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第2節 総合的なネットワークづくり

1 地方公共団体や民間団体との連携の推進

(1)官民の連携・協力の下での取組の推進(各省庁)

政府,地方公共団体及び関係団体では,すべての国民が互いに力を合わせ,社会のあらゆる分野で青少年の健全育成を推進するための青少年育成国民運動を展開している。

2 関係機関の機能強化,利用しやすいサービス体制づくり

(1)専門職の養成・確保

参考資料10参照

ア 医療・保健関係専門職(文部科学省,厚生労働省)

小児科医師及び産科医師の確保・育成に関する調査研究を進めるとともに,平成16年4月から,すべての研修医が,小児科を必修科目として,小児の疾患に関する基本的な診療能力について研修を行う新たな臨床研修制度を実施している。

また,保健師,助産師を含む看護職員について,養成力の確保,離職の防止,資質の向上,再就業の支援等の人材確保対策を総合的に行っている。

さらに,コミュニケーション能力に優れ,患者中心の医療を実践できる医療従事者を育成するため,各大学におけるカリキュラムの充実に向けた取組を促進している。

イ 児童福祉に関する専門職(厚生労働省)

日本虐待・思春期問題情報研修センター(通称:子どもの虹情報研修センター)は,児童虐待や非行・暴力等の思春期問題に対応するため,第一線の専門的援助者の養成と,高度専門情報の集約・発信拠点としての機能を担うものとして平成14年に設立され,児童相談所や児童福祉施設等関係機関職員,市町村職員及び保健機関等の職員を対象とした各種専門研修や研究,相談を実施している。

また,児童相談所には,子どもや保護者からの相談対応等を主として行う児童福祉司,児童心理司,相談員や,児童の一時保護に主として携わる児童指導員,保育士等の専門職員が置かれており,前述の日本虐待・思春期問題情報研修センターでの研修のほか,児童心理司,一時保護所員,中堅児童福祉司を対象とした研修等を実施し,専門職員の資質の向上に努めている。

ウ 児童思春期の心理関係専門職(法務省,厚生労働省)

精神保健福祉センター,保健所,児童相談所等における相談体制を強化するため,思春期精神保健に関する専門家が少ない現状を考慮し,医師,保健師,看護師,精神保健福祉士,臨床心理技術者等を対象に,児童思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修を実施している。

また,子どもの心の診療に携わることのできる専門の医師の養成に関する具体的方法等については,平成19年3月に取りまとめた「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会報告書」を踏まえ,平成19年度には研修テキストの作成を行い,平成20年度からは,様々な子どもの心の問題,児童虐待等や発達障害に対応するため,都道府県における拠点病院を中核とし,各医療機関や保健福祉機関と連携した支援体制の構築を図るための事業を実施するとともに,中央拠点病院の整備を併せて行い,人材育成や都道府県拠点病院に対する技術的支援等を実施しているところである。

なお,少年鑑別所に勤務する法務技官に対しては,心理査定や心理療法等に関する専門的な知識や技術を付与するための研修体制が整備されており,心理関係専門職として計画的な養成が行われている。

エ 少年補導や非行少年の処遇に関する専門職

<1> 少年補導職員(警察庁)

少年非行を防止し,少年の健全育成を図るためには,非行の入口となり得る不良行為の早期認知,非行少年,不良行為少年及びその家族に対する指導・助言,少年の規範意識の形成の促進,非行少年の立ち直り支援,少年非行に対する社会全体の問題意識の醸成等が重要であるほか,少年が犯罪等により被害を受けた場合には,被害少年及びその家族に対し,早期の支援を行うことが重要である。

これらの活動を行うため,警察は,少年問題に関する専門組織である「少年サポートセンター」を全都道府県警察に設置,全国に約1,100人の少年補導職員を配置している。

少年補導職員は,少年相談,継続補導,被害少年の支援等の専門的・継続的な活動を行っており,時代に応じて変化する少年の抱える問題に的確に対応できるよう,都道府県単位,あるいは,全国規模での研修を行っているほか,経験の積み重ねや必要な知識の修得に関する自主的な取組が行われている。

<2> 少年院の法務教官(法務省)

少年院在院者の矯正教育等に当たる少年院の法務教官に対しては,職務に必要な行動諸科学等に関する専門的な知識及び技術を付与するための研修体制が整備されているほか,日々の事例を通しての研究会を頻繁に行うなど,処遇に関する指導力の向上が図られている。

<3> 保護観察官(法務省)

地方更生保護委員会事務局及び保護観察所において,非行少年等の更生保護及び犯罪・非行の予防に関する業務等を担当している保護観察官に対しては,家庭等に複雑な問題を抱えた非行少年等,処遇困難なケースに対応できるように,今後処遇能力の向上に資する研修等の一層の充実を図ることとしている。

オ ネットワークの中核的人材

<1> 専門機関・相談機関の充実(警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省)

医療,保健,福祉,教育,労働,非行問題等の各分野の専門機関・相談機関が地域の人々等からの信頼を得るとともに,必要に応じた良いサービスが提供できるよう,情報提供,機関の特性に応じた評価,体制の充実等を推進している。

警察では,少年補導職員等を配置した「少年サポートセンター」を中心として,それぞれの地域の実情に応じて不良行為少年等の補導活動及び継続補導を行っているほか,少年の規範意識の形成や家庭,地域の共通の問題認識の醸成を図るため,学校に警察職員を派遣して行う非行防止教室や薬物乱用防止教室の開催等の情報発信活動の充実強化に努めている。「少年サポートセンター」は,平成21年4月現在,全国197か所に設置されている。

法務省の人権擁護機関では,常設及び特設の人権相談所において人権相談を受け付けているほか,法務省のホームページ上の「インターネット人権相談受付窓口」(SOS-eメール)においても,人権相談を受け付けている。

また,法務局・地方法務局に,専用相談電話「子どもの人権110番」(フリーダイヤル)を開設し,「いじめ」等の子どもの人権問題に関する相談を専門的に受ける体制を整備しているほか,全国の小中学校の児童・生徒に「子どもの人権SOSミニレター」(便せん兼封筒)を配布するなど,子どもの悩みの把握に努めている。これらの相談は,「子どもの人権専門委員」を中心とする人権擁護委員や法務局・地方法務局の職員が応じている。

少年鑑別所は,非行問題の専門機関として,非行を行った少年の資質鑑別を通じて豊富な知識や経験を蓄積するとともに,そうした専門機関としての機能を地域社会に還元し,青少年の健全育成に資することを目的として一般少年鑑別業務を行っている。

文部科学省では,いじめ問題の対応策のひとつとして,子どもたちが全国どこからでも,夜間・休日を含めて,いつでもいじめ等の悩みをより簡単に相談することができるよう,全国統一の電話番号(0570-0-78310(なやみ言おう))により,平成19年2月から全都道府県及び指定都市教育委員会で24時間いじめ相談ダイヤルを実施している。

<2> 事案に応じた専門機関・相談機関の連携

○ 非行防止に関する連携(警察庁)

少年問題に対しては,関係機関・団体が相互に連携を強化し,社会全体として取り組んでいくことが重要である。そのため,関係機関・団体等は,日常的な情報交換,意見交換等を行うなど,少年や家庭等に対する支援体制の充実強化に努めている。

○ 児童虐待防止に関する連携(厚生労働省)

児童虐待は,家族の抱える社会的,経済的あるいは心理的といった様々な要因の複合的な相互作用の結果生じると考えられており,その防止には,福祉,医療,保健はもとより,教育,警察,司法,さらにはNPOなど幅広い関係者が共通の認識に立って組織的に対応していくことが必要である。

こうした連携の取組として,現在,各市区町村においては,地域の関係機関が子どもやその家庭に関する情報や考え方を共有し,適切な連携の下で対応していくための「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の設置が進められており(第2-4-4図),平成20年4月1日現在,要保護児童対策地域協議会又は任意設置の虐待防止ネットワークを設置している市区町村の割合は94.1%である。

第2-4-4図 「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」又は「虐待防止ネットワーク」の設置数および割合
第2-4-4図 「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」又は「虐待防止ネットワーク」の設置数および割合
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○ 相談機関の連携(内閣府)

内閣府では,国や地方公共団体が設置している相談機関の担当者,学校教育関係者の参加を得て,「青少年相談機関連絡会議」をブロック別(全国6ブロック)に開催し,関係機関等との連携体制の在り方や相談機能の充実強化のための方策について,情報交換等を行い,青少年相談機関活動の充実を図っている。

また,近年,青少年をめぐっては,就労の不安定化や親への依存の長期化など社会的自立の遅れへの対策が重要な課題となっていることから,内閣府では,有識者からなる「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」を開催し,平成17年6月に報告をまとめた。同報告では,教育・保健・福祉・雇用等各分野の相談・支援機関が連携し,自立に困難を抱える若者等を対象に,支援体制を構築すべきことが提言されている。

この提言を受け,内閣府では,平成19年度に,若者の自立支援に対応する専門的な相談員(以下「ユースアドバイザー」という。)の研修・養成プログラムを開発するとともに,研修において使用する教材を作成したところである。これらを踏まえ,平成20年度からは,少年補導センター(少年補導センターとしての機能を有する機関を含む。)を中心とするモデル地域において,ユースアドバイザーを養成するための講習会を実施するとともに,同センターを中核機関とし,様々な問題を抱える若者を個別的・継続的に支援する体制を整備するモデル事業を実施しているところである。

<3> 包括的な一次相談・支援窓口の整備・充実(内閣府)

内閣府では,少年補導センターの職員等に対して,各種の問題・悩みについて青少年やその家族の相談に応じ,多種多様な専門機関・相談機関の中の適切な機関による支援につなげるための知識や技能を向上させるため,相談助言の効果的進め方等を内容とする研修事業を実施し,少年補導センター機能の整備・充実を図っている。

また,内閣府の報告においては,自立に困難を抱える若者やその親等を対象に,包括的・継続的に支援を行うための相談・支援窓口を明確化することも提言されている。

(2)若年・壮年世代も含めた民間協力者の確保と研修

参考資料10参照

ア 民間協力者の確保と研修

<1> 保護司等(法務省)

近時,犯罪・非行の態様や保護観察に付された人の抱える問題性の複雑・多様化が進んでいることから,これらに適切に対応するため,幅広い世代・分野からの保護司適任者の確保に努めるとともに,保護司研修の充実を図っている。

さらに,現在,全国各地で,更生保護女性会やBBS会を始めとする更生保護ボランティア団体が,地域における様々な機関・団体と連携し,地域住民のニーズに応じた多様な活動を行っている。これらの活動は,地域社会における主体的な犯罪予防活動を促進するものであり,更生保護の諸施策の円滑な実施に資することとなることから,法務省では,積極的にその促進を図っているところであり,今後も,各団体の自発性・自主性を尊重しながら,その活動の一層の促進が図られるよう支援することとしている。

<2> 人権擁護委員(法務省)

法務省の人権擁護機関では,人権擁護委員に関する広報,地方公共団体等の関係機関への働き掛けを積極的に行い,幅広い世代・分野からの人材の確保を図るとともに,研修を充実させている。

また,人権擁護委員の中から子どもの人権問題に造けいの深い委員954人(平成21年4月1日現在)を「子どもの人権専門委員」に指名しており,全国の法務局・地方法務局に配置し,子どもの人権問題に適切に対処するよう努めている。

<3> 児童委員(厚生労働省)

児童委員は,民生委員をもって充てられ,現在,全国で約23万人(平成19年12月1日現在)が厚生労働大臣から委嘱されている。児童委員は,児童及び妊産婦の生活の保護,援助及び指導を行うが,児童福祉について,必ずしも専門的知識を持つわけではないので,研修の実施によりその知識の習得に努めるほか,関係機関等と連携して活動を行っている。主任児童委員は,児童委員の中から約2万1,000人が指名され,児童福祉に関する事項を主に担当し,関係機関と児童委員との連絡調整や,児童委員の活動に対する援助及び協力を行うほか,研修により専門的知識の習得に努めている。

<4> 少年警察ボランティア(警察庁)

少年の非行を防止し,その健全な育成を図るため,次のような少年警察ボランティア約5万9,800人を委嘱している(平成21年4月現在)。

○ 少年指導委員(約6,800人)

「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭23法122)に基づき,都道府県公安委員会から委嘱され,少年を有害な風俗環境の影響から守るための少年補導活動や風俗営業者等への協力要請活動に従事

○ 少年補導員(約5万3,000人)

街頭補導活動,環境浄化活動を始めとする幅広い非行防止活動に従事

○ 少年警察協助員(約400人)

非行集団に所属する少年を集団から離脱させ,非行を防止するための指導・相談に従事

少年警察ボランティアについては,深刻化する少年非行情勢を踏まえ,大学生,女性,PTA関係者等の委嘱により,人材の多様化を図るとともに,問題を抱える少年の立ち直り支援やインターネットを利用しての声掛け補導活動等,活動の多様化を図っている。

また,警察では,(社)全国少年警察ボランティア協会が行う各種研修会等の機会を利用して,少年警察ボランティアが,少年非行の防止,少年の健全育成のための活動を行うために必要な知識の提供に努めている。

<5> 少年補導委員(内閣府)

地方公共団体が委嘱している少年補導委員(平成17年11月現在約7万人)や少年補導センターの職員の技能や知識の向上を図るため,相談助言の効果的進め方等を内容とする研修事業を実施している。

イ 同世代又は年齢の近い世代による相談・支援(各省庁)

BBS会は兄や姉のような身近な存在として,少年たちとふれあい,その健やかな成長を支援するとともに,犯罪や非行のない明るい社会の実現を目指して非行防止活動を行う青年ボランティア団体である。少年たちと同じ目の高さで共に考え学びあうことを理念としており,悩みの相談にのったり,学習支援,レクリエーション活動等を行うほか,全国規模の研修会等を通じて,必要な知識・技術の習得に努めている。

ウ 体験活動指導者(文部科学省)

文部科学省では,平成20年度から小学校が実施する長期自然体験活動を支援するための指導者の養成に取り組んでいる。また,国立青少年教育施設では,体験活動指導者の研修を実施し,青少年の体験活動を推進している。

エ 民間主体による自主的な活動の促進(厚生労働省)

地域共同体の機能が失われつつあることや核家族化等を背景として,子育てについて地域の中で相談できる相手がいないなど,在宅で育児を行う家庭の子育ての負担感が大きくなる中,身近な場所で子育て中の親子が気軽に集い,相談・交流ができる子育て支援拠点の設置を推進している。

また,障害者が,同じ悩みや苦しみを抱える障害者からの相談に応じ,必要な助言等を行うことにより,相互に支援し合う取組を促進している。

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