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第2節 学童期

1 健康の確保・増進

(1)学校における教育・相談体制の充実

ア 学校における健康教育(文部科学省)

学校においては,子どもの健康や安全に関する様々な課題に対応するため,専門家の協力も得ながら,学校の教育活動全体を通じて,心の健康に関する指導,薬物乱用防止教育,発達段階に応じた性に関する指導,感染症対策,環境衛生への適切な対応,安全教育,食に関する指導等,健康教育の充実を図っている。

平成20年6月には「学校保健法」(昭33法56)が改正され,養護教諭を中心とした関係教職員等と連携した組織的な保健指導や地域の医療関係機関等との連携による児童生徒等の保健管理の充実等が図られたところである。

文部科学省では,学校だけでなく,地域の専門家や関係機関と連携を図りながら学校保健を充実するため,平成20年度から,専門医を学校に派遣し児童生徒等の健康相談を実施する「子どもの健康を守る地域専門家総合連携事業」を実施する等,学校における健康教育の充実を図るための施策を推進している。

イ 学校における「食育」の推進(文部科学省)

朝食欠食など子どもたちの食生活の乱れや肥満傾向などが見られ,子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう,学校における「食育」を推進することが重要な課題となっている。

また,食を通じた地域や文化の理解なども望まれている。

このような中,平成17年に「食育基本法」が施行され,平成18年3月には「食育推進基本計画」が決定されたところである。

食育推進基本計画では,朝食を欠食する国民の割合の減少を目標とし,特に生活習慣の形成途上にある子ども(小学生)については,平成12年度に4%となっている「小学校5年生のうちほとんど食べないと回答した者」の割合を平成22年度までに0%とすることを目指している。

学校において食育を推進するためには,指導体制の整備が不可欠である。文部科学省では,平成17年度に制度が開始された栄養教諭について,各都道府県における配置の促進に努めており,全国で配置が進んでいるところである。

また,現職の学校栄養職員が円滑に栄養教諭免許状を取得できるよう,平成17年度から各都道府県で免許状認定講習を開催しており,全国で多数の学校栄養職員が栄養教諭免許状を取得している。

さらに,平成20年3月に小・中学校の,平成21年3月に高等学校の学習指導要領がそれぞれ改訂され,その総則に「学校における食育の推進」が明確化されるとともに関連する各教科等においても食育の観点から指導の内容の充実が図られた。

平成20年6月には,「学校給食法」(昭29法160)が改正され,その目的において,「学校における食育の推進」が明記されるとともに,栄養教諭が学校給食を活用した食に関する指導を行うことや,その指導に当たっては地域の産物を学校給食へ活用すること,また,校長が食に関する指導の全体計画を作成することなどが規定されたところである。

文部科学省では,平成21年度において「栄養教諭を中核とした食育推進事業」,「食育推進交流シンポジウム」,などの取組を通じて,学校・家庭・地域の連携を図りつつ,各学校における食に関する指導に係る全体計画の作成や,各教科等での食に関する指導の充実に努めていくこととしている。

ウ スクールカウンセラーの配置等による教育相談体制の充実(文部科学省)

児童生徒の問題行動等や不登校の未然防止及び早期発見・早期対応のためには,子どもたちの悩みや不安を受け止めて相談に当たることや,関係機関等と連携して必要な支援をしていくことが大切である。

このため,「心の専門家」であるスクールカウンセラーを全公立中学校約1万校・公立小学校約1千校に配置できるよう必要な経費を措置している。

また,子ども等がいつでも相談できるよう,各都道府県及び指定都市の教育委員会が実施している電話相談について,夜間・休日を今の24時間体制で対応できるよう必要な経費を措置している。

加えて,児童生徒の問題行動等の状況や背景には,児童生徒の心の問題とともに,家庭,友人関係,地域,学校等の児童生徒が置かれている環境の問題が複雑に絡み合っているものと考えられることから,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて,児童相談所等の関係機関等とのネットワークを活用するなど,児童生徒が置かれた様々な環境に働き掛けたり,関係機関等とのネットワークを活用して,問題を抱える児童生徒に支援を行う専門家であるスクールソーシャルワーカーについて,適切に配置できるよう,必要な経費を措置している。

(2)地域における相談(厚生労働省)

核家族化や都市化の進行に伴い,地域の子育て支援機能が低下し,親の育児の負担や不安が大きなものとなる中で,子育て中の親子が気軽に集い,相談・交流できる「地域子育て支援拠点(ひろば型,センター型,児童館型)」の身近な場所での設置を推進している。

(3)小児医療の充実(厚生労働省)

子どもが地域において,いつでも安心して医療サービスを受けられるよう,小児初期救急センター,小児救急医療拠点病院等の整備を支援する等小児医療の充実を図っている(参照ページ)。

2 日常生活能力の習得

(1)基本的な生活習慣の形成

ア 学校教育における取組(文部科学省)

学校教育においては,学習指導要領に基づき,道徳や特別活動を始め,学校の教育活動全体を通じて,基本的な生活習慣の形成を図るための指導が行われている。

平成21年4月から一部先行実施されている新学習指導要領では,特に小学校低学年において,挨拶などの基本的な生活習慣,社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないことの指導を重視するなど,道徳教育について充実を図っている。

イ 放課後児童に関する取組(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省と厚生労働省では,両省が連携し,地域社会の中で,放課後等に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するため,平成19年度から,総合的な放課後対策として「放課後子どもプラン」を創設し,原則として,すべての小学校区での実施を目指し,推進を図っている。

このうち,文部科学省が行う「放課後子ども教室推進事業」においては,放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して,地域の多様な人々の参画を得て,子どもたちに学習活動やスポーツ・文化芸術活動,地域住民との交流活動等の機会を提供する取組を推進する(平成21年度実施予定8,719か所)。

また,厚生労働省が行う「放課後児童健全育成事業」においては,保護者が労働等により昼間家庭にいない,小学校に就学しているおおむね10歳未満の児童に対し,授業の終了後に,学校の余裕教室等を利用して適切な遊び及び生活の場を提供するものであり,平成20年5月現在,全国の17,583か所で実施されている。

ウ 「食育」活動の推進(内閣府,文部科学省,厚生労働省,農林水産省)

関係各府省では,「食育推進基本計画」に基づいて,「食育」の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図っている。

また,平成12年に決定した「食生活指針」の具体的実践ツールとして,食事の望ましい組み合わせやおおよその量を簡単に把握できる「食事バランスガイド」を平成17年6月に厚生労働省と農林水産省で決定した。これらをポスター,リーフレット等多様な媒体を活用して普及・啓発し,子どもたちの食生活改善を推進している(参照ページ)。

さらに,厚生労働省では,平成20年度厚生労働科学研究「食育を通じた健康づくり及び生活習慣病予防戦略に関する研究」において,自治体の食育に関する様々な取組事例を収集し,データベースを作成しており,現在,登録事例数は300を超えている。また,地域や企業等がデータベースの登録事例を自由に交換・共有できるようにするため,システムの改善を進めている。

文部科学省では,平成18年度から,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,民間団体と連携して「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している。

エ 青少年教育施設における取組(文部科学省)

青少年教育施設では,集団宿泊体験を通じて規律ある生活をする態度を養っており,毎年約2,500万人が全国の青少年教育施設を利用している。特に,国立青少年教育施設では,「早寝早起き朝ごはん運動」に取り組み,子どもの生活リズムの向上に努めている。

(2)体力の向上

ア 子どもの体力向上(文部科学省)

文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」によると,子どもの体力は,体力水準の高かった昭和60年度と比較して依然として低い水準にある。子どもの体力低下は将来的に国民全体の体力低下につながり,ひいては社会全体の活力が失われる事態が危惧される。このような状況を改善するため,文部科学省では,子どもの体力向上に向けた総合的な施策を推進している。平成20年度には,小学校五年生,中学校二年生の児童生徒の体力の全国的な状況を調査するとともに,運動習慣や生活習慣,食習慣に関するアンケートを実施した。文部科学省では,本調査結果を活用し,学校や地域における体力向上に向けた取組を推進することとしている。また,学校,家庭,スポーツ団体等,地域社会全体で連携をとりながら子どもの体力向上に向けた取組を実施し,その定着を図るモデル事業や,子どもの発達段階に応じた体力向上プログラムの開発などを実施することとしている。

イ 学校におけるスポーツの振興(文部科学省)

体育・保健体育は,心と体を一体としてとらえ,運動についての理解と合理的な実践を通して,積極的に運動に親しむ資質や能力を育てるとともに,体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てることをねらいとしている。

文部科学省では,平成20年3月に小・中学校の学習指導要領を改訂するとともに,体育の年間の授業時数を90時間から105時間(一部学年を除く)に増加することとした。

また,学習指導要領の趣旨に基づき適切に学習指導を展開するための指導資料の作成や教員の指導力向上を図るための研修会・講習会を実施している。

ウ 地域における身近なスポーツ環境の整備(文部科学省)

心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民の誰もが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブ等,地域における総合的なスポーツの場の育成・整備を始めとした取組への支援を推進している。

エ 都市公園の整備(国土交通省)

学童期から思春期の子どもなどが,手軽に各種のスポーツが行える都市公園やスポーツ活動の拠点となる都市公園の整備を推進している。

(3)コミュニケーション能力や規範意識等の育成(警察庁,文部科学省,厚生労働省)

近年,少年による社会の耳目を集める重大な事件が発生しており,善悪の判断などの規範意識や倫理観などの育成を図ることが,これまで以上に求められている。

特に,いじめ問題が依然として教育上の大きな課題となっており,「いじめは許されないことである」という認識を子どもに徹底する必要がある。

このため,学校・家庭・地域等が十分連携を図り,子どもの豊かな人間性や社会性などをはぐくむ取組を進める必要がある。

ア 学校教育等における取組(警察庁,文部科学省)

学校教育においては,学習指導要領に基づき,国語や道徳,特別活動を始め,学校の教育活動全体を通じて,誰に対しても思いやりの心を持つことや,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にすることなどについて指導するとともに,伝え合う力の育成を重視し,発表・討論を積極的に取り入れた学習活動が行われている。

また,青少年教育施設では,社会性や協調性などをはぐくむため,自然体験や集団宿泊体験等の様々な体験活動の機会を提供している。

警察では,警察職員や少年警察ボランティアを学校に派遣して非行防止教室を開催し,具体的な非行事例等を題材にして直接少年に語りかけることにより,少年自身に罪を犯すことの社会的意味等を認識させ,少年の非行防止を図っている。

イ 青少年の薬物乱用防止対策(警察庁,文部科学省,厚生労働省)

政府では,「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」等における広報啓発の積極的な展開,少年に対する薬物の供給源となっている外国人密売人等に対する取締りの強化等の各種施策を実施している(参照ページ)。

(4)安全教育

参照ページ

ア 子どもの防犯(警察庁)

警察では,子どもが犯罪に巻き込まれる危険を予見する能力や危険を回避する能力を向上させるため,小学校や教育委員会と連携し,学年や理解度に応じて,子どもが参加,体験できる防犯教室を開催している。

イ 学校における安全教育(文部科学省)

学校においては,子どもが犯罪被害,交通事故及び自然災害等の危険から身を守るため,子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させるとともに,家庭や地域と連携を図りながら,学校の教育活動全体を通じて,子どもの発達段階に応じた安全教育を推進している。

文部科学省では,各地域での講習会の指導者となる教職員等を対象に,防犯訓練や応急手当等の講習を行い,子どもの安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援を行うなど各学校における子どもに危険予測能力や危険回避能力を身に付けさせる取組などを推進している。

また,平成19年度には,小学生向けの防災教育教材を作成している。

ウ 交通安全教育(警察庁)

警察では,学童期にある子どもに対して,歩行者及び自転車の利用者として必要な技能と知識を習得し,道路交通における危険を予測・回避して安全に通行する意識及び能力を高めるため,小学校等において,歩行者としての心得,自転車の安全な利用,交通ルールの意味や必要性等について重点的に交通安全教育を実施するとともに,保護者に対する交通安全講習会等を開催している。

エ 防災教育(消防庁)

消防庁では,子どもたちに防災や火災予防の啓蒙ができるよう防災教育に取り組んでいる(参照ページ)。

(5)環境教育(文部科学省)

現在,温暖化や自然破壊など地球環境の悪化が深刻化し,環境問題は人類の生存と繁栄にとって緊急かつ重要な課題となっている。豊かな自然環境を守り,未来へと引き継いでいくためには,子どもたちを含めた一人一人が環境問題に関心を持ち,自ら環境保全活動に取り組んでいく態度を養っていく必要がある。

このような中,平成18年12月に成立した改正「教育基本法」には,教育の目標として「生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと」(第2条第4項)が新たに規定された。

文部科学省では,子どもたちがその発達段階に応じて,様々な機会に環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう,学校教育及び社会教育において環境教育の推進のために必要な施策に取り組んでいる。

学校教育においては,平成20年3月に小・中学校,平成21年3月に高等学校の学習指導要領を改訂し,社会科や理科,技術・家庭科など関連の深い教科を中心に環境教育に関する内容の充実を図った。

学校施設においても,環境を考慮した学校施設(エコスクール)づくりを図ることは,環境教育の教材としての活用や環境負荷低減の効果が期待されるところであり,太陽光パネルの設置や学校ビオトープ※11,校庭の芝生化等エコスクールの整備を進めている。

また,農山漁村における長期宿泊体験活動を推進するため,関係省庁と連携した「子ども農山漁村交流プロジェクト」を実施している。

青少年教育施設においては,豊かな自然環境を生かし,体験型の環境学習や自然体験活動の機会を提供するなど,環境教育の推進に取り組んでいる。

3 学力の向上

(1)知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立(文部科学省)

「知識基盤社会」の時代と言われる21世紀においては,確かな学力,豊かな心,健やかな体の調和を重視する「生きる力」をはぐくむことがますます重要になっている。平成18年12月の教育基本法改正,平成19年6月の学校教育法改正においても,知・徳・体のバランスとともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力等及び学習意欲を重視し,学校教育においてこれらを調和的にはぐくむことが必要である旨が法律上規定されたところである。

中央教育審議会においては,このような法改正を踏まえた審議が行われ,「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(平成20年1月17日中央教育審議会答申)が文部科学大臣に提出された。この答申を踏まえ,文部科学省においては,平成20年3月に小学校学習指導要領の改訂を行った。

今回の改訂は,

<1> 教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成すること

<2> 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること

<3> 道徳教育や体育などの充実により,豊かな心と健やかな体を育成すること

を基本的なねらいとしている。このねらいを達成するために,言語活動の充実,理数教育の充実,伝統や文化に関する教育の充実,道徳教育の充実,体験活動の充実,外国語教育の充実など教育内容の改善を行うとともに,授業時数を増加させることとした。

新学習指導要領は,小学校は平成23年度から(中学校は平成24年度から)全面実施となるが,平成21年4月から移行措置として一部を先行して実施することとしている。

(2)全国的な学力の把握・評価(文部科学省)

小学校第6学年及び中学校第3学年の原則として全児童生徒を対象とし,国語及び算数・数学,並びに生活習慣や学習環境に関する質問紙調査について,平成19年度から全国学力・学習状況調査を実施している。3回目となる平成21年度調査について,平成21年4月21日に実施した。

調査の目的は,

<1> 国として全国的な義務教育の機会均等とその水準の維持向上を図るために,子どもの学力や学習状況をきめ細かく把握すること

<2> 全国的な状況との関連において各教育委員会・学校が自らの状況を把握し,指導や施策の改善に取り組むこと

<3> 各学校において,子ども一人一人への指導や学習状況の改善に役立てること

である。

調査結果の活用については,調査の目的にかんがみ,児童生徒の学力や学習状況を把握するだけでなく,調査結果の多面的な分析を行い,その結果を教育施策や教育指導の改善につなげていくことが重要である。

また,各教育委員会,学校が,調査結果を十分活用し,それぞれの地域や学校の状況や明らかになった課題等に応じて教育施策や指導の改善を図っていくよう促すとともに,調査結果等を活用した改善に向けた取組の支援を行うこととしている。

4 社会的自立につながる活動機会の保障

(1)集団遊びの機会の確保

ア 多様な活動機会・場所づくり(文部科学省)

平成20年3月に公示された小・中学校の学習指導要領に体験活動の一層の充実について記載され,また,平成20年7月に閣議決定された教育振興基本計画に「様々な体験活動を行う機会を提供」することと記載されていることから,子どもたちの体験活動機会の充実を図る施策を推進してきている。

イ 「放課後子どもプラン」の推進(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省と厚生労働省では,両省が連携し,地域社会の中で,放課後等に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するための総合的な放課後対策として「放課後子どもプラン」を平成19年度に創設し,推進している(参照ページ)。

ウ 児童館(厚生労働省)

児童に健全な遊びを与えて,その健康を増進し,情操を豊かにすることを目的とする児童館の整備を進めることにより,集団遊びや異年齢児の交流の機会を確保している(参照ページ)。

エ 都市公園(国土交通省)

子どもを始め,幅広い年齢層の自然との触れ合い,レクリエーション活動,健康運動,文化活動等多様な活動拠点となる都市公園の整備,運動広場や各種の遊戯施設,運動施設等を有する都市公園の整備を推進している。

(2)ボランティアなど社会奉仕体験活動

ア ボランティア活動の支援・推進(文部科学省)

文部科学省では,現在,学校内外を通じたボランティア活動など,社会奉仕体験活動,自然体験活動及びその他の体験活動の充実を図るため,例えば,「豊かな体験活動推進事業」において,他校のモデルとなる体験活動に取り組み,ここで得られた実践成果をブロックごとに開催する会議等を通じて広く全国に普及させるなど,様々な取組を進めている。

イ 山地・河川での活動(国土交通省)

荒廃山地における山腹緑化を推進するため,環境学習等の一環として,地元の小・中学生による体験植樹等を推進している。

また,市民が主体となった良好な河川環境の保全を進めるため,河川を一定の区間ごとに区切って堤防・高水敷の除草・清掃等の管理を,青少年も含めた市民に実施してもらう「市民等と連携した河川管理」を推進している。

(3)学校での特別活動の推進(文部科学省)

学校教育においては,学級活動や児童会活動,クラブ活動及び学校行事から成る特別活動を行うことにより,望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るとともに,集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育てるとともに,自己の生き方についての考えを深め,自己を生かす能力を養うための指導が行われている。

文部科学省では,平成21年4月から一部先行実施されている新学習指導要領の趣旨の徹底を図り,引き続き,学校での特別活動の推進を図っていくこととしている。

(4)都市と農山漁村の共生・対流の促進(文部科学省,農林水産省)

ア 子どもの農山漁村交流

農林水産省では,文部科学省,総務省と連携して,小学生が農山漁村で1週間程度の長期宿泊体験活動を行う「子ども農山漁村交流プロジェクト」を推進し,受入地域の拡大の核となるモデル地域を選定し,受入体制の整備への支援を行うほか,受入地域と小学校とのコーディネートに向けた情報の受発信の整備などを支援することとしている。

イ 子どもの学校や地域における農業体験

一連の農作業等の体験の機会を提供する「教育ファーム」の取組を推進するとともに,各地の農業体験活動を定着させるため,農業体験に取り組む子どもたちの全国的な交流の場づくりへの支援及び農業体験学習の現場での受入れに関する情報提供等への支援を行っている。

ウ 子どもの森林・林業体験

子どもたちが森林において様々な体験活動を行う機会を提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を推進している。また,国有林野事業では,「遊々の森」制度により継続的に体験活動が展開できる場を提供している。そのほか,農山漁村における体験活動とも連携し,森林・林業に関する学習・体験活動のためのフィールド整備及びプログラムの作成を行うこととしている。

エ 子どもの漁業体験

海,水産業及び漁村について,子どもたちの理解を深める上で重要な学校内外の活動の一環として行われる漁業体験活動や自然体験活動を促進するため,漁業体験等の普及啓発活動への支援及び体験活動の場の整備への支援を行うとともに,漁村の受入体制の整備などへの支援を行っている。

(5)地域等での多様な活動

ア 自然体験活動(文部科学省)

文部科学省では,次代を担う自立した青少年の育成を図るため,小学校における長期自然体験活動の指導者養成等に取り組むとともに,青少年の発達段階に応じた自然体験,関係省庁と連携による自然体験活動を推進するためのネットワークづくりなど青少年の様々な課題に対応した体験活動を推進している。

また,独立行政法人国立青少年教育振興機構においては,青少年の自然体験活動等を支援する指導者の養成を行うとともに,立地条件や各施設の特色を生かした自然体験活動等の機会と場の提供を行っている。

イ 森林環境教育活動(農林水産省)

林野庁では,文部科学省と連携して,子どもたちが入門的な森林・林業体験活動を行う機会を幅広く提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」の受入体制の整備,森林体験活動の場である学校林の整備・活用,児童生徒等に森林・林業への理解を促進するための教材の整備など,森林環境教育活動を推進していくための体制の整備に向けた支援を実施している。

また,国有林野事業においては,教育関係機関等と連携し,森林環境教育活動を実施するとともに,教職員等を対象として,森林観察会や体験林業活動における指導的な役割を担う者への技術的指導等に取り組んでおり,平成19年度は,延べ約11万1千人が参加した。

そのほか,学校等による体験活動等の場を提供するための「遊々の森」の設定に取り組んでおり,平成19年度末現在,139か所,5,572ヘクタールについて学校等と協定を締結している。

ウ 国民参加の森林づくりの推進(農林水産省)

林野庁では,緑と親しみ,緑を愛し,緑を守り育てる活動を目的とした緑の少年団が一堂に会する全国大会・活動発表大会に対する支援を行うとともに,青少年による森林ボランティア活動等に対する支援を行っている。

また,国有林野事業においては,森林ボランティア等による自主的な森林づくり活動の場を提供するための「ふれあいの森」の設定(平成19年度末現在,143か所,4,570ヘクタール),地域の歴史的木造建造物や伝統文化等の継承に貢献するための「木の文化を支える森づくり」に取り組んでいる(平成19年度末現在:19か所)。

エ 自然と触れ合う活動(環境省)

環境省では,地方公共団体等との協力の下,「みどりの月間」(4月15日〜5月14日),「自然に親しむ運動」(7月21日〜8月20日),「全国・自然歩道を歩こう月間」(10月)等を通じて,自然観察会など,自然と触れ合い,親しむ行事を行っている。

また,関係省庁と連携し,農山漁村での自然体験や国立公園内での自然保護官の業務体験といった五感で学ぶ原体験を通じて,次世代を担う子ども達の育成を図るとともに,自然と人との共生や生物多様性保全の理解を深める「『五感で学ぼう!』子ども自然体験プロジェクト」を実施している。

これらにより,青少年が自然と触れ合う機会を提供し,青少年の健全な育成や自然系環境教育の推進に努めている。

このような自然系環境教育活動を積極的に推進するため,自然学校のインストラクターやエコツアーガイドを育成するとともに,国立公園等における活動に協力するボランティアの養成・活動支援等を行う事業等を通じ,活動を担う人材の養成に努めている。

オ 児童館等(厚生労働省)

児童に健全な遊びを与えて,その健康を増進し,情操を豊かにすることを目的とする施設として,児童館がある。児童館には,地域の児童の健全育成の拠点としての機能を有するもののほか,豊かな自然の中で,宿泊施設を備え,野外活動が可能な大型児童館(B型)もあり,自然をいかした遊びを通じて協調性,創造性,忍耐力を高めることを目的としている。

また,放課後児童クラブに伝承遊びのボランティアを派遣する事業を平成16年度から実施するとともに,子育て中の当事者や経験者を活用して,民営の児童館内で一定時間,子育て親子のつどいの場を設ける「地域子育て支援拠点事業(児童館型)」を平成19年度から実施している。

カ 青少年団体への支援(文部科学省)

青少年が,集団の中で自己を確立し,連帯の心を身に付けていく上で,青少年団体活動が果たす教育的役割は大きい。

青少年団体の活動の振興を図るため,独立行政法人国立青少年教育振興機構を始めとする青少年教育施設においては,青少年団体の指導者を対象とした研修を行っており,また,同機構に設置されている「子どもゆめ基金」により,民間団体が実施する様々な体験活動や読書活動等への助成を行っている。

キ 「青少年健全育成フォーラム」の開催(文部科学省)

青少年育成についての啓発と健全育成・非行防止の取組への理解と協力を促し,併せて,関係者の有機的な連携の促進の契機とするため,地域の育成指導者,青少年団体関係者などの参加の下に,我が国や諸外国における青少年健全育成の取組や実践活動などについて,情報交換や協議を行う「青少年健全育成フォーラム」を開催している(平成20年度実績 秋田県400名,富山県170名,熊本県300名)。

ク 「全国生涯学習フェスティバル」(文部科学省)

「全国生涯学習フェスティバル」は,広く国民一般に対し,生涯学習に係る活動を実践する場を全国的な規模で提供すること等により,国民一人一人の生涯学習への意欲を高めるとともに,学習活動への参加を促進し,もって生涯学習の一層の促進を図ることを目的として,文部科学省と開催地道府県等との共催で平成元年度から毎年開催されている(平成20年度は福島県において開催し,約55万4千人が参加)。青少年や青少年教育関係者にとっても,様々なシンポジウム,講演会,展示等バラエティに富んだ学習活動に取り組む機会となっている。

ケ 科学技術に関する青少年等の理解の増進と関心の喚起(文部科学省)

幼少期から高齢者まで広く国民を対象として,科学技術に触れ,体験・学習できる機会の拡充を図るため,関係省庁では,「科学技術基本計画」(平成18年3月閣議決定)を踏まえ,学芸員等の研修,青少年や保護者等を対象とした科学教室,講座等の開設,科学技術に関するテレビ番組の制作,国立科学博物館・日本科学未来館の運営等の各種施策を実施している。

コ 文化活動の奨励(文部科学省)

地域や学校教育の場において,子どもたちが,文化活動に参加したり,優れた芸術文化や歴史的な文化の所産に触れることにより,豊かな心や感性をはぐくむよう,学校,地域社会や文化施設等の相互連絡を密にし,学校の内外における文化活動や鑑賞の機会を確保することは重要である。

このため,文化庁では,オーケストラ等の舞台芸術に身近に触れることができる「本物の舞台芸術体験事業」,芸術家等を学校へ派遣し,講話や実技を披露する「学校への芸術家等派遣事業」及び伝統文化に関する活動を継続的に体験・修得できる機会を提供する「伝統文化こども教室事業」及び学校内外の文化活動を地域で支援する「地域人材の活用による文化活動支援事業」など,子どもの文化芸術体験活動の推進のための施策の一層の充実を図ることとしている。

サ 公民館等(文部科学省)

公民館等は,子どもたちの地域における多様な活動を支える施設である。公民館においては,親子で参加する工作教室など,子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。

また,図書館は,子どもたちが読書の楽しみを知ることのできる教育施設であり,子どもの読書活動の推進に資する施設である。

さらに,博物館は,豊富な学習資源と学芸員等の専門家を有しており,その機能を活用した実験教室など,子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。


※11 環境教育の教材として学校の敷地内に設けられた,地域在来の昆虫や動物などの生き物が暮らすことのできる草地や池などの空間のこと。


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