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第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備

第1節 家庭,学校及び地域の相互の関係の再構築

1 保護者等への支援を行う「家庭を開く」取組(文部科学省)

家庭は,子どもの健やかな育ちの基盤である。一方,地域とのつながりの希薄化や,親が身近な人から子育てを学んだり助け合ったりする機会の減少など,子育てや家庭教育を支える環境が変化している。このため,社会全体で家庭教育を支えることが求められている。

文部科学省は,子育てサポーターリーダーや民生委員・児童委員といった地域人材と専門的人材が連携して,学校や公民館といった身近な場所で,孤立しがちな保護者や仕事で忙しい保護者など地域とのコミュニケーションや学習機会をなかなか得ることのできない保護者や家庭を支援する「家庭教育支援チーム」の取組を推進している142。各地の家庭教育支援チームでは,子どもの生活習慣やしつけ,親子のコミュニケーションの大切さといった様々なテーマについての学習の機会を提供したり,思春期の課題や不登校など家庭教育や子育てに関する様々な悩みを聞くといった取組が行われている。このほか,平成24(2012)年度には,

  • 保護者への学習機会や親子参加行事の企画・提供などの家庭教育を支援する活動を全国2,771か所で実施
  • 家庭教育支援の推進に関する検討委員会報告書「つながりが創る豊かな家庭教育」(平成24年3月)の提言を踏まえ,今後の家庭教育支援の実践に向けた課題やその取組を協議する機会として,埼玉県と鳥取県で研究協議会を開催

した(第2-4-1図)。平成25(2013)年度には新たに,課題を抱え孤立しがちな家庭への地域人材によるサポート体制の構築のため,実証的調査研究を実施する。

第2-4-1図 家庭教育支援チーム

2 外部の力も活用した「開かれた学校」づくり(文部科学省)

(1)家庭・地域と一体となった学校の活性化
ア 地域の多様な人材の参画による教育支援の充実

学校が多様な要請にこたえつつ,特色ある教育を推進していくためには,教育の様々な分野において,地域の多様な人材の参画による教育支援の取組を積極的に進めることが有効である。

文部科学省は,授業の補助,読み聞かせや環境整備,登下校パトロールなどについて,地域住民がボランティアとして学校をサポートする「学校支援地域本部」の設置を推進している143。平成24(2012)年度は576市町村で3,036本部が設置されている(第2-4-2図)。また,地域による学校支援活動を促進するため,特に優れていると認められる活動に対して文部科学大臣表彰144を行っている。こうした取組を通じて,学校と地域の連携・協力が強化され,開かれた学校づくりの促進が期待される。

イ 保護者や地域住民の学校運営への参加

コミュニティ・スクール(学校運営評議会制度)(第2-4-3図)は,保護者や地域住民が学校運営に参画する仕組みであり,保護者や地域住民から構成される学校運営協議会において,学校運営の基本方針を承認したり,教育活動などについて意見を述べるといった取組が行われている145。平成24(2012)年4月1日現在,コミュニティ・スクールに指定されている学校は,前年度から394校増えて,1,183校となり,着実にその導入が進んできている。

第2-4-3図 コミュニティ・スクール

文部科学省は,コミュニティ・スクールの一層の普及・啓発を図るため,調査研究事業や推進協議会といった施策を進めている。平成25(2013)年度には新たに,導入を目指す地域の組織や運営体制作りに係る実践研究や,実践経験のある者をコミュニティ・スクール推進員として派遣する事業を行う。

ウ 学校評価と情報提供の推進

教育活動をはじめとする学校運営の状況について評価146を行い,その結果に基づき学校や設置者が学校運営の改善を図ることや評価結果を広く保護者や地域住民に公表していくことが求められている。とりわけ,学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互の連携を促し,学校運営の改善への協力を促進するためには,保護者や地域住民が行う学校関係者評価147がすべての学校において実施されることが期待される。

文部科学省は,各学校や設置者の取組の参考となるような学校評価ガイドラインの策定などにより,地域と共にある学校づくりと学校評価を推進している148

(2)教育・相談の体制や機能の充実
ア 教員の資質能力の向上

文部科学省は,学校現場の多様なニーズに対応した実践力のある教員の育成を図るため,養成・採用・研修の一体的な改革を進めている149

① 教員養成・免許制度

教職課程では,生徒指導や教育相談の理論と方法,カウンセリングに関する基礎知識について,教員を志す学生すべてが必ず学習することにしている。また,優れた知識経験や技術を有する者に免許状を授与できる制度(特別免許状制度)や,免許状を持たない社会人が教壇に立てる制度(特別非常勤講師制度)により,地域の人材や社会人を活用して,学校教育の多様化への対応や活性化を図っている。平成25(2013)年度は新たに,教育委員会と大学などが連携・協働した養成・採用などにおける先導的な取組を支援する。

② 教員研修

教員の資質能力の向上を図るため,公立学校の新任教員に対する採用後1年間の初任者研修や,在職期間が原則として10年に達した教員に対して個々の能力,適性などに応じた研修を行う10年経験者研修が制度化されている。

独立行政法人教員研修センター150は,国が行うべき研修として,各地域における指導者を養成するための学校経営研修や喫緊課題に関する研修を実施している。

イ 教員評価

教員の能力や実績をきちんと評価し,その結果を人事や処遇,研修などに適切に反映させることが重要である。

文部科学省は,教員評価制度の改善・充実を促しており,一部実施を含めるとすべての教育委員会で教員の能力や実績の評価が実施されている。

ウ 学級編制と教職員配置

「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭33法116)と「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」(昭36法188)において,公立の小学校,中学校,中等教育学校,高等学校,特別支援学校における学級編制と教職員定数の標準が定められている。これにより,学習活動や学校生活の基本的な単位である学級の規模の適正化を図るとともに,教育活動を円滑に行うために必要な教職員を確保するための教育条件の整備を図っている。

文部科学省は,累次の公立義務教育諸学校教職員定数改善計画と公立高等学校教職員定数改善計画により,計画的な改善を行い,40人学級の実現や習熟度別少人数指導の実施を図ってきた。平成24(2012)年度には,小学校1年生だけでなく2年生でも35人以下学級を実質的に全国で実現するために必要な加配定数の増(900人)のほか,小学校専科指導や特別支援教育の充実など(1,900人),東日本大震災への対応(1,000人)により,あわせて3,800人の教職員定数の改善を図った。平成25(2013)年度には,教育再生を支える基盤として様々な教育課題に対応するため,いじめ問題への対応など学校運営の改善充実(400人),通級指導など特別支援教育の充実(600人),小学校における専科指導の充実(400人)により,あわせて800人(少子化による合理化減600人を差し引き)の教職員定数の改善を図る。今後の少人数学級の推進に関しては,習熟度別指導などとあわせ,全国学力・学習状況調査などを活用してその効果を十分に検証しつつ,教職員定数の在り方全般について検討する151。なお,都道府県教育委員会の判断により国の標準を下回る学級編制の基準を定めることが可能であり,すべての都道府県において小学校低学年を中心に少人数学級が実施されている。

エ 学校における教育相談体制の充実

第2部第2章第3節2(1)「学校における相談体制の充実」を参照。)

3 放課後の居場所やさまざまな活動の場づくり

(1)放課後子どもプランの推進(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省と厚生労働省は連携して,放課後における子どもの安全で健やかな居場所づくりを地域社会の中で推進するための総合的な対策として「放課後子どもプラン」を推進している152。小学校の余裕教室などを活用して,地域の多様な方々の参画を得て,学習やスポーツ・文化活動の取組を行う「放課後子ども教室」は,平成24(2012)年6月現在,1,076の市町村で10,098教室が行われている。共働き家庭など保護者が仕事などで昼間家庭にいない子どもに授業の終了後などにおいて,児童館や学校の余裕教室を利用して遊びや生活の場を提供する「放課後児童クラブ」153は,平成24年5月現在,1,591市町村で21,085か所実施され,851,949人の子どもが登録されている(第2-4-4図)。「放課後児童クラブ」は,平成26(2014)年度末までに受入れ児童数を111万人とすることを目指している。

(2)中高生の放課後の居場所づくり(文部科学省)

各地の子どもに関係する団体や行政機関がばらばらにその地域の子どもの実情を把握しており,情報の共有が進んでおらず,子どもの居場所がどこで,何をしているのか広く知られないままとなっている。地域で子どもに関する様々な活動を行っている民間団体や行政機関がそれぞれの立場を超え,協力していくことが必要である。

文部科学省は,関係府省の協力を得て,関係機関や民間団体が連携し,子どもを見守り育てるネットワーク推進会議(平成24年12月末時点で5関係府省と42民間団体が参加)を立ち上げ,行政と地域,民間団体が協力して,学校や地域に子どもが安心して過ごせる居場所をつくる活動を推進している。

(3)体験・交流活動等の場づくり
ア 青少年教育施設(文部科学省)

青少年教育施設は,体験活動を中心とする様々な教育プログラムの実施や,子どもや若者が行う自主的な活動の支援により,青少年の健全な育成や青少年教育の振興を図ることを主たる目的として設置された施設である。(第2-4-5図)

第2-4-5図 国立青少年教育施設

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設(全国28施設)を通じて,総合的・体系的な体験活動などの機会を提供しており,平成24(2012)年度は約500万人に利用されている。被災地の子どもの心身の健全育成とリフレッシュを図るため,自然体験活動などの機会を提供する「リフレッシュ・キャンプ」も実施している。また,教育的研修支援や青少年教育に関する調査研究を実施し,それらの成果を全国の公立青少年教育施設や関係団体へ普及している。

イ 都市公園(国土交通省)

都市公園は,都市における緑とオープンスペースを確保し,水と緑が豊かで美しい都市生活空間の形成や都市住民の様々な余暇活動の場の提供のため設置されており,スポーツやレクリエーション活動などを通じて,子どもや若者をはじめあらゆる世代が交流を図ることができる場である。

国土交通省は,幅広い年齢層の人々が自然との触れ合いやスポーツ・レクリエーション,文化芸術活動といった多様な活動を行う拠点となる都市公園の整備を推進している154

ウ スポーツ活動の場(文部科学省)

スポーツは心身の健全な発達に重要な役割を果たすものである。体育・スポーツ施設155は,青少年をはじめとする地域住民の日常スポーツ活動の場であり,近年のスポーツニーズの多様化・高度化に伴い,魅力的な施設づくりが望まれている。国民の日常生活における体力つくりやスポーツ活動の場や青少年の遊び場が不足している今日,地域住民のスポーツ活動の場として,学校体育施設を地域住民に対し積極的に開放することも望まれている。

文部科学省は,国民の誰もがいつでも身近にスポーツに親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブなどの地域におけるスポーツ環境の充実への支援を推進している156

エ 自然公園(環境省)

自然公園は,優れた自然の風景地を保護するとともに,その利用の増進を図ることにより,国民の保健,休養,教化に資するとともに,生物の多様性の確保に寄与することを目的として指定されており,子どもや若者をはじめ広く国民の自然とのふれあいや野外活動の場として重要な役割を果たしている。平成24(2012)年度末現在,国立公園30か所157,国定公園56か所,都道府県立自然公園315か所が指定されている。平成23(2011)年における利用者は,延べ約8億人に達している。

環境省は,自然とのふれあいを求める国民のニーズに対応するため,平成24年度は,29の国立公園においては直轄事業により,また,35都道府県の国定公園等整備事業に対しては交付金を交付し,歩道,園地,休憩所などの安全で快適な公園利用施設の整備を推進している。このほか,環境学習・保全調査や過去に損なわれた自然環境を再生するための自然再生事業,新宿御苑などの国民公園における施設整備を実施し,広く国民に供している。

オ 水辺空間の整備(文部科学省,国土交通省,環境省)

国土交通省,文部科学省,環境省は,地域の身近に存在する川などの水辺空間(「子どもの水辺」)における環境学習・自然体験活動を推進するため,「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」を実施している。「子どもの水辺」は平成23(2011)年度末時点で,293か所が登録されている。市民団体や教育関係者,河川管理者が一体となって,「子どもの水辺サポートセンター」158による水辺での活動に必要な機材(ライフジャケットなど)の貸出しや学習プログラムの紹介といった環境学習・自然体験活動が行われている(第2-4-6図)。安全確保や親水空間確保のための水辺の整備が必要な場合には,「水辺の楽校プロジェクト」159により,水辺に近づきやすい河岸整備などを実施している。

第2-4-6図 子どもの水辺サポートセンター
カ レクリエーションの森の整備(農林水産省)

林野庁は,国有林野を国民の保健・文化・教育的利用に積極的に供するため,自然休養林などの「レクリエーションの森」の活用を推進している160(第2-4-7図)。平成24(2012)年4月1日現在,全国1,096か所,39万ヘクタールをレクリエーションの森として設定しており,平成23(2011)年度には延べ1億3,000万人が利用している。

第2-4-7図 レクリエーションの森(自然観察教育林)
(4)図書館等の充実(文部科学省)

図書館は,子どもが読書の楽しみを知ることのできる教育施設であり,子どもの読書活動の推進に資する施設である。公民館は,子どもの地域における多様な活動を支える施設であり,親子で参加する工作教室をはじめ子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。博物館は,豊富な学習資源と学芸員などの専門家を有しており,実験教室など子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。

文部科学省は,これらの施設が住民にとってより身近で利用しやすい施設となるよう,環境整備を推進している。(図書館については,第2部第2章第1節2(2)「読書活動の推進」を参照。)

4 子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(1)子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

近年,幼い子どもが被害者となる犯罪が多発し,子どもを取り巻く環境は厳しいものとなっている。こうした現状を踏まえ,子どもが犯罪などの被害に遭いにくい環境を創出するために次のような取組を行っている。

ア 通学路やその周辺における子どもの安全の確保のための支援(警察庁)

警察は,通学路や通学時間帯を考慮したパトロール活動の強化に加え,子どもが犯罪に遭ったり声掛けやつきまといにより犯罪に遭うおそれがある場合に助けを求めることができる「子ども110番の家」161(第2-4-8図)の活動に対する支援を行っている。

第2-4-8図 子ども110番の家
イ 道路,公園等の公共施設や共同住宅における防犯施設の整備等の推進(警察庁,国土交通省)

警察庁は,「安全・安心まちづくり推進要綱」に基づき,防犯に配慮した公共施設などの整備・管理の一層の推進を図っている。

警察庁,国土交通省,経済産業省と建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」は,侵入までに5分以上の時間を要するなどの一定の防犯性能を有する「防犯建物部品」の開発とその普及に努めている。また,警察庁と国土交通省の協力の下,住宅・防犯設備関連団体が「防犯優良マンション標準認定基準」を作成し,周知を図るなど,防犯に配慮した共同住宅の整備を推進している。

国土交通省は,住宅性能表示制度において,開口部の侵入防止対策を「防犯に関すること」として性能表示事項とし,防犯に配慮した住宅の普及を進めている。

(2)安心して外出や外遊びができる環境の整備
ア ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進(国土交通省)

国土交通省は,「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平18法91。以下「バリアフリー法」という。)により,施設など(旅客施設,車両等,道路,路外駐車場,都市公園,建築物など)の新設などの際の「移動等円滑化基準」への適合義務,既存の施設などに対する適合努力義務を定めるとともに,「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において,平成32(2020)年度末までの整備目標を定め,バリアフリー化の推進を図っている。また,市町村が作成する基本構想に基づき,重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進しているとともに,バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め,協力を求める「心のバリアフリー」を推進するため,高齢者,障害者などの介助体験や疑似体験を行う「バリアフリー教室」などを開催しているほか,バリアフリー施策のスパイラルアップ(段階的・継続的な発展)を図っている。具体的なバリアフリー化における取組として,

  • 歩行空間については,多数の高齢者や障害者が通常徒歩で移動する駅,官公庁施設,病院などを結ぶ道路において,幅の広い歩道などの整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善,視覚障害者誘導用ブロックの設置などを推進している。
  • 水辺空間については,治水上,河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備を通じたまちづくりと一体となった水辺整備の支援などを実施している。
  • 都市公園については,子どもから高齢者まで幅広く安全で快適に利用することができるよう,園路の段差解消や誰もが使いやすいトイレの整備などを行っている。
  • 官庁施設については,妊婦,乳幼児連れの者をはじめすべての人が,円滑かつ快適に施設を利用できるよう,窓口業務を行う事務室の出入口の自動ドア化,多機能トイレの設置などを推進している。
  • 公共交通機関については,バリアフリー法に基づき公共交通事業者などに対して,旅客施設の新設・大規模な改良や車両などの新規導入の際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付け,既存施設については同基準への適合努力義務が課されているとともに,その職員に対し,バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。さらに,旅客船,鉄道駅など旅客ターミナルのバリアフリー化やノンステップバス,リフト付きバス,福祉タクシーの導入などに対する支援措置を実施している。
  • 建築物については,バリアフリー法に基づく認定特定建築物のうち一定のものについては,スロープ,エレベーターなどの整備に対する助成により優良なバリアフリー建築物の建築の一層の促進を図っている。

国土交通省と警察庁は,バリアフリー法の重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機などについては,平成32年度までに,原則としてすべての当該道路において,音響信号機,歩行者感応信号機などの信号機の設置,歩行者用道路であることを表示する道路標識の設置,横断歩道であることを表示する道路標示の設置などのバリアフリー化を実施する。(第2-4-9図)

第2-4-9図 歩行空間のバリアフリー化
イ 通学路の交通安全対策(警察庁,文部科学省,国土交通省)

文部科学省,国土交通省,警察庁は,平成24(2012)年4月に相次いで登下校中の子どもが巻き込まれる交通事故が発生したことを踏まえ,学校,道路管理者,警察が保護者などと連携して通学路の緊急合同点検を実施するよう要請し,通学路の交通安全の確保を図るための対策を推進している。

警察は,通学路における安全を確保するため,道路交通実態に応じ,教育委員会,学校,道路管理者などの関係機関と連携し,信号機や横断歩道の整備などの対策を推進している。

文部科学省は,平成25(2013)年度には,特に対策が必要な市町村に対し,通学路安全対策アドバイザーを派遣し,専門的な見地からの必要な指導・助言の下,学校や教育委員会,関係機関の連携による通学路の合同点検や安全対策の検討を行う。また,取組の成果を全国に周知し,通学路の安全対策に関する情報の共有を図る。

国土交通省は,教育委員会,学校,警察などの関係機関と連携し,歩道の整備,防護柵の設置,路肩のカラー化などの対策を推進している。

ウ 公園遊具の安全点検(国土交通省)

国土交通省は,遊具の安全確保を図り,安全で楽しい遊び場づくりを推進するため,「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」の周知徹底に取り組んでいる162

エ 生活道路における交通安全対策の推進(警察庁,国土交通省)

交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合が5割を超え,欧米と比べて高い割合となっている(第2-4-10図)。また,交通事故死者の約5割が,自宅付近で被害に遭っている(第2-4-11図)。歩行者や自動車が主役となる生活道路は,空間の確保が困難な幅員の狭い道路が多い。

警察庁と国土交通省は,空間そのものを安全にするという視点に立って,ゾーン設定による最高速度30km/hの区域規制や,車道幅員縮小による路側帯拡幅,物理デバイス設置などの車両の速度抑制方策を効果的に組み合わせ,市街地や住宅地で人優先のエリアを形成している。

オ 自転車利用環境の整備(警察庁,国土交通省)

国土交通省と警察庁は,自転車の事故対策などのため,平成24(2012)年11月,「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」163を策定し,道路空間の再配分などにより,歩行者・自転車・自動車を適切に分離し,安全で快適な自転車利用環境創出のための取組を推進している。

カ 住民参加による地域づくり(厚生労働省)

厚生労働省は,子どもの通学安全確保のための取組などの地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的な取組に対する支援を行う「地域福祉等推進特別支援事業」などを通じて,住民参加による地域づくりの一層の推進を図っている。


142 http://katei.mext.go.jp/index.html
143 http://manabi-mirai.mext.go.jp/headquarters.html
144 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/004.htm
145 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/index.htm
146 学校評価には,①法令上の実施義務が課されている自己評価(各学校の教職員が自ら行う評価),②実施が努力義務となっている学校関係者評価(保護者や地域住民が自己評価結果を踏まえて行う評価),③任意に実施する第三者評価(学校運営に関する外部の専門家により専門的視点で行う評価)がある。
147 平成23(2011)年度は93.7%の公立学校で実施されている。
148 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakko-hyoka/index.htm
149 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_h.htm
150 http://www.nctd.go.jp/
151 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hensei/003/1330999.htm
152 http://manabi-mirai.mext.go.jp/
153 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/houkago-jidou.html
154 http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/p_toshi/index.html
155 全国に体育・スポーツ施設は約22万か所あり,そのうち,学校体育・スポーツ施設が約61%,公共スポーツ施設が約24%,民間スポーツ施設が約8%,大学・高専体育施設が約4%,職場スポーツ施設が約3%となっている。これらのうち,地域住民の身近なスポーツ活動の場となる学校体育・スポーツ施設についてみると,最も設置数の多い施設は体育館で,約37,000か所となっており,次いで,多目的運動広場が約36,000か所,水泳プール(屋外)が約28,000か所,庭球場(屋外)が約1万か所となっている。
156 http://www.mext.go.jp/a_menu/a004.htm
157 http://www.env.go.jp/park/
158 「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」の推進・支援組織として財団法人河川環境管理財団内に設立されている。http://www.mizube-support-center.org/
159 http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/main/kankyou/gakkou/
160 「レクリエーションの森」は,それぞれの森林の特徴や利用の目的に応じて,自然休養林,自然観察教育林,風景林,森林スポーツ林,野外スポーツ地域,風致探勝林の6種類に区分される。http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/reku/rekumori/rekumori.html
161 「子ども110番の家」地域で守る子どもの安全対応マニュアル(http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki62/pdf/kodomo110-1.pdf)
162 http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/ko_shisaku/kobetsu/yuugu.html
163 http://www.mlit.go.jp/road/road/bicycle/pdf/guideline.pdf
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