本編目次  前頁前頁  次頁次頁
-
-
2 家庭及び地域をめぐる状況の変化

(1)家庭をめぐる状況

家庭は,家族特に親子のつながりを築き,維持する営みを通じて,子どもが様々な力を身に付けて成長していく基礎的な場です。その観点から家庭をめぐる状況を見ていきます。

ア 親子がともに過ごす時間の変化とその背景

● 平日の親子の接触時間の減少

まず,親子がともに過ごす時間の変化を見てみましょう。

図1,2は,9歳から14歳の子を持つ親が,平日子どもと一緒に何かをしたり,相手をしている時間がどのくらいあるかを,平成12年と平成18年で比較したものです。これによると,父親については,「4時間以上」,「3時間くらい」が減少し,「2時間くらい」,「1時間くらい」が増加,さらに,「30分くらい」,「15分くらい」が大きく減り,「ほとんどない」が大きく増加しています。全体的に短い時間へシフトしており,特に,平成18年においては,平日の親子の接触時間が「ほとんどない」とした父親が23.3%,おおよそ4人に1人という結果となっています(図1)。

また,母親においても,父親ほど顕著ではありませんが,おおむね同様の傾向が見られます(図2)。

図1 親子の接触時間(父親)
図1 親子の接触時間(父親)の図
CSVファイル
図2 親子の接触時間(母親)
図2 親子の接触時間(母親)の図
CSVファイル

● 労働時間の長時間化

このような変化の背景を,親の働き方に焦点をあてて,働く時間と帰宅時間の変化から見てみたいと思います。

平成14年から平成19年にかけての5年間の1ヶ月の労働時間の推移を年齢階級別に見てみると,全般的な傾向として労働時間は長くなっています。特に,子育ての期間に相当すると思われる男性の30代から40代にかけては,平成14年に比べて約5時間程度増加しています。このため,平成19年においては,20代から40代の幅広い年齢層で月間労働時間が180時間を超える状態となっています(図3)。

また,女性については,男性と比べて増加の程度は少ないものの,20代から30代前半を中心に長くなっており,20代から30代にかけては170〜175時間程度となっています。

図3 年齢階級別労働時間の推移
図3 年齢階級別労働時間の推移の図
CSVファイル

● 親の帰宅時間の遅れ

労働時間の長時間化は,帰宅時間にも反映しているのではないかと考えられます。働く父親,母親の平日帰宅時間について,平成13年と平成19年を比較すると,父親については,平成13年には約4割いた19時までに帰宅する人が26.1%に減り,21時以降に帰宅する人が3割以上を占めるようになりました。母親については,18時までに帰宅する人が減り,18時から20時までの間に帰宅する人が増加しています(図4,5)。

帰宅時間が遅くなることは,親子の接触時間の減少につながるものであり,また,家族団らんの時間も奪ってしまうことになります。

図4 働く父親の平日帰宅時間
図4 働く父親の平日帰宅時間の図
CSVファイル
図5 働く母親の平日帰宅時間
図5 働く母親の平日帰宅時間の図
CSVファイル

● 家族そろって夕食をとる頻度の減少

家族の団らんの場である夕食を家族そろってとる頻度について,これまでの推移をみると,「毎日」,「週4日以上」の人が減り,「週2〜3日」が増えており,平成16年では「週2〜3日」が最も多くなっています(図6)。

図6 家族そろって夕食をとる頻度
図6 家族そろって夕食をとる頻度の図
CSVファイル

● 子どもの悩みをあまりよく知らない親

子どもとの接触時間が少なくなることは,子どものことを知る機会が減ることにつながるものと思われます。子どもが抱えている悩みや問題などについて,親がどの程度知っているかについて見てみると,総じて父親の認知度は母親に比べて低い傾向にあります。特に,その差が大きいのは,「友達の名前」,「よく遊びに行く場所」,「担任の先生の名前」などです。一方で,きちんと知るためにはある程度恒常的な関わりが必要な「今,学校で学んでいる内容」や,じっくり向き合わなければ知ることの難しい「子どもが困っていることや悩んでいること」については,母親においても他の項目と比べて若干低い傾向にありますが,父親の認知度の低さが顕著です(図7)。

図7 子どもにかかわることの親の認知度
図7 子どもにかかわることの親の認知度の図
CSVファイル

ここまで,家庭の状況の変化について,親の環境に関するデータを中心に見てきたところですが,労働時間の増加に伴う子どもとの接触時間の減少,子どもの悩みについて「知らない」,「あまり知らない」親の存在など,家庭を取り巻く環境の変化が子どもにとって好ましくない状況の背景となっていることが伺えます。平成18年時において,「ほとんどない」を含め「30分くらい」以下の接触時間しかない父親が約6割いることから,仮に今よりも働く時間が更に長くなった場合,平日に親子の触れ合いの時間や,育児参加の時間がほとんどとれない父親が多数を占めるような状況となることも考えられます。

ひとり親世帯の場合など,様々な事情から難しい面もあると思われますが,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の観点からも,また,青少年の健やかな成長を支える環境を考える上でも留意が必要といえます。

イ 基本的生活習慣の変化

● 情報メディアへの接触時間の長さ

携帯電話等の普及が増えた結果,平成19年では,6〜12歳で31.6%,13〜19歳で85.4%が自分の携帯電話等を利用するようになりました(総務省「通信利用動向調査」)。内閣府の調査では,携帯電話や自宅のパソコンによるインターネット(メールを含む)の平日利用時間は,小学生55分,中学生125分,高校生166分になっています(図8)。

また,テレビの視聴時間については,小学生161分,中学生165分,高校生176分であり,これに加えテレビゲームの利用時間は,小学生60分,中学生50分,高校生46分となっています。

これらは,いずれも平日1日の利用時間であり,例えば,同時並行で使用している場合も考えられるため一概に言えませんが,様々な情報メディア等との接触時間が極めて長時間に及んでいることがわかります。

図8 メディア等の平日1日の平均時間(小・中・高)
図8 メディア等の平日1日の平均時間(小・中・高)の図
CSVファイル

一方で,学習時間は,高校生の4人に1人が0分となっています(図9)。

図9 一日の平均的な勉強時間
図9 一日の平均的な勉強時間の図
CSVファイル

● 就寝時間の遅れ

次に,子どもたちの就寝時間の変化を見ていきます。小学5年生及び中学2年生の就寝時間を平成11年と平成18年で比較すると,全体的に遅くなる傾向にあり,小学5年生では,午後10時頃より前に就寝する子どもが減り,午後11時頃より後に就寝する子どもが増えています。中学2年生では,午後11時頃より前に就寝する子どもが減り,午前0時頃より後に就寝する子どもが増えています。生活の夜型化が一層進んでいることがわかります(図10,11)。

図10 就寝時間(小学5年生)
図10 就寝時間(小学5年生)の図
CSVファイル
図11 就寝時間(中学2年生)
図11 就寝時間(中学2年生)の図
CSVファイル

● 朝食欠食理由に「食欲なし」が増加

朝食の摂食状況については,平成12年と平成17年との比較では,小学生の約85%,中学生の約80%が「必ず毎日食べる」で同水準で推移し,「ほとんど食べない」がやや減少となっているなど,大きな変化はありません。

しかし,朝食の欠食理由については,平成12年では,小中学生ともに「食べる時間がない」が最も多かったのですが,平成17年では,小学生において「食欲がない」が最も多くなっています。中学生でも,順位こそ「食べる時間がない」が最も多いものの,「食欲がない」が増加している傾向にあります。

起床時間に加えて,就寝時間が遅いと夜食の喫食も考えられ,また,十分な睡眠時間が確保されず起床後すぐに体が目覚めない状態にあり,食欲がわかないということも考えられます(図12,13)。

いずれにしても,心身の健康の基礎となる規則正しい生活習慣がうまく保たれなくなっていることがうかがえます。

図12 朝食を食べない理由(小学校)
図12 朝食を食べない理由(小学校)の図
CSVファイル
図13 朝食を食べない理由(中学校)
図13 朝食を食べない理由(中学校)の図
CSVファイル

▲このページの上へ

-
本編目次  前頁前頁  次頁次頁