[目次]  [戻る]  [次へ]

第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第2章 すべての子ども・若者の健やかな成長の支援

第1節 自己形成支援

1 日常生活能力の習得

(1)基本的な生活習慣の形成
(学校教育における取組)
  • 平成20(2008)年と21(2009)年に改訂された学習指導要領1(以下「新学習指導要領」という。)では,特に小学校低学年において,あいさつなどの基本的な生活習慣や社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないことに関する指導を重視するなど,道徳教育の充実を図っている。
  • 文部科学省は,
    • 平成25(2013)年8月,「心のノート」を全ての小学生・中学生に配布した。
    • 「道徳教育の充実に関する懇談会」の報告を踏まえ,「心のノート」の内容を全面改訂した教材「私たちの道徳」を作成し,平成26(2014)年度使用分を配布した。
    • 学校・地域の実情などに応じた多様な道徳教育を支援するため,全国的な事例収集と情報提供,特色ある道徳教育や道徳教材活用への支援などを行う。
(社会全体で取り組む子どもの生活習慣づくり)
  • 文部科学省は,「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している2。平成25(2013)年度には,「中高生を中心とした子供の生活習慣づくりに関する検討委員会」を開催し,生活圏の拡大や行動の多様化等により生活習慣が乱れやすい中高生を中心とした,課題や問題点,学校や地域における効果的な取組などをとりまとめた。平成26(2014)年度には,保護者などへの効果的な啓発手法などの支援方策を検討する。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,「早寝早起き朝ごはん」全国協議会の事務局として,子どもの生活リズムの向上に努めている。
(食育活動の推進)
  • 第2次食育推進基本計画(平成23年3月食育推進会議決定)では,「小学校5年生のうちほとんど朝食を食べないと回答した者」の割合を,平成27(2015)年度までに0%とすることを目指している。
  • 内閣府は,一人一人の国民が自ら食育に関する取組が実践できるように,「食育ガイド」3の普及を図っている。
  • 文部科学省は,食に関する指導を行う栄養教諭の都道府県への配置を促進している。
  • 厚生労働省は,妊産婦や子育て家庭を対象とした食に関する学習機会や情報の提供を推進している。
  • 農林水産省は,栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践を促す取組や,農林漁業者などが農作業体験の機会を提供する教育ファームなどを支援した。
  • 内閣府食品安全委員会は,ホームページで子ども向けの食品安全に関する情報を解説している。また,小学校5・6年生とその保護者を対象とする「ジュニア食品安全委員会」を夏休み期間中に開催している。
(2)コミュニケーション能力や規範意識等の育成
  • 学校教育では,教育活動全体を通じて,思いやりの心を持つことや広い心で自分と異なる意見や立場を大切にすることに関する指導が行われている。また,伝え合う力の育成を重視し,発表・討論を積極的に取り入れた学習活動が行われている。
  • 青少年教育施設では,社会性や協調性を育むため,自然体験や集団宿泊体験といった様々な体験活動の機会が提供されている。
  • 警察は,職員の学校への派遣や少年警察ボランティアなどの協力により,非行防止教室を開催している。
  • 総務省は,子どものメディアリテラシーを向上させるため,教材の開発・貸出しなどを行っている。
(3)体力の向上
(地域社会での体力向上の取組の推進)
  • 文部科学省は,平成25(2013)年度から,学校や家庭,スポーツ団体といった地域社会全体が連携して行う子どもの体力向上に向けた取組の定着を図るモデル事業を実施している。
(学校における体育・運動部活動の振興)
  • 文部科学省は,中学校で必修とされている「武道」に関する指導資料の作成などを行った。

2 多様な活動機会の提供

(1)集団遊びの機会の確保
  • 厚生労働省は,児童館4の整備を推進している。
  • 文部科学省と厚生労働省は,放課後の安全で健やかな居場所づくりを推進している。
(2)読書活動の推進
  • 文部科学省は,「子どもの読書活動の推進に関する法律」と「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」(第3次)に基づき,「子どもの読書活動推進フォーラム」などにより,子どもの読書活動を推進している5
(3)地域等での多様な活動
(体験活動の推進)
  • 文部科学省は,家庭や企業などへの体験活動に対する理解を求めていくための普及啓発を推進するとともに,体験活動を推進する企業の表彰6に取り組んでいる。平成25(2013)年度からは,体験活動の評価・顕彰に関する調査研究を行っている。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,「体験の風をおこそう運動」を推進している7
(環境学習)
  • 環境省をはじめとする関係府省は,「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」と「環境保全活動,環境保全の意欲の増進及び環境教育並びに協働取組の推進に関する基本的な方針」(平成24年6月閣議決定)に基づき,家庭,学校,職場,地域その他あらゆる場における,生涯にわたる質の高い環境教育の機会を提供している8
  • 環境省は,「持続可能な開発のための教育」(ESD:Education for Sustainable Development)の視点を取り入れた環境教育プログラムの作成や実証などを通じて,持続可能な社会の担い手を育む環境教育を推進している。
  • 文部科学省は,子どもがその発達段階に応じて,環境の保全についての理解と関心を様々な機会に深めることができるよう,学校教育と社会教育で環境教育を推進している。
(自然体験)
  • 文部科学省は,広く体験活動に対する理解を求めるための家庭や企業に対する普及啓発を推進している。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設の立地条件や特色を活かした自然体験活動の機会と場の提供を行っている。
  • 林野庁は,文部科学省と連携して,子どもが森林で様々な体験活動を行う機会を提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を推進している9。また,国有林野事業の中で,学校による体験活動の場を提供する「遊々の森」の設定に取り組んでいる10(図表2)。
    図表2 「遊々の森」の活用事例
  • 環境省は,「みどりの月間」(4月15日~5月14日),「自然に親しむ運動」(7月21日~8月20日),「全国・自然歩道を歩こう月間」(10月)を通じて,子どもが自然とふれあう機会を提供している。
(警察による社会奉仕活動やスポーツ活動の場の提供)
  • 警察は,社会奉仕活動や生産体験活動といった社会参加活動,警察署の道場を開放した柔剣道教室をはじめとするスポーツ活動など,少年の多様な活動機会の確保と居場所づくりを推進している。
(文化活動の奨励)
  • 文部科学省は,実演芸術に身近に触れることができる機会を提供するなど,子どもの文化芸術体験活動を推進している。
(花育活動の推進)
  • 農林水産省は,文部科学省や国土交通省と連携して,花や緑との触れ合いを通じて子どもに優しさや美しさを感じる気持ちを育む「花育活動」を推進している。
(都市と農山漁村の共生・対流の促進)
  • 農林水産省,文部科学省,総務省は,子どもの農山漁村での宿泊体験活動に関する取組に支援を行っている。
(4)生涯学習への対応
(高等教育機関における学修機会の充実に関する取組)
  • 独立行政法人日本学生支援機構は,平成26(2014)年度から,若者の学び直しを支援するため,奨学金制度の弾力的運用(同学種間(例:学部→学部)での再貸与の制限の緩和)を行う。
(学習した成果の適切な評価)
  • 文部科学省は,民間教育事業者などが行う検定試験の質の確保や向上を図っている。
(女性の生涯学習)
  • 文部科学省は,女性のライフプランニング支援に関する情報提供をホームページで行っている。

3 学力の向上

(1)知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立
  • 文部科学省は,新学習指導要領の円滑な実施に向け,教職員定数の改善や新たに必要となる補助教材の作成・配布,理科教育設備の整備への支援,理数教育や外国語教育その他の各教科や活動の充実を支援している。平成26(2014)年度には,
    • 全国学力・学習状況調査による子どもの学力や学習状況の把握
    • 理科教育の推進のため,小学校・中学校に観察実験アシスタントを配置するための補助事業の創設や,設備整備の補助の拡充
    • 子どもたちの土曜日の教育活動の充実
    などを行う。(図表3,図表4)
    図表3 新学習指導要領の理念
    図表4 新学習指導要領実施スケジュール
    また,小・中・高校を通じた英語教育の抜本的充実に係る検討を行っている。
(2)基礎学力の保障等
  • 文部科学省は,習熟度別少人数指導,ティーム・ティーチング,小学校の専科指導などの工夫・改善を行う学校や特別な配慮が必要な学校などに対し,教職員の加配定数を措置している。
(3)高校教育の質の保証
  • 文部科学省は,学校評価の取組の推進などの多様な施策を実施している。また,平成25(2013)年度からは,高校教育を通じて身に付けるべき資質・能力を評価する手法についての調査研究を行っている。
(4)学校教育の情報化の推進
  • 文部科学省11と総務省12は連携して,公立小学校10校,中学校8校,特別支援学校2校の計20校を実証校として,「学びのイノベーション事業」と「フューチャースクール推進事業」を行ってきた。平成26(2014)年度からは,新たな連携事業として「先導的な教育体制構築事業」「先導的教育システム実証事業」を行う。

4 大学教育等の充実

(1)大学の教育内容の充実
(教育機能の充実)
  • 文部科学省は,大学の個性・特色ある優れた取組に対する財政支援や情報発信を行っている。平成26(2014)年度から新たに,先進的な取組を支援する「大学教育再生加速プログラム」を実施している。
(教育研究の質の維持・向上)
  • 文部科学省は,大学の設置認可申請から完成年度までの質保証を行っている。また,認証評価制度により,大学の教育研究の質の維持・向上を図っている。
(高度な大学教育の充実)
  • 文部科学省は,国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援する「グローバルCOEプログラム」を実施している13。また,大学院教育の抜本的改革を支援する「博士課程教育リーディングプログラム」を実施している14
(学修支援サービス)
  • 文部科学省は,多様化した学生の学修活動を支援する取組を行っている大学に関する調査の結果を発信することで,大学の取組を促進している。
(2)専修学校教育の充実
  • 文部科学省は,専修学校教育の振興を図るため,以下のような取組を行っている。
    • 平成25(2013)年8月,より実践的な職業教育の質の確保に取り組む専門課程を大臣が認定し奨励する規程を公布・施行
    • 成長分野における中核的専門人材の養成を産学官連携の下で推進

5 経済的支援の充実

(1)「児童手当制度」
  • 児童手当は,家庭における生活の安定に寄与するとともに,次代の社会を担う子どもの健やかな成長に資することを目的とし,中学校修了前の子どもを養育している方に支給される。
(2)公立高校授業料無償制・高等学校等就学支援金制度
  • 文部科学省は,「公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律」に基づき,公立高校の授業料を無償とし,私立高校などの生徒に対しては高等学校等就学支援金を支給している。平成25(2013)年11月に低所得者支援の充実と公私間格差の是正を図るための所得制限を設ける法改正が行われ,平成26(2014)年4月1日に施行された。所得制限により捻出された財源で,低所得世帯の私立高校生などへの就学支援金の加算拡充や「高校生等奨学給付金制度」の創設などを行う。
(3)奨学金等の支援
(初等中等教育段階における取組)
  • 文部科学省は,幼稚園就園奨励費補助金により所要経費の一部補助を行っており,平成26(2014)年度は新たに,保育所と同様に,生活保護世帯の保護者負担を無償にするとともに,第2子の保護者負担を半額にし,第2子・第3子の所得制限を撤廃した。経済的理由により小学校・中学校への就学が困難と認められる子どもの保護者に対しては,各市町村が学用品の給与などの就学援助を行っている。高校と専修学校高等課程などの子どもに対しては,所得連動返済型奨学金制度15の整備を促進している。平成26年度は,低所得世帯の高校生などの授業料以外の教育費負担を軽減するため,返済不要の「高校生等奨学給付金制度」を創設する。
(高等教育段階における取組)
  • 文部科学省は,独立行政法人日本学生支援機構16が実施する奨学金事業の充実や,各大学が実施する授業料減免への支援を行っている。

第2節 子ども・若者の社会形成・社会参加支援

1 社会形成への参画支援

(1)社会形成・社会参加に関する教育(シティズンシップ教育)の推進
(学校教育における取組)
  • 新学習指導要領では,社会参画という視点を重視し,例えば,「社会生活を営む上で大切な法やきまり」(小学校),「契約の重要性」(中学校),「国民の司法参加」(小学校・中学校・高校)を新たに扱うこととするなど,教育内容の充実が図られている。
  • 文部科学省は,平成25(2013)年度に,地域の抱える具体的な課題の解決に係る体験的・実践的な学習を学校と地域が連携して行うためのプログラム開発に関する調査研究を教育委員会などに委託して行った。平成26(2014)年度には,開発したプログラムを全国に発信する。
(法教育)
  • 法務省は,法教育の普及・発展のため,教材やリーフレットの配布などを行っている。
(租税教育)
  • 国税庁は,関係府省や関係民間団体と連携しながら,学校の教員を対象とした講習会や租税教室への講師派遣などに努めている。
(金融経済教育)
  • 金融庁は,「金融リテラシー(知識・判断力)を身に付けるためのシンポジウム」の各財務局との共催や「基礎から学べる金融ガイド」の全国の高校・大学などへの配布,財務局・財務事務所から高校などへの講師派遣などを実施している。
(労働者の権利・義務に関する教育)
  • 厚生労働省は,労働者としての権利,義務,各種制度についての教育や啓発活動を推進している。
(2)子ども・若者の意見表明機会の確保
  • 内閣府は,子どもや若者が積極的に意見を述べる機会を作り,その社会参加意識を高めるため,「青少年意見募集事業」を実施している17。平成26(2014)年度には,関係府省の施策担当者と子ども・若者が対面で議論・意見交換を行う事業を実施する。
  • 関係府省は,インターネットを活用した意見の公募などにより,子どもや若者が政策決定過程に参画する機会を確保している。

2 社会参加の促進

(1)ボランティアなど社会参加活動の推進
  • 学校教育では,総合的な学習の時間や特別活動において,ボランティア活動などの社会参加活動が行われている。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,「学生ボランティアと支援者が集う全国研究交流集会」を実施している。
(2)国際交流活動
(グローバル化に対応した国際教育の充実)
  • 文部科学省18は,都道府県や民間団体が行う,高校生に対する海外留学費用の一部支援や外国人高校生の日本の高校への短期招致などを支援している。また,留学促進キャンペーン「トビタテ!留学JAPAN」による留学機運の醸成とともに,官民が協力した海外留学支援の新たな仕組みを創設し,平成26(2014)年度には国費による奨学金の給付対象を拡大する。
(国際交流を通じたグローバル人材の育成)
  • 内閣府は,国際化する社会に対応し,国際化する社会に対応し,リーダーシップを発揮して活躍できる人材を育成することを目的に,青年国際交流事業を実施している。(図表5)
    図表5 青年国際交流事業
  • 文部科学省は,平成25(2013)年度は,「国際社会で活躍できる青少年を育む国際交流事業」を実施した。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,絵本・童話を通してお互いの文化の特徴や共通性の認識を深めることを目的とする「日中韓子ども童話交流事業」を実施している。
  • 外務省は,アジア大洋州諸国との交流「JENESYS2.0」や北米地域における「KAKEHASHI Project -The bridge for tomorrow-」を実施している。

第3節 子ども・若者の健康と安心の確保

1 健康の確保・増進

(1)安心で安全な妊娠・出産の確保,小児医療の充実等
(安心で安全な妊娠・出産の確保)
  • 厚生労働省は,妊娠や出産に係る経済的負担の軽減や,周産期医療体制の整備・救急搬送受入体制の確保,妊娠や出産に関する情報提供や相談支援体制の整備,マタニティマークの普及啓発などに取り組んでいる。
(地域保健の充実)
  • 厚生労働省は,妊産婦・乳幼児に対する健康診査や保健指導といった母子保健事業を推進している。また,平成26(2014)年度は,妊娠から出産,子育て期までの切れ目ない支援を行うためのモデル事業を実施する。
(小児医療・予防接種の充実)
  • 厚生労働省は,小児初期救急センター,小児救急医療拠点病院,小児救命救急センターの整備の支援や,小児救急電話相談事業(#8000)の実施の支援などにより,小児救急医療を含め,小児医療の充実を図っている。平成25(2013)年度から,Hib感染症,小児の肺炎球菌感染症,ヒトパピローマウイルス感染症(子宮頸がんなど)の3つの予防接種を,「予防接種法」に基づく定期接種とした。また,水痘などの定期接種化の準備やおたふくかぜ,B型肝炎の2ワクチンの取扱いを検討している。
(2)思春期特有の課題への対応
  • 文部科学省は,喫煙や飲酒,薬物乱用,感染症などについて総合的に解説した教材19を作成し,小・中・高校などに配布している。
  • 厚生労働省は,「健康日本21」20と「健やか親子21」21において,未成年者による喫煙と飲酒の根絶を目標に掲げ,シンポジウムやホームページを活用して,喫煙と飲酒による健康に対する影響についての情報提供を行っている。「健やか親子21」は平成26(2014)年に終期を迎えることから,平成27(2015)年度から開始する次期計画における目指すべき姿や指標・目標などについて検討を進めている。
(3)健康教育の推進
  • 学校では,「学校保健安全法」に基づき,養護教諭と関係教職員が連携した保健指導や,関係機関との連携による救急処置・健康相談・保健指導の充実が図られている。性に関する問題については,体育科や保健体育科,特別活動などを中心に学校教育全体を通じた指導が行われている。

2 相談体制の充実

(1)学校における相談体制の充実
  • 文部科学省22は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充を図っている(図表6)。また,教職員を対象とした研修会やシンポジウム,指導参考資料の作成などを行っている。
    図表6 スクールカウンセラー配置箇所数の推移
(2)地域における相談,医療機関での対応
  • 厚生労働省は,以下の取組を行っている。
    • 子育て親子が相談・交流ができる「地域子育て支援拠点」の設置の推進
    • 学童期や思春期に多くみられる心の問題に対応するため,精神保健福祉センターや保健所,児童相談所における,医師,保健師,精神保健福祉士による相談の推進
    • 性に関する健全な意識をかん養し正しい理解の普及を図るための,価値観を共有する同世代の仲間による相談・教育活動の普及促進
    • 平成24(2012)年4月に創設した障害児相談支援が平成27(2015)年4月から障害児通所支援を利用するすべての子どもに実施されるよう,それまでの経過措置期間に体制整備を促進
    • 都道府県における拠点病院を中核とし,各医療機関や保健福祉機関と連携した支援体制の構築を図る「子どもの心の診療ネットワーク事業」の実施

第4節 若者の職業的自立,就労等支援

1 就業能力・意欲の習得

(1)勤労観・職業観と職業的自立に必要な能力の形成
(キャリア教育・職業教育の推進)
  • 文部科学省,厚生労働省,経済産業省の3省は,学校,地域,産業界が一体となって社会全体でキャリア教育を推進していこうという気運を高めるため,「キャリア教育推進連携シンポジウム」を実施している。
  • 文部科学省と経済産業省は,学校関係者や地域社会,産業界といった関係者の連携・協働による取組を表彰する「キャリア教育推進連携表彰」23を実施している。
  • 文部科学省は,上記のほか,以下の取組を行っている24
    • 企業による出前授業などの教育活動支援,職場体験・インターンシップ受入れ先の開拓やマッチングなど,地域における学校のキャリア教育を支援する組織の整備の促進(地域キャリア教育支援協議会設置促進事業)25
    • 高校の教員に理解を深めてもらうための「キャリア教育推進アシストキャラバン」の実施
    • 小学校・中学校・高校において学校の特色を生かしたキャリア教育の年間指導計画を作成する際に参考となるパンフレットを作成・配布し,ホームページにも掲載26
    • 学校や教育委員会におけるキャリア教育に関する研修のための動画コンテンツと資料をホームページで配信27
    • 学校が望む支援と地域・社会や産業界などが提供できる支援をマッチングさせる特設サイト「子どもと社会の架け橋となるポータルサイト」28の運用
    平成26(2014)年度には新たに,高校にインターンシップコーディネーターを配置する事業を行う。
  • 厚生労働省は,企業で働く者などを講師として中学校や高校に派遣し,職業や産業の実態,働くことの意義,職業生活を子どもに理解させ,考えさせる「キャリア探索プログラム」を実施している。また,キャリア教育の企画・運用を担う人材を養成するための講習を行う「キャリア教育専門人材養成事業」を実施している。
  • 経済産業省は,先進的な教育支援活動を行っている企業・団体を表彰する「キャリア教育アワード」を実施している29。また,職場や地域社会で仕事をしていく基礎的な力を「社会人基礎力」30として整理し,大学教育を通した育成や評価の取組の普及を図っている。
(インターンシップ(就業体験)の推進)
  • 文部科学省,厚生労働省,経済産業省は,「インターンシップ推進に当たっての基本的考え方」(平成9年文部省,通商産業省,労働省)を平成26(2014)年4月に一部改正し,公表した。
  • 経済産業省は,長期インターンシップを推進するため,受入れ企業促進に向けたツール・メソッドの整備,産学をつなぐ専門人材のための活用ガイドの策定に取り組んだ。
(女性若年層に対する啓発)
  • 内閣府は,女性若年層に対して,女性の進出が遅れている理工系などの分野に関する情報提供を行っている。
  • 厚生労働省は,女子学生が的確に職業や進路を選択するための資料を作成し,高校や大学を通じて配布している。また,文部科学省と連携し,就職先を選択する際には「ポジティブ・アクション応援サイト」31などを参考にするよう,大学や高等専門学校を通じて,学生に対する啓発を図っている。
  • 文部科学省は,男女共同参画の視点に立ったキャリア形成支援の推進を図るための教材を作成し,普及・啓発を図っている。
  • 経済産業省は,育児などで一度退職し再就職を希望する女性などに対して中小企業・小規模事業者が実施する職場実習を支援する「中小企業新戦力発掘プロジェクト」を実施している。
  • 独立行政法人国立女性教育会館32は,大学などと連携し,女子学生を対象とし,就業も含めた女性としてのキャリア形成について学ぶ研修などを行っている。
(2)能力開発
(公的職業訓練)
  • 厚生労働省は,公共職業能力開発施設のほか,大学を含む多様な民間教育訓練機関も活用しつつ,公共職業訓練を実施している。また,求職者支援制度33により,雇用保険を受給できない若者などに対して,きめ細かな就職支援を行っている。
(ジョブ・カード制度,若年技能者の人材育成)
  • 厚生労働省は,以下の取組によりジョブ・カード制度34を推進している。(図表7)
    図表7 ジョブ・カード
    • キャリア・コンサルタントによるジョブ・カードを活用したコンサルティングの実施
    • 実習と座学を組み合わせた実践的な職業訓練の受講の機会の提供
    • 職務経歴書や職業能力評価の情報をとりまとめたジョブ・カードの就職活動などにおける活用
    また,平成25(2013)年度から「若年技能者人材育成支援等事業」を開始した。
  • 文部科学省は,各成長分野において中核的役割を果たす人材養成の取組を先導する広域的な産学官コンソーシアムを組織化し,社会人や大学生,専門学校生が就労やキャリアアップに必要な知識・技術・技能を習得するための学習システムの構築を図っている。

2 就労等支援の充実

(1)高校生等に対する就職支援
  • 文部科学省は,都道府県教育委員会などに対し,都道府県労働局と連携した一層の求人開拓と未就職卒業者への配慮を依頼するとともに,経済団体に対しても,新規高校卒業者の求人枠の維持・拡大や求人秩序の確立,適正な採用選考の実施を要請している。また,就職相談や求人企業の開拓を行う「高等学校就職支援教員」(ジョブ・サポート・ティーチャー)を配置する経費が地方財政措置されており,高校で活用されている。
  • 厚生労働省は,ジョブサポーター35を活用し,講習や高校内企業説明会,求人情報の提供,職業適性検査や各種ガイダンス・セミナー,求人開拓,未内定者に対する一貫した個別支援を,学校と一体となって実施している。
(2)大学生等に対する就職支援等
(学生に対する就職支援)
  • 文部科学省は,大学の就職相談員とハローワークのジョブサポーターとの連携の促進などにより,就職支援体制を強化している。
  • 厚生労働省は,
    • 「新卒応援ハローワーク」36を全国に設置し,求人情報の提供や,職業紹介,中小企業とのマッチングなどを行っている。ジョブサポーターを活用し,就職までの一貫した担当者制による個別支援や臨床心理士による心理的サポートを行っている。新卒応援ハローワークなどに配置されているジョブサポーターを活用した全校担当制や,大学などへのジョブサポーターの相談窓口設置・出張相談を実施するなど,学校などとも連携を強化している。平成26(2014)年度からは,就職後の職場定着支援などの相談窓口を設置し,就職活動から職場で活躍するまでの総合的なサポートを実施する。(図表8)
      図表8 新卒応援ハローワークとジョブサポーターの支援による就職決定数
    • 学生向け・第二新卒向けの就職情報ポータルサイトを運営する民間企業の協力により,広報を実施している37
    • 文部科学省と経済産業省と連携し,平成26(2014)年1~3月までを集中支援期間とし,「未内定就活生への集中支援2014」を実施した38。また,4~6月までを未就職卒業生に対する集中支援期間とし,「未就職卒業生への集中支援2014」として同様の支援を集中的に実施している39
    • 若者の採用・育成に積極的な中小・中堅企業を「若者応援企業」として積極的にPRなどを行う「若者応援企業宣言事業」を実施している。
  • 経済産業省は,新卒者などの未就職者に対し,中小企業・小規模事業者が実施する職場実習を支援する「新卒者就職応援プロジェクト」や,中小企業と学生との関係構築から採用・定着までを一貫して支援する「地域中小企業の人材確保・定着支援事業」を実施している。
(秩序ある就職・採用活動への取組)
  • 平成25(2013)年4月,安倍内閣総理大臣から経済団体に対し,学生の学修時間・留学などの多様な経験を行う機会を確保する観点から,平成27(2015)年度卒業・修了予定者からの就職・採用活動開始時期変更を要請した(図表9)。これを受け日本経済団体連合会は,平成25年9月に,「採用選考活動に関する企業の倫理憲章」を見直し,「採用選考に関する指針」 を策定した。
    図表9 就職・採用活動開始時期変更後のスケジュール
  • 文部科学省は,平成25年4月に文部科学大臣より大学などの関係団体に対し,大学改革や大学教育の質的転換に積極的に取り組むよう要請した。また,通知や説明会などを通じ,就職・採用活動開始時期変更の趣旨を周知している。
(3)職業的自立に向けての支援
(ジョブカフェにおける支援)
  • 厚生労働省は,ジョブカフェ40(「若年者のためのワンストップサービスセンター」。)において企業説明会や各種セミナーを実施している。また,都道府県からの要望に応じ,ジョブカフェにハローワークを併設し,若者を対象とした職業相談・職業紹介を行っている。
(ハローワークにおける支援)
  • 厚生労働省は,ハローワークにおいて,支援対象者一人一人の課題に応じて,トライアル雇用奨励金の活用など,正規雇用化に向けた一貫したきめ細かな支援を実施している。特にフリーターの多い地域には支援拠点として,「わかものハローワーク」などを設置し,正規雇用化の支援を強化している41
(4)起業支援
  • 経済産業省は,新規開業しておおむね7年以内の若者に対して,株式会社日本政策金融公庫による低利融資を実施している。

1 文部科学省は,平成20年3月に小・中学校の,平成21年3月に高校の学習指導要領の改訂を行った。
2 http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/asagohan/index.htm
3 https://www8.cao.go.jp/syokuiku/data/guide/index.html
4 「児童福祉法」第40条に規定する児童厚生施設の1つ。
5 http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/
6 http://kids-taiken.com/award.html
7 http://www.niye.go.jp/services/taikennokaze/。構成団体は次の通り。NPO法人自然体験活動推進協議会,独立行政法人国立青少年教育振興機構,公益社団法人全国公民館連合会,社団法人全国子ども会連合会,公益財団法人ボーイスカウト日本連盟,公益社団法人ガールスカウト日本連盟,社団法人日本PTA全国協議会,公益財団法人日本レクリエーション協会,公益社団法人日本キャンプ協会,NPO法人日本子守唄協会,公益社団法人全国スポーツ推進委員連合,NPO法人全国ラジオ体操連盟,公益財団法人日本体育協会日本スポーツ少年団,一般社団法人日本ユースホステル協会。
8 http://www.env.go.jp/policy/suishin_ho/
9 林野庁「子ども森林館」ページ(http://www.rinya.maff.go.jp/kids/top.html)
10 http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/kokumin_sanka/kyouteiseido/kyoteiseido.html#yu-yu
11 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/main18_a2.htm
12 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/kyouiku_joho-ka/future_school.html
13 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/globalcoe/index.htm
14 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/hakushikatei/1306945.htm
15 貸与を受けた本人が一定の収入を得るまでの間,奨学金の返済を猶予する制度。
16 http://www.jasso.go.jp/
17 http://www.youth-cao.go.jp/
18 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_f.htm
19 中学生用http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/08111804.htm
高校生用http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/hoken/08111805.htm
20 平成24(2012)年7月に全部改正し,平成25(2013)年度から平成34(2022)年度までの国民運動の推進について定めた。
21 http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/(公式ホームページ)
22 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302910.htm
23 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/detail/1312382.htm,http://www.meti.go.jp/press/2012/01/20130131001/20130131001.html
24 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/index.htm
25 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/detail/1339053.htm
26 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/detail/1312372.htm
27 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/detail/1315412.htm
28 http://kakehashi.mext.go.jp/
29 http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/career-education/index.html
30 http://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.htm
31 http://www.positiveaction.jp/pa/
32 http://www.nwec.jp/
33 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyushokusha_shien/index.html
34 http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/job_card01/
35 平成24(2012)年度は,2,300人を全国に配置し,ジョブサポーターの支援により高卒と大卒などを合わせて約19万人の就職が決定した。
36 http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/05.html
37 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002svpl-att/2r9852000002svr2.pdf
38 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002sw3r.html
39 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xcty-att/2r9852000002xcvf.pdf
40 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/jakunensha/jobcafe.html
41 窓口の所在地などは厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002k76u.html)を参照。
[目次]  [戻る]  [次へ]