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第3節 思春期

1 健康の確保・増進

(1)学校における教育・相談体制の充実

ア 学校における健康教育(文部科学省)

学校においては,学校の教育活動全体を通じて,心の健康に関する指導,薬物乱用防止教育,発達段階に応じた性に関する指導,感染症対策,環境衛生への適切な対応,安全教育,食に関する指導等,健康教育の充実を図っている(参照ページ)。

イ 学校における「食育」の推進(文部科学省)

思春期においては,学童期に学習した基礎的事項を土台として,望ましい食習慣の形成や食の自己管理能力が身に付くよう,食に関する指導を継続して実施することが重要である。その際,心身の発育・発達が著しい本期の発達的特徴に十分に配慮する必要がある。文部科学省では,このことを踏まえつつ,学校における食に関する指導の充実を図ることとしている(参照ページ)。

ウ スクールカウンセラーの配置等による教育相談体制の充実(文部科学省)

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等専門家を配置することにより,教育相談体制の充実を図っている(参照ページ)。

(2)地域における相談,医療機関での対応(厚生労働省)

地域において,若者の心の健康,薬物乱用防止,性感染症対策等に関する相談の充実を図るとともに,医療機関による対応の充実を図っている。特に,性に関する健全な意識を涵養(かんよう)し,正しい理解の普及を図るため,価値観を共有する同世代の仲間による相談・教育活動(「ピア・カウンセリング」及び「ピア・エデュケーション」)の普及,平成15年度から,妊娠について悩んでいる若者に,個別に医学的,精神的及び社会的な相談援助を行う場を,医療機関にモデル的に設置するなど相談体制の充実を進めている。

また,保健所等において,妊娠・出産についての悩みに応ずるほか,妊娠について悩んでいる若者を対象に,個別に医学的,精神的,社会的な相談援助を行う場を設置する,モデル的相談事業を実施するなど様々な取組を進めている。

(3)思春期特有の課題への対応(文部科学省,厚生労働省)

思春期の若者には,その年代に特有の課題として飲酒や喫煙,薬物乱用,性に関する問題等があり,政府では,これらの問題発生の防止等について,次のような取組を推進している。

学校における飲酒・喫煙防止教育については,未成年の段階から飲酒や喫煙をしないという態度を育てることをねらいとして,学校の教育活動全体を通じて行われている。

文部科学省では,子どもが自らの心と体の健康を守ることができるよう,喫煙,飲酒,薬物乱用等について総合的に解説した教材を作成・配布している。

また,学校における性に関する指導は,児童生徒の発達段階に応じて,性に関する科学的知識や自ら考え判断する能力を身に付け,適切な行動がとれることをねらいとして,体育科,保健体育科,特別活動,道徳等を中心に学校教育活動全体を通じて行われている。

文部科学省においては,学校において性に関する適切な指導が行われるよう,教職員等を対象とした指導講習会等を実施している。

厚生労働省では,10代の喫煙及び飲酒をなくし,10代の人工妊娠中絶の実施率,性感染症罹患率及び女性の思春期やせ症の発生頻度の減少を実現することを目標とし,正しい知識の普及啓発など,各種の取組を推進している。

また,「健康日本21」及び「健やか親子21」においても,未成年者による喫煙及び飲酒の根絶を目標に掲げており,シンポジウム,ホームページ等の手段を活用して,喫煙及び飲酒による健康影響について情報提供を行っている。

さらに,「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」等における広報啓発の積極的な展開,少年に対する薬物の供給源となっている外国人密売人等に対する取締りの強化等の各種施策を実施している(参照ページ)。

2 日常生活能力及び社会生活能力の習得

(1)基本的な生活習慣の形成(内閣府,文部科学省,厚生労働省,農林水産省)

平成12年に決定した「食生活指針」の具体的実践ツールとして,食事の望ましい組み合わせやおおよその量を簡単に把握できる「食事バランスガイド」を平成17年6月に厚生労働省と農林水産省で決定した。これらをポスター,リーフレット等多様な媒体を活用して普及・啓発し,子どもたちの食生活改善を推進している。

厚生労働省では,平成12年から,9分野70項目の目標を掲げた「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」を推進しており,平成14年には,健康増進法(平14法103)が制定され,「健康日本21」を中核とする国民の健康づくりや疾病予防を更に積極的に推進している。また,平成19年4月に公表した「健康日本21」の中間評価の結果を踏まえ,代表目標項目や新規目標項目を設定するとともに,20年からは「適度な運動」,「適切な食生活」,「禁煙」に焦点を当てた新たな国民運動として「健やか生活習慣国民運動」を展開するなど生活習慣の改善に向けた取組の一層の推進を図っている。

思春期の子どもは朝食欠食の割合が高く,食生活の乱れ,肥満及びやせが見られる。厚生労働省では,朝食欠食の減少に向けた取組や子どもの肥満予防のための食育に関する取組を実施している自治体へ支援を行うとともに,健康づくりのためのボランティアとして活動している食生活改善推進員の食育推進活動を支援するなど,食育の一層の推進を図っている。

文部科学省では,平成18年度から,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,民間団体と連携して「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している。

青少年教育施設では,集団宿泊体験を通じて規律ある生活をする態度を養っており,毎年約2,500万人が全国の青少年教育施設を利用している。特に,国立青少年教育施設では,「早寝早起き朝ごはん運動」に取り組み,子どもの生活リズムの向上に努めている。

(2)体力の向上

ア 子どもの体力向上(文部科学省)

平成20年度には,小学校五年生,中学校二年生の児童生徒の体力の全国的な状況を調査するとともに,運動習慣や生活習慣,食習慣に関するアンケートを実施した。文部科学省では,本調査結果を活用し,学校や地域における体力向上に向けた取組を推進することとしている。また,学校,家庭,スポーツ団体等,地域社会全体で連携をとりながら子どもの体力向上に向けた取組を実施し,その定着を図るモデル事業や,子どもの発達段階に応じた体力向上プログラムの開発などを実施することとしている。(参照ページ)。

イ 学校におけるスポーツの振興(文部科学省)

体育・保健体育は,心と体を一体としてとらえ,運動についての理解と合理的な実践を通して,積極的に運動に親しむ資質や能力を育てるとともに,体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てることをねらいとしている。

文部科学省では,平成20年3月に小・中学校の学習指導要領を改訂するとともに,体育の年間の授業時数を90時間から105時間(一部学年を除く)に増加することとした。

また,学習指導要領の趣旨に基づき適切に学習指導を展開するための指導資料の作成や教員の指導力向上を図るための研修会・講習会を実施している。

ウ 地域における身近なスポーツ環境の整備(文部科学省)

心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民の誰もが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブ等,地域における総合的なスポーツの場の育成・整備を始めとした取組への支援を推進している。

エ 都市公園の整備(国土交通省)

学童期から思春期の子どもなどが,手軽に各種のスポーツが行える都市公園やスポーツ活動の拠点となる都市公園の整備を推進している。

(3)コミュニケーション能力や規範意識等の育成(文部科学省)

学校教育においては,学習指導要領に基づき,国語や道徳,特別活動を始め,学校の教育活動全体を通じて,誰に対しても思いやりの心を持つことや,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にすることなどについて指導するとともに,伝え合う力の育成を重視し,発表・討論を積極的に取り入れた学習活動が行われている。

また,青少年教育施設では,社会性や協調性などをはぐくむため,自然体験や集団宿泊体験等の様々な体験活動の機会を提供している。

万引きは絶対にやってはいけないと考える中学生・高校生の割合は,学年が上がるにつれて減少する傾向があると一部の調査で指摘されており,問題行動の一つの要因となっているとも考えられ,また,社会体験及び生活体験が希薄化する中で,善悪の判断などの規範意識や倫理観などの育成を図ることが,これまで以上に求められている。

このため,学校・家庭・地域等が十分連携を図り,子どもの豊かな人間性や社会性などをはぐくむ取組を進める必要があり,文部科学省では,平成21年4月から新学習指導要領を一部先行実施し,道徳教育について,例えば,法やきまりの意義の理解を深める指導を重視するなど,規範意識の醸成の観点から道徳教育の充実を図るとともに,非行防止教室の開催などにより,少年の非行防止に努めている(参照ページ)。

(4)安全教育

参照ページ

ア 思春期における安全教育(警察庁)

警察では,子どもが犯罪に巻き込まれる危険を予見する能力や危険を回避する能力を向上させるため,学校や教育委員会と連携し,学年や理解度に応じて,子どもが参加,体験できる防犯教室を開催している。

イ 学校における安全教育(文部科学省)

各地域での講習会の指導者となる教職員等を対象に,防犯訓練や応急手当等の講習を行い,子どもの安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援を行うなど各学校における子どもに危険予測能力や危険回避能力を身に付けさせる取組などを推進している。

また,平成20年度には,中学生向けの防災教育教材を作成しており,平成21年度については高校生向けの防災教育教材を作成することとしている。

ウ 交通安全教育(警察庁)

警察では,関係機関・団体と協力しつつ,各年齢層を対象に,交通社会の一員としての責任を自覚させるような交通安全教育を段階的かつ体系的に実施している。

中学生に対しては,特に,自転車で安全に道路を通行するために必要な技能と知識を習得させるとともに,他の人々の安全にも配慮できるようにするため,中学校等において,歩行者としての心得,自転車の安全な利用,自動車等の特性,応急手当等について重点的に交通安全教育を実施している。

高校生に対しては,特に,二輪車の運転者及び自転車の利用者として安全な通行に必要な技能と知識を習得させるとともに,交通社会の一員として交通ルールを遵守し,責任を持って行動できる社会人を育成するため,免許取得前の教育として高等学校等において,自転車の安全な利用,二輪車・自動車の特性,運転者の責任,応急手当等について重点的に交通安全教育を実施している。

さらに,生徒の実態や地域の実情に応じて,二輪車の安全運転を推進する機関・団体やPTA等と連携しながら,二輪車の安全運転に関する意識の高揚と実践力の向上を図っている。

エ 防災教育(消防庁)

消防庁では,子どもたちに防災や火災予防の啓蒙ができるよう防災教育に取り組んでいる(参照ページ)。

(5)社会や経済の仕組みについての現実的理解と知識の習得

学校教育においては,社会科や公民科などの学習を通じて,労働関係法規や公的年金制度の仕組みなどを含む社会や経済の仕組みについて理解を深めさせることとしている。その際,体験的な学習や問題解決的な学習を積極的に取り入れている。

ア 法教育(法務省)

法律専門家ではない一般の人々が,法や司法制度及びこれらの基礎になっている価値を理解し,法的なものの考え方や公正な判断力及び社会への参加意識を身に付けるための教育(法教育)の普及・発展のため,様々な取組を行っている。

具体的には,平成16年11月に,中学生を対象とした法教育教材を作成し,中学校において,この教材に基づいた授業を実践することにより,社会経済活動と法との関係についての理解を深め,社会経済活動に主体的にかかわっていく意識を養うとともに,法や司法を身近なものと感じ,法によって紛争を解決する態度,法(ルール)を自分で創り出し,遵守し,必要に応じて改善していく態度を身に付けるための取組などを促進している。

また,法教育の一層の普及・発展を図るため,平成17年5月に「法教育推進協議会」を発足させ,平成18年度には,上記法教育教材を更に分かりやすく,使いやすくするためのQ&A集及びDVDを作成した。

平成19年から同協議会のもとに,私法分野における法教育の在り方に関する検討等を行うための「私法分野教育検討部会」及び小学生を対象とした法教育教材の作成等を行うための「小学校教材作成部会」が設置され,活発な議論が行われてきた。平成21年には両部会により結果が取りまとめられ,法務省ホームページに掲載するなどして周知を図った。

また,平成21年から法務省内にプロジェクトチームを設置し,法務省関係機関の職員が行う法教育の在り方について検討を行っている。

イ 租税教育(財務省・国税庁)

国税庁では,次代を担う児童生徒が民主主義の根幹である租税の意義や役割を正しく理解し,社会の構成員として税金を納め,その使い道に関心を持ち,さらには納税者として社会や国の在り方を主体的に考えるという自覚を育てることを目的に,租税教育の充実に向けて様々な支援を行っている。

具体的には,各都道府県に設置した租税教育推進協議会(国,地方公共団体及び教育関係者等で構成)を中心に,租税教室の開催,小・中学生向けの租税教育用副教材の作成・配付,教員を対象とした研修会等の実施,税の作文募集などの活動を展開している。

また,国税庁ホームページに「税の学習コーナー」を開設し,租税教育用教材を掲載するなど,学校における租税教育の支援を行っている。

ウ 年金教育(厚生労働省・社会保険庁)

社会保険庁では,公的年金制度について,将来の公的年金制度を担う中学生・高校生に対して,公的年金制度の基本理念である世代間扶養の考え方を正しく理解してもらうことを目的に,年金教育推進員が,中学校・高等学校を訪問し,生徒に対して生徒副読本等を用いて,公的年金制度について説明を行う年金教育を実施している。

また,主に中学校・高等学校の社会科担当教員を対象に年金セミナーを開催し,年金教育の必要性を説き,公的年金の意義・役割等について社会科の授業で取り上げてもらうよう要請を行うとともに,年金セミナーに参加した中学校・高等学校に対して,授業の教材として活用してもらうため,生徒用副読本等を配布している。

なお,学校における年金教育を促進するため,平成15年度から都道府県ごとに,地方社会保険事務局の関係者,教育委員会及び学校の関係者から構成される年金教育推進協議会を設置し,連携の強化を図っている。

エ 金融経済教育(金融庁)

金融やその背景となる経済についての基礎知識に立脚しつつ,自立した個人として判断し意思決定する能力である「金融経済リテラシー」を,国民一人一人に身に付けてもらうため,各年齢期に,金融経済教育に関する様々な取組を実施している。

具体的には,平成15年11月に,中学生・高校生向け副教材「インターネットで学ぼうわたしたちの生活と金融の働き」を作成し,ウェブサイトに掲載した。

平成16年12月には,これから社会人になる高校3年生を対象に金融取引に関する基礎知識を取りまとめた「はじめての金融ガイド」を作成し,ウェブサイトに掲載した。この,「はじめての金融ガイド」については,平成17年2月には,全国のすべての高等学校に配布したが,平成19年2月に,金融に関するトラブル事例,トラブル防止策,困ったことがあった際の相談先等を盛り込むなど大幅に改訂し,全国の高等学校などに配布した。

また,平成17年2月には,「インターネットで学ぼうわたしたちの生活と金融の働き」を全国のすべての中学校・高等学校に配布したが,平成19年3月に,最新の制度改正やトラブル事例を踏まえて改訂し,<1>中学校向け生徒用パンフレット,<2>高等学校向け生徒用CD-ROMを作成して全国の中学校・高等学校に配布した。

さらに,平成19年度においては,金融広報中央委員会が行った学習指導要領の趣旨を踏まえた教育プログラム(金融教育プログラム)の作成に参画したほか,学校における金融経済教育の一層の推進を図るため,全国の財務局・財務事務所において現場教師との懇談会を実施した。

なお,平成20年度においては,5月の消費者月間に合わせ「はじめての金融ガイド」を全国のすべての高等学校に配布した。

(6)ボランティアなど社会奉仕体験活動(文部科学省)

文部科学省では,学童期と同様に,学校内外を通じた奉仕活動・体験活動の充実を図るため,様々な取組を進めている。

例えば,中学生や高校生を含む地域住民が,ボランティア活動や地域の様々な課題を解決する学習や活動などに取り組むことを通じて,住民同士のきずなづくりを推進する事業を実施した。

また,文化ボランティア関係者等の取組に資する先進的・モデル的事業への支援を行う「文化ボランティア推進モデル事業」を実施するなど,文化ボランティアに関する取組を進めている。

さらに,青少年教育施設においては,青少年が地域社会へ参画することを支援するため,ボランティアに関する事業を実施し,ボランティア活動を通じて社会性をはぐくむ機会を提供している。

(7)学校での特別活動の推進(文部科学省)

学校教育においては,学童期と同様に,学級活動,生徒会活動及び学校行事から成る特別活動を行うことにより,望ましい集団活動を通して,心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図るとともに,集団や社会の一員として,よりよい生活や人間関係を築こうとする自主的,実践的な態度を育て,人間としての生き方についての自覚を深め,自己を生かす能力を養うための指導が行われている。

文部科学省では,平成21年4月から一部先行実施されている新学習指導要領の趣旨の徹底を図り,引き続き,学校での特別活動の推進を図っていくこととしている。

(8)国際交流活動

ア 高校生の交流(文部科学省)

文部科学省では,高校生留学の教育上の意義を考慮し,安全で有意義な留学ができるよう,関係機関への指導・助言に努めている。

また,高校生留学プログラムを行う団体により設立された「全国高校生留学・交流団体連絡協議会」(以下「高留連」という。)が行う諸事業を支援し,高校生交流を推進している。具体的には,高留連が実施する情報提供事業や,年間留学プログラムに参加する高校生に対し派遣経費の一部を支援している。

そのほか,以下の事業についても支援している。

<1>(財)エイ・エフ・エス日本協会及び(財)ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団が行う米国及びアジア諸国等からの日本語専攻高校生の受入れ事業

<2>(財)エイ・エフ・エス日本協会が行う,外国語教育の振興に資することを目的として文部科学省が指定した外国語教育多様化推進地域の高校生と,当該地域の研究対象言語国の高校生との交流事業

さらに,文部科学省では,オーストラリア,ドイツ政府等の外国政府が主催する高校生招致事業の募集・選考などに協力している。

なお,海外の青少年との交流を促進するため,平成17年10月に「フレンドシップ・ジャパン・プラン」を策定・公表した。本プランは,平成22年度までに留学や研修,訪日教育旅行等による日本の学校への外国人青少年の受入者数を,策定当時の4万人から8万人に拡大させることを数値目標としており,本プランの達成に向け,関係省等と連携して施策の推進に努めている。

イ 海外高校生の招へい(外務省)

高校訪問・通学,ホームステイ,社会見学等を通じ,海外の若年層の親日派育成等を図るとともに,こうした教育分野における国際交流を通じた我が国の高校生の国際理解促進や国際的視野の醸成を図ることを目的として,団体等を通じ,米国及び欧州諸国の次代を担う高校生を我が国に招へいする「日米若人交流計画」及び「日欧高校生交流プログラム」を実施している。

平成19年度から東アジア首脳会議参加国を中心に,5年間毎年6,000人程度の青少年を招へいする「21世紀東アジア青少年大交流計画」(JENESYSプログラム)を実施している。

そのうち中国との間では,平成20年から4年間,年間4,000人規模の青少年の相互訪問を実現すべく努力することで日中両国政府が合意している。特に,2008年は,日中平和友好条約締結30周年を記念して「日中青少年友好交流年」とされ,日中両国において様々な催しが行われた。

ウ 高校講座(外務省)

国際化の進展に伴い,外交問題が国民により身近なものとなっていることから,次代を担う高校生が,異文化体験,国際情勢,外交官の職務等をテーマに外交に関する認識を高めることを目的に,外務省職員を講師として全国各地の高校へ派遣し,講演する機会を設けている。この「高校講座」を平成20年度は,119校で実施した。

エ 小・中・高校生の外務省訪問(外務省)

外務省への訪問を希望する小・中・高校生を受け入れ,外務省の仕事の内容を紹介し,また,国際問題等についての質問に答え,参加者の外交や国際情勢に対する関心を高めてもらう一助にしている。

(9)都市と農山漁村の交流の促進(農林水産省)

農山漁村や農林水産業への関心と理解を促すため,農山漁村の受入れ体制の整備や都市農村交流体験施設の整備,規制緩和による農林漁家民宿の開業支援等を通じて,農林漁業体験等を行う体験型教育旅行や家族旅行等の受入れを進め,都市と農山漁村の交流の促進を図っている(参照ページ)。

(10)地域等での多様な活動

ア 「全国ユースフォーラム」の開催(文部科学省)

青少年の健全育成を推進していくためには,青少年が社会における自らの役割と責任を自覚することが重要であることを踏まえ,高校生による社会貢献活動に対する取組の在り方,効果的な促進方策等について,高校生が主体となって意見交換や討論を行う「全国ユースフォーラム」を命や環境などに関する15の分科会で開催している。

イ その他の活動(文部科学省,厚生労働省,農林水産省,環境省)

地域においては,様々な体験活動等を通じて青少年の健全な育成を図るための取組が実施されている(参照ページ)。

(11)環境教育(文部科学省)

文部科学省では,子どもたちがその発達段階に応じて,様々な機会に環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう,学校教育及び社会教育において環境教育の推進のために必要な施策に取り組んでいる(参照ページ)。

3 学力の向上

(1)知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立(文部科学省)

文部科学省では,平成20年3月に中学校学習指導要領の改訂を行った。

今回の改訂は,

<1> 教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成すること

<2> 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること

<3> 道徳教育や体育などの充実により,豊かな心と健やかな体を育成すること

を基本的なねらいとしている。

新学習指導要領は,中学校は平成24年度から全面実施となるが,平成20年4月から移行措置として一部を先行して実施したところである(参照ページ)。

(2)全国的な学力の把握・評価(文部科学省)

平成19年度から実施している全国学力・学習状況調査(原則として小学校第6学年及び中学校第3学年の全児童生徒を対象)の3回目を平成21年4月21日に実施した(参照ページ)。

4 就業能力・意欲の習得

(1)勤労観・職業観と職業に関する知識・技能の育成

ア キャリア教育の推進(内閣府,文部科学省,厚生労働省,経済産業省)

近年,若者の勤労観・職業観の希薄化や社会人・職業人としての基礎的・基本的な資質をめぐる課題,高い早期離職率,フリーターやニートの高位推移等が社会問題となっている。こうした中,学校教育において,子どもたちが「生きる力」を身に付け,明確な目的意識を持って日々の学業生活に取り組む姿勢や激しい社会の変化に対応し,主体的に自己の進路を選択・決定できる能力やしっかりした勤労観・職業観を身に付け,社会人・職業人として自立していくことができるようにするキャリア教育の推進が強く求められている。

このキャリア教育等の推進に向けた取組を強化・加速化するため,政府では,内閣府特命担当大臣(青少年育成),文部科学大臣,厚生労働大臣及び経済産業大臣で構成するキャリア教育等推進会議において,平成19年5月に「キャリア教育等推進プラン」を取りまとめた。

文部科学省においては,平成17年度から,中学校を中心とした5日間以上の職場体験を実施する「キャリア・スタート・ウィーク」を平成20年度も引き続き実施するなど,キャリア教育の更なる推進を図ってきた。平成21年度は「発達段階に応じたキャリア教育推進事業」により,小中学校の組織的・系統的な学習指導の推進や,地域の特性等の課題の克服の調査研究を進めている。

一方,これまで高等学校におけるキャリア教育に関する取組は十分とはいえないとの指摘があるため,高等学校,特に普通科におけるキャリア教育を充実するため,「高等学校におけるキャリア教育の在り方に関する調査研究」を平成19年度から実施している。

また,平成15年度から専門高校が大学や研究機関などと連携して行う先端的技術・技能の習得などを取り入れた特色ある教育を支援する「目指せスペシャリスト(スーパー専門高校)」事業を実施している。

さらに,平成19年度から経済産業省と,平成20年度からは国土交通省及び農林水産省とも連携し,専門高校と地域産業界が連携して地域のものづくりや食・くらし産業を担う専門的職業人を育成する取組を支援する事業「地域産業の担い手育成プロジェクト」を実施している。

また,文部科学省では,上記の取組に加え,今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について,平成20年12月,中央教育審議会に対して諮問を行ったところである。

経済産業省では,平成17年度から3年間,民間主体のコーディネーターを活用し,小・中・高等学校の段階から働く意義や面白さの理解を深める「地域自律・民間活用型キャリア教育プロジェクト」を行った。平成19年度は,全国で2地域,約300校,約4万人の生徒を対象にキャリア教育を実施し,地域一体となったキャリア教育のモデルを構築した。

また,これらのノウハウ等を「キャリア教育ガイドブック」として取りまとめ,公表した。

http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/career-education/index.html

平成20年度は,こうしたコーディネーターへのニーズの高まりを受け,ノウハウのさらなる普及を図る観点から,コーディネーターを育成・評価する事業を全国8地域で実施した。

なお,これらキャリア教育等の推進に向けた取組を強化・加速化するため,平成20年7月に閣議決定された「教育振興基本計画」においては,今後5年間に取り組むべき施策の中で「特に重点的に取り組むべき事項」として,キャリア教育の推進が盛り込まれている。

イ 職業に関する体験学習のためのプログラム等(厚生労働省)

企業人等働く者を講師として学校に派遣し,職業や産業の実態,働くことの意義,職業生活等に関して生徒に理解させ自ら考えさせる「キャリア探索プログラム」を高等学校のほか,小・中学校でも実施しており,平成20年度には,約4千の小・中・高等学校において,約39万人の児童生徒が参加した。

また,「私のしごと館」(関西文化学術研究都市(京都府精華・西木津地区))において,多種多様な職業体験や総合的な職業情報の提供,相談の実施等,若年者のキャリア形成を総合的に支援している。

ウ 女性若年層に対する就業促進(内閣府,文部科学省)

内閣府では,平成17年度から,女性若年層に対して,女性の進出が遅れている理工系等の分野に関する情報提供等を行っており,平成21年度も引き続き実施する。

文部科学省では「女子中高生の理系進路選択支援事業」を実施しており,平成20年度は11機関において,科学技術分野で活躍する女性研究者・技術者,大学生等と女子中高生の交流機会の提供や実験教室,出前授業の実施等が行われている。

また,独立行政法人国立女性教育会館において,多様なキャリア形成を支援するための情報提供システムを引き続き運用する。

(2)就職支援(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省では,進路指導主事等と連携して就職希望生徒に対する就職相談,求人企業の開拓などを行う「高等学校就職支援教員」(ジョブ・サポート・ティーチャー)を配置し,高等学校において活用している(平成20年度実績 30都道府県において119名配置)。

厚生労働省では,全国の公共職業安定所に「高卒就職ジョブサポーター」を配置しており,在学中の早い段階からの職場見学等による職業理解の促進から,就職後の職場定着までの各段階を通じて一貫した支援を行っていくとともに,職業への理解促進,就職活動の仕方などに関する講習を行う「就職ガイダンス」について,常用就職者とフリーターとの賃金や生活面での格差の実態等フリーター化の防止に資する内容等も盛り込み,就職希望者が多い学校の希望者にガイダンスが実施できるよう支援している。

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