第1部 子供・若者の状況
第4章 社会的自立
第1節 労働
1 概況
(1)労働力人口
労働力人口は減少続く。労働力率は15~19歳と20~24歳ではおおむね横ばい,25~29歳では上昇傾向。
15~29歳の労働力人口は1990年代後半から減少に転じ,平成26(2014)年には1,106万人となっている。年齢階級別にみると,近年はどの年齢階級でも労働力人口は減少傾向にあり,平成26年は15~19歳が97万人,20~24歳が427万人,25~29歳が582万人となっている。労働力率(当該年齢階級における労働力人口の全人口に占める割合)をみると,15~19歳と20~24歳では近年はおおむね横ばいで推移している一方,25~29歳では上昇傾向にある。15~29歳を男女別にみると,男女ともに労働力人口が減少している中で,男性の労働力率は緩やかに低下しており,女性の労働力率も上昇が頭打ちとなっている。(第1-4-1図)
(2)失業状況
失業率はこのところ改善が続く。
失業率は,平成15(2003)年以降低下した後,平成20(2008)年の世界金融危機後の景気の悪化により上昇に転じたが,この数年は再び低下している。平成26(2014)年には,15~19歳が6.2%,20~24歳が6.3%,25~29歳が5.2%となっており,特に15~19歳の改善が顕著である。なお,いずれの年齢階級も全体と比較すると高い水準にある。失業者数は,この10年間世界金融危機後を除きおおむね減少傾向にあり,平成26年には,15~19歳が6万人,20~24歳が27万人,25~29歳が30万人となっている。(第1-4-2図)
(3)産業別にみた就業者数
15~29歳では,「卸売業,小売業」(19.4%)が最も多く,「製造業」(15.6%),「医療,福祉」(13.3%)が続く。
15~29歳の就業者数を産業別にみると,平成26(2014)年では,「卸売業,小売業」(19.4%)が最も多く,「製造業」(15.6%),「医療,福祉」(13.3%)が続いている。(第1-4-3図)
(4)非正規雇用
若者の非正規雇用者比率は,15~24歳(在学者除く。)では横ばい圏内の動き,25~34歳では緩やかな上昇傾向にあるが,全体と比べれば低い水準。
雇用者(役員を除く。)に占める非正規の職員・従業員の割合をみると,15~24歳(在学者除く。以下同じ。)では,ここ数年は横ばい圏内で推移しており,平成26(2014)年は30.8%となっている。25~34歳では2000年代以降緩やかな上昇傾向が続いており,平成26年は28.0%となっている。全体と比べるといずれも低い。(第1-4-4図(1))
男女別にみると,男性では,25~34歳は全体と比べ低いものの緩やかな上昇傾向にあり,15~24歳は全体より高い水準で横ばい圏内で推移している。女性では,15~24歳も25~34歳も全体と比べ低いものの,男性の同年齢階級と比べ相当高い水準にある。(第1-4-4図(2)(3))
2 就職・離職状況
(1)就職
就職率はこのところ上昇。
中学校(中等教育学校前期課程修了者を含む。)の卒業者の就職率(各年3月卒業者のうち,就職者の占める割合。以下同じ。)は,近年は横ばいで推移しており,平成26(2014)年には,中学校卒業者が0.4%となっている。高校(中等教育学校後期課程修了者を含む。)や短期大学,大学の卒業者の就職率はともに,このところ上昇しており,平成26年にはそれぞれ,高校卒業者が17.5%,短期大学卒業者が75.2%,大学卒業者が69.8%となっている。(第1-4-5図(1))
高校と大学の卒業者を男女別にみると,近年,高校卒業者の男女と大学卒業者の男性と比べ,大学卒業者の女性の就職率の上昇幅が大きい。(第1-4-5図(2))
平成26年3月の高校卒業者は105万人であり,そのうち,大学や短期大学に進学した者が53.9%,就職した者が17.5%である一方,進学も就職もしていない者が4.5%いる。(第1-4-6図)
大学学部卒業者は57万人であり,そのうち,大学院等進学者は11.1%,正規職員として就職した者が65.9%である一方,安定的な雇用に就いていない者(正規職員でない者,一時的な仕事に就いた者,進学も就職もしていない者の合計)が2割弱存在し,12.1%は進学も就職もしていない。(第1-4-7図)
(2)職業紹介
求人倍率は改善が進んでいる。
ハローワークと学校が取り扱った中学校卒業者の求職者数と求人数はともに,長期的に減少傾向にあり,平成26(2014)年には,求職者数は909人,求人数は1,636人である。高校卒業者では,求職者数,求人数ともに平成22(2010)年に大きく減少した後,ここ数年,求職者数はおおむね横ばいとなっている一方,求人数は増えている。求人倍率は,中学校卒業者,高校卒業者ともに,平成22年に大きく減少したが,この数年は改善が進んでおり,平成26年には,中学校卒業者は1.80,高校卒業者は1.57となっている。(第1-4-8図)
(3)離職
離職率は,若年層ほど高い。
平成25(2013)年の事業所規模5人以上の事業所における離職率17は,19歳以下が37.0%,20~24歳が26.0%,25~29歳が19.3%である。ここ数年の推移をみると,おおむね横ばい圏内の動きとなっており,全労働者の離職率を常に上回って推移している。(第1-4-9図)
新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率をみると,平成23(2011)年3月卒業者では,中学校卒業者が64.9%,高校卒業者が39.7%,大学卒業者が32.3%と,いずれの離職率も上昇している。中学校卒業者と高校卒業者では,就職後1年以内に離職する者が多い。(第1-4-10図)
3 労働条件
(1)賃金
平均賃金は正社員・正職員を中心に増加。
20代の平均賃金をみると,平成26(2014)年は,男性は,正社員・正職員の20~24歳が205,900円,25~29歳が243,200円,正社員・正職員以外の20~24歳が176,900円,25~29歳が195,100円である。女性は,正社員・正職員の20~24歳が198,300円,25~29歳が226,300円,正社員・正職員以外の20~24歳が164,400円,25~29歳が181,200円であった。平成26年の20代の平均賃金は,正社員・正職員以外では一部の年齢階級で前年から若干減少したものの,正社員・正職員ではいずれの年齢階級においても前年から増加した。(第1-4-11図)
(2)初任給
大学卒業者の初任給は上昇傾向にあり,男性で202,900円,女性で197,200円。
新規学卒者の初任給額は,いずれの学歴でもこの10年間緩やかな上昇傾向となっている。平成26(2014)年3月卒業者では,男性は,大学院修士課程修了者227,700円,大学卒業者202,900円,高専・短大卒業者176,100円,高校卒業者161,300円となっている。女性は,大学院修士課程修了者230,700円,大学卒業者197,200円,高専・短大卒業者172,800円,高校卒業者154,200円となっている。(第1-4-12図)