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第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備

第2節 多様な主体による取組の推進

1 相談体制の充実

(1)子ども・若者総合相談センター(内閣府)

子ども・若者総合相談センター197は,地方公共団体が子ども・若者育成支援に関する相談に応じ,関係機関の紹介その他の必要な情報の提供・助言を行う拠点として設けるものである。幅広い分野にまたがる子どもや若者の問題への相談に対し,一次的な受け皿になり,他の適切な機関に「つなぐ」,いわゆる「たらい回し」を防ぐ機能を果たすことが求められている。

内閣府は,子ども・若者総合相談センターとしての機能を担い得る青少年センターをはじめとする公的相談機関などの職員を対象とした研修を実施している。(個別分野における相談体制については第2部各章を参照。)

(2)相談機関の連携確保(内閣府)

内閣府は,国や地方公共団体が設置している相談機関の担当者や学校教育関係者の参加を得て,全国6ブロックで青少年相談機関連絡会議を開催し,関係機関・団体の連携体制の在り方や相談機能の充実強化のための方策について情報交換などを行い,相談機関活動の充実を図っている。(第2-4-14図)

第2-4-14図 青少年相談機関連絡会議

2 国民運動等の取組の推進(内閣府)

日本の将来を担う子ども・若者は,かけがえのない「今」を生きる存在であり,国の一番の宝である。子ども・若者が健やかに成長し,将来の結婚や家庭に夢を持ち,円滑な社会生活と幸せな家庭生活を営むことができるよう環境を整備し,支援することが重要である。

内閣府は,子ども・若者育成支援の重要性について国民の理解を一層深め,家庭,学校,地域が連携協力して子どもや若者の育成支援に取り組む気運を高めるため,毎年11月の「子ども・若者育成支援強調月間」や毎年7月の「青少年の非行・被害防止全国強調月間」により,国民運動を推進している198。(詳細は,第2部第5章第2節1「広報啓発・情報提供等」を参照。)

COLUMN NO.14
 子ども・若者の育成支援に取り組む民間団体

子ども・若者が豊かな人間性を育み,社会で生きる力や未来を切り開く創造力を身に付けていくためには,地域社会や自然の中で,数多くの体験や経験を積み重ねていくことが重要である。ここでは,地域において子ども・若者に対しそうした様々な体験・経験の場や機会を提供している民間団体の取組を紹介する。

1 青少年育成都道府県民会議

青少年育成都道府県民会議(以下「県民会議」という。)は,子ども・若者育成支援の国民運動を展開している団体であり,神奈川県を除く全ての都道府県にある。県民会議は,「少年の主張大会」「家庭の日」「あいさつ・声かけ運動」といった各種のイベント・運動などを地域の実情に即して実施している。以下に県民会議が実施している特色ある取組を紹介する。

(1)社団法人茨城県青少年育成協会「地域親」

子どもが健やかに成長していくためには,学校以外の地域の大人と交流し,多様な考え方や価値観に触れる機会が必要である。

地域社会全体で子どもたちを見守り育てていくために,地域の大人たちが自分の得意なことやできることを通して子ども達と交流し,その育成を図る大人が「地域親」である。

地域親 5つのスローガン

<1> 誰でも,どこかで,ささやかでも地域親(コミュニティ・ペアレント)になろう。

<2> 大人が支えていることを身近に感じてもらおう。

<3> どの子も自分が受け入れられていると実感できる小さな関わりを大切にしよう。

<4> その子にあったものさしで,その子の存在を丸ごと受け止めよう。

<5> 任せて待つ力を大人は持とう。

茨城県青少年育成協会では,地域の大人誰もが地域親となるようその普及を進めるため,茨城県の委託を受け「地域親人材バンク」を設置している。

この人材バンクは,地域で活動している地域親の皆さんに登録していただき,地域で開催される行事や研修会に出向いて,子どもたちとと交流を深めたり,講師となって地域親の普及を進めたりしていただいている。

地域親が通学路に立ち,子どもたちを見守る活動を通して「地域の人から声をかけられ,自分が認められた喜びを感じた」という小学生からの声があり,地域全体で見守る活動が広がってきている。

また,読み聞かせや紙芝居,マジック,紙飛行機づくり,バルンアートなど様々な特技を持った地域親が県内各地で活動されており,地域の行事に参加した子どもたちからは「地域親と作品づくりをしたり,ふれあったり,とても楽しかった。また,参加したい。」など大変好評を得ている。

「おはよう」と声をかけるだけでも子どもたちと関わることができる。大きなことを一つするより,小さな関わりが子どもたちのそばにたくさんあることが大切である。

マジックを楽しむ親子
大正琴の体験

(2)公益財団法人兵庫県青少年本部「子どもの冒険広場」

兵庫県青少年本部は,兵庫県とともに,子どもたちが旺盛な好奇心やエネルギーを発散させながら,のびのびと生きていく力を育む場として,「子どもの冒険広場」を推進している。

「子どもの冒険広場」とは,子どもたちが“自分の責任で自由に遊ぶ”ことを原則に,プレーリーダー(子どもたちの目線に立ってともに遊び,見守る人)や地域の大人が見守る中で,自由な発想で生き生きと遊ぶことが出来る場である。青少年団体やNPO,地域の子育て支援グループにより,空き地や公園などを活用して運営され,現在,県内30か所の拠点ひろばを中心に,出前ひろばが536箇所で実施され,延べ約70万人に利用されている。

利用者数のグラフ

事業開始から10年経った平成25(2013)年度の夏休み期間には,「『子どもの冒険ひろば』全県一斉週間」が行われた。初めてひろばに訪れた親子連れも多く,木工,木登り,水鉄砲など,子どもたちは創造力や好奇心を活かしながら思い思いに楽しむことができた。

また,ひろばを担う若手人材の育成のため,幼児・初等教育などを先行している学生の実地研修の場としてひろばを提供する「大学生の冒険遊び場体験事業」を実施している。子どもたちとの交流は,学生にとっても貴重な体験となっており,将来子どもに関わる職業に就くことを目指している学生の資質向上にも大変有益なものとなっている。

「大学生の冒険遊び場体験事業」の写真

2 NPOその他の民間団体

子ども・若者育成支援に取り組んでいる民間団体は,県民会議のほかにも数多ある。ここでは,平成25(2013)年度「子どもと家族・若者応援団表彰」199の子ども・若者育成支援部門で内閣総理大臣表彰を受賞した3団体を紹介する。

(1)特定非営利活動法人しずおか環境教育研究会(静岡県)

しずおか環境教育研究会は,“未来につながる人づくり”に最適な場が人と自然の接点である「里山」であるとの確信の下,幼児とその親の環境教育,里山遊びから原体験を育む小学校放課後の塾プログラム,絵本の世界を森の中に再現し子どもの五感を養うプログラムなど,様々な自然体験活動を行っており,環境教育の有識者から高い評価を得ている。平成24(2012)年度には,自主活動だけで年間267回,参加者のべ6,509名,受託事業を含めれば参加者のべ人数は10,000人に迫る取組となっている。地域人材とのネットワークも豊富で,田植え体験や収穫体験などで地元農家の協力を受けており,また,ボランティア団体による自然体験イベントのコーディネートなども行っている。

自然体験イベントの写真

(2)大橋通り商店街振興組合(高知県)

大橋通り商店街振興組合は,商店街全体を活用して,小学生の職業体験イベントを開催し,働くことの大切さなどを伝える活動を行っている。小売業にとどまらず,報道機関や金融機関,さらには警察や自衛隊,日本銀行も協力し,約30業種に及ぶ多様な職業を体験することが可能である。子どもが働いてもらった給料は商店街内で使える仕組みとなっており,参加した子どもにとって,働いてお金をもらうことの大切さや楽しさ,大変さを実感し,仕事に対する意識も高まる効果が得られている。保護者からも,子どもがお金を大切にするようになったという声があがるなど,家族で将来のいろいろな可能性について感じてもらえる取組となっている。

小学生の職業体験イベントの写真

(3)特定非営利活動法人郡山ペップ子育てネットワーク(福島県)

郡山ペップ子育てネットワークは,「福島の子どもたちを日本一元気に!」の理念の下,体をたくさん動かす大型遊具や手先の感覚を鍛えるための知的遊具などが設置されている屋内遊び場「PEP Kids Koriyama」の運営サポートをしている。PEP Kids Koriyamaには,場内の壁絵や色使いには,子どもが思わず体を動かし,遊びにのめりこんでしまうような多くの工夫が凝らされており,子どもの遊びをリードするプレイリーダーが常駐している。プレイリーダーは,子どもに質が高く体を多様に動かす新しい運動遊びを提供しており,子どもの心と体の健やかな育ちに向け,先進的な取組を実践している。また,子育て支援などのイベントや臨床心理士による相談など,被災地の子どもとその家族の幅広いニーズに対応した活動を展開している。震災から9カ月後にオープンして以来,65万人を超える来場者を数え,福島県内外の多くの方に支持されている。

PEP Kids Koriyamaの写真

197 「子ども・若者育成支援推進法」第13条で,地方公共団体は,子ども・若者育成支援に関する相談に応じ,関係機関の紹介その他の必要な情報の提供・助言を行う拠点(子ども・若者総合相談センター)としての機能を担う体制を,単独で又は共同して確保するよう努めるものとされている。
198 https://www8.cao.go.jp/youth/ikusei.htm
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