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第2部 青少年に関する国の施策
第1章 青少年育成施策の総合的・計画的な推進
第1節 青少年育成推進本部の取組

1 青少年育成推進本部の設置

次代を担う青少年の健全な育成は,21世紀の我が国社会の在り方にかかわる重要な課題であり,我が国において推進する青少年育成施策は,家庭,学校,職場,地域等の生活領域を通じ,保健,福祉,教育,労働,非行対策等の幅広い分野にわたる。

このため,平成15年6月,政府は,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を構成員とする「青少年育成推進本部」を設置し,関係行政機関の緊密な連携をより高いレベルで確保するとともに,青少年育成施策を強力に推進する体制を整備した。

2 青少年育成施策大綱(前大綱)の策定

政府は,平成15年4月に内閣官房長官に提出された「青少年の育成に関する有識者懇談会報告書」を踏まえ,「少年非行対策のための検討会」(青少年育成推進本部担当大臣主宰)における検討を反映し,同年12月,青少年育成推進本部において,我が国における青少年の育成に係る基本理念と中長期的な施策の方向性を示す「青少年育成施策大綱」(前大綱)を策定した。

3 前大綱策定後の関連諸施策の推進

前大綱策定後,少子化社会対策,子どもを犯罪から守るための取組,非行少年対策,食育の推進,若者の社会的自立の支援など,様々な分野において,法令等の整備や関連諸施策の取りまとめ等が行われてきた(第2-1-1図)。

第2-1-1図 青少年に関する関係法令等の動向(平成15年〜平成20年)
第2-1-1図 青少年に関する関係法令等の動向(平成15年〜平成20年)

(1)少子化社会対策

これまでに,少子化社会対策基本法(平15法133)に基づき,少子化社会対策大綱(平成16年6月)及び「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」(平成16年12月)を,さらに,「新しい少子化対策について」(平成18年6月),「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略」(平成19年12月)を策定し,これらを踏まえ総合的に推進しているところである。

平成20年度は,社会保障国民会議の最終報告(平成20 年11 月)において,少子化問題は,最優先で取り組むべき「待ったなし」の課題であるとされたとともに,国が責任をもって財源の確保を図った上で,大胆かつ効率的な財政投入を行い,サービスの質・量の抜本的な拡充を図るための新たな制度体系の構築が必要不可欠とされた。上記最終報告も踏まえて作成された,持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」(平成20年12月)においては,子育て支援の給付・サービスの強化などの機能強化と効率化を図ることとされ,その確立・制度化に必要な費用について安定財源を確保した上で,段階的に内容の具体化を図ることとされている。

なお,少子化社会対策大綱は,策定後5年を経過することから,平成21年内に見直しを行い,新しい大綱を策定することとしている。この案の作成に資するため,内閣府特命担当大臣(少子化対策)の下に,「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム」を1月より開催し,議論を進めているところである。

(2)教育

平成18年12月の教育基本法の改正を受け,平成20年7月には,今後10年間を通じて目指すべき教育の姿として,「義務教育修了までに,すべての子どもに,自立して社会で生きていく基礎を育てる」ことなどを掲げた教育振興基本計画が策定された。

(3)有害情報対策

平成20年6月に成立した「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(平20法79。以下,「青少年インターネット環境整備法」という)は,18歳未満の青少年が適切にインターネットを活用する能力を身に付けるようにするとともに,インターネット上の青少年に有害なサイト等の閲覧を制限する,フィルタリングの普及促進などを通じて青少年が有害な情報を閲覧する機会を少なくし,青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにすることを目指している。内閣府では,同年10月より「青少年のインターネット環境の整備等に関する検討会」を開催するなど,関係閣僚からなる「インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議」で策定する「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画」に向けた検討を進めている。

なお,この検討会の提言を参考に,平成21年6月頃に同計画を策定することとしている。

(4)自殺対策

平成19年6月,政府は,自殺対策基本法(平18法85)に基づき,政府が推進すべき自殺対策の指針として「自殺総合対策大綱」を策定した。我が国の自殺者数は平成10年以降連続して3万人を超える状態が続いていること,また,平成20年に入り,硫化水素自殺が発生したことなどから,「自殺対策加速化プラン」を取りまとめるとともに,自殺総合対策大綱の一部を改正し,インターネット上の自殺関連情報対策の推進等を追加した。特に,青少年については,自殺死亡率は低いものの,死因に占める自殺の割合は高く,また,精神的な安定を損ないやすい時期にあることから自殺対策は重要な課題であり,地方公共団体を始め,学校,職場,医療機関,民間団体等の関係者と密接な連携を図りつつ,自殺対策を推進している。

(5)その他

平成19年5月に成立した「日本国憲法の改正手続に関する法律」(平19法51)は,憲法改正の国民投票の投票権年齢を18歳と定め,その附則において,「満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう,選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法,成年年齢を定める民法(明29法89)その他の法令の規定について検討を加え,必要な法制上の措置を講ずるものとする」と定められた。

そして,この附則を受けて,内閣に設置された「年齢条項の見直しに関する検討委員会」において,平成19年11月,各府省において必要に応じて審議会等で審議を行い,平成21年の臨時国会又は平成22年の通常国会への法案提出を念頭に,法制上の措置について対応方針を決定することができるよう検討を進めるものとするとの決定が行われた。

法務省では,民法の成年年齢の引下げについて,法制審議会に諮問をし,平成20年3月から,これを受けて,民法成年年齢部会において調査審議が行われ,同年12月に「民法の成年年齢の引下げについての中間報告書」が取りまとめられた。同中間報告書においては,成年年齢を引き下げることとする場合に必要となる施策として,<1>消費者被害が拡大しないような施策の充実,<2>若年者の自立を援助するための施策(シチズンシップ教育,若年者向けの社会参画プログラム等)の充実が必要であるとの指摘がされている。

4 新しい「青少年育成施策大綱」の策定

前大綱では,おおむね5年を目途に見直すこととされていたため,政府では,平成19年度から,内閣府特命担当大臣(青少年育成)と青少年育成活動に取り組む有識者や青少年との懇談の開催,子どもたちからの意見募集等を実施した。これらの取組を踏まえ,平成20年7月には新しい大綱の枠組みを青少年育成推進本部において決定した。

新しい大綱の策定に当たって,政府は,ニートやフリーターなど,若者の抱える様々な問題が複雑化していく危険性や,情報化の一段と急速な進展に伴う子どもへの影響,若者による重大事件などの続発など,近年の状況のめまぐるしい変化に対応し,我が国のすべての青少年が健やかな成長を遂げていけるよう,「児童の権利に関する条約」等に示されている青少年の人権の尊重及び擁護の観点も踏まえ,前大綱に盛り込んだ青少年育成の理念等を継承しつつ,時代の変化に対応した青少年育成施策の一層の推進を図るため,平成20年12月に新しい「青少年育成施策大綱」を青少年育成推進本部において決定した。

この大綱は,

<1> 青少年の立場を第一に考える

<2> 社会的な自立と他者との共生を目指して,青少年の健やかな成長を支援

<3> 青少年一人一人の状況に応じた支援を社会総がかりで実施

の3点を基本理念とし,

<1> 健やかな成長の基礎形成のための取組

<2> 豊かな人間性をはぐくみ,社会で生きる力と創造力を身につけていくための取組

<3> 困難を抱える青少年の成長を支援するための取組

<4> 青少年の日々の生活を支える環境整備のための取組

の4つの課題を重点課題として挙げているほか,青少年等に対する施策の基本的方向として,乳幼児期,学童期,思春期,青年期及びポスト青年期という年齢期ごとの施策と困難を抱える青少年等に対する施策を掲げるとともに,青少年の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備施策の基本的方向,推進体制を盛り込んでいる。

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