第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援(第3節)

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第3節 子供・若者の被害防止・保護

1 児童虐待防止対策

第1章第3節2「児童虐待防止対策強化プロジェクト」参照)

2 子供・若者の福祉を害する犯罪対策

(1)子供・若者の福祉を害する犯罪対策

ア 取締り(警察庁,法務省)

「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(平11法52。平成26年6月一部改正。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)違反や「児童福祉法」違反といった福祉犯は,被害者の心身に有害な影響を及ぼし,その健全な育成を著しく阻害する。

警察は,積極的な取締りと被害者の発見保護に努めている。平成27(2015)年の福祉犯の検挙人員は,6,919人で,前年に比べ218人(0.3%)減少した(第3-37図)。このうち,暴力団などの関係者の検挙人員は257人で,福祉犯における検挙人員の3.7%を占めている(第3-38表)。

第3-38表 福祉犯の検挙人員と暴力団の関与(平成27年)
  風営適正化法 売春
防止法
児童
福祉法
児童買春・ 児童ポルノ禁止法 労働
基準法
職業
安定法
毒物及び
劇物
取締法
覚せい剤
取締法
大麻
取締法
青少年
保護育成条例
その他
福祉犯の検挙人員数(A)(人) 6,919 416 36 400 2,113 91 29 1 55 23 2,230 1,525
暴力団等関係者(B)(人) 257 62 3 95 16 13 9   28 1 26 4
関与率(B/A)(%) 3.7 14.9 8.3 23.8 0.8 14.3 31.0 0.0 50.9 4.3 1.2 0.3
暴力団等関係者の構成比(%) 100.0 24.1 1.2 37.0 6.2 5.1 3.5 0.0 10.9 0.4 10.1 1.6
(出典)警察庁「児童虐待及び福祉犯の検挙状況等」

検察は,積極的に関係法令を適用し,厳正な科刑の実現に努めている。

イ 児童買春・児童ポルノ問題(内閣府,警察庁,総務省,法務省)

  • 福祉犯の被害者となった20歳未満の者は,このところ減少している。
  • 全体として児童買春事犯の被害者が減少傾向にある一方,児童ポルノ事犯の被害者は増加傾向にある。

児童買春や児童ポルノは,子供の性的な搾取・虐待であり,子供の権利を踏みにじる断じて許しがたいものである。児童ポルノがいったんインターネット上に流出すれば,その回収は事実上不可能であり,被害を受けた子供の苦しみは将来にわたって続くことになる。平成26(2014)年6月,「児童買春・児童ポルノ禁止法」が一部改正され,自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ又はその電磁的記録を所持,保管する行為や,ひそかに児童の姿態を描写することにより児童ポルノを製造する行為を処罰する罰則が新設された。この法律は,平成26年7月から施行され,自己の性的好奇心を満たす目的での所持・保管罪については,平成27(2015)年7月から適用が開始された。

政府では,児童ポルノの蔓延・氾濫を食い止め,排除を進めていくため,平成25(2013)年5月に策定された「第二次児童ポルノ排除総合対策」に基づき,関係府省が連携して,児童ポルノ排除対策を推進している。さらに,児童買春,児童ポルノの製造等の児童の性的搾取等の撲滅と被害児童の権利の擁護に総力を挙げて取り組むため,「児童の性的搾取等に係る対策に関する業務の基本方針について」(平成28年3月29日)を閣議決定し,平成28(2016)年4月以降,国家公安委員会が児童の性的搾取等に係る対策の総合調整等をつかさどることとした。また,犯罪対策閣僚会議の下に「児童の性的搾取に係る対策に関する関係府省庁連絡会議」(議長:国家公安委員長)を設置して,児童の性的搾取等を撲滅するための総合的な対策の検討を進めることとした。

内閣府は,平成27(2015)年11月,関係団体などで構成する第6回「児童ポルノ排除対策推進協議会総会」(会長:内閣府副大臣)を開催した。また,公開シンポジウムにより児童ポルノ根絶に向けた国民運動の輪が更に広がるよう呼び掛けを行っている。平成27年度の公開シンポジウムでは,「国際人権課題としての児童ポルノ~国際社会の取組み~」についての基調講演が行われたほか,医師やインターネット関係団体等によるパネルディスカッションが行われた(第3-40図)。

第3-40図 児童ポルノ排除対策に関する協議会・シンポジウム

警察は,児童ポルノをめぐる情勢が深刻な状態にあることから,「児童買春・児童ポルノ禁止法」による積極的な取締りなどを行っている。平成27年には,1,938件,1,483人を検挙した。また,児童を組織的に支配し,出会い系サイトなどを利用して児童買春の周旋を行う事犯や,少年の性を売り物とする形態の営業に従事させる事犯など,児童の心身に有害な影響を与える事犯が発生していることから,その実態把握の推進と情報の分析,積極的な取締りや,有害業務に従事する児童の補導と被害児童の立ち直り支援などを推進している。

なお,児童ポルノの流通・閲覧を防止するため,インターネット・サービス・プロバイダなどの関連事業者によるブロッキングが実施されている。

COLUMN NO.10
 「JKビジネス」から青少年を守れ!

いわゆる「JKビジネス」とは,法律上の定義はなされていないが,少年の性を売り物とする営業であり,例えば,リフレと呼ばれるマッサージや添い寝等をさせる営業,ガールズ居酒屋と呼ばれる女子従業員に水着等を着用させて接客をさせる営業形態などがあるとされ,近年,大都市圏を中心に出現している。これらの営業に従事することにより児童買春等の被害者となる場合があるなど,少年の保護と健全育成の観点から憂慮されることから,警察においてはこれらの営業において稼働している少年に対する補導を行うとともに,労働基準法や児童福祉法等の各種法令を適用して取締りを行ってきた。

愛知県においては,県内の実情に即してさらに適切に対処するために,平成27(2015)年に「青少年保護育成条例」を改正し,全国で初めて,関連する営業形態を包括的に規制することとした。改正後の条例においては,水着や下着姿等でサービスを提供するなどの営業を

「有害役務営業」と定義し,営業者等に対して,以下の行為を禁止するとともに,違反行為に対する営業停止命令や立入調査権限を規定し,また,罰則を設けた。

  1. 青少年を客に接する業務に従事するよう勧誘すること
  2. 青少年を客に接する業務に従事させること
  3. 青少年を営業所に客として立ち入らせ,又は客とすること
  4. 青少年に対し営業所の所在地等を記載したビラ等を頒布すること   等

同県においては,女子高生に対して「水着姿などを客に撮影させる店で働くよう勧誘した」として,改正後の条例違反により経営者1名を逮捕するとともに,営業停止処分を命じており,新たな営業形態が出現することも念頭に置いて,「JKビジネス」から青少年を守るという観点で,引き続き取り組むこととしている。

愛知県作成の啓発ポスター

ウ 出会い系サイトやコミュニティサイトの問題(警察庁)

  • 出会い系サイトに起因して犯罪被害に遭った18歳未満の者が減少する一方,SNSなどのコミュニティサイトを起因として犯罪被害に遭う者の増加が続いている。
  • 出会い系サイトに比してコミュニティサイトでは,より低年齢の被害者が多い。

警察は,出会い系サイトに起因する事犯について,平成27(2015)年には,「インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律」(平15法83)違反235件を検挙している。また,出会い系サイト以外のコミュニティサイトを利用して子供が犯罪被害に遭った事犯については,「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反などを検挙している。また,子供が援助交際を求めるなどのインターネット上の不適切な書き込みをサイバーパトロールによって発見し,書き込みを行った子供と接触して直接に注意・指導などを行うサイバー補導を推進している。

エ 子供の犯罪被害の防止

<1> 学校における安全管理(文部科学省)

文部科学省は,「学校安全の推進に関する計画」37(平成24年4月閣議決定)に基づき,学校における安全管理を推進している。また,「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」として,元警察官などからなるスクールガード・リーダーによる学校の巡回や学校安全ボランティアに対する警備のポイントの指導,学校安全ボランティアの養成,各地域における子供の見守り活動に対する支援を行っている。さらに,都道府県教育委員会が行う防犯教室などの講師となる教職員などに対する講習会の開催を支援している。

<2> 関係機関・団体からの情報の活用(警察庁)

警察庁は,法務省から子供を対象とした暴力的な性犯罪に係る受刑者の出所情報の提供を受け,出所者の更生や社会復帰を妨げないように配慮しつつ,訪問による所在確認や同意を前提とした面談を取り入れるなど,犯罪の予防や捜査の迅速化への活用を図っている。

警察は,子供が被害に遭った事案や,子供に対する犯罪の前兆と思われる声掛けやつきまといの発生に関する情報が,迅速に保護者などに対して提供されるよう,警察署と学校・教育委員会との間で情報共有体制を整備している。これらの情報を,都道府県警察のウェブサイトで公開し,電子メールなどを活用した発信も行っている。

また,被害者本人からの申告が期待しにくく潜在化しやすい犯罪を早期に認知し,検挙や被害者の保護に結び付けるため,警察庁から委託を受けた民間団体が少年福祉犯罪や児童虐待事案,人身取引事犯などに関する通報を国民から電話やインターネットにより匿名で受け付け,事件検挙などへの貢献度に応じて情報料を支払う「匿名通報ダイヤル」を運用している。

<3> 人身取引対策(内閣官房,内閣府,警察庁,法務省,外務省,文部科学省,厚生労働省,国土交通省)

人身取引は,重大な人権侵害であり,被害者に対して,深刻な肉体的・精神的な影響を与え,その被害の回復が非常に困難である。人道的な観点からも,迅速・的確な取組が必要とされている。

政府では,平成21(2009)年12月に策定された「人身取引対策行動計画2009」に基づき対策に取り組んできたところであるが,引き続き人身取引対策に係る情勢に適切に対処し,政府一体となってより強力に,総合的かつ包括的な人身取引対策に取り組んでいくため,平成26(2014)年12月,犯罪対策閣僚会議において「人身取引対策行動計画2014」38を策定するとともに,関係閣僚から成る「人身取引対策推進会議」を随時開催することとした。

平成27(2015)年5月,人身取引対策推進会議の第1回会合を開催し,我が国における人身取引被害の状況や,関係省庁による人身取引対策の取組状況をまとめた年次報告「人身取引対策に関する取組について」を決定・公表するとともに,引き続き,人身取引の根絶を目指し,人身取引対策行動計画2014に基づく取組を着実に進めていくことを確認した。

また,同年6月の「外国人労働者問題啓発月間」に合わせてモバイル端末広告により,7月30日の「人身取引反対世界デー」にはSNSにより,11月の「女性に対する暴力をなくす運動」期間に合わせてラジオ放送により,我が国における人身取引の実態,人身取引の防止・撲滅,被害者の保護に係る取組に関する広報を実施し,被害に遭っていると思われる者を把握した際の通報を呼びかけた。

(2)犯罪被害に遭った子供・若者とその家族等への対応(警察庁,文部科学省)

人格形成の途上にある少年が犯罪などにより被害を受けた場合,その後の健やかな育成に与える影響が大きい。被害を受けた少年の心のケアに当たっては,その悩みや不安を受け止めて相談に当たることや,家庭・友人関係・地域・学校といった少年が置かれている環境に関する問題を解決すること,関係機関が連携して必要な支援をしていくことが大切である。

警察は,被害者の再被害を防止するとともに,その立ち直りを支援するため,少年補導職員による指導助言や被害者に対するカウンセリングを継続的に行っている。臨床心理学や精神医学といった高度な知識・技能や豊富な経験を有する部外の専門家を「被害少年カウンセリングアドバイザー」として委嘱し,その適切な指導・助言を受けながら,支援を実施している。また,それぞれの地域において,保護者などとの緊密な連携の下に日常の少年を取り巻く環境の変化や生活状況を把握しつつ,きめ細かな訪問活動などを行うボランティアを「被害少年サポーター」として委嘱し,これらの者と連携した支援活動を推進している(第3-42図)。

第3-42図 警察による被害少年への支援活動

文部科学省は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー,関係機関とのネットワークを活用するなど多様な支援方法を用いて,被害を受けた子供の立ち直りを支援する活動を推進している。さらに,子供の心のケアに対する対応の充実を図るため,教職員などを対象とした研修会,教職員向けの指導参考資料の作成などを行っている。


37 http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1320286.htm
38 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jinsin/kettei/keikaku2014.pdf
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