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第2部 子ども・若者に関する国の施策

第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備

第1節 環境整備

1 家庭,学校及び地域の相互の関係の再構築

(1) 保護者等への支援を行う「家庭を開く」取組

ア 家庭教育支援(文部科学省)

文部科学省では,「学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業」により,身近な地域において,すべての親が家庭教育に関する学習や相談が出来る体制が整うよう,家庭教育支援チームの組織化等による相談対応,保護者への学習機会や親子参加行事の企画・提供などの家庭教育を支援する活動を実施している(平成23年度実施か所数:2512か所)。

また,地域住民,学校,行政,NPO,企業等の協働による社会全体での家庭教育支援の活性化を図るため,効果的な取組事例等を活用した全国的な研究協議を行った。平成23年度においては,宮城県と滋賀県において研究協議会を開催し,全国的な啓発を行った。

なお,各自治体による立体的な取組の活性化や,喫緊の社会的課題を踏まえた家庭教育支援のあり方を国として示すこと等を目的として,「家庭教育支援の推進に関する検討委員会」を開催し検討を重ね,報告書「つながりが創る豊かな家庭教育」をとりまとめたところである。

平成24年度においては,本報告を踏まえた取組の活性化を図るとともに,引き続き,地域人材の連携や養成・活用等により学校と家庭をつなぐ,地域の主体的な取組を支援していく。

(2) 外部の力も活用した「開かれた学校」づくり

ア 家庭・地域と一体となった学校の活性化(文部科学省)

<1> 学校の裁量の拡大

学校が,地域や子どもたちの実情に応じて特色ある教育活動に主体的に取り組めるよう,承認・届出等の教育委員会の関与の縮減や,教育課程・学校予算についての学校裁量の拡大を促している。

<2> 保護者や地域住民の学校運営への参加

保護者や地域住民が学校運営に参画する新たな仕組みとして,平成16年6月の「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」(昭31法162)の改正により,学校運営協議会制度(コミュニティ・スクール)が創設され,同年9月から施行されている。平成23年4月1日現在でコミュニティ・スクールに指定されている学校は,前年度から160校増えて,789校となり,着実にその導入が進んできている。

<3> 学校評価と情報提供の推進

学校の教育活動その他の学校運営の状況について評価を行い,その結果に基づき学校及び設置者等が学校運営の改善を図ることや評価結果等を広く保護者や地域住民等に公表していくことが求められている。

このため,平成19年に学校教育法及び同法施行規則が改正され,学校評価と学校の積極的な情報提供に関する規定が整備された。この法令改正を受けて,各学校や設置者の取組の参考となるよう,学校評価ガイドラインを策定している。

学校評価には,<1>法令上の実施義務が課されている自己評価(各学校の教職員が行う評価),<2>実施が努力義務となっている学校関係者評価(保護者や地域住民等が自己評価結果に基づいて行う評価),<3>任意に実施する第三者評価(学校運営に関する外部の専門家を中心として行う評価)がある。とりわけ学校関係者評価については,平成20年度間には81%の公立学校において実施されているが,学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互の連携を促し,学校運営の改善への協力を促進するために,できる限りすべての学校において実施されることが期待される。

<4> 地域の多様な人材の参画による教育支援の充実

学校が多様な要請にこたえつつ,特色ある教育を推進していくためには,教育の様々な分野において,地域の多様な人材の参画による教育支援の取組を積極的に進めることが有効である。

このため,平成20年度から授業の補助,読み聞かせや環境整備,登下校パトロール等について,地域住民がボランティアとして学校をサポートする「学校支援地域本部事業」が実施されており,平成23年度は570市町村で2659本部が設置されている。平成23年度からは地域住民等の参画による子どもの教育支援を総合的に支援する「学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業」において引き続き「学校支援地域本部」の取組を推進している。こうした取組を通じて,学校と学校外の社会の連携・協力が強化され,開かれた学校づくりの促進も期待される。

<5> 高等学校教育改革の推進と中高一貫教育

現在,高等学校等への進学率は約98%に達しており,多様化する生徒の実情を踏まえつつ,生徒や保護者,地域,社会のニーズに対応した特色ある高等学校づくりが求められている。

このため,文部科学省としては,総合学科,単位制高等学校,中高一貫教育制度を創設するなど高等学校教育改革の推進を図ってきたところである。

i 中高一貫教育

中高一貫教育は,これまでの中学校と高等学校に加えて,生徒や保護者が中高一貫教育校も選択できるようにすることにより,中等教育の一層の多様化を進めることを目的として,平成11年度から制度化されており,平成22年度までに402校が設置されている。

中高一貫教育校には,修業年限6年の学校として,一体的に中高一貫教育を行う中等教育学校,高等学校入学者選抜を行わず,同一の設置者による中学校と高等学校を接続する併設型中高一貫教育校,市町村立中学校と都道府県立高等学校等,異なる設置者による中学校と高等学校が,教育課程の編成や教員と生徒間の交流等の連携を深める形で,中高一貫教育を実施する連携型中高一貫教育校の3つの形態がある。

また,中高一貫教育校として特色ある教育課程を編成することができるよう,実施形態に応じて,教育課程の基準の特例を設けている。

ii 総合学科

総合学科は,普通教育を主とする学科である「普通科」,専門教育を主とする学科である「専門学科」に並ぶものとして,普通教育と専門教育とを総合的に行う学科として,平成6年度から制度化されており,平成22年度までに349校が設置されている。

総合学科の特色としては,生徒の主体的な学習を促し,個性を伸張させるため,将来の進路への自覚を深めさせる学習や,生徒の個性を生かした主体的な学習を通して学ぶことの楽しさや成就感を体験させる学習が重視されている。

iii 単位制高等学校

単位制高等学校は,生徒の幅広いニーズにこたえる多様な履修形態を可能にするため,学年による教育課程の区分を設けず,卒業までに所要の単位を修得すれば卒業が認められる学校であり,平成22年度までに928校が設置されている。

単位制高等学校の特色としては,自分の学習計画に基づき,興味,関心等に応じた科目を選択し学習できることや,学年の区分がなく,自分のペースで学習に取り組むことができること等が挙げられる。

イ 教育・相談の体制や機能の充実(文部科学省)

<1> 教員の資質能力の向上

教員の資質能力の向上については,現在,中央教育審議会(教員の資質能力向上特別部会)において,教員養成,採用,研修の各段階を通じた体系的な施策を充実させるための検討を行っている。なお,現在講じている施策は以下のとおりとなっている。

i 教員養成・免許制度

教員養成・免許制度については,いじめ・不登校,性教育,薬物乱用等の問題に対応するため,養護教諭が保健の授業を担任することを可能とするとともに,児童生徒の心身の健全な発達に配慮した食に関する指導と学校給食の管理を行うための栄養教諭の制度を整備している。

さらに,優れた知識経験や技術を有する者に免許状を授与できる制度(特別免許状制度)や,免許状を持たない社会人が教壇に立てる制度(特別非常勤講師制度)により,地域の人材や社会人等を活用して,学校教育の多様化への対応や活性化を図っている。

また,平成21年度から実施されている教員免許更新制により現職教員等は,10年ごとの免許状更新講習を受講・修了することが必要となり,生徒指導等を内容とするものも開設されている。

ii 教員研修

教員研修に関しては,教員の資質能力の向上を図るため,公立学校の新任教員に対する採用後1年間の初任者研修や,在職期間が10年に達した教員に対して個々の能力,適性等に応じた研修を行う10年経験者研修が制度化されている。

なお,独立行政法人教員研修センターでは,国が行うべき研修として,各地域における指導者を養成するための学校経営研修や喫緊課題に関する研修を実施している。

<2> 教員評価

教員の能力や実績をきちんと評価し,その結果を人事や処遇,研修等に適切に反映させることが重要であることから,教員評価制度の改善・充実を促してきた。平成22年4月現在では,一部実施を含めるとすべての教育委員会において,教員の能力や実績を評価する教員評価が実施されている。

<3> 学級編制と教職員配置

公立の小学校,中学校,中等教育学校,高等学校及び特別支援学校における学級編制と教職員配置については,「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭33法116)(以下,「義務標準法」という。)及び「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」(昭36法188)において,学級編制と教職員定数の標準を定めることにより,児童生徒の学習活動や学校生活の基本的な単位である学級の規模の適正化を図るとともに,教育活動を円滑に行うために必要な教職員を確保するための教育条件の整備を図っている。

学級編制及び教職員定数については,累次の公立義務教育諸学校教職員定数改善計画及び公立高等学校教職員定数改善計画により,計画的な改善を行い,40人学級の実現や習熟度別少人数指導の実施を図ってきた。

また,平成23年度には,小学校1年生で35人以下学級を実現するため,義務標準法等の改正を行い,小学校1年生の学級編制の標準を現行の40人から35人に引き下げることのほか,市町村が地域や学校の実情に応じて柔軟に学級編制を行うことを可能とすることや,改正法の附則に小学校2年生以降の学級編制の標準を順次改定すること等について検討を行う旨の規定を設けたところである。

平成24年度においては,小学校1年生に引き続き,切れ目なく2年生でも35人以下学級を実質的に全国で実現するために必要な加配定数の増(900人)のほか,小学校専科指導や特別支援教育の充実等(1900人)や東日本大震災への対応(1000人)のため,あわせて3800人の教職員定数の改善を図ったところである。

なお,学級編制については,地方の自主性を高める観点等から,平成13年度以降,各都道府県教育委員会の判断により,国の標準を下回る学級編制の基準を定めることが可能となるよう,順次,運用の弾力化を図ってきており,この結果,平成22年度までに,すべての都道府県において小学校低学年を中心に少人数学級が実施されている。

<4> 学校における教育相談体制の充実

再掲(第2章第3節2(1))

ウ 安全管理の徹底(文部科学省)

学校における事件等が大きな問題となっている状況を踏まえ,文部科学省では,平成14年度から,学校安全の充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を推進している。

(3) 放課後の居場所やさまざまな活動の場づくり

ア 放課後子どもプランの推進(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省と厚生労働省では,両省が連携し,地域社会の中で,放課後等に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するため,平成19年度から,総合的な放課後対策として,「放課後子どもプラン」を創設し,すべての小学校区での実施を目指し,推進を図っている。

このうち,文部科学省が行う「放課後子ども教室推進事業」においては,放課後や週末等に小学校の余裕教室等を活用して,地域の方々の参画を得て,子どもたちに学習活動やスポーツ・文化芸術活動,地域住民との交流活動等の機会を提供する取組を推進しており,平成23年度は9733か所において実施されている。平成23年度からは地域住民等の参画による子どもの教育支援を総合的に支援する「学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業」において引き続き「放課後子ども教室」の取組を推進している。

イ 体験・交流活動等の場づくり

<1> 青少年教育施設(文部科学省)

青少年教育施設は,体験活動を中心とする様々な教育プログラムの実施や,青少年が行う自主的な活動の支援等により,健全な青少年の育成や青少年教育の振興を図ることを主たる目的として設置された施設である。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設(全国28施設)を通じて,青少年を対象とした総合的・体系的な体験活動等の機会を提供しており,平成23年度は約500万人に利用されている。東日本大震災に際しては,被災地の子どもたちの心身の健全育成及びリフレッシュを図るため,自然体験活動等を行う機会を提供する「リフレッシュ・キャンプ」を実施するなど,被災地の子どもたちに対しても,様々な体験・交流活動等の場と機会を提供している。 また,教育的研修支援や青少年教育に関する調査研究等を実施し,それらの成果を全国の公立青少年教育施設や関係団体等へ普及している※31

※31 独立行政法人国立青少年教育振興機構別ウインドウで開きます

さらに,社会全体で体験活動を推進する機運を高めるため,他の青少年団体と連携して,「体験の風をおこそう運動」を推進している。毎年10月を「体験の風をおこそう推進月間」として設定し,全国各地で青少年の体験活動に関する様々なイベントや全国的なフォーラムを実施し,子どもたちの健やかな成長にとって,体験がいかに大切であるかを,広く家庭や社会に発信している。

加えて,文部科学省では,平成23年5月,中央教育審議会に「青少年の体験活動の推進の在り方に関する部会」を設置し,国立青少年教育施設の在り方を含めた,今後の青少年の体験活動の推進の方策について審議を行っている。

<2> 都市公園(国土交通省)

都市公園は,都市における緑とオープンスペースを確保し,水と緑が豊かで美しい都市生活空間の形成や都市住民の様々な余暇活動の場の提供のため設置されており,スポーツやレクリエーション活動等を通じて,子ども・若者を始め,あらゆる世代が交流を図ることができるよう整備を推進している。

<3> 自然公園等(環境省)

自然公園は,優れた自然の風景地を保護するとともに,その利用の増進を図ることにより,国民の保健,休養及び教化に資するとともに,生物の多様性の確保に寄与することを目的として指定されており,青少年を含め広く国民の自然とのふれあいや野外活動の場として重要な役割を果たしている。平成23年度末現在,国立公園30か所,国定公園56か所,都道府県立自然公園315か所が指定されており,平成22年における利用者は,延べ約9億人に達している。

こうした自然とのふれあいを求める国民のニーズに対応するため,平成23年度は,29の国立公園において直轄事業を実施するとともに,34都道府県が実施する国定公園等整備に対する自然環境整備交付金の交付を行い,ビジターセンター,散策路,休憩所,トイレ等安全で快適な公園利用施設の整備をしたところである。

このほか,環境学習・保全調査や過去に損なわれた自然環境を再生するための自然再生事業,新宿御苑等の国民公園における施設整備を実施し,青少年を含め広く国民に供している。

<4> スポーツ活動の場(文部科学省)

i 地域における身近なスポーツ環境の整備

心身の健全な発達に重要な役割を果たすスポーツに国民の誰もが生涯を通じていつでも身近に親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブ等,地域における総合的なスポーツの場の育成・整備を始めとした取組への支援を推進している。

ii スポーツ施設

体育・スポーツ施設は,青少年を始めとする地域住民の日常スポーツ活動の場であり,近年のスポーツニーズの多様化・高度化に伴い,魅力的な施設づくりが望まれている。

平成20年現在,全国に体育・スポーツ施設は約24万か所あり,そのうち,学校体育・スポーツ施設が約61%,公共スポーツ施設が約24%,民間スポーツ施設が約8%,大学・高専体育施設が約4%,職場スポーツ施設が約3%となっている。

これらのうち,地域住民の身近なスポーツ活動の場となる学校体育・スポーツ施設についてみると,最も設置数の多い施設は体育館で,約4万9000か所となっており,次いで,多目的運動広場が約4万6000か所,水泳プール(屋外)が約4万1000か所,庭球場(屋外)が約1万9000か所となっている。

国民の日常生活における体力つくりやスポーツ活動の場及び青少年の遊び場が不足している今日,地域住民のスポーツ活動の場として,学校体育施設を地域住民に対し積極的に開放することが望まれている。平成19年現在,その開放率は,公立の小・中・高等学校を合わせて,屋外運動場約80%,体育館約87%,水泳プール約27%となっている。

<5> 自然体験活動の場

i 水辺空間の整備(文部科学省,国土交通省,環境省)

地域の身近に存在する川等の水辺空間(「子どもの水辺」)における環境学習・自然体験活動を推進するため,国土交通省,文部科学省及び環境省が連携した「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」を実施している(平成22年度末登録数:290か所)。このプロジェクトは,市民団体や教育関係者,河川管理者等が一体となって取り組む体制を整備するとともに,「子どもの水辺サポートセンター」による,水辺での活動に必要な機材(ライフジャケット等)の貸出しや学習プログラムの紹介等,環境学習・自然体験活動を総合的に支援する仕組みを構築し,安全確保や親水空間確保のための水辺の整備が必要な場合には,「水辺の楽校プロジェクト」により,水辺に近づきやすい河岸整備等水辺空間の整備を実施するものである。

ii レクリエーションの森の整備等(農林水産省)

林野庁では,森林との触れ合いに対する国民の要請の多様化,高度化を踏まえ,国有林野を国民の保健・文化・教育的利用に積極的に供するため,自然休養林等の「レクリエーションの森」について,民間活力を活かしつつ魅力あるフィールドとして整備し,その活用を推進している。

平成22年4月1日現在,全国1099か所,39万ヘクタールをレクリエーションの森として設定しており,平成22年度には延べ1億2000万人が利用している。

また,文部科学省と連携し「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」の受入れが可能な施設として,平成22年度は,全国414か所の森林総合利用施設等を登録している。

<7> 自転車利用環境の整備(国土交通省)

環境負荷の小さい都市内交通体系の実現と自転車関連事故対策のため,道路空間の再配分などにより,歩行者・自転車・自動車を適切に分離し,安全で快適な自転車走行空間のネットワーク化を推進している。また,交通の安全を確保し,併せて,国民の心身の健全な発達に資することを目的として,自然公園,名勝,観光施設,レクリエーション施設等を結ぶ大規模な自転車道の整備を推進している。

ウ 図書館等の充実(文部科学省)

図書館は,子どもたちが読書の楽しみを知ることのできる教育施設であり,子どもの読書活動の推進に資する施設である。

また,公民館等は,子どもたちの地域における多様な活動を支える施設である。公民館においては,親子で参加する工作教室等,子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。

さらに,博物館は,豊富な学習資源と学芸員等の専門家を有しており,その機能を活用した実験教室等,子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。

(4) 子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

ア 子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり(警察庁,国土交通省)

近年,幼い子どもが被害者となる犯罪が多発し,子どもを取り巻く環境は厳しいものとなっている。こうした現状を踏まえ,子どもが犯罪等の被害に遭いにくい環境を創出するために次のような取組を行っている。

<1> 道路,公園等の公共施設や共同住宅における防犯施設の整備等の推進(警察庁,国土交通省)

警察庁では,平成18年4月,これまでの取組や近年の防犯設備の普及状況等を踏まえ,平成12年2月に策定した「安全・安心まちづくり推進要綱」を見直し,同要綱において「道路,公園,駐車場・駐輪場等の整備・管理に係る防犯上の留意事項」を策定するとともに,「共同住宅に係る防犯上の留意事項」を国土交通省と共同で改正し,防犯に配慮した公共施設等の整備及び管理の一層の推進を図っている。

また,平成21年3月,住まいと街の防犯性を計画的かつ総合的に向上させるため,警察,地方公共団体,地域住民等が協働して行う取組メニューや参画方法等を具体的に示した「住まいと街の安全・安心再生計画策定マニュアル」を国土交通省と共同で作成するなど,犯罪防止に配慮した環境整備を図っている。

さらに,警察庁,国土交通省,経済産業省及び建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」により,侵入までに5分以上の時間を要するなどの一定の防犯性能を有する「防犯建物部品」の開発とその普及に努めるとともに,警察庁及び国土交通省の協力の下,住宅・防犯設備関連団体が策定した,「防犯優良マンション標準認定基準」の周知を図るなど,防犯に配慮した共同住宅の整備を推進している。

さらに,国土交通省では,住宅性能表示制度において,「防犯に関すること」として開口部の侵入防止対策を性能表示事項に平成18年4月1日から追加し,防犯に配慮した住宅の普及を進めている。

<2> 通学路やその周辺における子どもの安全の確保のための支援(警察庁)

警察では,通学路や通学時間帯を考慮したパトロール活動の強化に加え,子どもが犯罪に遭い,又は声掛けやつきまとい等により犯罪に遭うおそれがある場合に助けを求めることができる「子ども110番の家」の活動に対する支援等を行っている。

イ 安心して外出や外遊びができる環境の整備

<1> ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進(国土交通省)

「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方に基づき制定された,「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平18法91)(以下「バリアフリー法」という。)においては,以下の内容を定めている。 

i 身体障害者のみならず,知的・精神・発達障害者を含むすべての障害者,高齢者,妊婦等を対象

ii 新設等の施設等(旅客施設,車両等,道路,路外駐車場,都市公園,建築物等)に対する移動等円滑化基準適合義務及び既設の施設等に対する移動等円滑化基準適合努力義務

iii 市町村が作成する基本構想による重点整備地区の重点的かつ一体的なバリアフリー化

iv 国,地方公共団体,国民の責務として心のバリアフリーを規定

また,バリアフリー法に基づく「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(最終改正平成23年国家公安委員会,総務省,国土交通省告示第1号)において,各施設等の移動等円滑化の目標値(2020(平成32)年度末まで)を定めているほか,当事者ニーズに即した施設の整備や教育訓練を行うことの必要性,市町村の定める基本構想における協議会の活用等当事者の参画を図ることの必要性,心のバリアフリー及びスパイラルアップといった国,国民等の責務に関する事項等を定めている。

<2> 歩行空間のバリアフリー化(警察庁,国土交通省)

平成18年12月の「バリアフリー法」の施行を踏まえ,多数の高齢者,障害者等が通常徒歩で移動する駅,官公庁施設,病院等を結ぶ道路において,幅の広い歩道等の整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善,視覚障害者誘導用ブロックの設置等の歩行空間のユニバーサルデザインを推進している。

また,バリアフリー法の重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機等については,平成32年度までに,原則としてすべての当該道路において,音響信号機,歩行者感応信号機等の信号機の設置,歩行者用道路であることを表示する道路標識の設置,横断歩道であることを表示する道路標示の設置等のバリアフリー化を実施することとしている(第2―4―1図)。

第2-4-1図 歩行空間のバリアフリー化

<3> 生活道路における交通安全対策の推進(警察庁,国土交通省)

我が国では,交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合が5割を超え,欧米と比べて高い割合となっている(第2―4―2図)。

第2-4-2図 交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合の各国の比較(30日以内死者)

また,交通事故死者の約6割が,自宅付近で被害に遭っている(第2―4―3図)。こうした情勢を踏まえ,歩行者・自転車死傷事故の発生割合が高く,面的な事故抑止対策を実施すべき582エリアを「あんしん歩行エリア」として平成21年3月に指定し,都道府県公安委員会と道路管理者が連携して,交通事故対策を講じている。また,市街地等における生活道路の安全対策として,最高速度30km/hの区域規制,路側帯の設置・拡幅,歩道整備,物理的デバイスの設置等を行い,歩車が共存する安全で安心な道路空間を創出する「ゾーン30」を整備するなど,交通事故抑止のための施策を実施している。

第2-4-3図 歩行中の自宅からの距離別死者数(平成23年中)

<4> 水辺空間のバリアフリー化(国土交通省)

河川の近隣に病院や福祉施設等が立地している地区等において,すべての人々が,水辺にアプローチしやすいよう,スロープや手摺り付きの階段,緩傾斜堤の整備等バリアフリー化対策を実施している。

<5> 都市公園のバリアフリー化・遊具の安全の確保(国土交通省)

都市公園においては,園路の段差解消や誰もが使いやすいトイレの整備を行うなど,子どもから高齢者等まで幅広く安全で快適に利用することができるよう,「バリアフリー法」に基づいた公園施設のバリアフリー化を推進している。

また,遊具の安全確保を図り,安全で楽しい遊び場づくりを推進するため,「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」の周知徹底に取り組んでいる。

<6> 官庁施設のバリアフリー化(国土交通省)

窓口業務を行う官署が入居する官庁施設について,妊婦,乳幼児連れの者等すべての人が,円滑かつ快適に施設を利用できるよう,窓口業務を行う事務室の出入口の自動ドア化,多機能トイレの設置等による高度なバリアフリー化を目指した整備を推進している。

<7> 公共交通機関のバリアフリー化(国土交通省)

「バリアフリー法」に基づき,旅客施設の新設・大規模な改良及び車両等の新規導入の際に公共交通事業者等が適合させるべき基準が「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備に関する基準を定める省令」(平成18年国土交通省令第111号)において定められている。また,平成19年に公共交通機関の旅客施設・車両等の望ましい整備内容等を示す「バリアフリー整備ガイドライン(旅客施設編・車両等編)」が策定され,公表されている。

以上に加え,補助等の各種支援により公共交通機関のバリアフリー化の促進が図られているところであり,例えば,旅客施設における段差の解消,多機能トイレ(おむつ交換シート等)の設置,乗合バス車両におけるノンステップバス及び路面電車における低床式車両(LRV)の導入等が進められている。

<8> 建築物のバリアフリー化(国土交通省)

「バリアフリー法」に基づき,建築物のバリアフリー化を推進している。同法に基づく認定特定建築物のうち一定のものについては,スロープ,エレベーター等の整備に対する助成により優良なバリアフリー建築物の建築の一層の促進を図っている。

ウ 地域福祉の再構築(厚生労働省)

地域で誰もが尊厳をもって暮らしていくために,住民同士のつながりを再構築し,支え合う中で,地域における生活課題に対処し,支援する側とされる側相互の自己実現が可能となるような福祉を実現することが重要である。このような認識のもと,地域における福祉活動を活性化するため拠点づくりや,学童の通学安全確保のための取組等地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的な取組等に対する支援を行う「地域福祉等推進特別支援事業」等を通じて,住民参加による地域づくりの一層の推進を図っている。

2 多様な主体による取組の推進

(1) 相談体制の充実

ア 子ども・若者総合相談センター(内閣府)

子ども・若者総合相談センターは,地方公共団体が子ども・若者育成支援に関する相談に応じ,関係機関の紹介その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点として設けられるものであり,幅広い分野にまたがる子ども・若者の問題への相談に対し,一次的な受け皿になり,他の適切な機関に「つなぐ」,いわゆる「たらい回し」を防ぐ機能を果たすことが求められている。

内閣府では,将来的に,子ども・若者総合相談センターとしての機能を担う青少年相談センター等の公的相談機関等の職員を対象とした研修を実施している。

イ ネットワークの中核的人材

<1> 専門機関・相談機関の充実(警察庁,法務省,文部科学省)

警察では,少年補導職員等を配置した「少年サポートセンター」が中心となり,関係機関等と連携して,少年相談,街頭補導,継続補導,広報啓発等少年非行の防止や被害少年の支援等を行っている。

文部科学省では,子どもたちが全国どこからでも,夜間・休日を含めて,いつでもいじめ等の悩みを相談することができるよう,全国統一の電話番号(0570―0―78310(なやみ言おう))により,全都道府県及び指定都市教育委員会で24時間いじめ相談ダイヤルを実施している。

少年鑑別所は,非行問題の専門機関として,非行を行った少年の資質鑑別を通じて豊富な知識や経験を蓄積するとともに,そうした専門機関としての機能を地域社会に還元し,青少年の健全育成に資することを目的として一般少年鑑別業務を行っている。

また,各都道府県・市町村教育委員会では,教育支援センター(適応指導教室)において不登校児童生徒への相談・指導を行っており,平成22年度は1265か所が設置されている。

<2> 事案に応じた専門機関・相談機関の連携

i 非行防止に関する連携(警察庁)

少年問題に対しては,関係機関・団体が相互に連携を強化し,社会全体として取り組んでいくことが重要である。そのため,関係機関・団体等は,日常的な情報交換,意見交換等を行うなど,少年や家庭等に対する支援体制の充実強化に努めている。

ii 児童虐待防止に関する連携(文部科学省,厚生労働省)

児童虐待は,家族の抱える社会的,経済的あるいは心理的といった様々な要因の複合的な相互作用の結果生じると考えられており,その防止には,福祉,医療,保健はもとより,教育,警察,司法,さらにはNPO等幅広い関係者が共通の認識に立って組織的に対応していくことが必要である。

こうした連携の取組として,現在,各市区町村においては,地域の関係機関が子どもやその家庭に関する情報や考え方を共有し,適切な連携の下で対応していくための「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」の設置が進められており(第2―4―4図),平成22年4月1日現在,要保護児童対策地域協議会又は任意設置の虐待防止ネットワークを設置している市区町村の割合は98.7%である。

第2-4-4図 「子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)」又は「虐待防止ネットワーク」の設置数及び割合

文部科学省では関係省庁の協力を得て,関係機関や民間団体が連携し,平成22年1月に設置した「子どもを見守り育てるネットワーク推進会議」(平成24年3月時点で5関係省庁と42民間団体が参加)を設け,児童虐待問題を含む子どもを対象とした相談体制の充実や学校・地域における子どもの居場所づくり等の取組を推進するため円滑な連携の在り方等について検討している。

iii 相談機関の連携(内閣府)

内閣府では,国や地方公共団体が設置している相談機関の担当者及び学校教育関係者の参加を得て,「青少年相談機関連絡会議」を開催(全国を6ブロックに分け,隔年で3ブロックずつ開催)し,関係機関等との連携体制の在り方や相談機能の充実強化のための方策について,情報交換等を行い,青少年相談機関活動の充実を図っている。

<3> 包括的な一次相談・支援窓口の整備・充実(内閣府)

内閣府では,平成22年度から,困難を有する子ども・若者を支援するため,公的機関において相談業務に当たる職員に対して,総合的に支援するための法的仕組みや関係機関の役割等について理解を深めることを目的とした研修を実施するとともに,民間団体において相談業務に当たる職員に対しても,精神医学の基礎的知識やカウンセリング技能等を習得することを目的とした研修を実施しているところである。

ウ オンブズパーソン等子ども・若者の相談体制

内閣府では,平成23年度に英国及びスウェーデンのオンブズパーソン等子ども・若者の相談体制,意見聴取等に関する調査を実施した。本調査結果は子ども・若者育成支援推進点検・評価会議において,子ども・若者の政策決定過程への参加について検討する際の資料等とすることとしている。

(2) 民間団体等の取組の推進

ア 国民運動等の取組の推進(各省庁)

政府,地方公共団体及び関係団体では,すべての国民が互いに力を合わせ,社会のあらゆる分野で子ども・若者の育成支援を推進するための国民運動を展開している。

イ 「新しい公共」による子ども・若者を支える活動等の支援(内閣府,文部科学省,各省庁)

「新しい公共」は,すべての国民に「居場所」と「出番」が確保され,様々な主体が「公」に参画する新たな社会をつくるという重要な政策課題として推進してきたところである。平成23年度税制改正により,寄附税制が拡充されたことを踏まえ,新たな寄附税制や改正NPO法の円滑な施行・周知に向けた取組の推進やこれまでの提案に対する「政府の対応」の着実な実施などを通じて,「新しい公共」の担い手による実際の活動が地域社会に幅広く広がっていくことを後押ししていくこととしている。

子ども・若者をめぐる現状として,学力低下の傾向や不登校等が指摘されるなど,様々な課題への対応が求められている中,学校だけがその役割と責任を負うのではなく,「新しい公共」の流れを踏まえ,これまで以上に地域ぐるみで子どもを育てる体制を整えていくことが不可欠である。

このような観点から,文部科学省では,コミュニティスクール(学校運営協議会制度),学校支援地域本部,放課後子ども教室,家庭教育支援等,学校・家庭・地域が連携して教育を進める取組を支援しており,それぞれの地域で創意工夫のある取組が推進されている。例えば,学校支援地域本部では,地域住民がボランティアとして授業の補助や読み聞かせ,登下校パトロール等についてサポートを行っている。これらの取組により,世代を超えた地域住民の交流が生まれ,地域活動が活発化することもまた,期待されるところである。

また,地域が抱える課題を住民目線で解決するため,公民館・図書館等の社会教育施設における来館者に対する情報提供・相談業務を発展させ,地域が抱える様々な課題に対する解決支援サービスの推進に取り組むとともに,地域住民が主体的に地域のスポーツ環境を形成する,「総合型地域スポーツクラブ」等の事業を支援し,だれもが,いつでも,どこでも,それぞれの体力や年齢,興味等に応じて,スポーツに親しむことができる明るく豊かなで活力に満ちた社会の形成を図っている。

さらに,教育等の政策形成の在り方として,文部科学省では,「新しい公共」の理念の下,意思決定・意見形成プロセスを国民に広く開き,現場対話やインターネット活用により収集された,当事者による「熟議」(熟慮と議論)に基づく意見を踏まえた政策形成の取組を進めている。熟議の取組の推進による効果として,若者等が公共に参画する機会が拡大されることや,現場対話の熟議を通して,希薄化が指摘されている対面でのコミュニケーションが活性化されること等が考えられ,国レベル,地域レベル双方の在り方として,一層の取組が期待されるところである。

平成22年1月からは,関係行政機関や民間団体が連携し,子どもたちを見守り育てる「新しい公共」の実現に向けた取組を推進することを目的として,「子どもを見守り育てるネットワーク推進会議」(平成23年末時点で5関係省庁42民間団体が参加)を立ち上げ,関係機関や民間団体が連携し,子どもを対象とした相談体制の充実や学校・地域における子どもの居場所づくり等の取組を推進している。

また,最近の少年非行の背景には,少年自身の規範意識の低下やコミュニケーション能力の不足,家庭や地域社会の教育機能の低下,少年が疎外感を抱いている現状等が指摘されており,次代を担う少年の健全育成を図るためには,こうした問題の解決に社会全体で取り組む必要がある。

このため,警察では,「非行少年を生まない社会づくり」の取組を全国的に推進しており,問題を抱え非行に走る可能性がある少年に対して積極的に連絡して手を差し伸べ,社会奉仕活動への参加促進や就学・就労の支援等によりその立ち直りを支援する活動を行うとともに,少年非行に関する社会全体の理解を深め,厳しくも温かい目で少年を見守る社会気運の醸成を図っている。

3 関係機関の機能強化,地域における多様な担い手の育成

(1) 専門職の養成・確保

ア 医療・保健関係専門職(厚生労働省)

医師の臨床研修では,平成23年度に開始された研修より,募集定員20名以上の臨床研修病院・大学病院は,将来小児科医又は産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラムを必ず設けることとしている。

また,保健師,助産師を含む看護職員の養成課程においては,学校保健・地域母子保健・小児看護学等を教育内容としている。

イ 児童思春期の心理関係専門職(法務省,厚生労働省)

厚生労働省では,精神保健福祉センター,保健所,児童相談所等における相談体制を強化するため,思春期精神保健に関する専門家が少ない現状を考慮し,医師,保健師,看護師,精神保健福祉士,臨床心理技術者等を対象に,児童思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修を実施している。

また,様々な子どもの心の問題,被虐待児の心のケアや発達障害に対応するため,都道府県における拠点病院を中核とし,各医療機関や保健福祉機関と連携した支援体制の構築を図るための事業を平成20年度から3か年のモデル事業として実施してきたところであり,平成23年度から,本モデル事業の成果を踏まえ,「子どもの心の診療ネットワーク事業」として本格実施している。

少年鑑別所に勤務する法務技官に対しては,心理査定や心理療法等に関する専門的な知識や技術を付与するための研修体制が整備されており,心理関係専門職として計画的な養成が行われている。

ウ 少年補導や非行少年の処遇に関する専門職

<1> 少年補導職員(警察庁)

少年非行を防止し,その健やかな育成を支援するには,不良行為等の問題行動の早期発見と少年及びその保護者に対する適切な指導・助言,少年の規範意識の向上,非行少年の立ち直り支援等のほか,少年非行に対する社会全体の問題意識の醸成を図り,犯罪等により少年が被害を受けた場合には,被害少年及びその家族に対して,早期の支援を行うことが重要である。

これらの活動を行うため,警察では,少年問題に関する専門組織である「少年サポートセンター」を全国に193か所設置するとともに,全国に約940人の少年補導職員を配置している(平成24年4月1日現在)。

少年補導職員は,少年相談,継続補導,被害少年の支援等の専門的・継続的な活動を行っており,時代に応じて変化する少年の問題に的確に対応できるよう,都道府県単位,あるいは,全国規模で研修を行うなど必要な知識の修得に努めている。

<2> 少年院の法務教官(法務省)

少年院在院者の矯正教育等に当たる少年院の法務教官に対しては,職務に必要な行動諸科学等に関する専門的な知識及び技術を付与するための研修体制が整備されているほか,日々の事例を通しての研究会を頻繁に行うなど,非行少年の処遇に関する指導力の向上が図られている。

<3> 保護観察官(法務省)

保護観察所及び地方更生保護委員会事務局において,非行少年等の更生保護,犯罪・非行の予防に関する業務等を担当している保護観察官に対しては,家庭等に複雑な問題を抱えた非行少年等,処遇困難なケースに対応できるように,処遇能力の向上に資する研修等の一層の充実を図ることとしている。

(2) 地域における多様な担い手の育成

ア 青少年リーダー等の育成(内閣府,文部科学省,環境省,各省庁)

内閣府では,地域で牽引的役割を担っている青少年育成指導者,少年補導委員,子ども・若者育成支援に関する活動を行う特定非営利活動法人の指導者等に対して,子ども・若者に係る諸問題の状況を明確にして,対処能力の向上を図るとともに,政府の子ども・若者育成支援施策についての理解を深めてもらい,新たな変化にも対応し得る中核的指導者層を育成し,子ども・若者育成支援の現場に反映させることを目的として,中央研修会を東京で,ブロック研修会を全国6ブロックで開催した。

文部科学省では,次代を担う青少年の育成を図るため,自然体験活動の指導者養成等に取り組んでいる。また,独立行政法人国立青少年教育振興機構を始めとする青少年教育施設においては,青少年関係団体の指導者等を対象とした研修を行っている。

環境省では,市民,団体,事業者等の各主体に対して適切に助言や指導を行い得る人材の発掘・育成を目的として,平成8年度から,専門知識や経験を活用して環境カウンセリングを行い得る能力を有する者を「環境カウンセラー」として登録し,その情報をデータベース化して広く国民に公表している。平成23年度末時点において,4292名の環境カウンセラーが登録されている。

イ 民間協力者の確保

<1> 保護司等(法務省)

近時,犯罪・非行の態様や保護観察に付された人の抱える問題の複雑化・多様化が進んでいることから,これらに適切に対応するため,幅広い世代・分野からの保護司適任者の確保に努めるとともに,保護司研修の充実を図っている。

なお,法務省としては,近年,保護司の確保が困難になっている状況にかんがみ,幅広い分野から保護司候補者を得るとともに新任保護司の不安を軽減するために,保護司の活動を組織としてサポートできるよう基盤整備に努めている。

また,保護司会と地域の関係機関・団体との連携を強化し,処遇活動,犯罪予防活動を始めとする更生保護の諸活動を一層促進するための拠点として,平成20年度から「更生保護サポートセンター」を導入してきたが,平成23年度にはすべての都道府県に計55か所設置された。

さらに,現在,全国各地で,更生保護女性会やBBS会を始めとする更生保護ボランティア団体が,地域における様々な機関・団体と連携し,地域住民のニーズに応じた多様な活動を行っている。

これらの活動は,地域社会における主体的な犯罪予防活動を促進するものであり,更生保護の諸施策の円滑な実施に資することとなることから,法務省では,積極的にその促進を図っているところであり,今後も,各団体の自発性・自主性を尊重しながら,その活動の一層の促進が図られるよう支援することとしている。

<2> 人権擁護委員(法務省)

法務省では,様々な人権問題に対処するため,幅広い世代・分野の出身者に人権擁護委員を委嘱している。

子ども・若者に関する人権問題は,いじめや体罰,児童虐待,児童買春など,その対象や問題背景が多岐にわたることから,すべての人権擁護委員に対し各種研修を実施し,子ども・若者の問題に関する知識の習得を図っている。

<3> 児童委員(厚生労働省)

児童委員は,民生委員をもって充てられ,全国で約23万人(平成22年12月1日現在)が厚生労働大臣から委嘱されている。児童委員は,児童及び妊産婦の生活の保護,援助及び指導を行うが,児童福祉について,必ずしも専門的知識を持つわけではないので,研修の実施によりその知識の習得に努めるほか,関係機関等と連携して活動を行っている。主任児童委員は,児童委員の中から約2万1100人が指名され,児童福祉に関する事項を主に担当し,関係機関と児童委員との連絡調整や,児童委員の活動に対する援助及び協力を行うほか,研修により専門的知識の習得に努めている。

<4> 母子保健推進員(厚生労働省)

母性及び乳幼児の健康の保持増進のため,家庭訪問による母子保健事業の周知及び声掛け,健康診査や各種教室等への協力を始め,地域の実情に応じた独自の子育て支援及び健康増進のための啓発活動を行っている。

<5> 少年警察ボランティア(警察庁)

少年の非行を防止し,その健全な育成を図るため,次のような少年警察ボランティア約5万9000人を委嘱している(平成24年4月1日現在)。

○ 少年指導委員(約6700人)

「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭23法122)に基づき,都道府県公安委員会から委嘱され,少年を有害な風俗環境の影響から守るため,少年補導活動や風俗営業所等への立ち入り等の活動に従事

○ 少年補導員(約5万2000人)

街頭補導活動,環境浄化活動を始めとする幅広い非行防止活動に従事

○ 少年警察協助員(約300人)

非行集団に所属する少年を集団から離脱させ,非行を防止するための指導・相談に従事

少年警察ボランティアについては,深刻化する少年非行情勢を踏まえ,大学生,女性,PTA関係者等の委嘱により,人材の多様化を図るとともに,問題を抱える少年の立ち直り支援やインターネットを利用しての声掛け補導活動等,活動の多様化を図っている。

また,警察では,全国少年警察ボランティア協会が行う各種研修会等の機会を利用して,少年警察ボランティアが,少年非行の防止及び少年の健全育成のための活動を行うために必要な知識の提供に努めている。

<6> 少年補導委員(内閣府)

地方公共団体が委嘱している少年補導委員(平成21年3月現在約6万6000人)や少年補導センターの職員の技能や知識の向上を図るため,相談助言の効果的進め方等を内容とする研修事業を実施している。

ウ 同世代又は年齢の近い世代による相談・支援(各省庁)

BBS会は兄や姉のような身近な存在として,少年たちとふれあい,その健やかな成長を支援するとともに,犯罪や非行のない明るい社会の実現を目指して非行防止活動を行う青年ボランティア団体である。少年たちと同じ目の高さで共に考え学びあうことを理念としており,悩みの相談にのったり,学習支援,レクリエーション活動等を行うほか,全国規模の研修会等を通じて,必要な知識・技術の習得に努めている。

4 子ども・子育て支援等の充実

(1) 子どもと子育てを応援する社会の実現に向けた取組(内閣府,文部科学省,厚生労働省,国土交通省,各省庁)

政府はこれまで,少子化社会対策基本法(平15法133)に基づき,少子化社会対策大綱(平成16年6月)及び「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について(子ども・子育て応援プラン)」(平成16年12月)を,さらに,「新しい少子化対策について」(平成18年6月),「「子どもと家族を応援する日本」重点戦略」(平成19年12月)等を策定し,これらを踏まえ少子化対策を総合的に推進してきたところである。

平成22年1月29日,策定から5年が経過した少子化社会対策大綱を見直し,新たな「大綱」として「子ども・子育てビジョン」を閣議決定した。「子ども・子育てビジョン」は,これまでの少子化社会対策大綱が「少子化対策」という視点からつくられたものであったことに対し,「子どもと子育てを応援する社会」の実現を目指す視点へと基本理念を転換し,社会全体で子どもと子育てを支え,家族形成や子育てについて個人の希望を実現することを目指しており,「児童手当」の創設等の経済面の支援,保育サービス等の基盤整備及びワーク・ライフ・バランスの推進等,バランスのとれた総合的な子ども・子育て支援を推進することとしている。また,「子ども・子育てビジョン」では,同ビジョンで掲げた理念の実現に向けて,平成22年度から平成26年度までの5年間の具体的な施策内容と目指すべき数値目標を盛り込んでいる。さらに,「子ども・子育てビジョン」等に基づき,すべての子どもに良質な成育環境を保障し,子ども・子育て家庭を社会全体で支援するため,質の高い学校教育・保育の一体的な提供,保育の量的拡大,家庭における養育支援の充実などを行う,新たな子ども・子育て支援のための包括的・一元的な制度である,「子ども・子育て新システム」の構築に取り組んできた。

同システムについては,平成22年度に引き続き「子ども・子育て新システム検討会議」の下で具体的な制度の検討を進めてきた。平成23年7月に「子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめ」が同会議の「作業グループ」下で開催される「基本制度ワーキングチーム」で取りまとめられた。これを受け,同月,少子化社会対策会議において「子ども・子育て新システムに関する中間取りまとめについて」を決定し,残された検討課題について検討し,成案を取りまとめ,平成23年度中に必要な法制上の措置を講じることとされている税制抜本改革とともに,早急に所要の法律案を国会に提出することとした。

その後も引き続き検討を進め,平成24年3月に少子化社会対策会議において「子ども・子育て新システムの基本制度について」を決定し,「子ども・子育て新システムに関する基本制度」,「子ども・子育て新システム法案骨子」を定めた。同法案骨子に基づき,3月末に「子ども・子育て支援法案」,「総合こども園法案」及び「子ども・子育て支援法及び総合こども園法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」の3法案を,税制抜本改革とともに平成24年通常国会に提出した。

このような状況の中で,関係機関では次のような取組を進めてきた。

ア 待機児童の解消に向けた保育サービスと放課後児童対策等の充実(厚生労働省)

待機児童の解消については,平成14年度から「待機児童ゼロ作戦」を開始し,平成16年度に策定された「子ども・子育て応援プラン」に基づき,「待機児童ゼロ作戦」の更なる展開として,受入児童数の拡大を図ってきた。

こうした取組の結果,待機児童数は,平成23年4月1日時点では,約2万5600人となり,4年ぶりに減少したものの依然として多くの子どもの受け入れ先が不足しており,待機児童の解消は喫緊の課題である(第2―4―5図)。

第2-4-5図 待機児童数の推移(平成14~23年度)

このような状況等を踏まえ,平成22年1月に「子ども・子育てビジョン」を策定し,保育サービスの定員を毎年約5万人ずつ増加する目標値を設定,この目標を達成するため,平成24年度予算案において,保育所運営費の確保による保育サービスの量的拡充等を図ることとしている。

また,平成20年度第2次補正予算において都道府県に創設した「安心こども基金」を,平成23年度第4次補正予算において積み増しするとともに,平成22年度末までとしていた事業実施期限を平成23年度末まで延長し,保育所の整備や認定こども園への支援等を,重点的に進めている。

さらに,平成22年11月に取りまとめられた「国と自治体が一体的に取り組む待機児童解消『先取り』プロジェクト」に基づき,質の確保された認可外保育施設への助成や,複数の家庭的保育者(保育ママ)によるグループ型小規模保育事業の推進を図るとともに,「地方版子ども・子育て会議」の設置や小規模かつ多機能な保育事業の実施により,保育サービスの供給が不足している地域にきめ細やかく対応する「地域型保育・子育てモデル事業」などを進めていくこととしている。

共働き家庭など留守家庭における学齢期の児童に対しては,学校の余裕教室等を活用し,放課後に適切な遊び,生活の場を与えて,その健全な育成を図ることを目的とする放課後児童クラブを実施している。平成23年5月1日時点において,放課後児童クラブ数は全国で2万561か所,登録児童数は83万3038人となっており,保育サービスの利用者が就学後に引き続きサービスを受けられるよう,「子ども・子育てビジョン」に掲げる数値目標(放課後児童クラブの利用児童数を平成26年度に111万人とする目標)の達成などに向け,取組を進めていくこととしている。また,内閣府と文部科学省が連携し,地域社会の中で,放課後等に子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進するため,平成19年度から,総合的な放課後対策として「放課後子どもプラン」を創設し,原則としてすべての小学校区での実施を目指して推進を図っている。

イ 地域における子育て支援(厚生労働省)

少子化や核家族化の進行,地域のつながりの希薄化等,社会環境が変化する中で,身近な地域に相談できる相手がいないなど,子育てが孤立化することにより,その負担感が増大している。とりわけ,3歳未満の子どもを持つ女性の約8割は家庭で育児をしており,社会からの孤立感や疎外感を持つ者も少なくない。

このようなことから,平成19年度から,身近な場所に子育て親子が気軽に集まって相談や交流を行う「地域子育て支援拠点事業」を開始し,<1>子育て親子の交流の場の提供と交流の促進,<2>子育て等に関する相談・援助の実施,<3>地域の子育て関連情報の提供並びに<4>子育て及び子育て支援に関する講習を基本事業として推進している。

具体的には,公共施設の空きスペースや商店街の空き店舗等において実施する『ひろば型』,保育所等において実施する『センター型』,民営児童館において実施する『児童館型』の三つの類型により事業展開を図っており,それぞれ特色を生かした取組を行っている(平成23年度交付決定ベース:5722か所(うち,「ひろば型」:2132か所,「センター型」3219か所,「児童館型」371所))。

特に,ひろば型においては,平成21年度より機能の拡充を図り,一時預かりや放課後児童クラブ等多様な子育て支援活動を基本事業と一体的に実施することで,ひろば型の施設を中心とした関係機関とのネットワーク化を推進している。

このような地域における子育て支援の拠点については,量的な拡充とともに,当事者自身が共に支え合い,学び合う地域子育て支援活動の原点に根ざした活動を広げていくことが重要な課題である。このような認識から,「NPO法人子育てひろば全国連絡協議会」が組織され,子育て支援者の資質向上に向け,各種セミナーや研修会の開催等を行っている。

さらに,乳幼児や小学生等の児童を有する子育て中の労働者や主婦等を会員として,送迎や放課後の預かりや病児・病後児の預かり等の相互援助活動を行う「ファミリー・サポート・センター」について,地域の子育て支援機能の強化に向けて,実施か所数の拡大を図っている(平成23年度:669か所)。

ウ 幼稚園における子育て支援(文部科学省)

文部科学省では,幼稚園が地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たせるよう,「親と子が共に育つ」という観点から子育て支援の実施を推進している。具体的には,例えば子育て相談,情報提供,未就園児の親子登園,保護者同士の交流の機会の提供等の子育て支援活動が各幼稚園で実施されている。また,地域の実態や保護者の要請に応じて通常の教育時間の前後に行う預かり保育も各幼稚園で実施されており,文部科学省では,このような子育て支援活動や預かり保育を推進するため財政措置等の支援を行っている。

エ 認定こども園制度の普及促進(文部科学省,厚生労働省)

幼稚園,保育所等のうち,(ア)保育に欠ける子どもも欠けない子どもも受け入れて教育・保育を一体的に行う機能,(イ)全ての子育て家庭を対象に,子育て不安に対応した相談や親子のつどいの場の提供等を行う機能,を備える施設について,都道府県知事等が認定する「認定こども園」制度が平成18年10月から開始された。この,「認定こども園」の認定件数は,平成24年4月1日現在,全国で911件となっている。認定こども園に対する,幼稚園・保育所の枠組みを超えた新たな財政支援策として,平成20年度補正予算等において「安心こども基金」を創設するなど,取組の一層の普及を図っている。

オ 幼稚園における学校評価(文部科学省)

幼稚園における学校評価については,平成19年6月に学校教育法,同年10月に学校教育法施行規則の改正により,自己評価・学校関係者評価の実施・公表,評価結果の設置者への報告に関する規定が設けられた。

平成23年11月には,平成22年7月の「学校評価ガイドライン」の改訂を踏まえ,第三者評価に係る内容の追加など「幼稚園における学校評価ガイドライン」を改訂し,幼稚園の特性に応じた学校評価の推進を図っている。

カ 保育所・幼稚園と小学校との連携(文部科学省,厚生労働省)

平成21年4月から一部先行実施されている新しい小学校学習指導要領においては,幼稚園に加え,新たに保育所との連携や交流を図ることが盛り込まれるとともに,幼稚園教育要領においても幼児と児童の交流,教師同士の交流等の小学校との連携について盛り込まれた。

これを踏まえ,幼児期の教育と小学校教育の連携を促進するために文部科学省と厚生労働省では,平成21年3月に「保育所や幼稚園等と小学校における連携事例集」を作成した。さらに,平成22年3月から「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議」において子どもの発達と学びの連続性を確保するための教育方法等について検討を行い,平成22年11月に報告書を取りまとめ公表した。

また,幼児の学習及び健康の状況を記載した書類が幼稚園から小学校に送付されていることも踏まえ,平成20年3月に告示された保育所保育指針において,子どもの育ちを支えるための資料を保育所から小学校へ送付することや,保育所の子どもと小学校の児童との交流や職員同士の交流等の連携を図ることについて示された。これらの周知等を通して,保育所・幼稚園と小学校との連携の促進に努めている。

キ サービスの第三者評価の推進(厚生労働省)

福祉サービスの第三者評価事業の更なる普及を図るため,福祉サービス共通の評価基準を定めた「福祉サービスの第三者評価事業に関する指針について」を平成16年5月に策定し,第三者評価の考え方,着眼点をまとめ,都道府県に通知した。

また,平成17年5月には,保育所版の第三者評価基準のガイドラインとして「保育所版の『福祉サービス第三者評価基準ガイドラインにおける各評価項目の判断基準に関するガイドライン』及び『福祉サービス内容評価基準ガイドライン』等について」を策定し,都道府県に通知を発出,平成23年3月には一部改正し,周知を図った。

加えて,平成21年3月には,保育現場において自己評価が円滑に実施され,養護と教育の充実が図られるとともに,当該自己評価を基盤とし,客観的な第三者評価にも資するような,保育士等及び保育所の自己評価に関するガイドラインを作成し,都道府県に周知した。

ク 認可外保育施設の質の維持・向上(厚生労働省)

認可外保育施設に対し,より実効性の高い監督が行えるようにするため,平成13年に届出制が創設されるとともに,勧告・公表が監督手段として規定された。現在,各都道府県(指定都市,中核市含む)においてこれらの制度改正に基づく指導監督を実施し,認可外保育施設の質の維持・向上を図るとともに,良質な認可外保育施設が認可保育所に転換しやすくなるよう支援・指導を行っている(平成22年3月31日現在の認可外保育施設数:7400か所)。

なお,平成17年4月から,認可外保育施設指導監督基準を満たす旨の証明書の交付を受けた認可外保育施設は,利用料に係る消費税が非課税とされている。

ケ 子育て世帯等の住生活の安定の確保及び向上の促進(国土交通省)

国土交通省では,「住生活基本法」(平18法61),「住生活基本計画」(平成23年3月15日閣議決定)及び「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」(平19法112)に基づき,子どもを育成する家庭等住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定確保を図ること等を旨として,以下の施策を総合的に推進している。

○ 子育てに適した住宅の確保の支援

良質な持家の取得を促進するため,住宅金融支援機構における証券化支援事業の優良住宅取得支援制度により,耐久・可変性能等が特に高い住宅に係る金利引下げを行っている。

高齢者等が所有する戸建て住宅等を,広い住宅を必要とする子育て世帯等へ賃貸することを円滑化する高齢者等の住み替え支援制度により,子育て世帯等に広い住宅を供給する取組を支援している。

子育て世帯等を対象とした良質な賃貸住宅の供給を支援するため,地域優良賃貸住宅制度により,整備費助成や家賃低廉化助成を行っている。

また,都市再生機構の民間供給支援型賃貸住宅制度により,良質なファミリー向け賃貸住宅の供給を促進している。

○ 子育て世帯の居住の安定の確保

公営住宅においては,小さな子どものいる世帯や多子世帯等について,入居者の選考に際し地方自治体の判断により優先入居の取扱いを行っている。また,小学校就学前の子どものいる世帯について,入居収入基準を緩和している。

都市再生機構賃貸住宅においては,子育て世帯や子育て世帯との近居を希望する支援世帯に対して,新規賃貸住宅募集時の当選倍率優遇や,既存賃貸住宅募集時の優先申込期間の設定をしている。

また,民間賃貸住宅においては,子育て世帯等の円滑な入居を促進するため,地方公共団体や関係事業者,居住支援団体等が組織する居住支援協議会が行う民間賃貸住宅等への入居の円滑化に係る相談・情報提供等に対する支援を行っている。

○ 子育て支援施設を併設した住宅の供給

大規模な公共賃貸住宅の建替えに際して保育所等を原則として併設するとともに,平成22年度からは,子育て世帯等向け先導的な住まいづくり・まちづくりに関する取組についても支援している。

また,市街地再開発事業等における施設建築物内への保育所等の導入の促進,総合設計制度における保育所等に係る容積率制限の緩和等を行っている。

平成21年10月には児童福祉法(昭22法164)の改正に併せ,家庭的保育事業の用に供する施設を,公営住宅建替事業において建替え後の戸数要件が緩和される特例対象に追加した(平成22年4月施行)。

○ 子育てに適した良好な居住環境の形成

都心における職住近接により子育て世帯を支援するため,都市型住宅の供給を促進している。

また,シックハウス対策として,建築基準法(昭25法201)においてホルムアルデヒドに関する建材の制限,換気設備設置の義務付け等が規定されている。

さらに,健康を維持,増進させるような住宅やコミュニティに関する調査研究を進めている。

5 子ども・若者を取り巻く有害環境等への対応

(1) 青少年インターネット環境整備法の的確な施行等

ア 関係業界の自主的な取組(内閣府,警察庁)

メディアが提供する情報には,有用なものも多い反面,特に性・暴力表現に関する情報等は,子どもに悪影響を及ぼす場合があるとの指摘もあるなど懸念される状況にある。青少年を取り巻く有害情報対策には,まず,関係業界自身が自主的な取組を図ることが大切である。

警察では,有害図書類の少年への提供について,関係機関や地域住民と連携して業界の自主的措置を促進するよう指導を強化するとともに,悪質な業者に対する取締りの強化を図っている。

なお,現在行われているマスコミを始め関係業界等の取組の状況は,第2―4―1表のとおりである。

第2-4-1表 少年の主な犯罪被害(平成23年)

イ 実態の把握(内閣府,文部科学省)

内閣府では,平成21年度より,青少年インターネット環境整備法の実施状況のフォローアップのための基礎データを得ることを目的として,青少年及びその保護者を対象に,青少年のインターネットの利用状況やフィルタリングの普及状況等を調査する青少年のインターネット利用環境実態調査を実施しており,平成23年度調査結果※32を平成23年10月に公表した。

※32 青少年のインターネット利用環境実態調査

文部科学省では,平成22年度から,学校・教育委員会が実施している学校ネットパトロールの効率的・効果的な実施方法や継続的な実施の在り方について調査研究を行っている。また,平成23年度においては,青少年と携帯電話等メディアに関する調査研究を行った。

ウ インターネット上の違法・有害情報への対応

<1> 総合的対策の推進(内閣官房)

近年は,インターネットを通じて違法・有害情報が家庭に入り込み,青少年が出会い系サイト等で被害に遭ったり,有害情報を利用して犯罪を起こす事案等が発生している。

政府では,このような問題に対応するため,関係省庁の課長級を構成員とする「インターネット上における違法・有害情報等に関する関係省庁連絡会議(通称:IT安心会議)」を平成17年2月に設置し,国内外の情報の収集・共有,対応策の検討,取りまとめを行っているが,平成20年7月には,さらに局長級を構成員とする「インターネット上における違法・有害情報等に関する関係省庁局長会議(通称:IT安心局長会議)」を設置し,関係省庁間のさらなる連携強化を図っている。

IT安心会議においては,平成19年10月に,インターネット上の違法・有害情報に起因する被害児童等を大幅に縮小するべく「インターネット上の違法・有害情報に関する集中対策」を取りまとめ,平成20年7月には,IT安心局長会議において携帯電話等における更なるフィルタリングの導入推進等の施策を含め,その進捗状況の取りまとめを行った。

さらに,平成20年10月からは,「違法・有害情報対策官民実務家ラウンドテーブル」を設置・開催するほか,恒常的な情報共有手段として「ラウンドテーブル連絡網」を活用することによって官民横断的な実務家間での迅速かつ正確な情報共有を実現(平成20年度に10回,21年度に10回,22年度に15回,23年度に19回)し,各業界における自主的な取組を推進している。

<2> 関係府省庁や関係団体等の連携による取組体制の整備(内閣官房,内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,経済産業省)

青少年インターネット環境整備法においては,

○ 政府において青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画を策定し,実施すること

○ 学校教育,社会教育及び家庭教育におけるインターネットの適切な利用に関する教育・啓発活動の推進等を図ること

○ 携帯電話・PHS事業者,インターネット接続サービスを提供する事業者(ISP),インターネット接続機器製造事業者等が青少年有害情報のフィルタリングソフトの提供義務等を負うこと

○ 国及び地方公共団体がインターネットの適切な利用に関する活動を行う民間団体等を支援すること

等が規定されている※33

※33 青少年インターネット環境整備 関係法令

平成21年6月,同法に基づき,

○ 青少年が自立して主体的にインターネットを利用できるようにするための教育・啓発の推進

○ 保護者が青少年のインターネット利用を適切に管理できるようにするための啓発活動の実施

○ 事業者等による青少年が青少年有害情報に触れないようにするための取組の促進

○ 国民によるインターネット上の問題解決に向けた自主的な取組の推進

を基本的な方針とする青少年インターネット環境整備基本計画が策定され,同法及び同計画に基づき,関係府省庁や民間団体等が連携して青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境を整備するための施策を実施している※34

※34 青少年インターネット環境整備基本計画

なお,内閣府では,平成24年1月より「青少年のインターネット環境の整備等に関する検討会」を開催し,同計画の見直しに向けた検討を進めている。

<3> フィルタリングの普及啓発(内閣官房,内閣府,警察庁,総務省,文部科学省,経済産業省)

青少年インターネット環境整備法においては,国等がフィルタリングについて広報啓発活動を行うことが規定されており,同法及び青少年インターネット環境整備基本計画に基づき,関係府省庁が民間団体等と連携して,フィルタリングの普及啓発を推進している。

警察では,違法情報に対する取締り,フィルタリングソフト又はサービスの普及等有害情報から少年を守るための対策の推進やプロバイダの自主的措置の促進等に努めている。

特に,平成22年11月,児童が使用する携帯電話に係るフィルタリングの100%普及を目指した取組を推進するよう都道府県警察に指示し,関係府省等と連携・協力して,関係事業者に対する指導・要請,保護者に対する啓発活動の徹底等,同取組を強力に推進している。その一環として,平成22年12月及び平成23年7月から8月には,都道府県警察を通じ,携帯電話販売店に対するフィルタリング推奨状況等実態調査を行い,結果を公表するとともに,平成23年4月(一部は5月に実施)には,都道府県警察を通じ,児童が使用する携帯電話に係る利用環境実態調査を行い,結果を公表した。

総務省では,インターネット上の有害な情報から青少年を保護するため,総務大臣から携帯電話事業者等に対し,平成19年12月にフィルタリングサービスの利用を原則とした意思確認を行うよう要請を行い,さらに平成20年4月には,フィルタリングサービスの改善等に取り組むよう要請を行っている。

また,平成19年2月及び平成20年3月には,警察庁,総務省及び文部科学省が合同で,携帯電話のフィルタリングについて,学校関係者や保護者を始めとする住民に対し周知啓発活動に取り組むよう,都道府県知事,教育委員会,都道府県警察等に依頼を行うなど,フィルタリングの普及促進活動を推進している。

このような取組の結果,携帯電話等のフィルタリングサービスの利用者数は,電気通信事業者協会の発表によると,平成23年12月末時点で約823万人となっている。これは,平成18年9月末時点の約63万人と比較すると約13倍となっており,着実に利用が広がっているところである。

さらに,平成19年11月より開催してきた「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」における最終取りまとめに基づき,平成21年1月,インターネット上の違法・有害情報対策の包括的な政策パッケージとなる「安心ネットづくり」促進プログラムを策定し,携帯電話等のフィルタリングサービスの改善とより一層の普及促進等安全・安心なインターネット利用環境整備に向けて取組を進めているところである。

その後,これまで普及啓発活動等にそれぞれ取り組んできた利用者・産業界・教育関係者等が相互に連携するため,平成21年2月に「安心ネットづくり促進協議会」が設立され,広く国民一般を対象としたリテラシー向上の推進に取り組んでいるほか,インターネットや様々なメディアを活用し,リテラシー向上やフィルタリングの普及等全国各地で普及啓発活動を実施している。近年,同協議会において平成23年10月から「スマートフォンにおける無線LAN及びアプリ経由のインターネット利用に関する作業部会」を設置し,青少年にも普及が進むスマートフォンのフィルタリングについて多様な関係者が一同に会し,検討を行っている。

また,平成21年2月には,内閣官房,内閣府,警察庁,総務省,文部科学省及び経済産業省が合同で,都道府県知事,都道府県教育委員会,都道府県警察等に対し,青少年インターネット環境整備法の施行と子どもの携帯電話におけるフィルタリングの普及促進について啓発活動に取り組むよう依頼した。

平成22年9月からは,青少年インターネット環境整備法の成立・施行後の各関係者(保護者,教育関係者,民間団体,事業者,国,地方公共団体等)によるこれまでの取組を検証した上で,保護者の安易なフィルタリング不使用・解除への対策等のフィルタリングの更なる普及に向けた取組及びフィルタリングの実効性の向上等について検討するため,総務省において「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」に「青少年インターネットWG」が開催され,平成23年10月,スマートフォンにおけるフィルタリングのあり方を盛り込んだ,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言」を取りまとめ,公表した。

平成23年3月,内閣府,警察庁,総務省,文部科学省及び経済産業省は,青少年の卒業・入学・進級による携帯電話の購入・買替時期において,関係府省庁の緊密な連携のもと,フィルタリング普及のための取組等を総合的・重点的に行うため,「フィルタリングの普及に関する関係閣僚懇談会」を開催し,「青少年の携帯電話にフィルタリングを普及させるための緊急対策」※35に合意した。同緊急対策の一環として,総務省,警察庁それぞれから携帯電話事業者に対し,保護者への説明を強化するよう要請するとともに,総務省,警察庁及び経済産業省から,携帯電話販売代理店等に対して,上記の携帯電話事業者に対する要請内容を周知した。

※35 青少年の携帯電話にフィルタリングを普及させるための緊急対策(PDF形式:11KB)別ウインドウで開きます

文部科学省では,卒業,入学,進学を機に携帯電話を購入する家庭が多いことを受け,各学校で行う入学説明会や新入学時の保護者説明会など効果的な説明の機をとらえて,保護者に周知するよう協力依頼を平成23年3月に通知した。

経済産業省では,青少年のインターネットの利用環境の変化に対応するため,望ましいフィルタリング提供のあり方についての判断基準を策定するとともに,当該基準を用いた判断に資するべく,ゲーム機等の新たなインターネット接続機器も含めた機器の利用状況等の調査を実施し,調査結果を事業者にフィードバックした。また,フィルタリングを保護者がより適切に利用できるよう,保護者に対して事業者等がなし得る支援策を検討し,事業者の取組を促した。さらに,学校関係者・保護者等向けのフィルタリングセミナー等を通して,青少年のインターネット利用にかかるリスクとその対策を説明することで,関係者全体のインターネットリテラシーの向上と保護者等による実効的な自主的対策を促進し,インターネットの利用環境整備を実施した。

<4> 違法情報,有害情報への対応(警察庁,法務省)

警察では,インターネット上を流用する違法情報・有害情報について,サイバーパトロール,都道府県警察が委嘱した民間のサイバーパトロールモニターあるいはインターネット・ホットラインセンターからの通報等により,その把握に努めるとともに,全国警察が連携して積極的に取締りを進めている。

また,「出会い系サイト」の利用に起因する犯罪から児童を保護するため,当該サイトを利用して児童を性交等の相手となるよう誘引する行為等の積極的な取締りを推進するとともに,平成23年は「出会い系サイト」以外のコミュニティサイトの利用に起因する児童被害が平成20年から統計を取り始めて以来,初めて減少したことを受け,関係機関・団体等と連携し,実効性のあるゾーニングの促進等の各種対策を更に推進することとしている。さらに,これらのサイトの利用に起因する児童被害を防止するための広報啓発等を行っている。さらに,インターネット利用者の規範意識を醸成するため,サイバー防犯ボランティアの育成・支援に取り組んでいる。

警察庁では,一般のインターネット利用者からの違法情報・有害情報に関する通報を受理し,警察への通報やプロバイダ,サイト管理者等への削除依頼を行うインターネット・ホットラインセンターの運用を平成18年6月に開始した。同センターでは,平成23年中に17万6254件の通報を受理しており,プロバイダ等に対して1万5837件の違法情報・有害情報の削除依頼を行い,そのうち9990件(63.1%)が削除された。また,平成19年3月から,外国のウェブサーバに蔵置された違法情報について,当該外国の同種の機関に対し,削除に向けた取組を依頼している。

法務省の人権擁護機関では,インターネットによるプライバシー侵害等の人権侵害情報について相談を受けた場合,プロバイダ等に対する発信者情報の開示請求や当該情報の削除依頼の方法について助言するほか,人権侵害情報による被害の回復を被害者自ら図ることが困難な場合は,表現の自由に配慮しつつ,「プロバイダ責任制限法 名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」に基づいて,プロバイダ等に当該情報の削除を要請するなど被害者の救済に努めている。

<5> 青少年,保護者等への啓発(内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省,経済産業省)

内閣府では,関係省庁や地方公共団体等と連携し,青少年のインターネット利用におけるフィルタリングの普及や適切な利用を推進するため,パンフレットの配布等により青少年や保護者を始め広く国民一般に対する啓発活動に取り組んでいる。

警察では,出会い系サイト又はコミュニティサイトの利用に起因する犯罪による被害やインターネット上の違法情報及び有害情報の影響から子どもを守るため,子どもやその保護者等に対する広報啓発を推進している。

特に,平成24年2月の広報重点を「サイバー空間の脅威に対処するための情報セキュリティ対策の推進」として,全国の小・中学校等においても情報セキュリティに関する講習を開催した。当該講習においては,子ども,保護者,学校職員等に対し,インターネット上の違法情報及び有害情報に起因した犯罪,子どもを被害者とするサイバー犯罪等の具体的事例や対応策を紹介するとともに,フィルタリングソフト又はサービスの導入を勧めるなどしている。

総務省では,通信関係団体及び文部科学省と連携し,子どもたちのインターネットの安全・安心利用に向けて,主に保護者・教職員及び児童生徒を対象とした啓発講座を全国規模で行う「e-ネットキャラバン」の活動を,平成18年度から全国において実施している。※36

※36 e‐ネットキャラバン 総務省別ウインドウで開きます

また,平成23年9月からは,青少年のインターネットリテラシー指標をとりまとめ,青少年のインターネットリテラシー指標に関する開発,実施に取り組んでおり,同取組を通じた啓蒙活動も行っている。

法務省の人権擁護機関では,「インターネットを悪用した人権侵害をやめよう」を年間強調事項として掲げ,1年を通して全国各地で,講演会や研修会等の開催,啓発冊子等の配布等の啓発活動を実施している。

また,平成20年度には小・中学生を対象としたインターネットに関する啓発教材「知ってる!?ケータイやインターネットも使い方ひとつで…」を,平成21年度には中・高校生及びその保護者を対象とした啓発ビデオ「インターネットの向こう側」をそれぞれ作成し,啓発活動に活用しているほか,同年度から,ブログサイトやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイトに,人権に関する正しい理解を深めることや,相談先や救済手続を案内することを目的としたインターネットバナー広告を掲載している。

(2) 携帯電話等をめぐる問題への取組(総務省,文部科学省)

文部科学省では,社会全体で青少年を取り巻く違法・有害情報対策に取り組むため,関係団体等の連携強化を図る「ネット安全安心全国推進フォーラム」を開催しているほか,メディア対応能力等を育成するための機会の提供を行うとともに,青少年を取り巻くインターネット上の有害情報をめぐる深刻な問題に対応して,フィルタリングの普及啓発やネットパトロールの実施等,地域の実情に応じた有害情報対策事業を支援した。

また,学校における携帯電話等の取扱い等に関する調査の結果を受けて,小・中学校への携帯電話の原則持込み禁止,高等学校の校内での使用制限等の指針を示した通知を平成21年1月30日付けで発出した。さらに,携帯電話のインターネット利用に関する意識啓発を図るため,平成22年2月には,携帯電話のインターネット利用に際しての留意点等を盛り込んだリーフレットを全国の小学6年生に配布するとともに,携帯電話の利用に関する親子のルールづくり等に関する保護者向けのリーフレットを都道府県教育委員会・PTA団体等へ配布している。そして,両リーフレットを文部科学省のHPに公開し,ダウンロード可能とすることで,更なる普及を図っている。

平成23年度には,インターネット上のマナーや家庭でのルールづくりの重要性を周知するため,有識者等による「ケータイモラルキャラバン隊」を結成し,全国6箇所で,保護者等を対象とした学習・参加型のシンポジウムを開催した。また,青少年と携帯電話等のメディアに関する調査研究を実施した。

平成24年度には,「ケータイモラルキャラバン隊」を引き続き実施するとともに,スマートフォン等のインターネットにつながる新たな機器への対応方法や,緊急時に有効なインターネットの活用法等について,青少年自身が研修・発信する「青少年安心ネット・ワークショップ」を実施することとしている。

総務省では,青少年による携帯電話からのインターネットの利用が進む一方,青少年のCGM(SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に代表される消費者生成メディア)サービス利用に伴う被害が増加していることから,平成21年11月,「利用者視点を踏まえたICTサービスに係る諸問題に関する研究会」に「CGM検討WG」を開催し,有識者や関係事業者等による検討を行った。平成22年5月,検討の成果として,<1>利用者情報の確認強化等のフィルタリングサービスの普及改善に向けた更なる取組の在り方,<2>「ミニメール」(SNS会員間のメッセージ交換サービス)の内容確認に関する法的整理及び実施の在り方,<3>利用者の年齢認証の確実化に向けた取組強化の必要性を提言として取りまとめ,これを受けて,ミニメールの内容確認の実施等関係事業者等による自主的取組が進められてきた。平成22年9月には,CGM運営者の年齢認証の確実化について,総務省から主な携帯電話事業者及びCGM事業者に対して迅速に取り組むよう要請し,平成23年1月より順次,大手のCGM事業者において,携帯電話事業者の年齢情報を活用した年齢認証システムの運用が開始された。平成22年9月からは,CGMの問題も含め青少年インターネット利用を検討する「青少年インターネットWG」を開催し,平成23年10月,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する提言」を取りまとめ,公表した。

(3) 性風俗関連特殊営業の取締り等(警察庁)

少年の健全育成に障害を及ぼす行為の防止等のため,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(以下「風営法」という。)及び同法施行条例により,学校等の周辺や住宅地域において性風俗関連特殊営業等を営むことは禁止されているところ,近年,当該地域において,いわゆる店舗型ファッションヘルス営業等を違法に営む者が多数見られており,警察では,風営法等による取締りを積極的に進めている。

また,児童買春等の契機となり得るいわゆる出会い系喫茶や類似ラブホテルについて,平成22年7月,「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令」(昭和59政319)を改正し(平成23年1月から施行),その営業者に対し18歳未満の者の営業所への立入制限の義務を課すなどの措置を講じた。

(4) 酒類,たばこの未成年者に対する販売等の防止

ア 取締り・処分等(警察庁,法務省)

「未成年者喫煙禁止法」(明33法33)及び「未成年者飲酒禁止法」が平成13年に改正され,酒類やたばこの販売者等は,年齢確認その他の必要な措置をとるものとすることが規定された。未成年者が酒類やたばこを容易に入手できないような環境を整備するため,法令に基づく指導取締りを徹底するとともに,関係業界が自主的に措置をとるよう働き掛けている。

検察庁においては,「未成年者飲酒禁止法」,「未成年者喫煙禁止法」等に違反する事案について,必要な捜査を行い,事案に応じた処分を行っている。

イ 飲酒防止(国税庁)

国税庁では,致酔性及び依存性を有する酒類の特性に鑑み,未成年者飲酒防止を始めとする酒類の販売管理の徹底を図る観点から,「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」(以下「表示基準」という。)の制定や,酒類小売販売場ごとに酒類販売管理者の選任を義務付けるなどの所要の措置を講じている。

また,国税局長が委嘱した酒類販売管理協力員が収集した情報等を踏まえ,職員が酒類小売販売場に臨場して表示基準の遵守状況等を確認し,是正指導を行っている。

さらに,酒類業界に対して,未成年者飲酒防止に配意して販売,広告・宣伝を行うよう要請するほか,購入者の年齢確認ができない従来型自動販売機の撤廃等の未成年者の飲酒防止に向けた酒類業界の取組を支援している。

このほか,「酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会」(内閣府,警察庁,公正取引委員会,総務省,文部科学省,厚生労働省及び国税庁)においては,毎年4月を未成年者飲酒防止強調月間と定め,関係省庁等が連携して,啓発用ポスターの作成・配布による全国的な広報啓発活動を行っている。また,全国小売酒販組合中央会が実施している「未成年者飲酒防止・飲酒運転撲滅全国統一キャンペーン」やビール酒造組合を中心に実施している「STOP!未成年者飲酒」プロジェクト等の取組を支援するなど,国民の未成年者飲酒防止に関する意識の高揚等を図っている。

ウ 喫煙防止(財務省)

財務省では,未成年者喫煙防止の観点から,成人識別自動販売機の導入を製造たばこ小売販売業の許可の条件とすることにより,成人識別自動販売機の導入を義務付けるとともに,条件違反のあった場合には,「たばこ事業法」(昭59法68)に基づく行政処分(許可の取消し・営業停止)を行っている。こうした取組を講じることにより,全国の小売店のほぼすべてのたばこ自動販売機が成人識別自動販売機となっている。

また,成人識別自動販売機が全国稼働(平成20年7月)して以降,未成年者が対面販売によりたばこを購入する事例が増加したことから,警察庁及び財務省の連名により業界に対し,対面販売時における年齢確認の徹底を文書で要請(平成21年6月及び平成22年4月)するとともに,未成年者が自ら喫煙することを知りながらたばこを販売し,「未成年者喫煙禁止法」第5条違反として処罰されたたばこ小売販売業者には,「たばこ事業法」に基づく行政処分を含め,厳正に対処しているところである。

さらに,インターネットによるたばこ販売において,販売時に購入希望者の年齢識別が適切に講じられるよう,あらかじめ公的な証明書により購入希望者の年齢確認等を行った上で販売することを製造たばこ小売販売業の許可の条件とするなど,未成年者の喫煙防止の取組を強化している。

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