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第2部 子ども・若者に関する国の施策

第3章 困難を有する子ども・若者やその家族の支援

第2節 子ども・若者の被害防止・保護

1 児童虐待防止対策

(1) 児童虐待の現状(厚生労働省)

児童虐待への対応については,平成12年11月,「児童虐待の防止等に関する法律」(平12法82)(以下,「児童虐待防止法」という。)が施行されたが,その後,平成16年及び平成19年には,児童虐待防止法及び児童福祉法の改正が行われ,制度的な対応について充実が図られてきたところである。しかしながら,子どもの生命が奪われるなど重大な児童虐待事件が後を絶たず,全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数も増加を続け,平成22年度には児童虐待防止法制定直前の約4.8倍に当たる5万6384件(東日本大震災の影響により福島県を除いて集計した数値)となるなど,依然として,社会全体で早急に取り組むべき重要な課題となっている。

(2) 児童虐待防止対策の充実(警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省)

児童虐待は,子どもの心身の発達及び人格の形成に重大な影響を与えるため,児童虐待の防止に向け,虐待の「発生予防」から「早期発見・早期対応」,さらには虐待を受けた子どもの「保護・自立支援」に至るまでの切れ目ない総合的な支援体制を整備し,充実していくことが必要である。

児童虐待については,その発生予防から虐待を受けた子どもの自立に至るまで,切れ目なく総合的に支援していくため,関係省庁が連携して,施策の一層の充実を図っている。

○ 発生予防

厚生労働省では,発生予防に関しては,生後4か月までの乳児がいるすべての家庭を訪問し,子育て支援に関する情報提供や養育環境等の把握,育児に関する不安や悩みの相談等の援助を行う「乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)」や,養育支援が特に必要な家庭に対して,保健師・助産師・保育士等が居宅を訪問し,養育に関する相談に応じ,指導,助言等により養育能力を向上させるための支援を行う「養育支援訪問事業」,子育て中の親子が相談・交流できる「地域子育て支援拠点事業」の推進等,相談しやすい体制の整備等を推進している。

文部科学省では,保護者の子育て不安の軽減や地域からの孤立の解消のため,地域における就学時検診等の機会を活用した子育て講座等の,家庭教育に関する学習機会の提供や,家庭教育支援チームによる相談対応等の取組を支援している。

○ 早期発見・早期対応

厚生労働省では,早期発見・早期対応に関しては,虐待に関する通告の徹底,児童相談所の体制強化のための児童福祉司の確保,市町村の体制強化,専門性向上のための研修やノウハウの共有,「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の機能強化に向けた取組を推進している。

警察では,街頭補導,相談活動,通報,事件捜査・調査等を通じて,児童虐待事案の早期発見・被害児童の早期保護に努めている。

○ 人権擁護機関における相談

法務省の人権擁護機関においても,被害児童からの申告や人権相談のほか,近隣住民等からの情報によって,児童虐待事案の情報を得た場合は,児童相談所等と連携し,被害児童の一時保護等適切な対応に努めるとともに,必要に応じて,加害者等に人権尊重理念について理解を深めるような啓発を行うこと等によって,被害児童の救済に努めている。

○ 保護・支援

厚生労働省では,保護・自立支援に関しては,児童養護施設等の小規模ケアの推進,個別対応職員や家庭支援専門相談員の配置等,ケア担当職員の質的・量的充実,里親委託の推進,身元保証人を確保するための事業など社会的養護の充実を推進している(前述)。

文部科学省においては,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉等の専門的な知識・技術を用いて,児童生徒が置かれた様々な環境へ働き掛けたり,児童相談所等の関係機関とのネットワークを活用して,問題を抱える児童生徒に支援を行う専門家であるスクールソーシャルワーカーを配置するために必要な経費を支援している。

平成22年度においては,厚生労働省と協議の上,学校等と児童相談所等の相互の連携を強化するため,学校等から児童相談所等への児童の出欠状況等の定期的な情報提供の実施方法等に関する指針を策定し,都道府県・指定都市の教育委員会,福祉部門等宛に通知し,同指針に基づく実施状況等を検証を行い結果を公表するとともに,平成23年度においては,これらの取組を踏まえ,児童虐待の速やかな通告を一層推進するための留意事項を,都道府県等を通じて,学校教育関係者に周知した。

さらに,平成22年3月には,教育機関と児童相談所等の連携を強化するため,虐待が疑われる児童の出欠状況等について学校等から市町村や児童相談所に定期的に情報提供する指針を策定し,その周知を図るとともに,学校・教育委員会等に対し,児童虐待の早期発見・早期対応,通告後の関係機関との連携等を図る上での留意点について,改めて周知を図った。

警察では,警察官職務執行法に基づく犯罪の制止,立入等の権限行使,厳正な捜査,被害児童の支援,児童相談所の行う立入調査等に対する援助要請への的確な対応等,児童の安全の確認及び安全の確保を最優先とした対応を行っている。

○ 児童虐待による死亡事例等の検証

児童虐待による死亡事例等について,平成16年より,社会保障審議会児童部会の下に設置されている「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」において分析,検証し,事例から明らかになった問題点・課題から具体的な対応策を提言として,毎年とりまとめている。

○ 親権に係る制度の見直し

児童虐待の防止等を図り,児童の権利利益を擁護する観点から,親権の停止制度を新設し,法人又は複数の未成年後見人を選任することができるようにするなどの措置を講ずるための民法等の改正が行われるとともに,里親委託中等の親権者等がいない児童の親権を児童相談所長が行うこととすることや,児童の福祉のために施設長等がとる監護等の措置について親権者等が不当に妨げてはならないこととするなどの措置を講ずるための児童福祉法の改正が行われた(平成24年4月から施行)。

(3) 関係省庁・機関との連携

ア 児童虐待防止推進月間(内閣府,厚生労働省)

厚生労働省では,内閣府とともに,平成16年から11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け,児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図るため,その期間中,関係府省庁や地方公共団体,関係団体等と連携した集中的な広報・啓発活動を実施している。平成23年度においては,月間標語の公募・決定,シンポジウムの開催(11月4日・東京都世田谷区),広報用ポスター等の作成,配布,政府広報を活用したイベントや,テレビスポットCMやラジオ,新聞等により児童相談所全国共通ダイヤルの周知徹底を図るなどの広報・啓発等を実施した。また,児童虐待防止の啓発を図ることを目的に,民間団体(特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワーク)が中心となって実施している「オレンジリボンキャンペーン」について後援を行っている。

イ 子ども・若者育成支援強調月間(内閣府)

平成23年11月の「子ども・若者育成支援強調月間」において,「児童虐待の予防と対応」を重点事項として,地域ぐるみで実効性のある児童虐待防止への取組を図った。

ウ 教育機関と福祉機関等の連携(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省では関係省庁の協力を得て,関係機関や民間団体が連携し,平成22年1月に設置した「子どもを見守り育てるネットワーク推進会議」(平成24年3月時点で5関係府省と42民間団体が参加)を設け,児童虐待問題を含む子どもを対象とした相談体制の充実や学校・地域における子どもの居場所づくり等の取組を推進するため円滑な連携の在り方等について検討している。

(4) 調査研究(文部科学省,厚生労働省)

厚生労働省では,平成14年度に設立された,児童虐待に特化した研究,研修,情報提供等を行う「日本虐待・思春期問題情報研修センター(通称:子どもの虹情報研修センター)」において実施されている児童虐待に関する臨床研究や,指導者の養成を目的に,高度かつ最新の専門知識と実践的な援助技術が習得できるような研修等の実施を支援している。

また,厚生労働科学研究等においても,虐待の発生,重症化の要因や保護者への指導法の開発に関する研究等,児童虐待対策に関する研究を,従来から幅広い分野の研究者の参画を得て実施している。

文部科学省においては,児童生徒の深刻な状況や「児童虐待防止法」第4条の規定を踏まえ,国内・諸外国の児童虐待防止に向けた先進的取組等を収集・分析し,その成果について,平成18年5月に報告を取りまとめた。

2 社会的養護の充実

(1) 社会的養護の現状(厚生労働省)

社会的養護は,保護者のない児童,被虐待児等家庭環境上養護を必要とする児童,生活指導を必要とする児童等に対し,公的な責任として,施設等において,社会的に養護を行う制度であり,対象児童は平成23年3月末で約4万5000人となっている。

保護が必要な児童数の増加に伴い,ここ十数年で,児童養護施設の入所児童数は1.11倍,乳児院が1.2倍,里親等委託児童は2.06倍に増加している。

また,児童虐待の増加等に伴い,児童養護施設に入所している子どものうち,半数以上が虐待を受けた子どもとなっている。社会的養護を必要とする児童においては,障害等のある児童も増加している。このため,児童虐待防止対策の一層の強化とともに,社会的養護の質・量ともに拡充が必要となっている。

厚生労働省では,平成23年1月から,「児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会」を開催して,社会的養護の短期的課題と中長期的課題について集中的に検討し,同年7月に,同委員会及び社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会において,「社会的養護の課題と将来像」をとりまとめた。これに沿って,家庭的養護の推進,里親委託・里親支援の推進,施設運営の質の向上,親子関係の再構築の支援,自立支援の充実,子どもの権利擁護などを進めている。

(2) 家庭的養護の推進(厚生労働省)

児童養護施設等の入所施設においては,できる限り家庭的な環境の中で,職員との個別的な関係性を重視したきめ細かなケアを提供していくことが求められている。

このような観点から,ケア形態の小規模化を図るため,児童養護施設,乳児院,情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設を対象とした小規模グループケアの実施や,地域小規模児童養護施設の設置を進めている。

また,里親制度は,要保護児童を里親の家庭に迎え入れ,家庭的な環境の中で養育を行う重要な制度であり,その拡充を図る必要がある。

このため,平成21年に施行された改正児童福祉法等においては,社会的養護の担い手としての「養育里親」を,養子縁組を前提とした里親と区別するとともに,「小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)」が,里親委託に加わる新たな養護の担い手として位置づけ,その普及を推進している。また,里親手当の引き上げや,里親に対する相談支援等の業務を里親会や児童家庭支援センター,施設,NPO等に委託して総合的に行う「里親支援機関事業」を実施している。平成23年3月には,里親委託優先の原則を明示した「里親委託ガイドライン」を策定したところであり,今後も,里親の孤立化防止など里親支援の体制を整備しながら,里親委託を推進していくこととしている。

(3) 年長児の自立支援策の拡充(厚生労働省)

社会的養護の下で育った子どもは,施設等を退所し自立するに当たって,保護者等から支援を受けられない場合が多く,その結果さまざまな困難に突き当たることが多い。このような子どもたちが他の子どもたちと公平なスタートが切れるように自立への支援を進めるとともに,自立した後も引き続き子どもを受け止め,支えとなるような支援の充実を図ることが必要である。

このため,平成21年に施行された改正児童福祉法等においては,児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)について,都道府県等にその実施を義務付け,費用を負担金で支弁することとし,一層の推進を図ることとした。

また,平成22年度から,施設を退所した後の地域生活及び自立を支援するとともに,退所した人同士が集まり,意見交換や情報交換・情報発信を行えるような場を提供する「退所児童等アフターケア事業」を実施している。

さらに,施設等を退所する子ども等が,親がいない等の事情により身元保証人を得られないため,就職やアパート等の賃借に影響を及ぼすことがないように,平成19年度から,施設長等が身元保証人となる場合の補助を行う「身元保証人確保対策事業」を実施している。

(4) 社会的養護に関する施設機能の充実

施設運営の質を向上させるため,「社会的養護の課題と将来像」では,施設種別ごとの運営指針を策定するとともに,社会的養護の施設における第三者評価の義務化,施設長研修の義務化を行うこととされた。これを受け,平成23年9月に児童福祉施設の運営に関する基準を改正し,第三者評価及び施設長研修を義務づけた。

また,平成24年3月には,児童養護施設,乳児院,情緒障害児短期治療施設,児童自立支援施設,母子生活支援施設の5つの施設運営指針と,里親及びファミリーホーム養育指針を策定するとともに,第三者評価の基準を策定した。

さらに,平成24年度予算案には,虐待を受けた子ども等の増加に対応し,ケアの質を高めるため,社会的養護の施設の児童指導員・保育士等の基本的な人員配置を,30数年ぶりに引き上げるためなどの予算を盛り込んだところであり,引き続き施設機能の充実を進めていくこととしている。

(5) 被措置児童等虐待の防止(厚生労働省)

施設入所や里親委託などの措置がとられた児童等(被措置児童等)への虐待があった場合には,児童等を保護し,適切な養育環境を確保することが必要である。また,不適切な施設運営や事業運営が行われている場合には,施設や事業者を監督する立場から,児童福祉法に基づき適切な対応が必要となる。

このため,平成21年に施行された改正児童福祉法では,被措置児童等虐待の防止に関する事項を盛り込み,被措置児童等の権利擁護を図るため,適切な対応のための仕組みを整備した。

また,同年「被措置児童等虐待対応ガイドライン」を作成し,都道府県の関係部局の連携体制や通告があった場合の具体的対応等の体制をあらかじめ定めること,都道府県児童福祉審議会の体制を整備すること,関係施設の協議会等との連携・協議を強化し,被措置児童等への周知や子どもの権利についての学習機会の確保を図ること等について,都道府県等に対し具体的に示した。

3 子ども・若者の福祉を害する犯罪対策

(1) 取締り等(警察庁,法務省)

「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」(平11法52。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)違反や「児童福祉法」違反等の福祉犯は,少年の心身に有害な影響を及ぼし,健全な育成を著しく阻害することから,警察では,その積極的な取締りと被害少年の発見保護に努めている。

検察庁においては,「児童福祉法」違反事件,「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反事件等,青少年の福祉を害する犯罪に対しては,積極的に関係法令を適用し,厳正な科刑の実現に努めている。

ア 福祉犯の検挙状況(警察庁)

平成23年の福祉犯の検挙人員は,7846人で,前年に比べ149人(1.9%)増加した(第2―3―4図)。このうち,暴力団等関係者の検挙人員は,456人で,福祉犯における検挙人員の5.8%を占めている(第2―3―2表)。

第2-3-2表 福祉犯の法令別暴力団等関係者の関与状況(平成23年)

第2-3-4図 福祉犯の法令別検挙人員(平成23年)

イ 児童買春・児童ポルノ問題(内閣府,警察庁,総務省,経済産業省)

政府では,「児童ポルノ排除総合対策」(平成22年7月犯罪対策閣僚会議決定)に基づき,関係省庁が連携して,児童ポルノ排除対策を推進している。

内閣府では,平成23年11月,関係団体等で構成する第2回「児童ポルノ排除対策推進協議会」(会長:内閣府副大臣)を開催するとともに,公開シンポジウムを行った。

児童買春や児童ポルノは,児童の権利や少年の健やかな育成を著しく阻害するものであり,国際的にも問題となっている。特に,児童ポルノ事件は,極めて深刻な情勢にあることから,「児童買春・児童ポルノ禁止法」による積極的な取締りに努めており,平成23年中の児童ポルノ事件については,過去最多の1455件,1016人を検挙している。

また,平成23年度から,児童ポルノを流通・閲覧防止するため,インターネット・サービス・プロバイダ等の関連事業者により,ブロッキングが実施されている。

ウ 「出会い系サイト」等問題(警察庁)

警察では,「出会い系サイト」の利用に起因する事犯について,平成23年中は,「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反事件281件,青少年保護育成条例違反63件を検挙している。また,出会い系サイト以外のコミュニティサイトを利用して児童が犯罪被害に遭った事犯について,平成23年中は,「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反589件を検挙している。

さらに,平成23年中,「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(平15法83)違反で464件を検挙している。

(2) 人身取引対策(内閣官房,内閣府,警察庁,法務省,外務省,文部科学省,厚生労働省,国土交通省)

人身取引は,重大な人権侵害であり,被害者となった女性や児童に深刻な肉体的・精神的な影響を与え,その被害の回復が非常に困難であることから,人道的な観点からも,迅速・的確な取組が必要とされている。

このような認識の下,政府は,平成16年4月に,内閣官房副長官補を議長とする「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を設置し,同年12月に,「人身取引対策行動計画」を取りまとめ,人身取引の防止・撲滅及び被害者保護の観点から,包括的・総合的な対策を推進してきた。

その結果,人身取引事犯の認知件数が減少するなど,各種対策は大きな成果を上げたところであるが,近年,人身取引の手口はより巧妙化・潜在化してきているとの指摘に加え,我が国の人身取引対策に対する国際社会の関心も高く,より幅広い対策の推進を求める様々な指摘がなされた。

こうした情勢を踏まえ,人身取引対策に係る懸案に適切に対処し,政府一体となった対策を引き続き推進していくため,平成21年12月に,「犯罪対策閣僚会議」※25において「人身取引対策行動計画2009」を策定した。

※25 「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」は,平成21年12月に,全閣僚を構成員とする「犯罪対策閣僚会議」の下に位置付けられた。

政府では,外国の関係機関,国際機関及びNGOとの協力を強化して,人身取引の防止を図るとともに,潜在化している可能性のある人身取引事案をより積極的に把握し,その撲滅と被害者の適切な保護を推進している。

4 その他の犯罪対策

(1) 子どもを犯罪から守るための取組(内閣官房,内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省)

政府は,子どもを対象とした殺人,暴行・傷害,性犯罪,略取誘拐等の犯罪が多数発生し,国民に強い不安を与えていたことを受け,平成17年12月に,内閣官房副長官補を議長とする「犯罪から子供を守るための対策に関する関係省庁連絡会議」を設置し,全通学路の緊急安全点検や路線バスを活用した通学時の安全確保等の緊急対策6項目を含む「犯罪から子どもを守るための対策」を取りまとめ,同月,全閣僚を構成員とする「犯罪対策閣僚会議」に報告した。

この対策については,平成18年以降,毎年12月,関係省庁連絡会議において,主要な成果を取りまとめるとともに,策定後の犯罪情勢や関係機関における取組の状況等を踏まえ改定を行っている。

警察庁では,子どもの犯罪被害等を防止するため,平成17年6月から,法務省から子どもを対象とした暴力的な性犯罪に係る受刑者の出所情報の提供を受け,出所者の更生や社会復帰を妨げないように配慮しつつ,犯罪の予防や捜査の迅速化等への活用を図ってきたところであるが,所在不明になる者や性的犯罪で再検挙される者が相当数にのぼることが判明したため,制度の見直しを行い,平成23年4月から訪問による所在確認や同意を前提とした面談を取り入れるなど再犯防止措置について強化を図った。

そのほか,警察では,被害者本人からの申告が期待しにくく潜在化しやすい犯罪を早期に認知して検挙に結び付けるため,警察庁から委託を受けた民間団体が少年福祉犯罪,児童虐待事案及び人身取引事犯等に関する通報を国民から電話やインターネットにより匿名で受け付け,事件検挙への貢献度に応じて情報料を支払う「匿名通報ダイヤル」を運用している。運用が開始された平成19年10月1日から平成23年12月31日までの通報受理件数は4557件であり,このうち27件が事件解決等に結び付いた。

(2) 学校における安全管理(文部科学省)

学校における事件等が大きな問題となっている状況を踏まえ,文部科学省では,平成14年度から,学校安全の充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を推進しており,警察官OB等からなるスクールガード・リーダーによる学校の巡回や学校安全ボランティアに対する警備のポイント等の指導,学校安全ボランティアの養成,各地域における子どもの見守り活動に対する支援や,教職員向け参考資料の作成,児童生徒を対象とした教育教材の作成等を行っている。

文部科学省で行った調査の結果によれば,平成21年度に地域のボランティアによる巡回が行われた学校の割合は68.9%で,その中でも小学校における割合は92.4%,子どもを対象に防犯教室等を実施した学校の割合は78.0%で,その中でも小学校における割合は93.5%に上っており,各地域・学校において子どもの安全確保に向けた取組が推進されている。

また,平成24年4月には,「学校保健安全法」に基づき,各学校における安全に係る取組を総合的かつ効果的に推進するため,国として「学校安全の推進に関する計画」を策定することとしている。

5 犯罪被害に遭った子ども・若者とその家族等への対応(警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省)

人格形成の途上にある少年が犯罪等により被害を受けた場合,その後の健やかな育成に与える影響が大きいことから,警察では,被害少年の再被害を防止するとともに,その立ち直りを支援するため,少年補導職員による指導助言のほか,被害少年に対するカウンセリング等継続的な支援を行っている。

被害少年の支援に際しては,臨床心理学,精神医学等の高度な知識・技能や豊富な経験を有する部外の専門家を「被害少年カウンセリングアドバイザー」として委嘱し,その適切な指導・助言を受けながら,支援を実施している。

また,それぞれの地域において,保護者等との緊密な連携の下に,日常の少年を取り巻く環境の変化や生活状況を把握しつつ,きめ細かな訪問活動等を行うボランティアを「被害少年サポーター」として委嘱し,これらの者と連携した支援活動を推進している。

さらに,犯罪被害を受けた児童生徒の心のケアに当たっては,子どもたちの悩みや不安を受け止めて相談に当たることや,関係機関等と連携して必要な支援をしていくことが大切である。

このため,「心の専門家」であるスクールカウンセラー等を配置するために必要な経費を支援している。

また,犯罪被害を受けた児童生徒の支援に当たっては,児童生徒の心の問題に加え,家庭,友人関係,地域,学校等の児童生徒が置かれている環境に係る問題の解決が必要な場合があると考えられる。そこで,教育分野に関する知識に加えて,社会福祉等の専門的な知識・技術を有するスクールソーシャルワーカーを活用し,犯罪被害を受けた児童生徒に対し,関係機関等とのネットワークを活用するなど多様な支援方法を用いて,立ち直りを支援する活動を推進している。

さらに,子どもの心のケアの充実を図るため,基本的理解や対応方法,学校における体制づくりに関した養護教諭及び一般の教職員を対象とした指導参考資料を作成するとともに,養護教諭,スクールカウンセラー等を対象としたシンポジウムを開催している。

6 いじめ被害,自殺対策

(1) いじめ被害対策

ア 学校における被害相談(文部科学省)

いじめ等の問題行動に対しては,学校だけでなく関係機関が緊密に連携して,子ども一人一人に対するきめ細かな支援を行うことが必要である。文部科学省では,平成22年11月9日に通知を発出し,各都道府県・指定都市教育委員会や学校に対し,いじめの早期発見・早期対応,いじめを許さない学校づくり,教育委員会による支援等について教育委員会や学校に求めている。また,平成23年8月4日に通知を発出し,各学校において,いじめに関する「アンケート調査」の一層の充実を図るとともに,更に必要な取組を推進すること,各教育委員会において必要な指導・助言に努めること,いじめが生じた際には問題を隠さず,学校・教育委員会と家庭・地域が連携して対処していくべきこと,問題行動に対しては,懲戒・出席停止を含め,毅然とした対応をとること等を求めている。

さらに,平成19年2月から,子どもたちが全国どこからでも,夜間・休日を含めていつでもいじめ等の悩みを相談することができるよう,全国統一の電話番号(0570-0-78310(なやみ言おう))を設定し,都道府県・指定都市教育委員会で24時間いじめ相談ダイヤルを実施している。

また,「生徒指導・進路指導総合推進事業」において,いじめ等の問題行動が生じた際における外部の専門家の協力を得た効果的な取組の在り方や,いじめの未然防止・早期発見等に関する学校の取組等について,試行的な実践を自治体,特定非営利活動法人,民間団体等に委託し,成果の普及を図っている。さらに,平成20年11月に学校・教員向けの「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集を作成し,各学校・教育委員会に配布するとともに,学校・教育委員会が実施している学校ネットパトロールの効率的・効果的な実施方法や継続的な実施の在り方についての調査研究を行っている。

イ 関係機関と連携した取組(警察庁,法務省)

警察では,いじめの被害を受けた少年等に対して,保護者及び関係機関・団体との連携を図りつつ,被害少年の性格,環境,被害の原因,ダメージ程度,保護者の監護能力等に応じて,少年サポートセンターが中心となり,少年補導職員によるカウンセリングの継続的な実施等,きめ細かな支援を行っている。

また,電話,ファックス,電子メール等を活用し,いじめの被害を受けた少年等が相談しやすい環境の整備を進めるとともに,少年相談窓口の夜間,休日における対応の強化に努めているほか,都道府県教育委員会における教育相談窓口との連携協力を行っている。

法務省の人権擁護機関では,法務局・地方法務局及びその支局で開設している常設相談所や,市町村役場やデパート,公民館等において臨時に開設する特設相談所において人権相談に応じている。また,法務省のホームページ※26上に「インターネット人権相談受付窓口」(SOS-eメール)を開設して,パソコンや携帯電話からインターネットでいつでも相談できる窓口を設置しているほか,全国の小・中学校の児童・生徒に「子どもの人権SOSミニレター」(便箋兼封筒)を配布するなどして,いじめを始めとする子どもの人権問題について相談に応じている。

※26 インターネット人権相談窓口 法務省別ウインドウで開きます

さらに,法務局・地方法務局では,専用相談電話「子どもの人権110番」(フリーダイヤル)を開設し,子どもが相談しやすい体制の整備に努めている。平成23年における「子どもの人権110番」の利用件数は,2万5914件であり,このうち,いじめに関する相談は,3320件となっている。

法務省の人権擁護機関では,人権相談等を通じていじめ事案の情報を得た場合には,人権侵犯事件として調査し,教職員や学校等と連携していじめ行為の中止や再発防止を図るなど,いじめを受けた子どもの救済に努めている。また,教職員や学校等のいじめに対する対応が不十分であったと認められたときは,教職員や学校等に対して人権啓発を行うなど,適切な対応に努めている。

さらに,人権擁護委員及び法務局・地方法務局の職員が,地域の学校を訪問するなどして,いじめをなくすための様々な啓発活動も行っている。

(2) 自殺対策(内閣府,文部科学省,厚生労働省)

政府では,「自殺対策基本法」に基づく「自殺総合対策大綱」により,関係府省庁で連携して,自殺対策を総合的に推進している。同大綱では,青少年の自殺の特徴と自殺対策の方向について,思春期は精神的な安定を損ないやすく,また,青少年期に受けた心の傷は生涯にわたって影響する可能性があることから,青少年の自殺対策は重大な課題であることが述べられている。

文部科学省では,児童生徒の自殺予防について,平成18年8月,「児童生徒の自殺予防に向けた取組に関する検討会」を立ち上げ,平成19年3月に「子どもの自殺予防のための取組に向けて(第1次報告)」を取りまとめた。同報告を受けて,専門家や学校現場の関係者による「児童生徒の自殺予防に関する調査研究」を実施し,平成21年3月には,「教師が知っておきたい子どもの自殺予防」,平成22年3月には,教育委員会・学校向けに「子どもの自殺が起きたときの緊急対応の手引き」を作成した。また,平成23年6月には,児童生徒の自殺が起きたときの背景調査の指針や米国における児童生徒に対する自殺予防教育の現況に関する報告を含む審議のまとめを取りまとめた。

さらに,審議のまとめを踏まえて,平成23年度において,各教育委員会及び学校などに対して,通知により,児童生徒の自殺が起きたときの背景調査を行う際の基本的な考え方や留意事項を示すとともに,自殺の背景となった事実関係に関する一定事項の報告を要請した。

また,子どもたちの悩みや不安を受け止めて相談に当たることが大切であることから,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用など教育相談体制の整備を支援しており,平成23年度においては,小学校へのスクールカウンセラーの配置の拡充等,教育相談体制の一層の充実を図った。

7 被害防止のための教育

(1) 安全教育

ア 防犯(警察庁,文部科学省)

近年,子どもが被害者となる犯罪が後を絶たず,子どもを取り巻く環境は,依然厳しい状況にある(第2―3―3表,第2―3―5図)。

第2-3-3表 少年の主な犯罪被害(平成23年)

第2-3-5図 学校等において発生した主な犯罪認知件数

そのため,警察では,子どもが被害に遭った事案や子どもに対する犯罪の前兆と思われる声掛けやつきまとい等の発生に関する情報については,迅速に保護者等に対し情報提供が行われるよう,警察署と学校及び教育委員会との間で情報共有体制を整備している。また,これらの情報を都道府県警察のウェブサイトで公開しているほか,電子メール等を活用した情報提供システムによる情報発信を行うなど,地域住民に対する積極的な情報提供を実施している。

さらに,警察では,学校や教育委員会と連携して,子どもが犯罪に巻き込まれる危険を予見する能力や危険を回避する能力を向上させるため,幼稚園や保育所,小学校等において,学年や理解度に応じて,紙芝居,演劇,ロールプレイ方式等により,子どもが参加,体験できる防犯教室を開催している。

学校においては,子どもが犯罪被害等の危険から身を守れるよう,子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させるとともに,家庭や地域と連携を図りながら,学校の教育活動全体を通じて,子どもの発達段階に応じた安全教育を推進している。

文部科学省では,各地域での講習会の指導者となる教職員等を対象に,防犯訓練や応急手当等の講習を行い,子どもの安全対応能力の向上を図る「防犯教室」の開催の支援を行うなど,各学校における子どもに危険予測能力や危険回避能力を身に付けさせる取組等を推進している。

また,通学時に児童生徒等が自ら安全な行動をとれるようにするため,平成23年度に,防犯の内容も含めた,中学生・高校生を対象とした安全な通学のための教育教材を作成し,平成24年度には,小学生を対象とした教育教材を作成することとしている。

イ 交通事故等(警察庁,文部科学省)

交通安全教育は,自他の生命尊重という理念の下に,交通社会の一員としての責任を自覚し,交通安全意識と交通マナーの向上に努め,相手の立場を尊重し,他の人々や地域の安全にも貢献できる良き社会人を育成する上で,重要な意義を有している。交通安全意識と交通マナーを身に付けるためには,人間の成長過程に合わせ,生涯にわたる学習を促進し,国民一人一人が交通安全の確保を自らの課題として捉えることが重要である。

警察では,関係機関・団体と協力しつつ,各年齢層を対象に,交通社会の一員としての責任を自覚させるような交通安全教育を段階的かつ体系的に実施している。

幼児に対しては,基本的な交通ルールを遵守して,交通マナーを実践する態度を習得させるとともに,安全な通行に必要な基本的技能と知識を習得させるため,保育所・幼稚園等において,計画的かつ継続的に交通安全教育を実施している。

小学生に対しては,歩行者及び自転車の利用者として必要な技能と知識を習得し,道路交通における危険を予測・回避して安全に通行する意識及び能力を高めるため,小学校等において,歩行者としての心得,自転車の安全な利用,交通ルールの意味や必要性等について重点的に交通安全教育を実施するとともに,保護者に対する交通安全講習会等を開催している。

中学生に対しては,特に,自転車で安全に道路を通行するために必要な技能と知識を習得させるとともに,他の人々の安全にも配慮できるようにするため,中学校等において,歩行者としての心得,自転車の安全な利用,自動車等の特性,応急手当等について重点的に交通安全教育を実施している。

高校生に対しては,特に,二輪車の運転者及び自転車の利用者として安全な通行に必要な技能と知識を習得させるとともに,交通社会の一員として交通ルールを遵守し,責任を持って行動できる社会人を育成するため,免許取得前の教育として高等学校等において,自転車の安全な利用,二輪車・自動車の特性,運転者の責任,応急手当等について重点的に交通安全教育を実施している。また,生徒の実態や地域の実情に応じて,二輪車の安全運転を推進する機関・団体やPTA等と連携しながら,二輪車の安全運転に関する意識の高揚と実践力の向上を図っている。

学校においては,子どもが交通事故等の危険から身を守れるよう,子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させるとともに,家庭や地域と連携を図りながら,学校の教育活動全体を通じて,子どもの発達段階に応じた安全教育を推進している。

文部科学省では,各地域での講習会の指導者となる教職員等を対象に,安全な歩行や自転車走行等の指導方法や応急手当等の講習を行い,子どもの安全対応能力の向上を図る「交通安全教室」の開催の支援を行うなど,各学校における子どもに危険予測能力や危険回避能力を身に付けさせる取組等を推進している。

また,通学時に児童生徒等が自ら安全な行動をとれるようにするため,平成23年度に,自転車の安全な利用等も含めた,中学生・高校生を対象とした安全な通学のための教育教材を作成し,平成24年度には,小学生を対象とした教育教材を作成することとしている。

その他,警察では,自治体や関係機関・団体等と連携し,安全対策についての働き掛けや,海浜・山岳パトロール等の活動を通じて,水難・山岳事故の防止に努めている。

ウ 防災(内閣府,消防庁,文部科学省,国土交通省,気象庁)

内閣府では,防災意識の高揚,防災知識の普及を図るため,幼児から高校生及び成人を対象に防災ポスターコンクールを実施している。また,自然災害の知識を身に付けたり,対策を始める際に参考となる情報として,「みんなで減災」,「稲むらの火」等のツールを作成・配布し「みんなで防災」のホームページでも公開している。

消防庁では,地震や風水害などの災害への備えや具体的な対応,初期消火,応急手当などの防災知識の普及啓発を,インターネットを活用したe―ラーニング(防災・危機管理e―カレッジ)等を通して行っている。

さらに,小・中学生などに防災知識や応急救護などの防災に関する実践的な技術を伝えるための指導者用防災教材「チャレンジ!防災48」を作成・配布し,消防庁ホームページでも公開している。

学校においては,子どもが自然災害等の危険から身を守れるよう,子ども自身に危険を予測・回避する能力を習得させるとともに,家庭や地域と連携を図りながら,学校の教育活動全体を通じて,子どもの発達段階に応じた安全教育を推進している。

文部科学省では,各地域での講習会の指導者となる教職員等を対象に,防災訓練や応急手当等の講習を行い,子どもの安全対応能力の向上を図る「防災教室」の開催の支援を行うなど,学校における子どもに危険予測能力や危険回避能力を身に付けさせる取組等を推進している。

また,平成23年度に,東日本大震災の教訓を踏まえ,地震・津波が発生した場合の具体的な対応について参考となるような共通的な留意事項をとりまとめた「学校防災マニュアル(地震・津波災害)作成の手引き」を作成し,平成24年度には,防災教育に関する教職員向けの総合的な参考資料を改訂することとしている。

国土交通省では,平成19年度に小学校教諭向けの「防災学習マニュアル(小学生によるハザードマップづくり洪水編)」及び学習用資料を作成し学校教育現場における防災教育の実施支援を行ったほか,平成20年度に学識経験者等による懇談会において,砂防部局と教育関係者の連携手法等の検討を行い,その結果等を砂防関係部局へ情報提供するとともに,教科書・教材出版社への説明会を実施するなど,土砂災害防止教育の支援を実施している。

気象庁では,緊急地震速報を利用した避難訓練の支援,防災に関する出前授業の実施,教科書・教材出版社との意見交換会の開催等防災教育に資する取組を行っている。

また,東日本大震災をきっかけとして防災教育の重要性が改めて認識されていることに鑑み,子どもが地震,津波,火山噴火や大雨等による災害から身を守れるよう,教育関係機関とより一層の緊密な連携を図って防災教育への支援を推進していく。平成24年度は,地震,津波及び大雨に関することに特に重点を置き,津波に関する映像資料や防災気象情報に関するリーフレットなどを活用した防災教育への支援を行うこととしている。

(2) メディアを活用する能力の向上(内閣府,総務省,文部科学省)

社会の情報化が進展する中で,子どもたちが情報活用能力を身に付け,情報を適切に取捨選択して利用するとともに,適切にインターネットによる情報発信を行うことが重要な課題となっている。

青少年インターネット環境整備法においては,学校教育,社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育の推進に必要な施策を講ずるものとされており,同法に基づき策定された青少年インターネット環境整備基本計画※27において関連施策が規定されている。

※27 青少年インターネット環境整備基本計画

ア 情報モラル教育の推進(文部科学省)

文部科学省では,平成20年に改訂された小中学校の新学習指導要領において,各教科等の指導において「情報モラルを身に付け」ることや,道徳において「情報モラルに関する指導に留意すること」などを新たに規定するとともに,中学校の「技術・家庭」の内容において「情報モラル」を重視するなど,義務教育において情報モラル教育の充実を図った。平成21年に告示された高等学校の新学習指導要領では,必履修教科である共通教科「情報」において,内容に情報モラルを項目立てし,充実を図った。こうした学習指導要領の改訂を踏まえ,文部科学省では,教員による指導をはじめ,学校・教育委員会の具体的な取組の参考となる「教育の情報化に関する手引」を作成した。本手引きでは,情報モラル教育の必要性や情報モラル教育の指導のあり方,各教科等における指導例,教員が持つべき知識等について解説している。さらに,平成23年3月には,国立教育政策研究所が,小中学校の教員が情報モラル教育を行うための参考資料として「情報モラル教育実践ガイダンス」を作成するなど,新学習指導要領における教育の情報化の円滑かつ確実な実施を図っている。

イ メディアリテラシーの向上(総務省)

総務省では,「放送分野における青少年とメディア・リテラシーに関する調査研究会報告書」(平成12年6月)の提言を受け,小・中学生及び高校生向けの教材を開発し,教育関係者を中心に,広く一般に貸出しを行っている。平成20年度からは,e―ラーニング教材を開発するとともに,「放送分野におけるメディアリテラシー」サイト※28を開設し,更なる普及に努めている。

また,子どもがインターネット,携帯電話等のICT※29メディアを安全に利活用できるよう,ICTメディアリテラシーを総合的に育成するプログラムを平成18年度に調査,開発し,平成19年度から普及を進めるとともに,内容の更なる充実を図っている。

さらに,「インターネットトラブル事例集」を平成21年度から作成し,インターネットの安心・安全な利用に向けた啓発講座等において活用している(教育の情報化推進ページ※30)。平成23年9月からは,青少年のインターネットリテラシー指標をまとめて,青少年のインターネットリテラシーを計測するテストの開発・実施に取り組むことにより,青少年のリテラシーの可視化を図っている。

※28 放送分野におけるメディアリテラシー 総務省別ウインドウで開きます

※29 Information and Communications Technologyの略称。

※30 インターネットトラブル事例集 総務省別ウインドウで開きます

(3) 労働法等労働者の権利(厚生労働省)

労働関係のトラブルを未然に防ぎ,またトラブルに遭遇した際も労働関係法制度が活用できるように,労働法等労働者の権利に関する知識を身に付けるための教育や啓発活動を推進している。

(4) 消費者教育(消費者庁,文部科学省)

再掲(第2章第2節1(1)オ)

(5) 女性に対する暴力(内閣府)

内閣府では,平成22年度に作成し全国に配布した予防啓発教材を活用して,効果的に若年層の指導を行うため,「交際相手からの暴力の予防啓発 指導者のための研修」を平成23年度においても引き続き実施した。

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