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コラム4 若者の問題に取り組む支援者のネットワークづくり

若者ホームレス支援ネットワーク委員会委員長 宮本みち子

2008年のリーマンショック以降,若いホームレスがいることが顕在化していきました。それと前後して,ホームレスの人しか売れない雑誌「ビッグイシュー日本」の販売者に若者が増えていることに懸念を感じた同雑誌の発行者であるNPO法人ビッグイシュー基金別ウインドウで開きますは,2008年11月から2010年3月までの2年間にわたって40歳未満の若いホームレス50人の聞き取り調査をし,その結果を基に2010年6月から同年11月まで「若者ホームレス支援方策検討委員会(委員長・宮本みち子放送大学教授)」を開催して検討を行い,その検討結果を「若者ホームレス白書」としてまとめ公表しました。

その調査からは,若者ホームレスは,自立しなければならない段階で種々の不利な条件が大きな障害となって,不安定な単純労務の世界に入ることを余儀なくされ,そこからホームレスの状態に陥っていたこと,また多くの場合,うつ的傾向や意欲の低下など,「心」の問題も抱えていたことがわかりました。

このような実態を踏まえて「若者ホームレス白書」では,一人ひとりのニーズに合わせた継続的な支援を行うためには,国や民間が独自に行う縦割りの支援体制に横串をさし,横断的でゆるやかなネットワークを築くことが重要であることを強調しています。

そこで,ホームレスの支援者に加え,障害者支援,社会的養護の当事者支援,ニート・ひきこもり支援など,様々な分野で子ども・若者を対象に活動している支援者が集まり,若者ホームレス問題を共有し連携を探る,「若者ホームレス支援ネットワーク会議」が開催されることになりました。

この会議は2011年度に3回にわたって開催され,民間団体,行政,メディア,教育機関を含む多くの市民が参加し,予想を超える活発な意見交換の場となり,新たなネットワークが生み出されました。

若者ホームレスは特殊な現象ではありません。グローバル経済競争の中で人間の選別化が進み,学校からも仕事からも排除される若者,また,親に頼れない若者が増加してきています。しかも,若者の成育環境はますます個人化し,心を許せる友人や知人のない孤独な若者,社会的技量を習得できないまま放置される若者が生まれやすい状況にあります。こうした中では,ひきこもりやニート,フリーターの若者は,ホームレスと地続きといっても過言ではないでしょう。

「若者ホームレス支援ネットワーク会議」で生まれたつながり,支援者のネットワークが,困難な状況にある若者を支え,そしてすべての子ども・若者が安心して生活できる社会づくりにつながるよう,これからも取組を続けていく必要があります。

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