会、医者との発達障害の学習会を行っている。子どものために関係者が集まって支援することが重要。
○ 専門家を導入し専門家の立場から肢体不自由のお子さんを見てもらうことも重要だが、発達障害児も、理学療法、作業療法の専門家のサポートが必要。
(3)関係省よりの説明
○ 資料4に基づき、厚生労働省から発達障害者支援施策等について説明があった。
○ 資料5に基づき、文部科学省からいじめ特別支援教育の対象等について説明があった。
(4)有識者、関係省の説明の後、意見交換を行った(概要は次のとおり)。
○ 早期発見という話があったが、子どもの具体的な行動から、親や周囲が一番早く気づくことができるのはどのくらいの時期か。
○ 中等度以上の知的障害、典型的な自閉症は、1歳から2歳までの間にはほぼ全例見つけ出すことができる。1歳半健診はその重要な曲がり角。しかし、高機能広汎性発達障害は、問題が見えにくい。学校へ入って初めてその問題が明確になる。自治体立病院を中心に、児童精神科機能を持った特に地域の中核となり基幹病院をきちんと各地域につくることが重要。
○ 大体3歳ぐらいまでにほとんどの親が、子どもが何かおかしいと気づくが、わかりづらいケースも多い。5歳児健診が鳥取県で始まり、幾つかの自治体が取り入れており、望ましい対応。最初のスクリーニングが大事である。
○ 最近は幼稚園や保育園の先生たちの方が感度が鋭く、親の方がなかなか気づかない。5歳児健診は1つの目安になる。
○ 文部科学省の発達障害早期総合支援モデル事業の審査に携わったが、応募されてきた地域の中で、5歳児健康診断をモデルとして立ち上げる事例がかなりあった。早期発見、早期支援の大きな鍵になる。
○ 幼児期の発達障害については、様々な概念があるが、余り過敏にならない方がよい。ノーマルな発達をしていると認めることができたら、フォローアップしていく過程で外していけばよい。しかし、このやり方はお金がかかる。横浜等がモデル的な事業を行っているが、なかなか普及しない。
○ コストパフォーマンスと効果がよいのが5歳児健診。5歳児健診はもっと評価してよいもの。
○ 就労に関わる大きな問題は、障害者という枠組みの中の就労支援ネットワークに入れない若者がいること。一般の高等学校を卒業して、支援に必要な手帳を持っていないために、ハローワークや就労支援センターの障害者のための就労支援ネットワークに入れないケースが多い。
○ 池田先生が最後にお話したことが気になった。発達障害の子どもの早期発見と小・中学校の義務教育ぐらいのところまではサポート体制が整っているものの、その段階を過ぎてからサポートの必要性が生じた状況では、社会から要求されるものも大きく、対応できないということ。就職までの各ステージごとにきめ細かく社会全体で支えていくためにどういうサポートをしていくのかが課題であり、相当しっかりと取り組まないといけないと思うがどうか。
○ 例えば、厚労省の事業では、発達障害の方がハローワークの一般窓口に来たときに、専門的な支援機関へ誘導する若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムというものがある。
○ LD親の会では、委託を受けて発達障害等の人に1週間〜2週間、就職体験をさせる事業を実施している。何年も仕事かできていない、あるいは引きこもっているような方も出てきた。本人たちに就職の体験をさせることが重要。
○ 本人が自覚をしているケース、自覚していないケースなど様々な例があり、困難を抱えて就職できない人を支援する事業の中には、結構な割合で発達障害の人も存在している。
(5)閉会

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