第4章 子供・若者の成長のための社会環境の整備

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第1節 家庭,学校及び地域の相互の関係の再構築

1 保護者等への積極的な支援

(1)家庭教育支援

  • 文部科学省は,家庭教育支援チームの組織化などによる相談対応や,保護者への学習機会の企画・提供などの家庭教育を支援する地方公共団体の取組を推進している。

(2)養育の多様化への支援

  • 厚生労働省では,養子縁組を前提として,保護者のいない児童や虐待を受けた児童など社会的養護が必要な児童について,児童相談所から委託を受けて養育を行う養子縁組里親を含む里親制度など家庭養護を推進している。

2 「チームとしての学校」と地域との連携・協働

(学校と地域が連携・協働する体制の構築)

  • 文部科学省は,地域住民がボランティアとして学校をサポートする「学校支援地域本部」等の取組を実施している。また,平成27(2015)年12月の中央教育審議会答申を踏まえ,平成28(2016)年1月に策定された「次世代の学校・地域」創生プランに基づき,制度面の整備や財政支援を行うなど,地域学校協働活動を全国的に推進していく。

(保護者や地域住民の学校運営への参加)

  • 文部科学省は,コミュニティ・スクールの一層の普及・啓発を図るため,調査研究事業や推進協議会,コミュニティ・スクール推進員の派遣といった施策を進めている(図表33)。
図表33 コミュニティ・スクール

(学校評価と情報提供の推進)

  • 文部科学省は,各学校や設置者の取組の参考となるような学校評価ガイドラインの策定などにより,地域と共にある学校づくりと学校評価を推進している。

3 地域全体で子供を育む環境づくり

(1)放課後子ども総合プランの推進

  • 平成26(2014)年7月に文部科学省と厚生労働省が連名で「放課後子ども総合プラン」を策定し,学校施設(余裕教室や放課後等に一時的に使われていない教室等)を徹底活用して,放課後児童クラブ及び放課後子供教室の一体型を中心とした取組を推進している。「放課後児童クラブ」については,平成27(2015)年4月から,対象となる児童の年齢を「おおむね10歳未満」から「小学校に就学している」児童とするとともに,職員の資格,員数等の具体的な基準を定めた「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」(平成26年厚生労働省令第63号)や「放課後児童クラブ運営指針」(平成27年3月)を策定し,児童の生活の場としての質の向上を図っている。

(2)中高生の放課後等の活動の支援

  • 文部科学省では,地域の多様な経験や技能を持つ人材・企業等の協力により,土曜日ならではの教育活動を行う体制を構築し,地域と学校が連携・協働した取組を支援している。平成27(2015)年度から,新たに,経済的な理由や家庭の事情により,家庭での学習が困難であったり,学習習慣が十分に身についていない中学生等に対して,地域住民の協力やICTの活用等による原則無料の学習支援(地域未来塾)を推進している。
  • 厚生労働省は,児童館の整備を推進している。

(3)地域で展開される多様な活動の推進

(環境学習)
  • 環境省は,「持続可能な開発のための教育」(ESD)の視点を取り入れた環境教育プログラムの作成や実証などを通じて,持続可能な社会の担い手を育む環境教育を推進している。
  • 文部科学省は,子供がその発達段階に応じて,環境の保全についての理解と関心を深めることができるよう,学校教育や社会教育において環境教育を推進している。
(自然体験)
  • 文部科学省は,広く体験活動に対する理解を求めるための家庭や企業に対する普及啓発を推進している。
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設の立地条件や特色を活かした自然体験活動の機会と場の提供を行っている。
  • 林野庁は,森林内での様々な体験活動を通じて,森林と人々の生活や環境との関係についての理解と関心を深める森林環境教育を推進している。
  • 環境省は,国立公園等の優れた自然地域において自然観察会等を開催することにより,子供達に自然環境の大切さ等を学ぶ機会を提供している。
(警察による社会奉仕活動やスポーツ活動の場の提供)
  • 警察は,少年の社会奉仕活動や生産体験活動といった社会参加活動,警察署の道場を開放した少年柔剣道教室を始めとするスポーツ活動を行うなど,少年の多様な活動機会の確保と居場所づくりを推進している。
(スポーツへの参加機会の拡充)
  • 文部科学省では,いつまでも健康で活力に満ちた長寿社会を実現するため,スポーツや健康づくりに無関心な層や,健康づくりの必要性を感じているものの,行動に移せない者などを対象として,スポーツによる健康増進の取組に対する支援を行っている。また,平成28(2016)年度から新たにスポーツ医・科学等の知見に基づき,ライフステージに応じた運動・スポーツに関するガイドラインの策定に取り組むこととしている。
(文化活動の奨励)
  • 文部科学省は,実演芸術に身近に触れることができる機会や伝統文化・生活文化を体験・修得できる機会を提供する取組に対する支援など,子供の文化芸術体験活動を推進している。
(花育(はないく)活動の推進)
  • 農林水産省は,花壇作りやフラワーアレンジといった花や緑との触れ合いを通じて子供に優しさや美しさを感じる気持ちを育む「花育活動」を推進している。
(都市と農山漁村の共生・対流の促進)
  • 農林水産省,文部科学省,総務省は,子供の農山漁村での宿泊体験活動に関する取組に支援を行っている。

(4)体験・交流活動等の場の整備

(青少年教育施設)
  • 独立行政法人国立青少年教育振興機構は,国立青少年教育施設を通じて,様々な体験活動などの機会を提供している。
(都市公園)
  • 国土交通省は,自然との触れ合いやスポーツ・レクリエーション,文化芸術活動といった多様な活動を行う拠点となる都市公園の整備を推進している。
(スポーツ活動の場)
  • 文部科学省は,総合型地域スポーツクラブなどの地域におけるスポーツ環境の充実への支援を推進している。
(自然公園)
  • 環境省は,国立公園等において,歩道,園地,休憩所などの安全で快適な公園利用施設の整備を推進している。
(水辺空間の整備)
  • 国土交通省,文部科学省,環境省は,地域の身近に存在する川などの水辺空間における環境学習・自然体験活動を推進するため,「『子どもの水辺』再発見プロジェクト」を実施している。
(レクリエーションの森の整備)
  • 林野庁は,自然休養林などの「レクリエーションの森」の活用を推進している。
(被災地における学び・交流の場づくり)
  • 文部科学省は,学校・公民館などを活用して,被災した子供たちの放課後や週末などにおける安心安全な居場所づくりや学習・交流活動を支援している。

4 子供・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(1)子供・若者が犯罪等の被害に遭いにくいまちづくり

(通学路やその周辺における子供の安全の確保のための支援)
  • 警察は,通学路や通学時間帯を考慮したパトロール活動の強化に加え,子供が助けを求めることができる「子ども110番の家」の活動に対する支援を行っている。
(道路,公園等の公共施設や共同住宅における防犯施設の整備等の推進)
  • 警察庁は,「安全・安心まちづくり推進要綱」に基づき,防犯に配慮した公共施設などの整備・管理の一層の推進を図っている。
  • 警察庁,国土交通省,経済産業省と建物部品関連の民間団体からなる「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」は,一定の防犯性能を有する「防犯建物部品」の開発とその普及に努めている。
(児童福祉施設や幼稚園などにおける災害対応の推進)
  • 国土交通省は,児童福祉施設や幼稚園等の要配慮者利用施設を保全するため,土砂災害防止施設の整備を重点的に実施している。

(2)安心して外出や外遊びができる環境の整備

(ユニバーサルデザインの考え方を踏まえたバリアフリー施策の推進)
  • 国土交通省は,ベビーカー利用に配慮する統一的なマーク(ベビーカーマーク)の普及・啓発などバリアフリー化の更なる推進を図っている。
(通学路の交通安全対策)
  • 文部科学省,国土交通省,警察庁は,通学路における交通安全の確保に向けた取組を推進している。
(公園遊具の安全点検)
  • 国土交通省は,遊具の安全確保を図り,安全で楽しい遊び場づくりを推進するため,「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」の周知徹底に取り組んでいる。
(子供の不慮の事故防止)
  • 消費者庁は,「不慮の事故」が子供の死因の上位を占めている現状を踏まえ,「子どもを事故から守る!プロジェクト」を実施している。

第2節 子育て支援等の充実

(少子化対策の総合的な推進)

  • 政府では,「少子化社会対策基本法」(平15法133)に基づく大綱等に基づき,子育て支援施策の一層の充実や結婚・出産の希望が実現できる環境の整備など総合的な少子化対策を推進している。また,子ども・子育て関連3法に基づく子ども・子育て支援新制度について,平成27(2015)年4月に施行された。

(保育サービスの充実)

  • 待機児童の解消を目指し,「待機児童解消加速化プラン」に基づく平成25(2013)年度から平成29(2017)年度末までの保育の受け皿の整備量を上積みし,40万人から50万人とすることとした。平成28(2016)年通常国会において,子ども・子育て支援の提供体制の充実を図るため,事業所内保育業務を目的とする施設等の設置者に対する助成及び援助を行う事業を創設するとともに,一般事業主から徴収する拠出金の率の上限を引き上げる等の「子ども・子育て支援法」(平24法65)の改正を行った。

(地域における子育て支援)

  • 文部科学省は,保護者に対する子育て講座や学習機会の提供などの家庭教育支援を推進している。
  • 厚生労働省は,「地域子育て支援拠点」や「ファミリー・サポート・センター」を整備し,「利用者支援事業」を推進している。

(認定こども園制度の普及促進)

  • 内閣府,文部科学省,厚生労働省は,認定こども園が親の就労状況に関わらず施設利用が可能であるなど,保護者や地域の多様なニーズに柔軟に対応しうる施設であることから,引き続き地域のニーズや事業者の希望に応じて,その普及を図ることとしている。

(幼稚園における子育て支援)

  • 文部科学省は,子育て相談,情報提供,未就園児の親子登園,保護者同士の交流の機会の提供といった子育て支援の実施を推進している。また,通常の教育時間の前後に行う預かり保育を推進するための財政支援を行っている。

(児童手当制度)

  • 家庭における生活の安定に寄与するとともに,次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的とし,中学校修了前の児童を養育している者に児童手当を支給している。

第3節 子供・若者を取り巻く有害環境等への対応

1 「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の的確な施行等

  • 「青少年インターネット環境整備法」(平20法79)に基づき,平成27(2015)年7月,「青少年インターネット環境整備基本計画(第3次)」が子ども・若者育成支援推進本部で決定された(図表34)。
図表34 青少年インターネット環境整備法の概要

(1)実態の把握

  • 内閣府は,「青少年インターネット環境整備法」の実施状況を検証するとともに,青少年のインターネット利用環境整備に関する基礎データを得ることを目的として,青少年及びその保護者を対象とした「青少年のインターネット利用環境実施調査」を実施している。
  • 青少年の約8割が,いずれかの機器でインターネットを利用しており,利用機器は多様化している。
図表35 青少年のインターネットの利用率(平成27 年度)
  • スマートフォン・携帯電話のいずれかを利用する青少年の割合は年々上昇し,高校生の9割以上がスマートフォンを利用している。
図表36 青少年のスマートフォン・携帯電話の所有・利用状況
  • 平日1日当たりの青少年のインターネットの利用時間は,平均で約2時間20分,高校生では約3人に2人がスマートフォンを通じて2時間以上インターネットを利用している。
図表37 青少年のインターネットの利用時間(平日1 日当たり)(平成27 年度)
  • スマートフォンでインターネットを利用している青少年の保護者のうち,8割以上が青少年のインターネット利用に関する何らかの取組を実施している。
  • 実施している取組のうち,「フィルタリングを使っている」は4割強となっている。
図表38 スマートフォンでインターネットを利用している青少年の保護者の取組(平成27 年度)

(2)フィルタリングの普及啓発

  • 警察は,違法情報に対する取締りを推進するとともに,有害情報から子供を守るためのフィルタリングの普及,プロバイダの自主的措置の促進に努めている。
  • 総務省は,携帯電話事業者などに対するフィルタリングサービスの改善要請や,フィルタリングの普及促進活動を推進している。
  • 文部科学省は,「ネットモラルキャラバン隊」を結成し,フィルタリングやインターネット利用のルールに関する学習・参加型のシンポジウムを保護者等を対象に全国で実施している。
  • 経済産業省は,セミナーなどを通じて,関係者全体のインターネットリテラシーの向上と青少年及びその保護者などによる実効的な自主的対策を促進している。

(3)悪質な違法行為の取締りなど

  • 警察庁は,違法情報等に関する通報を受理し,警察への通報やプロバイダ,サイト管理者などへの削除依頼を行うインターネット・ホットラインセンターを運用している。外国のウェブサーバに蔵置された児童ポルノ情報についても,当該外国の同種の機関に対し削除に向けた取組を依頼している。
  • 警察は,サイバーパトロールや,都道府県警察が委嘱した民間のサイバーパトロールモニター等により,インターネット上に流通する違法情報・有害情報の把握に努めるとともに,取締り等を進めている。
  • 法務省は,人権擁護機関において,人権侵害情報について相談を受けた場合,プロバイダなどに対する発信者情報の開示請求や当該情報の削除依頼の方法について助言している。人権侵害情報による被害の回復を被害者自ら図ることが困難な場合は,プロバイダなどに当該情報の削除を要請するなど被害者の救済に努めている。

(4)子供や保護者に対する啓発

  • 内閣府は,インターネット利用におけるフィルタリングの普及や適切な利用を推進するため,パンフレットの配布などによる啓発活動に取り組んでいる。平成27(2015)年度,「青少年のインターネット利用環境づくりフォーラム」を,全国3か所で開催した。平成28(2016)年の春,卒業・進学・新入学の時期に特に重点を置き,「平成28年 春のあんしんネット・新学期一斉行動」として,啓発活動等の取組を集中的に展開した。
  • 警察は,出会い系サイトやコミュニティサイトの利用に起因する犯罪による被害やインターネット上の違法情報・有害情報の影響から子供を守るための広報啓発を推進している。
  • 総務省は,子供のインターネットの安心・安全な利用に向けて,主に保護者・教職員や子供を対象とした啓発講座を行う「e-ネットキャラバン」の活動を全国で実施している。
  • 法務省の人権擁護機関では,「インターネットを悪用した人権侵害をなくそう」を啓発活動の年間強調事項の一つとして掲げ,各種啓発活動を実施している。
  • 文部科学省は,保護者や学校関係者,地方公共団体,事業者の効果的な取組を推進するため,「ネット安全安心全国推進フォーラム」を開催している。

(5)関係業界の自主的な取組の促進

  • 民間企業・各種団体・PTA等によって設立された安心ネットづくり促進協議会では,インターネットや様々なメディアを活用し,リテラシー向上やフィルタリングの普及などの活動を全国各地で実施している。

2 ネット依存への対応

  • 文部科学省では,青少年を取り巻く有害環境対策の推進として,保護者を対象とする学習・参加型のシンポジウム,インターネットの有効な活用方法などについて,青少年自ら研修し,学んだ成果を発信する「青少年安心ネット・ワークショップ」等を実施している。
  • 文部科学省では,青少年教育施設を活用し,ネット依存傾向の青少年を対象とした自然体験や宿泊体験プログラムの実施を通じたネット依存対策を実施している。

3 性風俗関連特殊営業の取締り等

  • 警察は,学校などの周辺や住宅地域における違法な性風俗関連特殊営業,18歳未満の者に客の接待などをさせる違法な風俗営業などの取締りを積極的に進めている。

4 酒類,たばこの未成年者に対する販売等の禁止

(1)取締り・処分等

  • 警察は,未成年者が酒類やたばこを容易に入手できないような環境を整備するため,指導取締りを徹底するとともに,年齢確認の徹底などについて,関係業界が自主的に措置をとるよう働き掛けている。

(2)飲酒防止

  • 酒類に係る社会的規制等関係省庁等連絡協議会(内閣府,警察庁,公正取引委員会,総務省,文部科学省,厚生労働省,国税庁)は,毎年4月を未成年者飲酒防止強調月間と定め,全国的な広報啓発活動を連携して行っている。
  • 内閣府は,「アルコール健康障害対策基本法」(平25法109)に基づく基本計画の策定に向けた検討を進めており,平成28年(2016)年5月末までに基本計画として閣議決定することとしている。

(3)喫煙防止

  • 財務省は,未成年者喫煙防止の観点から,自動販売機を設置する場合には成人識別自動販売機とすること,インターネットによるたばこ販売についてはあらかじめ公的な証明書により購入希望者の年齢確認などを行った上で販売することを,たばこ小売販売業の許可の条件としている。

第4節 ワーク・ライフ・バランスの推進

(1)「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づく取組の推進

  • 内閣府及び関係省庁では,「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」等に基づき,官民一体となり,仕事と生活の調和実現に向けた取組を行っている。

(2)仕事と子育ての両立支援

  • 厚生労働省は,「育児・介護休業法」(平3法76)の周知・徹底を図るとともに,育児・介護休業や所定労働時間の短縮などの措置などの両立支援制度を安心して利用できる職場環境の整備を支援している。
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