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第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第2章 すべての子ども・若者の健やかな成長の支援

第1節 子ども・若者の自己形成支援

1 日常生活能力の習得

(1)基本的な生活習慣の形成
ア 学校教育における取組(文部科学省)

学校教育では,道徳や特別活動をはじめ学校の教育活動全体を通じて,基本的な生活習慣の形成を図るための指導が行われている。平成20(2008)年と21(2009)年に改訂された学習指導要領2(以下「新学習指導要領」という。)では,特に小学校低学年において,あいさつなどの基本的な生活習慣や社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないことに関する指導を重視するなど,道徳教育の充実を図っている。

文部科学省は,平成24(2012)年度補正予算により平成25(2013)年度使用分の「心のノート」(第2-2-2図)をすべての小学生・中学生に配布する。また,道徳教育の現状や課題を検証しつつ,「心のノート」の改訂方針や教員の指導力向上方策,道徳の特性を踏まえた新たな枠組みによる教科化の具体的な在り方などについて,「道徳教育の充実に関する懇談会」において検討している。これを踏まえ,平成25年度予算により,「心のノート」の内容を改訂し,平成26(2014)年度使用分を配布する。さらに,学校・地域の実情などに応じた多様な道徳教育を支援するため,全国的な事例収集と情報提供,特色ある道徳教育や道徳教材活用への支援などを行う。

第2-2-1図 心のノート(小学校1・2年)
イ 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進(文部科学省)

文部科学省は,早寝早起きや朝食をとるといった子どもの望ましい基本的な生活習慣を育成し,生活リズムを向上させるため,「早寝早起き朝ごはん」全国協議会や民間団体と連携して「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している3。「早寝早起き朝ごはん」に係る優れた活動に対し文部科学大臣表彰を行っており,平成24(2012)年度は50活動を対象とし,「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が行う「早寝早起き朝ごはん」フォーラムの場で表彰式を行った。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,「早寝早起き朝ごはん」全国協議会の事務局として,国立青少年教育施設における運動を積極的に推進し,子どもの生活リズムの向上に努めている。平成24年度は,企業や働く親向けの啓発資料を作成・配布し,家庭や学校,地域にとどまらない,企業などを含めた社会全体の取組の定着を推進した。平成25(2013)年度には,携帯電話やインターネットの過度な利用による夜型化や食習慣の乱れといった現代的課題を踏まえ,自ら生活習慣を自律的に形成していく段階にある中高生向けの啓発の充実を図る。

ウ 青少年教育施設における取組(文部科学省)

青少年教育施設では,集団宿泊体験を通じて規律ある生活をする態度を養うため,学校や青少年団体に対して広く学習の場や機会が提供されている。

エ 食育活動の推進(内閣府,文部科学省,厚生労働省,農林水産省)

子どもに対する食育は,心身の成長と人格の形成に大きな影響を及ぼし,生涯にわたって健全な心と身体を培い,豊かな人間性を育んでいく基礎となるものである。近年,偏った栄養摂取といった食生活の乱れや肥満・痩身傾向が見られることから,子どもが食生活に関して基本的な知識や習慣が身に付けられるよう,家庭や学校,地域における取組が重要である。

「第2次食育推進基本計画」(平成23年3月)では,朝食を欠食する国民の割合の減少を目標としている。生活習慣の形成途上にある小学生については,平成19(2007)年度に1.6%となっていた「小学校5年生のうちほとんど朝食を食べないと回答した者」の割合を,平成27(2015)年度までに0%とすることを目指している。

内閣府は,生涯にわたるライフステージに応じた間断ない食育を推進するため,一人一人の国民が自ら食育に関する取組が実践できるように,「食育ガイド」を策定し,平成24(2012)年5月に公表した4

学校教育では,幼稚園教育要領や新学習指導要領に食育の推進に係る記述が盛り込まれ,その内容の充実が図られている。文部科学省は,食に関する指導を行う栄養教諭の各都道府県への配置を促進しており,平成24年4月現在,全国の公立学校で4,262名が配置されている。

厚生労働省は,出産前から適切な食生活を支援し,乳幼児期からの望ましい食習慣の定着を図るため,妊産婦や子育て家庭を対象とした食に関する学習機会や情報の提供を推進している。平成24年度から,「平成22年乳幼児身体発育調査」の結果を踏まえた新しい様式の母子健康手帳の運用を開始した。また,保育における食事提供の形態が多様化する中,現状と課題を明らかにしてあり方を再考し,より豊かな「食」の環境づくりや提供ができるよう,平成24年3月に「保育所における食事の提供ガイドライン」を作成した。

農林水産省は,米を中心に,水産物,畜産物,野菜といった多様な副食から構成され,栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践を促すため,民間団体が行う子どもや若者を対象とした食育活動を支援している。平成24年度は,楽しみながら食への関心を高め,実践に繋げるための,FMラジオ局の全国ネット番組が行った食生活をテーマとした高校生向けの公開収録(全国3か所の高校などで実施)に対する支援を行った。

内閣府の食品安全委員会は,ホームページに「キッズボックス」を設け,子ども向けの食品安全に関する情報をイラストを用いて分かりやすく解説している。また,小学校5・6年生とその保護者を対象とし,食品安全委員会委員との意見交換を通して食の安全について楽しく学び,理解を深めてもらう「ジュニア食品安全委員会」を夏休み期間中に開催している。

(2)コミュニケーション能力や規範意識等の育成(警察庁,文部科学省)

近年,いじめの社会問題化や重大事件の続発など,子どもの問題行動は教育上の大きな課題となっている。善悪の判断といった規範意識や倫理観の育成を図ることが,これまで以上に求められている。このため,学校・家庭・地域が十分連携を図り,子どもの豊かな人間性や社会性を育む取組を進める必要がある。

学校教育では,国語や道徳,特別活動をはじめ学校の教育活動全体を通じて,誰に対しても思いやりの心を持つことや広い心で自分と異なる意見や立場を大切にすることに関する指導が行われている。また,伝え合う力の育成を重視し,発表・討論を積極的に取り入れた学習活動が行われている。

青少年教育施設では,社会性や協調性を育むため,自然体験や集団宿泊体験といった様々な体験活動の機会が提供されている。

警察は,職員の学校への派遣や少年警察ボランティアなどの協力により,非行防止教室を開催している。具体的な非行事例を題材にして直接子どもに語り掛けることにより,子ども自身の規範意識の向上を図り,非行防止に取り組んでいる。

COLUMN NO.1
長期キャンプを通して,子どもの規範意識をはぐくむ

国立妙高青少年自然の家では,全長367kmという長さでは日本一の「信濃川」を辿る11泊12日の移動型長期キャンプ「YES, I CAN ! IN 信濃川 2012」(平成24年7月25日~8月5日)を実施した。1都6県から参加した18名の小学生たちが,生活や活動を共にした。信濃川の源流から河口までを,登山,マウンテンバイク,ボート,手作りいかだと活動ごとに4つのステージに分け,それぞれ目標を定め踏破した。気温35度を超える真夏日が続く中で,ステージごとに様々な困難が発生した。参加者は自分の行動を省みながら,仲間と話し合いを繰り返し,合意形成を図りながら困難を乗り越え,全員がゴールすることができた。様々な困難を集団で乗り越える自然体験活動で規範意識をはぐくむことができた。

コラム1 キャンプ写真

このキャンプの評価に当たっては,自然の家が開発した「リーダーシップ測定尺度」を活用した。図示したグラフは,その中の「集団維持機能」の一つとして「役割を意識し,集団の規範を守る力」という指標であり,以下の4項目について自己評価した結果である。1項目5点満点で参加者全員の合計点を示している。

コラム1 役割を意識し,集団の規範を守る力
  • 自分がするべき役割をはっきりわかっている。
  • 全体の目標に合わせて活動に取り組んでいる。
  • ルールや約束を必ず守ることができる。
  • 親や先生に言われなくても規則にしたがう。

グラフが示すとおり,活動の開始時と活動後では,参加者の規範意識は伸びた。特に大きく伸びた活動は,登山と,手作りいかだであった。登山では,「全員で登頂する」といった目標を立てていたが,山道で信濃川の水源地を発見し,「もう引き返したい」というグループがある一方,「みんなで決めた目標は守ろう」というグループがあり,意見の対立が起こった。しかし,みんなで話し合った結果,目標に向かって山頂まで全員で登頂することができた。困難に直面した時,これを乗り越えるために集団として合意形成を図る中で「目標や約束を守る」といった集団規範がはぐくまれた活動であった。

また,手作りいかだでゴールを目指すためには,「つらくてもみんなに合わせていかだを漕ぐ」という自分の役割を果たす責任感が必要である。その責任感が,上記の4つの項目の向上をもたらしたと考えている。

キャンプ後のアンケートでも「クラス全体のことを考えて行動できている」「活動に計画的に取り組んでいる」といった感想があった。

集団で行う自然体験活動には,様々な困難が伴い,必然的に仲間との合意形成が求められる場面が多くある。仲間とのかかわりの中で,自分の役割を果たしたり,約束を守ったりといった活動を通して,集団規範や規範意識が育っていくものと考えられる。たくさんの子どもが自然体験活動に親しんでくれることを願っている。

(3)体力の向上(文部科学省)
ア 地域社会での体力向上の取組の推進

第1部でみたとおり,子どもの体力は,低下傾向に歯止めがかかってきているが,依然として低い水準にある。子どもの体力低下は将来的に国民全体の体力低下につながり,ひいては社会全体の活力が失われる事態が危惧される。

文部科学省は,子どもの体力向上に向けた総合的な施策を推進している5。小学校5年生と中学校2年生を対象とする「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」6の結果を踏まえ,学校や地域における体力向上に向けた取組を推進するとともに,子どもの発達段階に応じた体力向上プログラムの普及啓発を行っている。平成25(2013)年度には,学校や家庭,スポーツ団体といった地域社会全体が連携して行う子どもの体力向上に向けた取組の定着を図るモデル事業を実施する。

イ 学校における体育・運動部活動の振興

学校の体育・保健体育は,心と体を一体としてとらえ,運動についての理解と合理的な実践を通して,生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに,体力の向上を図り,明るく豊かな生活を営む態度を育てることをねらいとしている。

文部科学省は,平成24(2012)年度に,中学校で必修となる「武道」を外部指導者の活用などにより安全かつ円滑に実施するとともに,適切に学習指導を展開するための指導資料の作成を行った。また,運動部活動などでの外部指導者の活用を促進するための実践事業や,生徒の多様なニーズに対応した形態・運営により運動部活動の活性化に取り組む調査研究事業を行った。

2 多様な活動機会の提供

(1)集団遊びの機会の確保(文部科学省,厚生労働省)

厚生労働省は,子どもに健全な遊びを与えて,その健康を増進し,情操を豊かにすること,自然を活かした遊びを通じて協調性,創造性,忍耐力を高めることを目的とする児童館7の整備を推進し,子どもの集団遊びや異年齢児との交流の機会を確保している。平成23(2011)年10月1日現在,全国に4,318か所の児童館が設置されている。また,民営の児童館内で子育て中の親子の相互交流や相談を行う「地域子育て支援拠点事業(連携型)」を実施している。

文部科学省と厚生労働省は,放課後の安全で健やかな居場所づくりを推進している。(詳細は,第2部第4章第1節3「放課後の居場所やさまざまな活動の場づくり」を参照。)

(2)読書活動の推進(文部科学省)

読書は,子どもにとって,言葉を学び,感性を磨き,表現力を高め,創造力を豊かなものにし,人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことができないものである。

文部科学省は,「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平13法154)と「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(第3次)に基づき,子どもの読書活動を推進している8。具体的には,

  • 地域の実情を踏まえつつ市町村計画の策定を促している。
  • 国民の間に広く子どもの読書活動についての関心と理解を深めるため,子ども読書の日(4月23日)(第2-2-2図)に「子どもの読書活動推進フォーラム」を開催し,著名人による記念講演や,優れた読書活動を行っている学校や図書館,ボランティア活動団体への文部科学大臣表彰の授与を行うとともに,子どもの読書に関してホームページなどによる情報提供を行っている。
    第2-2-2図 子ども読書の日
  • 学校図書館の機能の一層の向上を図るため,蔵書や新聞配備,学校図書館担当職員(いわゆる「学校司書」)の配置に要する経費について地方財政措置を講じている。
  • 平成24(2012)年12月に全部改正した「図書館の設置及び運営上の望ましい基準」で子どものための施設・設備やサービスの充実を示した。
(3)地域等での多様な活動

子どもの「生きる力」を育む上で,自然体験をはじめ文化・芸術や科学に直接触れる体験的な活動が重要である。社会で求められるコミュニケーション能力や自立心,主体性,協調性,チャレンジ精神,責任感,創造力,変化に対応する力,異なる他者と協働したりする能力を育むためには,様々な体験活動が不可欠である。

体験活動を推進していくためには,国や地方公共団体,地域・学校・家庭・民間団体・民間企業などがそれぞれの立場で自らの役割を適切に果たし,連携していくことが必要である。また,NPOや子ども会,青年団,青年会議所といった多くの民間団体が,様々な体験活動プログラムを企画・実施しており,これらの団体の活性化も求められている9

ア 体験の風をおこそう運動(文部科学省)

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,社会全体で体験活動を推進する機運を高めるため,他の青少年団体と連携して,「体験の風をおこそう運動」を推進している10。毎年10月を「体験の風をおこそう推進月間」として,全国各地で体験活動に関する様々なイベントや全国的なフォーラムを実施し,子どもの健やかな成長にとって,体験がいかに大切であるかを,広く家庭や社会に発信している。また,「子どもゆめ基金」11により,民間団体が実施する特色ある取組や裾野を広げるような活動を中心に様々な体験活動へ助成を行っている。

イ 環境学習(文部科学省,環境省)

子どもを含めた一人一人が環境問題に関心を持ち,自ら環境保全活動に取り組んでいく態度を養っていくことは,豊かな自然を守り,未来へと引き継いでいくためにも必要である。

環境省をはじめとする関係府省は,「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」(平15法130)(平成24(2012)年10月に完全施行)と「環境保全活動,環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」(平成24年6月閣議決定)に基づき,家庭,学校,職場,地域その他あらゆる場における,生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供している12

環境省は,「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)に従った環境プログラムの作成や実証を通じて,ESDの視点を取り入れた環境教育を推進している。

文部科学省は,子どもがその発達段階に応じて,環境の保全についての理解と関心を様々な機会に深めることができるよう,学校教育と社会教育で環境教育を推進している。学校教育では,社会科や理科,技術・家庭科といった関連の深い教科を中心に環境教育に関する内容の充実が図られている。また,太陽光発電などを環境教育に活用するエコスクール(環境を考慮した学校施設)の整備を進めている。社会教育では,公民館などを中心に地域の社会教育関係団体などが連携して行う環境保全の取組を支援している。青少年教育施設では,豊かな自然環境を活用し,体験型の環境学習の機会を提供している。

ウ 自然体験(文部科学省,農林水産省,環境省)

文部科学省は,自然体験活動の指導者養成に取り組むとともに,広く体験活動に対する理解を求めるための家庭や企業に対する普及啓発を推進している。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設の立地条件や特色を活かした自然体験活動の機会と場の提供を行っている。

林野庁は,文部科学省と連携して,子どもが森林で様々な体験活動を行う機会を提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を推進している13。このプロジェクトは,主として小学生・中学生とその保護者を対象に,森林インストラクターの指導により,植林などの森林づくり活動,自然観察,木工や炭焼きといったものづくりの体験を提供している。また,国有林野事業の中で,学校による体験活動の場を提供する「遊々の森」の設定に取り組んでいる14(第2-2-3図)。「遊々の森」は,学校などと森林管理署長などが協定を結ぶことにより,総合的な学習の時間などにおける森林環境教育の場として利用できる国有林である。平成23(2011)年度末現在,175か所,7,382ヘクタールの国有林について学校と協定を締結している。このほか,緑と親しみ,緑を愛し,緑を守り育てる活動を目的とした緑の少年団が日頃の活動状況を発表し,相互の研鑽を図る全国緑の少年団活動発表大会に対する支援を行っている。

第2-2-3図 「遊々の森」の活用事例

環境省は,地方公共団体との協力の下,「みどりの月間」(4月15日~5月14日)や,「自然に親しむ運動」(7月21日~8月20日),「全国・自然歩道を歩こう月間」(10月)を通じて,自然観察会や自然とふれあい親しむ行事を行うことにより,子どもが自然とふれあう機会を提供している。

エ 警察による社会奉仕活動やスポーツ活動の場の提供(警察庁)

警察は,少年15の規範意識の向上と社会との絆の強化を図る観点から,関係機関・団体,地域社会と協力しながら,環境美化活動をはじめとする少年の社会奉仕活動や生産体験活動といった社会参加活動,警察署の道場を開放した少年柔剣道教室をはじめとするスポーツ活動を行うなど,少年の多様な活動機会の確保と居場所づくりを推進している。

オ 文化活動の奨励(文部科学省)

子どもが豊かな心や感性を育むためには,学校教育の場で優れた文化芸術に触れる機会を確保することが重要である。

文部科学省は,オーケストラなどの舞台芸術の鑑賞や芸術文化団体によるワークショップをはじめ舞台芸術に身近に触れることができる機会を提供するなど,子どもの文化芸術体験活動を推進している。

カ 花育活動の推進(農林水産省)

農林水産省は,文部科学省や国土交通省と連携して,花壇作りやフラワーアレンジといった花や緑との触れ合いを通じて子どもに優しさや美しさを感じる気持ちを育む「花育活動」を推進している。平成24(2012)年度は,主に中学生を対象に,花や緑に対する関心を深め,理解を促進するための教材や指導マニュアルの作成,研修会実施を通じた花育活動実践者育成のための取組に支援を行った。

キ 都市と農山漁村の共生・対流の促進(農林水産省,文部科学省,総務省)

農林水産省,文部科学省,総務省は,子どもの学ぶ意欲や自立心,思いやりの心,規範意識を育み,力強い成長を支える教育活動として,小学校における農山漁村での長期宿泊体験活動を推進する「子ども農山漁村交流プロジェクト」を行ってきた。平成25(2013)年度も引き続き,子どもの農山漁村での宿泊体験活動に関する取組に支援を行う。

ク 体験活動の推進に関する調査研究(文部科学省)

文部科学省は,平成25(2013)年度に新たに,体験活動の機会を意図的・計画的に創出するため,若者を対象とした生活体験や自然体験に関する実態調査や,体験活動の評価・顕彰に関する調査研究を行う。

(4)生涯学習への対応(文部科学省)

社会経済の大きな変化の中で,生涯を通じて,あらゆる機会に,あらゆる場所において学習することができ,その成果を適切に生かすことのできる社会を実現することが求められている。特に,出産・育児のために仕事を離れる者が多いなど,安定した雇用を得にくい女性にとって,生涯にわたる学習機会の充実は重要である。

ア 高等教育機関における学習機会の充実に関する取組

大学などの高等教育機関は,生涯学習機関としての機能を社会一般に積極的に提供するよう期待されている。昨今,技術革新や産業構造の変化に伴い,社会人が高等教育機関で教育(再教育)を受ける必要性が高まるなど,その一層の充実が求められている。このため,公開講座の実施や,夜間の学部・学科の設置,昼夜開講制の実施,通信教育課程の設置といった対応16が進められている。

イ 学習した成果の適切な評価

生涯学習の成果を適切に生かすことのできる社会を実現するためには,学習成果の評価の社会的通用性を向上させることが必要である。そのため,民間教育事業者が提供する多様な教育サービスの質の向上や信頼性の確保に向けた取組が求められている。また,行政,大学,NPOといった関係者が各地で取り組んでいる生涯学習活動の成果を生かして社会的課題の解決を図る取組を全国的に推進することも重要である。

文部科学省は,民間教育事業者などが行う検定試験の評価や情報公開の取組を促進することにより,検定試験の質の確保や向上を図っている。また,民間教育事業者の質の保証のための評価や情報公開の仕組みの構築を検討している。さらに,生涯学習関係者が一堂に会し,課題について研究協議を行い,その成果を情報発信するとともに,関係者のネットワーク化を図るための,「全国生涯学習ネットワークフォーラム」を開催している。平成24(2012)年度は岩手県,宮城県,福島県で開催した。

ウ 女性の生涯学習

文部科学省は,女性が主体的に働き方・生き方を選択できるよう,結婚,妊娠,出産といったライフイベントを視野に入れ,長期的な視点で自らの人生設計を行うことを支援するため,女性のライフプランニング支援に関する情報提供をホームページで行っている。また,学校から社会への移行時期にある若者に対し,大学と連携し学習機会の提供を行っている。

(5)多様な価値観に触れる機会の確保

(インターネットによる学習については第2部第2章第1節3(4)「学校教育の情報化の推進」を,国際交流については第2部第2章第2節2「社会参加の促進」を,それぞれ参照。)

3 学力の向上

(1)知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立(文部科学省)

「教育基本法」(平18法120)と「学校教育法」(昭22法26)では,学校教育において,知・徳・体のバランスとともに,基礎的・基本的な知識・技能,思考力・判断力・表現力,学習意欲を重視し,これらを調和的に育むことが必要であることが規定されている。新学習指導要領は,小学校では平成23(2011)年度から,中学校では平成24(2012)年度から全面実施17され,高校では平成25(2013)年度入学生から年次進行で実施18される19。(第2-2-4図,第2-2-5図,第2-2-6図)

第2-2-4図 新学習指導要領の理念
第2-2-5図 新学習指導要領の概要
第2-2-6図 新学習指導要領実施スケジュール

文部科学省は,新学習指導要領の円滑な実施に向け,教職員定数の改善や新たに必要となる補助教材の作成・配布,理科教育設備の整備への支援,理数教育や外国語教育その他の各教科や活動の充実を支援している。平成25年度には,

  • 全国学力・学習状況調査の悉皆化による対象学年(小6,中3)の全ての子どもの学力の把握や,経年変化の分析,家庭状況と学力などの分析,少人数学級などの検証・改善に資する追加調査
  • 理科教育の推進のため,小学校・中学校に観察実験アシスタントを配置するための補助事業の創設や,設備整備の補助の拡充

などを行う。

(2)基礎学力の保障等(文部科学省)

文部科学省は,基礎学力の保障のため,少人数指導,習熟度別指導,ティーム・ティーチングといったきめ細かな指導を行う学校や専科指導を行う小学校に対し,教職員の加配定数を措置している。平成24(2012)年度は,41,523人の加配定数を措置した。平成25(2013)年度には,専科指導を行う小学校に対する加配定数を400人改善するとともに,新たに,放課後や土曜日における学習,補充学習などの学力向上方策として,約7,000人(常勤教員ベースで2,100人相当)の地域人材を指導員として活用する「補習等のための指導員等派遣事業~学校いきいきサポート人材の活用~」を実施する。(不登校の子どもへの対応は,第2部第3章第1節1「ニート,ひきこもり,不登校の子ども・若者への支援等」を参照。)

(3)高校教育の質の保証(文部科学省)

文部科学省は,高校教育の質の保証と向上を促すため,学習指導要領の改訂や各学校における学校評価の取組の推進などの多様な施策を実施している。新学習指導要領では,以下の改善を図っている。

  • 高校教育の共通性と多様性のバランスを重視し,学習の基盤となる国語,数学,外国語における共通必履修科目の設定
  • 言語活動,理数教育,道徳教育,外国語教育の充実
  • 義務教育段階の学習内容の確実な定着を図るための学習機会を設けることの促進

平成25(2013)年度には新たに,高校生の学習到達度把握のための検討や,高校教育を通じて身に付けるべき資質・能力を評価する手法についての調査研究を行う。

(4)学校教育の情報化の推進(文部科学省,総務省)

子ども一人一人の能力や特性に応じた学びや子ども同士が教え合い学び合う協働的な学びを推進する上で,情報通信技術は重要な役割を果たすものと考えられる。

文部科学省20と総務省21は連携して,公立小学校10校,中学校8校,特別支援学校2校の計20校を実証校として,「学びのイノベーション事業」と「フューチャースクール推進事業」を行っている。文部科学省の「学びのイノベーション事業」では,デジタル教科書・教材(モデルコンテンツ)の開発を進めるとともに,一人一台の情報端末や無線LANが整備された環境でデジタル教科書・教材を活用した授業を実施し,その効果や影響の検証などを行っている。総務省の「フューチャースクール推進事業」では,学校現場において情報通信を利活用していく上での技術面を中心とした課題の抽出・分析に取り組み,ガイドライン(手引書)として取りまとめた。平成25(2013)年度は,総務省は,現行環境における運用の工夫のみで解決することが出来ない課題があり,新たに,最先端技術を踏まえた技術的検証を行うための実証研究を行う。文部科学省は,教員向け指導手引書の作成や,学習に著しい困難を抱える子どもに対するICTを活用した指導方法の調査研究,デジタル教材などに求められる機能の整理やルールの策定を行う。

4 大学教育等の充実(文部科学省)

(1)大学の教育内容の充実
ア 教育機能の充実

大学の学部教育では,シラバスの記述の具体化,厳格な成績評価の実施,履修科目登録の上限設定を通じた単位の実質化のほか,産学連携的なプロジェクト学修や長期インターンシップを通じた実践的なキャリア教育をはじめとする学生の社会的・職業的自立に関する組織的な教育活動の展開,教育内容・方法の改善,教育情報の公表が,積極的に取り組まれている。

文部科学省は,このような大学の取組を支援するため,個性・特色ある優れた取組に対する財政支援や情報発信を行っている。

イ 教育研究の質の維持・向上

文部科学省は,すべての国公私立大学が文部科学大臣から認証された評価機関による定期的な評価を受ける認証評価制度により,大学の教育研究の質の維持・向上を図っている。

ウ 高度な大学教育の充実

文部科学省は,国内外の大学・機関との連携強化や優れた若手研究者の育成機能の強化などによる国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援する「グローバルCOEプログラム」を実施している22。また,俯瞰力と独創力を備え,広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーを養成するため,産・学・官の参画を得つつ専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援する「博士課程教育リーディングプログラム」を実施している23

エ 学習支援サービス

文部科学省は,多様化した学生の学習活動をサポートするため,優秀な大学院学生が教育的配慮の下に学部学生に対する助言や実験・実習の教育補助業務を行うティーチング・アシスタント制度や,大学の教員が学生の質問・相談に応じるための時間(オフィスアワー)設定など,学生に対する支援サービスの充実に向けた大学の取組を促進している。

(2)専修学校教育の充実

専修学校24は,職業や生活に必要な能力の育成や教養の向上を図ることを目的とし,社会の変化に即応した実践的な職業教育を行う機関として大きな役割を果たしている。専門的な職業知識・技術の習得のほか,職業観・勤労観のかん養や自己学習能力の育成において相当の成果を挙げており,若者の職業的自立にも寄与している。

文部科学省は,専修学校教育の振興を図るため,以下のような取組を行っている。

  • 平成25(2013)年3月に「専修学校における学校評価ガイドライン」を策定
  • 「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業において,成長分野における中核的専門人材の養成を産学官連携の下で推進
  • 被災地の人材ニーズや雇用のミスマッチに対応し復興の即戦力や次代を担う専門人材の育成と地元への定着を図る「東日本大震災からの復興を担う専門人材育成支援事業」
  • 教育装置・情報処理関係の設備整備などに対する補助,教員研修事業などの実施

5 経済的支援の充実

(1)新しい「児童手当制度」(厚生労働省)

「児童手当法の一部を改正する法律」(平24法24)が,衆議院における一部修正が行われた上,平成24(2012)年3月に成立し,同年4月1日から新しい児童手当制度が施行された。

これにより,児童手当は,所得制限額(例:夫婦・子ども2人世帯の場合は年収960万円)未満の方に対して,3歳未満と,3歳から小学生の第3子以降については子ども1人当たり月額15,000円,3歳から小学生の第1子・第2子と,中学生については子ども1人当たり月額10,000円を支給することになった。なお,所得制限額以上の方に対しては,特例給付として子ども1人当たり月額5,000円を支給することになった(所得制限は同年6月分から適用)。

(2)公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度(文部科学省)

高校進学率が約98%に達するなど,高校は国民的な教育機関となっており,その費用を社会全体で負担していくことが要請されている。

文部科学省は,家庭の経済的負担の軽減を図るため,「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」(平22法18)に基づき,公立高校の授業料を無償とし,私立高校などの生徒に対しては高等学校等就学支援金(年額118,800円。低所得世帯の生徒に対してはこの1.5~2倍の額)を支給している。

(3)奨学金等の支援
ア 初等中等教育段階における取組(文部科学省)

文部科学省は,幼稚園児の保護者に対する経済的負担の軽減や,公私立幼稚園間における保護者負担の較差の是正を図るため,入園料や保育料を軽減する「就園奨励事業」を実施している地方公共団体に対し,幼稚園就園奨励費補助金により所要経費の一部補助を行っている。経済的理由により小学校・中学校への就学が困難と認められる子どもの保護者に対しては,各市町村が学用品の給与などの就学援助を行っている。高校と専修学校高等課程などの子どもに対しては,都道府県が行う奨学金事業が確実に実施されるよう,交付金や高校生修学支援基金により支援している。平成24(2012)年度からは,当該基金を利用する都道府県において所得連動返済型奨学金制度25の整備を促進している。

イ 高等教育段階における取組(文部科学省)

文部科学省は,学ぶ意欲と能力のある学生が経済的理由により修学を断念することがないよう,独立行政法人日本学生支援機構26が実施する奨学金事業の充実や,各大学が実施する授業料減免への支援を行っている。大学院生に対しては,ティーチング・アシスタント(TA)やリサーチ・アシスタント(RA)としての雇用を通じた支援を行っている。

ウ 生活困窮者の子どもに対する支援(厚生労働省)

厚生労働省は,生活保護受給の子どもに対する学習支援などを行っている。(子どもの貧困については,第2部第3章第1節4「子どもの貧困問題への対応」を参照。)


2 文部科学省は,平成20年3月に小・中学校の,平成21年3月に高校の学習指導要領の改訂を行った。その概要は第2-2-5図を参照のこと。
3 http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/asagohan/index.htm
4 https://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/guide/index.html
5 http://www.mext.go.jp/a_menu/05_c.htm
6 http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kodomo/zencyo/1266482.htm
7 児童福祉法第40条に規定する児童厚生施設の1つ。
8 http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/
9 平成25(2013)年1月,中央教育審議会は,体験活動の意義や効果を整理するとともに,現在の課題や今後の推進方策について「今後の青少年の体験活動の推進について(答申)」で提言した。
10 http://www.niye.go.jp/services/taikennokaze/。構成団体は次の通り。NPO法人自然体験活動推進協議会,独立行政法人国立青少年教育振興機構,公益社団法人全国公民館連合会,社団法人全国子ども会連合会,公益財団法人ボーイスカウト日本連盟,公益社団法人ガールスカウト日本連盟,社団法人日本PTA全国協議会,公益財団法人日本レクリエーション協会,公益社団法人日本キャンプ協会,NPO法人日本子守唄協会,公益社団法人全国スポーツ推進委員連合,NPO法人全国ラジオ体操連盟,公益財団法人日本体育協会日本スポーツ少年団。
11 http://yumekikin.niye.go.jp/index.html
12 http://www.env.go.jp/policy/suishin_ho/
13 林野庁「子ども森林館」ページ(http://www.rinya.maff.go.jp/kids/top.html)
14 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/kokumin_sanka/kyouteiseido/kyoteiseido.html#yu-yu
15 少年法第2条に規定する「20歳に満たない者」を指す。
16 このほか,科目等履修生制度の導入,履修証明制度の導入,大学・大学院入学資格の弾力化,高等学校卒業程度認定試験の実施,短期大学における地域総合科学科の設置と適格認定,放送大学の充実など。
17 平成21(2009)年度から算数・数学,理科などで先行実施されている。
18 数学と理科は平成24(2012)年度入学生から先行実施されている。
19 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/index.htm
20 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/main18_a2.htm
21 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/future_school.html
22 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/globalcoe/index.htm
23 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/hakushikatei/1306945.htm
24 入学資格の差異により3つの課程(専門課程,高等課程,一般課程)が設けられている。高等学校卒業程度を入学資格とする専修学校専門課程(専門学校)には,平成24(2012)年度は高校卒業者の16.8%が進学している。
25 貸与を受けた本人が一定の収入を得るまでの間,奨学金の返済を猶予する制度。
26 http://www.jasso.go.jp/
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