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5 子ども・若者ビジョン
~子ども・若者の成長を応援し、一人ひとりを包摂する社会を目指して~
(平成22年7月子ども・若者育成支援推進本部決定)

「子ども・若者ビジョン」は,子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)第8条第1項に基づく子ども・若者育成支援推進大綱として作成するものである。

第1 子ども・若者の成長を応援し,一人ひとりを包摂する社会を目指して

(子ども・若者の「今」と「未来」)

子ども・若者は,かけがえのない「今」を生きています。また,それと同時に,我が国の,そして世界の未来を担う「将来の大人」でもあります。

今を生き生きと幸せに生きるとともに,未知の事柄に挑戦し,試行錯誤を経て新しい能力を身に付け,自信を持って社会に羽ばたく,未来への準備期間なのです。

(状況認識)

グローバリズムの進展は,世界と我が国との距離を縮め,私たちには多様な価値観をもつ人たちとの共生が求められています。また,情報化の更なる進展は,視野や見識を広げ,新しい知的,文化的価値創造の舞台を提供する一方で,子どもたちに思わぬ被害や人間関係などへの負の影響を及ぼすことを懸念する意見もあり,情報あるいは情報機器を適切に使いこなす能力を身に付けることが課題となっています。

さらに,雇用環境が大きく変化しており,特に,非正規労働者の増大は,若者が将来に対し不安を抱く大きな原因となっています。フリーターやニートの数は高止まりの状態であり,経済的格差の拡大と世代をまたがる固定化は,「子どもの貧困」問題としてもクローズアップされています。児童虐待などの被害者の中には,帰れる家も頼れる人もなく,社会における受け皿も不十分な中で居場所を探し求めている子ども・若者もいます。

家庭や地域における養育力の低下が指摘されている中,このような困難を有する人々に対する支援はもちろんのこと,社会全体で子ども・若者を見守り,育てる機能を果たしていかなければなりません。このため,大人の側でも自覚を持って社会のあり方を見直すとともに,必要な費用は子ども・若者自身の幸せのためだけでなく「未来への投資」「社会への投資」と位置づけて施策を推進していきたいと考えています。

(「子ども・若者ビジョン」の策定)

この「子ども・若者ビジョン」は,子ども・若者育成支援推進法(平成21年法律第71号)の施行を受け,「青少年育成施策大綱」(平成20年12月決定)に代わるものとして作成するものです。

このビジョンの策定に当たっては,次のような視点から検討を行いました。

・子ども・若者を育成の対象としてとらえるのではなく,社会を構成する重要な主体として尊重する。

・子ども・若者を中心に据え,専門家も交えた地域のネットワークの中で成長することを支援する。

・すべての子ども・若者の成長・発達を応援するとともに,困難を抱えている子ども・若者がその置かれている状況を克服することができるよう支援する。

・今を生きる子ども・若者を支えるとともに,将来をよりよく生きるための成長をサポートする。

・子ども・若者を取り巻く大人の役割は大変重要であり,大人の側でもよりよい社会づくりを積極的に行うことを求める。

子ども・若者育成支援に関する施策は,教育,福祉,保健,医療,矯正,更生保護,雇用を始めとして社会のほぼあらゆる分野にわたります。関係する国・地方公共団体の機関,民間団体等の間で緊密に連携をとりながら,全力で取り組みます。

第2 基本的な方針

1 5つの理念

(1) 子ども・若者の最善の利益を尊重

日本国憲法及び児童の権利に関する条約の理念にのっとり,子ども・若者の個人としての尊厳を重んじ,発達段階に応じてその意見を十分尊重するとともに,その最善の利益が考慮されることが確実に保障されることを目指します。

(2) 子ども・若者は,大人と共に生きるパートナー

子どもや若者を大人とは一段下の存在として位置づけるのではなく,また逆に,子ども・若者を甘やかすのでもなく,子ども・若者と大人がお互いに尊重しあいながら,社会を構成する担い手として共に生きていくことを目指します。

(3) 自己を確立し社会の能動的形成者となるための支援

子ども・若者が,社会とのかかわりを自覚しつつ,自尊感情や自己肯定感をはぐくみ,自立した個人としての自己を確立するとともに,社会との関係では,適応するのみならず,自らの力で未来の社会をよりよいものに変えていく力を身に付けることができるよう,健やかな成長・発達を支援します。

(4) 子ども・若者一人一人の状況に応じた総合的な支援を,社会全体で重層的に実施

子ども・若者が持つ能力や可能性,あるいは抱えている困難の程度は一人一人異なります。また,様々な分野にわたる支援を組み合わせることが必要な場合や,一つの分野の中でも官民の様々な団体や個人が支援を行う場合があることから,社会全体で分野,主体の壁を越えて互いに連携,協力し,必要な財源を確保しながら,一人一人の置かれた状況,発達段階,性別等に応じて抱えている問題が異なることにも配慮しつつきめ細やかな支援を行っていく必要があります。

また,このような連携・協力を通じて,支え合いのネットワークから誰一人として排除されることのない「一人ひとりを包摂する社会」の実現を目指すとともに,すべての子ども・若者が確かな社会生活を始めることができるよう支援していきます。

(5) 大人社会の在り方の見直し

児童虐待を始め大人が子ども・若者に対する加害者となる場合に限らず,子ども・若者の問題は,それを取り巻く大人を含む社会全体の問題です。このことを踏まえ,大人自らがその責任を自覚して子ども・若者のモデルとなるよう努めるとともに,社会の改善に取り組むことができるよう,社会の在り方を見直す取組を進めていきます。

2 3つの重点課題

(1) 子ども・若者が生き生きと,幸せに生きていく力を身につけるための取組

子ども・若者が成長・発達するための基礎づくりを支援します。このため,良好な家庭的環境の確保や大人社会の在り方の見直しなど子ども・若者を取り巻く状況の改善を図るとともに,豊かな人間性の育成,基本的な生活習慣の形成,体力の向上,基礎学力の保障等に取り組みます。また,子ども・若者の意見表明機会の確保を図ります。

さらに,このような基礎の上に様々な体験や他者との交流を積み重ねることにより,自立した個人として必要な知識,能力,社会性やリーダーシップなどをはぐくみます。このため,社会参加・体験活動等の能動的な活動の充実,自らとは異なる文化に接し,理解を深めるための活動,キャリア教育・職業教育の充実に取り組みます。

(2) 困難を有する子ども・若者やその家族を支援する取組

様々な困難を有するが故に特別な支援が必要な子ども・若者がいます。その困難は,ニート,ひきこもり,不登校等社会生活を円滑に営む上での困難や,障害,虐待を始めとする犯罪被害,定住外国人であることなど多岐にわたっていることから,それぞれに必要な支援を行っていきます。非行や犯罪に陥った子ども・若者については,その抱える困難に配慮し,社会の一員として立ち直ることができるよう支援します。子ども・若者本人だけでなく,家族に対する支援も行います。また,「子どもの貧困」問題についても積極的に取り組みます。

(3) 地域における多様な担い手の育成

子ども・若者育成支援は,社会のあらゆる分野におけるすべての構成員がそれぞれの役割を果たすとともに,相互に協力しながら一体的に取り組むことが必要です。特に,地域におけるつながりの弱体化が指摘されていることから,「新しい公共」の考え方も踏まえつつ,家族や地域の機能を補完する多様な活動を支援します。また,官民の取組が行政分野ごとの縦割りとならないようネットワークの総合性を確保するとともに,子ども・若者自身のネットワークの強化も図ります。

さらに,民間人の参加協力も含めた地域での教育支援体制の強化により,「開かれた」学校づくりを含めた取組を推進するとともに,一部地方公共団体で「子どもオンブズパーソン」等の名称で設けられている,子ども・若者に関する権利侵害などさまざまな問題を第三者的立場から調整しつつ解決していく仕組みの普及を図ります。

第3 子ども・若者等に対する施策の基本的方向

5つの理念と3つの重点課題を踏まえ,次の施策を進めます。

1 すべての子ども・若者の健やかな成長を支援する

(1) 子ども・若者の自己形成支援

<1> 日常生活能力の習得

(基本的な生活習慣の形成)

生活習慣の形成に向けた取組を学校内外において進めます。また,食に関する学習や体験活動の充実等を通じて,家庭・学校・地域等が連携した食育の取組を推進します。

(コミュニケーション能力や規範意識等の育成)

コミュニケーション能力や規範意識等を育てるため,発表・討論などの学習や道徳教育の充実,自然体験,集団宿泊体験等の体験活動の充実,非行防止教室の取組等を推進します。

(体力の向上)

体育の授業や運動部活動の充実を図るとともに,学校や地域における体力の向上のための取組を推進します。

<2> 多様な活動機会の提供

(集団遊びの機会の確保)

集団遊びの場の確保や,地域住民の参画を得て,学習活動やスポーツ・文化芸術活動,レクリエーション等の機会を提供する取組を推進します。

(読書活動の推進)

国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるため,子どもの読書活動を推進します。

(地域等での多様な活動)

様々な場における,環境学習,自然体験,集団宿泊体験,奉仕体験,スポーツ活動,芸術・伝統文化体験,ダンス等の創作的活動といった様々な体験活動や,異世代間・地域間交流等の多様な活動の機会の提供を推進します。

また,農山漁村に滞在し農林漁業体験等を行う活動を推進するとともに,家族ぐるみの交流や子ども団体,修学旅行受入等を進めます。

(生涯学習への対応)

多様な学習ニーズに対応する「生涯学習社会」を実現するため,学習機会を充実する取組や,学習した成果が適切に評価されるための仕組みをつくる取組等を推進します。

また,特に女性は安定した雇用が得にくく,厳しい状況に置かれていることから,女性の生涯にわたる学習機会の充実を図ります。

(多様な価値観に触れる機会の確保等)

インターネットを利用した調べ学習や,国際交流などを通して,普段の生活の場を超えた多様な価値観に触れるとともに,情報機器を用いて世界の人々と継続的なコミュニケーションがとれるようになるための支援を充実させます。

<3> 学力の向上

(知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立)

基礎的・基本的な知識・技能の習得,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等の育成,学習意欲の向上や学習習慣の確立,に向けて各学校が行う取組を進められるよう必要な支援を行います。

(基礎学力の保障等)

小中学校段階において,基礎学力を保障するため,特に学力不十分な子どもへの個別サポートの充実等の取組を推進します。

既存の学校教育の枠組みになじめない子どもに対しては,小中学校段階における学力を身に付ける機会の提供を一層推進します。

(高校教育の質の保証)

希望するすべての子どもが高校を卒業できるよう,多様化する生徒の実情を踏まえつつ,学習面や生活面での支援を行い,教育の質の保証を図ります。

また,小中学校段階において十分な基礎学力を身に付けられなかった子どもの学び直しを推進します。

(学校教育の情報化の推進)

情報通信技術を活用して,子ども同士が教え合い学び合うなど,双方向でわかりやすい授業の実現,教職員の負担の軽減,児童生徒の情報活用能力の向上が図られるよう,21世紀にふさわしい学校教育を実現できる環境を整えます。

<4> 大学教育等の充実

(教育内容の充実)

大学・専修学校等において教育内容・方法の改善を進めるとともに,質の高い教育の展開を支援します。また,情報社会の基礎理念や,情報の高度な利活用の在り方を学ぶ機会の増大を推進します。さらに,生涯学習機会の充実を図るため,大学・専修学校等において,社会人を始めとする幅広い学習者の要請に対応するための取組を促します。

<5> 経済的支援

(経済的支援の充実)

次代を担う一人一人の子どもの育ちを個人や家庭だけの問題とするのではなく,社会全体で応援するという観点から,子ども手当を実施します。

また,すべての意志ある子ども・若者が経済的理由により希望する教育を断念することがないよう,初等中等教育においては,高校の実質無償化の定着等を図るとともに,引き続き,市町村が実施する就学援助の促進等を図ります。また,教育に係る経済的負担の一層の軽減を図るため,必要な支援措置に取り組みます。

特に学習者の負担が大きい高等教育については,奨学金の充実とともに,実質的な給付型の経済的支援として,大学等が行う授業料減免措置の支援等に取り組みます。

(2) 子ども・若者の社会形成・社会参加支援

<1> 社会形成への参画支援

(社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)の推進)

社会の一員として自立し,権利と義務の行使により,社会に積極的に関わろうとする態度等を身に付けるため,社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)を推進します。

具体的には,民主政治や政治参加,法律や経済の仕組み,労働者の権利や義務,消費に関する問題など,政治的教養を豊かにし勤労観・職業観を形成する教育に取り組みます。

(子ども・若者の意見表明機会の確保)

政策形成過程への参画促進のため,各種審議会や懇談会等における委員の公募制の活用,インターネット等を活用した意見の公募等により,子ども・若者の意見表明機会の確保を図ります。

子ども・若者育成支援施策や世代間合意が不可欠である分野の施策については,子ども・若者の意見も積極的かつ適切に反映されるよう,各種審議会,懇談会等の委員構成に配慮します。

<2> 社会参加の促進

(ボランティアなど社会参加活動の推進)

ボランティア活動を通じて市民性・社会性を獲得し,地域社会へ参画することを支援します。

(国際交流活動)

若者の国際理解や国際的視野の醸成,日本人としてのアイデンティティの確立を図るため,国内外の青少年の招へい・派遣等を通じた国際交流や異文化体験の機会の提供を行います。

(3) 子ども・若者の健康と安心の確保

<1> 健康の確保・増進

(安心で安全な妊娠・出産の確保,小児医療の充実等)

「子ども・子育てビジョン」に基づき,安心で安全な妊娠・出産の確保や小児医療の充実等のための施策を推進します。

(思春期特有の課題への対応)

未成年者の喫煙及び飲酒をなくし,人工妊娠中絶の実施率や性感染症罹患率及び女性の思春期やせ症の発生頻度を減少させることを目標として,各種の取組を推進します。

(健康教育の推進)

心の健康に関する知識,薬物乱用に関する知識,発達段階に応じた性に関する知識について,専門家の協力も得ながら学校における健康教育の充実と推進を図ります。

<2> 相談体制の充実

(学校における相談体制の充実)

スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用など相談体制の整備を支援します。

(地域における相談,医療機関での対応)

地域において,子どもの発育・発達や心の健康問題,薬物乱用,性,感染症等に関する相談の充実や,医療機関による対応の充実を図ります。

(4) 若者の職業的自立,就労等支援

<1> 就業能力・意欲の習得

(勤労観・職業観と職業的自立に必要な能力の形成)

子ども・若者が勤労観や職業観を養い,職業的自立に必要な能力を身に付けるとともに,男女共に経済的に自立していくことの重要性について学ぶため,企業等と連携・協力しつつ,各学校段階を通じキャリア教育及び職業教育を体系的に充実します。その際,職業体験・インターンシップ等の体験的な学習活動を効果的に活用します。

(能力開発)

職業に必要な知識・技能を習得させることにより若者の就職を支援するため,公共職業訓練や緊急人材育成支援事業により職業訓練を実施します。

また,きめ細かなキャリア・コンサルティングや企業実習と座学を組み合わせた実践的な職業訓練の機会を提供することにより正社員へと導くジョブ・カード制度を推進します。

若者が職業人として働く上で,必要な職業技術を身に付けることができるよう,大学・専修学校等における産業界等との連携による人材養成の取組を推進します。

<2> 就労等支援の充実

(高校生等に対する就職支援)

公共職業安定所に「高卒就職ジョブサポーター」を配置し,学校との連携の下,円滑,的確な就職を支援します。

(大学生等に対する就職支援等)

大学生等に対して,適職選択のための各種セミナーの開催,「大卒就職ジョブサポーター」等による情報提供,学生一人一人に応じたきめ細かな職業相談,職業紹介等の支援を実施します。

(職業的自立に向けての支援)

公共職業安定所において,フリーター等を中心に,一人一人の課題に応じて,職業相談・職業紹介から職業定着に至るまでの一貫した支援を行います。また,若者を一定期間試行雇用し,その後常用雇用への移行を図るトライアル雇用制度の積極的な活用を図ります。

(起業支援)

30歳未満で新規開業5年以内の若年起業家に対して,設備投資や運転資金の低利融資を実施するなど,若者の起業を支援します。

2 困難を有する子ども・若者やその家族を支援する

(1) 困難な状況ごとの取組

<1> ニート,ひきこもり,不登校の子ども・若者への支援等

(社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者を地域において支援するための取組)

修学及び就業のいずれもしていないなど社会生活を円滑に営む上での困難を有する子ども・若者に対し,教育,福祉,保健,医療,矯正,更生保護,雇用など様々な機関がネットワークを形成し,それぞれの専門性を生かした発達段階に応じた支援を行っていくことが必要です。また,社会生活を円滑に営むことができるようにするために,関係機関の施設はもとより,子ども・若者の住居その他の適切な場所において,必要な相談,助言又は指導を行うことも必要です。

このため,子ども・若者支援地域協議会の設置の促進や,訪問支援(アウトリーチ)等の支援に携わる人材の養成を図る研修を実施していきます。

また,社会性等をはぐくむため,体験活動に継続的に取り組む機会を提供します。

さらに,支援策の検討・提供に当たっては,無業女性が「家事手伝い」として支援の必要性の把握に当たって潜在化しやすいこと,支援等機関が女性に十分活用されていないことに配慮します。

(ニート等の若者への支援)

ニート等の若者に対して,各人の置かれた状況に応じた専門的な相談,地域の若者支援機関のネットワークを活用した誘導等,多様な就労支援メニューを提供する「地域若者サポートステーション」事業により,ニート等の若者の職業的自立支援を推進します。

(ひきこもりへの支援)

精神保健福祉センター,保健所,市町村保健センター,児童相談所等において相談・支援を行います。また,「ひきこもり地域支援センター」等ひきこもりの一次的な相談窓口を各都道府県・指定都市に整備します。

(不登校の子ども・若者への支援)

未然防止,早期発見・早期対応につながる効果的な取組や,関係機関等と連携した取組を促進するとともに,学校内外における相談体制の整備を進めます。

(心の問題への対応)

専門機関等における相談の充実,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用など学校における相談体制の整備を支援するとともに,地域人材を活用した家庭教育支援を推進します。

(高校中途退学者への支援)

効果的な支援を検討するため,学校等との連携協力の下,退学後の状況等に関する実態の把握に努めます。

<2> 障害のある子ども・若者の支援

(障害のある子ども・若者の支援)

障がい者制度改革推進本部の方針を踏まえて,障害のある子ども・若者の支援を含む障害者制度の改革を推進します。

また,障害のある子ども・若者の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育を推進するとともに,その推進の在り方について,インクルーシブ教育システムの構築という障害者権利条約の理念を踏まえた検討を行います。

さらに,障害のある子ども・若者が,身近な地域で安心して生活できるよう在宅サービスや放課後支援の充実を図るなど,障害の特性に配慮した適切な支援が提供されるよう取組を推進します。

(発達障害のある子ども・若者の支援)

医療,保健,福祉,教育関係機関等の連携が重要であることから,「発達障害者支援センター」を核とした地域支援体制の強化を推進します。

健康診査等を通じた早期発見に努めるほか,保健指導手引書の普及等により適切な相談・指導の実施を推進します。

発達が気になる段階からの支援や,学校,相談支援事業所等において,発達の段階に応じた適切な指導等を行うとともに,「発達障害教育情報センター」,「発達障害情報センター」等において,発達障害についての正しい理解の啓発や情報提供等の充実を図ります。

(障害者に対する就労支援等)

障害者雇用率を柱とした障害者雇用の一層の促進を図るとともに,ハローワークを中心に,福祉・教育機関と連携した「障害者就労支援チーム」による支援を行うこと等により,就職の準備段階から職場定着までの一貫した支援を展開します。併せて,様々な障害の態様やニーズを踏まえた職業訓練機会を確保します。

学校において,産業界や労働関係機関との連携の下,就業体験の機会を積極的に設けるなどして職業教育の充実を図ります。

また,授産施設等で働く障害のある人の工賃水準の引上げ等に取り組むとともに,企業等で働く機会を増やすため福祉的就労から一般雇用への移行促進を図ります。

<3> 非行・犯罪に陥った子ども・若者の支援等

(総合的取組)

「更生保護活動サポートセンター」や「サポートチーム」の活用等により,非行防止と立ち直りのために,少年やその家族等の支援を推進します。また,「学校問題解決支援チーム」や「学校・警察連絡協議会」などの活用,スクールサポーター制度の拡充等により,学校や警察等の地域の関係機関等の連携を図ります。

(非行防止,相談活動等)

少年非行等の未然防止,早期発見・早期対応につながる効果的な取組,地域の人々と連携した多様な活動の機会の提供や居場所づくりのための取組等を推進します。

また,様々な悩みを持つ少年やその家族等に対し適切な助言,支援等を行うため,学校や青少年センター等における相談体制の整備等に努めるとともに,地域や学校,関係機関等の連携による取組を推進します。

街頭補導活動に取り組むとともに,事件の捜査・調査については,少年の特性やその立ち直りに配意した迅速・的確な対応を推進します。

暴走族を始めとする非行集団については,取締りの徹底とグループの解体,少年の加入阻止や構成員の離脱を支援するなど,総合的な対策を推進します。

(薬物乱用防止)

子ども・若者による薬物乱用の防止対策については,学校等における薬物乱用防止教室の開催や大学入学時等のガイダンス活用による啓発の強化など,薬物乱用防止に資する教育,広報啓発活動の一層の強化を図ります。

また,刑事施設・少年院・保護観察所において,薬物事犯者に対し,薬物依存からの離脱指導を始めとする再乱用防止のための処遇内容及び方法の充実強化を図ります。加えて,相談窓口の周知や関係機関間の連携強化,地域における薬物等依存症対策の推進など,子ども・若者を含めた薬物依存者及びその家族への支援の充実に努め,再乱用防止のための取組を推進します。

(被害者への配慮)

被害者等の求めに応じて,加害少年のプライバシー,健やかな成長への影響や事件の性質等を考慮しつつ,適切な情報提供に努めます。

また,加害少年に対するしょく罪指導等を実施し,被害者の視点を取り入れた教育を充実させます。

(少年鑑別所等)

少年鑑別所においては,少年の資質面,環境面等の問題を調査するとともに,その少年が非行に陥った原因等を明らかにすることで,再非行,再犯を防ぐために必要な処遇を実施できるよう,家庭裁判所とも連携を図りながら,鑑別及び観護を充実,強化します。

さらに,少年鑑別所に収容された少年に対する法的援助の在り方については,平成20年に改正された少年法の施行状況を踏まえ,検討します。

(少年院・児童自立支援施設等)

少年院や少年刑務所における矯正教育や改善指導等,児童自立支援施設における自立支援のための指導等を充実させ,自他の尊厳と価値を知り,規範を順守する態度を養うことができるよう,個々の年齢や能力に応じた指導助言及び教育を行う体制を充実させ,そのための専門職員の研修,養成に努めます。

(更生保護,自立・立ち直り支援)

保護観察中の少年が介護・奉仕活動等を行う社会参加活動やしょく罪指導等を実施するなどして処遇の充実を図ります。

また,保護司等民間ボランティア団体の活動を推進します。

(非行少年に対する就労支援等)

少年院・少年刑務所において,就労に対する心構えを身に付けさせ,就労意欲を喚起する指導等を充実するとともに,社会復帰に資する職業技能の習得や高等学校卒業程度認定試験の受験を奨励します。

また,出院及び出所予定者,保護観察に付された少年等を対象として,刑務所出所者等就労支援事業を推進します。

(いじめ・暴力対策)

問題行動を起こす児童生徒への指導や事件を起こした少年に対する適切な処遇を推進し,再発防止を図るとともに,未然防止,早期発見・早期対応につながる効果的な取組等を促進します。

<4> 子どもの貧困問題への対応

(経済的困難を抱える家庭への支援)

次代を担う一人一人の子どもの育ちを個人や家庭だけの問題とするのではなく,社会全体で応援するという観点から,子ども手当を実施します。

また,すべての意志ある子ども・若者が経済的理由により希望する教育を断念することがないよう,初等中等教育においては,高校の実質無償化の定着等を図るとともに,引き続き,市町村が実施する就学援助の促進等を図ります。また,教育に係る経済的負担の一層の軽減を図るため,必要な支援措置に取り組みます。

特に学習者の負担が大きい高等教育については,奨学金の充実とともに,実質的な給付型の経済的支援として,大学等が行う授業料減免措置の支援等に取り組みます。

また,生活保護受給者に対し,就労による経済的自立を支援するとともに,受給者の子どもに対し学習支援等を行います。

(ひとり親家庭への支援)

子育てと就業の両立のため,保育所の優先入所や家庭生活支援員の派遣等による子育てや家事支援などを推進します。

また,母子家庭の母に対する一貫した就業支援サービス等の提供,自立支援プログラムの策定,知識技能の習得に係る給付金の支給等各種就業支援策を推進します。

さらに,母子福祉資金の貸付け,公的年金制度による遺族年金の支給を行うとともに,児童扶養手当については,父子家庭にも支給します。また,生活保護の母子加算を引き続き支給します。

(世代を超えた貧困の連鎖の防止)

貧困が世代を超えて継承されることがないよう,自立の前提となる子どもの学びを支援します。学校,保育所等の公的施設を活用して,子ども一人一人に対して教育や福祉関係者,地域のボランティアなどが連携し,生活面での支援,学習面での支援,家庭への支援などを行う取組について検討します。

(状況把握)

子どもの貧困率について,継続的に調査を行い,その状況を把握するなど,必要な対応を進めます。

<5> 困難を有する子ども・若者の居場所づくり

(非行少年の立ち直り支援)

更生保護施設や自立援助ホームの充実等を図るとともに,関係機関,学校,民間協力者,地域の人々等が連携して行う居場所づくりを始めとした多様な立ち直り支援を推進します。

(要保護児童の居場所づくり)

児童養護施設等において,小規模グループケア及び地域小規模児童養護施設の設置を推進し,要保護児童の成長に寄り添うケアを充実します。

(グループホーム等の居場所づくり)

児童養護施設等を出た後に修学・就労を目指す子ども・若者が生活のできるグループホーム等の居場所づくりを支援します。また,虐待等により保護が必要な子どもについては,一時保護が適切に行われるよう対応します。

<6> 外国人等特に配慮が必要な子ども・若者の支援

(外国人の子どもの教育の充実等)

公立学校における日本語指導体制を整備するとともに,バイリンガルの人材の配置等の適応支援を行います。

また,外国人の日本語能力等に配慮した弾力的なカリキュラムの編成など制度面についての検討や,学齢を超過した者も含め,入学・編入学させたり,その際に下学年に受け入れたりするなど,小学校又は中学校に入りやすい環境の整備を促進するとともに,定住外国人の子どもに対して,公立学校等への円滑な転入を目指した就学支援を行います。

さらに,進路指導の充実を図ります。

(定住外国人の若者の就職の促進等)

日系人を始めとする定住外国人の若者の就職を促進するため,就職支援ガイダンス,職業意識啓発指導,職業指導等,個別の就職支援を行うほか,職業訓練を実施します。

(性同一性障害者等)

性同一性障害者や性的指向を理由として困難な状況に置かれている者等特に配慮が必要な子ども・若者に対する偏見・差別をなくし,理解を深めるための啓発活動を実施します。

(十代の親への支援)

十代で親になる者に対し,妊娠に伴う学業の継続支援や,出産や子育ての知識や経験の不足に対する相談,支援の整備を進めます。

(嫡出でない子)

嫡出でない子と嫡出である子の相続分を同等化する民法改正を引き続き検討します。

(2) 子ども・若者の被害防止・保護

(児童虐待防止対策)

児童虐待の発生予防のため,地域における子育て支援を充実するとともに,子育てに関する親等への情報や学習機会の提供,相談体制の充実を始めとするきめ細かな家庭への支援が実施されるよう促します。

相談,通報等を通じて,児童虐待の早期発見と早期対応に努めるとともに,関係機関等と連携した取組の促進,市町村における子どもを守る地域ネットワーク(要保護児童対策地域協議会)の設置促進,機能強化を図ります。また,相談,支援を行う児童福祉司等の確保などにより,児童相談所の体制強化を図ります。

さらに,児童虐待の防止等を図り,児童の権利利益を擁護する観点から,親権制限等の具体的在り方について検討を進めます。

(社会的養護の充実)

社会的養護を必要とする子どもの増加や多様化に対応するため,里親や小規模住居型児童養育事業(ファミリーホーム)の拡充などの家庭的養護の促進や,施設機能の見直しなど,社会的養護の充実を図ります。

(子ども・若者の福祉を害する犯罪対策)

児童買春,児童ポルノに係る犯罪等の被害者となることを防ぐため,社会全体に対して,広報啓発を行うとともに,厳正な捜査及び適切な処理を行います。

特に,児童ポルノ排除対策については,児童ポルノ事件の検挙件数や被害児童数の増加,国際社会からの要請等にかんがみ,関係省庁が連携して,児童ポルノの排除に向けた国民運動の推進,インターネット上の児童ポルノ画像等の流通・閲覧防止対策,被害児童の早期発見及び支援活動の推進等,総合的な対策を実施します。

(犯罪被害に遭った子ども・若者とその家族等への対応)

被害を受けた子ども・若者の治療や精神的負担の軽減を図り,立ち直りを支援するため,専門職員等による継続的な支援活動を推進するとともに,関係機関等が連携して行う相談,訪問活動や環境調整等支援します。

(いじめ被害,自殺対策)

学校において,未然防止,早期発見・早期対応につながる効果的な取組や関係機関等と連携した取組等を促進するとともに,相談体制の整備を支援します。

日本が先進7か国で唯一,15歳から34歳までの若者の死因のトップが自殺となっている深刻な状況にかんがみ,自殺予防週間・自殺対策強化月間での啓発事業や,地域における心の健康づくりや相談体制の充実等を推進するとともに,「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」の報告を踏まえ,ゲートキーパー機能やアウトリーチ(訪問支援)の充実,精神保健医療改革の推進等を行い,自殺を防ぐ体制の充実を図ります。

(被害防止のための教育)

犯罪被害,交通事故及び自然災害等の危険から自分や他者の身を守る能力を養うため,安全教育を推進します。

メディアリテラシーを身につけ,情報モラルを養うことを通じ,被害者にも加害者にもならないための取組を推進します。

労働法等労働者の権利に関する知識を身に付けるための教育や啓発活動を推進します。

消費者トラブルに巻き込まれることを防止するとともに,自主的かつ合理的に行動することを支援するため,消費者教育の充実を図ります。

女性に対する暴力の加害者にも被害者にもならないための予防啓発の充実を図ります。

3 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境を整備する

(1) 環境整備

<1> 家庭,学校及び地域の相互の関係の再構築

i 保護者等への支援を行う「家庭を開く」取組

(家庭教育支援)

家庭教育に関する人材の養成,学習機会や情報の提供,相談体制の充実等の地域の取組を支援します。このような取組に当たっては,地域人材や民生委員・児童委員,学校,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等との連携を推進します。また,家庭の教育力向上に向けた各地域の取組の活性化や家庭教育の大切さについての国民の更なる理解を促進します。

(養育の多様化への支援)

養親子などの養育の多様化に配慮した支援の充実を検討します。

ii 外部の力も活用した「開かれた学校」づくり

(家庭・地域と一体となった学校の活性化)

「学校支援地域本部」等地域住民のボランティア活動等による積極的な学校支援の取組を促進します。

保護者や地域住民が学校運営に参画し,学校づくりを進めるコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の設置促進に取り組みます。

(教育・相談の体制や機能の充実)

教員の資質能力の総合的な向上方策の検討を行い,養成,採用,研修の各段階を通じた体系的な施策を充実させ,使命感,得意分野,個性を持ち,現場の課題に適切に対応できる力量のある教員を確保します。

スクールカウンセラーの配置や,スクールソーシャルワーカーの活用など,学校における相談体制の整備,充実を図ります。

iii 放課後の居場所やさまざまな活動の場づくり

(放課後子どもプランの推進)

放課後子どもプラン(放課後児童クラブ・放課後子ども教室)などの取組について,総合的な放課後児童対策を推進します。

特に,就労希望者の潜在的なニーズに対応し,放課後児童クラブを利用したい人が必要なサービスを受けられるよう,受入児童数の拡充を図ります。

(中高生の放課後の居場所づくり)

中学生や高校生が,放課後,安全に楽しく過ごせる居場所をつくります。集まった中高生が地域コミュニティに参加することを支援します。

(体験・交流活動等の場づくり)

子ども・若者が,自然体験や集団宿泊体験等の体験活動を行える青少年教育施設,都市公園等の整備や地域密着型スポーツクラブの育成・充実を推進するとともに,自然公園,河川や海岸などの水辺空間,森林を保全・整備します。

(図書館等の充実)

図書館や公民館が住民にとってより身近で利用しやすい施設となるよう,環境整備を推進します。学校においては,子どもが読書に親しむ機会を充実させるため,学校図書館の充実を図るとともに,司書教諭の配置を促進します。

iv 子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり)

学校や通学路の安全点検を実施するとともに,防犯灯・防犯カメラの整備や見通しのよい植栽の確保等の安全に配慮したまちづくりを推進します。

(安心して外出や外遊びができる環境の整備)

誰もが安心して快適に外出できるよう,道路,路外駐車場,公園,官庁施設,公共交通機関等のバリアフリー化を推進し,また,公園遊具の安全点検等を通じ,子どもが安全に遊べる環境を整備します。

<2> 多様な主体による取組の推進

i 相談体制の充実

(子ども・若者総合相談センター)

子ども・若者育成支援に関する相談に応じ,関係機関の紹介その他の必要な情報の提供及び助言を行う拠点(子ども・若者総合相談センター)としての機能を担う体制が確保されるよう,研修の充実や優良事例の紹介等の支援を行います。

(オンブズパーソン等子どもの相談体制)

オンブズパーソン等の第三者的立場から,子ども・若者やその家族等の相談を受け,必要な調査を行うとともに,関係機関等と調整を行いながら問題を解決する仕組みの普及を図ります。

ii 民間団体等の取組の推進

(国民運動等の取組の推進)

地方公共団体,学識経験者,民間の関係者等と連携・協力して,子ども・若者の育成支援に取り組むことができるよう国民運動として気運の醸成等に努めます。

そのため,多様な主体による取組(別紙)を支援するとともに,各界各層との情報及び意見の交換並びにその他の必要な連携を図るための機会を設けます。

(「新しい公共」による子ども・若者を支える活動等の支援)

「新しい公共」円卓会議における提案を踏まえ,寄附を行った際の所得税の税額控除制度の導入,認定NPO 法人の認定基準の見直し,地方公共団体において寄附金税額控除の対象とするNPO 法人を指定できる仕組みの導入等の税制の整備や,社会的活動を担う人材の育成等を行うとともに,地域における子ども・若者を支える活動やそのネットワークづくりを支援します。

<3> 関係機関の機能強化,地域における多様な担い手の育成

i 専門職の養成・確保

(医療・保健関係専門職)

小児科医師及び産科医師の確保対策を推進するとともに,保健師,助産師を含む看護職員の人材確保対策を総合的に行います。

(児童福祉に関する専門職)

保育士,児童福祉司など児童福祉施設や児童相談所の職員について,必要な体制の確保に努めるとともに,研修を充実させ,専門性の向上を図ります。

(思春期の心理関係専門職)

医師,保健師,看護師,精神保健福祉士,臨床心理技術者等を対象に,児童思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修等を行います。

矯正施設の心理関係専門職に対して,各種研修を充実させ,専門性の向上を図ります。

(少年補導や非行少年の処遇に関する専門職)

少年補導職員の適正な職員数の確保に努め,資質向上と少年相談等の専門家の育成を図るとともに,法務教官及び保護観察官の指導力の向上を図ります。

ii 地域における多様な担い手の育成

(青少年リーダー等の育成)

青少年関係団体等において,社会の中核を担う青少年リーダーを育成するために行われている活動を支援します。また,体験活動指導者や自然解説指導者の養成・研修を推進します。

(民間協力者の確保)

保護司,人権擁護委員,児童委員,少年警察ボランティア,母子保健推進員等の民間協力者について,幅広い世代・分野からの人材の確保を図るとともに,研修を充実させます。

また,ニートや非行に陥った少年,障害者等の就労について,企業や個人事業主等の協力者の確保に取り組みます。

(同世代又は年齢の近い世代による相談・支援)

同世代又は年齢が近い世代の学生ボランティアの導入を推進し,相談・支援を充実させます。また,価値観を共有する仲間による相談活動(ピア・カウンセリング)を普及します。さらに,非行など問題を抱えた少年の自立を支援する青年ボランティアの活動を促進するために必要な協力を行います。

(子ども・若者自身のネットワーク)

子ども・若者に対する支援を同世代の子ども・若者が行う等,子ども・若者自身のネットワークの形成や強化のため,情報提供等の支援を行います。

<4> 子育て支援等の充実

(子どもと子育てを応援する社会の実現に向けた取組)

「子ども・子育てビジョン」に基づき,子ども手当の創設等による子育て家庭等への支援,待機児童の解消に向けた保育や放課後対策の充実を含めた保育サービス等の基盤整備,地域における子育て支援等の施策を推進します。

また,幼保一体化を含む新たな次世代育成支援のための包括的・一元的なシステムの構築についての検討を行います。

<5> 子ども・若者を取り巻く有害環境等への対応

(青少年インターネット環境整備法の的確な施行等)

いわゆる「青少年インターネット環境整備法」1に基づき,青少年のインターネットの適切な利用に関する教育及び啓発活動,フィルタリングの性能向上及び利用普及,民間団体等の取組の支援等の関連施策を推進します。また,インターネット上の違法情報・有害情報の把握に努め,これらの情報に起因した悪質な違法行為について積極的に取締りを進めるとともに,プロバイダ,サイト管理者等に対し,削除等の依頼を積極的に行います。さらに,インターネットで閲覧・視聴可能なものに限らず,青少年に有害な情報に対する自主規制等の取組の促進を図ります。また,ゲーム等の利用に係る親子のルールづくり等家庭における取組を支援します。

出会い系サイトの利用に起因する児童被害を防止するため,いわゆる「出会い系サイト規制法」2を効果的に運用し,悪質なサイト事業者に対する取締りを推進します。

1 青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)

2 インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(平成15年法律第83号)

(携帯電話等をめぐる問題への取組)

携帯電話の利用実態の把握,学校における携帯電話の取扱いに関する方針の明確化,社会全体で見守る体制づくりを推進します。

(性風俗関連特殊営業の取締り等)

性風俗関連特殊営業等に関し,関連法令に違反する行為に対する積極的な取締りを行います。

(酒類,たばこの未成年者に対する販売等の禁止)

酒類やたばこの販売時における年齢確認等の強化・徹底を要請する等,関係業界への働き掛けを行います。法令違反については,所要の捜査及び適正な処分を行います。

(2) 大人社会の在り方の見直し

(雇用・労働の在り方の見直し)

意欲と能力に応じ,非正規雇用から正規雇用へ移行できるようにするとともに,就業形態にかかわらず,公正な処遇や能力開発の機会が確保されるようにするなど,非正規雇用対策を推進します。

併せて,家族との充実した時間を持つことができるよう,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」の実現に向け,国民運動を通じた気運の醸成,制度的枠組みの構築や環境整備などの促進・支援策に積極的に取り組むとともに,ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現を図るための取組を進めます。

(乳幼児と触れ合う活動の推進)

中学生,高校生が,親と同じような立場に立って実際に乳幼児と触れ合い,遊び,さらに進んで世話をするといった体験活動を推進します。

(虐待を行った保護者に対する対応等)

家族再統合や家族の養育機能の強化を図るための支援を充実し,在宅支援を強化します。

また,虐待を行った保護者に対する指導法の研究等を進めます。

(少年院在院者の保護者等に対する指導・助言等)

少年院在院者の保護者に対する実効性のある指導・助言を行うなど,適切な措置の充実・強化を図ります。

保護観察に付されている少年の保護者に対して,引受人会を実施するほか,少年の監護に関する責任を自覚させ,監護能力が向上するよう働き掛けを行います。

(家族や地域の大切さ等についての理解促進)

「家族の日」や「家族の週間」における啓発,地域や企業の取組等の表彰を通じて,家族や地域の大切さ等についての理解を促進します。

第4 今後の施策の推進体制等

(1) 子ども・若者に関する実態等の把握,知見の集積と共有

(調査研究)

子ども・若者育成支援施策の企画・立案,実施に際し客観的で幅広い情報の十分な活用等に資するため,心身の状況,成育環境,非行,社会的自立の状況等に関する子ども・若者やその保護者の実態・意識等について調査研究を推進します。

その際,男女別に実態把握を進めるとともに,子ども・若者の育成支援や課題の解決には幅広い分野の関わりが必要なことを踏まえ,行政分野横断的・学際的・国際的な調査研究の充実を図ります。

(調査データ等の共有・活用のための環境整備)

調査研究等により得られた調査データや知見が積極的に活用されるよう,調査データ等の一元管理の仕組の整備を推進するとともに,統計データの二次利用の適切な運用を図ります。

(2) 広報啓発等

(広報啓発・情報提供等)

子育て支援,体力の向上,子ども・若者の人権尊重,自殺予防,防犯,非行防止・更生その他困難を有する子ども・若者の支援など子ども・若者の育成支援に関する国民の理解・協力を促進するため,強調月間の設定や民間主体との連携・協力等により広報啓発や情報提供を実施します。

また,「児童の権利に関する条約」の趣旨にのっとった取組がなされるよう,条約の内容について普及を図ります。

さらに,各種の情報が子ども・若者に届きやすく,かつ,分かりやすいものとなるよう,子ども・若者向けの情報提供を実施します。

上記のほか,子ども・若者育成支援施策に係る情報を適時適切に公開します。

(3) 国際的な連携・協力

(国際機関等における取組への協力)

国連等の国際機関における子どもについての条約や行動計画等の取組に積極的に参画するとともに,その内容の周知に努め,相互交流等の国際協力を推進します。

(情報の収集・発信)

諸外国の子ども・若者育成支援施策の現状等に関する情報の収集,提供等に努めるとともに,我が国の国内施策について,諸外国に向けた情報発信を行います。

(4) 施策の推進等

(国の関係機関等の連携・協働の促進)

本ビジョンに基づく施策を総合的かつ効果的に推進するため,子ども・若者育成支援推進本部を中心として,内閣総理大臣のリーダーシップの下に関係行政機関相互間の緊密な連携・協力を図るとともに,施策相互間の十分な調整を図ります。

また,地方公共団体との間でも,緊密な連携・協力を図ります。

(地域における取組の推進)

地域において,地方公共団体,民間,学識経験者,その他の関係者による子ども・若者育成支援に関する様々な仕組みづくりを進めることとし,先進事例の情報提供等により全国的な取組内容の向上を図ります。

(関係施策の実施状況の点検・評価)

本ビジョンに基づく子ども・若者育成支援施策の実施状況について点検・評価を実施するため,子ども・若者育成支援推進本部の下で,有識者や子ども・若者の意見を聴きながら点検・評価を行う仕組みを設けます。

(子ども・若者の意見聴取等)

子ども・若者自身も含めた国民の意見聴取を適切に行い,子ども・若者育成支援施策の企画・立案,実施に当たって,その反映に努めます。

地方公共団体においても,子ども・若者の意見聴取の取組が進められるよう,事例の紹介を行います。

(ビジョンの見直し)

本ビジョンについては,おおむね5年を目途に見直しを行います。

(別紙)

子ども・若者の育成支援に関係する地域における取組や国民運動の例

(子ども・若者の自己形成支援,社会形成・社会参加に関するもの)

・環境学習,自然体験,集団宿泊体験,スポーツ活動,芸術・伝統文化体験,ダンス等の創作的活動等の様々な体験活動

・異世代間交流や地域間交流活動,国際交流活動等・命の尊さや思いやりの心を育てるための「人権の花運動」の取組

・食育推進運動(バランスのよい食事,食前食後のあいさつ習慣や地産地消の推進など)

・「早寝早起き朝ごはん」国民運動

・読書の推進に関する取組(読み聞かせ運動など)

・ボランティア活動
(福祉活動,伝統文化の継承,行事への参加等を通じた地域コミュニティの活性化など)

(子ども・若者の健康と安心や子育てに関するもの)

・保健センター,保健所と連携した育児困難な母親たちのグループケア

・親子サークル,父親育児教室,父親料理教室等(子育て家族の情報交換の推進や子育ての孤立化防止など)

・地域において親子で参加する交流行事等

・子どもの居場所づくりや一時預かり(商店街の空き店舗の利用など)

・小学生を対象とした「心の健康づくり教室」

・薬物乱用防止に関する取組

・「ダメ。ゼッタイ。」普及運動

・「健やか親子21」国民運動

(子ども・若者の職業的自立・就労等支援に関するもの)

・キャリア教育の充実に向けた取組(学校,地元産業界,保護者等が連携した地域における職場体験やインターンシップなど)

(困難を有する子ども・若者等への支援に関するもの)

・ニート等の若者に対する職業的自立支援活動

・ひきこもり等の若者に対する相談・自立支援活動

・不登校の子どもに対する相談活動

・障害のある子ども・若者の自立や社会参加に向けた支援活動

・非行少年やその家族に対する相談活動

・非行防止や立ち直り支援活動(街頭パトロール,清掃作業等のボランティア活動など)

・薬物依存者やその家族に対する立ち直り支援活動(ピア・カウンセリングなど)

・定住外国人の子どもの公立学校等への円滑な転入を目指すための日本語指導や学習習慣の確保等の支援活動

・定住外国人の若者に対する就職支援活動

(子ども・若者の被害防止・保護に関するもの)

・子ども虐待防止オレンジリボン運動

・児童虐待の未然防止,早期発見等のための相談活動

・児童ポルノの排除に向けた国民運動

・子どもを犯罪被害から守るための運動(地域における子ども見守り活動など)

・交通遺児,自死遺児,犯罪被害者等の支援活動

(子ども・若者を取り巻く有害環境等への対応に関するもの)

・青少年のインターネット利用環境の整備に関する啓発運動
(「もっとグッドネット」活動,「ちょっと待って,ケータイ」,「e-ネットキャラバン」,「情報通信の安心安全な利用のための標語」,フィルタリングの普及キャンペーンなど)

・メディア等との過剰接触に対する取組(「ノーテレビデー」,「ノーゲームデー」など)

(社会の在り方や広範な分野に関するもの)

・仕事と生活の調和の推進のための取組
(「カエル!ジャパン」キャンペーン,短時間勤務等の多様で柔軟な働き方など)

・青少年育成のための国民運動

・声かけ・あいさつの推進運動

・子どもを見守り育てるネットワーク活動の推進

用語(注)

子ども・若者等

子ども:乳幼児期,学童期及び思春期の者

若者:思春期,青年期の者。施策によっては,40歳未満までのポスト青年期の者も対象とします。

青少年:乳幼児期から青年期までの者。なお,乳幼児期からポスト青年期までを広く支援対象とするということを明確にするため,「青少年」に代えて「子ども・若者」という言葉を用いています。

※乳幼児期は,義務教育年齢に達するまでの者

※学童期は,小学生の者

※思春期は,中学生からおおむね18歳までの者

※思春期の者は,子どもから若者への移行期として,施策により,子ども,若者それぞれに該当する場合があります。

※青年期は,おおむね18歳からおおむね30歳未満までの者

※ポスト青年期は,青年期を過ぎ,大学等において社会の各分野を支え,発展させていく資質・能力を養う努力を続けている者や円滑な社会生活を営む上で困難を有する,40歳未満の者

※このほか,法令等により用語が定められており,それを使用することが適切な場合には,その用語を使用しています。

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