特集 地域のネットワークによる子供・若者支援の取組

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4 協議会を設置した地方公共団体における取組例

協議会設置済みの地方公共団体では,困難を有する子供・若者支援において一定の成果を実感しており,そうした実際の取組事例を広く共有することは,未だ協議会設置に至らない地方公共団体への設置促進において有意義と思われる。

ここでは,協議会設置済みの地方公共団体のうち,特に参考となる取組例を紹介する2

(1)都道府県の事例

<1> 島根県【人口711,364人,0~39歳人口266,876人(人口比37.5%)】

「島根県子ども・若者支援地域協議会」は,平成22(2010)年4月の法施行を機に,県内4市(松江・出雲・浜田・益田)の子ども支援センターを子ども・若者総合相談センターに移行させ,さらに県独自のネットワークであった若者自立支援検討会議に様々な専門機関を加えて組織の拡充が図られて発足した。主な構成機関・団体は以下のとおり。

調整機関 島根県健康福祉部青少年家庭課
調整補助機関(2機関) 教育委員会社会教育課,県警本部生活安全部少年女性対策課
教育(6機関・団体) 教育委員会教育指導課・特別支援教育課・教育センター,私立中学高等学校連盟,総務部総務課,松江市発達・教育相談支援センター
福祉(6機関) 健康福祉部障がい福祉課・地域福祉課,中央児童相談所,県立わかたけ学園,東部発達障害者支援センター,女性相談センター
保健・医療(4機関・団体) 県立こころの医療センター,県立心と体の相談センター,保健所長会,市町村保健活動協議会
矯正・更生保護(2機関) 松江少年鑑別所,松江保護観察所
雇用(8機関・団体) 島根労働局,商工労働部雇用政策課,しまね東部若者サポートステーション,しまね西部若者サポートステーション,公益財団法人ふるさと島根定住財団(ジョブカフェ),独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(障害者職業センター,職業訓練支援センター),商工会議所連合会,商工会連合会
学識経験者(1名) 島根大学教育学部教授
その他(4団体) 県弁護士会,PTA連合会合同連絡協議会,私立中学高等学校PTA連合会,青少年育成島根県民会議
市町総合相談センター(7機関) 松江市青少年支援センター,出雲市子ども・若者支援センター,浜田市青少年サポートセンター,益田市子ども・若者支援センター,大田市健康福祉部子育て支援課,雲南市子ども・若者支援センター,飯南町子ども・若者総合相談窓口

島根県では,松江・出雲・浜田・益田の4市に設置した子ども・若者総合相談センターを拠点とし,そこを中核にした4つのネットワーク(松江圏・出雲圏・浜田圏・益田圏)で県域全体をカバーし,子供・若者支援を展開している。

個別の相談や支援は上記4つのネットワークで対応し,県は協議会等の体制整備に関して補助事業を担う役割分担である。

上記4市の協議会を含め困難を有する若者の支援は,県内ではおおむね隙間なく実施されている。町村部では協議会等を置く地方公共団体は少ないが,「子ども・若者育成支援担当者」が指名され,情報共有を行う体制が整備されている。

都道府県の事例-02

<2> 佐賀県【人口852,285人,0~39歳人口352,949人(人口比41.4%)】

「佐賀県子ども・若者支援地域協議会」は,以前から県内で困難を有する若者支援で実績のあったNPO法人NPOスチューデント・サポート・フェイスが運営する地域若者サポートステーションを中核とする若者自立支援ネットワークを基盤として,平成22(2010)年4月に設立された。主な構成機関・団体は以下のとおり。

調整機関 佐賀県くらし環境本部こども未来課
雇用(6機関) 佐賀労働局職業安定課,県若年就職支援センター ジョブカフェSAGA,県立産業技術学院,農林水産商工本部雇用労働課,さが若者サポートステーション,たけお若者サポートステーション
保健・福祉・医療(7機関) 中央児童相談所,精神保健福祉センター,健康福祉本部地域福祉課・障害福祉課・母子保健福祉課,佐賀県発達障害者支援センター 結,独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター
教育(2機関) くらし環境本部文化・スポーツ部まなび課,教育庁学校教育課
矯正・更生保護(2機関) 佐賀少年鑑別所,県警本部少年課少年サポートセンター
その他(3団体) NPO法人NPOスチューデント・サポート・フェイス(指定支援機関),親の会「ほっとケーキ」,NPO法人それいゆ
総合相談センター NPO法人NPOスチューデント・サポート・フェイス運営受託

先進的な取組で実績のあるNPO法人NPOスチューデント・サポート・フェイスが指定支援機関と総合相談センターを兼務し,県と緊密に連携して,隙間の無い協議会を運営している。

また,同協議会における支援においては,支援対象である若者の回復状況を評価するツールとして,「Five Different Positions」という独自の指標が活用されており,対人関係,メンタル,ストレス,思考,環境の5項目で各5段階の評価を行いレーダーチャートにすることで,どの程度改善したのかを詳細に把握し,回復率を出すことができるようになった。支援対象である若者の回復程度を具体的・客観的に「見える化」するため,支援スタッフ間の引き継ぎも円滑に行えるようになり,業務の効率化に役立っている。

都道府県の事例-04

(2)政令指定都市の事例

<3> 北海道札幌市【人口1,930,496人,0~39歳人口799,445人(人口比41.4%)】

「さっぽろ子ども・若者支援地域協議会」は,平成22(2010)年9月に,勤労青少年ホームを転用した新たな若者支援施設を拠点として,市内の専門機関を構成機関として発足した。主な構成機関・団体は以下のとおり。

調整機関 札幌市若者支援総合センター(指定管理者:公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会SYAA)
教育(3機関) 子ども未来局子ども育成部子どもの権利推進課(若者支援施策主管課),教育委員会学校教育部児童生徒担当課,市教育センター
保健福祉・医療(6機関) 市児童相談所,保健福祉局障がい保健福祉部障がい福祉課,市自閉症・発達障がい支援センター,市精神保健福祉センター,道ひきこもり成年相談センター,市児童心療センター
矯正・更生保護(2機関) 札幌少年鑑別所,道警本部生活安全部少年課
雇用(4機関) 経済局雇用推進部人材育成担当課,ジョブカフェ北海道,札幌わかものハローワーク,さっぽろ若者サポートステーション
その他(3団体) 公益財団法人さっぽろ青少年女性活動協会(SYAA,指定支援機関),全国引きこもりKHJ親の会家族会連合会 北海道「はまなす」,北海道フリースクール等ネットワーク
総合相談センター(2機関) 札幌市若者支援総合センター(指定管理者SYAA),市子どもの権利救済機関子どもアシストセンター

調整機関,総合相談センター,指定支援機関の機能を札幌市若者支援総合センターSYAAに集中させて構成機関の円滑な連携を図っている。毎回の実務者会議に合わせて研修会を開催し,構成機関職員の能力向上を図っているが,併せて各構成機関の担当者同士が顔の見える関係が構築され,横の連携の強化につながっている。

札幌市若者支援総合センターは,支援対象者に心身障害等が疑われ,専門機関に誘導する場合も,支援対象者と専門機関のコーディネート役を担っている。

政令指定都市の事例-02
政令指定都市の事例-03

<4> 福岡県北九州市【人口981,891人,0~39歳人口395,343人(人口比40.3%)】

平成20(2008)年から2年間,内閣府の「地域における若者支援のための体制整備モデル事業」を実施し,平成22(2010)年8月に北九州市青少年課を調整機関として「北九州市子ども・若者支援地域協議会」が発足した。主な構成機関・団体は以下のとおり。

調整機関 子ども家庭局子ども家庭部青少年課
教育(4機関・団体) 教育委員会,福岡県公立高等学校長協会北九州地区,福岡県高等学校養護教諭研究会北九州支部,福岡県私学協会北九州支部
福祉(5機関・団体) 保健福祉局,子ども総合センター,ひきこもり地域支援センター(NPO法人「STEP・北九州」運営受託),発達障害者支援センター,民生委員児童委員協議会
保健(1機関) 精神保健福祉センター
矯正・更生保護(4機関) 県警本部生活安全部少年課少年健全育成室,北九州少年サポートセンター,福岡保護観察所北九州支部,小倉少年鑑別支所
雇用(4機関) 産業経済局,小倉公共職業安定所,若者ワークプラザ北九州,北九州若者サポートステーション北九州地区
その他(4機関) 市民文化スポーツ局,消費生活センター,青少年ボランティアステーション,勤労青少年ホーム
総合相談センター 子ども・若者応援センター「YELL」
政令指定都市の事例-05

相談受付は,子ども・若者総合相談センターである「北九州市子ども・若者応援センター『YELL』」において対応しているが,小・中・高校に在籍している児童生徒については,子ども総合センターで対応する役割分担を図っている。「YELL」のケースの中で対応が困難である事例については,関係機関の担当者が参集して担当者会議を開催し,具体的で密な協議を実施している。

関係機関・団体の人材育成のために市主催でユースアドバイザー養成講習会を開催しており,過去に受講した人も参加するなど関係機関・団体同士の信頼感を醸成する機会として好評である。

「YELL」においては,調整機関である北九州市青少年課と合同で個別ケース検討会議を開催しているが,支援方針の策定にあたり,10段階(自立レベル(1),進路選択レベル(2),社会参加レベル(3,4),準ひきこもりレベル(5~8),ひきこもりレベル(9,10))の活動自立度という指標を用いて対象者の変化を把握している。

(3)中核市・一般市の事例

<5> 愛知県豊橋市【人口379,582人,0~39歳人口168,706人(人口比44.4%)】

平成21(2009)年に設置されていた豊橋市若者自立支援ネットワーク協議会を基盤に,平成22(2010)年11月,さらなる支援体制の充実に向けて「豊橋市子ども・若者支援地域協議会」へ移行させた。主な構成機関・団体は以下のとおり。

調整機関 教育部生涯学習課,豊橋市子ども・若者総合相談窓口室長
教育(3機関・団体) 愛知県立高等学校長会,愛知県私学協会三河支部,豊橋市立豊橋高等学校
福祉(5機関・団体) 愛知県東三河福祉相談センター,豊橋市社会福祉協議会,豊橋市民生委員・児童委員協議会,豊橋市医師会,豊橋市こども発達センター
矯正・更生保護(5機関・団体) 名古屋保護観察所豊橋駐在官事務所,愛知県豊橋警察署,豊橋保護区保護司会,豊橋市少年愛護センター,豊橋市少年愛護センター補導委員会
雇用(3機関) 豊橋公共職業安定所,豊橋商工会議所,とよはし若者サポートステーション
地域(1団体) 豊橋市青少年育成市民会議
支援団体等(7団体) NPO法人いまから,NPO法人外国人就労支援センター,NPO法人三河ダルク,おやじのいる会,株式会社トライアングル・トラスト,発達・就労相談支援センターFLAT,一般社団法人東三河セーフティネット
豊橋市(7部署) 文化市民部多文化共生・国際課,福祉部子育て支援課・障害福祉課,健康部健康増進課,産業部商工業振興課,教育部学校教育課・生涯学習課
中核市・一般市の事例-02

豊橋市では,高校生以上になると市域・県域を越えて通学・通勤する若者が多く,県外・市外の若者の相談もあるため,互いに子供・若者支援について協力する趣旨で,協議会の設置に伴い,豊橋市周辺の東三河地区と静岡県浜松市を中心とする西遠地域における子供・若者支援に係る連携関係の構築を目指し,「三遠子ども・若者支援ネットワーク会議」が設置された。「三遠子ども・若者支援ネットワーク会議」メンバーは,協議会にもオブザーバーとして参加しており,さらに支援機関フォーラムの開催を通じて相談機関同士の連携も深まっている。

中核市・一般市の事例-03

<6> 新潟県三条市【人口102,489人,0~39歳人口39,673人(人口比38.7%)】

新潟県三条市では,乳幼児期から就労・自立に至るまでの切れ目のない支援を総合的に実施するために,関係機関の連携を目的として,平成21(2009)年「三条市子ども・若者総合サポート会議」を設置し,同会議が要対協の役割も担うこととした。平成22(2010)年4月の法施行と同時に,子ども・若者支援地域協議会としても位置付けられた。主な構成機関・団体は以下のとおり。

調整機関 教育委員会子育て支援課(子どもの育ちサポートセンター)
司法・警察 (6機関・団体) 若者支援 新潟少年鑑別所,県三条警察署,三条地区保護司会
その他 新潟地方法務局三条支局,三条人権擁護委員協議会,県弁護士会
教育(7機関・団体) 若者支援 中学校長会,三条地区高等学校長協会,青少年指導委員会
その他 小学校長会,県立月ヶ岡特別支援学校,PTA連合会,私立幼稚園連盟
保健福祉(5機関・団体) 若者支援 県中央児童相談所,県三条地域振興局健康福祉環境部,民生委員児童委員協議会
その他 社会福祉協議会,私立保育園連盟連絡協議会
医療(2団体) 若者支援 医師会
その他 歯科医師会
就労(2機関) 若者支援 三条公共職業安定所,三条地域若者サポートステーション
市(6機関) 若者支援 市民部市民窓口課,福祉保健部福祉課・健康づくり課,経済部商工課,教育委員会小中一貫教育推進課
その他 消防本部
民間団体(1団体) その他 手をつなぐ育成会
地域(2団体) 自治会長協議会,青少年育成市民会議
相談窓口 若者支援 教育委員会子育て支援課青少年育成センター青少年相談室

三条市では,各相談窓口で把握した困難を抱える子供・若者の情報を一元管理するため,各支援機関において,個人情報の取扱いに係る書面同意を得た上で,対象者の支援経過を記録する「子ども・若者支援台帳」を作成しているが,定期的に構成機関に確認して情報の更新を行い,常に最新情報を関係機関と共有することで,個別ケース検討会議での効果的な支援方針の検討や個別支援計画の作成等に役立てている。

三条市では,支援情報の一元的な管理・活用を通じて,乳幼児から就労・自立に至るまで切れ目のない総合的な支援が継続的に行われているが,要対協と協議会が一体的に運用される有意義性が認められる。

中核市・一般市の事例-05

2 各事例の冒頭に記載している人口は,住民基本台帳人口(平成26年1月1日現在)を使用している。
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