第2章 全ての子供・若者の健やかな育成

[目次]  [戻る]  [次へ]

第1節 自己形成のための支援

1 日常生活能力の習得

(1)基本的な生活習慣の形成

(学校教育における取組)
  • 平成20(2008)年と21(2009)年に改訂された学習指導要領(以下「現行学習指導要領」という。)では,特に小学校低学年において,挨拶などの基本的な生活習慣や社会生活上のきまりを身に付け,善悪を判断し,人間としてしてはならないことをしないことに関する指導を重視するなど,道徳教育の充実を図っている。
  • 教育再生実行会議の第一次提言などを踏まえ,平成27(2015)年3月27日に,平成30(2018)年度から小学校,平成31(2019)年度から中学校において道徳を「特別の教科」に位置付けるための学習指導要領の一部改正などを行い,平成27年4月からは移行措置として,改正後の学習指導要領の全部又は一部について実施可能となっている。
(社会全体で取り組む子供の生活習慣づくり)
  • 文部科学省は,「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進している。平成27年度は,家庭と学校,地域の連携による中高生を中心とした子供の生活習慣改善のための実証研究として,新たに「中高生を中心とした生活習慣マネジメント・サポート事業」を実施し,地域における先進的な取組を支援し,その効果を検証・分析した上で,広く周知することで,効果的かつ実践的な生活習慣改善の取組を全国に推進している。
(食育活動の推進)
  • 20代の朝食欠食率が特に高い数値で推移している。
図表10 朝食の欠食率
  • 平成27(2015)年度は,「第2次食育推進基本計画」(平成23年3月31日食育推進会議決定)に基づき,朝食を欠食する国民の割合の減少を目標として掲げながら,子供や若者の食育の推進に取り組んできた。
  • 新たに作成した平成28(2016)年度からの5か年計画である「第3次食育推進基本計画」(平成28年3月18日食育推進会議決定)においては,従来の取組を継続しつつ,食育に関する知識,意識,実践について課題が多い若い世代を中心とした食育の推進を重点課題の一つとし,「栄養バランスに配慮した食生活を実践する若い世代の割合の増加」等,若い世代に関する目標も新たに設けて,子供や若者の食育の推進に一層取り組むこととした。
  • 文部科学省は,食に関する指導を行う栄養教諭の配置を促進している。
  • 厚生労働省は,妊産婦や子育て家庭を対象とした食に関する学習機会や情報の提供を推進している。
  • 農林水産省は,ごはんを中心に多様な副食を組み合わせ栄養バランスに優れた「日本型食生活」の実践を促進するとともに,食や農林水産業への理解を深めるための教育ファームの実施などの食育を推進している。
  • 内閣府食品安全委員会は,ホームページで子供向けの食品安全に関する情報をイラストを用いて分かりやすく解説するとともに,小学校5・6年生とその保護者を対象とし,食の安全について楽しく学び,理解を深めてもらう「ジュニア食品安全委員会」を開催している。

(2)規範意識等の育成

  • 学校教育では,学校の教育活動全体を通じて,誰に対しても思いやりの心を持つことや広い心で自分と異なる意見や立場を大切にすることに関する指導が行われている。また,伝え合う力の育成を重視し,発表・討論を積極的に取り入れた学習活動が行われている。
  • 青少年教育施設では,社会性や協調性を育むため,自然体験や集団宿泊体験といった様々な体験活動の機会と場が提供されている。
  • 警察は,職員の学校への派遣や少年警察ボランティアなどの協力により,非行防止教室を開催している。
  • 総務省は,子供のメディアリテラシーを向上させるための教材の開発・貸出しや,教員を対象とした授業実践パッケージの提供を行っている。

(3)体験活動の推進

  • 子供の頃に自然体験や地域活動を多く経験した人の方が,大人になってから,意欲・関心や職業意識が高いことがうかがえる。
  • 学校以外の団体が行う自然体験活動への参加率は減少傾向にある。
図表11 子供の頃の体験と大人になってからの意欲・関心等との関係
図表12 学校における体験活動の実施時間数
図表13 学校以外の団体などが行う自然体験活動への参加率
  • 文部科学省は,家庭や企業などへ体験活動に対する理解を求めていくための普及啓発を推進するとともに,体験活動を推進する企業の表彰に取り組んでいる。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,社会全体で体験活動を推進する気運を高めるため,青少年団体と連携して,「体験の風をおこそう」運動を推進している。

(4)読書活動の推進

  • 文部科学省は,「子どもの読書活動の推進に関する法律」(平13法154)及び「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画(第3次)」(平成25年5月閣議決定)に基づき,子供の読書活動を推進している。
  • 文部科学省は,図書館等の施設が住民にとってより身近で利用しやすい施設となるよう,環境整備を推進している。

(5)体力の向上

  • 小学5年生女子の1割強,中学2年生女子の約2割が1週間ほとんど運動をしていない。
図表14 1週間の総運動時間(小学校5年生,中学校2年生)
(地域社会での体力向上の取組の推進)
  • スポーツ庁は,子供の体力向上に向けた総合的な施策を推進しており,学校や地域における体力向上に向けた取組を推進している。平成25(2013)年度からは,学校や家庭,スポーツ団体といった地域社会全体が連携して行う子供の体力向上に向けた取組の定着を図るモデル事業を実施してきた。
(学校における体育・運動部活動の振興)
  • スポーツ庁は,中学校で必修とされている「武道」において,外部指導者の活用などによる安全かつ円滑な実施を推進するとともに,運動部活動指導の充実を図っている。平成27(2015)年度は,体育を担当する教員の資質向上や指導力の強化などにより,体育における武道を含めた領域の指導の充実を図る取組等を行った。

(6)生涯学習への対応

(高等教育機関における学修機会の充実に関する取組)
  • 独立行政法人日本学生支援機構は,平成26(2014)年度から,若者の学び直しを支援するため,奨学金制度の弾力的運用(同学種間での再貸与の制限の緩和)を行っている。
(学習した成果の適切な評価)
  • 文部科学省は,民間教育事業者などが行う各種検定試験の質の確保や向上を図っている。
(女性の生涯学習)
  • 文部科学省は,平成27(2015)年度より,一旦離職した地域の女性人材を対象に,学びを通じた社会参画を促進するため,地域にある関係機関,大学,男女共同参画センター等によるネットワークの形成とその取組の在り方を検討し,全国へ向けた普及を進めている。
(男女共同参画のための生涯学習)
  • 文部科学省は,平成28(2016)年度より,高校生が進路選択に当たって進学・就職だけではなく結婚,出産,育児などのライフイベントを踏まえた生活の在り方についても総合的に考えることができるよう,若者のライフプランニングを支援する教材と指導の手引の作成に取り組んでいく。

2 学力の向上

(1)知識・技能や思考力・判断力・表現力,学習意欲等の「確かな学力」の確立

  • 文部科学省は,現行学習指導要領の円滑かつ着実な実施に向け,教職員定数の改善や新たに必要となる補助教材の作成・配布,理科教育設備の整備支援,理数教育や外国語教育その他の各教科や活動の充実を支援している。平成28(2016)年度には,
    • 全国学力・学習状況調査による子供の学力や学習状況の把握・分析
    • 小学校・中学校等における理科の観察・実験活動の充実を図るため,観察実験アシスタントの配置支援や,「理科教育振興法」(昭28法186)に基づいた理科教育設備整備補助
    • 地域の人材・企業などの協力による,全ての子供たちの土曜日の教育活動の充実
    などを行う。

(2)基礎学力の保障等

  • 文部科学省は,習熟度別少人数指導,ティーム・ティーチング,小学校の専科指導など指導方法の工夫・改善を行う学校や,特別な配慮が必要な学校などに対し,教職員の加配定数を措置している。

(3)高校教育の質の保証

  • 文部科学省は,学習指導要領の改訂や各学校における学校評価の取組の推進などの多様な施策を実施している。

(4)学校教育の情報化の推進

  • 文部科学省と総務省は連携して,平成26(2014)年度から,実証3地域12校において,クラウドなどの最先端技術を活用した新たな連携事業に取り組んでいる。

3 大学教育等の充実

(1)大学教育の充実

(教育機能の充実)
  • 文部科学省は,個性・特色ある優れた取組に対し,新たな教育改革の方向性に合致した先進的な取組を支援する「大学教育再生加速プログラム」を始めとする財政支援や情報発信を行っている。
(教育研究の質の維持・向上)
  • 全ての国公私立大学が文部科学大臣から認証された評価機関による定期的な評価を受ける認証評価制度により,恒常的に大学の教育研究の質の維持・向上を図っている。
(高度な大学教育の充実)
  • 文部科学省は,産・学・官の参画を得つつ専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した学位プログラムを構築・展開する「博士課程教育リーディングプログラム」事業を実施し,大学院教育の抜本的改革を支援している。
(学修支援サービス)
  • 文部科学省は,多様化した学生の学修活動を支援する各大学の取組に関する調査の結果を発信することで,大学の取組を促進している。

(2)専修学校教育の充実

  • 文部科学省は,専修学校教育の振興を図るため,以下のような取組を行っている。
    • より実践的な職業教育の質の確保に組織的に取り組む専修学校の専門課程を文部科学大臣が認定する「職業実践専門課程」制度
    • 専修学校を始めとした教育機関が産業界等と協働し,社会人等が学びやすい教育プログラムの開発・実証を行う「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」事業

第2節 子供・若者の健康と安心安全の確保

1 健康教育の推進と健康の確保・増進等

(1)健康教育の推進

  • 学校では,養護教諭と関係教職員が連携した組織的な保健指導や,地域の医療機関を始めとする関係機関との連携による救急処置・健康相談・保健指導の充実が図られている。

(2)思春期特有の課題への対応

  • 最近10年,肥満傾向児が減少している一方,痩身傾向児は増加傾向が続いている。
図表15 肥満傾向児・痩身傾向児の出現率
  • 文部科学省は,子供が自らの心と体の健康を守ることができるよう,喫煙や飲酒,薬物乱用,感染症などについて総合的に解説した教材を作成し,小・中・高校などに配布している。
  • 厚生労働省は,シンポジウムやホームページを活用して,喫煙と飲酒による健康に対する影響についての情報提供を行っている。10代の人工妊娠中絶実施率や,10代の性感染症罹患率,児童・生徒における痩身傾向児割合の減少を実現することなどを目標とし,正しい知識の普及啓発を始めとする各種の取組を推進している。

(3)妊娠・出産・育児に関する教育

  • 学習指導要領においては,学校における性に関する指導として,児童生徒が妊娠,出産などに関する知識を確実に身に付け,適切な行動を取ることができるようにすることを目的とされており,これに基づき学校教育活動全体を通して指導が行われている。
  • 厚生労働省は,専門的知識を有する医師や保健師等による健康教室や講演会の実施等により,妊娠・出産・育児に関する知識の普及啓発を図っている。

(4)10代の親への支援

  • 厚生労働省は,妊娠・出産・育児について,医師や助産師などから専門的なアドバイスを受ける機会でもある妊婦健診を受けられるよう,必要な妊婦健診の回数,項目に係る費用の全てについて地方財政措置を講じている。

(5)安心で安全な妊娠・出産の確保,小児医療の充実等

(安心で安全な妊娠・出産の確保)
  • 厚生労働省は,妊娠や出産に係る経済的負担の軽減や,周産期医療体制の整備・救急搬送受入体制の確保,不妊治療への支援,妊娠や出産に関する情報提供や相談支援体制の整備,マタニティマークの普及啓発等に取り組んでいる。
(地域における母子保健の充実)
  • 厚生労働省は,市町村が行う妊産婦・乳幼児に対する健康診査や保健指導といった母子保健事業を推進している。平成27(2015)年度においては,妊娠期から子育て期にわたるまでの様々なニーズに対して切れ目なく総合的相談支援を提供するワンストップ拠点(子育て世代包括支援センター)の整備等を実施した。
(小児医療・予防接種の充実)
  • 厚生労働省は,小児初期救急センター,小児救急医療拠点病院,小児救命救急センターの整備の支援や,保護者の不安解消のための小児救急電話相談事業(#8000)の実施の支援などにより,小児救急医療を含め,小児医療の充実を図っている。

2 子供・若者に関する相談体制の充実

(1)相談窓口の広報啓発等

  • 内閣府では,児童虐待,いじめ,ひきこもり,不登校等,子供・若者が困難を抱えた場合に適切に相談を行うことができるよう,専門の相談窓口,相談機関についてホームページにおいて周知を図っている。

(2)子ども・若者総合相談センターの充実

  • 内閣府は,子ども・若者総合相談センターとしての機能を担い得る青少年センターを始めとする公的相談機関などの職員を対象とした研修を実施している。

(3)学校における相談体制の充実

  • 文部科学省は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の拡充を図っている。また,教職員を対象とした研修会などを行っている(図表16)。
図表16 スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカー

(4)地域における相談体制の充実

  • 厚生労働省は,「地域子育て支援拠点」の設置の推進,精神保健福祉センターや保健所,児童相談所における相談の推進,価値観を共有する同世代の仲間による相談・教育活動の普及促進,障害児通所支援を利用する原則全ての保護者に対する障害児相談支援,子どもの心の診療ネットワーク事業,「労働条件相談ほっとライン」の設置等の取組を実施している。
  • 消費者庁は,全国どこからでも身近な消費生活相談窓口を案内する消費者ホットラインについて,平成27(2015)年7月1日から,3桁の電話番号「188」番の運用を開始した。

(5)いじめ防止対策等

  • いじめの認知件数は,ここ3年大きな変動はないが,小学校では高止まりの状態が続いている。
  • 警察が取り扱ったいじめに起因する事件の検挙・補導人員は,平成26年,前年の6割程度まで減少した。
図表17 いじめの認知(発生)件数
図表18 いじめに起因する事件の検挙・補導
(いじめ防止対策の総合的な推進)
  • 文部科学省は,平成28(2016)年度には,引き続き,いじめの問題を始めとする生徒指導上の諸課題に対する以下の取組を総合的に推進する。
    • 幅広い外部専門家を活用していじめの問題などの解決に向けて調整,支援する取組の促進
    • 道徳教育の推進等による未然防止
    • スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置拡充等による早期発見・早期対応
    • いじめなどの問題行動への対応を行う学校への支援などのため教職員定数の加配措置・教員研修の充実
    加えて,インターネットや携帯電話を利用したいじめ(ネットいじめ)に対応するため,子供や保護者向けの啓発用リーフレットを,教育委員会などへ配布している。平成26(2014)年度より「いじめ防止対策協議会」を,平成28年1月には「全国いじめ問題子供サミット」を開催した。
  • 警察は,少年相談活動やスクールサポーターの学校への訪問活動などにより,いじめの早期把握に努めるとともに,学校などと緊密に連携しながら,的確な対応を推進している。
(いじめの問題に関する相談対応)
  • 文部科学省は,夜間・休日を含め24時間いつでも子供のSOSを受け止めることができるよう,全国統一の電話番号を設定し,24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)を実施している。平成28(2016)年度から,より気軽に相談できるよう通話料を無料化している。
  • 警察は,少年サポートセンターの警察施設外への設置,少年相談室の整備,少年相談専用電話のフリーダイヤル化,電子メールによる相談窓口の開設など,いじめを受けた子供が相談しやすい環境の整備を進めている。
  • 法務省の人権擁護機関は,「インターネット人権相談受付窓口」(SOS-eメール),フリーダイヤルの専用相談電話「子どもの人権110番」(0120-007-110),全国の小中学生を対象とした「子どもの人権SOSミニレター」(便箋兼封筒)の配布等を行っている。

(6)暴力対策等

  • 文部科学省は,都道府県・指定都市教育委員会や学校に対して,
    • 問題行動が起こったときには,粘り強い指導を行い,なお改善が見られない場合には,出席停止や懲戒などの措置も含めた毅然とした対応をとること
    • 犯罪行為の可能性がある場合には,学校だけで抱え込むことなく,直ちに警察に通報し,その協力を得て対応すること
    などを求めており,引き続き,都道府県などの関係者を集めた会議や研修会などの場を通じ,周知徹底を図っていく。
  • 平成27(2015)年2月に神奈川県川崎市で発生した中学1年生殺害事件を受け,文部科学省では,関係府省庁とも連携し,生命・身体に重大な被害が生じるおそれのある児童生徒に対する早期対応の指針を策定するとともに,<1>学校や教育委員会における組織的な対応,<2>警察を始めとする関係機関との連携,<3>課題を抱える家庭への支援の充実,<4>子供のSOSを受け止める取組の充実等を進めるよう全国の教育委員会等に要請した。
  • 警察は,校内暴力についても,いじめ同様,スクールサポーターや学校警察連絡協議会などを活用した情報交換により,早期把握に努め,悪質な事案に対しては厳正に対処するなど,内容に応じた適切な措置を行うとともに再発の防止に努めている。

3 被害防止のための教育

(1)安全教育

(学校における安全教育)
  • 文部科学省は,教職員などへの研修や,子供の対応能力の向上を図るための「防災教室」,「交通安全教室」,「防犯教室」の開催を支援している。
(警察が行う防犯教育・交通安全教育)
  • 警察は,幼稚園や保育所,小学校などにおいて,防犯教室を開催している。また,保育所や学校などにおいて交通安全教育を行っている。
(防災に関する各種取組)
  • 内閣府は,幼児から成人を対象に防災ポスターコンクールを実施している。
  • 消防庁は,ホームページ上に「こどもぼうさいe-ランド」を開設し,幼児から中学生の子供を対象に,地震や風水害などの災害への備えや具体的な対応などを分かりやすく解説している。
  • 気象庁は,子供が地震・津波・噴火,大雨などによる自然災害から自らの身を守れるよう,教材・資料の公開や避難訓練の支援,教職員向け研修での講義などにより,学校防災教育を支援している。

(2)メディアを活用する能力の向上

(情報モラル教育の推進)
  • 小学校・中学校・高校の現行学習指導要領では,各教科などの指導を通して「情報モラルを身に付けること」が規定されている。文部科学省は,教員による指導の具体的な取組の参考となる「教育の情報化に関する手引」,小中学校の教員が情報モラル教育を行うための参考資料である「情報モラル教育実践ガイダンス」を周知・配布している。また,いわゆる「ネット依存」を始めスマートフォンやソーシャルメディアの普及に伴うトラブルの発生など,情報化の進展に伴う新たな課題に対応し適切な指導を行うため,教員が指導する際に役立つ動画教材や教員向け指導手引書,保護者向け資料を作成した。
(メディアリテラシーの向上)
  • 総務省は,子供のICTメディアリテラシーを総合的に育成するプログラムの普及や,青少年のインターネットリテラシー等の現状を調査・分析し「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標(ILAS:Internet Literacy Assessment Indicator for Students)」として公表する等の取組を行っている。

(3)女性に対する暴力の防止

  • 内閣府では,女性に対する暴力の加害者及び被害者になることを防止する観点から,若年層に対する効果的な予防啓発を行うため,教育機関の教職員,地方公共団体の行政職員,予防啓発事業を行っている民間団体等を対象として研修を実施した。
  • 警察では,防犯教室等において,ストーカーの具体的事例,対応方法等を説明するなどして,被害者にも加害者にもならないための教育啓発を推進している。

第3節 若者の職業的自立,就労等支援

1 職業能力・意欲の習得

(1)キャリア教育の推進

(キャリア教育・職業教育の推進)
  • 文部科学省,厚生労働省,経済産業省の3省は,学校,地域,産業界が一体となって社会全体でキャリア教育を推進する気運を高めるため,「キャリア教育推進連携シンポジウム」を実施している。
  • 文部科学省と経済産業省は,学校関係者や地域社会,産業界といった関係者の連携・協働による取組を表彰する「キャリア教育推進連携表彰」を実施している。
  • 文部科学省は,平成27(2015)年度には新たに,都道府県や指定都市などに「キャリアプランニングスーパーバイザー」を配置し,児童生徒の地元産業に対する理解やそこでの体験活動・インターンシップの推進などを行い,最終的に地元に根付く人材育成と地元での就労促進を図る事業を実施した。
  • 厚生労働省は,企業で働く者などを講師として中学校や高校に派遣し,職業や産業の実態,働くことの意義,職業生活を子供に理解させ,考えさせる「キャリア探索プログラム」を実施している。
  • 経済産業省は,先進的な教育支援活動を行っている企業・団体を表彰する「キャリア教育アワード」を実施している。また,職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力を「社会人基礎力」として整理し,大学教育を通した育成や評価の取組の普及を図っている(図表19)。
図表19 社会人基礎力
(インターンシップ(就業体験)の推進)
  • 文部科学省,厚生労働省,経済産業省では,「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を平成26(2014)年4月に一部改正し,各大学・産業界に周知を行い,インターンシップの普及・促進に努めている。
  • 文部科学省では,「子どもと社会の架け橋となるポータルサイト」などにより,学校における職場体験やインターンシップの普及・促進や「地域キャリア教育支援協議会」によるインターン受入先の開拓とマッチングの促進も行っている。
  • 経済産業省は,長期インターンシップを推進するため,受入促進に向けたツール・メソッドの整備や産学をつなぐ専門人材のための活用ガイドを策定してホームページで公開している。
  • 大学・大学院におけるインターンシップの実施率は,微増である。
図表20 大学等におけるインターンシップの実施率
(女性若年層に対する啓発)
  • 内閣府は,女性若年層に対して,女性の進出が遅れている理工系などの分野に関する情報提供を行っている。
  • 厚生労働省は,就職先を選択する際には「女性の活躍・両立支援総合サイト」などを参考にして各企業の女性の活躍状況やポジティブ・アクションの取組も考慮するよう,大学等を通じて,学生に対する啓発を図っている(図表21)。
  • 文部科学省は,男女ともに多様な選択が可能となるよう,男女共同参画の視点に立ったキャリア形成支援の推進を図るため,ブックレットを作成し,普及・啓発を図っている。
  • 経済産業省は,地域人材コーディネート機関を全国47か所に設置し,地域事業者の魅力発信や,地域内外の女性・若者・シニア等多様な人材とのマッチングの促進を図る支援イベント等を実施した。
図表21 女性の活躍・両立支援総合サイト

(2)能力開発施策の充実

(公的職業訓練)
  • 厚生労働省は,公共職業能力開発施設のほか,大学を含む多様な民間教育訓練機関なども活用しつつ,公共職業訓練を実施している。また,求職者支援制度により,雇用保険を受給できない若者などに対して,職業訓練を実施しつつ,訓練期間中の生活を支援するための給付金を支給し,きめ細かな就職支援を行っている。
(ジョブ・カード,若年技能者の人材育成)
  • 厚生労働省は,平成27(2015)年10月からジョブ・カードを「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」のツールとして活用し,個人のキャリアアップや,多様な人材の円滑な就職などを促進している(図表22,図表23)。
  • 若年ものづくり人材の確保・育成を促すため「若年技能者人材育成支援等事業」を実施している。また,企業内の人材育成に取り組む事業主などに対して訓練経費や賃金の一部を助成する「キャリア形成促進助成金」を拡充し,企業内における若者への技能継承や中核人材の育成を図っている。
  • 文部科学省は,産学官コンソーシアムを組織し,社会人や大学生,専門学校生,高校生が就労やキャリアアップに必要な知識・技術・技能を習得するための学習システムの構築を図っている。
図表22 ジョブ・カード制度
図表23 ジョブ・カード取得者数(累計)

2 就労等支援の充実

(1)新卒者等に対する就職支援

(学生に対する就職支援)
  • 文部科学省は,大学などの就職相談員とハローワークのジョブサポーターとの連携の促進などにより,大学などにおける就職支援体制を強化している。
  • 厚生労働省は,
    • 「新卒応援ハローワーク」を全国に設置し,広域的な求人情報の提供や,職業紹介,中小企業とのマッチング,求人開拓,就職支援セミナー・面接会の実施を行っている。ジョブサポーターによる,就職活動から職場で定着するまでの一貫した担当者制による個別支援や臨床心理士による心理的サポートを行っている。また,大学などへのジョブサポーターの相談窓口設置・出張相談を実施するなど,学校などとも連携を強化している。
    • 平成28(2016)年1~3月を集中支援期間とし,「未内定就活生への集中支援2016」として,新卒応援ハローワークによる支援や,就職面接会,中小企業とのマッチングなどを集中的に実施した。また,4~6月までを未就職卒業生に対する集中支援期間とし,「未就職卒業生への集中支援2016」として同様の支援を集中的に実施している。
    • 平成28年2月に創設した「三年以内既卒者等採用定着奨励金」により,既卒者及び中退者の新規学卒枠での応募機会の拡大及び採用・定着の促進を図っていく。
(秩序ある就職・採用活動への取組)
  • 学生の学修時間や留学等の多様な経験を行う機会を確保する観点から,就職・採用活動の開始時期について,平成27(2015)年度卒業・修了予定者から,広報活動は卒業・修了前年度の3月以降,採用選考活動は卒業・修了年度の8月以降とされた。これにより,卒業・修了前年度までは学生が学業に専念できたと評価される一方,結果として学生の就職活動が長期化した等の課題が指摘されたことから,企業側,大学側,関係府省において議論を行い,平成28(2016)年度卒業・修了予定者について,学生の学業への配慮を十分に行いながら,採用選考活動開始時期を卒業・修了年度の6月以降に変更することになった。
  • 就職・採用活動開始時期の変更を円滑に実現するため,経済3団体及び外資系企業や中小企業などが加入する団体を含めた主要経済・業界団体等約440団体に対し,内閣官房,文部科学省,厚生労働省及び経済産業省から,就職・採用活動開始時期の変更の趣旨に沿った広報活動・採用選考活動を実施するよう要請した。

(2)職業的自立に向けての支援

(わかものハローワーク等における支援)
  • 厚生労働省は,フリーターなどが安定した職に就くことができるよう,ハローワークにおいて,トライアル雇用奨励金の活用など,正規雇用化に向けた一貫したきめ細かな支援を実施している。
(ジョブカフェにおける支援)
  • 厚生労働省は,都道府県が主体的に設置するジョブカフェ(若年者のためのワンストップサービスセンター)において,企業説明会や各種セミナーを民間団体に委託して実施している。また,都道府県からの要望に応じ,ジョブカフェにハローワークを併設し,若者を対象とした職業相談・職業紹介を行っている。
(若者の農林漁業への就業促進)
  • 農林水産省は,若者が安心して農林漁業に就業していけるよう,給付金の給付,資金の無利子貸付け,情報提供,就業相談会を実施するとともに,作業実態や就労条件を理解してもらうためのトライアル雇用,就業の場での研修を進めるための雇い主への助成,教育機関における研修を推進している。

(3)非正規雇用対策の推進

  • 厚生労働省は,正社員を希望する人の正社員転換や非正規雇用を選択する人の待遇改善を進めるため,平成28(2016)年1月に策定した「正社員転換・待遇改善実現プラン」等に基づき,各都道府県と連携して,非正規雇用労働者の希望や意欲・能力に応じた正社員転換・待遇改善を強力に推進している。

(4)若者雇用促進法の施行による就職支援

  • 「勤労青少年福祉法等の一部を改正する法律」(平27法72)により改正された「青少年の雇用の促進等に関する法律」(昭45法98)に基づき,<1>若者の適職選択に資するように職場情報を提供する仕組みの創設,<2>一定の労働関係法令違反の求人者についてハローワークで新卒求人を受理しないこと,<3>若者の雇用管理が優良な中小企業についての認定制度の創設などの取組を進めていく。

(5)若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対策の推進

  • 厚生労働省では,若者が安心して働くことができる環境づくりに向けて,過重労働や賃金不払残業など若者の「使い捨て」が疑われる企業等に対する監督指導を行い,労働基準関係法令違反等を確認した場合には,是正・改善に向けた指導を行った。学生アルバイトの労働条件の確保については,平成27(2015)年12月に,文部科学省と連携し,学生アルバイトが多い業界団体に対し,労働基準関係法令の遵守のほか,シフト設定等の課題への配慮を要請した。さらに,厚生労働大臣を本部長とする「長時間労働削減推進本部」の決定に基づき,
    • 平成27年1月から,月100時間超の残業を把握したすべての事業場等に対する監督指導の徹底
    • 4月から,複数の労働局にまたがる過重労働に係る事案等に対応する特別チームを東京労働局及び大阪労働局に設置
    • 5月から,社会的に影響力の大きい企業が,違法な長時間労働を繰り返している場合に,是正を指導した段階で公表すること
    など,長時間労働の解消に向けての取組を強化している。

第4節 社会形成への参画支援

1 社会形成に参画する態度を育む教育の推進

(学校教育における取組)

  • 現行学習指導要領では,社会参画という視点を重視し,例えば,「社会生活を営む上で大切な法やきまり」(小学校),「契約の重要性」(中学校),「国民の司法参加」(小学校・中学校・高校),「消費者の自立の支援なども含めた消費者行政」(中学校)を新たに扱うこととするなど,教育内容の充実が図られている。

(主権者教育)

  • 平成27(2015)年6月の改正公職選挙法の成立により,平成28(2016)年6月19日の後に行われる国政選挙の公示日以後に公示・告示される選挙から,18歳以上の者が投票や選挙運動ができるようになることとなった。
  • 総務省では,以下の取組を行い,主権者教育の推進に努めている。
    • 選挙権年齢引下げの意義を含め,政治や選挙等に対する理解を深めてもらうよう,若者向けの啓発イベントを全国の都道府県で開催
    • 選挙管理委員会が実施する学校現場での出前授業や,若者向けイベント等の主権者教育の取組を支援
    • 各地の選挙管理委員会と連携し,地域の啓発団体や若者を対象とした研修会等の開催
  • 総務省と文部科学省は連携して,模擬選挙などの実践的活動についてのワークシートなども盛り込んだ政治や選挙等に関する副教材や教員用の指導資料を作成し,全国の全ての国公私立高等学校等に配布した。
  • 文部科学省では,高等学校等における政治的教養を育む教育が推進されるとともに,高校生の政治的活動等に対する生徒指導が適切になされるよう,「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について」を発出し,関連するQ&Aも作成した。さらに,大学等においても,各自治体の選挙管理委員会と連携したキャンパス内における期日前投票所の設置やインターシップなどを通じた学生等への啓発活動等が充実するよう,大学等における先進的な取組を周知している。

(法教育)

  • 法務省は,法教育の普及・発展のため,教材やリーフレットの作成,職員を派遣しての法教育授業を行っている。

(租税教育)

  • 国税庁は,学校の教員を対象とした講習会の開催や,学校からの要請に基づく租税教室への講師派遣,租税教育用副教材の作成・配付,税に関する作文の募集等を実施し,租税教育の充実に向けた環境整備や支援に努めている。

(金融経済教育)

  • 金融庁は,「金融リテラシー・マップ」の改訂・公表,大学生に対する授業の実施,高校等へ講師の派遣等により,金融リテラシーの向上を図っている。

(労働者の権利・義務に関する教育)

  • 厚生労働省は,労働者としての権利,義務,各種制度についての理解の促進を図るため,教育や啓発活動を推進している。

(消費者教育)

  • 消費者庁は,消費者教育関連の情報を集約した消費者教育ポータルサイトにおいて,最新教材等の収集・掲載等を運用するなど,消費者教育を推進している。
  • 文部科学省は,消費者教育の実践事例の報告及び多様な主体との連携・協働による消費者教育を促進する場として「消費者教育フェスタ」を実施した。また,地域における消費者教育の推進体制作りを支援するため,消費者教育アドバイザーの派遣等を行っている。

(社会保障制度についての情報提供・意識啓発)

  • 厚生労働省は,有識者会議「社会保障の教育推進に関する検討会」において作成した高校生向け教材を全国の高等学校に無償配布するとともに,教員向けの研修会を実施するなど,教育現場への普及・啓発活動を行っている。

2 ボランティアなど社会参加活動の推進

  • 学校教育では,総合的な学習の時間や特別活動において,ボランティア活動を始めとする社会参加活動が行われている。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,「学生ボランティアと支援者が集う全国研究交流集会」を実施している。
[目次]  [戻る]  [次へ]