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コラム8 岩手県の大槌町ではじまった,中高生による居場所づくり

特定非営利活動法人 ピアサポートネットしぶや

東日本大震災から3箇月が過ぎた平成23年6月,岩手県の大槌町は,大変復興が遅れていた。そうした中,私たちピアサポートネットしぶやは,新聞記事で避難所でボランティア活動を行う大槌町の高校生グループの存在を知った。このことを,私たちがサポートしている都立広尾高校の「奉仕」の授業で紹介したところ,広尾高校の生徒たちから大槌町の高校生と交流を持つこと,メッセージを送りたいという話が持ち上がった。この提案を生かすとともに,大槌町の高校生グループが被災地の現実と向かい合い,地域の力になることを願い,これまで私たちが取り組んできた「中高生による居場所づくり」の経験を生かして彼らを支援することにした。内閣府が行っているアウトリーチ(訪問支援)研修の縁で人的なつながりができた,岩手県沿岸部でも若者支援を行う「もりおか・いわて若者サポートステーション」の協力を得て,同年12月には,地元やNGO等の6団体に高校生グループも交え,「子ども・若者の居場所をつくるネットワーク会議」が生まれた。

大槌町における中高生による居場所づくり

彼らは「安渡青年協力隊(以下:アジト)」という。学校が日常を取り戻し,避難所が閉鎖され,仮設住宅に移行していった平成23年8月頃から,お互いに会う機会が減り,バラバラになっていった。私たちが訪れる月に1度,アジトメンバーは再会する。震災の不安やつらさの中で仲間とともに過ごした避難所での生活は「なつかしい記憶」として残り,「場所があれば,あのときのように集まりたい」気持ちを持ち続けている。そして「この地を離れたくない」「大槌町をなんとかしたい」という復興への思いも強い。

彼らの思いをつなぐために,地域の中に「中高生による居場所づくり」を呼びかけた。孤立しがちな仮設住宅の一人暮らしの高齢者への声掛けや,同世代や子どもたちとつくる居場所を目指し,平成24年1月から公民館での居場所活動がはじまった。名称を「大槌青年協力隊」とし,地域の他団体と手を結び,町内全域に活動範囲を広げた。今,彼らは復興の担い手として歩き始めている。

同世代との交流がもたらしたもの

メッセージからはじまった大槌の中高生と東京の広尾高校を含む高校生・私たちスタッフとの交流は,月1回のビデオレターをもとに,これまで3回の現地訪問と,東京での交流1回を行った。その交流を通して,震災で受けた痛みやつらさへの共感が生まれ,つながっていこうとする姿をみることができた。

また,高校生世代の笑顔と元気が,地域の高齢者や復興に向かう人々にも多くの力を与えている。避難所災害対策本部を担ってきた中央公民館安渡分館長からは,「この地区では子どもの数も減った,ちっちゃい子の面倒をみてほしい」という声が聞こえる。仮設住宅で暮らす地区の人たちも「よくきたね」「いい1日になった」「忘れないでね」と声をかけてくれる。この交流が一時でも地域を明るくしたように思えた。

今被災地では,雇用創出に取り組む「おらが大槌夢広場」などの新しい力が復興に向けて動き出している。しかし,雇用や居住地への不安から人口流失が続く中で,中高生を中心とした若い力が新しいまちづくりに向かっていくことが求められている。新たな地域コミュニティーを創生するためには,地域の力を結集して,ネットワークをさらに広げていくことだと思う。そのような動きを側面的に支援することが外部支援を行っている私たちが担う役割と考えている。

ピアサポートネットしぶや別ウインドウで開きます

交流:活動の振り返り

交流を終えて集合写真

交流を終え仮設住宅の方々と

10/28交流イベント:復興食堂看板作り

広尾高校からのメッセージ

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