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第2部 子ども・若者に関する国の施策

第2章 すべての子ども・若者の健やかな成長の支援

第2節 子ども・若者の社会形成・社会参加支援

1 社会形成への参画支援

(1) 社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)の推進

社会の一員として自立し,権利と義務の行使により,社会に積極的に関わろうとする態度等を身に付けるため,社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)を推進することが必要である。

学校教育においては,学習指導要領に基づき,小・中学校の社会科や高等学校の公民科を中心に従来から民主政治や政治参加,法律や経済の仕組み,勤労の権利と義務等についての教育を行ってきた。さらに,平成20年3月に公表された小・中学校学習指導要領及び平成21年3月に公表された高等学校学習指導要領では,社会の変化を踏まえ,社会参画という視点を重視し,「社会生活を営む上で大切な法やきまり」,「国民の司法参加」,「契約の重要性」,「消費者の基本的な権利と責任」等を扱うこととするなど教育内容の充実を図っている。

ア 法教育(法務省)

法務省では,法律専門家ではない一般の人々が,法や司法制度及びこれらの基礎になっている価値を理解し,法的なものの考え方や公正な判断力及び社会への参加意識を身に付けるための教育(法教育)の普及・発展のため,様々な取組を行っている。

具体的には,平成16年11月に,中学生を対象とした法教育教材を作成し,中学校において,この教材に基づいた授業を実践することにより,社会経済活動と法との関係についての理解を深め,社会経済活動に主体的にかかわっていく意識を養うとともに,法や司法を身近なものと感じ,法によって紛争を解決する態度,法(ルール)を自分で創り出し,遵守し,必要に応じて改善していく態度を身に付けるための取組等を促進している。

また,法教育の一層の普及・発展を図るため,平成17年5月に「法教育推進協議会」を発足させ,平成18年度には,上記法教育教材を更に分かりやすく,使いやすくするためのQ&A集及びDVDを作成した。

平成19年から平成21年にかけては,同協議会の下で,私法分野における法教育の在り方に関する検討等を行うための「私法分野教育検討部会」及び小学生を対象とした法教育教材の作成等を行うための「小学校教材作成部会」が開催され,活発な議論が行われた。同協議会は,平成21年に,両部会の検討結果を報告書及び教材として取りまとめた。

さらに,平成22年からは,同協議会において,法教育の普及・発展の一方策として,法教育をテーマに,教育関係者,法律専門家,学生等を対象とする論文コンクールを開始した。平成23年は,「学校現場において法教育を普及させるための方策について―法教育の授業例を踏まえて―」をテーマとして論文を募集したところ,教員等から多数の応募があり,同年12月の同協議会において,法教育推進協議会賞,日本司法支援センター賞及び社団法人商事法務研究会賞が各1通ずつ選出された。

なお,平成21年から法務省内にプロジェクトチームを設置し,新たな法教育教材の作成等を行うとともに,法務省職員等を講師として中学校・高等学校等に派遣する法教育授業を実施している※5

※5 法教育 法務省別ウインドウで開きます 教材等をダウンロードできる。

イ 租税教育(国税庁,文部科学省,総務省)

国税庁では,租税教育は基本的には学校教育の中で実施されるとともに,社会全体で継続的,段階的に取り組むべきものとの考え方の下,小学生から社会人となる手前までの学生等を対象に,国の基本となる租税の意義や役割を正しく理解し,健全な納税者意識を養うことができるよう,租税教育の充実に向けた環境整備や支援に努めている。

平成22年12月16日に閣議決定した「平成23年度税制改正大綱」※6において,「租税教育の充実」が明記されたことを受けて,関係省庁(国税庁,文部科学省,総務省)で協議し,平成23年11月に「租税教育推進関係省庁等協議会」を発足させ,租税教育の充実に向けて,関係省庁及び関係民間団体と連携しながら,効果的な支援策の検討を行っていくこととしている。

※6 平成23年度税制改正大綱(PDF形式:920KB)別ウインドウで開きます

これまでの租税教育の充実のための取組としては,各都道府県に設置した租税教育推進協議会(国,地方公共団体,教育関係者等で構成)を中心に,広く関係民間団体の協力を得て,学校の教員を対象とした講習会のほか,学校からの要請に基づく租税教室の講師派遣や租税教育用副教材の作成・配付,税に関する作文募集等を行っている。

また,国税庁ホームページに「税の学習コーナー」※7を開設し,学生等が自ら税について学習できるよう,税の意義,役割を分かりやすく解説したページを提供するとともに,楽しみながら税を学習できるよう,クイズやゲーム等のコンテンツを用意しているほか,学校の教員をはじめ,租税教育を行う指導者が利用できる電子媒体の教材である「租税教育用教材」を提供している。

さらに,国税庁では,青年層を含む納税者が,租税の意義や役割,税務手続について,正しく理解し,自らが適正な申告と納税を行えるよう,国税庁ホームページで税務手続・案内,通達等を掲載するほか,動画と図解で分かりやすく税情報等を解説するインターネット番組「Web-TAX-TV~ジャンルで選べる税金ガイド~」を配信している。また,ポスター,パンフレット等,様々な広報媒体を通じて広く税に関する情報を提供するとともに,全国各地で講演会や座談会等の各種施策を実施し,納税者意識の高揚に努めている。

ウ 金融経済教育(金融庁)

金融庁では,金融やその背景となる経済についての基礎知識に立脚しつつ,自立した個人として判断し,意思決定する能力である「金融経済リテラシー」を,国民一人一人に身に付けてもらうため,金融経済教育に関する様々な取組を実施している。

具体的には,金融を取り巻く環境が大きく変化している中,金融に関する知識が不十分なために,金融取引に関するトラブルに巻き込まれることがないよう,平成19年2月に,これから新社会人となる者を対象としたガイドブック「はじめての金融ガイド」を一般社会人にも役立つよう大幅に改訂し,金融に関するトラブル事例,トラブル防止策,困ったことがあった際の相談先等を盛り込み,全国の高等学校のほか,大学生協,消費生活センター,ハローワーク等に広く配布した。平成19年3月に,中学校・高等学校向け副教材「わたしたちの生活と金融の働き」を,最新の制度改正やトラブル事例を踏まえて改訂し,中学校向け生徒用パンフレット,高等学校向け生徒用CD-ROMを作成して全国の中学校・高等学校に配布した。

平成19年度においては,金融広報中央委員会が行った学習指導要領の趣旨を踏まえた教育プログラム(金融教育プログラム)の作成に参画したほか,学校における金融経済教育の一層の推進を図るため,全国の財務局・財務事務所において現場教員との懇談会を実施した。また,平成20年3月に,多重債務,振り込め詐欺,偽造盗難キャッシュカード等の金融トラブルの未然防止等を目的として,「はじめての金融ガイド」DVD版を作成し,全国の高等学校等に配布した。

なお,平成23年度においては,ガイドブック「はじめての金融ガイド」を「基礎から学べる金融ガイド」として改訂を行い,全国の高等学校,大学等へ配布するとともに要望部数調査等を実施し,要望があった先に希望部数を配布したほか,高等学校等へ財務局・財務事務所から講師を派遣し,金融経済教育に関する講演等を実施した。

エ 労働者の権利・義務に関する教育(厚生労働省)

実際に労働関係法制度を活用することができるように,労働者としての権利,義務及び各種制度について,理解の促進を図るため,教育や啓発活動を推進している。

オ 消費者教育

<1> 消費者教育の意義(消費者庁)

消費者基本法(昭43法78)では,第2条において消費者政策の基本理念が示され,消費者に対し必要な情報及び教育の機会が提供されることが消費者の権利であること等を尊重するとともに,消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することとされている。また,同法第7条では,消費者に対し,自ら進んでその消費生活に関して必要な知識を習得し,必要な情報を収集する等自主的かつ合理的な行動に努めなければならないとされている。消費者教育は,この消費者の取組を支援するものであり,同法第17条では,国及び地方公共団体が消費生活に関する教育を充実させることとされている。

近年,経済の仕組みの変化や規制緩和の流れの中で,消費者トラブルは多発し,その内容も複雑化・高度化している。この中で,個々の消費者が豊かな生活を実現していくためには,早い段階から経済行為の主体たる消費者としての基礎的な知識を身に付け,主体的に責任を持って意思決定を行いうる能力を持った消費者となることが重要であり,自立的な消費者を育成していくための消費者教育の一層の推進が必要である。

<2> 消費者基本計画における消費者教育の取組(消費者庁,文部科学省)

平成22年3月30日に閣議決定(平成23年7月8日一部改訂)した消費者基本計画においては,消費者が,生涯にわたって消費生活について学習する機会があまねく求められている状況にかんがみ,以下のとおり,学校,家庭,地域,職域その他の様々な「場」において,消費生活に関する教育が充実するよう必要な施策を講ずることとしている。

・消費者教育の体系的・総合的推進

・学校における消費者教育の推進・支援

・地域における消費者教育の推進・支援

<3> 各府省の施策(消費者庁,文部科学省)

○ 消費者教育の体系的・総合的推進(消費者庁)

消費者庁のリーダーシップの下,文部科学省と密接に連携をとり,学識経験者,消費者団体・NPO,教育関係者,事業者団体,関係省庁等をメンバーとする「消費者教育推進会議」を開催し,これまでに蓄積された研究・実践の成果を生かして,小学校から大学生,そして成人に至るまでの多様な消費者教育を,連携して体系的に進め,消費者教育の推進を図っている。

○ 消費者教育用教材の活用等の推進(消費者庁)

平成23年度は,新学習指導要領の実施に向けて消費者被害・事故に遭わない消費者を育てることを主眼に置いた若者・高校生向けの消費者教育用副教材(冊子教材,映像教材)・教師用解説書の作成を行い,学校における消費者教育の推進を支援している。

また,平成22年度に作成,配布した中学生向け消費者教育用副教材の活用状況調査を行い,中学校における効果的な消費者教育の教育手法と効果測定についての検討を行った。

さらに,消費者教育の基盤整備として,関係行政機関等で作成された消費者教育関連の教材及び実践事例等に関する情報等を集約したポータルサイト※8の運用を行っている。平成23年度は,国の行政機関,地方公共団体等が作成した教材や出前講座,実践事例等の取組の情報を再度収集しサイトへ追加した。本ポータルサイトを継続して運用し,機能や教材を拡充することにより,消費者教育に関する情報と知見の共有を進めている。

※8 消費者教育ポータルサイト 消費者庁別ウインドウで開きます

○ 学校教育(文部科学省)

学校教育においては,消費者としての正しい態度や知識を身に付けるため,学習指導要領に基づき社会科,家庭科等を中心に児童生徒の発達段階に応じた指導が行われている。

平成20年3月に小・中学校,平成21年3月に高等学校の学習指導要領を改訂し,今日の消費行動の複雑化,多様化等を踏まえ,児童生徒が消費者としての自覚を持ち,主体的に判断し責任を持って行動できるようにする観点から,消費者教育に関する内容の充実を図った。

また,学校における消費者教育の充実のため,平成24年度より学校における消費者教育の推進のため,都道府県教育委員会等に委託し,教科横断的な消費者教育のカリキュラム開発,消費者教育を担う教員のための研修,学校における外部人材の活用,地域における教材開発等についての実践的な調査研究などを行うこととしている。

○ 社会教育(文部科学省)

社会教育においては,公民館等の社会教育施設等において,消費者に関する学習機会が提供されている。文部科学省においては,平成22年度に作成した「大学等及び社会教育における消費者教育の指針」の普及及び家庭における消費者教育の推進を図るため,親子を対象としたワークショップによる検証や教材作成などを実施した。これらの検証等を通じて,今後も引き続き消費者教育のより一層の充実を図ることとしている。

カ 社会保障制度についての情報提供・意識啓発(厚生労働省)

医療・介護・年金・雇用等の社会保障は,国民が安心して生活をする上で必須の制度であり,次世代の主役となるべき子ども・若者には,社会保障について,給付と負担の構造を含め,その意義を理解してもらうとともに当事者意識を持って捉え,考えてもらうことが重要である。こうした観点から,教育現場で役に立つ副教材の作成に向けた検討を行うとともに,ホームページ上での情報提供,白書の作成等の取組を実施している。

キ 公的制度に関する情報提供・意識啓発

<1> 外交(外務省)

外交問題に関する青少年層の理解を深めるために,外務省ホームページにおいて,動画や画像等を含む理解しやすいコンテンツの制作に努力するとともに,外交をより身近に感じられるよう,外務省職員のエッセイ,インタビュー記事等「生の声」を掲載している。

また,国際社会における我が国の役割と責任がますます大きくなっている情勢の下,将来,我が国の様々な分野で活躍すると考えられる大学生が,国際情勢・外交問題に関心を持ち,理解を深めることを目的に,外務省職員等が全国各地の大学に赴き,講演を行っている。この「外交講座」を平成23年度は,62講座を開催した。

さらに,若手外務省職員との直接的な意見交換・交流の機会を設けることにより,大学生が国際情勢や外交政策に対する理解を深め,国際社会に対する関心を高めることを目的に,外務省セミナー「学生と語る」を実施している。平成23年度は,2回開催した。

なお,平成23年度の「大学生国際問題討論会2011」では,ОDA等による国際協力や,EPA等による経済連携の取組にに関する論題について,質の高い議論が行われた。

<2> 防衛(防衛省)

自衛隊に対する青少年の理解を一層深めるため,ホームページを活用した情報提供,大学生等を対象とした隊内生活体験等の広報活動を実施している。

(2) 子ども・若者の意見表明機会の確保(内閣府,各省庁)

内閣府では,子ども・若者に対する施策をより充実させるとともに,社会への参加意識を高めてもらうため,子ども・若者から,社会の様々な課題について,どのように思っているか意見を聴く「青少年意見募集事業」を実施している。公募で約300名の子ども・若者(中学生から30歳未満)を「ユース特命報告員」として選抜し,特定の政策課題等についてインターネット上の電子メールで意見を募集し,受け付けた意見を子ども・若者育成支援施策の企画・立案に役立てている。

2 社会参加の促進

(1) ボランティア等社会参加活動の推進

ア ボランティア活動の支援・推進(文部科学省)

青少年教育施設においては,青少年が地域社会へ参画することを支援するため,ボランティアに関する各種事業を実施し,ボランティア活動を通じて社会性を育む機会を提供している。

また,独立行政法人国立青少年教育振興機構では,東日本大震災への対応として,民間団体と連携し,ボランティアコーディネーター研修を実施するとともに,震災ボランティアに関心がある学生や青年を対象に,「緊急青年ボランティアミーティング」を開催した(計3回実施し,627名が参加)。さらに,実際にボランティアとして活動した学生や青年を対象に,今後の復興支援のボランティア活動につなげる機会として,「青年ボランティアフォローミーティング」を開催した(102名が参加)。

イ 土砂災害防止に関する取組への参加(国土交通省)

国土交通省では,都市域における土砂災害に対する安全性を高め,緑豊かな都市環境,景観等を創出するため,学校の裏山等の山麓斜面に一連の樹林帯(グリーンベルト)を形成することを推進しており,その形成に当たっては,子ども・若者を含めた地域住民が積極的に参加している。

ウ 学校教育における取組(文部科学省)

学校教育においては,学習指導要領に基づき,総合的な学習の時間や特別活動等において,子どもたちの社会性や豊かな人間性を育むため,ボランティア活動等社会参加活動を推進している。

(2) 国際交流活動

ア 高校生の交流(文部科学省)

文部科学省では,「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」(平成23年6月22日)などを踏まえ,24年度から,海外に留学する高校生に対して留学費用の一部を支援する「高校生の留学促進」事業の対象者数を300人(23年度50人)に大幅拡充することとしている。

また,新たに,「国際的視野の涵養と留学機運の醸成」事業として,海外勤務や海外留学の経験者などを特別非常勤講師として高等学校等に派遣し,国際理解教育や国際的な職業への関心を高めるための授業等を行うなど,児童生徒に国際的視野を持たせ,海外留学への感心を持ってもらうための取組を行う都道府県を支援することとしている。

このほか,民間の高校生留学・交流を扱っている団体(財)エイ・エフ・エス日本協会及び(財)ワイ・エフ・ユー日本国際交流財団)を通じて,外国で日本語を専攻している高校生を6週間程度日本に招致し,日本の高等学校への体験入学等を行う「外国人高校生(日本語専攻)短期招致事業」を実施しており,平成23年度は92人の高校生を招致しているが,平成24年度は拡充を図り,115人の高校生を招致することとしている。

さらに,ドイツ等の外国政府や,アジア諸国等との国際交流事業を行っている各種団体が主催する高校生派遣・招致事業の募集・選考等に協力している。

イ 海外の青少年の招へい(外務省)

学校訪問・通学,ホームステイ,社会見学等を通じ,海外の若年層の親日派育成等を図るとともに,こうした教育分野における国際交流を通じた我が国の青少年の国際理解促進や国際的視野の醸成を図ることを目的として,様々な取組が行われている。

特に,東アジア地域においては,青少年交流を通じた相互理解の促進を図ることにより,アジア地域に強固な連帯を構築するためのしっかりとした土台を与え,かつ同域内の良好な対日感情の形成を促進するため,平成19年度から5年間,東アジア首脳会議参加国を中心に,「21世紀東アジア青少年大交流計画」(JENESYS)を実施し,すでに,4万人程の青少年の招へい・派遣を実施している。

ウ 高校講座(外務省)

国際化の進展に伴い,外交問題が国民により身近なものとなっていることから,次代を担う高校生が,異文化体験,国際情勢,外交官の職務等をテーマに外交に関する認識を高めることを目的に,外務省職員を講師として全国各地の高校へ派遣し,講演する機会を設けている。平成23年度は,この「高校講座」を119校で実施した。

エ 小中高生の外務省訪問(外務省)

外務省への訪問を希望する小・中・高校生を受け入れ,外務省の仕事の内容を紹介し,また,省内見学等を通じて外交に対する関心を高めてもらう一助にしている。平成23年度は,計47校,880名が訪問した。

オ 青年海外協力隊派遣事業(外務省)

政府ベースの技術協力の一環として,昭和40年に発足した「青年海外協力隊派遣事業」は,開発途上国が要請する技術・技能を有する青年男女を募集,選考及び訓練の上,相手国と締結した「派遣取極」に基づき,開発途上国へ,原則として2年間派遣する事業である。派遣された協力隊員は,相手国の住民と生活を共にしつつ,草の根レベルの技術協力を行い,相手国の経済・社会の発展に寄与している。また,我が国青年の広い国際的視野の涵養や帰国した協力隊員の知識・経験の日本社会への還元という点においても成果を上げている。

協力隊の派遣分野は,農林水産,加工,保守操作,土木建築,保健衛生,教育文化,スポーツ及び計画・行政の8分野である。平成24年3月末現在,74か国に対し,2193名(うち女性は,1276名)を派遣中であり,累積の派遣人数は,3万6951名(うち女性は,1万6625名)である。

カ 国内外の青年リーダーを育成する国際交流事業(内閣府,文部科学省)

多様な文化とともに生きていく意識を向上させ,国際的な活動や地域における社会的な活動への貢献を促進するためには,次代を担う青少年が,諸外国の青年と生活を共にし,忌たんのない意見交換を行い,交流を深めることが極めて効果的である。

内閣府では,我が国の将来を担う青年育成及び我が国外交の確固たる基盤形成に資することを目的として,今上天皇の御成婚を記念して開始された青年国際交流事業を実施している。この事業は,我が国のイニシアティブの下,各国政府の協力も得つつ,人材育成という観点から我が国として目に見えるかたちで国際社会に貢献しようとするものでもある。

本事業におけるプログラムは,多様な文化や価値観を持つ各国青年とのディスカッション活動が中心で,テーマ別の討論や発表等が行われるほか,自国の文化紹介等の各種活動,産業・文化・教育施設の訪問,ホームステイやボランティア活動の体験等を行っている。

各国参加青年は,各国青年代表として本事業に参加することにより,我が国青年との信頼関係を基礎として我が国への理解及び友好親善を深め,将来的に親日派として,各国政官財始め各界で活躍することが期待される。また,日本参加青年は,こうした各国との有為な人材との交流を通じてグローバルな知識や発想及び高い国際交渉能力を身に付けるとともに,本事業において培われた人的つながりを活かしつつ,将来的に我が国の政官財始め各界で活躍することが期待される。

具体的には,「国際青年育成交流」事業,「日本・中国青年親善交流」事業,「日本・韓国青年親善交流」事業,「世界青年の船」事業,「東南アジア青年の船」事業及び「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」を実施している。

「国際青年育成交流」事業は,日本青年を世界各国に派遣し,また,各国の青年を我が国に招へいし,日本や各国で各種交流活動を行うもので,平成23年度は,合計46名の日本青年を4か国に18日間派遣するとともに,合計48名の外国青年を4か国から18日間招へいした。

「日本・中国青年親善交流」事業は,日本青年を中国に派遣し,また,中国の青年を我が国に招へいし,日本や中国で各種交流活動を行うもので,平成23年度は,29名の日本青年を15日間派遣するとともに,30名の中国青年を15日間招へいした。

「日本・韓国青年親善交流」事業は,日本青年を韓国に派遣し,また,韓国の青年を我が国に招へいし,日本や韓国で各種交流活動を行うもので,平成23年度は,27名の日本青年を15日間派遣するとともに,29名の韓国青年を15日間招へいした。

「世界青年の船」事業は,日本と世界各国の青年が,船内で共同生活をしながら,船で各国を訪問し,船内・訪問国(地)で各種交流活動を行うもので,平成23年度は,131名の日本青年等と12か国131名の外国青年等とが日本国内での出航前研修等を行った後,35日間の航海を行い,インド及びスリランカ民主社会主義共和国で寄港地活動を行った。なお,平成24年度については,日本参加青年約110名と世界10か国の青年約100名が,日本国内での出航前研修等を行った後,船内での共同生活と日本国内3か所での寄港地活動を含む19日間の船上プログラムを行い,その後,日本参加青年は8日間の日程で参加国の1つを航空機で訪問する。

「東南アジア青年の船」事業は,日本とASEAN(東南アジア諸国連合)各国の青年が,日本国内活動を行った後,船内で共同生活をしながら,船でASEAN各国を訪問し,船内・訪問国で各種交流活動を行うもので,平成23年度は,39名の日本青年等とASEAN10か国の合計289名の外国青年等とが43日間の航海を行い,途中5か国に寄港した。

「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」は,日本で,青少年関連,高齢者関連及び障害者関連の各分野で社会活動に携わっている青年を各国に派遣し,また,各国で実際に3分野の社会活動を運営しているリーダーを我が国に招へいし,関係者との交流により,国際的なネットワークを持った,社会活動の中核を担う青年リーダーを育成するもので,平成23年度は,合計27名の日本青年を,社会活動の盛んな先進国3か国に10日間派遣するとともに,合計39名の外国青年を,同じ3か国から15日間招へいした。

内閣府の青年国際交流事業の参加者は,これまでに日本青年約1万5600名,外国青年は約1万9200名を数える。事業に参加した青年(既参加青年)たちは,事業を通じて得た知識や経験,ネットワークを活かし,各国・各地域で,国際交流や青少年育成等の社会貢献活動を始め,多くの事後活動を活発に展開している。また,既参加青年たちは,各国で自主的に事後活動組織を立ち上げ,現在,日本を含む世界50か国以上で事後活動組織が設立されている。

日本における事後活動組織「日本青年国際交流機構」(IYEO)が取り組んでいる活動の例としては,各国への訪問研修,独自の青年相互交流プログラム,被災国の子どもたちに絵本を贈る取組等ネットワークを活かした国際的な活動から,外国文化の紹介イベントや在住外国人との交流会といった地域密着型の活動まで多岐に渡る。また,昨年の東日本大震災においては,世界中に広がるネットワークを通じて,寄附金や支援物資,応援メッセージが届けられ,集められた寄附金等は日本青年国際交流機構や各都道府県事後活動組織を通じ,各地のニーズに合わせて被災地に届けられている。

その他,被災地における事後活動組織も活発に活動を行っており,岩手県青年国際交流機構が中心となって行っている「IYEO 縁側カフェ」では,仮設住宅などで全国のIYEOをはじめ,ドミニカ共和国大使館やASEAN各国事後活動組織等から届けられたコーヒーやお菓子を提供しながら,くつろぎとリフレッシュの時間・空間,子どもの遊び場の提供,ストレスの軽減や傾聴による心のケアにつなげようとする取組を行っている。

また,宮城青年国際交流機構では,山形県青年国際交流機構と協力して,被災した石巻市内で被災者の心と体のケアに従事する医療スタッフとその家族を対象に,「リラックス&リフレッシュ温泉ツアー」を行い,ケア提供者に対するケアを行った。この取組は世界中の事後活動組織等から集まった寄附金を活用してこれまでに3回行われている。

こうした事後活動は,既参加青年たちが自主的に行っているものであるが,内閣府としても,各国事後活動組織の代表者を日本に招へいし,代表者間で事後活動について意見・情報交換を行う会議の開催や,既参加青年向けに各国・各地域の事後活動を紹介するニュースレターを発行するなど,既参加青年を核とする国際的な人的ネットワークの充実強化を側面支援し,事後活動の一層の活性化を推進しているところである。

文部科学省では,我が国及び海外の次代を担う青年リーダー,高校生等の海外派遣・日本招へいを行い,両国の共同体験活動,内外の青少年の現状や問題点等についての意見交換や,青少年育成活動・施設等の現地調査を行うなど,研修を伴った相互交流事業である「青少年国際交流推進事業」を実施している。

また,「青少年教育施設を活用した国際交流事業」では,東アジアを中心とした海外の青少年を日本に招き,青少年教育施設において,様々な体験活動等を通じたの多様な国際交流の機会を提供している。

さらに,平成24年度からは新たに,「世界に雄飛するたくましい青少年を育む国際交流事業~ジョイン・イン・ジャンボリー」として,日本と諸外国の青少年との自然体験・文化体験等の様々なプログラムを通じた国際交流事業を実施し,人類全体の未来に貢献する青少年を育むとともに,インターネット等を活用して,日本の青少年の活力を世界にアピールすることとしている。

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