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第5章 職場に関する施策
第1節 新規学校卒業者の雇用に関する施策
 職業安定機関は,新規学校卒業者がその適性と能力に応じた職業選択を行い,良き職業人,社会人として成長できるよう,学校等の教育機関及びその他の関係機関との緊密な連携の下に職業指導,職業紹介を行っている。

1.職業安定法の規定に基づく新規学校卒業者の取扱方法
 新規学校卒業者の職業紹介の取扱いとしては,職業安定法(昭22法141)の規定により次の方法がある。
ア 職業安定法第26条の規定に基づき公共職業安定所が職業紹介を行う方法(これは,新規学校卒業者の職業紹介の原則である。)
イ 職業安定法第27条の規定に基づき学校が公共職業安定所の業務の一部を分担して行う方法
ウ 職業安定法第33条の2の規定に基づき学校が届出により無料職業紹介事業として行う方法

2.新規中学校,高等学校卒業者等の職業紹介
(1) 職業指導の充実
 公共職業安定所は,学校の行う進路指導との有機的関連を保ちつつ,新規学校卒業者が適性と能力に応じた職業選択ができるよう,適性能力の把握と自己理解の促進のための厚生労働省編一般職業適性検査,職業レディネス・テスト(中学校を除く。)の実施,各種職業情報の提供,職業講話,職業相談の実施等計画的な職業指導を行っている。また,高校生を対象としたジュニア・インターンシップを実施するとともに,高校,教育機関等との連携・協力の下,全国の高校1・2年生を対象に早期における職業に関する講話等の職業意識啓発のための事業を実施し,職業意識啓発の環境整備を図っている。さらに,平成14年度においては,新卒者の厳しい雇用状況を踏まえ,未内定者に対する就職支援を行うジョブサポーターを配置し,学校と連携の下,求人開拓やマンツーマンの就職支援の強化を図っている。
(2) 就職後の職場適応指導の実施
 公共職業安定所では職業相談員の活用等により,就職者の職場不適応を未然に防止し,職場適応を阻害する問題を解決するための指導,助言等を行う職場適応指導を計画的,継続的に行い,新規学校卒業者が職業への適応性を増大し,良き職業人,社会人として自立できるよう援助している。
(3) 求人秩序の確立
 公共職業安定所は,求人者に対し,新規学校卒業者の適正な採用計画の樹立,受入体制の改善向上等について指導を行うとともに,求人受理に当たって,求人の内容,求人条件の確認を行い,適正な求人条件の確保等について指導を行っている。
 また,秩序の維持等を図るため関係各機関と連携を図りつつ,新規学校卒業者を対象とする求人活動について選考開始期日等を設定している。平成15年3月卒業予定者に係る選考開始期日等については,次のとおりであった。
中学校
推薦・選考 平成15年1月1日(指定積雪地は平成14年12月1日)以降
高等学校
推薦 平成14年9月5日(沖縄県は8月30日)以降
選考 平成14年9月16日以降
このほか,求人活動のための家庭訪問や便宜供与の禁止及び学校訪問の規制等を行い,求人秩序の確立に努めている。
(4) 求人確保
 平成15年3月卒業者に対する求人は,高等学校卒業者は対前年同期比で10.1%減少(15年3月末現在)しており,地域間の求人求職の不均衡が依然として解消していない傾向がみられる。このため,職業安定機関では学校等教育機関との緊密な連携を図りながら,求人開拓等による求人確保に努めている。また,平成14年度からは「高卒者就職支援システム」の運用を開始し,インターネットによる求人情報等の提供を行っている。
(5) 関係機関との連携体制の強化
 地域の状況等を踏まえた職業紹介を円滑に推進するため,都道府県労働局及び教育委員会が共同で,都道府県,学校側代表及び産業界側代表をもって構成する都道府県高等学校就職問題検討会議を開催し新規高卒者の応募・推薦の在り方についての申し合わせ等を行っている。また,厚生労働省と文部科学省とが共同で高等学校就職問題検討会議を開催し,選考開始期日等の検討を行っている。
(6) 高等学校中途退学者就業対策事業の実施
 高等学校中途退学者が就職を希望する場合,円滑な就職の促進と健全な職業人としての育成を図るため,高等学校との密接な連携の下,ハローワーク・ガイドの提供,綿密な職場適応指導の実施等による高等学校中途退学者就業対策事業を実施している。

3.新規大学等卒業者の就職促進
(1) 求人・求職動向の把握
 高学歴化の進展に伴い,大学等卒業就職者の新規学校卒業者労働市場に占める比重が高まっている。このため,厚生労働省では,大学等に対し求職者数等の調査を行い,的確な求職状況の把握に努めるとともに,平成11年度からは,学生職業総合支援センターにデータベースを構築し,大学等卒業者に対しインターネットにより,求人情報等の就職関連情報の提供を行っている。
(2) 学生職業総合支援センター・学生職業センター・学生職業相談室
 厚生労働省では,学生職業総合支援センター(東京),学生職業センター(北海道,宮城,愛知,大阪,広島及び福岡の各道府県に設置)及び学生職業相談室(学生職業センターを設置していない40府県に設置)を通じ,大学等新卒者や未就職卒業者に対して,Uターン就職希望者に対する地方企業の求人関係情報の提供,自己診断用のVPI職業興味検査を活用した職業指導,職業相談等を行うとともに,企業に対しては,新卒者等の採用に関する相談,指導等を行っている。また,学生等が在学中に自らの専攻,将来のキャリアに関連した就業体験を行ういわゆるインターンシップについては,平成13年12月からインターシップ受入企業開拓事業を経済団体に委託し実施している。
(3) 大学等における就職指導の充実等
 最近の学生の就職を取り巻く状況は,長引く景気の低迷を反映し,失業率が5%台で推移するという厳しい雇用情勢の下,依然として厳しいものとなっている。また一方で,近年の社会環境の変化や大学進学率の上昇などに伴い,多様な学生が増加する中で,学生の職業観や就職に対する意識も変化してきている。このような状況に対応して,文部科学省としては,学生自身が自己の適性を理解した上で,主体的に職業を選択できる能力を育てる,いわゆるキャリア教育の充実を図り,学生一人一人の適性や能力に応じた,きめ細かな就職指導や就職相談が行えるよう,国立大学において就職指導担当専門員を配置するなど大学等の就職支援体制の一層の充実に努めている。
 また,学生の就職機会の拡充を図るため,大学側と企業側の双方の参加を得て,「全国就職指導ガイダンス」を開催しているほか,経済関係団体に対して,学生の採用枠の拡大や女子学生の就職の機会均等の確保などについての要請を行っている。
(4) 求人秩序の確立
 大学等卒業予定者の就職採用活動については,学生の最終学年の学習に支障なく秩序ある形で行われるように,かつ,学生が適切な職業を選択するための公平な機会が得られるようにするという観点から,昭和28年以来の就職協定を廃止し,代わるものとして,平成9年度以降は大学側が「大学,短期大学及び高等専門学校卒業予定者に係る就職について(申合せ)」を,企業側が「新規学卒者の採用・選考に関する企業の倫理憲章」をそれぞれ定め,双方が各大学等・企業へ十分周知し,尊重するというルールで就職・採用活動が行われている。なお,平成15年度卒業予定学生の就職・採用活動については,平成14年10月に行い,趣旨の徹底を図ったところである。
 文部科学省においては,各大学,短期大学,高等専門学校等に「申合せ」の周知徹底と遵守について指導を行うとともに,企業側に対しても「倫理憲章」の趣旨に則し,採用活動の早期化の自粛,大学等の教育を尊重した秩序ある採用活動を行うよう要請している。

4.新規学校卒業者の採用内定取消等に関する事前通知制度
 採用内定取消し等を行おうとする企業に対し指導を行うに当たっての必要な情報を迅速かつ的確に把握するため,事業主が新規学校卒業者に係る募集の中止及び募集人員の削減,採用内定取消し並びに入職時期繰下げを行おうとする場合には,あらかじめ公共職業安定所等に対して通知する制度を,平成5年4月1日から実施している。


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