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第1部 子ども・若者の現状

第1章 子ども・若者の成育環境

第2節 子ども・若者の教育

1 学校教育の概況

(1) 学校教育人口

義務教育課程の児童生徒数は,昭和57年をピークに減少。

我が国における幼稚園から大学までの全学校の在学者数,いわゆる学校教育人口は,平成23年5月1日現在1943万人(男子1006万2000人,女子936万8000人)となっており,総人口の15.2%を占めている(第1―1―4表)。

第1-1-4表 学校数及び在学者数(平成23年5月1日現在)

在学者数の推移を教育課程別に見ると,義務教育課程の児童生徒数は,昭和57年度をピークに減少し続けており,平成23年度は1047万7000人となっている。高等学校教育課程の生徒数は,平成元年度に過去最高となったが,その後は減少傾向となり,平成23年度は336万人で,前年度より1万8000人減少した。

また,高等教育課程(高等専門学校,短期大学及び大学)の学生数について見ると,昭和60年度以降増加し続け,平成11年度以降減少傾向に転じたが,平成20年度からは再び増加し,平成23年度は310万3000人となっている(第1―1―13図,第1―1―14図)。

第1-1-13図 教育種別在学者数の推移

第1-1-14図 日本の学校系統図

(2) 進学率

大学・短期大学への進学率は,平成17年度に50%を超え,平成23年度は56.7%。

大学・短期大学への進学率(当該年度の大学学部・短期大学本科への入学者数をその3年前の中学卒業者及び中等教育学校前期課程修了者数で除した比率)の年次推移を見ると,平成17年度に50%を超え,平成23年度は56.7%となった。男女別の割合を見ると,平成12年度以降,男子の進学率の方が高くなっている(第1―1―15図)。

平成23年3月の大学学部の卒業者は55万2000人(男子31万1000人,女子24万1000人)で,12.8%が大学院等へ進学している(就職進学者を含む。)。

第1-1-15図 大学・短期大学への進学率の推移

(3) 特別支援教育

特別支援教育を受けている幼児児童生徒数は,34万6000人。

障害のある幼児児童生徒が自立し,社会参加するために必要な力を培うため,一人一人の障害の状態等に応じ,特別支援学校や小・中学校の特別支援学級及び通級による指導※4が行われている。

※4 小・中学校の通常の学級に在籍している比較的障害の軽い子どもが,ほとんどの授業を通常の学級で受けながら,障害の状態等に応じた特別の指導を特別な場で受ける指導形態であり,言語障害,自閉症,情緒障害,学習障害,注意欠陥多動性障害,弱視,難聴等のある児童生徒を対象としている。

平成23年度,特別支援学校で教育を受けている幼児児童生徒数は12万6000人,特別支援学級で教育を受けている児童生徒数は15万5000人,通級による指導を受けている児童生徒数は6万5000人であり,合計すると34万6000人となる。このうち,義務教育段階の児童生徒数は28万5000人であり,これは同じ年齢段階にある児童生徒全体の2.7%に当たる。

また,小・中学校等の通常の学級に発達障害のある子どもが在籍している状況を踏まえ,平成18年4月からは通級による指導の対象に学習障害(LD),注意欠陥多動性障害(ADHD)が新たに加えられている。

この通級による指導について,平成23年度の区分別の比率を見てみると,言語障害が48.4%,自閉症が15.8%,学習障害が12.0%,注意欠陥多動性障害が10.7%,情緒障害が9.7%,難聴が3.1%等となっている(第1―1―5表)。

第1-1-5表 特別支援教育を受けている幼児児童生徒数

2 学力及び体力の現状

(1) 全国学力・学習状況調査

資料や情報に基づいて自分の考えや感想を明確に記述すること等が課題。

小学校第6学年及び中学校第3学年を対象とし,国語及び算数・数学並びに生活習慣や学習環境に関する質問紙調査について,平成19年度から「全国学力・学習状況調査」を実施している。

平成22年度調査の結果によると,「活用」に関する問題で,記述式問題を中心に,例えば,資料や情報に基づいて自分の考えや感想を明確に記述すること等について課題が見られる。

また,各設問を個別に見ると,「知識」に関する問題においても,例えば,割合や比例等,2つの数量の関係を理解すること等についてこれまでの調査から継続的な課題が見られる。

さらに,平成22年度の中学校調査は,平成19年度小学校調査を受けた児童が調査の対象であったことから,その結果を踏まえて出題したところ,例えば,スピーチ等における話し方の工夫をとらえること,円の面積を求めること等引き続き課題が見られるものがある。

なお,平成23年度調査は,東日本大震災の影響等を考慮し,調査としての実施を見送り,希望する各教育委員会,学校等に対して国が作成した問題冊子等を9月下旬に配布した。

(2) OECD生徒の学習到達度調査(PISA)

2009年調査では,各リテラシーとも前回調査から成績の下位層が減少し上位層が増加。読解力を中心に生徒の学力は改善傾向。

経済協力開発機構(OECD)では,義務教育修了段階の15歳児(日本では高等学校1年生が相当)が持っている知識や技能を実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価するため,「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」を実施している。2009年調査では,2000年調査と同様に,読解力を中心に調査が実施されており,2010年12月にその結果が公表された。

その結果によると,<1>我が国の生徒の読解力は前回調査(2006年)と比べて平均得点が統計的に有意に上昇し2000年調査と同水準(上位グループ)まで回復しており,<2>数学的リテラシーは前回同様OECD平均より高得点グループに位置し,<3>科学的リテラシーも前回同様上位グループを維持している。生徒の学習到達度の特徴をレベル分けした習熟度でみると,各リテラシーとも前回調査から成績の下位層が減少し,上位層が増加しており,読解力を中心に我が国の生徒の学力は,改善傾向が見られた。

また,生徒に対する質問紙調査の結果からは,2000年調査と比較して読書に積極的に取り組む傾向等が分かった。さらに,2009年には紙媒体の問題冊子による調査(プリント読解力調査)と同時に国際オプションとして,コンピュータ画面により調査問題の提示・解答を行うデジタル読解力調査が行われた。その結果によるとデジタル読解力はプリント読解力の結果を比べると,平均得点に差はないが,習熟度の上位層と下位層の割合が少ないことが明らかになった。

(3) 子ども・若者の体格・体力

子どもの体格,体力は男女とも横ばい傾向。

子ども・若者の現在の体格について,小学校及び中学校における児童生徒の身長・体重の全国平均値の推移を見ると,いずれもここ約10年間(平成12~23年度)では,男女とも横ばい傾向にある(第1―1―16図)。

第1-1-16図 年齢別身長・体重の全国平均値

体力・運動能力の状況を見ると,ここ約10年間(平成12~22年度)では,小学生高学年以上の年代は緩やかな上昇傾向を示している。

一方,体力水準の高かった昭和60年度と比較すると,中学生男子の走・投を除いた基礎的運動能力は依然として低い水準にある(第1―1―17図)。

第1-1-17図 年齢別基礎的運動能力の平均値の推移

(4) 全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果

中学校女子においては,スポーツをほとんどしない子どもが3割以上。

平成20年度から実施している「全国体力・運動能力,運動習慣等調査」において,小学校5年生及び中学校2年生の児童生徒の体力の全国的な状況を調査するとともに,運動習慣,生活習慣等に関するアンケートを実施した。本調査結果により,初めて,都道府県別の体力の状況が明らかになり,特に中学校女子においてはスポーツをほとんどしない子どもが3割を超えていること(第1―1―18図),子どもの体力向上に関し,朝食摂取状況,睡眠等基本的生活習慣が関わっていること等が判明した。文部科学省では,本調査結果を活用し,学校や地域における体力向上に向けた取組を推進することとしている。

第1-1-18図 1週間の総運動時間

3 学校に係る諸問題

(1) いじめの状況

いじめの認知件数は前年度に比べ増加。

平成22年度間の国・公・私立の小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は,小学校3万6909件,中学校3万3323件,高等学校7018件,特別支援学校380件の合計7万7630件で,前年度と比較して約5千件の増加となっており,依然として相当数に上っている(第1―1―19図)。

第1-1-19図 いじめの認知件数の推移

いじめを認知した学校数の割合は小学校で35.5%,中学校で55.7%,高等学校で41.1%,特別支援学校で14.3%であり,全体で41.3%となっている。

いじめに対する取組の状況について,いじめを認知した学校といじめを認知していない学校とで比較すると,アンケート調査の取組では,いじめを認知した学校の95.3%が実施しているのに対して,いじめを認知していない学校が87.5%,個別面談の実施では,いじめを認知した学校の88.6%が実施しているのに対して,いじめを認知していない学校が79.5%と,依然として取組に差が見られる。

いじめの態様(複数回答可)では,「冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる。」が5万1849件で,認知件数に占める割合は66.8%と,前年度同様最も多くなっている。

なお,平成18年度から調査項目に加えた「パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる。」は3051件で,認知件数に占める割合は3.9%と,前年度と比較して0.5ポイント減少している(第1―1―6表)。

第1-1-6表 いじめの態様(平成22年度)

いじめの現在の状況で「解消しているもの」の件数の割合は,小学校81.2%,中学校76.7%,高等学校78.9%,特別支援学校74.7%で,全体では79.0%となっている(第1―1―7表)。

第1-1-7表 いじめの現在の状況(平成22年度)

(2) 不登校

小・中学校不登校児童生徒数,割合はともに前年度に比べ減少,高等学校の不登校生徒数,割合はともに前年度に比べ増加。

平成22年度間の国・公・私立の小・中学校における不登校児童生徒数は,小学校2万2463人,中学校9万7428人の合計11万9891人で,小・中学校を合わせた不登校児童生徒数は,前年度より約3千人減少している。全児童生徒数に占める不登校児童生徒数の割合は,小学校で0.3%,中学校2.7%であり,全体で1.1%となっており,同様に前年度より0.02ポイント減少している(第1―1―20図)。

第1-1-20図 国・公・私立の小中高等学校における不登校児童生徒の推移

不登校児童生徒が在籍する学校数は,小・中学校合わせて1万8815校,小・中学校の総数に占める割合は57.3%となっている。

不登校となったきっかけと考えられる状況では,「不安など情緒的混乱」が23.4%,「無気力」が21.6%,「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が15.2%となっている(第1―1―8表)。

第1-1-8表 不登校になったきっかけと考えられる状況(平成22年度)

平成22年度間の国・公・私立の高等学校における不登校生徒数は,5万5707人で前年度と比較して約4千人増加している。在籍生徒数に占める不登校生徒の割合は1.66%と前年度より0.11ポイント増加している(第1―1―20図)。

不登校となったきっかけと考えられる状況では,「無気力」が24.2%,「不安など情緒的混乱」が16.5%,「あそび・非行」が10.9%となっている。

(3)高等学校中途退学者

高等学校の中途退学者数,中途退学率ともに前年度に比べ減少。

平成22年度間の国・公・私立の高等学校における中途退学者数は5万5415人で,前年度と比較して約2千人減少している。在籍生徒数に占める中途退学者数の割合は1.6%と,前年度より0.1ポイント減少している(第1―1―21図)。

第1-1-21図 高等学校における中途退学者数の推移

中途退学の原因としては,「学校生活・学業不適応」が39.0%で最も多く,次いで,「進路変更」が34.0%となっている。

「経済的理由」による中途退学者数は1043人で,中途退学者数に占める割合は1.9%と,人数,割合ともに前年度より減少している。

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