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コラム

【コラム1】 被災地の復興・再生に取り組む子ども・若者

東日本大震災からの復興・再生は我が国が取り組む大きな課題であり,今後その主役となるのは,次代を担う若者である。ここでは,被災地の復興・再生に力を尽くしている子ども・若者の取組を紹介する。

<1>「新しい東北」の創造に向けた取組 ~復興庁~

東北地方は,震災前から,人口減少,高齢化,産業の空洞化など,現在の地域が抱える課題が顕著であった。このため,単に従前の状態に復旧するのではなく,震災復興を契機として,これらの課題を克服し,我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造すべく,取組を進めている。具体的には,幅広い担い手(企業,大学,NPOなど)による先駆的な取組を加速するための「新しい東北」先導モデル事業などを実施している。

平成25(2013)年度の「新しい東北」先導モデル事業では,地域の子ども・若者を対象として,実践的な社会体験や人間力を養う機会を設けるなど,地域で地域の若者を育てる仕組みを構築することでまちの復興につなげていこうとする取組を支援している。

例えば,宮城県石巻市では,地域の高校生が,自分たちの将来像を描きつつ,自らが職場体験やインターンシップの受入先を検討・開拓する取組を進めるなど,地域で地域の高校生を育てる体制の構築を目指した取組を進めている。

「新しい東北」の創造に向けた取組の写真1
「新しい東北」の創造に向けた取組の写真2

福島県会津若松市では,ICT(情報通信技術)に特化した会津生まれのベンチャー企業を核として,日本初のコンピュータサイエンスを専門とする大学として設立された「会津大学」や自治体も巻き込み,会津にゆかりのある人材が今後の会津の人材を育てる「地域循環型の教育モデル」の構築を目指して取組を進めている。

「地域循環型の教育モデル」の構築を目指す取組の写真1
「地域循環型の教育モデル」の構築を目指す取組の写真2

<2>福島の復興・再生のために,若者がアイデア実践 ~福島県~

福島県は,若者・青少年が被災地の復興・再生に主体的かつ積極的に関わり,若者自身の自立性や社会参画の意識を高めるための取組を行っている。

“若者が地域の復興策を自ら企画し実践する。”

平成25年度から福島県が始めた「若者ふるさと再生支援事業」では,被災地の高校生や若手社会人が,復興に向けたワークショップで「自分・家族・地域のために,いま自分たちがやりたいこと」をテーマに知恵を絞っている。

初年度の平成25年には,地元の福島大学・いわき明星大学・桜の聖母短期大学の教授や学生らの協力を得て,福島県浜通り地域の3箇所で実施され,南相馬市の小高商業高校・小高工業高校(イベントには原町高校も参加)のグループ,双葉郡の双葉高校・富岡高校・双葉翔陽高校のグループ,双葉郡川内村に関わる事業所・団体の若手社会人のグループが参加した。

南相馬市の高校生グループから出されたアイデアは,原発事故後JR原ノ町駅に止まったままのスーパーひたち車両に市民の描いた絵をラッピングして走らせ,復興の気運を盛り上げること。高校生が願ったスーパーひたちでの実施は安全上かなわなかったが,JR常磐線の普通列車に市内の幼稚園児が描いた花の絵をラッピングし,運行・出発式や記念列車内での交流会,駅前広場における物産展などのイベントが,JR東日本の協力のもと高校生の運営で行われ,参加した高校生は復興へ向けた地域連帯に手応えを感じていた。

「若者ふるさと再生支援事業」の写真1
「若者ふるさと再生支援事業」の写真2
「若者ふるさと再生支援事業」の写真3

双葉郡の高校生グループが考えた企画は,福島の現状を国内外や同世代の若者に知ってもらうためのWeb地図「双葉郡高校生による,観光・復興マップ」の制作。観光客を増やして福島を元気にするための観光情報に加え,ふるさとの商店・飲食店等の避難先での事業再開情報や,原発立地地域に育った自分たち高校生の複雑な思いなども盛り込まれた1

「双葉郡高校生による,観光・復興マップ」の制作の様子1
「双葉郡高校生による,観光・復興マップ」の制作の様子2

川内村の若手社会人グループは,自分たちの地域を見直すフィールドワークや地元中学生のアンケートなどを行い,何度も検討を重ねた後,川内村の魅力や現状を若者目線で情報発信するWebサイトの創設2と,若者が理想とする子どもの遊び場・居場所づくりについての村への企画提案を行った。

川内村の若手社会人グループの活動の写真1
川内村の若手社会人グループの活動の写真2

それぞれのワークショップ及び実践活動の詳細は,福島県ホームページ3に掲載されている。

<3>子どもたちの想いが詰まった地域復興のシンボル「石巻市子どもセンター」 ~宮城県石巻市~

平成26(2014)年1月,宮城県石巻市に石巻市子どもセンターがオープンした。このセンターは,石巻の活性化のために,小学生・中学生・高校生が中心となって企画・デザインされ,運営にも子どもたちが深く関わる児童館である。

センター設立に関わったのは,「石巻市子どもまちづくりクラブ THE ローリング・ストーンズ~俺等はそれをROCKと呼ぶんだぜ~」4に参加する石巻市在住の小学生・中学生・高校生たちが中心だ。「子どもまちづくりクラブ」のメンバーが作成した「夢のまちプラン」を実現するため,センターの設立・運営が企画され,平成23(2011)年からその準備が始まった。

建物の企画・デザインをするにあたり,メンバーの子どもたちが地域に住む子どもたちを回り,どんなセンターを建てたいかの聞き取り調査を実施。聞き取った子どもたちの数は全部で約100名にも及んだ。

石巻市子どもセンター設立の写真1
石巻市子どもセンター設立の写真2

さらに,行政や地域住民を招いての活動報告会を定期的に開催。何度も意見交換を重ねる形で,地域の大人たちを巻き込みながら準備は進められた。地域の大人とのふれあいを通して,子どもたちの中の「地域のために」という想いがさらに強くなっていった。

子どもたちの声・想いが形となったのは,建物の企画やデザインだけではない。市のセンター設置条例にも,前文という形で彼らの想いが盛り込まれている。

子どもセンターは,運営面も子どもたちが参加していく。その中心となるのは,「子ども会議」だ。センターをよく利用する子どもたち20名ほどが参加し,センターの利用方法について定期的に会議を開いて話し合いを重ねる。また、「子ども会議」及び「石巻市子どもまちづくりクラブ」の代表者54名は,大人も交えて開かれる「運営会議」で,大人たちと一緒に今後の運営について話し合いを行う。また,センターには,利用する子どもたちがセンターでやりたい企画を子ども会議に提案できるという制度がある。提案があると直ちにその企画は子ども会議で検討され,採用となれば,子どもたち自身が実現していく。「石巻市子どもまちづくりクラブ」も石巻市子どもセンターの事業として継続して実施されている。

子どもセンター条例全文

こうした子どもたちの活動を支えるのが地域の大人たちの役割だ。子どもたちが持つ無限の力を発揮できる環境を整えること。その支えを受け,子どもたちは地域の一員・担い手として着実な成長を遂げている。「子どもまちづくりクラブ」に参加するメンバーの一人は,「今まで活動してきて,想いを伝えること,形にすることを学びました。何よりこの活動は私にがんばった後の笑顔をくれます。復興は大人の仕事という以前の私の考えは180度変わりました!子どもだって参加します。想いがあります。伝えるから,受けとめてください。」と話す。

地域復興を願い,声をあげ,社会に参加する子どもたちの活動,そして石巻市子どもセンターの取組はまだ始まったばかりだが,着実に実を結びつつある。

上記のほか,以下のコラムを掲載している。

【コラム2】

若者の「使い捨て」が疑われる企業などへの取組

【コラム3】

「再チャレンジ懇談会」の開催

【コラム4】

地域における子ども・若者支援のネットワーク

【コラム5】

関係機関などの連携による非行少年の立ち直り支援

【コラム6】

少年鑑別所による地域支援

【コラム7】

更生保護における社会貢献活動

【コラム8】

犯罪や非行に陥った若者を積極的に雇用し,その更生を支援する

「協力雇用主」

【コラム9】

児童虐待防止キャンペーンライブ「Child Aid LIVE」

【コラム10】

里親委託の推進に関する地方公共団体の取組

【コラム11】

いじめの防止のための子どもによる自主的な取組-生徒会サミット-

【コラム12】

人と人とがつながる家庭教育支援

~和歌山県湯浅町家庭教育支援チーム「とらいあんぐる」~

【コラム13】

児童館における中高生支援の取組

~札幌市平岸児童会館“とよひらっぴーフェスティバル”~

【コラム14】

子ども・若者の育成支援に取り組む民間団体

【コラム15】

子どもの人権を守る人権擁護委員の活動

【コラム16】

高校生によるネットやケータイの問題に関する熟議

「高校生ICT Conference 2013」

【コラム17】

子どもを取り巻く有害環境の浄化対策


1 双葉郡高校生による観光・復興マップ http://www.furusato.fukushima.jp/futaba/
双葉郡高校生による観光・復興マップQRコード
2 川内村の魅力発信Webサイト http://www.furusato.fukushima.jp/kawauchi/
川内村の魅力発信WebサイトQRコード
3 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/
4 「子どもまちづくりクラブ」は,公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが取り組む復興支援活動。宮城県石巻市のほか,岩手県山田町,岩手県陸前高田市でも活動が行われている。
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