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第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第2章 すべての子ども・若者の健やかな成長の支援

第2節 子ども・若者の社会形成・社会参加支援

1 社会形成への参画支援

(1)社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)の推進

社会の一員として自立し,権利と義務の行使により,社会に積極的に関わろうとする態度を身に付けるため,社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)を推進することが必要である。

ア 学校教育における取組(文部科学省)

学校教育では,小学校・中学校の社会科や高校の公民科を中心に,民主政治や政治参加,法律や経済の仕組み,勤労の権利と義務についての教育が従来から行われている。また,消費者としての知識や態度を身に付けるため,社会科や家庭科を中心に子どもの発達の段階に応じた指導が行われている。新学習指導要領では,社会参画という視点を重視し,例えば,「社会生活を営む上で大切な法やきまり」(小学校),「契約の重要性」(中学校),「国民の司法参加」(小学校・中学校・高校)を新たに扱うこととするなど,教育内容の充実が図られている。

文部科学省は,中学生と高校生の社会参画に係る実践力を育成するため,平成25(2013)年度に,地域の抱える具体的な課題の解決に係る体験的・実践的な学習を学校と地域が連携して行うためのプログラム開発に関する調査研究を教育委員会などに委託して行う。

イ 法教育(法務省)

法務省は,法律専門家ではない一般の人々が,法や司法制度,これらの基礎になっている価値を理解し,法的なものの考え方や公正な判断力,社会への参加意識を身に付けるための教育(法教育)の普及・発展のため,様々な取組を行っている。平成24(2012)年度は,「学校現場において法教育を充実・発展させるための方策について-具体的な授業例を踏まえて-」をテーマとして論文を募集した。教員などから多数の応募があり,平成25(2013)年2月の法教育推進協議会27において,法教育推進協議会賞,日本司法支援センター賞,社団法人商事法務研究会賞が各1通ずつ選出された。また,小学校における法教育の実践状況について調査を実施した。現在,法教育推進協議会は,新学習指導要領を踏まえ,学校教育における法教育の実践の在り方や教育関係者と法曹関係者による連携・協働の在り方について多角的な視点から検討を行っている。

ウ 租税教育(国税庁)

国税庁は,小学生から社会人手前までの子どもや若者が租税の意義や役割を正しく理解し,健全な納税者意識を養うことができるよう,租税教育推進関係省庁等協議会で関係府省(総務省・文部科学省・国税庁)や民間団体と連携しながら,以下の取組により,租税教育の充実に向けた環境整備や支援に努めている。

  • 各都道府県に設置された租税教育推進協議会(国,地方公共団体,教育関係者などで構成)を中心に,広く関係民間団体の協力を得て,学校の教員を対象とした講習会の開催や,学校からの要請に基づく租税教室への講師派遣,租税教育用副教材の作成・配付,税に関する作文の募集
  • 国税庁ホームページに「税の学習コーナー」28を開設し,子どもが自ら楽しみながら税を学習できるようクイズやゲームといったコンテンツを用意
  • 学校の教員をはじめ租税教育を行う指導者が利用できる電子媒体の教材である「租税教育用教材」の提供
エ 金融経済教育(金融庁)

金融庁は,金融やその背景となる経済についての基礎知識に立脚しつつ自立した個人として判断し意思決定する能力である「金融リテラシー」を国民一人一人に身に付けてもらうため,以下の取組を行っている。

  • 平成24(2012)年11月から,金融庁金融研究センターにおいて金融経済教育研究会を開催し,金融経済教育で身に付けるべき「金融リテラシー」は何か,「金融リテラシー」の向上にどのように取り組んでいくのかなどについて幅広い検討を実施
  • 金融を取り巻く環境が大きく変化している中,金融に関する知識が不十分なために金融取引に関するトラブルに巻き込まれることがないよう,「金融トラブルに巻き込まれないためのシンポジウム」を各財務局と共催
  • 「基礎から学べる金融ガイド」の全国の高校・大学への配布や財務局・財務事務所から高校への講師派遣を実施
オ 労働者の権利・義務に関する教育(厚生労働省)

厚生労働省は,労働関係法制度を実際に活用することができるように,労働者としての権利,義務,各種制度についての理解の促進を図るため,教育や啓発活動を推進している。

カ 消費者教育(消費者庁,文部科学省)

近年,経済の仕組みの変化や規制緩和の流れの中で,消費者トラブルは多発し,その内容も複雑化・高度化している。この中で,個々の消費者が豊かな生活を実現していくためには,子どもの頃から経済行為の主体たる消費者としての基礎的な知識を身に付け,主体的に責任を持って意思決定を行いうる能力を持った消費者となることが重要である。

「消費者基本法」(昭43法78)第17条では,国と地方公共団体が消費生活に関する教育を充実させることとされている。そして,消費者教育の総合的かつ一体的な推進を目的とする「消費者教育の推進に関する法律」(平24法61)が平成24(2012)年12月に施行された。ここでは,消費者教育を「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育(消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む。)及びこれに準ずる啓発活動をいう。」と定義した。従来型の自立支援のための教育だけでなく,消費者市民社会形成への参画の重要性を理解させる教育が含まれるとされた。現在,同法に基づく基本方針の策定に向けた作業を進めている。

消費者庁は,これまでも文部科学省と密接に連携をとり,消費者教育推進会議を開催し,平成24年4月に「消費者教育推進のための課題と方向」を取りまとめた。さらに,これを踏まえ,平成25(2013)年1月,「消費者教育の体系イメージマップ~消費者力ステップアップのために~」とその活用ガイドを公表した29。このほか,以下の取組を行っている。

  • 平成24年度に,新学習指導要領に準拠し消費者教育の専任でない教員もすぐに授業をすることができる指導案やシナリオをセットにした小学校低学年向けの消費者教育用副教材(教具)を作成
  • 消費者教育関連の情報を集約したポータルサイト30の運用

文部科学省31は,学校における消費者教育の充実を目的として,平成24年度から,教科横断的な消費者教育のカリキュラム開発や,消費者教育を担う教員のための研修,学校における外部人材の活用,地域における教材開発についての実践的な調査研究を,都道府県教育委員会などに委託して行っている。また,社会教育における学習機会の提供を促進するため,消費者教育に係る指針を周知するとともに,多様な主体が消費者教育を推進する上での課題について意見交換を行う「消費者教育フェスタ」を開催している。平成25年度には,「消費者教育の推進に関する法律」を踏まえ,地域における連携・協働による推進体制づくりを支援するため,消費者教育アドバイザーの派遣や社会教育を活用した実証的調査研究を行う。

キ 社会保障制度についての情報提供・意識啓発(厚生労働省)

医療・介護・年金・雇用などの社会保障は,国民が安心して生活をする上で必須の制度である。子どもや若者が給付と負担の構造や社会保障の意義を理解し当事者意識を持って考えることができるようにすることが重要である。

厚生労働省は,子どもの発達の段階に応じて理解すべき内容・知識を整理するとともに,教育現場で役に立つ副教材を作成している。

ク 外交や防衛についての情報提供・意識啓発(外務省,防衛省)

外務省は,外交問題に関する子どもや若者の理解を深めるため,以下の取組を行っている。

  • 外務省ホームページにおいて,動画や画像を活用した理解しやすいコンテンツの制作に努力するとともに,外交をより身近に感じられるよう外務省職員のエッセイやインタビュー記事といった「生の声」の掲載
  • 外務省の仕事の内容を紹介し,省内見学を通じて外交に対する関心を高めてもらうため,外務省への訪問を希望する小中高校生の受入れ(平成24(2012)年度は,計52校の1,022名が外務省を訪問)
  • 外務省職員が全国各地の高校に赴き講演する「高校講座」(平成24年度は124校)や全国各地の大学に赴き講演を行う「外交講座」(62講座)の実施
  • 若手外務省職員との直接的な意見交換・交流の機会を設ける外務省セミナー「学生と語る」(年2回)の実施
  • 学生を対象としたディベート大会である「大学生国際問題討論会2012」の開催

防衛省は,防衛省・自衛隊や防衛施策に関する子どもや若者の理解を深めるため,以下の取組を行っている。

  • 小中高校生による部隊見学や隊内生活体験,大学生・大学院生による自衛隊生活体験ツアーを受入れ(小中高校生による部隊見学などについて平成24年度3,155件,延べ参加者数54,548人)
  • 若い世代をはじめとする幅広い層から親しみをもたれやすい「まんがで読む防衛白書」を作成(平成24年度は自衛隊の統合運用をテーマに紹介)
  • ソーシャルメディア(Twitter・Facebook)を活用。平成25(2013)年4月からは防衛省ホームページの一部をスマートフォンでの閲覧用に最適化して提供
(2)子ども・若者の意見表明機会の確保(内閣府,各省庁)

内閣府は,子ども・若者育成支援施策を実効性のあるものとするとともに,子どもや若者が積極的に意見を述べる機会を作り,その社会参加意識を高めるため,「青少年意見募集事業」を実施している32。この事業では,全国から募集した中学生以上30歳未満のユース特命報告員約300名から,特定の課題に対する意見をインターネットを利用して求めている。平成24(2012)年度は,関係府省の協力の下,「旅行意識」,「若者の海外留学・海外勤務等経験」,「職業選択と性別」,「クレジットカード」を課題として配信した。ユース特命報告員から寄せられた意見は,整理の上,関係府省の政策担当者に送付され,それぞれの実際の政策の企画・立案に活かされている。

このほか,関係府省は,インターネットを活用した意見の公募などにより,子どもや若者が政策決定過程に参画する機会を確保している。

2 社会参加の促進

(1)ボランティアなど社会参加活動の推進(文部科学省)

学校教育では,総合的な学習の時間や特別活動において,子どもの社会性や豊かな人間性を育むため,ボランティア活動をはじめとする社会参加活動が行われている。

青少年教育施設では,ボランティアに関する各種事業が実施され,子どもや若者が社会性を育む機会が提供されている。独立行政法人国立青少年教育振興機構は,学生ボランティアを支援する大学と地域関係機関の担当者の連携協力を深めるとともに学生間の交流と学び合いの機会を提供するため,「学生ボランティアと支援者が集う全国研究交流集会」を実施している。

(2)国際交流活動
ア グローバル化に対応した国際教育の充実(文部科学省)

文部科学省33は,異文化体験や同世代の外国人との相互コミュニケーションといった国際交流を通じて,初等中等教育段階から多様な価値観に触れる機会を確保することにより,子どもに国際的な視野を持たせ,自らが主体的に行動できるようなグローバル人材の基盤を形成するため,都道府県や民間団体が行う以下のような取組を支援している。

  • 高校生に対する海外留学費用の一部支援や外国人高校生の日本の高校への短期招致
  • 海外勤務経験者や留学経験者の学校への派遣
  • 留学フェアの開催

また,ドイツやオーストラリアなどの外国政府が主催する高校生派遣・招致事業の募集や選考に協力している。

イ 国際交流を通じたグローバル人材の育成(内閣府,文部科学省,外務省)

内閣府は,日本や各国を代表する若者が,国際的諸課題についてのディスカッションなどの活動を共に行うことなどを通じて,国際化する社会に対応し,リーダーシップを発揮して活躍できる人材を育成することを目的として,「東南アジア青年の船事業」「国際青年育成交流事業」「日本・韓国青年親善交流事業」「日本・中国青年親善交流事業」「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」などの青年国際交流事業を実施している。平成25(2013)年度は,「グローバルリーダー人材育成事業」を行うこととしている。これらの事業では,各国の若者との合宿型ディスカッション,自主的な活動の企画・実施,共同生活,各国の文化紹介,訪問国での施設訪問,ホームステイ,ボランティア活動を含めた,多様な研修・交流プログラムを実施しており,こうした活動を通じて,参加した若者は,リーダーシップやコミュニケーション力を高めるとともに,国境を越えた末永く続く深い友好関係を構築している。青年国際交流事業に参加した我が国の若者は,これまでに約16,000人を数え,事業で得たものを社会に還元するため,青少年育成や人道的支援,国際交流などの社会貢献活動を活発に行っている。また,日本青年国際交流機構を組織し,世界50か国以上で設立された外国の若者のOB組織と連携を深めるとともに,全国47都道府県にある青年国際交流機構と連携し,国際・国内・地域につながるネットワークを構築している。

文部科学省は,子どもや若者が国際社会の一員であることを自覚し,自分とは異なる文化や歴史に立脚する人々と共生していくことが重要な課題となっていることから,子どもや若者が国内外の様々な人々との交流を通して多様な価値観に触れる機会を提供する事業を実施している。平成24(2012)年度は新たに,「世界に雄飛するたくましい青少年を育む国際交流事業」により,日本の若者が世界の複数国の若者とともに,自然体験や意見交換といった様々な体験を行うことにより,世界で活躍できる能力・感覚を醸成するなど教育的効果の高い事業を実施した(第2-2-7図)。また,平成27(2015)年には,世界161の国と地域から約3万人の子どもや若者が集うボーイスカウトの世界大会「第23回世界スカウトジャンボリー」が日本において開催される予定であり,その事前大会として平成25年に第16回日本ジャンボリー(兼第30回アジア太平洋地域ジャンボリー)が開催される。

第2-2-7図 「世界に雄飛するたくましい青少年を育む国際交流事業」で討論内容を発表する若者

独立行政法人国立青少年教育振興機構においても,様々な国際交流事業を実施している。例えば,絵本・童話を通してお互いの文化の特徴や共通性の認識を深めることを目的とする「日中韓子ども童話交流事業」を実施している。この事業は,小学4年生から6年生にあたる日本・中国・韓国の子ども100名が6泊7日の間行動を共にし,理解を深め合うもので,日中韓3カ国で巡回開催している。平成24年度は韓国で開催し,平成25年度は日本で開催する予定である。(第2-2-8図)

第2-2-8図 日中韓子ども童話交流事業

外務省は,国際交流を通じた我が国の若者の国際理解促進や国際的視野の醸成を図ることを目的とし,

  • 東アジア地域において,平成19(2007)年から24年まで行った「21世紀東アジア青少年大交流計画」(JENESYS)では,総計約54,000人の若者を招へい・派遣した。平成25年からはJENESYSの後継として,アジア大洋州諸国との交流「JENESYS2.0」を3万人規模で実施する。
  • 北米地域において,将来世代を担う若者に対してクール・ジャパンを含めた日本ブランド,日本的な「価値」への国際理解を増進するという観点から,5,000人規模で交流を実施する。
ウ その他のグローバル人材の育成に資する取組(外務省)

外務省は,国際協力機構を通じた「青年海外協力隊派遣事業」により,開発途上国が要請する技術・技能を有する満20歳から39歳までの男女を募集,選考,訓練の上,開発途上国へ原則として2年間派遣している。派遣された協力隊員は,草の根レベルの技術協力を行い,相手国の経済・社会の発展に寄与するとともに,広い国際的視野を養い,得られた知識・経験を帰国後に社会へ還元している。平成25(2013)年3月末現在,72か国に対し,1,706名(うち女性は995名)を派遣中であり,累積の派遣人数は,37,899名(うち女性は17,153名)である。


27 http://www.moj.go.jp/shingi1/kanbou_houkyo_kyougikai_index.html
28 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/gakushu/kyousitu.htm
29 http://www.caa.go.jp/information/index14.html
30 http://www.caa.go.jp/kportal/index.php
31 http://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/syouhisha/
32 http://www.youth-cao.go.jp/
33 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_f.htm
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