本編目次  前頁前頁  次頁次頁
-
-
第4章 青少年の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備施策
第1節 家庭,学校及び地域の相互の関係の再構築

1 保護者等への支援を行う「家庭を開く」取組

(1)家庭教育支援(文部科学省)

家庭教育に関する様々な学習機会や情報の提供等を通じ,家庭教育を支援している。

平成20年度においては,身近な地域において「家庭教育支援チーム」を設置し,情報や学習機会の提供,相談体制の充実をはじめとするきめ細かな家庭教育支援を行うことにより,地域全体で家庭教育を支えていく基盤を形成する「地域における家庭教育支援基盤形成事業」を実施した。また,家庭教育に関するヒント集として,「家庭教育手帳」を作成し,全国の教育委員会等に提供して,家庭教育に関する学習機会などで活用を図っている。

さらに,平成18年度から,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,民間団体と連携して「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している。

(2)ひとり親家庭への支援(厚生労働省)

母子家庭等対策については,平成14年に「母子及び寡婦福祉法」(平14法119)等が改正され,平成15年には「母子家庭の母の就業の支援に関する特別措置法」(平15法126。以下「特別措置法」という。)が成立し,就業・自立に主眼を置いて,

<1> 子育て・生活支援策

<2> 就業支援策

<3> 養育費の確保策

<4> 経済的支援策

といった総合的な自立支援策を展開している。

さらに,「生活対策」(平成20年10月30日新たな経済対策に関する政府・与党会議,経済対策閣僚会議合同会議)に基づき,平成21年2月から高等技能訓練促進費の支給期間の延長を実施しているところであり,21年度においても,引き続きこれを実施するなど,母子家庭の母の就業支援策等の充実を図ることとしている。

(3)経済的困難を抱える家庭への支援

ア 生活保護(厚生労働省)

生活保護制度は,生活に困窮する者が,その利用し得る資産,稼働能力,他の法律や施策などを活用してもなお最低限度の生活を維持できない場合に,その困窮の程度に応じて保護を行うものであり,健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに,その自立の助長を目的とする制度である。

生活保護制度においては,生活保護を受給する有子世帯の自立を支援する観点から,新たに高等学校等への就学費用について保護費を支給している。

また,就労しているひとり親世帯,就業訓練等を受けているひとり親世帯に対し,平成19年度から「ひとり親世帯就労促進費」を母子加算に代わり支給し,自立に向けて努力しているひとり親世帯を支援するとともに,平成21年度から「就労意欲喚起等支援事業」を創設し,専門的な経験,知識等を有するNPO法人や民間職業紹介事業者等を活用するなどして就労に向けた課題を多く抱える生活保護受給者に対する就労支援に取り組むこととしている。

イ 就学支援(文部科学省)

経済的理由により小・中学校への就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して,市町村は,必要な援助を与えなければならないこととされており,各市町村において,学用品の給与等の就学援助が行われている。

2 外部の力も活用した「開かれた学校」づくり

(1)家庭・地域と一体となった学校の活性化

ア 学校裁量の拡大(文部科学省)

学校が,地域や子どもたちの実情に応じて特色ある教育活動に主体的に取り組めるよう,承認・届出等の教育委員会の関与の縮減や,教育課程・学校予算についての学校の裁量を拡大する取組を行っている。

イ 保護者や地域住民の学校運営への参加(文部科学省)

保護者や地域住民が学校運営に参画する新たな仕組みとして,平成16年6月の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭31法162)の改正により,学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)が創設され,同年9月から施行されており,平成20年4月1日現在,343校に導入されている。

ウ 学校評価と情報提供の推進(文部科学省)

学校運営の改善と発展を目指すため,学校は,教育活動等の成果の検証を行うとともに,保護者,地域住民等からの理解と参画を得て,学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを進めることが重要である。このような状況を踏まえ,平成19年6月の学校教育法改正により,学校評価に関する総合的な規定が新設されるとともに,学校の積極的な情報提供に関する規定が設けられた。

さらに,平成19年10月には,学校教育法施行規則において,

<1> 教職員による自己評価の実施・公表

<2> 保護者など学校関係者による評価の実施・公表

<3> 評価結果の設置者への報告

について新たに規定された。

上記の法令改正を受け,平成20年1月に高等学校や特別支援学校まで対象にした形で「義務教育諸学校における学校評価ガイドライン」を改訂し,学校や設置者における取組の参考となる目安を示した。この「学校評価ガイドライン〔改訂〕」においては,学校評価を以下のように整理した。

<1> 各学校の全教職員が行う自己評価

<2> 保護者や地域住民等が能動的・主体的に評価に参画する学校関係者評価

<3> 学校と直接関係を有しない専門家等による客観的・専門的な視点から行う第三評価

各学校においては,法令の規定に基づき,毎年度,自己評価を実施するとともに,その結果を広く公表し,設置者に報告することが求められている。また,報告を受ける設置者においては,学校の自己評価等の結果の報告を踏まえ,必要な支援を行っていくことが期待されている。

なお,第三者評価に関しては,今後,学校の第三者評価についてのガイドラインの策定に向け,その在り方について,さらに検討を深めることとしている。

エ 学校の外部資源の活用(文部科学省)

学校が,多様な要請にこたえつつ,特色ある教育を推進していくためには,教育の様々な分野において,学校の外部にある資源の活用を積極的に進めることが有効である。

このため,平成20年度から授業の補助,読み聞かせや環境整備,登下校パトロールなどについて,地域住民がボランティアとして学校をサポートする「学校支援地域本部事業」が実施されており,20年度は867市町村,2,145本部が設置されている。こうした取組を通じて,学校と学校外の社会の連携・協力が強化され,開かれた学校づくりの促進も期待される。

オ 高等学校教育改革の推進と中高一貫教育(文部科学省)

現在,高等学校等への進学率は約98%に達しており,多様化する生徒の実情を踏まえつつ,生徒や保護者,地域,社会のニーズに対応した特色ある高等学校づくりが求められている。

この要請に応じ,文部科学省としては,総合学科,単位制高等学校,中高一貫教育制度を創設するなど高等学校教育改革の推進を図ってきたところである。

<1> 中高一貫教育

中高一貫教育は,これまでの中学校・高等学校に加えて,生徒や保護者が中高一貫教育校も選択できるようにすることにより,中等教育の一層の多様化を進めることを目的として,平成11年度から制度化されており,平成20年度までに334校が設置されている。

中高一貫教育校には,修業年限6年の学校として,一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校,高等学校入学者選抜を行わず,同一の設置者による中学校と高等学校を接続する併設型中高一貫教育校,市町村立中学校と都道府県立高等学校など,異なる設置者による中学校と高等学校が,教育課程の編成や教員・生徒間交流などの連携を深める形で,中高一貫教育を実施する連携型中高一貫教育校の3つの形態がある。

また,中高一貫教育校として特色ある教育課程を編成することができるよう,実施形態に応じて,教育課程の基準の特例を設けている。

<2> 総合学科

総合学科は,普通教育を主とする学科である「普通科」,専門教育を主とする学科である「専門学科」に並ぶものとして,普通教育と専門教育とを総合的に行う学科として,平成6年度から制度化されており,平成20年度までに334校が設置されている。

総合学科の特色としては,生徒の主体的な学習を促し,個性を伸張させるため,将来の進路への自覚を深めさせる学習や,生徒の個性を生かした主体的な学習を通して学ぶことの楽しさや成就感を体験させる学習が重視されている。

<3> 単位制高等学校

単位制高等学校は,生徒の幅広いニーズにこたえる多様な履修形態を可能にするため,学年による教育課程の区分を設けず,卒業までに所要の単位を修得すれば卒業が認められる学校であり,平成20年度までに857校が設置されている。

単位制高等学校の特色としては,自分の学習計画に基づき,興味,関心などに応じた科目を選択し学習できることや,学年の区分がなく,自分のペースで学習に取り組むことができることなどが挙げられる。

(2)教育・相談の体制や機能の充実

ア 教員養成・免許制度(文部科学省)

教員養成・免許制度については,いじめ・不登校,性教育,薬物乱用等の問題に対応するため,養護教諭が保健の授業を担任することを可能とするとともに,児童生徒の心理や発達段階に配慮した食に関する指導や管理を行うための栄養教諭の制度を整備している。

さらに,優れた知識経験や技術を有する者に免許状を授与できる制度(特別免許状制度)や,免許状を持たない社会人が教壇に立てる制度(特別非常勤制度)の改善により,地域の人材や社会人等を活用して,学校教育の多様化への対応や活性化を図っている。

また,教員がその時々で求められる最新の知識技能を修得し,自身と誇りを持って教壇に立ち,社会の尊敬と信頼を得ることを目的して,教員免許更新制が平成21年度から実施されている。本制度により現職教員等は,10年ごとに免許状更新講習を受講・修了することが必要となったが,生徒指導等を内容とするものも開設されている。

イ 教員研修(文部科学省)

教員研修に関しては,教員の資質能力の向上を図るため,公学校の新任教員に対する採用後1年間の初任者研修や,在職期間が10年に達した教員に対して個々の能力,適性等に応じた研修を行う10年経験者研修が制度化されている。

なお,独立行政法人教員研修センターでは,国が行うべき研修として,各地域における指導者を養成するための学校管理研修や喫緊課題に関する研修を実施している。

ウ 教員(実績)評価(文部科学省)

教員の能力や実績をきちんと評価し,その結果を人事や処遇,研修などに適切に反映させることが重要であることから,各教育委員会に委嘱して調査研究を実施するなどして,教員評価制度の改善・充実を促してきた。この結果,平成19年度末までには,教員の能力や実績を評価するための新しいシステムを試行・実施している教育委員会は,64都道府県・指定都市の全てとなっている。

エ 学級編制と教職員配置(文部科学省)

公立の小学校,中学校(中等教育学校の前期課程を含む。),高等学校及び特別支援学校における学級編制と教職員配置については,「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭33法116)及び「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」(昭36法118)(以下「義務標準法等」という。)において,学級編制と教職員定数の標準を定めることにより,児童生徒の学習活動や学校生活の基本的な単位である学級の規模の適正化を図るとともに,教育活動を円滑に行うために必要な教職員を確保するための教育条件の整備を図っている。

学級編制及び教職員定数については,義務標準法等の制定以来,累次の公立義務教育諸学校教職員定数改善計画及び公立高等学校教職員定数改善計画により,計画的な改善を行い,40人学級の実現や習熟度別少人数指導の実施を図ってきた。

平成21年度においては,子どもたちの学力の向上と規範意識の育成を図るため,教員が子どもと向き合う環境をつくることができるよう,1,000人の教職員定数の改善を始めとして,14,000人の退職教員等外部人材活用事業,学校支援地域本部の拡充などを実施している。

なお,学級編制については,地方の自主性を高める観点等から,平成13年度以降,各都道府県教育委員会の判断により,40人を下回る学級編制の基準を定めることが可能となるよう,順次,運用の弾力化を図ってきており,この結果,平成20年度においては,46道府県において小学校低学年を中心に少人数学級を実施している。

オ 学校における教育相談体制の充実(文部科学省)

児童生徒の問題行動等や不登校の未然防止及び早期発見・早期対応のためには,子どもたちの悩みや不安を受け止めて相談に当たることや,関係機関等と連携して必要な支援をしていくことが大切である。

このため,「心の専門家」であるスクールカウンセラーを全公立中学校約1万校・公立小学校約1千校に配置できるよう必要な経費を措置している。

また,子ども等がいつでも相談できるよう,各都道府県及び指定都市の教育委員会が実施している電話相談について,夜間・休日を今の24時間体制で対応できるよう必要な経費を措置している。

加えて,児童生徒の問題行動等の状況や背景には,児童生徒の心の問題とともに,家庭,友人関係,地域,学校等の児童生徒が置かれている環境の問題が複雑に絡み合っているものと考えられることから,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて,児童相談所等の関係機関等とのネットワークを活用するなど,児童生徒が置かれた様々な環境に働き掛けたり,関係機関等とのネットワークを活用して,問題を抱える児童生徒に支援を行う専門家であるスクールソーシャルワーカーについて,適切に配置できるよう,必要な経費を措置している。

(3)安全管理の徹底(文部科学省)

学校における事件等が大きな問題となっている状況を踏まえ,文部科学省では,平成14年度から,学校安全の充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を推進している(参照ページ)。

3 豊かな体験・交流のための取組

(1)体験・交流活動等の場づくり

ア 青少年教育施設(文部科学省)

青少年教育施設は,体験活動を中心とする様々な教育プログラムの実施や,青少年が行う自主的な活動の支援などにより,健全な青少年の育成や青少年教育の振興を図ることを主たる目的として設置された施設である。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設(全国28施設)を通じて,青少年を対象とした総合的・体系的な体験活動などの機会を提供しており,平成20年度は約487万人の方に利用されている。

また,教育的研修支援や青少年教育に関する調査研究などを実施し,それらの成果を全国約700の公立青少年教育施設や関係団体などへ普及している。

参照:http://www.niye.go.jp/

イ 都市公園(国土交通省)

スポーツやレクリエーション活動等を通じて,青少年や家族が交流を図ることができる都市公園の整備を推進している。

ウ 自然公園等(環境省)

自然公園は,優れた自然の風景地を保護するとともに,その利用の増進を図ることにより,国民の保健,休養及び教化に資することを目的として指定されており,青少年を含め広く国民の自然との触れ合いや野外活動の場として重要な役割を果たしている。平成20年度末現在,国立公園29か所,国定公園56か所,都道府県県立自然公園309か所が指定されており,平成19年における利用者は,約9億人に達している。

近年,大きく高まっている自然との触れ合い等に対する国民の要請にこたえるため,環境省では,平成20年度において,全国29の国立公園における直轄事業の実施及び36都道府県が実施する国定公園等整備に自然環境整備交付金を交付することにより,自然に学び,自然を体験することができる場づくりとして,ビジターセンター,散策路,長距離自然歩道等の整備を行っており,平成21年度も引き続き整備を推進していく。

このほか,環境学習・保全調査や過去に損なわれた自然環境を再生するための自然再生事業,新宿御苑などの国民公園における青少年を含め広く国民に供するための施設整備を実施している。

エ スポーツ活動の場(文部科学省)

<1> 地域における身近なスポーツ環境の整備

心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民の誰もが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブ等,地域における総合的なスポーツの場の育成・整備を始めとした取組への支援を推進している。

<2> スポーツ施設

体育・スポーツ施設は,青少年を始めとする地域住民の日常スポーツ活動の場であり,近年のスポーツニーズの多様化・高度化に伴い,魅力的な施設づくりが望まれている。

平成14年現在,全国に体育・スポーツ施設は,約24万か所あり,そのうち,学校体育・スポーツ施設が約62%,公共スポーツ施設が約24%,民間スポーツ施設が約7%,大学・高専体育施設が約4%,職場スポーツ施設が約4%となっている。

これらのうち,地域住民の身近なスポーツ活動の場となる学校体育・スポーツ施設についてみると,最も設置数の多い施設は体育館で,約4万か所となっており,次いで,多目的運動広場が約3万8,700か所,水泳プール(屋外)が約3万か所,庭球場(屋外)が約1万1,000か所となっている。

国民の日常生活における体力つくりやスポーツ活動の場及び青少年の遊び場が不足している今日,地域住民のスポーツ活動の場として,学校体育施設を地域住民に対し積極的に開放することが望まれている。平成13年現在,その開放率は,公立の小・中・高等学校を合わせて,屋外運動場約80%,体育館約87%,水泳プール約26%となっている。

オ 自然体験活動の場(文部科学省,農林水産省,国土交通省)

子どもたちの体験活動の推進を図るため,自然環境の豊かな河川・農業用水路・漁港等が,子どもたちの遊びや自然体験活動の場として活用されるよう,関係省庁が連携したプロジェクト・事業を実施することにより,子どもたちの体験活動の場の整備を推進している。

<1> 都市漁村交流の推進(農林水産省)

自然環境豊かな漁村において,子どもたちが漁業体験や自然観察等の体験学習を行うための施設など漁業協同組合や地方公共団体が行う交流基盤施設の整備を支援し,都市と漁村の交流などを推進している。

<2> いきいき・海の子・浜づくりの推進(文部科学省,農林水産省,国土交通省)

文部科学省,農林水産省及び国土交通省が連携し,青少年等が海辺における自然・社会教育活動等を安全に楽しめ,また,都市・農漁村及び世代間の交流の場となる海岸を創出することを目的とした「いきいき・海の子・浜づくり」を平成20年度は12か所で実施している。

<3> 水辺空間の整備(文部科学省,国土交通省)

地域の身近に存在する川などの水辺空間(「子どもの水辺」)における環境学習・自然体験活動を推進するため,国土交通省,文部科学省及び環境省が連携した「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」を実施している(平成20年度末登録数:282か所)。このプロジェクトは,市民団体や教育関係者,河川管理者等が一体となって取り組む体制を整備するとともに,「子どもの水辺サポートセンター」による,水辺での活動に必要な機材(ライフジャケット等)の貸出しや学習プログラムの紹介など,環境学習・自然体験活動を総合的に支援する仕組みを構築し,安全確保や親水空間確保のための水辺の整備が必要な場合には,「水辺の楽校プロジェクト」により,水辺に近づきやすい河岸整備等水辺空間の整備を実施するものである。

<4> レクリエーションの森の整備等(農林水産省)

林野庁では,森林との触れ合いに対する国民の要請の多様化,高度化を踏まえ,国有林野を国民の保健・文化・教育的利用に積極的に供するため,自然休養林等の「レクリエーションの森」について,民間活力をいかしつつ,魅力あるフィールドとして整備し,その活用を推進している。

平成20年4月1日現在,全国1,130か所で394千haが設定されており,平成19年度には延べ1億3千万人の方々に利用されている。

<5> 森林の多様な利用に対応した森林の整備(農林水産省)

林野庁では,青少年を対象にした森林環境教育を始め,森林の多様な利用に資するため,森林環境教育活動の場,市民参加や林業後継者育成に資する林業体験学習の場等の森林・施設の整備に対して,助成している。

また,文部科学省と連携し「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」の受入れが可能な施設として,平成19年度は,全国400か所の森林総合利用施設等を登録している。

カ 地域における環境保全活動(文部科学省,環境省)

環境省では,地域における環境保全活動等を支援する「こどもエコクラブ事業」を地方公共団体等と連携しつつ実施し,環境に関する分かりやすい情報の提供や,全国交流会の実施等を行っている。

また,文部科学省では,地域における環境教育の充実を図るため,関係省庁の連携による自然体験活動や環境学習を推進するための地域ネットワークづくりなどに取り組んでいる。さらに,国立青少年教育振興機構に設置されている「子どもゆめ基金」により,民間団体が実施する体験型の環境学習や自然体験活動等に対する助成を行っている。

キ 大規模自転車道の整備(国土交通省)

交通の安全を確保し,併せて,国民の心身の健全な発達に資することを目的として,自然公園,名勝,観光施設,レクリエーション施設等を結ぶ大規模な自転車道のうち,整備の必要性の極めて高いものについて,都道府県道に認定し,事業費の一部を補助している。

平成19年度までに,全国で約3,500kmの大規模自転車道が完成しており,引き続き,継続路線の整備を推進する。

ク ユースホステルの整備(国土交通省)

ユースホステルは,旅行を通じて青少年の健全な育成を図ることを目的とした施設である。

公営ユースホステルは,国土交通省の補助により,地方公共団体によって設置され,平成21年3月現在,全国22か所が営業中である。

(2)読書活動の推進(文部科学省)

子どもの読書活動は,人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないものであり,子どもの読書活動の推進のための環境整備を図るため,平成13年12月に,「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平13法154)が公布・施行され,この法律に基づき,平成20年3月には,新たな「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(第2次計画)が閣議決定された。

文部科学省では,本計画に基づき,子どもたちが進んで本を手にして,読書活動を楽しむことができるよう,家庭・地域・学校が連携協力した読書活動の推進,司書教諭の養成やリーフレットの作成・配付などを通じた学校図書館の充実,公立図書館の充実を図るほか,地域で読み聞かせを行う読書ボランティアリーダーの育成等の施策を実施している。

また,家庭における読み聞かせの重要性などを盛り込んだ「家庭教育手帳」を作成し,全国の教育委員会等へ提供して,子育て講座など,家庭教育に関する学習機会などで活用を図っている。

さらに,「子どもの読書活動の推進に関する法律」が施行されてからは,毎年「子ども読書の日」(4月23日)に,広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるとともに,子どもの読書活動への意欲を高めるため,文部科学省と独立行政法人国立青少年教育振興機構等の主催で,「子どもの読書活動推進フォーラム」を開催し,各都道府県において子どもの読書を推進する活動が優秀と認められる学校,図書館及び団体(個人含む。)に対して,文部科学大臣表彰の授与,子どもの読書活動を推進している実践事例の発表,作家などによる記念講演などを行っている。

4 青少年が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(1)青少年が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり(警察庁,国土交通省)

近年,幼い子どもが被害者となる犯罪が多発し,子どもを取り巻く環境は厳しいものとなっている。こうした現状を踏まえ,子どもが犯罪等の被害に遭いにくい環境を創出するために次のような取組を行っている。

ア 道路,公園等の公共施設や共同住宅における防犯設備の整備等の推進(警察庁,国土交通省)

警察庁では,平成18年4月,これまでの取組や近年の防犯設備の普及状況等を踏まえ,平成12年2月に策定した「安全・安心まちづくり推進要綱」を見直し,同要綱において「道路,公園,駐車場・駐輪場等の整備・管理に係る防犯上の留意事項」を策定するとともに,「共同住宅に係る防犯上の留意事項」を国土交通省と共同で改正した。これら留意事項に基づき,地方自治体や地域住民と連携して,犯罪防止に配慮した環境整備を図っている。

また,警察庁,国土交通省,経済産業省及び建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」により,侵入までに5分以上の時間を要するなどの一定の防犯性能を有する「防犯建物部品」の開発とその普及に努めるとともに,警察庁及び国土交通省の協力の下,住宅・防犯設備関連団体が策定した,「防犯優良マンション標準認定基準」の周知を図るなど,防犯に配慮した共同住宅の整備を推進している。

さらに,国土交通省では,住宅性能表示制度において,「防犯に関すること」として開口部の侵入防止対策を性能表示事項に追加し,平成18年4月から運用を開始して,防犯に配慮した住宅の普及を進めている。

イ 通学路やその周辺における青少年の安全の確保のための支援(警察庁)

警察では,通学路や通学時間帯を考慮したパトロール活動の強化に加え,子どもが犯罪に遭い,又は声掛けやつきまとい等により犯罪に遭うおそれがある場合に助けを求めることができる「子ども110番の家」(平成19年12月現在約202万か所)の活動に対する支援等を行っている。

(2)安心して外出や外遊びができる環境の整備(警察庁,国土交通省)

妊婦,乳幼児連れの者等すべての人が安心して快適に外出できるよう,道路,公園,官庁施設等の公共施設や公共交通機関,建築物,信号機等のバリアフリー化を推進している。

ア ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進(国土交通省)

妊婦,乳幼児連れの者のみならず可能な限りすべての人を対象に想定し,「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づき,公共交通機関や建築物等のバリアフリー化,一定の地域内におけるこれらの施設等及びこれらの間の経路の一体的・連続的なバリアフリー化を促進し,バリアフリー施策を総合的に展開するため,「高齢者,身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(平6法44。ハートビル法)と「高齢者,身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」(平12法68。交通バリアフリー法)を統合・拡充した「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平18法91。以下「バリアフリー新法」という。)が平成18年6月に制定,12月から施行された。

イ 歩行空間のバリアフリー化(警察庁,国土交通省)

平成18年12月の「バリアフリー新法」の施行を踏まえ,駅,官公庁施設,病院等を相互に連絡する道路について,誰もが安心して通行できるよう,幅の広い歩道の整備や,既設歩道の段差解消等のバリアフリー対策を推進している。

また,バリアフリー新法の重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機等については,平成22年度までに,原則としてすべての当該道路において,音響信号機,歩行者感応信号機等の信号機の設置,歩行者用道路であることを表示する道路標識の設置,横断歩道であることを表示する道路標示の設置等のバリアフリー化を実施することとしている(第2-4-1図)。

第2-4-1図 歩行空間のバリアフリー化
第2-4-1図 歩行空間のバリアフリー化

ウ 生活道路における交通安全対策の推進(警察庁,国土交通省)

我が国では,交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合が4割を超え,欧米と比べて高い割合となっている(第2-4-2図)。

第2-4-2図 交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合の各国の比較(30日以内死者)
第2-4-2図 交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合の各国の比較(30日以内死者)
CSVファイル

また,交通事故死者の約6割が,自宅付近で被害に遭っている(第2-4-3図)。

第2-4-3図 歩行中の自宅からの距離別死者数(平成20年中)
第2-4-3図 歩行中の自宅からの距離別死者数(平成20年中)
CSVファイル

こうした情勢を踏まえ,死傷事故の発生割合が高く,歩行者及び自転車利用者の安全な通行を確保するため,緊急に対策が必要な地区において,都道府県公安委員会と道路管理者が連携して,面的かつ総合的な死傷事故抑止対策を講じている。また,「生活道路事故抑止対策マニュアル」を活用するなどして,歩車が共存する安全で安心な道路空間を創出するための取組を推進するなど,交通事故抑止のための施策を実施している。

エ 水辺空間のバリアフリー化(国土交通省)

河川の近隣に病院や福祉施設などが立地している地区等において,すべての人々が,水辺にアプローチしやすいよう,スロープや手摺り付きの階段,緩傾斜堤の整備等バリアフリー化対策を実施している。

オ 都市公園のバリアフリー化・遊具の安全の確保(国土交通省)

都市公園においては,園路の段差解消や誰もが使いやすいトイレの整備を行う等,子どもから高齢者等まで幅広く安全で快適に利用することができるよう,「バリアフリー新法」に基づいた公園施設のバリアフリー化を推進している。

また,遊具の安全確保を図り,安全で楽しい遊び場づくりを推進するため,平成14年3月に策定した「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を平成20年8月に改定し,各施設管理者へ周知徹底に取り組んでいる。

さらに,それぞれの取組をより一層推進するため,平成21年度より「都市公園安全・安心対策緊急総合支援事業」を創設し,都市公園のバリアフリー化等の安全・安心対策に対する支援を実施している。

カ 官庁施設のバリアフリー化(国土交通省)

窓口業務を行う官署が入居する官庁施設について,妊婦,乳幼児連れの者等すべての人が,円滑かつ快適に施設を利用できるよう,窓口業務を行う事務室の出入口の自動ドア化,多機能トイレの設置等による高度なバリアフリー化を目指した整備を推進している。

また,既存施設について,手すり,スロープ,自動ドア,エレベーター等の改修を実施している。

キ 公共交通機関のバリアフリー化(国土交通省)

「バリアフリー新法」に基づき,旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に公共交通事業者等が適合させるべき基準や,公共交通機関の旅客施設・車両等の望ましい整備内容等を示す「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設・車両等編)」を示すとともに,補助・税制・融資等の各種支援により,旅客施設におけるエレベーター等の設置による段差の解消,多機能トイレ(おむつ交換シート等)の設置,乗合バス車両におけるノンステップバス及び路面電車における低床式車両(LRV)の導入等の公共交通機関のバリアフリー化を促進している。

ク 建築物のバリアフリー化(国土交通省)

「バリアフリー新法」に基づき,建築物のバリアフリー化を推進している。「バリアフリー新法」に基づく認定特定建築物のうち一定のものについては,スロープ,エレベーター等の整備に対し補助を行うほか,所得税・法人税の割増償却制度等により支援を行い,優良なバリアフリー建築物の建築の一層の促進を図っている。

また,建築物の整備等について安全対策を推進することで,誰もが安全にかつ安心して利用できる環境を整備している。

(3)地域福祉の再構築(厚生労働省)

地域で誰もが尊厳をもって暮らしていくために,住民同士のつながりを再構築し,支え合う中で,地域における生活課題に対処し,支援する側とされる側相互の自己実現が可能となるような福祉を実現することが重要であるとの認識のもと,地域における福祉活動を活性化するため拠点づくりや,学童の通学安全確保のための取組など地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的な取組などに対する支援を行う「地域福祉等推進特別支援事業」等を通じて,住民参加による地域づくりの一層の推進を図っている。

▲このページの上へ

-
本編目次    前頁前頁  次頁次頁