1 フリーター,ニートの状況
フリーターの人数を,総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」により,15〜34歳で,男性は卒業者,女性は卒業者で未婚の者のうち,
<1>雇用者のうち勤め先における呼称が「パート」又は「アルバイト」である者
<2>完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
<3>非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で,家事・通学等していない者
の合計として集計すると,平成15年の217万人をピークに減少に転じていたが,平成21年は178万人と6年ぶりの増加となった(第1-2-12図)。

年齢階級別にみると,15〜24歳が87万人と前年に比べて4万人増加し,6年ぶりの増加となった。25〜34歳は91万人と,4万人増加し,5年ぶりの増加となった。
また,「ニート」に近い概念である若年無業者(15〜34歳の非労働力人口のうち,家事も通学もしていない者)の数は,平成21年には63万人となり,前年より1万人(1.6%)減少した。なお,内訳としては,15〜19歳が10万人,20〜24歳が16万人,25〜29歳が18万人,30〜34歳が18万人である。15〜24歳がピーク時の平成14年と比べて3万人(10.3%)減少しているのに対し,25〜34歳は1万人(2.9%)増加している。一方,35〜39歳の無業者については,平成21年に21万人となり,近年,緩やかに増加し続けている(第1-2-13図)。

さらに,総務省統計局「就業構造基本調査」によれば,「就業を希望しているが,求職活動をしていない」若年無業者がその理由(非求職理由)として挙げているのは,「病気・けがのため」が28.9%と最も高く,次いで「その他」が25.5%,「学校以外で進学や資格取得などの勉強をしている」が11.8%等となっている。
「就業を希望していない」若年無業者がその理由(非就業希望理由)として挙げているのは,「病気・けがのため」が31.5%と最も高く,次いで「その他」が28.5%,「特に理由はない」が17.2%等となっている(第1-2-14図,第1-2-15図)。


2 ひきこもりの状況
内閣府では,「ひきこもり」に該当する子ども・若者がどの程度存在し,どのような支援を必要としているのかを把握するために,平成22年2月に「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」を実施し,15〜39歳の子ども・若者5,000人を対象として3,287人(65.7%)から回答を得た(平成22年7月公表)。
その結果,「ふだんは家にいるが,近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが,家からは出ない」「自室からほとんど出ない」に該当した者を「狭義のひきこもり」と定義し,「ふだんは家にいるが,自分の趣味に関する用事の時だけ外出する」に該当した者を「準ひきこもり」と定義したところ,推計数はそれぞれ23.6万人,46.0万人となった。さらに,「狭義のひきこもり」と「準ひきこもり」を合わせた広義のひきこもり(以下,「ひきこもり群」という。)としたところ,69.6万人となった(第1-2-16図)。

ひきこもり群に対して,現在の状態になったきっかけを聞いたところ(複数回答),「職場になじめなかった」23.7%,「病気」23.7%,「その他」が25.4%であった。「職場になじめなかった」(23.7%)と「就職活動がうまくいかなかった」(20.3%)を合わせると44.0%となり,「不登校(小学校・中学校・高校)」(11.9%)や「大学になじめなかった」(6.8%)は,合計しても18.7%にとどまっていた。ひきこもりは一般に不登校と結び付けられがちだが,仕事や就職に関するきっかけによってひきこもった者が多い結果となった(第1-2-17図)。

また,現在の状態について,関係機関に相談したいか聞いたところ,「非常にそう思う」と答えた者は6.8%,「思う」は8.5%,「少し思う」は16.9%,「思わない」は66.1%であった。「思わない」を選択した者が66.1%と最も多く,ひきこもり群では関係機関への相談を避ける傾向があった(第1-2-18図)。

さらに,現在の状態をどのような機関なら相談したいか聞いたところ,「親身に聴いてくれる」32.2%,「精神科医がいる」が27.1%,「無料で相談できる」23.7%,「自宅から近い」20.3%,などの順となっていた。「相談したくない」も27.1%いた。ひきこもり群の者は,自分の話を「親身に聴いてくれる」相談機関を最も求めている(32.2%)ことが明らかとなった。その一方で,「相談したくない」も27.1%と多く,相談機関の条件に関わらず相談を避ける者も存在することが示された(第1-2-19図)。

ひきこもりのきっかけは,仕事や就職に関するものが多く,家族を含め困難を有する子ども・若者の社会的孤立を防ぐため,今後,相談機関の充実を始め,地域の人々が思いやりをもって見守る暖かい連携が必要となっていくことが考えられる。