特集 地域のネットワークによる子供・若者支援の取組

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5 おわりに

この特集では,地方公共団体による困難を有する子供・若者の実態把握の状況や,協議会及びセンターを含めた地域における様々なネットワークによる子ども・若者育成支援の実情とその課題,全国各地域における先進的な取組事例を紹介した。

全国的には,協議会及びセンターの設置はまだ一部にとどまっているが,一方で上記の先進的な取組事例は,今後の各地方公共団体における協議会等の設置に向け,地域の実情に適合した道筋を探る上で重要な示唆を含んでいる。

各地の協議会等の設置のきっかけとして,地域における子供・若者を巡る重要課題に対し,単一機関による支援や既設のネットワークだけでは奏功しなかったなどの事情が認められるが,他方,すでに地域に有力な支援ネットワークや民間支援団体が存在し,これを原動力(基盤)にして,協議会等を立ち上げた事例も見られた。協議会等の設置については,当該地方公共団体だけで対応するには様々な困難もあると思われる。そのような場合,既設置地方公共団体における設置までの経過や設置後の成果に関する情報共有が有意義であろう。

なお,法に基づく「子ども・若者育成支援推進大綱」に係る施策の実施状況について総点検を行った有識者会議の報告書には,「子供・若者のライフサイクルを見通した重層的な支援ネットワークの構築」が重要と提言されている。これは,地域においては,子供・若者について幼児期から学童期・思春期を経て青年期まで,年齢を縦断して継続的に支援するネットワークが必要ということであり,例えば,

  • 義務教育終了後の不登校生徒は,その後のフォローアップが難しく,長期的な展望に基づく支援が難しい。
  • ニートと呼ばれる若者の多くは,過去にいじめ被害の経験を持っているなど,いじめの影響は学齢期にとどまらない。

などの実態を踏まえての指摘と言える。

図表13 子ども・若者育成支援推進大綱の総点検

同会議の報告書では,こうした問題を克服し,支援のネットワークを機能させるためには,子ども・若者育成支援推進法に基づく「子ども・若者支援地域協議会」の設置を促進し,かつ,児童福祉法に基づく「要保護児童対策地域協議会」との有機的な連携を行い,切れ目のない支援を全国あまねく展開することが有効と提言している。

また,平成27(2015)年3月31日に取りまとめられた「川崎市における事件の検証を踏まえた当面の対応方策」においても,地域ぐるみで子供を守り支える取組の一つとして,子ども・若者支援地域協議会等の支援のネットワークの活用が掲げられているところ3

内閣府は,今後とも子供・若者支援に関する地域のネットワークの形成を促していくが,その際には今回の調査結果やそこから得られた示唆を十分に活用してまいりたい。また,この特集が,各地域において子供・若者に対する切れ目のない支援を展開する上での参考となることを期待する。

図表14 子ども・若者支援地域協議会と要保護児童対策地域協議会の協働・連携イメージ

3 「川崎市における事件の検証を踏まえた当面の対応方策」のより具体的な内容については,第2部第3章第1節3(10)「いじめ・暴力対策」を参照。
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