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第2節 犯罪や虐待による被害

1 犯罪被害の状況

(1)少年が被害者となる刑法犯の状況

平成19年中に少年(20歳未満)が被害者となった刑法犯の認知件数は30万4,685件で,前年に比べ4,419件(1.4%)減少した(第1-3-8図)。罪種別にみると,凶悪犯被害が1,345件,粗暴犯被害が1万5,775件で,前年に比べ凶悪犯は117件(8.0%)減少し,粗暴犯は1,009件(6.0%)減少した。

また,学職別にみると高校生が一番多く13万4,055件で,前年に比べ3,360件(2.4%)減少した。

凶悪犯被害について過去10年間の推移をみると,高校生の被害は平成13年をピークに減少傾向にあるが,中学生,小学生,未就学については,横ばい傾向にある(第2-2-1表参照)。

第1-3-8図 少年の刑法犯被害認知件数の推移
第1-3-8図 少年の刑法犯被害認知件数の推移の図
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  平成10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年
総数 320,268 313,985 352,753 410,507 406,519 385,762 356,426 326,042 309,104 304,685
凶悪犯 1,523 1,600 1,916 2,019 2,138 2,204 1,935 1,668 1,462 1,345
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(2)少年の福祉を害する犯罪

平成19年中,「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(平11法52。以下「児童買春・児童ポルノ法」という。)違反,「児童福祉法」(昭22法164)違反,青少年保護育成条例違反等の福祉犯の被害者となった少年は7,375人で,前年に比べ117人(1.6%)増加した。学職別では,高校生が2,960人(40.1%)と最も多く,次いで中学生となっている(第1-3-9図)。

このうち,「児童買春・児童ポルノ法」に係る被害者となった少年は,平成19年中に1,419人である。

年次推移をみると,近年はほぼ横ばい状態となっている。

第1-3-9図 少年の福祉犯被害者数(学職別)の推移
第1-3-9図 少年の福祉犯被害者数(学職別)の推移の図
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2 児童虐待の状況

全国の児童相談所や警察に寄せられる児童虐待に関する相談件数は,増加の一途をたどり,児童虐待問題は依然として社会全体で早急に解決すべき重要な課題である。

(1)児童相談所における相談対応件数等

ア 虐待に関する相談対応件数

児童虐待に関する相談対応の件数は,年々増加しており,平成19年度は40,639件となっている(第1-3-10図)。

第1-3-10図 児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数の推移
第1-3-10図 児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数の推移の図
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イ 虐待の内容別相談対応件数

虐待の内容では,平成19年度は身体的虐待が40.1%と最も多く,次いでネグレクトが38.0%,以下,心理的虐待,性的虐待の順となっている(第1-3-2表)。

第1-3-2表 児童相談所における児童虐待に関する相談の内容別件数
区分 総数 身体的虐待 保護の怠慢ないし拒否
<ネグレクト>
性的虐待 心理的虐待
平成19年度 <100%>
40,639
<40.1%>
16,296
<38.0%>
15,429
<3.2%>
1,293
<18.8%>
7,621
(注)数値は四捨五入してあるので,内訳の合計が総数にあわない場合もある。
資料:厚生労働省「福祉行政報告例」
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ウ 虐待を受けた児童の年齢構成

0歳〜就学年齢以前の乳幼児が,全体の半数近くを占めており,虐待が早期から始まっていることを示している(第1-3-3表)。

第1-3-3表 児童相談所における児童虐待に関する相談の年齢構成
区分 総数 0〜3未満 3〜学齢前児童 小学生 中学生 高校生・その他
平成19年度 <100%>
40,639
<18.3%>
7,422
<23.9%>
9,727
<38.1%>
15,499
<14.5%>
5,889
<5.2%>
2,102
資料:厚生労働省「福祉行政報告例」
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(2)児童虐待事件検挙件数等

平成19年中に警察が検挙した児童虐待事件は300件であり,検挙人員は323人であった。被害児童は315人であり,そのうち37人(11.7%)は死亡していた(第1-3-11図)。

年次推移をみると,最近5年間で検挙件数は約2倍となっている。

第1-3-11図 児童虐待事件検挙件数の推移
第1-3-11図 児童虐待事件検挙件数の推移の図
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3 要保護児童対策の状況

(1)乳児院及び児童養護施設

平成19年度の乳児院及び児童養護施設※6の入所児童数は,乳児院3,190人,児童養護施設30,846人となっている。また,入所率は乳児院85.6%,児童養護施設90.9%となっており,児童養護施設では,平成16年度以降9割を超えている(第1-3-12図)。

第1-3-12図 乳児院及び児童養護施設の入所児童数等の推移
第1-3-12図 乳児院及び児童養護施設の入所児童数等の推移の図
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(2)自立援助ホーム

平成18年度の自立援助ホーム※7の数は41か所となっており平成15年度と比較すると,19か所増加している(第1-3-13図)。

また,在籍人員数についてみると,平成18年度は184人となっている。

第1-3-13図 自立援助ホームのか所数及び在籍人員数の推移
第1-3-13図 自立援助ホームのか所数及び在籍人員数の推移の図
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(3)里親

平成19年度の委託里親数※8は2,582人で,委託児童数は3,633人となっている(第1-3-14図)。

平成13年度以降,委託児童数が急増しており,平成19年度には,平成13年度の約1.6倍となっている。

第1-3-14図 里親数及び委託児童数の推移
第1-3-14図 里親数及び委託児童数の推移の図
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※6 乳児院は,乳児(保健上,安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には,幼児を含む。)を入院させて,これを養育し,あわせて退院した者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設とする。

児童養護施設は,保護者のない児童(乳児を除く。ただし,安定した生活環境の確保その他の理由により特に必要のある場合には,乳児を含む。),虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて,これを養護し,あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設とする。

※7 自立援助ホームは,児童養護施設を退所した18歳未満の子どもを対象とし,共同生活の中で,日常生活上の援助や就労支援を行うことで自立支援を行う小規模施設である。

※8 里親とは,保護者のない児童又は保護者に監護されることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であって,都道府県知事が適当と認めるものをいう。


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