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第2部 子ども・若者に関する国の施策

第2章 すべての子ども・若者の健やかな成長の支援

第1節 子ども・若者の自己形成支援

1 日常生活能力の習得

(1) 基本的な生活習慣の形成

ア 学校教育における取組(文部科学省)

学校教育においては,学習指導要領等に基づき,道徳や特別活動を始め,学校の教育活動全体を通じて,基本的な生活習慣の形成を図るための指導が行われている。

新しい学習指導要領では,特に小学校低学年において,あいさつ等の基本的な生活習慣,社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないことの指導を重視するなど,道徳教育について充実を図っている。

イ 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進(文部科学省)

文部科学省では,平成18年度から,早寝早起きや朝食をとるなど,子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,「早寝早起き朝ごはん」全国協議会や民間団体と連携して「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している。

平成23年度は,東日本大震災後,節電等により,生活習慣や生活の在り方を見直す機運が高まっていることから,『「早寝早起き朝ごはん」でエコ生活!』のキャッチフレーズで広報を行った。

また,子どもたちは社会や家庭の影響を受けやすいため,企業や働く親向けの啓発資料を作成し,家庭や学校,地域にとどまらず,企業などを含めた社会全体での問題として取組の定着を図る取組を推進している。

さらに,平成24年度は,携帯電話やインターネットの過度な利用による夜型化や食習慣の乱れなどの現代的課題を踏まえ,自ら生活習慣を自律的に形成していく段階にある中高生向けの啓発の充実を図ることとしている。

ウ 「食育」活動の推進(内閣府,文部科学省,厚生労働省,農林水産省)

国民が生涯にわたって健康で豊かな人間性を育むためには,「食育」を知育,徳育及び体育の基本となるべきものと位置付けるとともに,食に関する知識と食を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」を推進することが必要である。

このような観点から,平成17年7月,「食育基本法」(平17法63)が施行された。同法に基づき,平成23年3月に,内閣府に置かれている「食育推進会議」において,「第2次食育推進基本計画」(平成23年度~27年度)が決定され,国及び地方公共団体を始めとした関係者が,同計画に基づいて,「食育」の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図った。

特に,子どもたちに対する食育は,心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし,生涯にわたって健全な心と身体を培い,豊かな人間性を育んでいく基礎となるものであることから,家庭,学校及び地域において,子どもたちが食生活に関して基本的な知識や習慣が身に付けられるよう,関係府省では,様々な活動及び取組を推進している。

さらに,近年,偏った栄養摂取等子どもたちの食生活の乱れや肥満・痩身傾向が見られることから,子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けることができるよう,学校における「食育」を推進することが喫緊の課題となっている。

第2次食育推進基本計画では,朝食を欠食する国民の割合の減少を目標とし,特に生活習慣の形成途上にある子ども(小学生)については,平成19年度に1.6%となっていた「小学校5年生のうちほとんど朝食を食べないと回答した者」の割合を,平成27年度までに0%とすることを目指している。

学校において食育を推進するためには,指導体制の整備が不可欠である。文部科学省では,平成17年度に制度が開始された栄養教諭について,各都道府県における配置の促進に努めており,平成24年4月現在で全国の公立学校で4263名が配置されている。

平成20年3月には小・中学校の,平成21年3月には高等学校の学習指導要領がそれぞれ改訂され,その総則に「学校における食育の推進」が明記されるとともに,関連する各教科等においても食育の観点から指導の内容の充実が図られた。

また,幼稚園においても,平成20年3月に幼稚園教育要領の改訂を行い,食育の観点に関する記述を充実した。

平成20年6月には,「学校給食法」(昭29法160)が改正され,その目的において,「学校における食育の推進」が明記されるとともに,栄養教諭が学校給食を活用した食に関する指導を行うことや,その指導に当たっては,地域の産物を学校給食へ活用すること,また,校長が食に関する指導の全体計画を作成すること等が規定された。

これらを踏まえて,学校における食に関する指導の基本的な考え方や指導方法等を示した教職員向け指導参考資料「食に関する指導の手引」(平成19年3月作成)を,平成22年3月に改訂した。

平成23年度においては,「栄養教諭を中核とした食育推進事業」,「食生活学習教材の作成・配布」等の取組を通じて,学校・家庭・地域の連携を図りつつ,各学校における食に関する指導に係る全体計画の作成や,各教科等での食に関する指導の充実に努めた。

厚生労働省では,出産前から適切な食生活を支援し,乳幼児期からの望ましい食習慣の定着を図るため,妊産婦や子育て家庭を対象とした食に関する学習機会や情報の提供を推進している。

妊娠期・授乳期における食事の望ましい組合せ,量,妊娠中の適切な体重増加に関する目安等を盛り込んだ「妊産婦のための食生活指針」(平成18年2月公表)や,保健医療従事者による適切な支援が推進されるよう,母乳育児の推進や離乳食の進め方の目安等を盛り込んだ「授乳・離乳の支援ガイド」(平成19年3月公表)により普及啓発を進めているほか,平成24年度からは,平成22年乳幼児身体発育調査の結果等を踏まえた新しい様式の母子健康手帳の運用を開始する。乳幼児期における望ましい食習慣の定着及び食を通じた人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため,保育所では食に関する取組を積極的に進めていくことが求められており,平成21年4月に施行された保育所保育指針においても,保育所における食育は,「健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け,その基礎を培う」ことを目標としている。そして,子どもが毎日の生活と遊びの中で,食に関わる体験を積み重ね,食べることを楽しみ,食事を楽しみ合う子どもに成長していくこと等に留意して実施しなければならないとしている。

そのため保育所における食事提供の形態が多様化する中,現状と課題を明らかにしてあり方を再考し,より豊かな「食」の環境づくりや提供ができるよう,平成24年3月に「保育所における食事の提供ガイドライン」を発出した。

さらに,子どもの健やかな発育・発達を支援する観点から,児童福祉施設における具体的な食事計画の作成や評価等栄養管理の手法について,専門家による検討を行い,「児童福祉施設における食事の提供ガイド」を平成22年3月に取りまとめた。また,児童福祉施設関係者間での情報共有や質の向上を図るため,取組事例の研究発表等を行うブロック別児童福祉施設給食関係者研修会を開催している。

農林水産省では,米を中心に水産物,畜産物,野菜等多様な副食から構成され,栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践を促すため,民間団体等が行う,子どもたちや若者を対象とした食育活動に対し支援をしている。

食品安全委員会では,ホームページに「キッズボックス」を設け,イラストを用いて分かりやすく解説するなど,子ども向けの食品安全に関する情報の提供に取り組んでいる。また,小学校5・6年生の児童及びその保護者に食品安全委員会委員との意見交換を通して食の安全について楽しく学び,理解を深めてもらうことを目的として,平成19年以降,夏休み期間中に「ジュニア食品安全委員会」を開催している。

エ 青少年教育施設における取組(文部科学省)

青少年教育施設では,集団宿泊体験を通じて規律ある生活をする態度を養うため,学校や青少年団体等に対して広く学習の場や機会を提供している。特に,独立行政法人国立青少年教育振興機構は「早寝早起き朝ごはん運動」全国協議会の事務局として,傘下の国立青少年教育施設において同運動を積極的に推進し,子どもの生活リズムの向上に努めている。

(2) コミュニケーション能力や規範意識等の育成

近年,いじめの社会問題化や少年による重大事件の続発等,児童生徒の問題行動等は教育上の大きな課題となっており,善悪の判断等の規範意識や倫理観等の育成を図ることが,これまで以上に求められている。

このため,学校・家庭・地域等が十分連携を図り,子どもの豊かな人間性や社会性等を育む取組を進める必要がある。

ア 学校教育等における取組(警察庁,文部科学省)

学校教育においては,学習指導要領に基づき,国語や道徳,特別活動を始め,学校の教育活動全体を通じて,誰に対しても思いやりの心を持つことや,広い心で自分と異なる意見や立場を大切にすること等について指導するとともに,伝え合う力の育成を重視し,発表・討論を積極的に取り入れた学習活動が行われている。

また,青少年教育施設では,社会性や協調性等を育むため,自然体験や集団宿泊体験等の様々な体験活動の機会を提供している。

警察では,警察職員を学校に派遣するとともに,少年警察ボランティア等の協力を得るなどして非行防止教室を開催し,具体的な非行事例等を題材にして直接少年に語り掛けることにより,少年自身の規範意識の向上を図り,少年の非行防止に取り組んでいる。

(3) 体力の向上

ア 子どもの体力向上(文部科学省)

文部科学省が実施している「体力・運動能力調査」によると,子どもの体力は,平成13年から約10年間にわたり概ね低下傾向に歯止めがかかってきているが,体力水準の高かった昭和60年度と比較すると,基礎的運動能力は依然として低い水準にある。子どもの体力低下は将来的に国民全体の体力低下につながり,ひいては社会全体の活力が失われる事態が危惧される。このような状況を改善するため,文部科学省では,子どもの体力向上に向けた総合的な施策を推進している。平成20年度からは,全国的な子どもの体力の状況をきめ細かく把握・分析するため,小学校5年生及び中学校2年生を対象として「全国体力・運動能力,運動習慣等調査」を実施している。この調査結果において,近年,積極的にスポーツをする子どもとそうでない子どもの二極化傾向がみられ,特に,中学校女子においてその傾向が顕著であることなどが明らかとなった。文部科学省では,本調査結果を活用し,学校や地域における体力向上に向けた取組を推進するとともに,学校,家庭,スポーツ団体等地域社会全体で連携をとりながら子どもの体力向上に向けた取組を実施し,その定着を図るモデル事業や子どもの発達段階に応じた体力向上プログラムの開発等を実施している。

イ 学校における体育・運動部活動の振興(文部科学省)

文部科学省では,平成20年3月に小・中学校の学習指導要領を改訂するとともに,平成21年3月に高等学校の学習指導要領を改訂した。学習指導要領においては,体育・保健体育は,心と体を一体としてとらえ,運動についての理解と合理的な実践を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに,体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てることをねらいとしている。平成23年度においては,中学校において必修となる「武道」が外部指導者の活用などにより安全でかつ円滑に実施できるための取組や,学習指導要領の趣旨に基づき適切に学習指導を展開するための指導資料の作成等を行った。

また,今回の中学校・高等学校の学習指導要領の改訂では,部活動を新たに総則に規定するとともに,その意義,教育課程との関連,運営上の工夫を行うとの配慮事項等について,記載している。平成23年度においては,運動部活動等の指導における外部指導者の活用を促進するための実践事業等を行った。

2 多様な活動機会の提供

(1) 集団遊びの機会の確保

ア 多様な活動機会・居場所づくり(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省及び厚生労働省では,両省が連携し,地域社会の中で,放課後等に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するための総合的な放課後対策として「放課後子どもプラン」を平成19年度に創設し,推進している。

イ 児童館(厚生労働省)

児童に健全な遊びを与えて,その健康を増進し,情操を豊かにすることを目的とする児童館の整備を進めることにより,集団遊びや異年齢児との交流の機会を確保している。

また,児童館には,地域の児童の健全育成の拠点としての機能を有するもののほか,豊かな自然の中で,宿泊施設を備え,野外活動が可能な大型児童館(B型)もあり,自然をいかした遊びを通じて協調性,創造性及び忍耐力を高めることを目的としている。

さらに,子育て中の当事者や経験者を活用して,民営の児童館内で一定時間,親子のつどいの場を設ける「地域子育て支援拠点事業(児童館型)」を平成19年度から実施している。

ウ 都市公園(国土交通省)

子ども・若者を始め幅広い年齢層の人々が,自然との触れ合いやスポーツ・レクリエーション,文化芸術活動等多様な活動を行う拠点となる都市公園の整備を推進している。

(2) 読書活動の推進(文部科学省)

読書は,人生をより豊かなものにするだけでなく,特に子どもにとっては,言葉を学び,感性を磨き,表現力を高め,創造力を豊かなものにし,人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことができないものである。

子どもの読書活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため,平成13年12月に「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平13法154)が公布・施行され,この法律に基づき,平成20年3月には,今後おおむね5年間に渡る「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(第2次)(以下,「本計画」という。)が閣議決定された。

同法では,都道府県及び市町村は,それぞれ,「都道府県子ども読書活動推進計画」及び「市町村子ども読書活動推進計画」(以下,「市町村計画」という。)を策定するよう努めなければならないとされている。また,本計画では,国は,本計画期間中に50%以上の市町村において「市町村計画」が策定されるよう,都道府県及び市町村の相談に応じること等により取組を促していくこととされている。文部科学省の調べでは,平成23年度末時点で,全都道府県と938市町村(全市町村の約54%)において「市町村計画」が策定されており,本計画における目標は達成されたものの,より一層,子どもの読書活動の推進を図るため,引き続き,地域の実情を踏まえつつ,市町村計画の策定を促すこととしている。

また,国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるため,法律に基づき,子ども読書の日(4月23日)を記念して「子どもの読書活動推進フォーラム」を開催し,著名人による記念講演や文部科学大臣表彰の授与等を行うとともに,子どもの読書に関してホームページ等による情報提供を行っている。

また,学校図書館の機能の一層の向上を図るため,蔵書や新聞配備,学校図書館担当職員(いわゆる「学校司書」)の配置に要する経費について,地方財政措置を講じている(新聞及び「学校司書」については平成24年度から)。

さらに,「国民読書年」(平成22年)を契機に開催した「国民の読書推進に関する協力者会議」(座長:福原義春資生堂名誉会長)の報告書には,司書や司書教諭等読書の専門職の配置充実,図書館の機能強化,図書館や学校など,読書の場を中心とした新しいまちづくりなどについて提言を行い,社会全体で読書活動を推進する取組の充実に努めている。

(3) 地域等での多様な活動

ア 自然体験活動(文部科学省)

文部科学省では,次代を担う青少年の育成を図るため,自然体験活動の指導者養成に取り組むとともに,広く家庭や企業等へ体験活動に対する理解を求めるための普及啓発を推進している。

また,独立行政法人国立青少年教育振興機構においては,傘下の国立青少年教育施設の立地条件や特色を活かした自然体験活動等の機会と場の提供を行っている。

イ 森林環境教育活動(農林水産省)

林野庁では,文部科学省と連携して,子どもたちが入門的な森林・林業体験活動を行う機会を幅広く提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」の受入体制の整備等森林環境教育活動を推進していくための体制の整備に向けた支援を実施している。

また,国有林野事業においては,教育関係機関等と連携して森林環境教育活動を実施するとともに,森林観察会や体験林業活動において指導的な役割を担う教職員等を対象とした技術的指導等に取り組んでおり,平成22年度は延べ約11万7000人が参加した。

その他,学校等による体験活動等の場を提供するための「遊々の森」の設定に取り組んでおり,平成22年度末現在,172か所,7219ヘクタールの国有林について学校等と協定を締結している。

ウ 国民参加の森林づくりの推進(農林水産省)

林野庁では,緑と親しみ,緑を愛し,緑を守り育てる活動を目的とした緑の少年団が日頃の活動状況を発表し,相互の研鑽を図る全国緑の少年団活動発表大会に対する支援を行うとともに,青少年による森林ボランティア活動等に対する支援を行っている。

また,国有林野事業においては,森林ボランティア等による自主的な森林づくり活動の場を提供するための「ふれあいの森」の設定(平成22年度末現在:137か所,4325ヘクタール),地域の歴史的木造建造物や伝統文化等の継承に貢献するための「木の文化を支える森」の設定(平成22年度末現在:22か所,565ヘクタール)に取り組んでいる。

エ 花育活動の推進(農林水産省)

農林水産省では,文部科学省及び国土交通省と連携して,花育活動を推進している。花育は,花壇作りやフラワーアレンジといった花や緑との触れ合いを通じて,子どもたちが優しさや美しさを感じる気持ちを育む取組であり,教育現場や地域が活動の舞台となっている。この花育活動は,地域の農家や生花店の協力により,各地で独自に取り組まれてきたが,平成20年3月に花や緑の生産者,流通業者,造園業者等の団体から成る全国花育活動推進協議会が設立され(平成24年1月末現在40団体が加入),花育に興味を持っている小学校・地域等に対して,花育教室の実施や専門知識を有する花育アドバイザーの紹介,取組事例の情報提供等花育活動の普及を図っている。

花育の取組の更なる普及を図るため,農林水産省では,平成23年度には,主に小学校中高学年児童を対象に,花や緑に対する関心を深め,理解を促進するための教材や指導マニュアルの作成及び研修会実施を通じた花育活動実践者育成のための取組に支援を行った。平成24年度においては,中学生を対象とした同様の取組に支援を行う。

オ 自然とのふれあいの推進(環境省)

環境省では,地方公共団体等との協力の下,「みどりの月間」(4月15日~5月14日),「自然に親しむ運動」(7月21日~8月20日),「全国・自然歩道を歩こう月間」(10月)等を通じて,自然観察会等,自然とふれあい,親しむ行事を行うことにより,子ども・若者が自然とふれあう機会を提供し,子ども・若者の健やかな育成や自然系環境教育の推進に努めている。

また,このような自然系環境教育活動を積極的に推進するため,国立公園等における活動に協力するボランティアの研修・活動支援等を通じ,人材の養成に努めている。

カ 青少年団体への支援(文部科学省)

青少年が,集団の中で自己を確立し,連帯の心を身に付けていく上で,青少年団体の活動が果たす教育的役割は大きい。

青少年団体の活動の振興を図るため,独立行政法人国立青少年教育振興機構を始めとする青少年教育施設においては,青少年団体の指導者を対象とした研修を行っている。また,同機構では,「子どもゆめ基金」事業により,民間団体が実施する様々な体験活動や読書活動等への助成を行っている。

キ 文化活動の奨励(文部科学省)

地域や学校教育の場において,子どもたちが,文化活動に参加したり,優れた文化芸術に触れたりすることにより,豊かな心や感性を育むよう,学校,地域社会や文化施設等の相互連絡を密にし,学校の内外における文化活動や鑑賞の機会を確保することは重要である。

このため,オーケストラ等の舞台芸術の鑑賞や芸術文化団体によるワークショップに参加し,舞台芸術に身近に触れることができる機会を提供するなど子どもの文化芸術体験活動の推進のための施策の充実を図っている。

ク 環境教育(文部科学省,環境省)

現在,温暖化や自然破壊等地球環境の悪化が深刻化し,環境問題は人類の生存と繁栄にとって緊急かつ重要な課題となっている。豊かな自然を守り,未来へと引き継いでいくためには,子どもたちを含めた一人一人が環境問題に関心を持ち,自ら環境保全活動に取り組んでいく態度を養っていく必要がある。

このような中,平成18年12月に成立した改正教育基本法には,教育の目標として「生命を尊び,自然を大切にし,環境の保全に寄与する態度を養うこと」(第2条第4項)が新たに規定された。

文部科学省では,子どもたちがその発達段階に応じて,様々な機会に環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう,学校教育及び社会教育において環境教育の推進のために必要な施策に取り組んでいる。

学校教育においては,平成20年3月に小・中学校,平成21年3月に高等学校の学習指導要領を改訂し,社会科や理科,技術・家庭科等関連の深い教科を中心に環境教育に関する内容の充実を図った。

学校施設においても,エコスクール(環境を考慮した学校施設)づくりを行うことは,環境教育の教材としての活用や環境負荷低減の効果が期待されるところであり,さらに,地域の環境教育の発信拠点となることから,太陽光発電をはじめとする新エネルギー設備や校舎等の断熱性の向上,校庭の芝生化などの整備を進めている。

社会教育においては,公民館等の社会教育施設を中心として,地域における社会教育関係団体等が連携して,環境保全等の地域の課題を解決していくための取組を支援し,地域の教育力の向上を図っている。

また,環境省をはじめとする関係府省では,「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」(平15法130。平成23年6月に「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」に改正。)及び同法に基づく基本方針に基づき,人材認定等事業の登録を行い,登録した事業についてインターネットによる情報提供を行うとともに,関係府省が連携しつつ,家庭,学校,地域,企業等における生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供している。

青少年教育施設においては,豊かな自然環境を活かし,体験型の環境学習や自然体験活動の機会を提供するなど環境教育の推進に取り組んでいる。

ケ 都市と農山漁村の共生・対流の促進

<1> 子ども・若者の農山漁村交流(総務省,文部科学省,農林水産省)

農林水産省,文部科学省及び総務省の3省では,力強い子どもの成長を支える教育活動として,小学校における農山漁村での宿泊体験活動を推進する「子ども農山漁村交流プロジェクト」を展開している。農林水産省では,受け入れの核となる受入モデル地域を選定して受入体制の整備等の支援を行っている。また,文部科学省では,3泊4日以上での農山漁村での自然体験活動等の取組を支援している。

<2> 子どもの森林・林業体験(農林水産省)

子どもたちが森林において様々な体験活動を行う機会を提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を推進している。

また,国有林野事業においては,「遊々の森」制度により継続的に体験活動が展開できる場を提供している。そのほか,農山漁村における体験活動とも連携し,森林・林業に関する学習・体験活動のための受入体制の整備への支援を行っている。

<3> 子どもの漁業体験(農林水産省)

海,水産業及び漁村について,子どもたちの理解を深めるために学校内外の活動の一環として行われる漁業体験活動や自然体験活動への支援及び体験活動の場の整備への支援を行うとともに,漁村の受入体制の整備等への支援を行っている。

(4) 生涯学習への対応

社会経済の大きな変化の中で,生涯を通じて,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会を実現することが求められている。特に,出産・育児のために仕事を離れる者が多いなど,安定した雇用を得にくい女性にとって,生涯にわたる学習機会の充実は重要である。

生涯学習機会の提供者として,学校・社会教育施設・民間教育事業者・NPO・行政等多様な主体が活躍しているが,本項では,他の項との重複を避けるため,高等教育機関における生涯学習への対応状況や,民間教育事業の質の向上に関する取組等について取り上げる。

ア 高等教育機関における対応(文部科学省)

大学等の高等教育機関は,従来から生涯学習機関としての機能を社会一般に積極的に提供するよう期待されてきたが,昨今,技術革新や産業構造の変化に伴い,社会人が高等教育機関で教育(再教育)を受ける必要性が高まるなど,その一層の充実が求められている。このため,次のような対応が進められている。

<1> 公開講座の実施

<2> 夜間の学部・学科の設置

<3> 昼夜開講制の実施

<4> 通信教育課程の設置

<5> 科目等履修生制度の導入

<6> 履修証明制度の導入

<7> 大学・大学院入学資格の弾力化

<8> 高等学校卒業程度認定試験の実施

<9> 短期大学における地域総合科学科の設置と適格認定

<10> 放送大学の充実

イ 民間教育事業の質の向上に関する取組(文部科学省)

生涯学習の成果を適切に生かすことのできる社会を実現するためには,学習成果の評価の社会的通用性を向上させることが必要である。そのため,民間事業者等が提供する多様な教育サービスについて,その質の向上や信頼性の確保に向けた取組が求められている。

このような観点での第一歩として,平成22年6月に「『検定試験の評価ガイドライン(試案)』について(検討のまとめ)」を取りまとめ,検定試験の評価手法,評価の視点や内容,情報公開が望まれる項目などを公表するとともに,民間事業者などが行う検定試験の評価や情報公開の取組を促進するなどことにより,検定試験の質の確保や向上を図っている。

ウ 全国生涯学習ネットワークフォーラムの実施(文部科学省)

生涯にわたって,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会を実現するためには,学習機会の整備とともに,学習成果の活用促進が必要である。

その実現のため,行政,大学,NPO等の団体,企業等の人々(以下,「関係者」という。)が各地で取り組んでいる,生涯学習活動の成果を生かして社会的課題の解決を図る取組を全国的に推進することが重要である。

本フォーラムは,関係者等が一堂に会し,課題について研究協議等を行いその成果を情報発信するとともに,継続的な活動を充実させ関係者相互の情報交換等を日常的に行えるよう,様々な分野にまたがる関係者等のネットワーク化を図ることを目的としており,平成23年度は東京都で開催した。

エ 女性の生涯学習(文部科学省)

女性が主体的に働き方・生き方を選択できるよう,結婚,妊娠,出産といったライフイベントを視野に入れ,長期的な視点で自らの人生設計を行うことを支援するために,学校から社会への移行時期にある若者に対し,大学と連携し学習機会の提供を行った。

(5) 多様な価値観に触れる機会の確保(内閣府,総務省,文部科学省)

内閣府の青年国際交流事業は,多様な価値観を持つ各国青年との交流により,日本青年にグローバルな知識や発想を身に付けてもらうとともに,各国から参加した優秀な青年に我が国青年との信頼関係を基礎として,我が国への理解と友好親善を深めてもらうために行っている。 

例えば,「東南アジア青年の船」及び「世界青年の船」各事業における船内でのプログラムでは,多様な文化や価値観を持つ各国青年との英語によるディスカッション活動が中心で,異文化理解,環境,教育等のテーマ別の討論や発表等を行うほか,各国の芸能やスポーツを伝えるクラブ活動等を通じた交流活動を行っている。「国際青年育成交流」,「日本・中国青年親善交流」,「日本・韓国青年親善交流」等の二国間交流事業においても,訪問国での現地青年との双方の社会事情に関するディスカッションやホームステイがプログラムの中心となっている。

こうした交流は,高いディスカッション能力やコミュニケーション能力の向上に寄与するとともに,普段の生活の場を超えた多様な価値観に触れる貴重な機会となっている。

また,内閣府の青年国際交流事業の日本人参加者は,これまでに約1万5600名となっており,全国レベル及び都道府県ごとに自主的な非営利の活動団体(日本青年国際交流機構)を組織し,47都道府県に支部組織を展開して青少年育成,人道支援等の社会貢献活動や,外国人との交流活動等多くの事後活動を活発に展開している。

例えば,福島県既参加青年の組織である「船と翼の会ふくしま」が中心となって行っている「国際理解キャラバン隊」では,福島県内の子どもや若者に,多様な価値観を体験する機会を提供することを目的に,国際ボランティアNGO日本ワークキャンプセンター(NICE)の協力で招へいされた10か国10名の外国青年とともに,小学校2校で国際理解講座の開催,福島大学でのディスカッションを実施し,また,合宿形式による共同作業を通じての意見交換及びホームステイを行った。この取組は,平成23年3月11日に発生した東日本大震災を受けて,被災した子どもや若者を元気づけようと始まったものである。これらの事業を通じて,福島の子どもや若者が日本と各国には文化や生活習慣が異なることがあると同時に,共通することがあることを実感し,また,外国人と触れ合うことで多くの外国人が福島を応援していることを知ることができ,さらに,外国人にとっても福島の子どもや若者が前向きに頑張っている姿を直に見る機会となった。

このように既参加青年たちが自主的に行っている事後活動においても,外国人等との交流活動等により,日本の青少年が自らとは異なる文化や多様な価値観に触れる機会が継続的に設けられている。

文部科学省においても,青少年に対し,国内外の様々な人々との交流を通して多様な価値観に触れる機会を提供する事業を実施している。例えば,「青少年教育施設を活用した国際交流事業」として,東アジアを中心とした海外の青少年を日本に招き,青少年教育施設を中核として,周辺の社会教育施設等を活用し,自然体験・スポーツ体験・文化体験等を通じた多様な国際交流の機会を提供している。

また,平成27年には,世界161の国と地域から約3万人の青少年が集うボーイスカウトの世界大会「第23回世界スカウトジャンボリー」が日本において開催予定であり,平成23年12月に,本大会の円滑な実施に向けて,関係行政機関が必要な協力を行う旨の閣議了解がなされている(平成25年には,本大会のプレ大会も日本において開催予定)。

独立行政法人国立青少年教育振興機構においても様々な国際交流事業を実施している。例えば,平成14年の「日中韓国民交流年」を機に,絵本・童話を通して,お互いの文化の特徴や共通性の認識を深めることを目的として,「日中韓子ども童話交流事業」を実施している。同事業は,小学4年生から6年生にあたる日本・中国・韓国の子どもたち100名が6泊7日の間行動を共にし,理解を深め合うものである。平成23年度は,これまで日本において開催されてきた同事業を初めて中国で開催し,平成24年度は,韓国で開催する予定である。

3 学力の向上

(1) 知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立(文部科学省)

平成18年12月の教育基本法改正及び平成19年6月の学校教育法改正において,知・徳・体のバランスとともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力,学習意欲等を重視し,学校教育においてこれらを調和的に育むことが必要である旨が法律上規定され,文部科学省においては,平成20年3月に小・中学校,平成21年3月に高等学校の学習指導要領の改訂を行った。 

今回の改訂は,

<1> 教育基本法改正等で明確となった教育の理念を踏まえ「生きる力」を育成すること,

<2> 知識・技能の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視すること,

<3> 道徳教育や体育等の充実により,豊かな心と健やかな体を育成すること,

を基本的なねらいとしている。

このため,新学習指導要領においては,以下のとおり授業時数を増加し,教育内容を改善しているところである。

<1> 授業時数の増加

小学校では,週当たりの授業時数が低学年で2コマ,中・高学年で1コマ増加した。特に,国語,社会,算数,理科及び体育の授業時数は6年間で約1割増加している。中学校では,週当たりの授業時数が1コマ増加した。特に,国語,社会,数学,理科,外国語及び保健体育の授業時数は,3年間で約1割増加している。

<2> 教育内容の主な改善事項

ア 言語活動の充実

言語は,論理や思考等の知的活動,コミュニケーション及び感性・情緒の基盤である。このような力を育むため,国語はもとより様々な教科等でも,各教科等で学習する知識・技能を活用したレポートの作成やクラスでの話し合いを行うこと等言葉の果たす役割を重視した授業を進めることとしている。

イ 理数教育の充実

国際的な通用性及び内容の系統性の観点から指導内容を充実した。また,反復による指導や観察・実験についても充実している。

ウ 伝統や文化に関する教育の充実

国際社会で活躍する日本人の育成を図るため,我が国や郷土の伝統や文化を受け止め,それを継承・発展させるための教育を充実した。

エ 道徳教育の充実

小・中学校の道徳教育は,道徳の時間を要として,学校の教育活動全体を通じて行うものであることを明確化した。

オ 体験活動の充実

集団宿泊活動,自然体験活動,職場体験活動,ボランティア活動等の社会奉仕体験及び就業体験を推進するなど,体験活動の充実を図った。

カ 外国語教育の充実

小学校第5・6学年に週1コマの外国語活動を導入した。中学校では,聞く・話す・読む・書くを総合的に行う学習活動を充実した。

新学習指導要領は,小学校では平成23年度から,中学校では平成24年度から全面実施するとともに(平成21年度から算数・数学,理科等で先行実施),高等学校では,平成25年度入学生から年次進行で実施することとしている(小・中学校における学習の成果を生かすため,数学及び理科は平成24年度入学生から先行実施)。文部科学省では,新学習指導要領の円滑な実施に向け,教職員定数の改善や算数・数学及び理科の先行実施に伴い新たに必要となる補助教材の作成・配布,理科教育設備等の整備への支援,理数教育や外国語教育等各教科等の充実に向けた支援等を行っている。

(2) 基礎学力の保障等(文部科学省)

文部科学省では,少人数指導,習熟度別指導,ティーム・ティーチング等きめ細かな指導や小学校における専門的な指導による指導方法改善のため,教職員の加配定数を措置しており,平成24年度予算においては,4万1523人の加配定数改善を措置している。

また不登校児童生徒への相談・指導を行うために各都道府県・市町村教育委員会が設置している教育支援センター(適応指導教室)では,不登校児童生徒の在籍校とも連絡をとり,児童生徒の実情に応じて学習指導を行っている。

(3) 高校教育の質の保証(文部科学省)

文部科学省では,高等学校教育の質の保証と向上を促すため,学習指導要領の改訂や各学校における学校評価の取組の推進等多様な施策を実施しているところである。

平成21年3月に改訂された新高等学校学習指導要領では,<1>高校教育の共通性と多様性のバランスを重視し,学習の基盤となる国語,数学及び外国語における共通必履修科目の設定,<2>言語活動,理数教育,道徳教育及び外国語教育の充実,<3>義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けることの促進等の改善を図ったところである。

(4) 教育の情報化の推進(総務省,文部科学省)

知識基盤社会が到来し,グローバル化が進展するなかで,21世紀を生きる子どもたちに求められる力を育むため,一斉指導による学びに加え,子どもたち一人一人の能力や特性に応じた学びや,子どもたち同士が教え合い学び合う協働的な学びを推進する上で,情報通信技術は重要な役割を果たすものと考えられる。文部科学省では,「学校教育の情報化に関する懇談会」(安西祐一郎座長)における検討等を踏まえ,平成23年4月に,教育の情報化に関する総合的な推進方策である「教育の情報化ビジョン」を取りまとめた。

これを踏まえ,教育の情報化を着実に推進するため,平成23年度より,総務省と連携しつつ,情報通信技術を活用した教育に関する総合的な実証研究(「学びのイノベーション事業」)を実施している。具体的には,一人一台の情報端末や無線LAN等が整備された環境において,デジタル教科書・教材を活用し,その効果・影響の検証,指導方法の開発,モデルコンテンツの開発等を行っている。

総務省では,平成22年度から「フューチャースクール推進事業」を開始した。平成23年度においては,文部科学省事業と連携し,平成22年度から継続する10校の公立小学校に加え,新たな実証校として中学校8校及び特別支援学校2校を追加し,学校現場における情報通信技術面を中心に更なる課題の抽出・分析に取り組み, ガイドライン(手引書)に取りまとめた。平成24年度においては,平成23年度から継続する20校を対象に,引き続き学校現場における情報通信技術面を中心に課題の抽出・分析を行い,その結果を踏まえて,ガイドライン(手引書)の充実を図ることとしている。

4 大学教育等の充実

(1) 教育内容の充実

ア 大学入学者選抜(文部科学省)

大学入学者選抜については,常により良い方途を,不断の努力を続けていくべき重要な課題である。

文部科学省においては,これまでも各大学がそれぞれの大学・学部等の教育理念や教育内容等に応じた入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)を明確にし,入学後の教育との関連も十分踏まえた上で,入試方法の工夫・改善に努めるよう促しており,平成24年度入試からは,さらに入学志願者の多様な学習成果の評価を推進するため,理数系分野の能力を適切に評価する観点から,国際科学オリンピック等の結果を活用することを大学へ要請している(副大臣通知を平成23年5月31日に発出)。

また,各大学においては,アドミッション・ポリシーに基づき,大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を多面的に評価するため,面接,小論文等による評価尺度の多元化や,アドミッション・オフィス(AO)入試,推薦入試の導入・拡大といった入試方法の多様化の取組が進められてきた。

一方,各大学において入試方法の多様化が進み,AO入試や推薦入試など必ずしも学力試験を課さない入試方法で入学する学生の割合が上昇しており,少子化の進展とも相まって,基礎学力の担保に課題が生じていることから,文部科学省においては,平成23年度入試からは,いずれの入試方法でも学力把握措置を講ずることとするなど,各大学に通知している。

イ 教育機能の充実(文部科学省,経済産業省)

学部教育については,多年にわたり様々な議論が重ねられてきた。平成20年の中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」において,学部教育の充実のため,各大学が「学位授与の方針」「教育課程編成・実施の方針」「入学者受入れの方針」を明確に示し,学部教育を組織的・総合的に運用するとともに,教職員の職能開発等質保証システムを強化することが必要であることが示され,様々な取組が行われている。

具体的には,シラバスの記述の具体化,厳格な成績評価の実施,学期等における履修科目登録の上限設定を通じた単位の実質化に向けた取組のほか,産学連携的なプロジェクト学修,長期インターンシップ等を通じた実践的なキャリア教育等を含む学生の社会的及び職業的自立に関する組織的な教育活動の展開や,教育内容・方法の改善,教育情報の公表等が,積極的に取り組まれているところである。

このような大学の取組を支援するため,文部科学省としては,国公私立大学を通じた競争的環境の下で,大学教育の質の保証や教育力の向上を図る取組の中から,個性・特色ある優れた取組を選定し,大学教育の改革への財政支援を行うとともに,社会に広く情報提供することにより,各大学等における教育改革の取組を推進している。

ウ 認証評価制度の導入(文部科学省)

すべての国公私立大学が,文部科学大臣から認証された評価機関による定期的な評価を受ける認証評価制度を,平成16年度から導入し,大学の教育研究の質の維持向上を図っている。

エ 学習支援サービス(文部科学省)

多様化した学生の学習活動をサポートするため,大学においては,優秀な大学院学生に対し,教育的配慮の下に,学部学生等に対する助言や実験,実習等の教育補助業務を行わせるティーチング・アシスタント制度や,大学の教員が学生の授業内容等に関する質問・相談等に応じるための時間(オフィスアワー)を設けるなどの授業時間外における履修上の指導等学生に対する支援サービスの充実に向けた取組を促進している。

(2) 高度な大学教育の充実(文部科学省)

社会経済の大規模な構造変化や国際競争の激化に伴い,国際的視野と高度の専門職業能力を有し,社会の各分野で指導的な役割を担うことのできる人材が強く求められている。

それらの社会的要請にこたえるため,高度専門職業人の養成に特化した実践的な教育を行う大学院として,専門職大学院が平成15年度に制度化された(平成23年5月現在:131大学186専攻))。

また,国公私立大学を通じ,国内外の大学・機関との連携強化や優れた若手研究者の育成機能の強化を含め国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援する「グローバルCOEプログラム」を実施するとともに, 俯瞰力と独創力を備え,広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成するため,産・学・官の参画を得つつ,専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援する「博士課程教育リーディングプログラム」を平成23年度より実施している。

(3) 専修学校教育の充実(文部科学省)

専修学校制度は,職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し,又は教養の向上を図ることを目的として,昭和51年に発足した。以後着実な発展を続け,平成23年度においては,学校数3266校,生徒数64万5834人に達しており,社会の変化に即応した実践的な職業教育を行う機関として,大きな役割を果たしている。専修学校には,入学資格の差異により3つの課程(専門課程,高等課程及び一般課程)が設けられている。特に高等学校卒業程度を入学資格とする専修学校専門課程(専門学校)には,高等学校新規卒業者(平成23年度)の16.2%が進学しており,我が国の高等教育の重要な一翼を担っている。

専修学校教育は,専門的な職業知識・技術の習得のほか,職業観及び勤労観の涵養や,自己学習能力等の育成において相当の成果を挙げており,若者の職業的自立に寄与している。

また,専修学校教育の振興方策として,多様な学習ニーズへの対応を充実させるよう,社会人等が働きながら学習しやすくなるよう,学習スタイルに係る環境整備が必要になっていることや,専修学校の学習者の多様なニーズに応えるため,短期教育プログラム積み上げ方式の教育等の提供が求められている。これを踏まえ,文部科学省は専修学校における単位制・通信制の教育の制度化を図るための制度改正を行った。

さらに,専修学校教育の質の向上及び社会の理解増進を図るため,学校評価や,情報公開などへの対応の在り方について検討を図るための協力者会議を開催した。

文部科学省では,平成23年度に引き続き,成長分野等における中核的専門人材の養成を,産学官連携の下でさらに推進するため「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」を行うほか,東日本大震災からの復興に向けた支援を行うため,より大きく変化した被災地の人材ニーズや雇用のミスマッチに対応し,復興の即戦力や次代を担う専門人材の育成及び地元への定着を図る「東日本大震災からの復興を担う専門人材育成推進事業」や専修学校の留学生の日本での就職・生活を支援する「専修学校留学生総合支援プラン」事業を実施するとともに,耐震化事業に対する補助や,教育措置・情報処理関係の設備等に対する補助,教員研修事業等の施策を行うなど専修学校教育の一層の振興を図っている。

5 経済的支援の充実

(1) 新しい「児童手当制度」(厚生労働省)

子どものための現金給付制度については,「児童手当法の一部を改正する法律案」を第180回通常国会に提出し,衆議院で法律案の修正が行われた上,平成24年3月に成立,同年4月1日から施行された。

これにより,児童手当は,所得制限額(例:夫婦・児童2人世帯の場合は年収960万円)未満の方に対して,3歳未満と,3歳から小学生の第3子以降については児童1人当たり月額1万5000円,3歳から小学生の第1子・第2子と,中学生については児童1人当たり月額1万円を支給することとなった。なお,所得制限額以上の方に対しては,特例給付として児童1人当たり月額5000円を支給することとなった。

また,「平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法」において盛り込まれていた

<1>児童に国内居住要件を設けること(留学中の場合を除く)

<2>児童養護施設に入所している児童等について手当を施設の設置者等に支給すること

<3>保育料を手当から直接徴収できる仕組みとし,学校給食費を本人同意により手当から納付することができる仕組みとすること

等についても引き続き行うこととなった。

(2) 公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度(文部科学省)

「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」が平成22年3月31日に成立し,同年4月1日から施行されている。この法律により,公立高等学校について授業料を無償とするとともに,私立高等学校等の生徒については,高等学校等就学支援金を支給する制度が創設された。

今日,高等学校等は,その進学率が約98%に達し,国民的な教育機関となっており,その教育の効果が広く社会に還元されていることから,高等学校等の教育に係る費用について社会全体で負担していくことが要請されている。

また,高等学校等については,家庭の経済状況にかかわらず,すべての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう,家庭の経済的負担の軽減を図ることが喫緊の課題となっている。さらに,諸外国では多くの国で後期中等教育を無償としており,「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」においても,中等教育における無償教育の漸進的な導入について規定されている。

本制度はこのような観点から,一人一人の学ぶ機会を社会全体で支え,助け合っていく社会を目指してスタートした。

具体的には,公立高等学校については,原則として授業料を徴収しないこととし,これに伴って要する経費を国から地方公共団体に対して交付する。

また,私立高等学校等の生徒については,高等学校等就学支援金として授業料に充てるために一定額(11万8800円,低所得世帯の生徒については1.5~2倍の額)を支給する。その際,簡便かつ確実に授業料負担を軽減できるように,学校が生徒本人や保護者に代わって受け取り,授業料の一部として相殺することとしている。

さらに,本制度の実施に加えて,高校生修学支援基金※4の延長・積み増しの経費の措置等,都道府県が行う授業料減免補助の取組について,国として必要な措置を講じているところであり,高等学校等就学支援金と授業料減免補助をあわせた支援については,多くの都道府県において,制度開始前より手厚くなっている。

※4 経済的理由にかかわらず高校生が学業を継続できるよう,授業料等減免補助(私立)等を実施する都道府県に対し,緊急支援を行う。

これらの支援により,すべての意志ある高校生が,教育にかかる費用を心配することなく,安心して勉強に打ち込めるようになるとともに,多様な教育機関での学びを支援することによって,生徒が多様な学習機会を広く選択できるようになることが期待される。

制度の導入や,都道府県の授業料減免等の取組によって,高等学校等の生徒の就学に以下のような変化が見られる。

<1>平成22年度の経済的理由による高等学校等中途退学者数は,前年度に比べて減少。

(高等学校:約37%減少,私立高等専修学校:約31%減少)

高等学校:2600人(H19)⇒2208人(H20)⇒1647人(H21)⇒1043人(H22)

私立高等専修学校:255人(H19)⇒243人(H20)⇒253人(H21)⇒174人(H22)

(「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」及び「文部科学省調べ」)

<2>平成22年度の高校中退者のうち再入学・編入学した者の数は,これまで減少傾向にある中,前年度に比べて増加(約15%増加)。

〔8155人(平成19)⇒7266人(H20)⇒6921人(H21)⇒7960人(平成22)〕

(「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」)

<3>制度導入前に比べ,希望に応じた進路を中学生が選択できるようになったとする市町村が,約70%。

(青森県,愛媛県,大分県内の市町村へのアンケート結果による)

<4>低所得世帯の私立高校生に対する就学支援金と授業料減免補助を合わせた支援については,いずれの都道府県においても本制度の実施と相まって,従来と同水準か更に手厚い支援。

・年収250万円未満程度の世帯に対しての授業料全額免除相当の支援:13自治体→43自治体

・年収350万円未満程度の世帯に対しての授業料全額免除相当の支援:4自治体→14自治体

(平成23年7月1日現在における,各都道府県への聞き取り調査による)

(3) 奨学金等の支援

ア 初等中等教育段階における取組(文部科学省)

幼稚園に通う園児の保護者に対する経済的負担の軽減や,公私立幼稚園間における保護者負担の格差の是正を図ることを目的として,入園料や保育料を軽減する「就園奨励事業」を実施している地方公共団体に対し,引き続き幼稚園就園奨励費補助金により所要経費の一部補助を行うとともに,経済的理由により小・中学校への就学が困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対して,各市町村において引き続き学用品の給与等の就学援助を行う。

高等学校及び専修学校高等課程の生徒に対する奨学金事業については,平成17年度の入学者より,独立行政法人日本学生支援機構から都道府県に移管されており,各都道府県において確実に事業が実施できるよう,平成24年度予算では高等学校等奨学金事業交付金約200億円を措置している。加えて,高校生修学支援基金においても,都道府県が行う奨学金事業を支援しているところであり,平成24年度以降は,当該基金を利用するすべての都道府県において,大学生等と同様の所得連動返済型の奨学金制度を整備されるよう制度改正を行っている。

イ 大学等における取組(文部科学省)

学ぶ意欲と能力のある学生等が経済的理由により修学を断念することがないよう,独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金事業の充実や,各大学が実施する授業料減免等への支援を行うとともに,学生等に対し,自らが次の社会の担い手であることへの気づきを促す各大学等の取組を奨励する。

大学院生に対しては,ティーチング・アシスタント(TA)やリサーチ・アシスタント(RA)としての雇用等を通じた支援を引き続き行う。

ウ その他(厚生労働省)

生活保護受給者に対し,就労による経済的自立を支援するとともに,受給者の子どもに対し学習支援等を行っている。

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