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第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第5章 今後の施策の推進体制等

第2節 広報啓発等

1 広報啓発・情報提供等

(1)広報啓発活動(内閣府,各省庁)
ア 子ども・若者育成支援強調月間(内閣府)

内閣府は,子ども・若者育成支援に関する国民運動の一層の充実や定着を図ることを目的として,昭和53(1978)年から,毎年11月を「子ども・若者育成支援強調月間」187と定め,関係府省,地方公共団体,関係団体と共に,諸事業,諸活動を集中的に実施している(第2-5-2図)。平成24(2012)年度は,以下の4点を重要事項とした。

第2-5-2図 子ども・若者育成支援強調月間
  • 子ども・若者の社会的自立支援の促進
  • 生活習慣の見直しと家庭への支援
  • 児童虐待の予防と対応
  • 子ども・若者を犯罪や有害環境などから守るための取組の推進

月間中,関係府省や各都道府県,関係団体においては,大会,研修会,社会参加活動といった行事や広報啓発活動が行われた。

イ 子ども若者育成・子育て支援功労者表彰,社会貢献青少年表彰等(内閣府)

内閣府は,子どもや若者を育成支援する活動,子育てと子育てを担う家族を支援する活動において顕著な功績があった企業,団体,個人に対し「子ども若者育成・子育て支援功労者表彰」を,社会貢献活動において顕著な功績があった青少年(団体を含む。)に対し「社会貢献青少年表彰」を実施している。また,子どもや若者を育成支援する優れた活動などを広く社会に紹介する「子ども若者育成・子育て支援活動事例紹介事業」を実施している188。平成24(2012)年度には,

  • 「子ども若者育成・子育て支援功労者表彰」では,1企業,3団体,1名を内閣総理大臣から表彰,子ども・若者育成支援部門として12団体,3名を,子育て・家族支援部門として4企業,10団体を内閣府特命担当大臣(青少年育成,少子化対策)からそれぞれ表彰
  • 「社会貢献青少年表彰」では,11団体,3名を内閣府特命担当大臣(青少年育成)から表彰
  • 「子ども若者育成・子育て支援活動事例紹介事業」では,7団体,14名が実施している子ども・若者を育成支援する活動を,5団体,2名が実施している子育てと子育てを担う家族を支援する活動を紹介

した。

ウ 青少年の非行・被害防止全国強調月間(内閣府,警察庁)

内閣府は,昭和54(1979)年から,学校が夏休みに入る毎年7月を「青少年の非行・被害防止全国強調月間」として定め,幅広い関係省庁の参加と関係団体の協力・協賛を得て,国民の非行防止意識の高揚,非行など問題行動への対応の強化を図っている(第2-5-3図)。平成24(2012)年度は,次の事項を重点課題とした。

第2-5-3図 青少年の非行・被害防止全国強調月間
  • インターネット利用に係る非行及び犯罪被害防止対策
  • 有害環境への適切な対応
  • 薬物乱用対策などの推進
  • 不良行為及び初発型非行(犯罪)の防止
  • 再非行(犯罪)の防止
  • いじめ・暴力行為などの問題行動への対応
  • 青少年の福祉を害する犯罪被害の防止

警察庁は,平成24年7月の「青少年の非行・被害防止全国強調月間」に合わせ,「目で見る非行防止運動」として,非行防止を訴えるポスター約7万枚を作成して全国各地に掲示した。また,全国の主要なプロ野球場とプロサッカー競技場に対し,試合開催時の電光掲示板などを活用した広報への協力を依頼した。

エ 児童虐待防止推進月間(厚生労働省,内閣府)

厚生労働省は,内閣府と共に,平成16(2004)年から,毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と位置付け,児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図っている(第2-5-4図)。月間中,関係府省庁や地方公共団体,関係団体と連携した集中的な広報・啓発活動を実施している。平成24(2012)年度は,月間標語の公募・決定,「子どもの虐待防止推進全国フォーラム」の開催(11月24日・北海道札幌市),広報用ポスターとリーフレット,児童相談所全国共通ダイヤル紹介カードの作成・配布,政府広報を活用した各種媒体(インターネットテレビ,ラジオ,新聞など)により,児童相談所全国共通ダイヤル(0570-064-000)の周知徹底を図るなどの広報・啓発を実施した。また,児童虐待防止の啓発を図ることを目的に民間団体(特定非営利活動法人児童虐待防止全国ネットワーク)が中心となって実施している「オレンジリボンキャンペーン」を後援している。

第2-5-4図 児童虐待防止月間

COLUMN NO.11
学生によるオレンジリボン運動

1 背景

子どもの虐待については,発生予防,早期発見・早期対応,虐待を受けた子どもの保護や自立に向けた支援など切れ目のない支援が行われるよう対策が推進されているが,児童相談所及び市町村における児童虐待に関する相談対応件数は増加し続けるとともに,虐待による死亡事例が後を絶たない状況にある。

このような状況の中,社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会の子ども虐待による死亡事例に関する検証結果から,国や地方公共団体に対して若年者などへの虐待予防のための広報・啓発についても提言がなされている。

具体的には,児童虐待防止の取組として,近い将来,親になりうる若年者に対し,どのような行為が児童虐待となりうるのか,どのような行為が子どもの生命を危険にさらす可能性があるのかなど,児童虐待の防止に資する具体的な知識の提供,子育てで困った際に相談できる窓口の周知,幼い子どもの特徴や育児について学ぶ機会の提供などが提言されている。

2 学生によるオレンジリボン運動の実施

「オレンジリボン運動」とは,NPO法人児童虐待防止全国ネットワークが中心となり,オレンジリボンをシンボルに進める児童虐待防止の市民運動である。厚生労働省では,先の提言を受け,近い将来親になる若者たちにも,この運動に参加してもらい,児童虐待問題に関する理解を深めてもらうことを目的として,平成24年度は試行的に,社団法人全国保育士養成協議会の協力を得て7大学で実施した。

学生自身が主体となって「オレンジリボン運動」を行うことにより,準備の段階で児童虐待の定義や児童虐待の現状について知見を深め,さらに啓発活動を行う学生は多くの知識を学ぶことになる。また,学生が啓発運動を行うことにより,同年代の若者に伝わりやすいという側面もある。

実施する大学には,厚生労働省やNPO法人児童虐待防止全国ネットワークから,児童虐待防止推進月間ポスター・リーフレット,児童相談所全国共通ダイヤル周知カード,オレンジリボンが提供される一方,具体的な企画・実施方法については学生自らの創意工夫により実施された。

コラム11 事前学習の風景,啓発運動の風景

「オレンジリボン運動」を実施した学生からは次のような感想があった。

  • オレンジリボン運動を知らない学生も多かったことから,今回の活動によって広めることができた。
  • 周囲の人が協力していく必要がある。
  • 決して他人事ではなく,不安を覚えた。
  • 事前学習を行ったので,児童虐待に対する理解が深まり,意識が高まった。
  • 虐待に関心を持ち,知識を増やし,虐待を防ぐ活動をすることは大切なことだと思った。

今後も10代~20代の若者による児童虐待についての広報・啓発活動の一つである学生による「オレンジリボン運動」が広がっていくことを期待している。各実施校での取組については厚生労働省ホームページ189で公開している。

オ "社会を明るくする運動"~犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ~(法務省)

法務省は,犯罪や非行のない明るい社会を実現するため,昭和26(1951)年から,"社会を明るくする運動"190(第2-5-5図)を主唱し,毎年7月を強調月間として,全国各地で世論の啓発,社会環境の改善,犯罪の予防を目的とする地域住民の活動の促進などに努めている。この運動の実施に当たっては,保護司会,更生保護女性会,BBS会をはじめとする民間協力組織や地方自治体をはじめとする関係機関・団体の約3万団体の協力を得て,地域における更生保護への理解促進と犯罪予防のための広報啓発活動の強化に努めている。月間中は,全国各地で,非行防止活動,子育て相談活動,地域で非行問題や非行に陥った少年の立ち直り支援を話し合うシンポジウム,ミニ集会活動,各種広報活動のほか,ワークショップ,親子触れ合い行事といった子どもの主体的参加を得た行事が積極的に実施されている。平成24(2012)年の本運動(第62回)では,映画とのタイアップポスターを作成し,「立ち直りを支える取組についての理解促進」「就労・住居等の生活基盤づくりにつながる取組の推進」を重点目標として,全国各地で各種行事が行われた。また,次代を担う小中学生を対象に,平成5(1993)年の第43回から実施している「"社会を明るくする運動"作文コンテスト」では,小中合わせて8,580校から約25万点もの応募があった。

第2-5-5図 社会を明るくする運動
カ 人権に関する啓発活動(法務省)

法務省は,人権擁護機関において,年間を通じて全国各地で,児童虐待やいじめ,児童の権利に関する条約,子どもの人権に関する講演会,シンポジウム,座談会などの開催,各種啓発冊子の配布などの様々な啓発広報活動を実施している。また,毎年12月4日から10日までの人権週間を中心に「子どもの人権を守ろう」を年間強調事項として掲げ,啓発広報活動を実施している。このほか,小学生や中学生を対象とした以下の啓発活動を行った。

  • 主に小学生を対象とした啓発活動として,昭和57(1982)年から,子どもが協力して花の種子などを育てることを通じ,優しさと思いやりの心を体得することなどを目的とした「人権の花運動」を実施している。平成24(2012)年度は,小学校を中心に3,844団体からの参加があった。併せて,児童に「いじめ」などについて考えてもらうための「人権教室」も開催している。
  • 中学生を対象とした啓発活動として,全国人権擁護委員連合会と共に,昭和56(1981)年から,「全国中学生人権作文コンテスト」を実施している。平成24年度に開催された第32回大会には,全国の中学校の約58.0%に当たる6,819校から,937,287編もの多数の作品の応募があった。
キ 国民運動としての「食育」の推進(内閣府)

内閣府は,毎年6月を「食育月間」,と定め,全国的に,各種広報媒体や行事などを通じた広報啓発活動を重点的に実施するとともに,毎月19日を「食育の日」と定め,食育推進運動を継続的に展開し,地方自治体,関係団体などによる食育の促進を図っている。平成24(2012)年度の食育月間では,食を通じたコミュニケーション,バランスの取れた食事,望ましい生活リズム,食を大切にする気持ち及び食の安全の5つを重点事項として定めるとともに,全国規模の中核的な行事として,神奈川県横浜市との共催により「第7回食育推進全国大会」を開催し(平成24年6月),約36,800人の来場を得た。平成25(2013)年度の食育月間では,広島県との共催により,「第8回食育推進全国大会」を開催する予定である。また,若い世代の食生活の改善に尽力したボランティアを対象として「食育推進ボランティア表彰」を実施している。平成24年度は,11の優秀事例を内閣府特命担当大臣から表彰した。

(2)子どもや若者向けの情報提供(各省庁)

各府省は,キッズページなどを活用し,各種の情報が子どもや若者に届きやすく,かつ,わかりやすいものとなるよう努めている。電子政府の総合窓口イーガブでは,「子供向けページ集」として,各府省のキッズページなどのリンク集を公開している191


187 昭和53(1978)年度から平成21(2009)年度までは,「全国青少年健全育成強調月間」として実施してきたが,平成22(2010)年度からは「子ども・若者育成支援推進法」の施行を踏まえ,名称を「子ども・若者育成支援強調月間」と変更した。https://www8.cao.go.jp/youth/ikusei/index.html
188 https://www8.cao.go.jp/youth/ikusei.htm
189 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/
190 http://www.moj.go.jp/hogo1/kouseihogoshinkou/hogo_hogo06.html
191 http://www.e-gov.go.jp/link/kids/index.html
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