第5章 子供・若者の成長を支える担い手の養成(第2節)

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第2節 専門性の高い人材の養成・確保

1 総合的な知見の下に支援をコーディネートする人材の養成(内閣府)

内閣府は,民間も含めた子供・若者育成支援に係る関係者の参加を得て,青少年育成支援機関に関するブロック連携会議を開催している。平成27(2015)年度は,岩手県,茨城県,富山県,大阪府,徳島県,沖縄県の6か所で開催した。会議では,

  1. 非行・不良行為について
  2. 子供の貧困について
  3. 若者による地域づくりについて
  4. 職場体験活動等のキャリア教育について
  5. 社会的自立の問題について(ニート,ひきこもり,不登校など)
  6. 児童虐待・社会的養護について

の6テーマを設定し,それぞれ,地方公共団体,学校,企業やNPO等の民間団体等の様々な主体による具体的な取組事例に基づいて意見交換を行った。

地域における子供・若者育成支援活動の今後の取組を一層促進するためには,情報共有を始めとする関係機関の連携が重要であり,会議を通じて,各機関・団体における取組の企画立案,実施に寄与するとともに,都道府県をまたいだ相互の連携を促進し,全国的な取組内容の向上を図っている(第5-4図)。

第5-4図 青少年育成支援機関に関するブロック連携会議

2 教員等の資質能力の向上(文部科学省)

(1)教員の資質能力の向上

文部科学省は,複雑化・多様化している学校現場の諸課題に適切に対応できる実践的指導力のある教員を育成するため,以下のとおり,教員養成・研修などの充実を図っている1

  • 平成27(2015)年度には,教育委員会と大学などが連携・協働した教員養成・研修などの各段階における先導的な取組に対し,支援を行った。
  • 教職課程では,生徒指導や教育相談の理論と方法,カウンセリングに関する基礎知識について,教員を志す全ての学生が必ず学習することにしている。また,優れた知識経験や技術を有する者に免許状を授与できる制度(特別免許状制度)や,免許状を持たない社会人が教壇に立てる制度(特別非常勤講師制度)により,地域の人材や社会人を活用して,学校教育の多様化への対応や活性化を図っている。
  • 教員の資質能力の向上を図るため,公立学校の新任教員に対する採用後1年間の初任者研修や,在職期間が原則として10年に達した教員に対して個々の能力,適性などに応じた研修を行う10年経験者研修が制度化されている。

独立行政法人教員研修センター2は,国が行うべき研修として,各地域における指導者を養成するための学校経営研修や喫緊課題に関する研修を実施している。

(2)教職員評価

教職員の能力と実績を適正に評価し,評価結果が処遇に反映されるようにすることは,教職員全体への信頼性を高め,頑張る教職員を応援していく上で重要である。

平成26(2014)年に「地方公務員法」が改正され(施行は公布の日から起算して2年を超えない範囲内と政令で定める),従来の勤務成績の評定に代わり,人事評価制度が導入されることとなる。従来の勤務評定では,評価項目が明示されない,上司から一方向の評価で結果を知らされない,人事管理への活用が十分でないなどの問題点が指摘されていた。人事評価制度においては,能力・業績の両面からの評価により実施され,評価基準の明示や自己申告,面談,評価結果の開示などの仕組みにより客観性等を確保しつつ,評価結果が人材育成や給与の決定などにも活用されることとなる。

文部科学省は,従来より教職員評価を活用した人事管理について指導しており,一部実施を含めると全ての教育委員会が教職員評価システムの運用・充実に取り組んでいる。今回の法改正の趣旨にのっとり,教職員評価を活用した人事管理が一層普及することが期待される。

(3)学級編制と教職員配置

「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭33法116)と「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」(昭36法188)において,公立の小学校,中学校,中等教育学校,高等学校,特別支援学校における学級編制と教職員定数の標準が定められている。これにより,学習活動や学校生活の基本的な単位である学級の規模の適正化を図るとともに,教育活動を円滑に行うために必要な教職員を確保するための教育条件の整備を図っている。

平成27(2015)年度は,アクティブ・ラーニングへの転換の推進や,学校に多様な専門スタッフを配置するとともに,学校マネジメント体制を強化し,学校のチームとしての教育力・組織力の最大化を図るなどのため,500人の定数増を行った。

(4)学校における相談体制の充実

第2章第2節2(3)「学校における相談体制の充実」を参照。)

3 医療・保健関係専門職(厚生労働省)

厚生労働省は,募集定員20名以上の臨床研修病院・大学病院が行う臨床研修では将来小児科医と産科医になることを希望する研修医を対象とした研修プログラムを必ず設けることとしている。また,保健師,助産師を含む看護職員の養成課程では,学校保健や地域母子保健,小児看護学等子供や若者に対する支援を含む教育内容としている。

4 児童福祉に関する専門職(厚生労働省)

厚生労働省は,児童福祉施設や児童相談所などの体制を強化するため,児童福祉司や児童心理司,児童家庭相談担当職員などに対する研修の充実などを図っている。

5 思春期の心理関係専門職(法務省,厚生労働省)

厚生労働省は,精神保健福祉センターや保健所における相談体制を強化するため,思春期精神保健に関する専門家が少ない現状を考慮し,医師や保健師,看護師,精神保健福祉士,臨床心理技術者を対象に,思春期における心の健康問題に対応できる専門家の養成研修を実施している。

法務省は,少年鑑別所に勤務する法務技官に対し,心理査定や心理療法に関する専門的な知識や技術を付与するための研修体制を整備し,心理関係専門職としての計画的な養成を行っている。

6 少年補導や非行少年の処遇に関する専門職

(1)少年補導職員(警察庁)

警察は,平成27(2015)年4月1日現在,非行少年の立ち直り支援や被害少年への支援などを行う,少年問題に関する専門組織である少年サポートセンターを全国に195か所設置するとともに,全国に約900人の少年補導職員を配置している。少年補導職員は,少年相談,継続補導,被害少年の支援などの専門的・継続的な活動を行っており,時代に応じて変化する少年の問題に的確に対応できるよう,都道府県単位,あるいは,全国規模で研修を行うなど必要な知識の修得に努めている。

(2)少年院の法務教官(法務省)

法務省は,少年院在院者の矯正教育に当たる少年院の法務教官に対して,職務に必要な行動諸科学などに関する専門的な知識と技術を付与するための研修体制を整備している。また,日々の事例を通しての研究会を頻繁に行うなど,非行少年の処遇に関する指導力の向上を図っている。

(3)保護観察官(法務省)

法務省は,非行少年の社会内処遇や非行の予防等を担当している地方更生保護委員会事務局及び保護観察所の保護観察官に対して,家族関係の不和や社会性の欠如など個々の非行少年が抱える問題を踏まえた効果的な処遇が実施できるよう,処遇能力の向上に資するための各種研修を実施するとともに,これら研修のより一層の充実を図っている。


1 http://www.mext.go.jp/a_menu/01_h.htm
2 http://www.nctd.go.jp/
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