第1部 青少年の現状
第2章 青少年の健康と安全
第3節 犯罪や虐待による被害の状況
1 犯罪被害の状況
(1)少年が被害者となる刑法犯の状況
平成14年中に少年が被害者となった刑法犯の認知件数は40万6,519件で,前年に比べ3,988件(1.0%)減少した。罪種別にみると,凶悪犯被害が2,138件,粗暴犯被害が2万4,007件で,前年に比べ凶悪犯は119件(5.9%)増加し,粗暴犯は1,193件(4.7%)減少した(第1-2-16表)。
少年が被害者となった刑法犯の認知件数の総数及び凶悪犯の被害件数は,平成14年は総数が減少したものの近年はおおむね増加傾向にある(第1-2-5図)。
また,少年の性犯罪(強姦及び強制わいせつ)被害が6,903件(前年比5件(0.01%))に増加するなど,少年の犯罪被害の深刻化がうかがわれる。
(2)少年の福祉を害する犯罪
平成14年中,児童買春(かいしゅん),児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(以下「児童買春・児童ポルノ法」という。)違反,児童福祉法違反,青少年保護育成条例違反等の福祉犯の被害者となった少年は7,364人で,前年に比べ789人(9.7%)減少した。学職別では,高校生が2,469人(33.5%)と最も多く,次いで無職少年となっている(第1-2-17表)。
なお,平成11年11月に施行された児童買春・児童ポルノ法に係る被害者となった少年は,平成14年中1,690人である。
(3)「出会い系サイト」に関連した犯罪
平成14年中,「出会い系サイト」を利用した犯罪の被害に遭った少年は1,317人で,前年に比べ719人(120.2%)増加した。罪種別では,児童買春・児童ポルノ法違反が740人(56.2%)と最も多く,次いで青少年保護育成条例違反となっている。また,殺人,強姦等の凶悪犯罪の被害に遭った少年は42人で,統計を取り始めた12年の7.0倍に急増している。
2 児童虐待の状況
近年,保護者が子どもに対し暴行を加えるなどの児童虐待が大きな社会問題となっており,児童相談所や警察に寄せられる児童虐待に関する相談件数も増加傾向にある。
(1)児童相談所が受け付けた相談件数等
ア 虐待に関する相談処理件数
全国の児童相談所に寄せられる児童虐待に関する相談処理の件数は,逐年増加傾向にあり,平成13年度は2万3,274件となっている(第1-2-18表)。
イ 虐待の内容別相談件数
虐待の内容では,身体的虐待が約5割と一番多く,次いでネグレクトが約4割,心理的虐待,性的虐待の順となっている(第1-2-19表)。
ウ 被虐待児童の年齢構成
0歳~就学年齢以前の乳幼児が,全体の半数を占めている。虐待が早期から始まっていることを示している(第1-2-20表)。
(2)警察が受け付けた相談件数等
平成14年中に警察が受理した児童虐待に関する相談件数は1,382件で,前年に比べ192件(12.2%)減少したが,最近5年間では3.3倍となっている(第1-2-21表)。
また,14年中に警察が検挙した児童虐待事件は172件であり,検挙人員は184人であった。被害児童は179人であり,そのうち39人(21.8%)は死亡していた。