特集 地域のネットワークによる子供・若者支援の取組

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3 困難を有する子供・若者を支援する様々なネットワーク

(1)子ども・若者育成支援推進法に基づく支援ネットワーク

ア 子ども・若者支援地域協議会

社会生活を円滑に営む上での困難を有する子供・若者の問題は複雑・深刻な状況にあり,これらの問題に対応するには単一の機関だけでは困難であることから,様々な機関がネットワークを形成し,それぞれの専門性を生かした支援を行うことが有効である。

法は,地方公共団体にこのような支援を効果的かつ円滑に実施する仕組みとして協議会を置くよう努めることを求めている(法第19条)。

なお,法第24条では,協議会の構成機関等に対して,罰則も含めた法律上の秘密保持義務を課しており,相談者に対して安心して相談できる環境を整備するとともに,協議会における積極的な情報交換及び官民間の連携の推進を担保することとしている。

平成27(2015)年4月現在,全国で80か所の協議会が設置されている。

イ 子ども・若者総合相談センター

センターは,地方公共団体が子ども・若者育成支援に関する相談に応じ,関係機関の紹介,その他必要な情報提供を行う拠点として設けられるものである。

その趣旨は,幅広い分野にまたがる子供・若者の問題への相談に対し,いわゆる「たらい回し」を防ぐ機能を果たすことである。必ずしも,子供・若者に関する全ての問題をセンターだけで解決することが求められるものではないが,少なくとも関係機関のリストを整備するなどして相談の一元的な受け皿となり,自ら対応できない案件については,地域内の他の適切な機関に「つなぐ」ことが重要である。

図表4 子ども・若者支援地域協議会

ウ 協議会及びセンターの設置状況

<1> 協議会の設置状況

協議会を設置している地方公共団体は全体の6.6%であり,都道府県の51.1%,政令指定都市の65.0%で設置されているが,市区町村で設置している地方公共団体はわずかにとどまる。

<2> センターの設置(機能の確保)状況

センターの機能を確保している地方公共団体は6.9%にとどまる。規模別にみると,都道府県の3割,政令指定都市の半数でセンターの機能を確保しているが,市区町村では1割に満たず,特に町村は1.6%(7団体)のみとなっている。

図表7 内閣府が把握する協議会設置状況(平成27年4月現在)-01
図表7 内閣府が把握する協議会設置状況(平成27年4月現在)-02

(2)子ども・若者育成支援推進法に基づく協議会以外の支援ネットワーク

法に基づく協議会が未設置である地方公共団体においては,困難を有する子供・若者に対する支援ネットワークはどのようになっているのであろうか。法に基づく協議会等以外で,困難を有する子供・若者を支援するネットワークとしては,「児童福祉法」(昭22法164)第25条の2に基づき,その設置が地方公共団体の努力義務とされている「要保護児童対策地域協議会子供を守る地域ネットワーク。以下本特集において「要対協」という。)」が,全市区町村の98.9%に設置されていることから,児童虐待等への対応も含め,要対協が主要な役割を果たしているものと思われる(要対協については,第2部第3章第2節1「児童虐待防止対策」を参照)。

また,協議会未設置である地方公共団体における,要対協以外の支援ネットワークの活動内容をみると,「発達障害のある幼児,児童生徒の支援や特別支援教育の総合的な推進」が44.2%で最も多く,次いで「不登校になったりいじめにあっている児童生徒の支援」が38.4%,「少年非行の防止や立ち直りの支援」が24.1%,「ひきこもりに対する支援」が22.8%,「ニートの支援」が14.3%,「その他」が5.8%となっている。

これらは,「発達障害者支援法」(平16法167)に基づく発達障害者支援センター第2部第3章第1節2「障害のある子供・若者の支援」を参照)や,「いじめ防止対策推進法」(平25法71)に基づくいじめ問題対策連絡協議会第2部第3章第2節5「いじめ被害,自殺対策」を参照),不登校の子供への相談・指導を行うために都道府県・市区町村教育委員会が設置している教育支援センター(適応指導教室),家庭・学校・地域の緊密な連携の下に推進されている様々な非行防止と立ち直り支援の取組,医療・保健・福祉・教育・雇用等の関係機関の連携の下で専門的な窓口相談を行うひきこもり地域支援センター,ニートなどの若者の職業的自立を支援する地域若者サポートステーション(それぞれ,第2部第3章第1節1「ニート,ひきこもり,不登校の子供・若者への支援等」を参照),その他,地方公共団体独自の要綱等に基づくネットワークなどを基盤として,それぞれ関連する専門機関と連携して必要な支援を展開しているものと思われる。

(3)協議会設置が困難である事情

上記(2)のように,法に基づく協議会が未設置である地方公共団体に対し,協議会設置が困難である事情をみたところ,「行政内に担当部署を設置するのが難しいため」が37.2%で最も多く,次いで,「地域に協議会の担い手となる機関や人材が不足しているため」(26.5%),「関係機関・団体等の連携や役割分担が難しいため」(25.7%)となっているなど,様々な分野の支援機関が連携する協議会の担当部署が決まらないことや,地域に適当な専門機関がないこと,既に支援を実施している専門機関との役割分野などの調整が難しいことを理由とする地方公共団体が多い。

「地域に既存の支援ネットワークがあるので」と回答した地方公共団体(15.7%)における当該ネットワークを協議会に移行しない理由としては,「要対協等既存の支援ネットワークで十分に対応できている」「既存のネットワークと支援対象や構成機関・団体が重複し,ネットワークの役割が重なるのでその調整が難しい」というものもみられた。

(4)協議会設置の理由とその成果

一方で,すでに協議会を設置した地方公共団体の理由としては,「これまでも困難を有する子供・若者の支援を行っていたが,関係機関の連携が十分にできていなかった」が6割を占めている。

協議会設置による成果をみると,約63%の地域が「大きな成果が見られた」又は「ある程度成果が見られた」としている。

具体的な成果をみると,「関係機関の連携がスムーズになったこと」「これまで十分な対応ができていなかった,複合的で深刻な困難を有する子供・若者に対応できるようになった」「困難なことがあったときに相談してくれる子供・若者やその保護者が増えた」というものもあり,協議会の主な目的が設置済み地方公共団体の多くで実現していることがうかがえる。

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