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第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備

子ども・若者育成支援は,社会のあらゆる分野における全ての構成員がそれぞれの役割を果たすとともに,相互に協力しながら取り組むことが必要である。特に,地域におけるつながりの弱体化が指摘されていることから,家族や地域の機能を補完する多様な活動を支援している。

また,子ども・若者が成長・発達するための基礎づくりのため,良好な家庭的環境の確保や大人社会の在り方の見直しなど子ども・若者を取り巻く状況の改善を図っている。

第1節 家庭,学校及び地域の相互の関係の再構築

1 保護者等への支援を行う「家庭を開く」取組(文部科学省)

家庭は,子どもの健やかな育ちの基盤である。一方,地域とのつながりの希薄化や,親が身近な人から子育てを学んだり助け合ったりする機会の減少など,子育てや家庭教育を支える環境が変化している。このため,社会全体で家庭教育を支えることが求められている。

文部科学省は,「学校・家庭・地域の連携による教育支援活動促進事業」により,身近な地域において親が家庭教育に関する学習や相談ができる体制が整うよう,家庭教育支援チームの組織化などによる相談対応や,保護者への学習機会の企画・提供などの家庭教育を支援する地方公共団体の取組を推進している(平成25(2013)年度は399市町村の3,166箇所で実施)(第2-4-1図)。また,課題を抱え孤立しがちな家庭への地域人材によるサポート体制の構築のため,実証的な調査研究を実施している。平成25年度は,家庭教育支援チームによる支援をさらに普及するため,「家庭教育支援チームの在り方に関する検討委員会」174を設置し,家庭教育支援チームの現状を把握・分析し,その組織化や効果的な取組を行うための知見・ノウハウについて検討を行った。平成26(2014)年度は,子どもの発達段階に応じた学習プログラムの開発・普及促進,アウトリーチを活用した家庭教育支援の取組についての調査・分析,研究協議の開催,企業との連携などにより,多様な主体の参画による家庭教育の充実を図る。

第2-4-1図 家庭教育支援チーム

COLUMN NO.12
 人と人とがつながる家庭教育支援
~和歌山県湯浅町家庭教育支援チーム「とらいあんぐる」~

湯浅町家庭教育支援チーム「とらいあんぐる」は,スクールソーシャルワーカー(SSW)のほか,保護司,元校長,民生児童委員など様々な分野の専門家や,PTA,地域住民の毎年15名程度の支援員で構成されている。学校・家庭・地域のつながりを基盤にした地域全体での子育てを目指して,地域人材の協力を得て積極的に活用する工夫を行いながら,情報や学習機会の提供,相談体制の充実をはじめとするきめ細かな家庭教育支援を長年にわたり継続的に実施している。

特に,月1回発刊している子育て情報誌配布時に行う,小・中学生のいる町内全家庭への訪問というアウトリーチ型の支援によって,支援の届きにくい家庭における潜在的な子育ての悩みや保護者の孤立などの早期発見・早期対応が可能となり,児童虐待や不登校などの問題の未然防止につながっている。また,町内全戸向けの情報誌を隔月で発行し,自治会を通じて町内全戸に配布するなど,地域での見守りを啓発している。

訪問時の相談対応や学校への代弁,情報提供にとどまらず,相談内容により学校と連携して子どもや家庭への個別訪問などの対応を図るほか,SSWが児童相談所などの関係機関などと連携し,必要に応じた支援を行うための体制整備がなされている。支援員が意識向上のために情報収集や情報共有を行うことにより,新たな課題の発見や今後の取組の検討を主体的に進めるとともに,行政の支援やSSWなどの関係者との連携による支援体制の構築が十分に図られることで,地域社会での重要性が年々高まっており,地域全体で家庭教育を支えていく基盤の形成に貢献している。

アウトリーチ型支援の先進事例として全国家庭教育支援研究協議会で発表を行うなどの取組によって,同会の活動は町内外に広く普及しており,この取組を参考にしたチームが他の自治体でも組織されるなど,高い波及効果を生んでいます。

こうした活動により,「平成25年度子ども若者育成・子育て支援功労者表彰」において,「内閣府特命担当大臣表彰(子育て・家族支援部門)」として表彰された。

子育て情報誌「すまいる」配布の家庭訪問
家庭訪問後の支援会議で,相談報告や対応の打ち合わせ

2 外部の力も活用した「開かれた学校」づくり(文部科学省)

(1)家庭・地域と一体となった学校の活性化
ア 地域の多様な人材の参画による教育支援の充実

学校が多様な要請にこたえつつ,特色ある教育を推進していくためには,教育の様々な分野において,地域の多様な人材の参画による教育支援の取組を積極的に進めることが有効である。

文部科学省は,授業の補助,読み聞かせや環境整備,登下校パトロールなどについて,地域住民がボランティアとして学校をサポートする「学校支援地域本部」の設置をはじめ,地域コーディネーターが中心となって,地域住民など豊かな社会体験を持つ外部の人材などを活用し,学校・家庭・地域の連携による様々な取組を支援している175。平成25(2013)年度は619市町村で3,527の学校支援地域本部が設置されている(第2-4-2図)。また,地域による学校支援活動を促進するため,特に優れていると認められる活動に対して文部科学大臣表彰176を行っている。平成26(2014)年度には新たに,全ての子どもたちの土曜日の教育活動の充実のため,地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業などの協力により,土曜日に体系的・継続的な教育プログラムを企画・実施する取組を支援し,教育支援体制の構築を図る。こうした取組を通じて,学校と地域の連携・協力が強化され,開かれた学校づくりの促進が期待される。

イ 保護者や地域住民の学校運営への参加

コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)(第2-4-3図)は,保護者や地域住民が学校運営に参画する仕組みであり,保護者や地域住民から構成される学校運営協議会において,学校運営の基本方針を承認したり,教育活動などについて意見を述べるといった取組が行われている177。平成25(2013)年4月1日現在,コミュニティ・スクールに指定されている学校は,前年度から389校増えて,1,570校となり,着実にその導入が進んできている。

第2-4-3図 コミュニティ・スクール

文部科学省は,コミュニティ・スクールの一層の普及・啓発を図るため,調査研究事業や推進協議会といった施策を進めており,平成25年度からは実践経験のある者をコミュニティ・スクール推進員として派遣する事業を行っている。平成26(2014)年度には新たに,導入を目指す地域の組織や運営体制作りの研究に係る補助事業を行う。

ウ 学校評価と情報提供の推進

教育活動をはじめとする学校運営の状況について評価178を行い,その結果に基づき学校や設置者が学校運営の改善を図ることや評価結果を広く保護者や地域住民に公表していくことが求められている。とりわけ,学校・家庭・地域が学校の現状と課題について共通理解を深めて相互に連携・協力し,学校運営の改善に当たるためには,保護者や地域住民が行う学校関係者評価179が各学校で実施されることが期待される。

文部科学省は,各学校や設置者の取組の参考となるような学校評価ガイドラインの策定などにより,地域と共にある学校づくりと学校評価を推進している180

(2)教育・相談の体制や機能の充実
ア 教員の資質能力の向上

文部科学省は,複雑化・多様化している学校現場の諸課題に適切に対応できる実践的指導力のある教員を育成するため,以下のとおり,教員養成・研修などの充実を図っている181

  • 平成25(2013)年度には新たに,教育委員会と大学などが連携・協働した教員養成・研修などの各段階における先導的な取組に対し,支援を行った
  • 教職課程では,生徒指導や教育相談の理論と方法,カウンセリングに関する基礎知識について,教員を志す学生全てが必ず学習することにしている。また,優れた知識経験や技術を有する者に免許状を授与できる制度(特別免許状制度)や,免許状を持たない社会人が教壇に立てる制度(特別非常勤講師制度)により,地域の人材や社会人を活用して,学校教育の多様化への対応や活性化を図っている。
  • 教員の資質能力の向上を図るため,公立学校の新任教員に対する採用後1年間の初任者研修や,在職期間が原則として10年に達した教員に対して個々の能力,適性などに応じた研修を行う10年経験者研修が制度化されている。

独立行政法人教員研修センター182は,国が行うべき研修として,各地域における指導者を養成するための学校経営研修や喫緊課題に関する研修を実施している。

イ 教職員評価

教職員の能力と実績を適正に評価し,評価結果が処遇上も報われるようにすることは,教職員全体への信頼性を高め,頑張る教職員を応援していく上で重要である。

文部科学省は,教職員評価を活用した人事管理について指導しており,一部実施を含めると全ての教育委員会が教職員評価システムの運用・充実に取り組んでいる。

ウ 学級編制と教職員配置

「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭33法116)と「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」(昭36法188)において,公立の小学校,中学校,中等教育学校,高等学校,特別支援学校における学級編制と教職員定数の標準が定められている。これにより,学習活動や学校生活の基本的な単位である学級の規模の適正化を図るとともに,教育活動を円滑に行うために必要な教職員を確保するための教育条件の整備を図っている。

文部科学省は,累次の公立義務教育諸学校教職員定数改善計画と公立高等学校教職員定数改善計画により,計画的な改善を行い,40人学級の実現や習熟度別少人数指導の実施を図ってきた。平成25(2013)年度には,教育再生を支える基盤として様々な教育課題に対応するため,いじめ問題への対応など学校運営の改善充実(400人),通級指導など特別支援教育の充実(600人),小学校における専科指導の充実(400人)により,あわせて800人(少子化による合理化減600人を差引き)の教職員定数の改善を図った。平成26(2014)年度には,少子化時代に対応する教職員定数の配置改善として,定数の見直し(▲713人)を図る一方で,小学校英語の教科化やいじめ・道徳教育への対応など優先度が高い教育課題への対応に必要な703人の定数の改善を図る。

エ 学校における相談体制の充実

第2部第2章第3節2(1)「学校における相談体制の充実」を参照。)

3 放課後の居場所やさまざまな活動の場づくり

(1)放課後子どもプランの推進(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省と厚生労働省は連携して,放課後における子どもの安全で健やかな居場所づくりを地域社会の中で推進するための総合的な対策として「放課後子どもプラン」を推進している183。小学校の余裕教室などを活用して,地域の多様な方々の参画を得て,学習やスポーツ・文化活動の取組を行う「放課後子供教室」は,平成25(2013)年8月現在,1,090の市町村で10,376教室が行われている184。共働き家庭など保護者が仕事などで昼間家庭にいない子どもに,授業の終了後などにおいて,児童館や学校の余裕教室などを利用して遊びや生活の場を提供する「放課後児童クラブ」185は,平成25年5月現在,1,595市町村で21,482か所実施され,889,205人の子どもが登録されている(第2-4-4図)。「放課後児童クラブ」は,平成26(2014)年度末までに受入れ児童数を111万人とすることを目指している。平成25年12月に取りまとめられた社会保障審議会児童部会放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書に基づき,設備・運営に係る厚生労働省令を策定する。

(2)中高生の放課後の居場所づくり(文部科学省,厚生労働省)

各地の子どもに関係する団体や行政機関がばらばらにその地域の子どもの実情を把握しており,情報の共有が進んでおらず,子どもの居場所がどこで,何をしているのか広く知られないままとなっている。地域で子どもに関する様々な活動を行っている民間団体や行政機関がそれぞれの立場を超え,協力していくことが必要である。

文部科学省は,子ども・若者の居場所づくりに関する各種の取組を推進している(詳細については第2部第2章第1節2(3)「地域等での多様な活動」第4章第1節3(1)「放課後子どもプランの推進」を参照。)。

厚生労働省は,児童館の整備を推進している。(児童館については第2部第2章2「多様な活動機会の提供」を参照)

COLUMN NO.13
 児童館における中高生支援の取組
~札幌市平岸児童会館“とよひらっぴーフェスティバル”~

札幌市の児童会館で実施している中高校生夜間利用【ふりーたいむ】では,バスケットボールやダンス,バンドなど幅広い活動が行われている。

みんなで集まって何かをすることは楽しい。何かに集中する,真剣に取り組む(汗をかく),共感する,表現する…。【ふりーたいむ】は中高校生にとって,人格形成に重要なコミュニケーション能力を学ぶ場であり,日常の学校生活ではかかわることがない者同士が出会い,刺激を受けあうことができる居場所となっている。

このことに着目し,中高校生が集まる機会・場所がほしいと要望が出たことをきっかけに,平成23(2011)年度から豊平若者活動センターとの共催で,中高校生向けイベント「とよひらっぴーフェスティバル」が始まった。

※中高校生夜間利用『ふりーたいむ』:札幌市児童会館では,週に2回(実施曜日は各館で異なる),中学生は19時まで,高校生は21時まで利用ができる。平成18(2006)年度より一部で開設し,平成22(2010)年度より103館で実施。活動場所や仲間を求める中高校生の居場所となっている。

【事業の具体的な内容】
(1)企画・事前準備

実行委員会が立ち上がり,高校生,若者,職員が一同に集まり,どのようなプログラムにすると中高校生が参加しやすいか,あるいは参加意欲がわくのかなど,参加者の気持ちになって企画が練り上げられた。全体会議は当日までに5回行い,その他の担当をスポーツ・ステージ・バラエティに分け,それぞれ準備が進められた。

(2)イベント前日

スポーツ大会の準備・装飾などは,高校生と若者が大活躍。ライブの音楽器材設営は,出演する高校生バンドのメンバーが準備した。

(3)イベント当日

オープニングは実行委員会の高校生が司会を務めた。バスケットボールは中学生8チーム,高校生6チーム,フットサルは中高生混合9チームが参加し,白熱した試合で大変盛り上がった。

イベント当日の写真
【事業実施のポイント】

中高生が,日常の中で,自分たちが主体的になれば,どんなことも児童会館で実現可能なのだというイメージを持てるよう,取り組まれている。

児童会館卒業生のボランティアの理解・協力が日頃から大切にされており,彼らが高校生をサポートし,高校生が卒業した時には次の世代の高校生をサポートする。利用者同士の運営サイクルの構築が意図的に行われている。

大きなイベントだけではなく,音楽ライブやバスケットボール大会,クッキング(お好み焼きパーティーなど)など小さい事業が積み重ねられている。イベントの規模が大きくなってもその積み上げが生かされ,参加意欲や中高校生が自ら企画し運営する力となる。

(3)体験・交流活動等の場づくり
ア 青少年教育施設(文部科学省)

青少年教育施設は,体験活動を中心とする様々な教育プログラムの実施や,子どもや若者が行う自主的な活動の支援により,青少年の健全な育成や青少年教育の振興を図ることを主たる目的として設置された施設である。

独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設(全国28施設。第2-4-5図)を通じて,様々な体験活動などの機会を提供しており,平成25(2013)年度は約517万人に利用されている。被災地の子どもの心身の健全育成とリフレッシュを図るため,自然体験活動などの機会を提供するリフレッシュキャンプも実施している。また,教育的研修支援や青少年教育に関する調査研究を実施し,それらの成果を全国の公立青少年教育施設や関係団体へ普及している。

第2-4-5図 国立青少年教育施設
イ 都市公園(国土交通省)

都市公園は,都市における緑とオープンスペースを確保し,水と緑が豊かで美しい都市生活空間の形成や都市住民の様々な余暇活動の場の提供のため設置されており,スポーツやレクリエーション活動などを通じて,子どもや若者をはじめあらゆる世代が交流を図ることができる場である。

国土交通省は,幅広い年齢層の人々が自然との触れ合いやスポーツ・レクリエーション,文化芸術活動といった多様な活動を行う拠点となる都市公園の整備を推進している186

ウ スポーツ活動の場(文部科学省)

スポーツは心身の健全な発達に重要な役割を果たすものである。体育・スポーツ施設187は,青少年をはじめとする地域住民の日常スポーツ活動の場であり,近年のスポーツニーズの多様化・高度化に伴い,魅力的な施設づくりが望まれている。国民の日常生活における体力つくりやスポーツ活動の場や青少年の遊び場が不足している今日,地域住民のスポーツ活動の場として,学校体育施設を地域住民に対し積極的に開放することも望まれている。

文部科学省は,国民の誰もがいつでも身近にスポーツに親しむことができる環境を整備するため,総合型地域スポーツクラブなどの地域におけるスポーツ環境の充実への支援を推進している188

エ 自然公園(環境省)

自然公園は,優れた自然の風景地を保護するとともに,その利用の増進を図ることにより,国民の保健,休養,教化に資するとともに,生物の多様性の確保に寄与することを目的として指定されており,子どもや若者をはじめ広く国民の自然とのふれあいや野外活動の場として重要な役割を果たしている。平成24(2012)年度末現在,国立公園30か所189,国定公園56か所,都道府県立自然公園315か所が指定されている。平成24(2012)年における利用者は,延べ約8億人に達している。

環境省は,自然とのふれあいを求める国民のニーズに対応するため,平成25(2013)年度は,30の国立公園においては直轄事業により,また,36都道府県の国定公園等整備事業に対しては交付金を交付し,歩道,園地,休憩所などの安全で快適な公園利用施設の整備を推進している。このほか,環境学習・保全調査や過去に損なわれた自然環境を再生するための自然再生事業,新宿御苑などの国民公園における施設整備を実施し,広く国民に供している。

オ 水辺空間の整備(文部科学省,国土交通省,環境省)

国土交通省,文部科学省,環境省は,地域の身近に存在する川などの水辺空間(「子どもの水辺」)における環境学習・自然体験活動を推進するため,「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」を実施している。「子どもの水辺」は平成24(2012)年度末時点で,295か所が登録されている。市民団体や教育関係者,河川管理者が一体となって,「子どもの水辺サポートセンター」190による水辺での活動に必要な機材(ライフジャケットなど)の貸出しや学習プログラムの紹介といった環境学習・自然体験活動が行われている(第2-4-6図)。安全確保や親水空間確保のための水辺の整備が必要な場合には,「水辺の楽校プロジェクト」191により,水辺に近づきやすい河岸整備などを実施している。

第2-4-6図 子どもの水辺サポートセンター
カ レクリエーションの森の整備(農林水産省)

林野庁は,国有林野を国民の保健・文化・教育的利用に積極的に供するため,自然休養林などの「レクリエーションの森」の活用を推進している192(第2-4-7図)。平成25(2013)年4月1日現在,全国1,083か所,39万ヘクタールをレクリエーションの森として設定しており,平成24(2012)年度には延べ1億2,000万人が利用している。

第2-4-7図 レクリエーションの森(自然観察教育林)
キ 被災地における学び・交流の場づくり

文部科学省は,被災地においても学校・公民館などを活用して,被災した子どもたちの放課後や週末などにおける安心安全な居場所づくりや学習・交流活動を支援しており,被災地の地域コミュニティの再生にも寄与している。

(4)図書館等の充実(文部科学省)

図書館は,子どもが読書の楽しみを知ることのできる教育施設であり,子どもの読書活動の推進に資する施設である。公民館は,子どもの地域における多様な活動を支える施設であり,親子で参加する工作教室をはじめ子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。博物館は,豊富な学習資源と学芸員などの専門家を有しており,実験教室など子どもを対象とした様々な教育活動が行われている。

文部科学省は,これらの施設が住民にとってより身近で利用しやすい施設となるよう,環境整備を推進している。(図書館については,第2部第2章第1節2(2)「読書活動の推進」を参照。)

4 子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(1)子ども・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

近年,幼い子どもが被害者となる犯罪が多発し,子どもを取り巻く環境は厳しいものとなっている。また,自然災害の際には,児童福祉施設や幼稚園などの災害時要援護者関連施設では,子どもが自然災害から身を守るために安全な場所に避難するなどの一連の行動を取るのに支援を要する。

このため,子どもが犯罪や災害などの被害に遭いにくい環境を創出するために次のような取組を行っている。

ア 通学路やその周辺における子どもの安全の確保のための支援(警察庁)

警察は,通学路や通学時間帯を考慮したパトロール活動の強化に加え,子どもが犯罪に遭ったり声掛けやつきまといにより犯罪に遭うおそれがある場合に助けを求めることができる「子ども110番の家」193(第2-4-8図)の活動に対する支援を行っている。

第2-4-8図 子ども110番の家
イ 道路,公園等の公共施設や共同住宅における防犯施設の整備等の推進(警察庁,国土交通省)

警察庁は,「安全・安心まちづくり推進要綱」に基づき,防犯に配慮した公共施設などの整備・管理の一層の推進を図っている。

警察庁,国土交通省,経済産業省と建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」は,侵入までに5分以上の時間を要するなどの一定の防犯性能を有する「防犯建物部品」の開発とその普及に努めている。また,警察庁と国土交通省の協力の下,住宅・防犯設備関連団体が「防犯優良マンション標準認定基準」を作成し,周知を図るなど,防犯に配慮した共同住宅の整備を推進している。

国土交通省は,住宅性能表示制度において,開口部の侵入防止対策を「防犯に関すること」として性能表示事項とし,防犯に配慮した住宅の普及を進めている。

ウ 児童福祉施設や幼稚園などにおける災害対応の推進

国土交通省は,児童福祉施設や幼稚園などの災害時要援護者関連施設が存在する土砂災害危険箇所などについて,砂防関係施設の整備を重点的に実施するとともに,災害時に子どもの円滑な警戒避難が行われるよう,「土砂災害防止法」(平12法57)に基づく土砂災害警戒区域などの指定による危険な箇所の明示や土砂災害に関する情報の伝達体制を定めるなど,ハード・ソフト一体となった対策を推進している。

(2)安心して外出や外遊びができる環境の整備
ア ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進(国土交通省)

国土交通省は,「どこでも,だれでも,自由に,使いやすく」というユニバーサルデザインの考え方を踏まえた「高齢者,障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(平18法91。以下「バリアフリー法」という。)により,施設など(旅客施設,車両等,道路,路外駐車場,都市公園,建築物など)の新設などの際の「移動等円滑化基準」への適合義務,既存の施設などに対する適合努力義務を定めるとともに,「移動等円滑化の促進に関する基本方針」において,平成32(2020)年度末までの整備目標を定め,バリアフリー化の推進を図っている。また,市町村が作成する基本構想に基づき,重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進しているとともに,バリアフリー化の促進に関する国民の理解を深め,協力を求める「心のバリアフリー」を推進するため,高齢者,障害者などの介助体験や疑似体験を行う「バリアフリー教室」などを開催しているほか,バリアフリー施策のスパイラルアップ(段階的・継続的な発展)を図っている。具体的なバリアフリー化における取組として,

  • 歩行空間については,多数の高齢者や障害者が通常徒歩で移動する駅,官公庁施設,病院などを結ぶ道路において,幅の広い歩道などの整備や歩道の段差・傾斜・勾配の改善,視覚障害者誘導用ブロックの設置などを推進している。
  • 水辺空間については,河川利用上の安全・安心に係る河川管理施設の整備により,良好な水辺空間の形成を推進している。
  • 都市公園については,子どもから高齢者まで幅広く安全で快適に利用することができるよう,園路の段差解消や誰もが使いやすいトイレの整備などを行っている。
  • 窓口業務を行う官署が入居する官庁施設について,妊婦,乳幼児連れの者をはじめ全ての人が,円滑かつ快適に施設を利用できるよう,バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化誘導基準に規定された整備水準の確保や窓口業務を行う事務室出入口の自動ドア化など,高度なバリアフリー化を目指した整備を推進している。
  • 公共交通機関については,バリアフリー法に基づき公共交通事業者などに対して,旅客施設の新設・大規模な改良や車両などの新規導入の際に移動等円滑化基準に適合させることを義務付け,既存施設については同基準への適合努力義務が課されているとともに,その職員に対し,バリアフリー化を図るために必要な教育訓練を行うよう努力義務を定めている。さらに,鉄道駅など旅客ターミナル,旅客船のバリアフリー化やノンステップバス,リフト付きバス,福祉タクシーの導入などに対する支援措置を実施している。
  • 建築物については,バリアフリー法に基づく認定特定建築物のうち一定のものについては,スロープ,エレベーターなどの整備に対する助成により優良なバリアフリー建築物の建築の一層の促進を図っている。
  • ベビーカーを利用しやすい環境をつくることを目的として「公共交通機関等におけるベビーカーの利用に関する協議会」を平成25(2013)年度に設置し,ベビーカー利用に配慮する統一的なマークやベビーカー利用にあたっての「お願い(呼びかけ)」を決定した。平成26(2014)年度は,「ベビーカーの安全な使用」や「ベビーカー利用への理解・配慮」(第2-4-9図)を呼びかけるチラシやポスターを作成し,ベビーカー使用者や周囲の方に対して,広報・周知する。
第2-4-9図 ベビーカー利用への理解・配慮

国土交通省と警察庁は,バリアフリー法の重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路に設置されている信号機などについては,平成32(2020)年度までに,原則として全ての当該道路において,音響信号機,歩行者感応信号機などの信号機の設置,歩行者用道路であることを表示する道路標識の設置,横断歩道であることを表示する道路標示の設置などのバリアフリー化を実施する。(第2-4-10図)

第2-4-10図 歩行空間のバリアフリー化
イ 通学路の交通安全対策(警察庁,文部科学省,国土交通省)

文部科学省,国土交通省,警察庁は,平成24(2012)年度に実施した通学路の緊急合同点検の結果を踏まえ,学校,教育委員会,道路管理者,警察などの関係機関が連携して実施する通学路の交通安全対策を支援するなど,通学路の交通安全の確保に向けた取組を推進している。

警察は,道路交通実態に応じ,学校,教育委員会,道路管理者などの関係機関と連携し,信号機や横断歩道の整備などの対策を推進している。

文部科学省は,特に対策が必要な市町村に対し,通学路安全対策アドバイザーを派遣し,専門的な見地からの必要な指導・助言の下,学校や教育委員会,関係機関の連携による通学路の合同点検や安全対策の検討を行っている。平成26(2014)年度には新たに,通学路安全対策アドバイザーの協力の下,交通安全教育の実施の支援も行う。

国土交通省は,学校,教育委員会,警察などの関係機関と連携し,歩道の整備,防護柵の設置,路肩のカラー舗装化などの対策を推進している。

ウ 公園遊具の安全点検(国土交通省)

国土交通省は,遊具の安全確保を図り,安全で楽しい遊び場づくりを推進するため,「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」の周知徹底に取り組んでいる194

エ 子どもの不慮の事故防止(消費者庁)

消費者庁は,「不慮の事故」が子どもの死因の上位を占めている現状を踏まえ,「子どもを事故から守る!プロジェクト」を実施している195。具体的には,毎週木曜日に事故予防の豆知識なども含めたメールマガジン「子ども・安全メールfrom消費者庁」を配信しているほか,シンボルキャラクター「アブナイカモ」(第2-4-11図)が各地の子ども関連イベントに積極的に参加するなど,子どもの不慮の事故予防に関する啓発活動を行っている。

第2-4-11図 子どもの不慮の事故防止シンボルキャラクター
オ 生活道路における交通安全対策の推進(警察庁,国土交通省)

交通事故死者数に占める歩行者と自転車利用者の割合が5割を超え,欧米と比べて高い割合となっている(第2-4-12図)。また,交通事故死者の約5割以上が,自宅付近で被害に遭っている(第2-4-13図)。歩行者や自動車が主役となる生活道路は,空間の確保が困難な幅員の狭い道路が多い。

警察庁と国土交通省は,空間そのものを安全にするという視点に立って,区域(ゾーン)の設定による最高速度30km/hの区域規制,路側帯の設置・拡幅,物理的デバイスの設置などの車両の速度抑制方策を効果的に組み合わせ,市街地や住宅地で人優先のエリアを形成している。

カ 自転車利用環境の整備(警察庁,国土交通省)

国土交通省と警察庁は,歩行者の安全確保などのため,「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」(平成24年11月)196の周知を図り,道路空間の再配分などにより,歩行者・自転車・自動車を適切に分離し,安全で快適な自転車利用環境創出のための取組を推進している。

キ 住民参加による地域づくり(厚生労働省)

厚生労働省は,子ども・若者を含め,地域で様々な課題を抱えている方々に対する見守り体制の構築や地域への参加を促すための居場所づくりなど,誰もが安心して生活できる地域基盤の構築を図るための取組を行う「安心生活創造推進事業」などを通じて,住民参加による地域づくりの一層の推進を図っている。


174 http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/katei/1341148.htm
175 http://manabi-mirai.mext.go.jp/headquarters.html
176 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/004.htm
177 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/community/index.htm
178 学校評価には,<1>法令上の実施義務が課されている自己評価(各学校の教職員が自ら行う評価),<2>実施が努力義務となっている学校関係者評価(保護者や地域住民が自己評価結果を踏まえて行う評価),<3>任意に実施する第三者評価(学校運営に関する外部の専門家により専門的視点で行う評価)がある。
179 平成23(2011)年度は93.7%の公立学校で実施されている。
180 http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakko-hyoka/index.htm
181 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_h.htm
182 http://www.nctd.go.jp/
183 http://manabi-mirai.mext.go.jp/
184 土曜日の教育活動の充実については,第2部第4章第1節2「外部の力も活用した『開かれた学校』づくり」を参照。
185 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/houkago-jidou.html
186 http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/p_toshi/index.html
187 全国に体育・スポーツ施設は約22万か所あり,そのうち,学校体育・スポーツ施設が約61%,公共スポーツ施設が約24%,民間スポーツ施設が約8%,大学・高専体育施設が約4%,職場スポーツ施設が約3%となっている。これらのうち,地域住民の身近なスポーツ活動の場となる学校体育・スポーツ施設についてみると,最も設置数の多い施設は体育館で,約37,000か所となっており,次いで,多目的運動広場が約36,000か所,水泳プール(屋外)が約28,000か所,庭球場(屋外)が約1万か所となっている。
188 http://www.mext.go.jp/a_menu/a004.htm
189 http://www.env.go.jp/park/
190 「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」の推進・支援組織として財団法人河川環境管理財団内に設立されている。http://www.mizube-support-center.org/
191 http://www.mlit.go.jp/river/kankyo/main/kankyou/gakkou/
192 「レクリエーションの森」は,それぞれの森林の特徴や利用の目的に応じて,自然休養林,自然観察教育林,風景林,森林スポーツ林,野外スポーツ地域,風致探勝林の6種類に区分される。http://www.rinya.maff.go.jp/j/kokuyu_rinya/kokumin_mori/katuyo/reku/rekumori/rekumori.html
193 「子ども110番の家」地域で守る子どもの安全対応マニュアル(http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki62/pdf/kodomo110-1.pdf)
194 http://www.mlit.go.jp/crd/park/shisaku/ko_shisaku/kobetsu/yuugu.html
195 http://www.caa.go.jp/kodomo/
196 http://www.mlit.go.jp/road/road/bicycle/pdf/guideline.pdf
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