[目次]  [戻る]  [次へ]

第2部 子ども・若者育成支援施策の実施状況

第4章 子ども・若者の健やかな成長を社会全体で支えるための環境整備

第3節 関係機関の機能強化,地域における多様な担い手の育成

1 専門職の養成・確保

(1)医療・保健関係専門職(厚生労働省)

厚生労働省は,募集定員20名以上の臨床研修病院・大学病院が行う臨床研修では将来小児科医と産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラムを必ず設けることとしている。また,保健師,助産師を含む看護職員の養成課程では,学校保健や地域母子保健,小児看護学を教育内容としている。

(2)児童福祉に関する専門職(厚生労働省)

厚生労働省は,児童福祉施設や児童相談所などの体制を強化するため,児童福祉司児童心理司児童家庭相談担当職員などに対する研修の充実などを図っている。

(3)思春期の心理関係専門職(法務省,厚生労働省)

厚生労働省は,精神保健福祉センター保健所における相談体制を強化するため,思春期精神保健に関する専門家が少ない現状を考慮し,医師や保健師,看護師,精神保健福祉士,臨床心理技術者を対象に,思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修を実施している。

法務省は,少年鑑別所に勤務する法務技官に対し,心理査定や心理療法に関する専門的な知識や技術を付与するための研修体制を整備し,心理関係専門職としての計画的な養成を行っている。

(4)少年補導や非行少年の処遇に関する専門職
ア 少年補導職員(警察庁)

警察は,平成25(2013)年4月1日現在,非行少年の立ち直り支援や被害少年への支援などを行う,少年問題に関する専門組織である「少年サポートセンター」を全国に196か所設置するとともに,全国に約900人の少年補導職員を配置している。少年補導職員は,少年相談,継続補導,被害少年の支援などの専門的・継続的な活動を行っており,時代に応じて変化する少年の問題に的確に対応できるよう,都道府県単位,あるいは,全国規模で研修を行うなど必要な知識の修得に努めている。

イ 少年院の法務教官(法務省)

法務省は,少年院在院者の矯正教育に当たる少年院の法務教官に対して,職務に必要な行動諸科学などに関する専門的な知識と技術を付与するための研修体制を整備している。また,日々の事例を通しての研究会を頻繁に行うなど,非行少年の処遇に関する指導力の向上を図っている。

ウ 保護観察官(法務省)

法務省は,非行少年の更生保護,犯罪・非行の予防に関する業務を担当している,地方更生保護委員会事務局と保護観察所の保護観察官に対して,家庭に複雑な問題を抱えた非行少年や処遇困難なケースに対応できるように,処遇能力の向上に資する研修などの一層の充実を図っている。

2 地域における多様な担い手の育成

(1)青少年リーダー等の育成(内閣府,文部科学省)

内閣府は,地域で中心的役割を担っている青少年育成指導者,少年補導委員,青少年育成に関する活動を行う各種団体の指導者に対して,子どもや若者に係る諸問題の状況について情報提供するとともに,政府の施策について理解を深め,様々な課題への対応能力の向上を図るため,研修会を開催している。平成25(2013)年度は,中央研修大会を東京で,ブロック研修会を全国6ブロックで開催した(第2-4-15図)。平成26(2014)年度には,地域の若手指導者などのリーダーシップや企画力などの向上に資する青年リーダー研修会を新たに実施する。また,地域で青少年育成に携わるボランティアの活動状況に関する調査研究を実施する。

第2-4-15図 子ども・若者育成支援のための地域連携推進事業

独立行政法人国立青少年教育振興機構をはじめとする青少年教育施設は,青少年関係団体の指導者などを対象とした研修を行っている。

(2)民間協力者の確保
ア 保護司(法務省)

保護司は,「保護司法」(昭25法204)に定めるところにより,法務大臣から委嘱された非常勤の国家公務員である。民間人としての柔軟性と地域の実情に通じているという特性を生かし,処遇の専門家である保護観察官と協働して,保護観察,生活環境の調整,地域社会における犯罪予防活動に当たっている。現在,全国で約48,000人の保護司が法務大臣の定めた保護区ごとに配属され,それぞれの地域で活動している。

法務省は,近時,犯罪・非行の態様や保護観察に付された人の抱える問題の複雑化・多様化が進んでいることから,これらに適切に対応するため,幅広い世代・分野からの保護司適任者の確保に努めるとともに,保護司研修の充実を図っている。また,近年,保護司の確保が困難になっている状況に鑑み,幅広い分野から保護司候補者を得るとともに,新任保護司の不安を軽減するために,保護司の活動を組織としてサポートできるよう基盤整備に努めている。

イ 更生保護関係施設・団体

保護司以外に,地域の中で更生保護を支えている民間の施設・団体として,次のような施設・団体が挙げられる。

法務省は,これらの施設・団体の自発性・自主性を尊重しながら,その活動の積極的な促進を図っている。

  • 更生保護施設

    「更生保護事業法」(平7法86)の定めるところにより,法務大臣の認可などを受けて設置・運営される施設である。保護者がいないなどの理由で改善更生が困難な少年院仮退院者や保護観察中の少年を保護し,各種の生活指導や宿泊場所の提供,食事の供与,就労の援助などを行うことにより,その自立更生を支援している。平成26(2014)年4月1日現在,全国に更生保護施設は104施設あり,このうち少年を対象とする施設は84施設ある。

  • 更生保護女性会

    犯罪や非行のない明るい地域社会を実現しようとするボランティア団体であり,非行のある子どもの改善更生の援助,地域社会の非行防止,子育て支援活動など,地域に根ざした幅広い活動を展開している。平成26年4月現在,全国で約173,000人の会員が,市町村などを単位に地区会を結成し,全国各地で活動している。

  • BBS(Big Brothers and Sisters Movement)会

    非行など様々な問題を抱える子どもの悩み相談や学習支援を通して,その自立を支援する「ともだち活動」をはじめ,非行防止や子どもの健全育成のための多彩な活動を行っている青年ボランティア団体である。平成26年4月現在,全国で約4,500人の会員が,市町村などを単位とした地区組織や大学を単位とした学域組織を結成し,全国各地で活動している。

  • 協力雇用主

    犯罪や非行歴のある人に,その事情を承知した上で職場を提供し,その人の立ち直りに協力しようとする民間の事業主であり,平成26年4月現在,全国に約12,600の事業主がいる。犯罪や非行歴のある人は,そのために職業を得ることが難しく,また,就職しても職場での理解を得にくい場合があるため,協力雇用主は,健全な就業生活の確保に極めて重要な役割を果たしている。

ウ 人権擁護委員(法務省)

法務省は,様々な人権問題に対処するため,幅広い世代・分野の出身者に人権擁護委員を委嘱している。子どもや若者に関する人権問題は,いじめや体罰,児童虐待,児童買春など,その対象や問題背景が多岐にわたることから,全ての人権擁護委員に対し,各種研修によりこれらの問題に関する知識の習得を図っている。また,人権擁護委員が組織する全国人権擁護委員連合会や都道府県人権擁護委員連合会,人権擁護委員協議会に設置されている子ども人権委員会や子ども部会が中心となり,子どもから送られてくる相談の手紙に対する返信内容や子どもを対象に実施している人権教室の実施方法について研究し,所属委員に対し研修を行っている。

COLUMN NO.15
 子どもの人権を守る人権擁護委員の活動

中学生(相談者)から,同級生数名から無視されるといったいじめを継続的に受けていたことを学級担任に相談したところ,これに適切に対応してくれず,学校に対して不信感を抱いているという内容の「子どもの人権SOSミニレター」が法務局に寄せられ,関与を開始した事案を紹介する。

人権擁護委員が,相談者に対して直筆で励ましや助言を交えて返信をしていた中,相談者の父が法務局の常設人権相談所に来所し,相談者と同内容(学校に対する不信感)の相談を行った。これら相談を受け,法務局職員が学校からいじめについての対応状況を聴取したところ,学校としても一定の取組を行っていることが見受けられた。そこで,相談者らと学校の信頼関係を構築すべく,法務局職員と学校勤務経験のある人権擁護委員が間に入り,関係調整の場を設けた。調整の場で,いじめは次第になくなりつつあることが確認されたが,相談者と学校側との間に,いじめに対する学校の対応について認識の違いがあることが判明したことから,人権擁護委員が自らの学校での勤務経験などを基に,両者の意見に対する感想を述べるとともに必要な助言を試みたところ,両者が次第に打ち解け合い,最終的には相談者からも謝意を示されるに至った。

このように,人権擁護委員や法務局職員の関与により,学校と相談者らとの間の信頼関係が修復され,相談者を支援する体制も整った。人権擁護委員らは,その後の近況を確認するなどのアフターフォローを行った。

人権擁護委員の写真、人権擁護委員の紹介 たとえばこんな方々…
エ 児童委員(厚生労働省)

児童委員は,民生委員をもって充てられ,平成25(2013)年3月31日現在,全国で約23万人が厚生労働大臣から委嘱されている(第2-4-12図)。児童委員は,子どもと妊産婦の生活の保護・援助・指導を行うが,必ずしも児童福祉の専門的知識を持つわけではないので,研修の実施によりその知識の習得に努めている。また,関係機関などと連携して活動を行っている。主任児童委員は,児童委員の中から約2万人が指名され,児童福祉に関する事項を主に担当し,関係機関と児童委員との連絡調整や,児童委員の活動に対する援助と協力を行っており,研修により専門的知識の習得に努めている。(第2-4-16図)

第2-4-16図 児童委員
オ 母子保健推進員(厚生労働省)

母子保健推進員は,母性と乳幼児の健康の保持増進のため,家庭訪問による母子保健事業の周知,声かけ,健康診査や各種教室への協力をはじめ,地域の実情に応じた独自の子育て支援と健康増進のための啓発活動を行っている。

カ 少年警察ボランティア(警察庁)

警察は,少年の非行を防止し,その健全な育成を図るため,次のような少年警察ボランティア約59,000人を委嘱している(平成26(2014)年4月1日現在)。(第2-4-17図)

第2-4-17図 少年警察ボランティアによる立ち直り支援活動(農業体験)
  • 少年指導委員(約6,600人)

    「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(昭23法122)に基づき,都道府県公安委員会から委嘱され,少年を有害な風俗環境の影響から守るため,少年補導活動や風俗営業所などへの立ち入りといった活動に従事

  • 少年補導員(約52,000人)

    街頭補導活動や環境浄化活動をはじめとする幅広い非行防止活動に従事

  • 少年警察協助員(約300人)

    非行集団に所属する少年を集団から離脱させ,非行を防止するための指導・相談に従事

深刻化する非行情勢を踏まえ,大学生や女性,PTA関係者の委嘱により,人材の多様化を図るとともに,問題を抱える少年の立ち直り支援やインターネットを利用しての声掛け補導活動など活動の多様化を図っている。また,全国少年警察ボランティア協会が行う各種研修会などの機会を利用して,非行の防止と健全育成のための活動を行うために必要な知識の提供に努めている。

キ 少年補導委員(内閣府)

内閣府は,地方公共団体が委嘱している少年補導委員(平成25(2013)年2月現在約6万人)や青少年センターなどの職員の技能や知識の向上を図るため,相談・助言の効果的進め方などを内容とする研修事業を実施している。

[目次]  [戻る]  [次へ]