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第2章 年齢期ごとの施策
第1節 乳幼児期

1 母子の健康の確保・増進

(1)安心で安全な妊娠・出産の確保(厚生労働省)

安全で快適な満足できる「いいお産」について,関係者や妊婦が共通の理解を持つことができるよう,妊産婦健康診査等様々な機会をとらえて働き掛けを行い,その普及を図っている。

また,女性が求める妊娠・出産期におけるケアの内容等に関する研究などの推進に努めるとともに,周産期医療の充実を図っている。

(2)地域保健の充実(厚生労働省)

育児不安の解消や産後うつ病への対応など,妊産婦と乳幼児の心身の健康保持・増進のため,市町村における妊産婦・乳幼児健康診査,1歳6か月児健康診査,3歳児健康診査,妊娠,出産,育児や乳幼児の保健についての一貫した指導等の母子保健事業を推進している。

(3)小児医療の充実(厚生労働省)

子どもが地域において,いつでも安心して医療サービスを受けられるよう,都道府県が定める医療計画を通じて,小児医療(小児救急医療を含む。)に係る医療提供施設相互の医療連携体制の構築を推進するとともに,小児初期救急センター,小児救急医療拠点病院等の整備を支援する等により,小児救急医療を含め,小児医療の充実を図っている。

また,小児救急電話相談事業(#8000)により保護者等の不安を解消するほか,地域の小児医療を支えようとする地域住民や関係機関の取組について普及促進を図っている。

平成20年度診療報酬改定においても,人員配置が手厚い子ども病院等の入院料の引き上げや地域の医療機関が連携して夜間や休日の診療に当たった場合の診療料の引き上げなど,小児医療を重点的に評価したところである。

(4)「食育」の推進

ア 「食育基本法」の制定と基本計画の策定(内閣府)

国民が生涯にわたって健康で豊かな人間性をはぐくむためには,「食育」を知育,徳育及び体育の基本となるべきものと位置付けるとともに,食に関する知識と食を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」を国民運動として推進することが必要であり,このような観点から平成17年7月,「食育基本法」(平17法63)が施行された。

平成18年3月には,「食育推進会議」において,「食育基本法」に基づき,平成18年度から平成22年度までの5年間を対象とした「食育推進基本計画」が決定され,国及び地方公共団体を始めとした関係者が,この「食育推進基本計画」に基づいて,「食育」の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図っている。

子どもたちに対する食育は,心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし,生涯にわたって健全な心と身体を培い,豊かな人間性をはぐくんでいく基礎となるものであることから,家庭,学校,地域において子どもの食生活を大切にし,健全な食生活を実践できるよう,政府では,様々な取組を推進している。

イ 「食育」の推進(内閣府,文部科学省,厚生労働省)

「食育推進基本計画」においては,「食育」の総合的な促進に関する事項として,家庭における「食育」の推進が掲げられており,国民一人一人が家庭や地域において自分や子どもの食生活を大切にし,男女共同参画の視点も踏まえつつ,健全な食生活を実践できるよう,政府では,次のような取組を推進している。

厚生労働省では,出産前からの適切な食生活を支援し,乳幼児期からの望ましい食習慣の定着を図るため,妊産婦や子育て家庭を対象とした食に関する学習機会や情報の提供を推進している。

健やかな成長・発達とともに健やかな親子関係の形成の重要な時期にある乳児期において,保健医療従事者による適切な支援が推進されるよう,母乳育児の推進や離乳食の進め方の目安等を盛り込んだ「授乳・離乳の支援ガイド」を平成19年3月に公表した。

また,食を通じた妊産婦の健康支援の観点からは,妊娠期・授乳期における食事の望ましい組合せ,量,妊娠中の適切な体重増加に関する目安等を盛り込んだ「妊産婦のための食生活指針」を平成18年2月に作成,公表した。

文部科学省では,食に関する内容等を盛り込んだ家庭教育に関するヒント集として「家庭教育手帳」を作成し,全国の教育委員会等に提供して,子育て講座など,家庭教育に関する学習機会などでの活用を図っている。

また,平成18年度から,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,民間団体と連携して「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している。

さらに,平成20年3月に幼稚園教育要領の改訂を行い,食育の観点から記述を充実した。

2 子育て支援の充実

(1)子育て家庭の支援(厚生労働省)

すべての子育て家庭を支援するため,公共施設内のスペースや保育所,児童館等などを活用して,子育て相談や,保育所,ベビーシッター等地域の子育て支援サービスに関する情報提供,子育てに関する講習等を実施する「地域子育て支援拠点事業」を推進している。

また,保育士についても,保育所における保育だけでなく,地域の子育ての中心的な役割を担えるようにするため,乳幼児の保育に関する相談・助言に必要な知識及び技能の修得,維持及び向上を図るための取組を支援している。

(2)男女共に子育てと就業が両立しやすい職場づくり

ア 仕事と家庭が両立しやすい職場環境の整備(内閣府,厚生労働省)

平成19年12月に政労使の合意の上で策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及びその行動指針に基づき,「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き,仕事上の責任を果たすとともに,家庭や地域生活などにおいても,子育て期,中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」の実現を目指し,政府では,様々な施策を推進している。

内閣府では,「働き方を変える」ことを通じて,「日本を変える」という思いを,親しみやすいカエルのキャラクターに託し,このマークを活用して各界・各層の国民を巻き込んだ国民運動「カエル!ジャパン・キャンペーン」を展開している。

カエル!ジャパン・キャンペーン

また,働き方改革の促進とともに男性の育児参画を進めるため,育児休業を取得した84名の男性の育児休業取得から職場復帰までの体験をまとめた「パパの育児休業体験記」を平成20年12月に公表した。

厚生労働省では,「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平3法76。以下,「育児・介護休業法」という。)において規定されている,育児休業・介護休業制度,子の看護休暇,時間外労働の制限の制度,深夜業の制限の制度,勤務時間短縮等の措置等の周知を図るとともに,計画的に事業所を訪問し,就業規則等で必要な制度が設けられているかを確認するなど,制度の普及・定着に向けた行政指導等を実施している。

また,休業の申出又は取得を理由とした不利益な取扱いなど,育児・介護休業法に基づく労働者の権利が侵害されている事案について,労働者からの相談があった場合は的確に対応し,法違反がある場合その他必要な場合には事業主に対する適切な指導を行っている。

これらの取組により,女性の育児休業取得率は,平成19年度において約9割に達するなど,着実な定着が図られつつあるが,第1子出産を機に約7割の女性が離職している状況があり,男性の育児休業取得率も1.56%に留まっている。

厚生労働省では,こうした現状も踏まえ,平成20年8月から,更なる仕事と家庭の両立支援の推進を図るため,労働政策審議会雇用均等分科会において育児・介護休業法の見直しについて議論を行い,同年12月に同審議会により建議が行われたところである。

建議においては,<1>短時間勤務制度,所定外労働の免除の義務化,<2>父母ともに育児休業を取得する場合の休業取得可能期間の延長,<3>子の看護休暇の拡充や介護のための短期の休暇制度の創設などが提言されている。

厚生労働省では,この建議に基づき,平成21年4月に「育児休業,介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律案」を,第171回国会に提出し,同国会において成立した。

また,少子化の流れを変えるためには,働き方の見直しによる仕事と生活の調和の実現が重要な課題の一つとなっており,企業の取組に対する期待はますます高まっている。

「次世代育成支援対策推進法」(平15法120)では,常時雇用する労働者が301人以上の企業に対し,労働者の仕事と子育ての両立支援に関する取組を記載した一般事業主行動計画を策定し,その旨を厚生労働大臣に届け出ることが義務づけられており,また,適切な行動計画を策定・実施し,その目標を達成するなど一定の要件を満たした企業は厚生労働大臣の認定を受け,「くるみんマーク」を使用することができるとされているところである。

(平成21年3月末現在における,従業員301人以上の企業の届出数は13,462社(届出率99.1%),努力義務である300人以下企業の届出数は18,137社,平成21年3月末現在の認定企業は652社)

平成20年12月3日には,我が国における急速な少子化の進行等の現状にかんがみ,地域や職場における総合的な次世代育成支援対策を推進するため,「児童福祉法等の一部を改正する法律」(平20法85)が公布され,同法により次世代育成支援対策推進法の一部が改正され(以下,「改正次世代法」という。),施行される予定となっている。

一般事業主行動計画に関する主な改正事項は以下のとおりである。

<1> 一般事業主行動計画の策定・届出の義務付け対象を労働者数301人以上企業から101人以上企業へ拡大(平成23年4月1日施行)

<2> 一般事業主行動計画の策定・届出が義務付けとなっている企業について,当該行動計画の公表及び従業員への周知を義務付け(平成21年4月1日施行)

今後,改正次世代法の円滑な施行に向け,次世代育成支援対策推進センター等の事業主団体とも連携し,企業に対する周知啓発等を強化していくこととしている。

また,仕事と育児・介護とが両立できる様々な制度を持ち,多様でかつ柔軟な働き方を労働者が選択できるような取組を行う「ファミリー・フレンドリー企業」の普及を促進するため,企業における仕事と家庭の両立のしやすさを示す両立指標について,「ファミリー・フレンドリー・サイト」(http://www.familyfriendly.jp)や両立支援に積極的に取り組んでいる企業の取組等を掲載したサイト「両立支援のひろば」(http://www.ryouritsushien.jp)の利用等による活用を図るとともに,「均等・両立推進企業表彰ファミリー・フレンドリー企業部門」(厚生労働大臣賞及び都道府県労働局長賞)を実施している。

イ 農山漁村の女性の育児と労働の両立支援(農林水産省)

仕事と家事・育児・介護等の負担が大きく,過重労働になりがちな農山漁村の女性の負担を軽減し,女性の農林水産業及び地域社会活動への参画を支援するため,農山漁村地域の子育て支援に関するシンポジウムの開催(平成20年度2か所)や出産・育児期等の女性に対する在宅農業学習(e-ラーニング)体制の整備等を行っている。

(3)育児等退職者の再就職支援(内閣府,厚生労働省)

政府では,子育て等でいったん離職した女性の再就職・起業等の総合的な支援策である「女性の再チャレンジ支援プラン」(平成18年12月改定)に基づき,平成20年度は,関係府省が連携・協力し,

<1> 再チャレンジしやすい地域環境づくり

<2> 学習・能力開発支援

<3> 再就職支援

<4> 起業支援及び社会参加の促進

<5> 国における総合的な情報提供・調査等

について関係施策の着実な推進を図り,女性の再就職・起業等の一層の支援に努めている。

厚生労働省では,育児,介護等のために退職し,将来,再就職を希望する者が円滑に就職できるよう情報提供,セミナーの開催等を行うとともに,再就職準備のための計画的な取組が行えるよう,キャリア・コンサルティングの実施,再就職に向けた具体的なプランの策定支援,インターンシップ(再チャレンジ職場体験)の実施等を内容としたきめ細かい支援を行う「再チャレンジサポートプログラム」を実施し,「マザーズハローワーク事業」と連携した総合的な再就職支援を行っている。

また,自己の時間の都合をつけやすく,仕事と子育ての両立を図りやすいこと等から,子育て期にある女性の就業の一形態として注目されている起業を支援するため,メンター(先輩の助言者)の紹介や,起業に関する情報やサービスを総合的に提供する専用サイトを平成19年度から運用している。

内閣府では,子育て中の女性の再チャレンジに必要な情報提供を行う講座を身近な子育て支援施設等において実施できるような教材を開発するとともに,再チャレンジした女性の成功事例の分析やNPOにおける女性の再チャレンジの実情等に関する調査事業を実施した。

(4)「新待機児童ゼロ作戦」(厚生労働省)

待機児童の解消については,平成14年度より「待機児童ゼロ作戦」を開始し,平成16年度に策定された「子ども・子育て応援プラン」に基づき,「待機児童ゼロ作戦」の更なる展開として,受入児童数の拡大を図ってきた。こうした取組の結果,待機児童数は,平成15年をピークに4年連続で減少してきたが,平成20年4月1日現在では5年ぶりに増加に転じ約2万人となっている(第2-2-1図)。

第2-2-1図 待機児童数の推移(平成13年度〜20年度)
第2-2-1図 待機児童数の推移(平成13年度〜20年度)
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このような状況等を踏まえ,厚生労働省では,平成20年2月,「希望するすべての人が安心して子どもを預けて働くことができるためのサービスの受け皿を確保し,待機児童をゼロにする」という目標を掲げ,保育所等の待機児童解消を始めとする保育施策を質・量ともに充実・強化し,推進していくこととするための「新待機児童ゼロ作戦」を策定した。

具体的には,10年後の姿として,保育サービス(3歳未満児)の提供割合を20%から38%に,放課後児童クラブ(小学校1年から3年)の提供割合を19%から60%に引き上げる目標を掲げ,特に,平成20〜22年度の3年間を集中重点期間として取組を進めることとしている。

また,多様な保育サービスについては,平成12年以降「新エンゼルプラン」に基づき,延長保育や休日保育等の充実を推進してきたところであり,同プランの最終年度に当たる平成16年度においては,延長保育を13,086か所,休日保育を618か所でそれぞれ実施するなど,当初目標をほぼ上回る結果となった。平成17年度以降は,例えば,平成21年度までに延長保育を16,200か所で実施,休日保育を2,200か所で実施するなど,就業形態に対応した保育ニーズが満たされるよう,「子ども・子育て応援プラン」に基づき,多様な保育サービスの一層の充実を図ることとしている。

なお,平成20年度補正予算において,「新待機児童ゼロ作戦」による保育所の整備等,認定こども園等の新たな保育需要への対応及び保育の質の向上のための研修などを実施し,子どもを安心して育てることができるような体制整備を行うための「安心こども基金」を都道府県に創設した。

(5)多様な主体による子育て支援とネットワークづくり

ア 地域における子育て支援(厚生労働省)

地域共同体の機能が失われていく中で,身近な地域に相談できる相手がいないなど,在宅で育児を行う家庭の子育ての負担感が増大していることから,家庭の中だけでの孤独な子育てをなくし,子育て中の親子が気軽に集い,相談や交流,情報交換ができる場を身近に整備していくことが求められている。

このため,厚生労働省では,「子ども・子育て応援プラン」や「新しい少子化対策について」を踏まえ,地域の子育て支援の拠点について,平成19年度において従来のつどいの広場事業や地域子育て支援センター事業を再編し,児童館の活用も図ることとして,地域子育て支援拠点事業を創設し,その設置を促進している。

具体的には,保育所等において,専業主婦等の育児不安について相談に応じたり,地域に出向いた活動を実施する「地域子育て支援拠点事業(センター型)」や,公共施設や商店街の空き店舗,民家などを活用し,気軽に集うことのできる常設のひろばを開設して取り組む「地域子育て支援拠点事業(ひろば型)」などの推進を図っている(平成20年度:4,889か所(うち,「センター型」:3,470か所,「ひろば型」:1,251か所,「児童館型」168か所))。

「次世代育成支援対策推進法」に基づき,各地方公共団体においては,地域の子育て支援ニーズを踏まえ,具体的な数値目標を盛り込んだ地域行動計画を策定し,これに基づき子育て支援の取組を進めているところである。

また,量的整備と併せて,子育てひろばの立ち上げやネットワーク化を図る研修のほか,子育てNPOや子育てサークルの活動者を対象とする研修の実施により,地域における子育て支援のネットワークづくりを支援している。

さらに,急な残業や病児・病後児など,変動的・変則的な保育ニーズに対応するため,地域における育児に関する相互援助活動を行う「ファミリー・サポート・センター」(地域において援助を行いたい者と援助を受けたい者からなる会員組織)について,地域の子育て支援機能の強化に向けて,実施か所数の拡大を図っている(平成20年度:579か所)。

イ 幼稚園における子育て支援(文部科学省)

文部科学省では,幼稚園が地域の幼児期の教育のセンターとして,子育て支援機能を充実し,「親と子の育ちの場」としての役割を果たすため,幼稚園における相談活動,情報提供,未就園児の親子登園,保護者同士の交流の機会の提供などの子育て支援活動を推進している。

また,地域の実態や保護者の要請に応じて通常の教育時間の前後に行う「預かり保育」なども各幼稚園で行われており,このような子育て支援活動や預かり保育が地域や保護者のニーズに対応し,幼児の健やかな成長を保障する活動として実施されるよう,平成21年3月に「幼稚園における子育て支援活動及び預かり保育の事例集」を作成し,その普及に努めている。

(6)経済的支援(厚生労働省)

児童手当については,我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ,総合的な少子化対策を推進する一環として,子育てを行う家庭の経済的負担の軽減を図る観点から,平成19年4月から,3歳未満の乳幼児に対する児童手当等の額を,第1子及び第2子について月5千円増額し,出生順位にかかわらず一律1万円に引き上げることを内容とする,「児童手当法の一部を改正する法律」(平19法26)が第166回国会で成立した。

3 保育所・幼稚園等での養護・教育の充実

(1)保育所と幼稚園の連携強化と認定こども園制度の推進(文部科学省,厚生労働省)

幼稚園と保育所は,異なる目的・役割を持つ施設であるが,両施設とも小学校就学前の幼児を対象としていることから,それぞれの特性をいかしつつ,地域や保護者の多様なニーズにこたえるため,文部科学省と厚生労働省は,その連携を強化するよう努力している。具体的には,<1>幼稚園と保育所の施設の共用化の推進(平成20年5月現在共用化事例:471件),<2>平成20年3月にそれぞれ改訂された幼稚園要領と保育所保育指針における教育内容・保育内容の整合性の確保,<3>幼稚園教諭と保育士の合同研修の実施,<4>資格の併有の促進,<5>幼稚園と保育所の連携事例集の作成などの取組を行っている。

こうした連携の取組を進める中,「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」(平成15年6月閣議決定)等を踏まえ実施することとされた「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」(認定こども園)については,平成18年6月9日に「就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律」(平18法77)が成立し,平成18年10月から施行された。この法律では,幼稚園,保育所等のうち,

<1> 就学前の子どもに教育・保育を提供する機能(保育に欠ける子どもも欠けない子どもも受け入れて教育・保育を一体的に行う機能)

<2> 地域における子育て支援機能(すべての子育て家庭を対象に,子育て不安に対応した相談や親子のつどいの場の提供などを行う機能)

を備える施設について,都道府県が「認定こども園」として認定する仕組みを設けるとともに,各般の特例措置を講じている(平成20年4月1日現在認定数:229か所)。

文部科学省と厚生労働省が平成20年3月に実施した地方公共団体,施設,保護者に対する認定こども園制度に係る実態調査によると,施設を利用している保護者の8割近く,認定を受けた施設の9割以上が認定こども園を評価している。具体的には,保護者からは「保育時間が柔軟に選べること」,「就労の有無にかかわらない施設利用」,「教育活動の充実」などの点が評価されている。

また,認定を受けた施設からは,「子育て支援活動の充実」,「就労の有無にかかわらない受入れ」が認定を受けて良かったと考えられる点として挙げられている。一方,施設や地方公共団体からは,運用上の課題も指摘されている。

これを受けて,<1>認定こども園に対する,幼稚園・保育所の枠組みを超えた新たな財政措置,<2>平成20年7月に文部科学省及び厚生労働省の両省局長級検討会でとりまとめられた,会計処理の改善や制度の普及啓発などの改善方策に基づいた運用改善に取り組んでいる。併せて,同年10月に,内閣府特命担当大臣(少子化対策),文部科学大臣,厚生労働大臣の3大臣合意により立ち上げた「認定こども園制度の在り方に関する検討会」において,<1>財政支援の充実,<2>二重行政の解消,<3>教育と保育の総合的な提供の推進,<4>家庭や地域の子育て支援機能の強化,<5>質の維持・向上への対応などの認定こども園における課題について議論を進め,平成21年3月に報告をとりまとめた。

(2)保育所・幼稚園と小学校との連携(文部科学省,厚生労働省)

平成21年4月一部先行実施されている新しい小学校学習指導要領においては,幼稚園に加え,新たに保育所との連携や交流を図ることが盛り込まれたとともに,幼稚園教育要領においても幼児と児童の交流,教師同士の交流等の小学校との連携について盛り込まれた。これを踏まえ,文部科学省と厚生労働省では,平成21年3月に「保育所や幼稚園等と小学校における連携事例集」を作成した。

また,幼児の学習及び健康の状況を記載した書類が幼稚園から小学校に送付されていることも踏まえ,平成20年3月に公示された保育所保育指針において,子どもの育ちを支えるための資料を保育所から小学校へ送付することや,保育所の子どもと小学校の児童との交流や職員同士の交流等の連携を図ることについて示された。これらの周知等を通して,保育所・幼稚園と小学校との連携の促進に努めている。

(3)サービスの第三者評価の推進(厚生労働省)

福祉サービスの第三者評価事業の更なる普及を図るため,福祉サービス共通の評価基準を定めた「福祉サービスの第三者評価事業に関する指針について」を平成16年5月に策定し,第三者評価の考え方,着眼点をまとめ,都道府県に通知した。

また,平成17年5月には,保育所版の第三者評価基準のガイドラインとして「保育所版の『福祉サービス第三者評価基準ガイドラインにおける各評価項目の判断基準に関するガイドライン』及び『福祉サービス内容評価基準ガイドライン』等について」を策定し,都道府県に通知した。

さらに,平成21年3月には,保育現場における自己評価が円滑に実施され,養護と教育の充実が図られるとともに,当該自己評価を基盤とした客観的な第三者評価にも資するよう,保育士等及び保育所の自己評価に関するガイドラインを作成し,都道府県に周知した。

(4)認可外保育施設の質の維持・向上(厚生労働省)

認可外保育施設に対し,より実効性の高い監督が行えるようにするため,平成13年に届出制が創設されるとともに,勧告・公表が監督手段として規定された。現在,各都道府県においてこれらの制度改正に基づく指導監督を実施し,認可外保育施設の質の維持・向上を図るとともに,良質な認可外保育施設が認可保育所に転換しやすくなるよう支援・指導を行っている(平成20年3月31日現在施設数:7,348か所)。

なお,平成17年4月から,認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設は,利用料に係る消費税が非課税とされている。

(5)多様な体験の機会(文部科学省)

幼児は,生活や遊びといった体験を通して,情緒的・知的な発達,あるいは社会性を涵養していくことから,多様な体験の機会を提供していくことが重要である。

このため,文部科学省では,幼少期の自然体験など青少年の発達段階に応じた体験活動を推進している。また,国立青少年施設をはじめとした青少年教育施設では,幼児を対象に五感で自然を感じる体験活動や親子での自然体験活動など多様な体験の機会を提供している。

(6)安全教育

ア 保育所・幼稚園における安全教育(警察庁,文部科学省)

近年,子どもが被害者となる犯罪が後を絶たず,子どもを取り巻く環境は,依然厳しい状況にある(第2-2-1表,第2-2-2図)。そのため,警察では,子どもが被害に遭った事案や子どもに対する犯罪の前兆と思われる声掛けや付きまとい等の発生に関する情報については,迅速に保護者等に対し情報提供が行われるよう,警察署と教育委員会等との間で情報共有体制を整備するとともに,これらの情報を都道府県警察のウェブサイトで公開しているほか,電子メール等を活用した情報提供システムによる情報発信を行うなど,地域住民に対する積極的な情報提供を実施している。

第2-2-1表 少年の主な犯罪被害(平成20年)
第2-2-1表 少年の主な犯罪被害(平成20年)
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第2-2-2図 学校等における主な犯罪認知件数
第2-2-2図 学校等における主な犯罪認知件数
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また,警察では,子どもが犯罪に巻き込まれる危険を予見する能力や危険を回避する能力を向上させるため,幼稚園や保育所と連携し,理解度に応じて,紙芝居,演劇,ロールプレイ方式等により,子どもが参加,体験できる防犯教室を開催している。

文部科学省においては,幼稚園における安全教育の充実を図るため,各地域での講習会の指導者となる教職員等を対象に,防犯訓練等の講習を行うことにより,幼児の安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援を行う等の施策を推進している。

イ 交通安全教育(警察庁,厚生労働省)

交通安全教育は,自他の生命尊重という理念の下に,交通社会の一員としての責任を自覚し,交通安全意識と交通マナーの向上に努め,相手の立場を尊重し,他の人々や地域の安全にも貢献できる良き社会人を育成する上で,重要な意義を有している。交通安全意識と交通マナーを身に付けるためには,人間の成長過程に合わせ,生涯にわたる学習を促進し,国民一人一人が交通安全の確保を自らの課題として捉えることが重要である。

警察では,関係機関・団体と協力しつつ,各年齢層を対象に,交通社会の一員としての責任を自覚させるような交通安全教育を段階的かつ体系的に実施している。

幼児に対しては,基本的な交通ルールを遵守して,交通マナーを実践する態度を習得させるとともに,安全な通行に必要な基本的技能と知識を習得させるため,保育所・幼稚園等において,計画的かつ継続的に交通安全教育を実施している。

ウ 防災教育(消防庁)

消防庁では,e-ラーニング(防災・危機管理e-カレッジ)において,子どもたちに向けたコンテンツ(子供防災e-ランド)を平成17年3月から配信している。

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