第3章 困難を有する子供・若者やその家族の支援(第3節)

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第3節 子供・若者の被害防止・保護

1 児童虐待防止対策(厚生労働省,警察庁,法務省,文部科学省)

児童虐待の防止については,これまで,「児童虐待の防止等に関する法律」(平12法82)(以下「児童虐待防止法」という。)や「児童福祉法」(昭22法164)の累次の改正,「民法」(明29法89)などの改正による親権の停止制度の創設37により,制度的な充実が図られてきた。一方で,全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加し,平成27(2015)年度には児童虐待防止法制定直前の約8.9倍に当たる103,286件となっている(第3-40図)。特に心理的虐待が増加しており,この要因としては,児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力がある事案(面前DV)について警察からの通告が増加していることなどや,児童相談所全国共通ダイヤルの3桁化(189)の広報,マスコミによる児童虐待の事件報道等により,国民や関係機関の児童虐待に対する意識が高まったことに伴う通告が増加していることが考えられる。子供の生命が奪われるなど重大な児童虐待事件も後を絶たず,平成27年に警察が検挙した児童虐待事件の被害児童807人のうち,26名が死亡に至っている。検挙された児童虐待事件のうち,約4割が実父による虐待となっているが,児童が死亡に至った事件では,実母による虐待が最も高く約5割に上っている(第3-41図)。

児童虐待は,子供の心身の発達及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに,将来の世代の育成にも懸念を及ぼすため,その防止は,社会全体で取り組むべき重要な課題である。

このような状況を踏まえ,児童虐待について,発生予防から自立支援までの一連の対策の更なる強化を図るため,平成27年12月,子どもの貧困対策会議において,「すくすくサポート・プロジェクト」(「児童虐待防止対策強化プロジェクト」及び「ひとり親家庭・多子世帯等自立支援プロジェクト」からなる「すべての子どもの安心と希望の実現プロジェクト」の愛称)が決定され,平成28(2016)年3月には,社会保障審議会児童部会新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会において,報告(提言)が取りまとめられた。

平成28年3月には,これらを踏まえ,初めて子供を権利の主体として法律に位置付けるなど児童福祉法の理念を明確化するとともに,子育て世代包括支援センターの全国展開,市町村及び児童相談所の体制の強化,里親委託の推進等の所要の措置を講ずる「児童福祉法等の一部を改正する法律案」を第190回通常国会に提出,5月に成立,6月に公布された。本改正の内容は,図(第3-42図)のとおりであり,円滑な施行に向け,所要の措置を講ずることとしている。

第3-42図 児童福祉法等の一部を改正する法律の概要

また,平成28年4月より,「児童虐待防止対策に関する業務の基本方針について」(平成28年3月閣議決定)に基づき,内閣官房において担当していた児童虐待防止対策に関する企画及び立案並びに総合調整の業務が厚生労働省へ移管された。同省ではこれに伴い,同年5月10日付けで,厚生労働大臣を議長とし,関係府省庁(内閣府,警察庁,総務省,法務省,文部科学省及び厚生労働省)の局長級を構成員とする「児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議」を設置,開催するなど,関係府省庁が緊密に連携し,総合的な児童虐待防止対策について,政府全体で強化を図り,一層効果的に推進している。

ア 発生予防(文部科学省,厚生労働省)

文部科学省は,保護者の子育て不安の軽減や孤立感の解消のため,地域における就学時健診の機会を活用した子育て講座や,家庭教育に関する学習機会の提供,家庭教育支援チームによる相談対応の取組を支援している(家庭教育支援については,第4章第1節1(1)「家庭教育支援」を参照)。

厚生労働省では,児童福祉法等の一部改正を踏まえ,法定化された子育て世代包括支援センターを核として,産婦人科・小児科の医療機関等の地域の関係機関と連携しながら,妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援を提供する仕組みの全国展開を図ることとしている。また,同改正において,保護者の養育が特に必要と認められる子供等(以下「要支援児童等」という。)と思われる者に日頃から接する機会の多い,病院,診療所,児童福祉施設,学校等が,要支援児童等と思われる者を把握した場合には,当該者の情報を現在地の市町村に提供するよう努めることとされた。

さらに,「すくすくサポート・プロジェクト」において不安定な生活など,様々な事情により地域社会から孤立している子育て家庭に対するアウトリーチ支援を強化するため,乳児家庭全戸訪問事業を全ての市町村において実施するとともに,養育支援訪問事業についても,全ての市町村において実施することを目指すこととしている。平成28(2016)年4月1日現在,全1,741市町村中,乳児家庭全戸訪問事業は1,733市町村(99.5%),養育支援訪問事業は1,469市町村(84.4%)で実施している。

イ 早期発見・早期対応,保護(警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省)

虐待を受けている子供や支援を必要としている家庭を早期に発見し,適切な保護や支援を行うためには,関係機関の間で情報や考え方を共有し,適切な連携の下で対応していくことが重要である。

文部科学省では,学校の教職員に対して,児童虐待の疑いを発見した場合の積極的な通報や,児童相談所との日常的な情報共有を促している。また,学校へのスクールソーシャルワーカー及びスクールカウンセラーの配置の充実や,教職員に対する児童相談所職員との合同研修への参加促進など,児童虐待を早期に発見し迅速かつ的確に対応できる体制の整備を進めている。

厚生労働省では,児童福祉法等の一部改正に伴い,

  1. 市町村の体制強化として,児童等に対する必要な支援(実情の把握,情報の提供,相談,調査,指導,関係機関との連絡調整等)を行うための拠点の整備に努めることとされたほか,市町村の要保護児童対策地域協議会(第3-43図,第3-44図)の調整機関への専門職の配置を義務付け,国が定める基準に適合する研修を受けなければならないこと
    第3-43図 要保護児童対策地域協議会(子どもを守る地域ネットワーク)
    第3-44図 要保護児童対策地域協議会の設置状況
  2. 児童相談所の体制強化として,弁護士や児童心理司等の専門職の配置を法律上位置付けるとともに,児童福祉司は,国が定める基準に適合する研修を受けなければならないこと

等とされたことを踏まえ,運用に係る検討,予算の確保等,円滑な施行に向けた取組を推進している。

また,入所措置等の解除時に保護者に対する十分なアセスメントがなされぬまま家庭復帰した後,虐待が再発したことにより子供が死亡した事例が発生していること等を踏まえ,児童福祉法等の一部改正により,都道府県(児童相談所)は,子供の入所措置等を解除する際に,保護者への助言・カウンセリングや,地域の関係機関と連携し,定期的な子供の安全確認等を実施することとされた。

児童虐待を受けたと思われる子供を見つけた時などに,ためらわずに児童相談所に通告・相談ができるように,平成27(2015)年7月1日から,児童相談所全国共通ダイヤルについて,これまでの10桁番号から3桁番号「189(いちはやく)」に変更し,運用している(第3-45図)。さらに,平成28(2016)年4月に,音声ガイダンスの内容を見直し,児童相談所につながるまでの平均時間を約70秒から約30秒へ短縮している。

第3-45図 児童相談所共通ダイヤル3桁化の広報資料

警察では,街頭補導や相談活動,通報,事件捜査・調査を通じて,児童虐待事案の早期発見・被害児童の早期保護に努めている。「警察官職務執行法」(昭23法136)に基づく犯罪の制止,立入などの権限行使,厳正な捜査,被害を受けた子供の支援,児童相談所の行う立入調査などに対する援助要請への的確な対応など,関係機関との連携を強化しながら子供の安全の確認と確保を最優先とした対応を行っている。

法務省の人権擁護機関は,被害を受けた子供からの相談や近隣住民などからの情報によって児童虐待事案の情報を認知した場合は,事案に応じて,児童相談所などと連携し,子供を一時保護させたり,加害者に対して説示を行うなど適切な対応をとり,被害を受けた子供の救済に努めている。

ウ 社会的養護の現状と課題(厚生労働省)

社会的養護は,保護者のない子供や被虐待児といった家庭環境上養護を必要とする子供,生活指導を必要とする子供に対し,公的な責任として,施設などで社会的に養護を行う制度であり,約45,000人の子供が社会的養護の対象となっている(第3-46図)。

第3-46図 社会的養護の現状

児童養護施設に入所している子供のうち半数以上が虐待を受けた子供であるほか,障害のある児童が増加している(第3-47図)。このため,児童虐待防止対策の一層の強化とともに,社会的養護の質・量ともに拡充が必要となっている。

第3-47図 社会的養護の対象児童の被虐待経験

現在,日本の社会的養護は,約83%が乳児院や児童養護施設,約18%が里親・ファミリーホーム38での受入となっている。

児童養護施設などでは,できる限り家庭的な環境の中で職員との個別的な関係性を重視したきめ細かなケアを提供していくことが求められている。

厚生労働省は,ケア形態の小規模化を図るため,乳児院,児童養護施設,情緒障害児短期治療施設,児童自立支援施設を対象とした小規模グループケアの実施や,グループホームの設置を進めており,「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について」(「小規模化等の手引き」)39により,関係者に対して小規模化の意義や課題の周知を図っている。

また,ケア形態の小規模化や里親等への委託等を推進するため,各都道府県市において,「児童養護施設等の小規模化及び家庭的養護の推進について(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)」に基づき,平成27(2015)年度から平成41(2029)年度末までの15年間に,「本体施設入所児童の割合」,「グループホーム入所児童の割合」,「里親・ファミリーホームへの委託児童の割合」をそれぞれおおむね3分の1ずつにしていく「都道府県推進計画」を策定しており,計画に基づいた取組が開始されている(第3-48図)。

第3-48図 施設の小規模化と家庭的養護の推進

エ 里親委託・里親支援の推進(厚生労働省)

里親制度40は,何らかの事情により家庭での養育が困難になったり受けられなくなったりした子供に,温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育を提供する制度である。家庭での生活を通じて,子供が成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより,子供の健全な育成を図るものである(第3-49図)。

第3-49図 里親制度

厚生労働省は,里親支援機関事業や,児童養護施設と乳児院への里親支援専門相談員の配置(平成27年10月現在368か所)により,地方公共団体における里親委託推進に向けた取組を促しているほか,毎年10月を里親月間として定め,里親制度の普及促進に係る集中的な取組が地域の実情に応じてなされるよう要請している。

また,里親の普及啓発から里親の選定及び里親と児童との間の調整並びに児童の養育に関する計画の作成までの一貫した里親支援を都道府県(児童相談所)の業務として位置づけた「児童福祉法等の一部を改正する法律」が平成28(2016)年通常国会で成立した。それに伴い,平成29(2017)年度から里親支援機関事業を拡充した里親支援事業を創設し,里親委託の更なる推進を図ることとしている。

オ 施設退所児童等の自立支援策の推進(厚生労働省)

社会的養護の下で育った子供は,施設などを退所し自立するに当たって,保護者などから支援を受けられない場合が多く,その結果さまざまな困難に突き当たることが多い。このような子供が他の子供と公平なスタートが切れるように自立への支援を進めるとともに,自立した後も引き続き子供を受け止め,支えとなるような支援の充実を図ることが必要である。

厚生労働省は,こうした支援の充実を図るため,以下の取組を実施している。

  • 家賃相当額や生活費の貸付を行う事で安定した生活基盤を築くための「児童養護施設退所者等に対する自立支援資金貸付事業」を創設(平成28年度より)
  • 平成28(2016)年通常国会において成立した児童福祉法一部改正法において,児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)の対象者に,22歳の年度末までの間にある大学等就学中の者が追加されたことに伴い,20歳到達後から22歳の年度末までの間における支援に要する費用について補助を行う「児童自立生活援助事業」(平成29年度より)・大学等就学中の者以外の自立援助ホーム入居者のうち,引き続き支援が必要な者,及び里親等への委託や,児童養護施設等への施設入所措置を受けていたが18歳(措置延長の場合は20歳)到達により措置解除された者について,原則22歳の年度末まで,引き続き必要な支援を受けることができる「社会的養護自立支援事業」41を創設(平成29年度より)

カ 施設機能の充実(厚生労働省)

厚生労働省は,児童養護施設,乳児院,情緒障害児短期治療施設,児童自立支援施設,母子生活支援施設の5つの施設運営指針,里親及びファミリーホーム養育指針,第三者評価の基準により,施設運営の質の向上を図っている。

また,民間児童養護施設職員等の人材確保と処遇改善を図るため,平成29(2017)年度より,児童養護施設職員等について2%の処遇改善を行うとともに,虐待や障害等のある子供への夜間を含む業務内容を評価した処遇改善に加え,職務分野別のリーダー的業務内容や支援部門を統括する業務内容を評価した処遇改善を実施した。

キ 被措置児童等に対する虐待の防止(厚生労働省)

施設入所や里親委託などの措置がとられた子供(以下「被措置児童等」という。)への虐待があった場合には,その子供を保護し,適切な養育環境を確保することが必要である。また,不適切な施設運営や事業運営が行われている場合には,施設や事業者を監督する立場から,「児童福祉法」に基づく適切な対応が必要となる。

このため,厚生労働省は,「被措置児童等虐待対応ガイドライン」42により,被措置児童等への虐待の防止を図っている。ガイドラインでは,都道府県の関係部局の連携体制や通告があった場合の具体的対応のための体制をあらかじめ定めること,都道府県児童福祉審議会の体制を整備すること,関係施設の協議会との連携・協議を強化し被措置児童等への周知や子供の権利についての学習機会の確保を図ることなどが具体的に示されている。

2 子供・若者の福祉を害する犯罪対策

(1)子供・若者の福祉を害する犯罪対策

ア 取締り(警察庁,法務省)

「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(平11法52。平成26年6月一部改正。以下「児童買春・児童ポルノ禁止法」という。)違反や児童福祉法違反といった福祉犯は,被害者の心身に有害な影響を及ぼし,その健全な育成を著しく阻害する。

警察は,積極的な取締りと被害者の発見保護に努めている。平成27(2015)年の福祉犯の検挙人員は,6,919人で,前年に比べ218人(3.1%)減少した(第3-50図)。このうち,暴力団などの関係者の検挙人員は257人で,福祉犯における検挙人員の3.7%を占めている(第3-51表)。

第3-50図 福祉犯の検挙人員(法令別 平成27年)
第3-51表 福祉犯の検挙人員と暴力団の関与(平成27年)
◆検挙人員の3.7%が暴力団等関係者である。
  風営適正化法 売春防止法 児童福祉法 児童買春・児童ポルノ禁止法 労働基準法 職業安定法 覚せい剤取締法 青少年保護育成条例 その他
福祉犯の検挙人員数(A)(人) 6,919 416 36 400 2,113 91 29 55 2,230 1,549
暴力団等関係者(B)(人) 257 62 3 95 16 13 9 28 26 5
関与率(B/A)(%) 3.7 14.9 8.3 23.8 0.8 14.3 31.0 50.9 1.2 0.3
暴力団等関係者の構成比(%) 100.0 24.1 1.2 37.0 6.2 5.1 3.5 10.9 10.1 1.9
(出典)警察庁「少年の補導及び保護の概況」

検察は,積極的に関係法令を適用し,厳正な科刑の実現に努めている。

イ 児童買春・児童ポルノ問題(内閣府,警察庁,総務省,法務省)

児童買春や児童ポルノは,子供の権利を踏みにじる断じて許しがたいものである。児童ポルノがいったんインターネット上に流出すれば,その回収は事実上不可能であり,被害を受けた子供の苦しみは将来にわたって続くことになる。福祉犯の被害者となった20歳未満の者は,このところ減少しており,全体として児童買春事犯の被害者が減少傾向にある一方,児童ポルノ事犯の被害者は増加傾向にあり,引き続き,こうした犯罪の撲滅に向けた取組みが重要である(第3-52図)。

平成26(2014)年6月,児童買春・児童ポルノ禁止法が一部改正され,自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ又はその電磁的記録を所持,保管する行為や,ひそかに児童の姿態を描写することにより児童ポルノを製造する行為を処罰する罰則が新設された。この法律は,平成26年7月から施行され,自己の性的好奇心を満たす目的での所持・保管罪については,平成27(2015)年7月から適用が開始された。

政府では,児童買春,児童ポルノの製造等の子供の性被害の撲滅と被害児童の権利の擁護に総力を挙げて取り組むため,「児童の性的搾取等に係る対策に関する業務の基本方針について」(平成28年3月29日)を閣議決定し,平成28(2016)年4月以降,国家公安委員会が関連する対策の総合調整等をつかさどることとした。また,犯罪対策閣僚会議の下に「児童の性的搾取等に係る対策に関する関係府省庁連絡会議」(議長:国家公安委員会委員長)を設置して,こうした子供の性被害を撲滅するため,今後3年間を視野に,政府として取り組むべき対策を多角的かつ包括的に規定する基本計画を策定した。また,官民一体となって,総合的な活動を推進するため,平成28年度より,関係する民間団体等及び行政機関から構成される「児童の性的搾取等撲滅対策推進協議会」(事務局:警察庁)が開催されている。

内閣府及び警察庁は,平成28年11月,児童ポルノ排除対策公開シンポジウムを開催し,児童ポルノをはじめとした子供の性被害の根絶に向けた国民運動の輪が更に広がるよう呼び掛けを行った。同シンポジウムでは,「児童を性的搾取の被害から守るために」と題した基調講演が行われたほか,民間活動団体等によるパネルディスカッションが行われた(第3-53図)。

第3-53図 児童ポルノ排除対策に関する協議会・シンポジウム

警察は,児童ポルノをめぐる情勢が深刻な状態にあることから,児童買春・児童ポルノ禁止法による積極的な取締りなどを行っている。平成27年には,1,938件,1,483人を検挙した。また,児童を組織的に支配し,出会い系サイトなどを利用して児童買春の周旋を行う事犯や,児童の性に着目した形態の営業に従事させる事犯など,児童の心身に有害な影響を与える事犯が発生していることから,その実態把握の推進と情報の分析,積極的な取締りや,有害業務に従事する児童の補導と被害児童の立ち直り支援などを推進している。

なお,児童ポルノの流通・閲覧を防止するため,インターネット・サービス・プロバイダなどの関連事業者によるブロッキングが実施されている。

ウ 出会い系サイトやコミュニティサイトの問題(警察庁)

出会い系サイトに起因する児童被害については大幅に減少しているが,一方で,コミュニティサイトに起因する児童被害については増加傾向が続いている(第3-54図)。特に,面識のない相手と容易に出会えてしまうようなアプリの利用やSNSの不適切な利用による被害が増加している。警察では,福祉犯事件の取締りを強化し「児童買春・児童ポルノ禁止法」違反などを検挙している。また,子供が援助交際を求めるなどのインターネット上の不適切な書き込みをサイバーパトロールによって発見し,書き込みを行った子供と接触して直接注意・助言などを行うサイバー補導を推進している。

エ 子供の犯罪被害の防止

<1> 学校における安全管理(文部科学省)

文部科学省は,「第2次学校安全の推進に関する計画」43(平成29年3月閣議決定)に基づき,学校における安全管理を推進している。また,「学校・家庭・地域の連携協力推進事業」として,元警察官などからなるスクールガード・リーダーによる学校の巡回や学校安全ボランティアに対する警備のポイントの指導,学校安全ボランティアの養成,各地域における子供の見守り活動に対する支援を行っている。さらに,都道府県教育委員会が行う防犯教室などの講師となる教職員などに対する講習会の開催を支援している。

<2> 関係機関・団体からの情報の活用(警察庁)

警察庁は,法務省から子供を対象とした暴力的な性犯罪に係る受刑者の出所情報の提供を受け,出所者の更生や社会復帰を妨げないように配慮しつつ,訪問による所在確認や同意を前提とした面談を取り入れるなど,犯罪の予防や捜査の迅速化への活用を図っている。

警察は,子供が被害に遭った事案や,子供に対する犯罪の前兆と思われる声掛けやつきまといの発生に関する情報が,迅速に保護者などに対して提供されるよう,警察署と学校・教育委員会との間で情報共有体制を整備している。これらの情報を,都道府県警察のウェブサイトで公開し,電子メールなどを活用した発信も行っている。

また,被害者本人からの申告が期待しにくく潜在化しやすい犯罪を早期に認知し,検挙や被害者の保護に結び付けるため,警察庁から委託を受けた民間団体が少年福祉犯罪や児童虐待事案,人身取引事犯などに関する通報を国民から電話やインターネットにより匿名で受け付け,事件検挙などへの貢献度に応じて情報料を支払う「匿名通報ダイヤル」を運用している。

<3> 人身取引対策(内閣官房,内閣府,警察庁,法務省,外務省,文部科学省,厚生労働省,国土交通省)

人身取引は重大な人権侵害であり,人道的観点からも迅速・的確な対応を求められている。これは,人身取引が,その被害者に対して深刻な精神的・肉体的苦痛をもたらし,その被害の回復は非常に困難だからである。

政府では,平成16(2004)年4月から「人身取引対策に関する関係省庁連絡会議」を開催するなどして関係行政機関が緊密な連携を図りつつ,「人身取引対策行動計画」(平成16年12月),「人身取引対策行動計画2009」(平成21年12月)に基づき,人身取引の防止・撲滅と被害者の適切な保護を推進してきたところ,引き続き人身取引対策に係る情勢に適切に対処し,政府一体となってより強力に,総合的かつ包括的な人身取引対策に取り組んでいくため,平成26(2014)年12月,犯罪対策閣僚会議において「人身取引対策行動計画2014」44を策定するとともに,関係閣僚から成る「人身取引対策推進会議」を随時開催することとした。

平成28(2016)年5月,人身取引対策推進会議の第2回会合を開催し,我が国における人身取引による被害の状況や,関係省庁による人身取引対策の取組状況等をまとめた年次報告「人身取引対策に関する取組について」を決定・公表するとともに,引き続き,人身取引の根絶を目指し,「人身取引対策行動計画2014」に基づく取組を着実に進めていくことを確認した。

また,同年6月の「外国人労働者問題啓発月間」に合わせてインターネットテキスト広告により,7月30日の「人身取引反対世界デー」及び11月の「女性に対する暴力をなくす運動」期間に合わせてSNSにより,我が国における人身取引の実態,人身取引の防止・撲滅,被害者の保護に係る取組に関する広報を実施し,被害に遭っていると思われる者を把握した際の通報を呼びかけた。

(2)犯罪被害に遭った子供・若者とその家族等への対応(警察庁,文部科学省)

人格形成の途上にある少年が犯罪などにより被害を受けた場合,その後の健やかな育成に与える影響が大きい。被害を受けた少年の心のケアに当たっては,その悩みや不安を受け止めて相談に当たることや,家庭・友人関係・地域・学校といった少年が置かれている環境に関する問題を解決すること,関係機関が連携して必要な支援をしていくことが大切である。

警察は,被害者の再被害を防止するとともに,その立ち直りを支援するため,少年補導職員による指導助言や被害者に対するカウンセリングを継続的に行っている。臨床心理学や精神医学といった高度な知識・技能や豊富な経験を有する部外の専門家を「被害少年カウンセリングアドバイザー」として委嘱し,その適切な指導・助言を受けながら,支援を実施している。また,それぞれの地域において,保護者などとの緊密な連携の下に日常の少年を取り巻く環境の変化や生活状況を把握しつつ,きめ細かな訪問活動などを行うボランティアを「被害少年サポーター」として委嘱し,これらの者と連携した支援活動を推進している(第3-55図)。

第3-55図 警察による被害少年への支援活動

文部科学省は,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー,関係機関とのネットワークを活用するなど多様な支援方法を用いて,被害を受けた子供の立ち直りを支援する活動を推進している。さらに,子供の心のケアに対する対応の充実を図るため,教職員などを対象とした研修会,教職員向けの指導参考資料の作成などを行っている。


37 http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv-jinshin/#shinken
38 養育者の住居で行う家庭的養護。
39 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/pdf/tuuchi-92.pdf
40 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/syakaiteki_yougo/02.html
41 施設を退所した後の地域生活と自立を支援するとともに,退所した人同士が集まり,意見交換や情報交換・情報発信を行えるような場を提供する「退所児童等アフターケア事業」及び施設などを退所する子供は親がいないといった事情により身元保証人を得られないことが多いため,就職やアパートの賃借に影響を及ぼすことがないように施設長などが身元保証人となる場合の補助を行う「身元保証人確保対策事業」は本事業に編入。
42 http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/syakaiteki_yougo/04.html
43 http://www.mext.go.jp/a_menu/kenko/anzen/1383652.htm
44 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jinsin/kettei/keikaku2014.pdf
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